JP2005350660A - 可塑性油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 直接β型の油脂結晶を含有する油脂組成物において、直接β型の油脂結晶の含有量が低い場合の結晶性を改善し、直接β型の油脂結晶の含有量が少ない場合でも良好な可塑性を有し、更には長期保管時の結晶粗大化、硬さの変化等が抑制された可塑性油脂組成物を提供すること。
【解決手段】 直接β型の油脂結晶、及び構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを油相中に含有し、且つ、該3飽和トリグリセリドにおいて、構成脂肪酸の全てが同一の脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上であることを特徴とする可塑性油脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、製菓・製パン用油脂として、練り込み用途、折り込み用途、サンド・フィリング用途等に適し、長期保管時の結晶粗大化、硬さの変化等が抑制された可塑性油脂組成物に関する。また、本発明は、該可塑性油脂組成物の製造方法、及び可塑性油脂組成物を使用した食品に関する。
従来、マーガリン、ショートニング等の可塑性油脂に使用される油脂は、マーガリン ショートニング ラード”(非特許文献1)の記載『マーガリン、ショートニングは常温で結晶性脂肪をもつ可塑性物質と定義されるが、そのためその物理性は主に稠度、可塑性及び結晶構造に関連する。物理的にその結晶状態はAlfaは蝋状(アセトグリセリドの如き)、Betaは粗結晶、そしてBeta-primeは微粒状である。融点ではAlfa、Beta-prime、Betaの順に高くなる。マーガリン、ショートニング組成の望ましい結晶状態はBeta-primeといわれている。』の通り、その結晶状態はβプライム型が良好とされ、用いられてきた。
βプライム型の油脂結晶は、微細結晶をとり乳化安定性に寄与し、良好な稠度を示す。その反面、このβプライム型の油脂結晶は、エネルギー的には準安定形であるため、保存条件等が適切でない場合等には、さらにエネルギー的に安定なβ型の油脂結晶へと転移現象を引き起こすという欠点があった。このβ型の油脂結晶は、最安定形であるため、これ以上の転移現象を起こすことはないが、一般に結晶サイズが大きく、グレイニングやブルームと呼ばれる粗大結晶粒を形成し、ザラつきや触感の悪さを呈し、製品価値の全くないものになってしまう。
上記のような問題点を解決するため、エネルギー的にも安定で且つ微細な結晶を得る目的で、これ迄にも種々の発明がなされてきた。特許文献1には、特定のトリグリセリド比率とすることにより、β型結晶を得る方法が開示されている。また、特許文献2には、エステル交換反応により油脂のグレイニングを抑制する方法が、そして、特許文献3には、高融点油脂を配合することにより微細な結晶を維持させる方法が、それぞれ開示されている。さらに、特許文献4には、構成脂肪酸として炭素数16〜22の飽和脂肪酸をグリセリンの2位に、炭素数16〜18で一つの不飽和結合を有する不飽和脂肪酸をグリセリンの1,3位に結合した混酸型トリグリセリドを含有する油脂組成物が開示されている。そして、特許文献5には、油相を70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶である油脂組成物が開示されている。
しかし、特許文献1に記載の方法では、β型結晶を得るのにテンパリング操作が必要とされ、特許文献2及び特許文献3に記載の方法では、得られた組成物は経日的に硬くなる傾向があり、可塑性油脂組成物として安定性の点で十分に満足の得られるものではなかった。また、特許文献4に記載の油脂組成物は、カカオ代用脂及びこれを含有する油脂性菓子用途に限定されたものであった。また、特許文献5に記載された油脂組成物は、エネルギー的にも安定で且つ微細な結晶の可塑性油脂を得ることができるが、3飽和トリアシルグリセリドを使用して安定で且つ微細な結晶の可塑性油脂を得るものではなかった。
マーガリン ショートニング ラード(中澤君敏著、株式会社光琳発行、発行年月日1979年8月3日、324ページ) 特公昭51−9763号公報 特公昭58−13128号公報 特開平10−295271号公報 特開平4−135453号公報 特開2003−213287号公報
従って、本発明の目的は、直接β型の油脂結晶を含有する油脂組成物において、直接β型の油脂結晶の含有量が低い場合の結晶性を改善し、直接β型の油脂結晶の含有量が少ない場合でも良好な可塑性を有し、更には長期保管時の結晶粗大化、硬さの変化等が抑制された可塑性油脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、急冷可塑化後βプライム型結晶として生成し、β型結晶へは転移しにくいと言われてきた3飽和トリアシルグリセリドを含有する油脂組成物について研究する過程において、トリパルミチン分子やトリステアリン分子を多く含有する3飽和トリアシルグリセリドは、例外として経日的にβプライム型からβ型へ転移しやすいことを知見し、更に研究を進めたところ、少量の直接β型の油脂結晶を鋳型とすることでトリパルミチン分子やトリステアリン分子はβプライム型結晶からβ型結晶へ迅速に転移することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、直接β型の油脂結晶、及び構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを油相中に含有し、且つ、該3飽和トリグリセリドにおいて、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上であることを特徴とする可塑性油脂組成物、該可塑性油脂組成物の製造方法、及び該可塑性油脂組成物を使用した食品を提供するものである。
本発明によれば、直接β型の油脂結晶を含有する油脂組成物において、直接β型の油脂結晶の含有量が低い場合でも良好な可塑性を有し、且つ、長期保管時の結晶粗大化、硬さの変化等が抑制された可塑性油脂組成物を得ることができる。また、該可塑性油脂組成物を使用して得られる食品においても、経日的なブルームが抑制される。
以下、本発明の可塑性油脂組成物について詳細に説明する。
本発明の可塑性油脂組成物は、直接β型の油脂結晶、及び構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを油相中に含有し、且つ、該3飽和トリグリセリドにおいて、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上であることを要す。
先ず、上記の直接β型の油脂結晶について説明する。
本発明の可塑性油脂組成物は、直接β型の油脂結晶を含有することが必要である。直接β型の油脂結晶を含有しないと、結晶安定性の面で十分に満足の得られるものとならない。ただし、本発明の可塑性油脂組成物は、直接β型の油脂結晶を含有していれば、直接β型の油脂結晶でない油脂結晶、例えばβプライム型の油脂結晶を含有していてもよい。
上記の直接β型の油脂結晶とは、油脂結晶を融解し、冷却し、結晶化したときに、熱エネルギー的に不安定なα型結晶から、準安定形のβプライム型を経由せず、最安定形のβ型結晶に直接転移する油脂結晶のことである。この際、上記の結晶化条件は如何なる結晶化条件であってもよく、テンパリング等の特殊な熱処理を必要としない。
本発明において、油脂結晶が直接β型であることを確認する方法としては、油脂結晶を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が、β型結晶であることを確認する方法が挙げられる。
上記の油脂結晶がβ型結晶であることを確認する方法としては、例えば、X線回析測定において、以下のように短面間隔を測定する方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回析ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)及び4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
また、上記の直接β型の油脂結晶は、トリグリセリド分子のパッキング状態が2鎖長構造であることが好ましい。油脂結晶が2鎖長構造であることを確認する方法としては、例えばX線回析測定による方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
尚、従来のマーガリンやショートニング等の可塑性油脂に用いられている油脂結晶を70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶は、2鎖長構造であるが、準安定形のβプライム型である。また、主にチョコレート等の油脂性菓子に用いられるカカオ脂も、70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶は、2鎖長構造であるが、準安定形のβプライム型である。
また、上記の直接β型の油脂結晶は、実質的に微細結晶であることが好ましい。上記の微細結晶とは、油脂の結晶が微細であることであり、口にしたり、触った際にもザラつきを感ずることのない結晶であることを意味し、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm、最も好ましくは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記サイズとは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
上記の直接β型の油脂結晶の結晶サイズが20μmを越えた油脂結晶であると、該油脂結晶を含有する可塑性油脂組成物を口にしたり、触った際にザラつきを感じやすい。
なお、「実質的に」とは、全ての直接β型の油脂結晶のうち微細結晶を90重量%以上含有することを指す。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記の直接β型の油脂結晶の含有量は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中に、油相基準で好ましくは5重量%以上、より好ましくは5重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上30重量%以下、最も好ましくは5重量%以上20重量%以下である。直接β型の油脂結晶の含有量が、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、5重量%未満であると経日的に20μmを越えたサイズを有するβ型結晶が出現しやすく、経日的に硬くなりやすい。また、50重量%を超えると、上記の特定の3飽和トリグリセリドの結晶化促進作用の効果が少なくなってしまうおそれがある。
尚、上記の油相とは、油脂に、必要に応じて、乳化剤、着色料、酸化防止剤、着香料、調味料等を添加したものを指す。また、上記の油脂には、乳製品、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材から抽出される脂肪分も含まれる。
ここで、本発明で言うところの直接β型の油脂結晶の例を挙げる。
上記の直接β型の油脂結晶の1つめの例として、StEE(St:ステアリン酸、E:エライジン酸)で表されるトリグリセリド(以下StEEとする)の油脂結晶が挙げられる。
StEEの油脂結晶は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、好ましくは5重量%以上、より好ましくは5重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上30重量%以下、最も好ましくは5重量%以上20重量%以下となるように含有させる。
本発明の可塑性油脂組成物中に、好ましくは上記のような範囲で、StEEの油脂結晶を含有させるために、本発明ではStEEを含有する油脂を用いることができる。
上記のStEEを含有する油脂としては、例えば、大豆油、ひまわり油、シア脂、サル脂の中から選ばれた1種又は2種以上に水素添加及び分別から選択される1又は2種類の処理を施した加工油脂を用いることができる。さらに好ましくは、ハイオレイックひまわり硬化油、シア分別軟部油の硬化油又はこの硬化油の分別硬部油、サル分別軟部油の硬化油又はこの硬化油の分別硬部油を用いることが望ましい。
また、上記の直接β型の油脂結晶の2つめの例として、S1MS2(S1及びS2は飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリド(以下S1MS2とする)と、MS3M(S3は飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリド(以下MS3Mとする)とからなるコンパウンド結晶が挙げられる。
上記のS1MS2のS1及びS2並びにMS3MのS3は、好ましくは炭素数16以上の飽和脂肪酸であり、さらに好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸である。また、本発明において、上記のS1、S2及びS3が、同じ飽和脂肪酸であるのが最も好ましい。
また、上記のS1MS2のM及びMS3MのMは、好ましくは炭素数16以上のモノ不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数18以上のモノ不飽和脂肪酸、最も好ましくはオレイン酸である。
上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶とは、構造の異なるS1MS21分子とMS3M1分子とが混合された際、あたかも単一のトリグリセリド分子であるかの如き結晶化挙動を示すものである。コンパウンド結晶は分子間化合物とも呼ばれる。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、好ましくは5重量%以上、より好ましくは5重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上30重量%以下、最も好ましくは5重量%以上20重量%以下となるように含有させる。
また、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、上記のS1MS2の含有量は、好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは2.5重量%以上25重量%以下、さらに好ましくは2.5重量%以上15重量%以下、最も好ましくは2.5重量%以上10重量%以下であり、上記のMS3Mの含有量は、好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは2.5重量%以上25重量%以下、さらに好ましくは2.5重量%以上15重量%以下、最も好ましくは2.5重量%以上10重量%以下である。
さらに、本発明の可塑性油脂組成物において、S1MS2のモル数/MS3Mのモル数が、好ましくは0.4〜7.0、さらに好ましくは0.8〜5.0となるように含有させる。
本発明の可塑性油脂組成物中に、好ましくは上記のような範囲で、S1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶を含有させるために、本発明ではS1MS2を含有する油脂及びMS3Mを含有する油脂を混合して用いてもよい。
上記のS1MS2を含有する油脂としては、例えば、パーム油、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、デュパー脂、モーラー脂、フルクラ脂、チャイニーズタロー等の各種植物油脂、これらの各種植物油脂を分別した加工油脂、並びに下記に記載するエステル交換油、該エステル交換油を分別した加工油脂を用いることができる。本発明では、上記の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記のエステル交換油としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物においては、上記のS1MS2を含有する油脂として、純植物性の可塑性油脂組成物を得ることが可能な点で、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂等の各種植物油脂、これらの各種植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油を使用することが好ましく、更には、トランス酸を含まない点において、水素添加した加工油脂を含有しないことが好ましく、中でも、S1MS2と共に、後に詳述する3飽和トリグリセリドをも含有する点において、パーム油や、パームステアリン、パームオレイン、パーム中部油等のパーム分別油、これらを用いて製造したエステル交換油のうちの1種又は2種以上を使用することが最も好ましい。
上記のMS3Mを含有する油脂としては、例えば、豚脂、豚脂分別油、下記に記載するエステル交換油を用いることができ、本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記のエステル交換油としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物においては、上記のMS3Mを含有する油脂として、純植物性の可塑性油脂組成物を得ることが可能な点で、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂等の各種植物油脂、これらの各種植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油を使用することが好ましく、更には、トランス酸を含まない点において、水素添加した加工油脂を含有しないことが好ましく、中でも、MS3Mと共に、後に詳述する3飽和トリグリセリドをも含有する点において、パーム油や、パームステアリン、パームオレイン、パーム中部油等のパーム分別油を用いて製造したエステル交換油のうちの1種又は2種以上を使用することが最も好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記のS1MS2を含有する油脂は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、S1MS2が好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは2.5重量%以上25重量%以下、さらに好ましくは2.5重量%以上15重量%以下、最も好ましくは2.5重量%以上10重量%以下となるよう含有させ、上記のMS3Mを含有する油脂は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、MS3Mを好ましくは2.5重量%以上、より好ましくは2.5重量%以上25重量%以下、さらに好ましくは2.5重量%以上15重量%以下、最も好ましくは2.5重量%以上10重量%以下となるよう含有させる。
本発明の可塑性油脂組成物においては、直接β型の油脂結晶として、1つめの例として挙げた上記StEEの油脂結晶、及び2つめの例として挙げたS1MS2とMS3Mで表されるトリグリセリドとからなるコンパウンド結晶のどちらを用いてもよく、また両者を併用してもよいが、トランス酸を含まなくても製造できる点で、後者のコンパウンド結晶を使用することがより好ましい。
次に、本発明の可塑性油脂組成物に使用する、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドについて説明する。
本発明で使用する構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドは、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上、好ましくは70重量%以上のものである。該3飽和トリグリセリドを含有することにより、直接β型の油脂結晶の含有量が少なくても結晶性が良好であり、且つ、結晶安定性の面で十分に満足の得られる可塑性油脂組成物を得ることが可能となる。
構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリド中、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60重量%未満である3飽和トリグリセリドを用いた場合、直接β型の油脂結晶の含有量が少ないと、経日的に20μmを越えたサイズを有するβ型結晶が出現しやすく、経日的に硬くなりやすい。尚、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める上記割合は、高いほど好ましく、その上限は特に制限されるものではない。
また、本発明で使用する構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリドにおいて、その炭素数の上限は、特に制限されるものではないが、通常24程度である。
本発明の可塑性油脂組成物において、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリドの含有量は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、油相基準で好ましくは5重量%以上30重量%以下、さらに好ましくは7重量%以上25重量%以下、最も好ましくは10重量%以上20重量%以下とする。上記の3飽和トリグリセリドの含有量が、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、5重量%未満であると、粘りのない物性となりやすく、特に耐熱性に乏しい油脂組成物となってしまう上に、経日的に20μmを越えたサイズを有するβ型結晶が出現しやすく、経日的に硬くなりやすい。また、30重量%超であると、得られる油脂組成物の融点が高くなりすぎ、口溶けが悪く、また可塑性の乏しい油脂組成物となってしまう。
また、本発明の可塑性油脂組成物においては、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの含有量が、油相中に油相基準で5重量%以下、特に3重量%以下であると、直接β型の油脂結晶の含有量が比較的少ない油脂組成物であっても、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリドをより素早くβ型に転移させることができる点で好ましい。構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなる上記トリグリセリドの含有量は、できる限り少ないことが好ましい。
また、本発明の可塑性油脂組成物において、直接β型油脂として、上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶を使用した場合は、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリド中の、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドを構成する飽和脂肪酸と、上記コンパウンド結晶のS1、S2及びS3とは同じ飽和脂肪酸であるのが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物においては、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源としては、構成脂肪酸として炭素数16以上の脂肪酸を多く含有する食用油脂を、極度水素添加した油脂、分別した分別硬部油脂、極度水素添加及び分別した極度水素添加分別硬部油脂、並びにそれらの油脂をエステル交換した油脂のうちの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源として、上記の極度水素添加した油脂を使用する場合は、構成脂肪酸において、同一炭素数の脂肪酸含量が60%以上、好ましくは80重量%以上である大豆油・キャノーラ油・米油・綿実油・コーン油・サフラワー油・ひまわり油・ハイエルシン菜種油などの食用油脂を、ヨウ素価を5以下、好ましくは1以下まで水素添加した極度水素添加油脂を使用することが望ましい。このような極度水素添加油脂を使用すると、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリド中、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上である3飽和トリグリセリドを簡単に得ることができ、しかも、本発明の可塑性油脂組成物の油相中において、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの含有量を5重量%以下、好ましくは3重量%以下とすることが容易である。
また、本発明の可塑性油脂組成物において、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源として、上記分別硬部油脂を使用する場合、パームステアリン、パームステアリンのランダムエステル交換油、及びパームステアリンを含む油脂配合物のランダムエステル交換油から選択された1種又は2種以上を使用することが好ましい。
パームステアリンは、パーム油からパームオレインを分別採取する際の副生物として得られる。
このパームステアリンは、脂肪酸組成として、飽和脂肪酸であるパルミチン酸を多く含み、上昇融点が44〜56℃、ヨウ素価が20〜50であり、食用油脂としては融点が高いため口溶けが大変悪く、また硬くて使用しづらいため、食用油脂や食品への配合量も限られた量に制限せざるを得ず、油脂組成物、特にマーガリンやショートニング等の可塑性油脂組成物への使用用途は硬さの調整用の用途に限られていた。
しかし、パームステアリンを使用したこれらの油脂組成物、特にマーガリンやショートニング等の可塑性油脂組成物や、該可塑性油脂組成物を使用して製造された食品は、保管条件によっては経時的にグレイニングやブルームと呼ばれる粗大結晶粒を形成し、表面が白色化したり、ザラつきや触感の悪さを呈し製品価値の全くないものになってしまう問題があった。
本発明の可塑性油脂組成物は、このように、可塑性油脂に用いるには不適であるとされていたパームステアリンを使用しながら、良好な可塑性を示し、且つ経日的なブルームを起こさない可塑性油脂組成物を得ることができる。
パームステアリンは、S1MS2を20〜40重量%含有する上に、更に、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを30〜60重量%含有し、且つ、該3飽和トリグリセリドにおいて、構成脂肪酸の全てがパルミチン酸であるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上であるため、本発明の可塑性油脂組成物において、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源として極めて好適に使用することができる。
上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源としては、このようなパームステアリンをそのまま使用することができるが、パームステアリンにランダムエステル交換を行なった油脂、更にはパームステアリンにパーム核軟部油やパーム油等の他の油脂を添加してランダムエステル交換した油脂を使用することもでき、また、パームステアリンに、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを添加してランダムエステル交換を行なった油脂を使用することもできる。
これらのランダムエステル交換反応を行なうことにより、さらに結晶性が良好で、経日的なブルームを起こさない可塑性油脂組成物を得ることができる。
本発明の可塑性油脂組成物は、上記StEEを含有する油脂、上記S1MS2を含有する油脂、上記MS3Mを含有する油脂、及び上記の3飽和トリグリセリドを含有する油脂の1種又は2種以上を適宜組み合わせて、直接β型の油脂結晶、及び構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを油相中に含有し、且つ、該3飽和トリグリセリドにおいて、構成脂肪酸の全てが同一の脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上であるように配合することにより得ることができる。
ここで、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源として、上記極度水素添加油脂を使用する場合は、各種エステル交換油等の上記S1MS2を含有する油脂及びMS3Mを含有する油脂と組みあわせて使用することが好ましい。その場合、極度水素添加油脂中に含まれる構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドを構成する飽和脂肪酸と、上記S1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶のS1、S2及びS3とは同じ飽和脂肪酸とするのが好ましい。
また、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源として、上記パームステアリン、パームステアリンのランダムエステル交換油、及びパームステアリンを含む油脂配合物のランダムエステル交換油から選択される1種又は2種以上を使用する場合は、豚脂、各種エステル交換油等の上記MS3Mを含有する油脂を組みあわせることが好ましい。S1MS2、MS3M、及び上記の3飽和トリグリセリドを少ない油種で簡単に配合することが可能な点で、パームステアリン、パームステアリンのランダムエステル交換油、及びパームステアリンを含む油脂配合物のランダムエステル交換油から選択される1種又は2種以上と、パーム油、パームオレイン、パーム中部油等のパーム系油脂のランダムエステル交換油とを組み合わせることがさらに好ましい。さらに結晶性が良好で、経日的なブルームを起こさない可塑性油脂組成物を得ることができる点から、パームステアリンのランダムエステル交換油、及びパームステアリンを含む油脂配合物のランダムエステル交換油から選択される1種又は2種以上と、パーム油、パームオレイン、パーム中部油等のパーム系油脂のランダムエステル交換油とを組み合わせることが最も好ましい。
また、本発明の可塑性油脂組成物において、その他の油脂を用いても良い。その他の油脂を用いる場合、その他の油脂の含有量は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、最も好ましくは70重量%以下とする。その他の油脂としては、通常の加工食品に用いられる食用油脂であれば、特に限定されず、動物油、植物油等の天然油、及びこれらの油脂の硬化油、分別油、エステル交換油、ランダムエステル交換油等の単独あるいは混合油が使用出来る。
ここで、ある可塑性油脂組成物が、直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法について述べる。
まず、第1の方法として、ある可塑性油脂組成物の油相のトリグリセリド組成を分析し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、例えば、StEE、又はS1MS2及びMS3Mの油相中の含有量を測定し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリドが油相中に含有されていること、好ましくはその含有量が前記範囲内にあることを確認することにより、可塑性油脂組成物が直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法が挙げられる。
また、第2の方法として、油相中に上記直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、例えば、StEE、又はS1MS2及びMS3Mを含有している油脂が配合されていること、好ましくは上記StEE、又はS1MS2及びMS3Mが油相中に前記範囲内の含有量となるように配合されていることを確認する方法が挙げられる。
更に、より簡単な方法である第3の方法として、ある可塑性油脂組成物の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを確認することによって、可塑性油脂組成物が直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法が挙げられる。
なお、第3の方法において、可塑性油脂組成物の油相の油脂結晶が下に示すような微細結晶であることが確認された場合は、油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを確認することによって、直接β型の油脂結晶を含有していることを確認することができる。この場合、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが好ましいが、5℃で4日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに好ましく、5℃で1日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが一層好ましく、5℃で1時間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに一層好ましく、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが最も好ましい。
上記の第3の方法において、ある可塑性油脂組成物中の直接β型の油脂結晶の含有量が多いほど、5℃での保持時間が短くても、得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶となる。
上記の第3の方法において、5℃での保持期間後に得られた油脂結晶がβ型結晶であることを判断する方法としては、X線回析測定において、以下のように短面間隔を測定することにより判断できる。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回析ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)及び4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
また、本発明の可塑性油脂組成物の油相の油脂結晶は、トリグリセリド分子のパッキング状態が2鎖長構造であることが好ましい。この2鎖長構造であることを確認する方法としては、例えばX線回析測定による方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
また、本発明の可塑性油脂組成物の油相の油脂結晶は、微細結晶であることが好ましい。上記の微細結晶とは、油脂の結晶が微細であることであり、口にしたり、触った際にもザラつきを感ずることのない結晶であることを意味し、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm、最も好ましくは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記サイズとは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
本発明の可塑性油脂組成物の油相の油脂結晶のサイズが20μmを越えた油脂結晶であると、可塑性油脂組成物を口にしたり触った際にザラつきを感じやすく、また、液状油成分を保持することが困難となり、可塑性油脂組成物が油にじみを起こしやすく、水相成分及び油脂結晶により形成される3次元構造中に維持できにくくなる。
また、本発明の可塑性油脂組成物は、実質的にトランス酸を含まない方が好ましい。水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、水素添加油脂は、完全水素添加油脂を除いて、通常構成脂肪酸中にトランス酸が10〜50重量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10重量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス酸を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものも要求されている。ここで、「実質的にトランス酸を含まない」とは、可塑性油脂組成物の全構成脂肪酸中、トランス酸が好ましくは10重量%未満、さらに好ましくは5重量%以下、最も好ましくは1重量%以下であることをいう。
本発明の可塑性油脂組成物は、直接β型結晶を得る際に、StEEではなく、S1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶を使用し、S1MS2やMS3Mを含有する油脂として、上述したように、植物油脂や、植物油脂のエステル交換油脂を使用することにより、簡単に、実質的にトランス酸を含まない可塑性油脂組成物を得ることができる。
また、本発明の可塑性油脂組成物は、合成乳化剤を含有しないのが好ましい。
上記の合成乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物には、合成乳化剤でない乳化剤を用いることができ、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
その他、本発明の可塑性油脂組成物に含有させることができる成分としては、例えば、水、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、牛乳・練乳・脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・乳脂肪球皮膜蛋白質・バター・クリーム・ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・発酵乳等の乳や乳製品、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β―カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物において、油脂以外の成分の使用量は、それらの成分の使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、好ましくは全油脂分100重量部に対して合計で50重量部以下とする。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記増粘安定剤の含有量は、特に制限はないが、本発明の可塑性油脂組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。また本発明の可塑性油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
次に、本発明の可塑性油脂組成物の好ましい製造方法を説明する。
本発明の可塑性油脂組成物は、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、及び構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを含有し、且つ、該3飽和トリグリセリドにおいて、構成脂肪酸の全てが同一の脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上である油相を溶解した後、冷却し、結晶化させることにより製造することができる。
詳しくは、本発明の可塑性油脂組成物は、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド及び上記3飽和トリグリセリドを含有する油脂を混合した油相に、必要により水相を混合乳化する。そして、次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法はタンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。次に、冷却し、結晶化する。本発明において、冷却条件は好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上である。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましいが、本発明では徐冷却であっても、微細なβ型結晶をとり、可塑性範囲が広く、経日的にも硬さが変化せず安定した可塑性油脂組成物を得ることができる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等の油脂組成物製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
また、本発明の可塑性油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
得られた本発明の可塑性油脂組成物は、マーガリンタイプでもショートニングタイプでもどちらでもよく、また、乳化物とする場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。
本発明の可塑性油脂組成物は、食パン、菓子パン、デニッシュ・ペストリー、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー製品に、例えば、練り込み用、折り込み用、サンド・フィリング用、スプレー・コーティング用、フライ用として使用することができる。さらには、カレールウ用、バッター用、ソース用、フライ用などの調理・総菜用としてもまた使用することができる。上記用途における本発明の可塑性油脂組成物の使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限されるものではない。また、S:飽和脂肪酸、M:モノ不飽和脂肪酸を示す。
〔実施例1〕
パームステアリンのランダムエステル交換油と、パームオレインのランダムエステル交換油とを、20/80の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物1を得た。
得られた可塑性油脂組成物1の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物1の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ3.0となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物1は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について、2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物1の油相中において、SMSで表されるトリグリセリド(以下SMSという)の含有量は9.4重量%で、MSMで表されるトリグリセリド(以下MSMという)の含有量は8.0重量%であり、SMS/MSMのモル比は1.2であった。また、可塑性油脂組成物1の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は16.0重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は11.9重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中8.9重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で75重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、3.0重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物1の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
なお、得られた可塑性油脂組成物1は20℃のレオメーター値が1900g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も1900g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔実施例2〕
パームステアリンのランダムエステル交換油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を、20/40/40の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物2を得た。
得られた可塑性油脂組成物2の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物2の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ2.8となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物2は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について、2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物2の油相中において、SMSの含有量は18.9重量%で、MSMの含有量は5.0重量%であり、SMS/MSMのモル比は3.8であった。また、可塑性油脂組成物2の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は10.1重量%で、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は10.7重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中8.3重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で78重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、2.4重量%であった。
また、ガスクロクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物2の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物2は、20℃のレオメーター値が2300g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も2300g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔実施例3〕
パームステアリンのランダムエステル交換油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を、20/56/24の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物3を得た。
得られた可塑性油脂組成物3の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物3の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ2.6となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物3は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について、2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物3の油相中において、SMSの含有量は22.8重量%で、MSMの含有量は3.9重量%であり、SMS/MSMのモル比は5.8であった。また、可塑性油脂組成物3の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は7.7重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は10.3重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中8.1重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で79重量%を占めていた。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物3の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、2.2重量%であった。
得られた可塑性油脂組成物3は、20℃のレオメーター値が2150g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も2150g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔実施例4〕
パームステアリンのランダムエステル交換油、パームステアリン80重量部と大豆極度硬化油20重量部とのランダムエステル交換油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を18/2/40/40の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物4を得た。
得られた可塑性油脂組成物4の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物4の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ2.7となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物4は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物4の油相中において、SMSの含有量は18.9重量%で、MSMの含有量は5.0重量%であり、SMS/MSMのモル比は3.8であった。また、可塑性油脂組成物4の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は10.0重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は10.9重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中8.2重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で75重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、2.7重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物4の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物4は、20℃のレオメーター値が1860g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も1860g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔実施例5〕
パームステアリンのランダムエステル交換油、パームステアリン80重量部と大豆極度硬化油20重量部とのランダムエステル交換油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を、10/10/40/40の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物5を得た。
得られた可塑性油脂組成物5の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物5の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ2.7となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物5は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について、2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物5の油相中において、SMSの含有量は18.9重量%で、MSMの含有量は4.8重量%であり、SMS/MSMのモル比は3.9であった。また、可塑性油脂組成物5の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は9.7重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は11.7重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中7.6重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で65重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、4.1重量%であった。 また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物5の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物5は、20℃のレオメーター値が2430g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も2430g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔実施例6〕
パームステアリンのランダムエステル交換油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を40/30/30の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物6を得た。
得られた可塑性油脂組成物6の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物6の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ2.7となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物6は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物6の油相中において、SMSの含有量は17.7重量%で、MSMの含有量は5.7重量%であり、SMS/MSMのモル比は3.1であった。また、可塑性油脂組成物6の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は11.3重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は14.6重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中11.2重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で77重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、3.4重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物6の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物6は、20℃のレオメーター値が4280g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も4280g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔実施例7〕
パームステアリンのランダムエステル交換油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を、5/47.5/47.5の配合比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物7を得た。
得られた可塑性油脂組成物7の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物7の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ2.7となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物7は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物7の油相中において、SMSの含有量は19.9重量%で、MSMの含有量は4.6重量%であり、SMS/MSMのモル比は4.3であった。また、可塑性油脂組成物7の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は9.1重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は7.9重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中6.2重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で79重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、1.7重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物7の油相中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物7は、20℃のレオメーター値が1480g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も1480g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔実施例8〕
パームステアリン70重量部とパーム核油30重量部とのランダムエステル交換油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を20/40/40の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物8を得た。
得られた可塑性油脂組成物8の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物8の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ2.8となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物8は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物8の油相中において、SMSの含有量は17.9重量%で、MSMの含有量は4.6重量%であり、SMS/MSMのモル比は3.9であった。また、可塑性油脂組成物8の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は9.2重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は8.6重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中6.7重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で78重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、1.9重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物8の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物8は20℃のレオメーター値が1240g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も1240g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔実施例9〕
大豆極度硬化油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を5/47.5/47.5の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物9を得た。
得られた可塑性油脂組成物9の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物9の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ2.8となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物9は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物9の油相中において、SMSの含有量は19.2重量%で、MSMの含有量は4.2重量%であり、SMS/MSMのモル比は4.6であった。また、可塑性油脂組成物9の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は8.4重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は11.4重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中8.4重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で74重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、3.0重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物9の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物9は20℃のレオメーター値が1390g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も1390g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔実施例10〕
大豆極度硬化油、及び大豆極度硬化油50重量部とハイオレイック菜種50重量部とのランダムエステル交換油を2/98の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物10を得た。
得られた可塑性油脂組成物10の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物10の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ2.8となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物10は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた可塑性油脂組成物10の油相中において、SMSの含有量は9.0重量%で、MSMの含有量は7.6重量%であり、SMS/MSMのモル比は1.2であった。また、可塑性油脂組成物10の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は15.3重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は12.6重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中8.0重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で64重量%を占めていた。
さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、4.6重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物10の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物10は20℃のレオメーター値が1810cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での20℃のレオメーター値も1810g/cm2と経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であり、油脂表面状態も良好であった。
〔比較例1〕
パームステアリンのランダムエステル交換油及びパーム油を、20/80の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物11を得た。
得られた可塑性油脂組成物11の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物11の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認された。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、40〜50オングストロームに相当する回折ピークが得られず、トリグリセリドのパッキング状態が3鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以上の粗大結晶が析出していた。
また、得られた可塑性油脂組成物11の油相中において、SMSの含有量は28.5重量%で、MSMの含有量は2.1重量%であり、SMS/MSMのモル比は13.6であった。また、可塑性油脂組成物11の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は4.2重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は9.6重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中7.8重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で81重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、1.8重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物11の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物11は、20℃のレオメーター値が2610g/cm2で、低温でやわらか過ぎて可塑性は不良であり、また、1ヶ月経過後の20℃のレオメーター値が4230g/cm2と経日的に硬くなることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物であり、油脂表面状態も艶が無くざらついて不良であった。
〔比較例2〕
パームステアリン80重量部と大豆極度硬化油20重量部とのランダムエステル交換油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を20/40/40の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物12を得た。
得られた可塑性油脂組成物12の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物12の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認された。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、40〜50オングストロームに相当する回折ピークが得られず、トリグリセリドのパッキング状態が3鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以上の粗大結晶が析出していた。
また、得られた可塑性油脂組成物12の油相中において、SMSの含有量は18.8重量%で、MSMの含有量は4.6重量%であり、SMS/MSMのモル比は4.1であった。また、可塑性油脂組成物12の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶は9.2重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は12.5重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中6.5重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で55重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、5.7重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物12の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物12は、20℃のレオメーター値が1600g/cm2で低温時の可塑性は良好であったが、1ヶ月経過後の20℃のレオメーター値が3680g/cm2と経日的に硬くなることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物であり、油脂表面状態も艶が無くざらついて不良であった。
〔比較例3〕
パーム極度硬化油、パーム油、及びパームオレインのランダムエステル交換油を5/47.5/47.5の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物13を得た。
得られた可塑性油脂組成物13の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物13の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認された。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、40〜50オングストロームに相当する回折ピークが得られず、トリグリセリドのパッキング状態が3鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以上の粗大結晶が析出していた。
また、得られた可塑性油脂組成物13の油相中において、SMSの含有量は19.2重量%で、MSMの含有量は4.2重量%であり、SMS/MSMのモル比は4.6であった。また、可塑性油脂組成物13の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶は8.4重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は11.2重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中6.1重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で55重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、5.1重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物13の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物13は、20℃のレオメーター値が1900g/cm2で低温時の可塑性は良好であったが、1ヶ月経過後の20℃のレオメーター値が2750g/cm2と経日的に硬くなることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物であり、油脂表面状態も艶が無くざらついて不良であった。
〔比較例4〕
パーム極度硬化油、及び大豆極度硬化油50重量部とキャノーラ油50重量部とのランダムエステル交換油を2/98の重量比で配合した混合油を溶解し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、乳化剤を含有しない純植物性ショートニングタイプの可塑性油脂組成物14を得た。
得られた可塑性油脂組成物14の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物14の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認された。さらに、この油脂結晶について2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、40〜50オングストロームに相当する回折ピークが得られず、トリグリセリドのパッキング状態が3鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以上の粗大結晶が析出していた。
また、得られた可塑性油脂組成物14の油相中において、SMSの含有量は9.0重量%で、MSMの含有量は7.6重量%であり、SMS/MSMのモル比は1.2であった。また、可塑性油脂組成物14の油相中において、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶は15.3重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの含有量は12.5重量%であった。また、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなり且つ構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリド含量は、全組成中7.1重量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリアシルグリセリドの内で57重量%を占めていた。さらに、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの油相中の含有量は、5.4重量%であった。
また、ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物14の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1重量%未満であった。
得られた可塑性油脂組成物14は、20℃のレオメーター値が2200g/cm2で低温時の可塑性は良好であったが、1ヶ月経過後の20℃のレオメーター値が2870g/cm2と経日的に硬くなることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物であり、油脂表面状態も艶が無くざらついて不良であった。

Claims (10)

  1. 直接β型の油脂結晶、及び構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを油相中に含有し、且つ、該3飽和トリグリセリドにおいて、構成脂肪酸が全て同一の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上であることを特徴とする可塑性油脂組成物。
  2. 直接β型の上記油脂結晶を、油相中に5重量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の可塑性油脂組成物。
  3. 構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリドを、油相中に5重量%以上30重量%以下含有することを特徴とする請求項1又は2記載の可塑性油脂組成物。
  4. 構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの含有量が、油相中に5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の可塑性油脂組成物。
  5. 構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリドの起源として、パームステアリン、パームステアリンのランダムエステル交換油、及びパームステアリンを含む油脂配合物のランダムエステル交換油から選択される1種又は2種以上を使用したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の可塑性油脂組成物。
  6. 使用油脂の全てが植物油脂由来であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の可塑性油脂組成物。
  7. 実質的にトランス酸を含まない請求項1〜6の何れかに記載の可塑性油脂組成物。
  8. 合成乳化剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の可塑性油脂組成物。
  9. 直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、及び構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを含有し、且つ、該3飽和トリグリセリドにおいて、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60重量%以上である油相を溶解した後、冷却し、結晶化することを特徴とする可塑性油脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜8の何れかに記載の可塑性油脂組成物を使用した食品。
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