JP6850105B2 - 練り込み用可塑性油脂組成物及び食品 - Google Patents

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Description

本発明は、練り込み用可塑性油脂組成物及び食品に関する。
食パン等の焼成品に練り込まれて用いられる練り込み用可塑性油脂組成物には、焼成品に良好な食感等を付与できることが求められる。
例えば、特許文献1には、特定の組成のトリグリセリドに、モノグリセリンモノ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、及び構成脂肪酸がパルミチン酸であるジグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有し、トリグリセリドが所定の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の構成を有する油脂組成物が開示されており、食パン等に使用できることが記載されている。特許文献1には、このような油脂組成物により、ベーカリー製品の歯切れ感とソフト感が改善され、トーストした際にもその食感が保持できることが記載されている。
特開2016−5446号公報
通常、練り込み用油脂組成物は高融点油脂、中融点油脂、低融点油脂で構成され、それぞれの油脂のバランスにより、歯切れ、口溶け、作業性、ソフトさ、フレーバーリリース等の評価が変ってくる。
特許文献1に記載の可塑性油脂組成物は、焼成品の製造時における作業性、口溶け、フレーバーリリースが未だ十分なものでなく、改善の余地があった。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、作業性、口溶け、フレーバーリリースが良好な練り込み用可塑性油脂組成物及びこのような可塑性油脂組成物が添加された食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、2種類の異なるラウリン系油脂を用いることで、作業性、口溶け、フレーバーリリースが良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) ヨウ素価が31以上42以下であるラウリン系エステル交換油脂と、ヨウ素価が0.1以上4.0以下でありかつ融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油とを含有する練り込み用可塑性油脂組成物。
(2) 前記ラウリン系エステル交換油脂のヨウ素価が31以上37以下である、(1)に記載可塑性油脂組成物。
(3) 前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の質量が、前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して11質量%以上24質量%以下である(1)又は(2)に記載の可塑性油脂組成物。
(4) 2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、油脂全体の質量に対して45質量%以上64質量%以下である(1)から(3)のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
(5) 前記ラウリン系極度硬化油と前記ラウリン系エステル交換油脂との質量比が1:0.3〜3.5である、(1)から(4)のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
(6) 前記ラウリン系エステル交換油脂の含有量が、油脂全体の質量に対して5質量%以上35質量%以下である(1)から(5)のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の可塑性油脂組成物が添加された食品。
本発明によれば、作業性、口溶け、ミドルからラストにかけてのフレーバーリリースが良好な練り込み用可塑性油脂組成物及びこのような可塑性油脂組成物が添加された食品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<練り込み用可塑性油脂組成物>
本発明は、ヨウ素価が31以上42以下であるラウリン系エステル交換油脂と、ヨウ素価が0.1以上4.0以下でありかつ融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油とを含有する練り込み用可塑性油脂組成物である。
上述のとおり、通常、練り込み用可塑性油脂組成物は高融点油脂、中融点油脂、低融点油脂で構成され、それぞれの油脂のバランスにより、作業性、口溶け、フレーバーリリースの評価は異なる。なかでも、中融点油脂は、油脂組成物のボディを構成する油脂であり、油脂組成物中に多く配合される。また、高融点油脂と低融点油脂の間に位置する油脂であるため、他油脂との相性(相溶性)が悪いと固液分離を起こしてしまい、油脂の染み出し等の問題が起こることになり、その選択は困難である。しかしながら、本発明の可塑性油脂組成物に含まれるヨウ素価が31以上42以下であるラウリン系エステル交換油脂とヨウ素価が0.1以上4.0以下でありかつ融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油は共に中融点油脂であるが、特定ヨウ素価のラウリン系エステル交換油脂を用いることにより、他油脂との相性(相溶性)がよく固液分離を起こさず、油脂の染み出し等の問題が起こらない。そのため、パン生地への分散性等の作業性が良好となる。また、ラウリン系極度硬化油により、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となる。本発明は、この2種の中融点油脂が存在することにより、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好な可塑性油脂組成物とすることができる。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる「ラウリン系エステル交換油脂」とは、ラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とのエステル交換により得られる油脂である。さらに「ヨウ素価が31以上42以下であるラウリン系エステル交換油脂」とは、ラウリン系エステル交換油脂であって上記ヨウ素価の範囲を満たす油脂(以下、「エステル交換油脂(A)」と略称する。)を意味する。
ラウリン系エステル交換油脂の原料であるラウリン系油脂(A1)は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上の油脂のことを意味し、例えば、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。硬化油の場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には微水素添加したものか、低温硬化したもの、または完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。エステル交換油脂(A)はその原料のうち、ラウリン系油脂がエステル交換油脂(A)の原料全体の質量に対して10質量%以上65質量%以下であることが好ましく、35質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましく、45質量%以上55質量%以下であることが最も好ましい。エステル交換油脂(A)がラウリン系油脂以外の油脂を原料に含む場合、このラウリン系油脂以外の油脂としては、パーム系油脂が好ましい。
ラウリン系エステル交換油脂の原料であるパーム系油脂(A2)は、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上のことを意味する。パーム系油脂(A2)としては、パーム油、パーム分別油やこれらの硬化油などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。パーム分別油としては、硬質部(硬質油)、軟質部(軟質油)、中融点部(中融点油)などが挙げられる。硬化油の場合、水素添加量によってトランス脂肪酸の含有量が増加する虞があるため、硬化油を用いる場合には微水素添加したものか、低温硬化したもの、または完全水素添加した極度硬化油が好ましく、特に極度硬化油が好ましい。パーム系油脂(A2)は、パーム油またはパーム油およびパーム極度硬化油を含有し、かつパーム分別硬質部を含有しないことが好ましい。パーム系油脂(A2)がパーム油またはパーム油およびパーム極度硬化油であると、エステル交換油脂(A)のヨウ素価を本発明の範囲内の調整することが容易であり、さらにエステル交換油脂(A)は、エステル交換油脂(A)と共に配合される他の油脂との相溶性が良好になることから好ましい。
ラウリン系エステル交換油脂において、ラウリン系油脂(A1)と、パーム系油脂(A2)とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定し固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、ラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とのエステル交換反応が完了すると、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂(A)中における質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55の範囲内となる。SUS/SSUがこの範囲内であると、他の油脂との相溶性が良好になる。
エステル交換反応に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間攪拌することでラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とのエステル交換反応が平衡状態となって完了し、ラウリン系エステル交換油脂を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂(A)を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭等の精製を行うことができる。
本発明におけるラウリン系エステル交換油脂(A)のヨウ素価は31以上42以下であるが、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、ヨウ素価が31以上37以下であることが好ましい。
本発明におけるラウリン系エステル交換油脂(A)の融点は、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから28℃以上40℃以下であることが好ましく、31℃以上40℃以下であることが更に好ましく、31℃以上36℃以下であることが最も好ましい。
本発明におけるラウリン系極度硬化油とは、上述のラウリン系油脂(A1)を水素添加してヨウ素価を0.1〜4.0以下にしたものである。ラウリン系極度硬化油は、例えば、ヤシ油、パーム核油、またはそれらのエステル交換油脂を極度硬化することにより得ることができる。
本発明におけるラウリン系極度硬化油(B)は、ヨウ素価が0.1以上4.0以下のラウリン系極度硬化油であり、かつ融点が25℃以上37℃以下の油脂を意味する。ラウリン系極度硬化油(B)のヨウ素価は、0.2以上3.5以下であることが好ましく、0.3以上3以下であることがより好ましい。ラウリン系極度硬化油(B)の融点は、25℃以上37℃以下であるが、28℃以上37℃以下であることがより好ましく、30℃以上37℃以下であることがさらに好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、融点が25〜37℃であるラウリン系極度硬化油(B)とヨウ素価が31〜42であるラウリン系エステル交換油脂(A)との質量比は、特に限定されず、例えば、1:0.1〜10の範囲内であってよいが、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、1:0.15〜4であることが好ましく、1:0.4〜3.3であることがさらに好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、ラウリン系エステル交換油脂(A)の含有量は、特に限定されず、例えば、油脂全体の質量に対して1質量%以上53質量%以下であってもよいが、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、5質量%以上35質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、ラウリン系極度硬化油(B)の含有量は、特に限定されず、例えば、油脂全体の質量に対して1質量%以上50質量%以下であってもよいが、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、2質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量は、特に限定されず、例えば、油脂全体の質量に対して40質量%以上70質量%以下であってよいが、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、油脂全体の質量に対して45質量%以上64質量%以下であることが好ましく、油脂全体の質量に対して45質量%以上63質量%以下であることがより好ましく、油脂全体の質量に対して45質量%以上62質量%以下であることがより一層好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、該可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の質量(以下、本明細書において「2位ラウリン酸量」と略称する場合がある。)は、特に限定されず、例えば、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して5質量%以上40質量%以下であってよいが、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位ラウリン酸量は、可塑性油脂組成物に含まれる2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して、11質量%以上24質量%以下であることが好ましく、11.5質量%以上23質量%以下であることがより好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、該可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の質量(以下、本明細書において「2位オレイン酸量」と略称する場合がある。)は、特に限定されず、例えば、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して20質量%以上70質量%以下であってよいが、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位オレイン酸量は、可塑性油脂組成物に含まれる2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して、28質量%以上45質量%以下であることが好ましく、29質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、油脂の全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量は、特に限定されず、例えば、油脂の全構成脂肪酸の質量に対して、20質量%以上80質量%以下であってよいが、油脂の全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量は、油脂の全構成脂肪酸の質量に対して、25質量%以上75質量%以下であることが好ましく、30質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、35質量%以上65質量%以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、「S」は、油脂を構成する飽和脂肪酸を意味し、「U」は、油脂を構成する不飽和脂肪酸を意味する。また、トリグリセリドの1、2、3位とは、構成脂肪酸が結合された位置を意味する。
本発明の油脂中の構成脂肪酸である飽和脂肪酸Sとしては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)等が挙げられる。なお、上記飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、各脂肪酸の炭素数を意味する。本発明の油脂中の構成脂肪酸である飽和脂肪酸Sは、同一の飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和脂肪酸であってもよい。
本発明の油脂中の構成脂肪酸である不飽和脂肪酸Uとしては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)等が挙げられる。上記不飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、左側が脂肪酸の炭素数であり、右側が二重結合数を意味する。本発明の油脂中の構成脂肪酸である不飽和脂肪酸Uは、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。
本発明の可塑性油脂組成物において、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1、3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。2位がラウリン酸であるトリグリセリドとしては、例えば、SLS型トリグリセリド、SLU型トリグリセリド、ULU型トリグリセリド等が挙げられるが、特に限定されない。なお、「L」とは、トリグリセリドの構成脂肪酸であるラウリン酸を意味する。作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sである場合、炭素数4〜24の飽和脂肪酸であることが好ましい。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸Uである場合、炭素数14〜24の不飽和脂肪酸(ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ヒラゴン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等)であることが好ましい。2位にラウリン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sと不飽和脂肪酸Uである場合、上述の飽和脂肪酸(炭素数4〜24の飽和脂肪酸)と不飽和脂肪酸(炭素数14〜24の不飽和脂肪酸)であることが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1、3位の構成脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。2位がオレイン酸であるトリグリセリドとしては、例えば、SOS型トリグリセリド、SOU型トリグリセリド、UOU型トリグリセリド等が挙げられるが、特に限定されない。なお、「O」とは、トリグリセリドの構成脂肪酸であるオレイン酸を意味する。作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位又は3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸である場合、炭素数4〜24の飽和脂肪酸であることが好ましい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が不飽和脂肪酸Uである場合、炭素数14〜24の不飽和脂肪酸(ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ヒラゴン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等)であることが好ましい。2位にオレイン酸が結合されたトリグリセリドの1位または3位の構成脂肪酸が飽和脂肪酸Sと不飽和脂肪酸Uである場合、上述の飽和脂肪酸(炭素数4〜24の飽和脂肪酸)と不飽和脂肪酸(炭素数14〜24の不飽和脂肪酸)であることが好ましい。
本発明において、3飽和型トリグリセリド(SSS型トリグリセリド)の油脂全体の質量に対する質量は、特に限定されず、例えば、5質量%以上50質量%以下であってもよいが、口溶けがより良好となることから、10質量%以上40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上38質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上37質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物は、油脂の構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を含んでいてもよく、含まなくてもよいが、トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、人体に摂取された際のLDLコレステロールが増加しうる。よって、これを抑制しやすい観点で、本発明においては、油脂の構成脂肪酸中のトランス脂肪酸の含有量は、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることが最も好ましい。
本発明において、トリグリセリドの構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)により行う。なお、トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸及びオレイン酸の含有量は、リパーゼ溶液で処理後のモノアシルグリセリン画分をガスクロマトグラフィーで測定した全ピーク面積である油脂全量(油脂の2位構成脂肪酸全体の質量)を基準としている。
本発明において、油脂における3飽和型トリグリセリドの含有量、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドの合計量はガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「奨2−2013 2位脂肪酸組成」)で測定し、それぞれ脂肪酸量を用いて計算にて求める。
本発明において、油脂における飽和脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」)で測定する。なお、飽和脂肪酸の含有量は、上記試験法のとおりガスクロマトグラフィーで測定した全ピーク面積である油脂全量(油脂の構成脂肪酸全体の質量)を基準としている。
本発明において、油脂中のトランス脂肪酸の含有量の測定は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.4.3−2013 トランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法)」)で測定した。なお、トランス脂肪酸の含有量は、添加量既知の内部標準物質(ヘプタデカン酸)との面積比により算出する。
本発明において、各油脂のヨウ素価の測定は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−2013ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」により行う。
本発明において、油脂の融点は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.2.4.2−1996 融点(上昇融点)」により測定する。
(その他の成分)
本発明の可塑性油脂組成物は、水相を実質的に含有しない形態と、水相を含有する形態のいずれの形態であってもよい。水相を含有する形態の場合、本発明の可塑性油脂組成物は、特に限定されないが、例えば、マーガリン類であってもよい。また、水相を含有する乳化形態は、特に限定されないが、例えば、油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型等が挙げられる。この場合の油相の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは55〜99.95質量%であり、より好ましくは60〜99.4質量%であり、より好ましくは65〜98質量%である。また、水相の含有量は、可塑性油脂組成物の全体の質量に対して、好ましくは0.5〜45質量%であり、より好ましくは、0.6〜40質量%であり、さらに好ましくは、2〜35質量%である。乳化形態は、特に、作業性、焼成品の口溶け、フレーバーリリースが良好となることから、油中水型であることが好ましい。
マーガリン類とは、マーガリン又はファットスプレッドのことを指す。マーガリンは、油脂を80質量%以上含み、ファットスプレッドは、油脂を80質量%未満含むものである。
水相を実質的に含有しない形態としては、ショートニングが挙げられる。本発明において、「実質的に含有しない」とは、水分(揮発分を含む。)の含有量が0.5質量%以下であることである。
本発明の可塑性油脂組成物は、上記成分以外に、従来の公知の成分を含んでもよい。公知の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、乳、乳製品、乳製品を酵素処理した呈味剤、蛋白質、糖質、塩類、酸味料、pH調整剤、抗酸化剤、香辛料、増粘剤、着色成分、香料(フレーバー)、乳化剤、酒類、酵素、粉末油脂などが挙げられる。乳としては、牛乳などが挙げられる。乳製品としては、脱脂乳、生クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズなど)、発酵乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白濃縮ホエイパウダー、ホエイチーズ(WC)、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどが挙げられる。蛋白質としては、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、小麦蛋白などの植物蛋白などが挙げられる。糖質としては、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなど)、二糖類(ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロースなど)、オリゴ糖、糖アルコール、ステビア、アスパルテームなどの甘味料、デンプン、デンプン分解物、イヌリン(アガベイヌリン等)等の多糖類などが挙げられる。抗酸化剤としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物などが挙げられる。香辛料としては、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロンなどが挙げられる。増粘剤としては、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、グァーガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギン酸プロピレングリコールエステル(PGA)、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。着色成分としては、カロテン、アナトー、アスタキサンチンなどが挙げられる。フレーバーとしては、バターフレーバー、ミルクフレーバーなどが挙げられる。乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
(用途)
本発明の可塑性油脂組成物は練り込みに用いられるものであれば、特に限定されない。特に、本発明の可塑性油脂組成物は、パン又は菓子製造用としての使用に好適である。なお、「練り込み用」とは、パン又は菓子の生地に練り込まれて用いられることを指す。
本発明の可塑性油脂組成物を焼成品の製造に用いる生地は、穀粉を主成分とし、穀粉としては、通常、焼成品の生地に配合されるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、全粒粉、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉、雑穀(アワ、ヒエ、アマランサス等)、ジャガイモ粉などが挙げられる。
生地には、穀粉と本発明の可塑性油脂組成物以外に、従来の公知の成分を含有してもよく、含有しなくてもよい。そのような公知の成分としては、特に限定されないが、例えば、乳、乳製品、粉末油脂、酵素又は蛋白質、増粘多糖類、増粘多糖類以外の糖質、塩類、卵加工品、酸味料、乳化剤、pH調整剤、抗酸化剤、調味料、コンソメ・ブイヨン等の植物及び動物エキス、ウイスキー・ウォッカ・ブランデー等の蒸留酒、ワイン・日本酒・ビール等の醸造酒、各種リキュール、乳製品を酵素処理した呈味剤、香辛料、着色成分、香料(フレーバー)等の食品素材や食品添加物が挙げられる。乳としては、例えば、牛乳等が挙げられる。乳製品としては、脱脂乳、クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等)、発酵乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク濃縮ホエイパウダー、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等が挙げられる。蛋白質としては、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、小麦蛋白等の植物蛋白等が挙げられる。増粘多糖類としては、キサンタンガム、ジェランガム、カラヤガム、アラビアガム、タマリンド種子ガム、タラガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、プルラン、グァーガム、イオタカラギナン、ペクチン、トラガントガム、結晶性セルロース、PGA(アルギン酸プロピレングリコールエステル)、アルギン酸ナトリウム、SSHC(水溶性大豆多糖類)、ガティガム、サイリウムシード、カシヤガム、カードラン、寒天、ゼラチン、セルロースエーテル等が挙げられる。増粘多糖類以外の糖質としては、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等)、二糖類(ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース等)、オリゴ糖、糖アルコール、イヌリン(アガベイヌリン等)等の多糖類などが挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、茶抽出物等が挙げられる。香辛料としては、例えば、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロン等の成分を含むものが挙げられる。着色成分としては、例えば、カロテン、アスタキサンチン、アナトー等が挙げられる。香料としては、バターフレーバー、ミルクフレーバー等が挙げられる。
<可塑性油脂組成物の製造方法>
本発明の可塑性油脂組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、水相を含有する形態のもの(マーガリン類等)は、本発明の油脂組成物を含む油相と水相とを、適宜に加熱し混合して乳化した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサス等の冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。水相を含有しない形態のもの(ショートニング等)は、本発明の油脂組成物を含む油相を加熱した後、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター、ネクサス等の冷却混合機により急冷捏和し得ることができる。また、必要に応じて、冷却混合機において窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込んだり、急冷捏和後に熟成(テンパリング)して、得ることができる。
本発明の可塑性油脂組成物の製造に用いられる油脂としては、上述のラウリン系エステル交換油脂(A)と、ラウリン系極度硬化油(B)の他、例えば、パーム系油脂、ラウリン系油脂、豚脂(ラード)、牛脂、菜種油、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、イリッペ脂、マンゴー脂、サル脂、シア脂、カカオ脂、乳脂、それらの分別油又はそれらの加工油(硬化及びエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等が挙げられる。油脂中の飽和脂肪酸である構成脂肪酸の含有量を適宜調整するために、これらの油脂としては、1種あるいは2種以上を選択して含有させることが好ましい。
<可塑性油脂組成物が添加された食品>
本発明は、上記可塑性油脂組成物が添加された食品を包含する。
本発明の食品は、特に限定されないが、焼成品であることが好ましい。焼成品は、特に限定されないが、例えば、パン(食パン、菓子パン、クロワッサン、デニッシュ、ベーグル、ロールパン、コッペパン等)、菓子(例えば、パイ、ケーキ(パウンドケーキ等)、クッキー、ビスケット、クラッカー、ワッフル、スコーン、シュー、ドーナツ等)等が挙げられる。焼成品の生地に、上述の可塑性油脂組成物が練り込まれていることが好ましい。
<可塑性油脂組成物及び食パンの製造>
エステル交換油脂1〜7は次の方法で作製した。下記に示す原料油脂の割合で混合し、減圧下で80〜120℃に加熱し、十分脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.05〜0.15質量%添加し、0.5〜1.0時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、さらに脱臭を行ってエステル交換油脂を得た。
(エステル交換油脂組成物の作製)
エステル交換油脂1:(ヨウ素価30 トリ飽和酸量38.3質量%)
原料油脂:パーム極度硬化油25質量%、パーム油55質量%、パーム核
極度硬化油20質量%
エステル交換油脂2:(ヨウ素価0.8 トリ飽和酸量100質量%)
原料油脂:パーム分別硬質油50質量%、パーム核分別軟質油50質量%
(これらをエステル交換した後極度硬化)
エステル交換油脂3:(ヨウ素価39 トリ飽和酸量24.3質量%)
原料油脂:パーム核油15質量%、パーム油70質量%、パーム極度硬化油
7.5質量%、パーム核極度硬化油7.5質量%
エステル交換油脂4:(ヨウ素価35.5 トリ飽和酸量28.6質量%)
原料油脂:パーム核油50質量%、パーム油50質量%
エステル交換油脂5:(ヨウ素価39 トリ飽和酸量24.7質量%)
原料油脂:パーム核油40質量%、パーム油60質量%
エステル交換油脂6:(ヨウ素価56 トリ飽和酸量9.1質量%)
原料油脂:パーム分別軟質油
エステル交換油脂7:(ヨウ素価1 トリ飽和酸量100質量%)
原料油脂:パーム核極度硬化油
(練り込み用マーガリンの製造)
表2、3に示す配合比の油脂を75℃で溶解、混合し、乳化剤を添加後、溶解させ、75℃に調温して83.65質量部の油相とした。一方、水に対し脱脂粉乳および食塩を添加し、85℃で加熱殺菌して水相を得た。次に、該油相に該水相を16.25質量部添加し、プロペラ攪拌機で撹拌して、油中水型に乳化した後、ミルクフレーバーを添加し、撹拌後、パーフェクターによって急冷捏和して、下記の配合割合の練り込み用マーガリンを可塑性油脂組成物として得た。得られた練り込み用マーガリンは、5℃で保管した。なお、下記練り込み用マーガリンの配合は全体で100質量部である。
〈練り込み用マーガリンの配合〉
油脂 83.5質量部
乳化剤 0.15質量部
脱脂粉乳 1質量部
食塩 0.5質量部
ミルクフレーバー 0.1質量部
水 14.75質量部
なお、表2、3における油脂名とヨウ素価の対応関係、及び各製造に用いた各油脂の2位ラウリン酸量(可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の質量の、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対する質量)、各油脂の融点、以下の表1に示す。なお、表1〜3中の「IV」の数値は、各油脂のヨウ素価を意味する。
Figure 0006850105
(乳化剤)
上記実施例の油脂組成物の作製に用いた乳化剤を以下に示す。配合割合は、モノグリセリン脂肪酸エステルは、0.1質量%、レシチンは0.05質量%である。なお、いずれの量も油脂組成物全体の質量に対する質量(%)である。
モノグリセリン脂肪酸エステル(エマルジーMS 理研ビタミン株式会社製)
レシチン(レシチンM 昭和産業株式会社製)
(食パンの製造)
上記で得た実施例1〜22及び比較例1〜6に係る練り込み用マーガリンを用いて、下記配合で食パンを製造した。まず、イーストを分散させた水、イーストフード、及び強力粉をミキサーボールに投入し、フックを使用し、低速4分、中低速1分でミキシングを行った。捏上げ温度は24℃であった。その後、27℃、湿度75%の条件で4時間発酵を行った。発酵の終点温度は29℃であり、発酵後、中種生地を得た。その後、上記で製造したマーガリン以外の材料及び中種生地を、低速3分、中高速3分でミキシングした後、上記で製造したマーガリンを投入し、さらに低速3分、中低速4分でミキシングしパン生地を得た。捏上温度は28℃であった。その後、室温で20分フロアタイムをとった後、パン生地を成型して3斤用の焼成型に入れ、38℃、湿度80%のホイロで45分発酵させた後、200℃で40分間焼成して、実施例1〜22及び比較例1〜6に係る食パンを製造した。
[食パン配合]
・中種配合
強力粉 70質量部
イースト 2.5質量部
イーストフード 0.1質量部
水 40質量部
・本捏配合
強力粉 30質量部
上白糖 6質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
練り込み用マーガリン 5質量部
水 25質量部
<評価>
上記条件で保管した食パンに関して、口溶け、フレーバーリリースについて、パネル20名で以下の基準により評価を行った。以下の各評価においてパネルは五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性8名、女性12名を選抜した。
(作業性(生地への分散性))
食パン作製時に15℃で練り込み用マーガリンを生地に添加したときのマーガリンの塊がなくなる時間を目視により評価した。
評価基準
◎:1分超〜1分30秒以内で分散した。
○:1分30秒超〜2分15秒以内で分散した。
△:2分15秒超〜3分以内で分散した。
×:3分超で分散した。
(食パンの口溶け感)
食パンを喫食し、口溶け感を上記パネルにて以下の基準で評価した。
◎:パネル20名中16名以上が、口溶け感が良好であると評価した。
○:パネル20名中11〜15名が、口溶け感が良好であると評価した。
△:パネル20名中6〜10名が、口溶け感が良好であると評価した。
×:パネル20名中口溶け感が良好であると評価したのは5名以下であった。
(ミドルからラストにかけてのフレーバーリリース)
食パンを喫食し、ミドルからラスト(喫食して味を感じ初めてから味を感じ終わるまでの期間をトップ、ミドル、ラストの三段階の時系列に分けたときにおける、ミドルからラスト)にかけてのフレーバーリリースを上記パネルにて以下の基準で評価した。
◎:パネル20名中16名以上が、フレーバーリリースが良好であると評価した。
○:パネル20名中11〜15名が、フレーバーリリースが良好であると評価した。
△:パネル20名中6〜10名が、フレーバーリリースが良好であると評価した。
×:パネル20名中フレーバーリリースが良好であると評価したのは5名以下であった。
<評価結果>
実施例1〜22及び比較例1〜6に係るマーガリンの組成並びに実施例1〜22及び比較例1〜6に係る食パンの評価結果を、下記の表2、3に示す。なお、表2、3中、「油脂配合」のそれぞれの欄の数値は、それぞれの配合された油脂の、油脂全体の質量に対する配合量(質量%)を意味する。表2、3中の「トリグリセリドの2位に結合されたラウリン酸の含有量(質量%)」の欄の数値は、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対する、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の質量の割合(質量%)を意味する。表2、3中の「トリグリセリドの2位に結合されたオレイン酸の含有量(質量%)」の欄の数値は、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対する、可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の質量の割合(質量%)を意味する。表2、3中の「2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量(質量%)」の欄は、油脂全体の質量に対する、2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量(質量%)を意味する。表2、3中の「飽和脂肪酸の含有量(質量%)」の欄の数値は、油脂の全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含有量(質量%)を意味する。表2、3中の「(A)」の欄は「ヨウ素価31〜42であるラウリン系エステル交換油脂」を意味し、「(B)」の欄は「融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油」を意味する。表2、3中の「(A)の含有量(質量%)」は油脂全体の質量に対する(A)の含有量(質量%)を意味する。表2、3中の「(A)/(B)」の欄は、上記ラウリン系極度硬化油(B)と上記ラウリン系エステル交換油脂(A)の質量比を意味する。「3飽和型トリグリセリド(SSS)の含有量(質量%)」は、油脂全体の質量に対する3飽和型トリグリセリドの含有量(質量%)を意味する。
Figure 0006850105
Figure 0006850105
表2、3に示すように、実施例1〜22に係る練り込み用マーガリンが添加された食パンは、作業性、口溶け、フレーバーリリースの評価が、全て、比較例1〜6に係る練り込み用マーガリンが添加された食パンの評価より高かった。実施例1〜22に係る練り込み用マーガリンは、全て、ヨウ素価が31以上42以下であるラウリン系エステル交換油脂と、ヨウ素価が0.1以上4.0以下でありかつ融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油とを含有するものである。これに対し、比較例1〜6に係る練り込み用マーガリンは、ヨウ素価が31以上42以下であるラウリン系エステル交換油脂を含有すること、及び、ヨウ素価が0.1以上4.0以下でありかつ融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油とを含有することの全ての条件を満たすものでない。より具体的には、比較例1、2、5、6に係る練り込み用マーガリンは、ヨウ素価が0.1以上4.0以下でありかつ融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油を含有するものでない。特に、比較例6に係る練り込み用マーガリンは、ヨウ素価が0.1以上4.0以下であるラウリン系極度硬化油であるパーム核極度硬化油を含むものの、この油脂は融点が37℃超である。また、比較例3に係る練り込み用マーガリンは、ヨウ素価が31以上42以下であるラウリン系エステル交換油脂を含有するものでない。比較例4に係る練り込み用マーガリンは、ヨウ素価が31以上42以下であるラウリン系エステル交換油脂を含有するものではなく、さらにヨウ素価が0.1以上4.0以下でありかつ融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油を含有するものでない。この結果より、練り込み用可塑性油脂組成物が、ヨウ素価が31以上42以下であるラウリン系エステル交換油脂と、ヨウ素価が0.1以上4.0以下でありかつ融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油とを含有することで、該可塑性油脂組成物が添加された焼成品において、作業性、口溶け、フレーバーリリースが良好となることがわかった。

Claims (6)

  1. 練り込み用可塑性油脂組成物であって、
    ヨウ素価が31以上37以下であるラウリン系エステル交換油脂と、
    ヨウ素価が0.1以上4.0以下でありかつ融点が25℃以上37℃以下であるラウリン系極度硬化油と
    パーム分別軟質油、パーム分別軟質油のエステル交換油脂、パーム油、並びに菜種油からなる群から選択される1以上の油脂と、
    を含有し、
    前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したラウリン酸の質量が、前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して11質量%以上24質量%以下であり、
    前記ラウリン系エステル交換油脂の含有量が、前記可塑性油脂組成物に含まれる油脂全体の質量に対して1質量%以上53質量%以下であり、
    前記ラウリン系極度硬化油の含有量が、前記可塑性油脂組成物に含まれる油脂全体の質量に対して1質量%以上50質量%以下である、
    練り込み用可塑性油脂組成
    (但し、
    前記ラウリン系エステル交換油脂は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂であり、
    前記ラウリン系油脂は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上である油脂であり、
    前記パーム系油脂は、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上であるパーム系油脂であり、
    前記ラウリン系極度硬化油は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上である油脂を水素添加した油脂である。)。
  2. 2飽和−1不飽和型トリグリセリドと3飽和型トリグリセリドとの合計含有量が、前記可塑性油脂組成物に含まれる油脂全体の質量に対して45質量%以上64質量%以下である請求項に記載の可塑性油脂組成物。
  3. 前記ラウリン系極度硬化油と前記ラウリン系エステル交換油脂との質量比が1:0.3〜3.5である、請求項1又は2に記載の可塑性油脂組成物。
  4. 前記ラウリン系エステル交換油脂の含有量が、前記可塑性油脂組成物に含まれる油脂全体の質量に対して5質量%以上35質量%以下である請求項1からのいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
  5. 前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合したオレイン酸の質量が、前記可塑性油脂組成物に含まれるトリグリセリドの2位に結合した脂肪酸全体の質量に対して20質量%以上70質量%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の可塑性油脂組成物。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の可塑性油脂組成物が添加された食品。
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