JP6770394B2 - 注入用油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂およびパン - Google Patents

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Description

本発明は、注入用油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂およびパンに関する。
従来、マーガリンを注入したロールパンは広く一般に食されている。このマーガリンを注入したロールパンは、注入機を用いて製造されている。例えば、焼成後に冷ました多数のロールパンをコンベアで連続的に搬送し、この搬送されるロールパンにノズルを刺して、その後ノズルからマーガリンを吐出させることでロールパンの中心部に注入する。注入後はマーガリンの吐出を停止し、ノズルをロールパンから抜き出して、マーガリンを注入したロールパンが得られる。
注入パンにおいては、ロールパンと一緒に食したときの美味しさの点から、マーガリンの塩味を良く感じること、フレーバーリリースの持続性が良いことや、油脂のキレ、つまり脂っぽくないことが重要である。
さらに、注入パンは一口目で口中にマーガリンが含まれることが好まれ、上記のような注入機による注入時には、ロールパン内部に一定の可塑性をもってマーガリンが広がる必要がある。また、このようなマーガリンを注入したパンが製品として供給される場合、流通時にマーガリンがきれいに残存していることが望まれている。
パン生地が多孔質であること、荷重がかかることから、マーガリンがきれいに残存するには、これに保形性、すなわち強固な骨格があることが必要である。油脂の染みだしなどがあるとマーガリンの存在感はなくなってしまう。
また、注入したマーガリンは、これを含んだパンを喫食する場合には、パン生地との相性が必要であり、注入したマーガリンと、パン生地とが同時に口中で溶解することが求められている。例えば、マーガリンが硬いと口中で生地が先になくなり、マーガリンが残存してしまい、一緒に味わうことができない。あるいはマーガリンが先に口中で溶解し、生地だけが口中に残ってしまう場合にも、一緒に味わうことができない。つまり、注入用マーガリンには、特にパンの硬さにあわせた食感が求められている。
しかし、生地に注入して使用されるマーガリンの場合、マーガリンの骨格がしっかりしていると、パンと喫食したときにマーガリンだけが口中に残存し、生地と同時に口中で喪失しにくく、マーガリンの強固な骨格と、パン生地との相性とを両立することは難しい。
従来、マーガリンなどの油脂組成物として、次のような技術が提案されている(特許文献1〜3)。
特許文献1は、パーム核分別軟質油を使用した油脂組成物が提案されている。この油脂組成物を用いてアイスコーティング用チョコレートを作製しているが、パンへの注入用に適した油脂配合や油脂組成は検討されていない。
特許文献2は、パーム核分別高融点部を使用したマーガリンが提案されている。しかし、注入用に適した観点からの油脂配合や油脂組成は検討されておらず、パーム核分別高融点部を使用したマーガリンは、口溶けや保形性に難点がある。
特許文献3は、油相中に、魚油の極度硬化油を0.5〜10質量%、パーム核油の極度硬化油および/またはヤシ油の極度硬化油を3〜40質量%含む、実質的にトランス脂肪酸を含まない油脂組成物が提案されている。この技術においては、エステル交換油脂を使用しないことを前提として、可塑性、クリーミング性、吸水性などの改良に着目し、魚油の極度硬化油を配合したことを特徴としている。しかし、パンへの注入用に適した油脂配合や油脂組成は検討されていない。
特開平2−700号公報 特開昭57−21498号公報 特開平9−143490号公報
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、パンへの注入用油脂組成物において特に求められる塩味、フレーバーリリースの持続性、油脂のキレが良好で、注入時にはパン内部での可塑性油脂の広がりが良好であり、パンに注入した可塑性油脂は、骨格が強固であるため残存して存在感があり、かつ注入したパンと一緒に喫食すると同時に溶解し、パン生地との相性が良い注入用油脂組成物とそれを用いた可塑性油脂および食品を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の注入用油脂組成物は、以下の条件を満たすラウリン系油脂(a)、(b)を含有することを特徴としている。
(a)融点20℃以上38℃未満、ヨウ素価0.1〜20のラウリン系油脂。
(b)融点38℃以上50℃未満、ヨウ素価0.1〜5のラウリン系油脂。
本発明によれば、塩味、フレーバーリリースの持続性、油脂のキレが良好で、注入時にはパン内部での可塑性油脂の広がりが良好であり、パンに注入した可塑性油脂は、骨格が強固であるため残存して存在感があり、かつ注入したパンと一緒に喫食すると同時に溶解し、パン生地との相性が良い。
以下に、本発明を詳細に説明する。
1.油脂
本発明において、飽和脂肪酸(以下、Sとも表記する。)は、油脂中に含まれるすべての飽和脂肪酸である。飽和脂肪酸Sとしては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)などが挙げられる。なお、上記の数値表記は、脂肪酸の炭素数である。
本発明において、不飽和脂肪酸(以下、Uとも表記する。)は、油脂中に含まれるすべての不飽和脂肪酸である。また、各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの不飽和脂肪酸Uは、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。不飽和脂肪酸Uとしては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)などが挙げられる。なお、上記不飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、左側が脂肪酸の炭素数であり、右側が二重結合数を意味する。
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1位、2位、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。
本発明の注入用油脂組成物(A)および可塑性油脂(B)に使用される油脂は、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドを含んでもよく、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1、3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸Sまたは不飽和脂肪酸Uのいずれであってもよい。2位がオレイン酸であるトリグリセリドとしては、例えば、SOS型トリグリセリド、SOU型トリグリセリド(位置異性体も含む)、UOU型トリグリセリドなどが挙げられるが、特に限定されない。なお、「O」とは、トリグリセリドの構成脂肪酸であるオレイン酸を意味する。本発明の効果を得る点から、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sである場合、炭素数4〜24の飽和脂肪酸であることが好ましい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸Uである場合、炭素数14〜18の不飽和脂肪酸(ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸など)であることが好ましい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sと不飽和脂肪酸Uである場合、上述の飽和脂肪酸(炭素数4〜24の飽和脂肪酸)と不飽和脂肪酸(炭素数14〜18の不飽和脂肪酸)であることが好ましい。
本発明の注入用油脂組成物(A)および可塑性油脂(B)に使用される油脂は、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドを含んでもよく、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1、3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸Sまたは不飽和脂肪酸Uのいずれであってもよい。2位がラウリン酸であるトリグリセリドとしては、例えば、SLS型トリグリセリド、SLU型トリグリセリド(位置異性体も含む)、ULU型トリグリセリドなどが挙げられるが、特に限定されない。なお、「L」とは、トリグリセリドの構成脂肪酸であるラウリン酸を意味する。本発明の効果を得る点から、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sである場合、炭素数4〜24の飽和脂肪酸であることが好ましい。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸Uである場合、炭素数14〜18の不飽和脂肪酸(ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等)であることが好ましい。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sと不飽和脂肪酸Uである場合、上述の飽和脂肪酸(炭素数4〜24の飽和脂肪酸)と不飽和脂肪酸(炭素数14〜18の不飽和脂肪酸)であることが好ましい。
本発明の注入用油脂組成物(A)および可塑性油脂(B)に使用される油脂は、1位、2位、3位のすべてに飽和脂肪酸Sが結合した3飽和トリグリセリド(SSS)を含んでいてもよく、1分子のグリセロールに2分子の飽和脂肪酸Sと1分子の不飽和脂肪酸Uが結合した2飽和トリグリセリドとして、1位および3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合した対称型トリグリセリド(SUS)を含んでいてもよく、1位と2位、または2位と3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位または1位に不飽和脂肪酸Uが結合した非対称型トリグリセリド(SSU、USS)を含んでいてもよい。また、1分子のグリセロールに2分子の不飽和脂肪酸Uと1分子の飽和脂肪酸Sが結合した2不飽和トリグリセリド(SUU、UUS、USU))を含んでいてもよく、1位、2位、3位のすべてに不飽和脂肪酸Uが結合した3不飽和トリグリセリド(UUU)を含んでいてもよい。
本発明においてラウリン系油脂は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上、好ましくは40〜55質量%である。このようなラウリン系油脂としては、パーム核油、ヤシ油や、その分別油や脱臭油、あるいはこれらの加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。
2.注入用油脂組成物(A)
本発明の注入用油脂組成物(A)は、以下の条件を満たすラウリン系油脂(a)、(b)を含有する。
(a)融点20℃以上38℃未満、ヨウ素価0.1〜20のラウリン系油脂
(b)融点38℃以上50℃未満、ヨウ素価0.1〜5のラウリン系油脂
ラウリン系油脂(a)としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、ヤシ極度硬化油、パーム核極度硬化油のエステル交換油脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ラウリン系油脂(b)としては、例えば、パーム核極度硬化油などが挙げられる。
これらのラウリン系油脂(a)、(b)を含有することで、本発明の注入用油脂組成物(A)は、塩味、フレーバーリリースの持続性、油脂のキレが良好で、注入時にはパン内部での可塑性油脂の広がりが良好で、パンに注入した可塑性油脂(B)は、骨格が強固であるため残存して存在感があり、かつ注入したパンと一緒に喫食すると同時に溶解し、パン生地との相性が良い。
また、ラウリン系油脂(a)は、炭素数が18である脂肪酸の含有量が構成脂肪酸全体の質量に対して7質量%以上15質量%以下であり、ラウリン系油脂(b)は、炭素数が18である脂肪酸の含有量が構成脂肪酸全体の質量に対して15質量%以上25質量%未満であることが好ましい。このようなラウリン系油脂(a)、(b)であると、塩味と油脂のキレおよび油脂の染みだし抑制効果が特に良好である。このような条件を満たすラウリン系油脂(a)としては、例えば、ヤシ油、ヤシ極度硬化油などが挙げられ、このような条件を満たすラウリン系油脂(b)としては、例えば、パーム核極度硬化油などが挙げられる。なお、炭素数が18である脂肪酸の含有量とはステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)の合計値(質量%)をいう。
本発明の注入用油脂組成物(A)において、ラウリン系油脂(a)、(b)の質量比(ラウリン系油脂(a)/ラウリン系油脂(b))は、0.3〜2.5が好ましい。この範囲内であると特に、パンに注入した可塑性油脂(B)は、骨格が強固であるため残存して存在感があり、かつ注入したパンと一緒に喫食すると同時に溶解し、パン生地との相性が良い。
本発明の注入用油脂組成物(A)において、ラウリン系油脂(a)、(b)の合計量(ラウリン系油脂(a)+ラウリン系油脂(b))は、10〜45質量%であることが好ましく、20〜35質量%であることがより好ましい。この範囲内であると、フレーバーリリースの持続性が特に良好であり、パンに注入した可塑性油脂(B)は、骨格が強固であるため残存して存在感が特に良好である。
本発明の注入用油脂組成物(A)は、油脂の構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を含んでもよく、含まなくてもよいが、トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、血液中におけるLDLコレステロール量が増加しうる。よって、これを抑制しやすい点から、本発明の注入用油脂組成物(A)は、全油脂の構成脂肪酸中のトランス脂肪酸の含有量が、全油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して3質量%未満であることが好ましい。
本発明の注入用油脂組成物(A)は、ラウリン系油脂(a)、(b)を含有し、他の油脂の配合を調整することで、トランス脂肪酸の含有量を上記範囲内とすることができる。ここで、トランス脂肪酸の含有量を上記範囲内とするためには、部分硬化油を含有しないことが好ましい。
本発明の注入用油脂組成物(A)において、本発明の効果が全体的に一層良好となる点から、トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量は、全油脂の2位構成脂肪酸全体の質量に対して26〜43質量%が好ましい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドは、分子構造上歪を形成しており、回転運動する際に、分子構造の障害となりやすい状態となる。これにより油脂中の各トリグリセリドの分子同士が近付きにくくなることから、固化しにくい状態となる。このような特性を持つ2位に結合されたオレイン酸の含有量を上記範囲とすることが、本発明の効果を得る点から好適である。
本発明の注入用油脂組成物(A)において、本発明の効果が全体的に一層良好となる点から、トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸の含有量は、油脂の2位構成脂肪酸全体の質量に対して8〜28質量%であることが好ましく、8〜24質量%であることがより好ましい。この範囲内であると油脂のキレが特に良好であり、パンに注入した可塑性油脂(B)は、注入したパンと一緒に喫食すると同時に溶解し、パン生地との相性が特に良い。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドは、ラウリン酸の分子量が小さいことに起因し、分子運動がおこりやすい。そのため固化後に油脂中で、分子同士が離れやすい状態となる。このような特性を持つ2位に結合されたラウリン酸の含有量を上記範囲とすることが、本発明の効果を得る点から好適である。
本発明の注入用油脂組成物(A)において、本発明の効果が全体的に一層良好となる点から、飽和脂肪酸の含有量は、全油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して40〜63質量%が好ましい。この範囲内であるとパンに注入した可塑性油脂(B)は、注入したパンと一緒に喫食すると同時に溶解し、パン生地との相性が特に良い。
本発明の注入用油脂組成物(A)において、本発明の効果が全体的に一層良好となる点から、P2Oの含有量は、油脂のトリグリセリド全体の質量に対して6.5〜18質量%であることが好ましく、6.5〜16質量%であることがより好ましい。ここでP2Oは、PPOおよびPOPを示す。PPOは、1位と2位または2位と3位にパルミチン酸、3位または1位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドを示し、POPは、1位と3位にパルミチン酸、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドを示し、Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸を示す。
本発明の注入用油脂組成物(A)は、パーム系油脂を原料に含むエステル交換油脂を30質量%以上含有することが好ましい。この範囲内であると、本発明の効果が全体的に一層良好となり、注入時にはパン内部での可塑性油脂の広がりが特に良好である。パーム系油脂を原料に含むエステル交換油脂の含有量は、30〜70質量%がより好ましく、35〜65質量%がさらに好ましい。
ここでパーム系油脂としては、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上の油脂、例えば、パーム油、パーム分別油、これらの硬化油などが挙げられ、これらはエステル交換油脂の原料として1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部、軟質部、中融点部などが挙げられる。
パーム系油脂を原料に含むエステル交換油脂としては、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂を用いることもできる。このエステル交換油脂は、例えば、ラウリン系油脂10質量%以上30質量%未満と、パーム系油脂70質量%超90質量%以下とをエステル交換反応して得られる。
以上のパーム系油脂を原料に含むエステル交換油脂において、原料のエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウムなどが用いられ、酵素触媒としてはリパーゼなどが用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属などのリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミックなどの担体上に固定し固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、原料油脂のエステル交換反応が完了すると、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂中における質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55の範囲内となり、他の油脂との相溶性が良好となる。
エステル交換反応に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間攪拌することで原料油脂のエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼなどの酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭などの精製を行うことができる。
本発明の注入用油脂組成物の製造に用いられる、エステル交換油脂以外の油脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、シア脂、サル脂、マンゴー油、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油またはそれらの脱臭油、硬化油などが挙げられる。これらの油脂は、油脂組成を適宜調整するために、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
3.可塑性油脂(B)
本発明の可塑性油脂(B)は、以上に説明した本発明の注入用油脂組成物(A)を油相中に含有する。
本発明の可塑性油脂(B)は、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態をとることができる。水相を含有する形態としては油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型が挙げられ、油相の含有量は、好ましくは60〜99.4質量%、より好ましくは65〜98質量%であり、水相の含有量は、好ましくは0.6〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%である。水相を含有する形態としては油中水型が好ましく、例えばマーガリンが挙げられる。
また水相を実質的に含有しない形態としてはショートニングが挙げられる。ここで「実質的に含有しない」とは日本農林規格のショートニングに該当する、水分(揮発分を含む。)の含有量が0.5質量%以下のことである。
本発明の可塑性油脂(B)には、水以外に、従来の公知の成分を含んでもよい。公知の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、乳、乳製品、蛋白質、糖質、塩類、酸味料、pH調整剤、抗酸化剤、香辛料、増粘剤、着色成分、フレーバー、乳化剤、酒類、酵素、粉末油脂などが挙げられる。乳としては、牛乳などが挙げられる。乳製品としては、脱脂乳、生クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズなど)、発酵乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白濃縮ホエイパウダー、ホエイチーズ(WC)、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどが挙げられる。蛋白質としては、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、小麦蛋白などの植物蛋白などが挙げられる。糖質としては、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなど)、二糖類(ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロースなど)、オリゴ糖、糖アルコール、ステビア、アスパルテームなどの甘味料、デンプン、デンプン分解物、イヌリン、多糖類などが挙げられる、抗酸化剤としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カ(テキン類、ポリフェノール類、茶抽出物などが挙げられる。香辛料としては、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロンなどが挙げられる。増粘剤としては、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、グァガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギン酸プロピレングリコールエステル(PGA)、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。着色成分としては、カロテン、アナトー、アスタキサンチンなどが挙げられる。フレーバーとしては、バターフレーバー、ミルクフレーバーなどが挙げられる。乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
本発明の可塑性油脂(B)は、公知の方法により製造することができる。例えば水相を含有する形態のものは、本発明の注入用油脂組成物(A)を含む油相と水相とを適宜に加熱し混合して乳化した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサスなどの冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。水相を含有しない形態のものは、本発明の注入用油脂組成物(A)を含む油相を加熱した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサスなどの冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。冷却混合機において、必要に応じて窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込むこともできる。また急冷捏和後に熟成(テンパリング)してもよい。
4.可塑性油脂(B)を注入したパン
本発明の可塑性油脂(B)は、パンに注入される。パンとしては、ロールパン、ドックパンが好ましい。
パンへの注入は、注入機を用いることができる。例えば、焼成後に冷ました多数のパンをコンベアで連続的に搬送し、この搬送されるパンにノズルを刺して、その後ノズルから可塑性油脂(B)を吐出させることでパンの中心部に注入する。注入後は可塑性油脂(B)の吐出を停止し、ノズルをパンから抜き出して、可塑性油脂(B)を注入したパンが得られる。
本発明によれば、可塑性油脂(B)の塩味を良く感じることができ、フレーバーリリースの持続性が良く、油脂のキレが良い(脂っぽくない)ことから、ロールパンなどのパンと一緒に食したときの美味しさを引き立てることができる。さらに可塑性油脂(B)の注入時には、パン内部での可塑性油脂(B)の広がりが良好であるため、喫食の際、一口目で可塑性油脂(B)の口中への広がりを感じることができる。さらに多孔質であるパン生地に油脂が染みだして形状が失われることがなく、流通時には可塑性油脂(B)が強固な骨格を保ってきれいに残存し、これにより喫食時には可塑性油脂(B)の存在感がある。しかも、可塑性油脂(B)は注入したパンと一緒に喫食すると、注入した可塑性油脂(B)と、パン生地とが同時に口中で溶解し、パン生地との相性が良い。つまり、可塑性油脂(B)が硬いために口中でパン生地が先になくなり、可塑性油脂(B)が残存してしまうことがなく、一緒に味わうことができ、パンの硬さにあわせた食感が得られる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1に示す油脂配合量は質量%を表す。
(1)測定方法
各油脂の融点は、基準油脂分析法(公益社団法人日本油化学会)の「3.2.2.2−2013 融点(上昇融点)」で測定した。
各油脂のヨウ素価は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−2013ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」で測定した。
ラウリン系油脂(a)、(b)における炭素数が18である脂肪酸の含有量、飽和脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」)で測定した。なお、これらの含有量は、上記試験法のとおりガスクロマトグラフィーで測定した全ピーク面積である油脂全量(油脂の構成脂肪酸全体の質量)を基準としている。
全油脂におけるトランス脂肪酸の含有量はガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.4.3−2013トランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法)」で測定した。なお、トランス脂肪酸の含有量は、添加量既知の内部標準物質(ヘプタデカン酸)との面積比により算出した。
全油脂におけるトリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量、トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定した。なお、これらの含有量は、上記試験法のとおり、リパーゼ溶液で処理後のモノアシルグリセリン画分をガスクロマトグラフィーで測定した全ピーク面積である油脂全量(油脂の2位構成脂肪酸全体の質量)を基準としている。
全油脂におけるP2Oの含有量(PPOおよびPOPの合計量)は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定し、脂肪酸量を用いて計算にて求めた。
(2)注入用マーガリンの作製
表2に示すラウリン系油脂(a)、(b)は次の表1に示すものを使用した。
Figure 0006770394
表2に示すエステル交換油脂1〜5は次の方法で作製した。
(エステル交換油脂1)
パーム分別軟質油を原料として、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭してエステル交換油脂1を得た。このエステル交換油脂1のヨウ素価は56であった。
(エステル交換油脂2)
パーム油を原料として、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭してエステル交換油脂2を得た。このエステル交換油脂2のヨウ素価は53であった。
(エステル交換油脂3)
パーム核油15質量%、パーム核極度硬化油12.5質量%、パーム油67.5質量%、パーム極度硬化油5質量%を混合し、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭してエステル交換油脂3を得た。このエステル交換油脂3のヨウ素価は39であった。
(エステル交換油脂4)
パーム核油15質量%、パーム核極度硬化油7.5質量%、パーム油70質量%、パーム極度硬化油7.5質量%を混合し、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭してエステル交換油脂4を得た。このエステル交換油脂4のヨウ素価は40であった。
(エステル交換油脂5)
パーム核極度硬化油を原料として、触媒としてナトリウムメチラートを添加し、減圧下でエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗、脱水、脱色、脱臭してエステル交換油脂5を得た。このエステル交換油脂5のヨウ素価は1であった。
<可塑性油脂の作製>
表2に示す配合比の油脂を75℃で溶解、混合し、乳化剤を添加後、溶解させ、75℃に調温して83.15質量部の油相とした。一方、水に対し食塩を添加し、85℃で加熱殺菌して水相を得た。次に、該油相に該水相を16.75質量部添加し、プロペラ攪拌機で撹拌して、油中水型に乳化した後、ミルクフレーバーを添加し、撹拌後、パーフェクターによって急冷捏和して、下記の配合割合のマーガリンを可塑性油脂として得た。得られたマーガリンは、5℃で保管した。なお、下記マーガリンの配合は全体で100質量部である。
〈マーガリンの配合〉
油脂 83質量部
乳化剤 0.15質量部
食塩 1.0質量部
ミルクフレーバー 0.1質量部
水 15.75質量部
<ドックパン(ロールパン)の製造>
下記の配合および製造条件によりパンを製造した。まず、イーストを分散させた水、イーストフード、および油脂以外の材料をミキサーボールに投入し、フックを使用し、低速3分、中低速6分でミキシングを行った後、油脂を投入し、さらに低速2分、中高速3分ミキシングし、捏上げ温度は27℃であった。その後、27℃、湿度75%の条件で1時間発酵を行った。発酵の終点温度は28℃であった。その後、分割、成型後、焼成しドックパンおよびロールパンを得た。
〈ドックパン(ロールパン)の配合〉
強力粉 90質量部
薄力粉 10質量部
砂糖 20質量部
食塩 0.8質量部
脱脂粉乳 3質量部
全卵 12質量部
油脂※1 8質量部
イースト 3.5質量部
イーストフード 0.1質量部
水 50質量部

油脂※1・・・・コクキレフレッシュ(ミヨシ油脂(株)製)
〈ドックパン(ロールパン)の製造条件〉
混捏: 低速3分、中高速6分、(※1の油脂を投入)、低速2分、中高速3分
捏上温度: 27℃
発酵時間: 27℃ 75% 1時間
終点温度: 28℃
分割重量: 70g (ロールパンは45g)
ベンチタイム: 20分
成型: モルダー
ホイロ: 38℃ 80% 60分
焼成: 200℃ 10分
(3)評価
以下の各評価において、パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性8名、女性12名を選抜した。
[塩味]
15℃に調温したマーガリンをパネル20名で試食し、塩味を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル20名中16名以上が、塩味を良く感じると評価した。
○:パネル20名中11〜15名が、塩味を良く感じると評価した。
△:パネル20名中6〜10名が、塩味を良く感じると評価した。
×:パネル20名中塩味が良く感じると評価したのは5名以下であった。
[フレーバーリリース(持続性)]
15℃に調温したマーガリンをパネル20名で試食し、フレーバーリリース(持続性)を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル20名中16名以上がフレーバーリリースに持続性があり、風味を強く感じると評価した。
〇:パネル20名中11〜15名フレーバーリリースに持続性があり、風味を強く感じると評価した。
△:パネル20名中6〜10名が、フレーバーリリースに持続性があり、風味を強く感じると評価した。
×:フレーバーリリースに持続性があり、風味を強く感じると評価したのは5名以下であった。
[油脂のキレ]
15℃に調温したマーガリンをパネル20名で試食し、油脂のキレを以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル20名中16名以上が油脂のキレが良いと評価した。
○:パネル20名中11〜15名が油脂のキレが良いと評価した。
△:パネル20名中6〜10名が油脂のキレが良いと評価した。
×:パネル20名中油脂のキレが良いと評価したのは5名以下であった。
[ロールパン内部でのマーガリンの広がり]
絞り袋に20℃に調温したマーガリンを入れ、口金にてマーガリンを5g注入した際のパンの内部での分布を、ロールパンを長軸に対して垂直に切断した際のマーガリンの広がり(縦mm×横mm)で評価した。
評価基準
◎:17mm×15mm以上
〇:15mm×13mm以上17mm×15mm未満
△:10mm×10mm以上15mm×13mm未満
×:10mm×10mm未満
[油脂の染みだし]
マーガリンを口金片目#3(外径24×高さ36×幅16(mm))の波形で長さ50mmに伸ばし、30℃の恒温槽に2日間保管した時の油脂の染みだしを目視で確認した。
評価基準
◎:全く染みだしはない
〇:若干の染みだしが見られる
△:染みだしが見られる
×:染みだしが非常に多い
[マーガリンの存在感]
上記で製造したドックパンの焼成面から1.5cmのところを焼成面と平行にカットしドックパンを上部と下部にわけた。上記ドックパンの下部に、マーガリンを平型口金(幅3cm、厚さ1cm)で約20gを2段に絞りだし、高さ2cmにした。その後ドックパンの上部をのせ、35℃で2日保存した後、マーガリンの残存を以下の基準で評価した。
上部にパンをのせた直後のマーガリンの高さと2日後の高さから下記維持率を求めた。(直後の高さ−2日後の高さ)/直後の高さ×100
評価基準
◎:90%以上
○:75%以上90%未満
△:50%以上75%未満
×:50%未満
[ロールパンとの相性]
上記で製造したロールパンにマーガリンを絞り袋にて約5g注入したパンを、パネル20名で以下の基準により評価した。ロールパンとマーガリンが喫食時に口中で同時になくなることを良好とした。
評価基準
◎:パネル20名中16名以上が良好であると評価した。
○:パネル20名中11〜15名が良好であると評価した。
△:パネル20名中6〜10名が良好であると評価した。
×:パネル20名中良好であると評価したのは5名以下であった。
上記の評価結果を表2に示す。
Figure 0006770394

Claims (8)

  1. 以下の条件を満たすラウリン系油脂(a)、(b)を含有し、
    (a)融点20℃以上38℃未満、ヨウ素価0.1〜20のラウリン系油脂;
    (b)融点38℃以上50℃未満、ヨウ素価0.1〜5のラウリン系油脂
    P2Oの含有量が、全油脂のトリグリセリド全体の質量に対して6.5〜18質量%である注入用油脂組成物。
  2. ラウリン系油脂(a)は、炭素数が18である脂肪酸の含有量が構成脂肪酸全体の質量に対して7質量%以上15質量%以下であり、
    ラウリン系油脂(b)は、炭素数が18である脂肪酸の含有量が構成脂肪酸全体の質量に対して15質量%以上25質量%未満である請求項1に記載の注入用油脂組成物。
  3. ラウリン系油脂(a)、(b)の質量比(ラウリン系油脂(a)/ラウリン系油脂(b))が0.3〜2.5である請求項1または2に記載の注入用油脂組成物。
  4. トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量が、全油脂の2位構成脂肪酸全体の質量に対して26〜43質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の注入用油脂組成物。
  5. 飽和脂肪酸の含有量が、全油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して40〜63質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の注入用油脂組成物。
  6. パーム系油脂を原料に含むエステル交換油脂を30質量%以上含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の注入用油脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の注入用油脂組成物を含有する可塑性油脂。
  8. 請求項7に記載の可塑性油脂がロールパンまたはドックパンに注入されたパン。
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