JP2002121584A - 油脂組成物 - Google Patents

油脂組成物

Info

Publication number
JP2002121584A
JP2002121584A JP2000311391A JP2000311391A JP2002121584A JP 2002121584 A JP2002121584 A JP 2002121584A JP 2000311391 A JP2000311391 A JP 2000311391A JP 2000311391 A JP2000311391 A JP 2000311391A JP 2002121584 A JP2002121584 A JP 2002121584A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
fat
fatty acid
weight
triglyceride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000311391A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4900996B2 (ja
Inventor
Machiko Noboriguchi
満知子 登口
Toshiyuki Hirokawa
敏幸 廣川
Toru Nezu
亨 根津
Shoshi Maruzeni
詔司 丸銭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Adeka Corp
Original Assignee
Asahi Denka Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Denka Kogyo KK filed Critical Asahi Denka Kogyo KK
Priority to JP2000311391A priority Critical patent/JP4900996B2/ja
Publication of JP2002121584A publication Critical patent/JP2002121584A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4900996B2 publication Critical patent/JP4900996B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 融点が高いにもかかわらず、可塑性が大きく
なるという特性とテンパリング操作なしで安定なβ型結
晶が得られるという特性とを併せ有し、分子蒸留といっ
た手間のかかる工程がなく、簡便に製造することが可能
な油脂組成物を提供する。 【解決手段】 SUS(S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂
肪酸)で表されるトリグリセリドを20重量%以上、U
SU(S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸)で表される
トリグリセリドを20重量%以上それぞれ含有し、かつ
該SUSで表されるトリグリセリドと該USUで表され
るトリグリセリドの重量比が1:0.5〜1.3である
ことを特徴とする油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、SUS(S:飽和
脂肪酸、U:不飽和脂肪酸;以下同様)で表されるトリ
グリセリドとUSU(S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪
酸;以下同様)で表されるトリグリセリドをそれぞれ特
定量含有する油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】炭素数
16の飽和脂肪酸をP、炭素数18の飽和脂肪酸をS、
炭素数18で1つの不飽和結合を有する脂肪酸をOで表
すと、対称型トリグリセリドPOPとその逆対称型のO
PO、同様にSOSとOSO、POPとOSO、POS
とOSOは、それぞれモル比1:1の割合で分子間化合
物(molecular compound)を形成すること、またこの分
子間化合物は、テンパリング操作なしで、2鎖長構造で
安定なβ型という独特の結晶構造が得られることが知ら
れている。分子間化合物の構造に関して、日本食品科学
工学会誌、第45巻、第10号、579−588(19
98)では、対称型トリグリセリドは分子中に飽和鎖と
シス型オレフィン基を含む不飽和鎖との立体障害が存在
するが、逆対称型トリグリセリドと隣り合い、分子間で
互いに別の分子とペアを組むことにより、 単独分子中で
は解消し得なかった飽和鎖と不飽和鎖間の立体障害を解
消し、結晶全体としての格子エネルギーを減少させるも
のと推定している。
【0003】分子間化合物の加工油脂への利用に関し
て、特開平4−135453号公報では、グリセリン骨
格の2位に炭素数16〜22の飽和脂肪酸を、1,3位
に炭素数16〜18で一つの不飽和結合を有する脂肪酸
を結合した混酸型トリグリセリドが、カカオ脂と特異な
結晶構造を形成し、融点はカカオ脂とほぼ同等であるに
もかかわらず、 耐圧力変形性はカカオ脂よりも著しく小
さいという特異な物理的性質を付与し、チョコレートの
品質を向上させると述べている。このような性質を利用
して、従来の方法では作り得なかった新しい物性を有す
る製品の開発が期待される。
【0004】さらに、上記の公報では、グリセリン骨格
の2位に不飽和脂肪酸を、1,3位に飽和脂肪酸を結合
した混酸型トリグリセリド、及びその逆対称型トリグリ
セリドを単に混合することにより分子間化合物が形成さ
れることが示されている。
【0005】グリセリン骨格の2位に不飽和脂肪酸を、
1,3位に飽和脂肪酸を結合した混酸型トリグリセリド
は、例えばハードバターの原料となる植物性油脂に多く
含まれており、容易に入手することができる。
【0006】これに対し、グリセリン骨格の2位に飽和
脂肪酸を、1,3位に不飽和脂肪酸を結合した混酸型ト
リグリセリドは、入手が困難であり、その製造方法に関
する特許出願としては、特開平5−76283号公報や
特表平8−509620号公報がある。前者は、グリセ
リドの1及び3位においてのみ活性な位置特異的である
酵素リパーゼの転位触媒としての存在下で、菜種油又は
大豆油の加水分解により得られる遊離脂肪酸類又はそれ
らのアルキルエステル類と、実質的に2−パルミチルグ
リセリドからなるグリセリドをエステル交換させた後、
脂肪酸、 ジグリセリドを除去する方法である。後者は、
グリセリドの1及び3位においてのみ活性な位置特異的
である酵素リパーゼの転位触媒としての存在下で、3飽
和トリグリセリドと炭素数18以上の不飽和脂肪酸をエ
ステル交換させ、脂肪酸、ジグリセリドを除去した後、
さらに、1,3位にパルミチン及び/又はステアリン酸
以外の酸を多く含み、かつ炭素鎖16以上の飽和脂肪酸
の総量の40重量%以上が2位にない油ブレンドと混合
し、1,3−特異酵素を使用して酵素処理することによ
って、3飽和トリグリセリドのレベルを下げる方法であ
る。両者とも、1,3位に不飽和脂肪酸を結合した混酸
型トリグリセリドを得るために、グリセリドの1及び3
位においてのみ活性な位置特異的である酵素リパーゼを
用いて、2位に飽和脂肪酸を有するトリグリセリドと不
飽和脂肪酸をエステル交換させており、反応後、蒸留し
て脂肪酸を除去するという工程が必要であり、工程が複
雑で、かつコストがかかる点に問題があった。
【0007】従って、本発明の目的は、融点が高いにも
かかわらず、可塑性が大きくなるという特性とテンパリ
ング操作なしで安定なβ型結晶が得られるという特性と
を併せ有し、分子蒸留といった手間のかかる工程がな
く、簡便に製造することが可能な油脂組成物を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、検討の結
果、SUSで表されるトリグリセリドとUSUで表され
るトリグリセリドとをそれぞれ特定割合で含有し、結晶
化させることにより分子間化合物を形成させる油脂組成
物によって、上記目的が達成し得ることを知見した。
【0009】すなわち、本発明は、SUSで表されるト
リグリセリドを20重量%以上、USUで表されるトリ
グリセリドを20重量%以上それぞれ含有し、かつ該S
USで表されるトリグリセリドと該USUで表されるト
リグリセリドの重量比が1:0.5〜1.3であること
を特徴とする油脂組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の油脂組成物の実施
の形態について説明する。
【0011】本発明の油脂組成物は、上記のように、S
USで表されるトリグリセリド(以下、単にSUSとい
う)を20重量%以上、USUで表されるトリグリセリ
ド(以下、単にUSUという)を20重量%以上それぞ
れ含有し、かつ該SUSと該USUの重量比が1:0.
5〜1.3であることを特徴とする。
【0012】本発明の油脂組成物は、SUSを20重量
%以上、好ましくは25〜50重量%、さらに好ましく
は30〜50重量%含有する。SUSが20重量%より
も少ないと、結晶化させたときの分子間化合物の形成量
が少なくなるため好ましくない。
【0013】また、本発明の油脂組成物は、USUを2
0重量%以上、好ましくは25〜50重量%、さらに好
ましくは30〜50重量%含有する。USUが20重量
%よりも少ないと、結晶化させたときの分子間化合物の
形成量が少なくなるため好ましくない。
【0014】そして、本発明の油脂組成物は、SUSと
USUの重量比が1:0.5〜1.3、好ましくは1:
0.7〜1.2、さらに好ましくは1:0.9〜1.1
である。SUSとUSUの重量比が1:0.5〜1.3
の範囲外であると、効率良く分子間化合物を形成しない
ので好ましくない。
【0015】さらに、本発明の油脂組成物はSSUを好
ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%
以下含有し、SUUを好ましくは15重量%以下、さら
に好ましくは12重量%以下、UUUを25重量%以
下、さらに好ましくは20重量%以下含有する。なお、
ここにおいて、上記と同様に、Sは飽和脂肪酸、Uは不
飽和脂肪酸を示し、以下においても同様である。
【0016】本発明の油脂組成物は、上記のような組成
であるため、油脂組成物を結晶化させることによりSU
S1分子とその逆対称型のUSU1分子が分子間化合物
(molecular compound)を形成する。そして分子間化合
物を形成していることは2θ:0〜25°の範囲でX線
回折測定をしたときに、2鎖長構造であり、かつ安定な
β型を示すことにより確認することができる。上記分子
間化合物の油脂組成物中の形成量は現在のところ測定す
ることはできない。よって、本発明では、分子間化合物
の形成量とは、分子間化合物形成量の予測しうる最大値
を計算により求めたものとする。計算方法は以下の通り
である。
【0017】分子間化合物形成量(重量%)=(油脂組
成物中の、SUSの重量%とUSU重量%のうち、より
少ないほうの重量%)×2
【0018】上記の計算方法により求めた本発明の油脂
組成物の分子間化合物の形成量は、好ましくは40重量
%以上、さらに好ましくは50重量%以上、最も好まし
くは60重量%以上である。
【0019】また、本発明の油脂組成物は、食パン、菓
子パン、デニッシュ、パイ、シュー、ドーナツ、ケー
キ、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン
等のベーカリー製品に練り込み用、折込み用、フィリン
グ用、サンド用、トッピング用、スプレッド用、スプレ
ー用、コーティング用、フライ用として使用することが
できる。
【0020】このような本発明の油脂組成物は、次のよ
うな方法で得ることができる。まず、SUSを含有する
油脂(以下、油脂Aという)と、USUを含有する油脂
(以下、油脂Bという)を混合する。そして、これを硬
部油と軟部油に分別し、得られた硬部油が本発明の油脂
組成物である。
【0021】上記の油脂Aの主成分であるSUSのSは
飽和脂肪酸を示し、好ましくは炭素鎖16以上の飽和脂
肪酸を示す。具体的には、パルミチン酸、 ステアリン
酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。Uは不
飽和脂肪酸を示し、好ましくは炭素鎖16以上のモノエ
ン酸及び/又はジエン酸(パルミトレイン酸、オレイン
酸、リノール酸、エイコセン酸、エルシン酸等)、 さら
に好ましくは炭素鎖16〜18のモノエン酸(パルミト
レイン酸、オレイン酸)を示す。
【0022】SUSは、2位にU、1,3位にSを結合
した対称型トリグリセリドである。本発明では、このS
USの1位と3位に同一の飽和脂肪酸が結合している必
要はない。
【0023】そして、油脂AのSUSの含有量は、好ま
しくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以
上、最も好ましくは60重量%以上である。
【0024】油脂Aの具体的な例としては、例えば、シ
ア脂、サル脂、マンゴー脂、イリッペ脂、コクム脂、パ
ーム油から選ばれた1種又は2種以上、ならびにこれら
を水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又
は2以上の処理を施した加工油脂から選ばれた1種又は
2種以上を挙げることができる。
【0025】次に、油脂Bについて説明する。油脂Bは
USUを含有する。油脂Bにおいても、Sは飽和脂肪酸
を示し、好ましくは炭素鎖16以上の飽和脂肪酸を示
す。Uは不飽和脂肪酸を示し、好ましくは炭素鎖16以
上のモノエン酸及び/又はジエン酸、 さらに好ましくは
炭素鎖16〜18のモノエン酸を示す。
【0026】USUは、2位にS、1位と3位にUを結
合した対称型トリグリセリドである。本発明ではこのU
SUの1位と3位に同一の不飽和脂肪酸が結合している
必要はない。
【0027】そして、油脂BのUSUの含有量は好まし
くは4重量%以上、さらに好ましくは8重量%以上、最
も好ましくは12重量%以上である。
【0028】また、油脂Bは、SUUやU3で表される
トリグリセリド(以下、SUU、U3とそれぞれいう)
を含有していてもよい。SUUは、1位にS、2位と3
位にUを結合した非対称型トリグリセリドである。
【0029】油脂BのSUUの含有量とU3の含有量の
合計量は、好ましくは84重量%以下、さらに好ましく
は82重量%以下、最も好ましくは重量80重量%以下
である。
【0030】さらに油脂Bは、少量のS3及び/又はS
2Uで表されるトリグリセリド(以下、S3、S2Uと
それぞれいう)を含んでもよい。ここでいうS2Uと
は、1,2位にS、3位にUを結合した非対称型トリグ
リセリド及び1,3位にS、2位にUを結合した対称型
トリグリセリド両方を含むものとする。
【0031】油脂BのS3の含有量とS2Uの含有量の
合計量は、好ましくは12重量%以下、さらに好ましく
は10重量%以下、最も好ましくは8重量%以下であ
る。
【0032】油脂Bの具体的な例としては、ラード、牛
脂、乳脂等、もしくはその分別軟部油が挙げられる。ま
た、パーム油、パーム軟部油、シア脂軟部油、サル脂軟
部油をランダムエステル交換した油脂、もしくはその分
別軟部油が挙げられる。さらに、パーム油、パーム軟部
油、パーム硬部油、シア脂軟部油、サル脂軟部油、ラー
ド、 ラード硬部油、 牛脂、牛脂硬部油等と、ハイオレイ
ックひまわり油、大豆油、菜種油等の液状油とを、ラン
ダムエステル交換した油脂、もしくはその分別軟部油
や、大豆油、 菜種油、 コーン油、パーム油、パーム硬部
油、ラード、 牛脂等の極度硬化油と、ハイオレイックひ
まわり油、大豆油、菜種油等の液状油とを、ランダムエ
ステル交換した油脂、もしくはその分別軟部油が挙げら
れる。
【0033】本発明では上記油脂Aと油脂Bの混合割合
は特に制限はないが、好ましくは重量比で、油脂A:油
脂B=10〜30:90〜70の割合で混合するのがよ
く、さらに好ましくは油脂Aと油脂Bの混合油中のSU
Sのモル数とUSUのモル数の比率が、1:1となるよ
うにするのがよい。
【0034】このように油脂Aと油脂Bを混合した後、
硬部油と軟部油に分別する。分別方法は、特に制限はな
く、溶剤を用いても用いなくても、またいかなる温度で
分別してもよいが、得られる硬部油における非対称型ト
リグリセリドSUU及びU3の割合が小さく、軟部油に
おける対称型トリグリセリドUSUの割合が小さい条件
で分別するのがよい。具体的には、 溶剤を用いる場合に
は、好ましくはアセトン及び/又はヘキサンを用いて、
重量比率で油脂: 溶剤=1: 5、分別温度はアセトンを
用いるときは10〜−5℃、ヘキサンを用いるときは0
〜−20℃で分別するのがよく、さらに好ましくは油
脂: 溶剤=1: 1〜3、分別温度はアセトンを用いると
き5〜−3℃、ヘキサンを用いるときは−5〜−13℃
で分別するのがよい。
【0035】溶剤を用いない場合には、分別温度を好ま
しくは30〜10℃、さらに好ましくは25〜15℃で
分別するのがよい。
【0036】本発明において、溶剤を用いないで分別す
るよりは、溶剤を用いて分別するのがよい。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。しかしながら、本発明は、これらの実施例によ
り何ら制限されるものではない。また、「部」はすべて
重量基準である。
【0038】〔実施例1〕油脂Aとしてマンゴー脂分別
硬部油、 油脂Bとして下記のエステル交換油の分別軟部
油を用いた。
【0039】・エステル交換油の軟部油の調製 大豆極度硬化油20部とハイオレイックサフラワー油8
0部を混合し、対油1.5部のリパーゼQLC(名糖産
業(株) 製)を添加して65℃で16h撹拌し、ランダ
ムエステル交換反応を行い、エステル交換油を得た。得
られたエステル交換油とアセトンを重量比率で1:2の
割合で混合し、0℃で分別して分別軟部油を得た。
【0040】上記油脂A13部と上記油脂B87部を混
合した油脂Cを原料油とし、油脂Cとアセトンを重量比
率で1:3の割合で混合し、−3℃で分別して硬部油と
軟部油を得た。得られた分別硬部油を精製し、これを油
脂Dとした。
【0041】油脂A〜Dのトリグリセリド組成を表1に
示す。また、油脂AのSUS及び油脂BのUSUのトリ
グリセリド組成を表5に示す。
【0042】得られた油脂Dについて、60℃から1分
間に40℃の割合で0℃まで急冷、0℃で30分間保持
した後、20℃で1週間保持する、という条件で冷却、
結晶化し、2θ:0〜25°の範囲でX線回折測定を実
施したところ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖
長構造で、かつ安定なβ型であることも確認され、分子
間化合物を形成していることが分かった。
【0043】また、油脂Dは、計算によると最大で、S
USとUSUからなる分子間化合物を67重量%形成し
ていた。
【0044】〔実施例2〕油脂Aとしてサル脂分別硬部
油、 油脂Bとして下記のエステル交換油の分別軟部油を
用いた。
【0045】・エステル交換油の軟部油の調製 大豆極度硬化油25部とハイオレイックサフラワー油7
5部を混合し、対油1.5部のリパーゼQLC(名糖産
業(株) 製)を添加して65℃で16h撹拌し、ランダ
ムエステル交換反応を行い、エステル交換油を得た。得
られたエステル交換油とアセトンを重量比率で1:3の
割合で混合し、5℃で分別して分別軟部油を得た。
【0046】上記油脂A14部と上記油脂B86部を混
合した油脂Cを原料油とし、油脂Cとアセトンを重量比
率で1:3の割合で混合し、−3℃で分別して得た分別
硬部油を精製し、これを油脂Dとした。
【0047】油脂A〜Dのトリグリセリド組成を表2に
示す。また、油脂AのSUS及び油脂BのUSUのトリ
グリセリド組成を表5に示す。
【0048】得られた油脂Dについて、60℃から1分
間に40℃の割合で0℃まで急冷、0℃で30分間保持
した後、20℃で1週間保持する、という条件で冷却、
結晶化し、2θ:0〜25°の範囲でX線回折測定を実
施したところ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖
長構造で、かつ安定なβ型であることも確認され、分子
間化合物を形成していることが分かった。
【0049】また、油脂Dは、計算によると最大で、S
USとUSUからなる分子間化合物を61重量%形成し
ていた。
【0050】〔実施例3〕油脂Aとしてパーム中部油、
油脂Bとしてパーム軟部油のランダムエステル交換油と
アセトンを重量比率で1:3の割合で混合し、5℃で分
別して得た分別軟部油を用いた。
【0051】上記油脂A18部と上記油脂B82部を混
合した油脂Cを原料油とし、油脂Cとアセトンを重量比
率で1:3の割合で混合し、−3℃で分別して得た分別
硬部油を精製し、これを油脂Dとした。
【0052】油脂A〜Dのトリグリセリド組成を表3に
示す。また、油脂AのSUS及び油脂BのUSUのトリ
グリセリド組成を表5に示す。
【0053】得られた油脂Dについて、60℃から1分
間に40℃の割合で0℃まで急冷、0℃で30分間保持
した後、20℃で1週間保持する、という条件で冷却、
結晶化し、2θ:0〜25°の範囲でX線回折測定を実
施したところ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖
長構造で、かつ安定なβ型であることも確認され、分子
間化合物を形成していることが分かった。
【0054】また、油脂Dは、計算によると最大で、S
USとUSUからなる分子間化合物を60重量%形成し
ていた。
【0055】〔比較例1〕油脂Aとしてマンゴー脂分別
硬部油、 油脂Bとしてサル脂分別軟部油を用いた。
【0056】上記油脂A39部と上記油脂B61部を混
合した油脂Cを原料油とし、実施例1と同様の方法で分
別して得た分別硬部油を精製し、これを油脂Dとした。
【0057】油脂A〜Dのトリグリセリド組成を表4に
示す。また、油脂AのSUS及び油脂BのUSUのトリ
グリセリド組成を表5に示す。
【0058】得られた油脂Dについて、60℃から1分
間に40℃の割合で0℃まで急冷、0℃で30分間保持
した後、20℃で1週間保持する、という条件で冷却、
結晶化し、2θ:0〜25°の範囲でX線回折測定を実
施したところ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖
長構造となっておらず、かつ準安定形のβ’型で、分子
間化合物を形成していないことが分かった。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【発明の効果】本発明の油脂組成物は、分子間化合物を
形成する油脂組成物であり、そのため融点が高いにもか
かわらず、可塑性が大きくなるという特性とテンパリン
グ操作なしで安定なβ型結晶が得られるという特性とを
併せ有するものである。
【0065】また、本発明の油脂組成物は、分子蒸留と
いった手間のかかる工程がなく、簡便に製造することが
可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 根津 亨 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 丸銭 詔司 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 Fターム(参考) 4B026 DC06 DG01 DG11 DH02 DH03 DX02 4H059 BA33 BB02 BB03 BC03 BC13 CA06 CA13 CA72

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SUS(S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂
    肪酸)で表されるトリグリセリドを20重量%以上、U
    SU(S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸)で表される
    トリグリセリドを20重量%以上それぞれ含有し、かつ
    該SUSで表されるトリグリセリドと該USUで表され
    るトリグリセリドの重量比が1:0.5〜1.3である
    ことを特徴とする油脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記SUSで表されるトリグリセリド
    を含有する油脂と、上記USUで表されるトリグリセリ
    ドを含有する油脂とを混合、分別することにより得られ
    た硬部油である請求項1記載の油脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記SUSで表されるトリグリセリドを
    含有する油脂が、SUSで表されるトリグリセリドを4
    0重量%以上含有する請求項2記載の油脂組成物。
  4. 【請求項4】 上記USUで表されるトリグリセリドを
    含有する油脂が、USUで表されるトリグリセリドを4
    重量%以上含有する請求項2記載の油脂組成物。
JP2000311391A 2000-10-12 2000-10-12 油脂組成物の製造方法 Expired - Lifetime JP4900996B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000311391A JP4900996B2 (ja) 2000-10-12 2000-10-12 油脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000311391A JP4900996B2 (ja) 2000-10-12 2000-10-12 油脂組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002121584A true JP2002121584A (ja) 2002-04-26
JP4900996B2 JP4900996B2 (ja) 2012-03-21

Family

ID=18791167

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000311391A Expired - Lifetime JP4900996B2 (ja) 2000-10-12 2000-10-12 油脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4900996B2 (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004285193A (ja) * 2003-03-20 2004-10-14 Asahi Denka Kogyo Kk 油脂組成物
JP2005350660A (ja) * 2004-05-10 2005-12-22 Asahi Denka Kogyo Kk 可塑性油脂組成物
JP2006271305A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Fuji Oil Co Ltd 焼き菓子類製品用油脂組成物及び焼き菓子類製品の製造法
WO2006121182A1 (ja) 2005-05-13 2006-11-16 The Nisshin Oillio Group, Ltd. 脂肪酸トリグリセリドの分子間化合物
JP2008228641A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Nisshin Oillio Group Ltd ソフトチョコレート用油脂組成物
JP2013223464A (ja) * 2012-04-23 2013-10-31 Adeka Corp 気泡含有チョコレート用油脂組成物
JP2016140313A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 不二製油株式会社 油性食品用油脂組成物、及びこれを含有する油性食品類
WO2016125791A1 (ja) * 2015-02-02 2016-08-11 不二製油グループ本社株式会社 チョコレート用油脂組成物、及びこれを含有するチョコレート
JP2017079629A (ja) * 2015-10-27 2017-05-18 不二製油株式会社 チョコレート用油脂組成物、及びこれを含有するチョコレート
JPWO2017179455A1 (ja) * 2016-04-13 2018-04-19 不二製油株式会社 ラウリン酸型チョコレート用油脂組成物及びこれを含有するチョコレート
JP2018529355A (ja) * 2015-09-29 2018-10-11 ロデルス クロクラーン ベスローテン フェンノートシャップ 耐熱性チョコレートスプレッドまたはフィリング及び調製の方法
JP2020010614A (ja) * 2018-07-13 2020-01-23 日清オイリオグループ株式会社 可塑性油脂組成物
CN115279876A (zh) * 2020-01-13 2022-11-01 阿彻丹尼尔斯米德兰公司 用于食品涂抹物和人造奶油结构化的非热带植物油的酶促内酯化

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63126457A (ja) * 1986-11-17 1988-05-30 Kao Corp 焼菓子用油脂のマイグレ−シヨン抑制剤及びそれを用いる複合焼菓子類の製造法
JPH04135453A (ja) * 1990-09-28 1992-05-08 Meiji Seika Kaisha Ltd カカオ代用脂、これを含有する油脂性菓子及びその油脂性菓子の製造方法
JPH0790295A (ja) * 1993-11-29 1995-04-04 Fuji Oil Co Ltd 油脂の改質方法
JP2000204389A (ja) * 1999-01-14 2000-07-25 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ラ―ドの分別方法
JP2001238597A (ja) * 2000-03-02 2001-09-04 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 可塑性油脂

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63126457A (ja) * 1986-11-17 1988-05-30 Kao Corp 焼菓子用油脂のマイグレ−シヨン抑制剤及びそれを用いる複合焼菓子類の製造法
JPH04135453A (ja) * 1990-09-28 1992-05-08 Meiji Seika Kaisha Ltd カカオ代用脂、これを含有する油脂性菓子及びその油脂性菓子の製造方法
JPH0790295A (ja) * 1993-11-29 1995-04-04 Fuji Oil Co Ltd 油脂の改質方法
JP2000204389A (ja) * 1999-01-14 2000-07-25 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ラ―ドの分別方法
JP2001238597A (ja) * 2000-03-02 2001-09-04 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 可塑性油脂

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004285193A (ja) * 2003-03-20 2004-10-14 Asahi Denka Kogyo Kk 油脂組成物
JP4651270B2 (ja) * 2003-03-20 2011-03-16 株式会社Adeka 油脂組成物
JP2005350660A (ja) * 2004-05-10 2005-12-22 Asahi Denka Kogyo Kk 可塑性油脂組成物
JP4650059B2 (ja) * 2005-03-30 2011-03-16 不二製油株式会社 焼き菓子類製品用油脂組成物及び焼き菓子類製品の製造法
JP2006271305A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Fuji Oil Co Ltd 焼き菓子類製品用油脂組成物及び焼き菓子類製品の製造法
WO2006121182A1 (ja) 2005-05-13 2006-11-16 The Nisshin Oillio Group, Ltd. 脂肪酸トリグリセリドの分子間化合物
US7648724B2 (en) 2005-05-13 2010-01-19 The Nisshin Oillio Group, Ltd. Intermolecular compounds of fatty acid triglycerides
JP2008228641A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Nisshin Oillio Group Ltd ソフトチョコレート用油脂組成物
JP4653772B2 (ja) * 2007-03-20 2011-03-16 日清オイリオグループ株式会社 ソフトチョコレート用油脂組成物
JP2013223464A (ja) * 2012-04-23 2013-10-31 Adeka Corp 気泡含有チョコレート用油脂組成物
JP2016140313A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 不二製油株式会社 油性食品用油脂組成物、及びこれを含有する油性食品類
WO2016125791A1 (ja) * 2015-02-02 2016-08-11 不二製油グループ本社株式会社 チョコレート用油脂組成物、及びこれを含有するチョコレート
JP2018529355A (ja) * 2015-09-29 2018-10-11 ロデルス クロクラーン ベスローテン フェンノートシャップ 耐熱性チョコレートスプレッドまたはフィリング及び調製の方法
JP2017079629A (ja) * 2015-10-27 2017-05-18 不二製油株式会社 チョコレート用油脂組成物、及びこれを含有するチョコレート
JPWO2017179455A1 (ja) * 2016-04-13 2018-04-19 不二製油株式会社 ラウリン酸型チョコレート用油脂組成物及びこれを含有するチョコレート
JP2020010614A (ja) * 2018-07-13 2020-01-23 日清オイリオグループ株式会社 可塑性油脂組成物
JP7154694B2 (ja) 2018-07-13 2022-10-18 日清オイリオグループ株式会社 可塑性油脂組成物
CN115279876A (zh) * 2020-01-13 2022-11-01 阿彻丹尼尔斯米德兰公司 用于食品涂抹物和人造奶油结构化的非热带植物油的酶促内酯化

Also Published As

Publication number Publication date
JP4900996B2 (ja) 2012-03-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI395550B (zh) 油脂組成物
JP5479700B2 (ja) 可塑性油脂組成物
TWI577288B (zh) 棕櫚油的分餾油脂、其所調和之油脂組成物及食品
JPS62210949A (ja) カカオバタ−代用組成物
JP2005520541A5 (ja)
JP2002121584A (ja) 油脂組成物
JP3611655B2 (ja) 油脂組成物及びその製造方法並びに該油脂組成物を用いて製造された焼き菓子類
JP4775326B2 (ja) 油脂移行耐性油脂組成物
EP1965652B1 (en) Non-hydrogenated vegetable oil based shortening containing an elevated diglyceride emulsifier composition
JP4277414B2 (ja) 油脂組成物
JP2961827B2 (ja) 焼菓子用練り込み油脂組成物及びそれを用いた複合菓子の製造方法
JPH02132191A (ja) 乳脂様油脂の製造法
JP4841136B2 (ja) 可塑性油脂組成物
JP5930608B2 (ja) 焼菓子練り込み用油脂組成物
JP4186375B2 (ja) 可塑性油脂
JP3016688B2 (ja) ハードバター組成物及びチョコレート様食品
JPH0427813B2 (ja)
JP4054471B2 (ja) 改質油脂の製造方法および該改質油脂
JPH083579A (ja) ブルーム耐性脂及びラウリン系ハードバター
JP2003160795A (ja) 植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂組成物の製造方法
WO2021006058A1 (ja) チョコレート
JP2002338992A (ja) 可塑性油脂組成物
JP2021170965A (ja) ブルーム抑制剤
JP6811911B1 (ja) チョコレート
WO2021256157A1 (ja) フィリング用油脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110411

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110830

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111129

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20111207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111227

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111227

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4900996

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150113

Year of fee payment: 3