JP2004285193A - 油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】油脂組成物を製造する際に特殊な温度管理をしなくても安定結晶を含有すること、及び、可塑性範囲が広く、経日的にも硬さが変化せず安定な油脂組成物を、従来よりも広範な油脂原料を用いて提供すること。
【解決手段】SMS(S:飽和脂肪酸、M:モノ不飽和脂肪酸、以下同じ)で表されるトリグリセリド(以下SMSと表す)、MSMで表されるトリグリセリド(以下MSMと表す)、及びSSMで表されるトリグリセリド(以下SSMと表す)を含有し、(MSM+SSM)/SMSのモル比率が0.4〜2.5の範囲にあり、且つSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶を含有することを特徴とする油脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に製菓・製パン用油脂として、練り込み用途、折り込み用途、サンド・フィリング用途、スプレー・コーティング用途、フライ用途等に適した物性・機能を有する油脂組成物に関する。更に詳しくは、SMS(S:飽和脂肪酸、M:モノ不飽和脂肪酸、以下同じ)で表されるトリグリセリド(以下SMSと表す)、MSMで表されるトリグリセリド(以下MSMと表す)、及びSSMで表されるトリグリセリド(以下SSMと表す)を含有し、(MSM+SSM)/SMSのモル比率が0.4〜2.5の範囲にあり、且つSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶を含有することを特徴とする油脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マーガリン、ショートニング等の可塑性油脂に使用される油脂は、“マーガリン ショートニング ラード”(P324中澤君敏著:株式会社光琳発行)に記載の『マーガリン、ショートニングは常温で結晶性脂肪をもつ可塑性物質と定義されるが、そのためその物理性は主に稠度、可塑性及び結晶構造に関連する。物理的にその結晶状態はAlfaは蝋状(アセトグリセリドの如き)、Betaは粗結晶、そしてBeta−primeは微粒状である。融点ではAlfa、Beta−prime、Betaの順に高くなる。マーガリン、ショートニング組成の望ましい結晶状態はBeta−primeといわれている。』の通り、その結晶状態はβプライム型のものが良好とされ、用いられてきた。
【0003】
βプライム型の油脂結晶は、微細結晶をとり乳化安定性に寄与し、良好な稠度を示す。その反面、このβプライム型結晶は、エネルギー的には準安定形であるため、保存条件等が適切でない場合等には、更にエネルギー的に安定なβ型結晶へと転移現象を引き起こすという欠点があった。このβ型結晶は、最安定形であるため、これ以上の転移現象を起こすことはないが、一般に結晶サイズが大きく、グレイニングやブルームと呼ばれる粗大結晶粒を形成し、ザラつきや触感の悪さを呈し、製品価値の全くないものになってしまう。
【0004】
βプライム型を経由するβ型結晶であっても、結晶サイズの比較的小さなものも知られている。例えば、カカオ脂のV型結晶がこれに相当し、実質はSOS、POS等の対称型トリグリセリドのβ2型結晶である。しかしながら、これらの結晶サイズの比較的小さなβ型結晶を得るには、テンパリングと呼ばれる特殊な熱処理工程を経る必要があったり、所定温度まで冷却した後、結晶核となる特定成分を加える等、極めて煩雑な工程を要するものであった。結果として、通常の可塑性油脂を製造するような急冷可塑化工程では、当該結晶は得られないのが実状である。また、カカオ脂のV型結晶は可塑性に乏しいものである。
【0005】
一方、βプライム型で最安定形の油脂でさえ経日的に硬くなる傾向があり、結晶の析出方法や保存方法等を細かく管理しなければならなかった。
【0006】
上記のような問題点を解決するため、エネルギー的にも安定で且つ微細な結晶を得る目的で、これ迄にも種々の発明がなされてきた。特許文献1には、特定のトリグリセリド比率とすることにより、β型結晶を得る方法が開示されている。また、特許文献2では、エステル交換反応により油脂のグレイニングを抑制する方法が、そして、特許文献3には、高融点油脂を配合することにより微細な結晶を維持させる方法が、それぞれ開示されている。
【0007】
さらに、特許文献4では、構成脂肪酸として炭素数16〜22の飽和脂肪酸をグリセリンの2位に、炭素数16〜18で一つの不飽和結合を有する不飽和脂肪酸をグリセリンの1、3位に結合した混酸型トリグリセリドを含有する方法が開示されている。また、特許文献5には、SUS(Uは不飽和脂肪酸を表す)とSSUを含有して安定且つ微細な油脂結晶を得る方法が、特許文献6には、SUSとUSUを含有して安定且つ微細な油脂結晶を得る方法が、特許文献7には、(A)飽和−不飽和−飽和型である対称型トリグリセリドを10%以上含む油脂と、(B) i)飽和−飽和−不飽和型である非対称型トリグリセリドを10%以上含む油脂、ii)不飽和−飽和−不飽和型である対称型トリグリセリドを10%以上含む油脂、iii)同一種類のトリグリセリドを10%以上含有していない油脂のいずれか一種以上とを、1:5〜5:1の割合で配合することによって得ることができる油脂混合物又は油脂組成物が記載されている。
【0008】
しかし、特許文献1の方法では、β型結晶を得るのにテンパリング操作が必要とされ、特許文献2及び特許文献3の方法では、得られた組成物は経日的に硬くなる傾向があり、油脂組成物として安定性の点で十分に満足の得られるものではなかった。
【0009】
また、特許文献4の方法はカカオ代用脂及びこれを含有する油脂性菓子用途に限定されたものであった。さらに、特許文献5に記載の方法はUSUを含まない点で、特許文献6に記載された方法はSSUを含まない点で、特許文献7に記載された方法は二種のコンパウンド結晶を共存させない点で、それぞれ本発明と異なり、そのため、特許文献5〜7の方法では、目的とする油脂組成物を得るためには、油脂の選択の幅が狭く、油脂組成物の製造コストも高価なものとなり、汎用性に乏しいという問題が残った。
【0010】
【特許文献1】
特公昭51−9763号公報
【特許文献2】
特公昭58−13128号公報
【特許文献3】
特開平10−295271号公報
【特許文献4】
特公平4−135453号公報
【特許文献5】
特許第3187001号公報
【特許文献6】
特開2002−69484号公報
【特許文献7】
特開2002−180084号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、油脂組成物を製造する際に特殊な温度管理をしなくても安定結晶を含有することにある。本発明のさらなる目的は、可塑性範囲が広く、経日的にも硬さが変化せず安定な油脂組成物を、従来よりも広範な油脂原料を用いて提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、SMS、MSM及びSSMを含有し、(MSM+SSM)/SMSのモル比率が0.4〜2.5の範囲にあり、且つSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶を含有することを特徴とする油脂組成物により、上記の目的を達成したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の油脂組成物について詳細に説明する。
本発明の油脂組成物は、SMS、MSM及びSSMを含有し、(MSM+SSM)/SMSのモル比率が0.4〜2.5の範囲にあり、且つSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶の二種のコンパウンド結晶を含有することを特徴とする。
【0014】
上記のSMS、MSM及びSSMにおいて、Sは飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸をそれぞれ示し、SMSはグリセリンの1、3位に飽和脂肪酸残基、2位にモノ不飽和脂肪酸残基を有する対称型トリグリセリドを、またMSMはグリセリンの1、3位にモノ不飽和脂肪酸残基、2位に飽和脂肪酸残基を有する対称型トリグリセリドを、さらにSSMはグリセリンの1、2位に飽和脂肪酸残基、3位にモノ不飽和脂肪酸残基を有する非対称型トリグリセリドを指す。
【0015】
SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶とは、構造の異なるSMSとMSMの2種類のトリグリセリド分子が1:1で混合された際、あたかも単一のトリグリセリド分子であるかの如き結晶化挙動を示すものである。同様に、SMSとSSMとからなるコンパウンド結晶とは、SMSとSSMの2種類のトリグリセリド分子が1:1で混合された際、あたかも単一のトリグリセリド分子であるかの如き結晶化挙動を示すものである。コンパウンド結晶は分子間化合物とも呼ばれる。SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶は、熱エネルギー的に不安定なα型結晶から、準安定形のβプライム型結晶を経由せず、最安定形のβ型結晶に直接転移する。一方、SMSとSSMとからなるコンパウンド結晶は、α型結晶から、βプライム型結晶を経て、最安定形のβ型結晶に転移する。この際、βプライム型結晶を経由するのは極めて短い時間であり、通常の可塑性油脂を製造するような急冷可塑化工程でも十分にβ型結晶を得ることが可能である。更に、これらのコンパウンド結晶は、トリグリセリド分子のパッキング状態が2鎖長構造をとることが知られており、この2鎖長構造で安定なβ型結晶(コンパウンド結晶)は微細なものである。即ち、SMS、MSM及びSSMを含有する本発明の油脂組成物は、冷却工程を経て、微細なβ型の2鎖長構造を示す、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶として析出する。また、SMS、MSM及びSSMを含有する本発明の油脂組成物は、β型結晶を析出させる油脂の結晶化工程においてテンパリング等の特殊な熱処理を必要としない。
【0016】
本発明の油脂組成物は、SMS、MSM及びSSMを含有する油相を用いて油脂組成物を製造する際、油脂の結晶化工程においてテンパリング等の特殊な熱処理を必要としない点、更には、析出したSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶が2鎖長構造の微細なβ型結晶であるため、経日的に安定であり、硬さの変化が無く、また結晶の粗大化等による触感や外観の変化もない点で優れている。
【0017】
本発明の油脂組成物は、上記のSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶を含有することが必要である。
【0018】
SMS、MSM及びSSMのSは、飽和脂肪酸を示すが、好ましくは炭素原子数16以上の飽和脂肪酸であり、より好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸であり、更に好ましくはステアリン酸である。また、本発明の油脂組成物において、SMSの1、3位のS、MSMの2位のS、及びSSMの1、2位のSが、同じ飽和脂肪酸であるのが最も好ましい。
【0019】
SMSのM、MSMのM、及びSSMのMは、好ましくは炭素原子数16以上のモノ不飽和脂肪酸、更に好ましくは炭素原子数18以上のモノ不飽和脂肪酸、最も好ましくはオレイン酸である。
【0020】
また、本発明の油脂組成物においては、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶が、実質的に微細結晶であることが好ましい。
【0021】
上記の微細結晶とは、油脂の結晶が微細であることであり、口にしたり、触った際にもザラつきを感ずることのない結晶であることを意味し、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm、最も好ましくは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記サイズとは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
【0022】
結晶のサイズが20μmを超える油脂結晶を含有する場合、口にしたり、触った際にザラつきを感じやすく、液状油成分を保持することが困難となり製品の油にじみを起こやすく、水相成分を有する油中水型乳化物とした際には、水相成分を油脂結晶により形成される3次元構造中に維持できない恐れがある。
【0023】
上記の「実質的に」とは、全てのSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶のうち、微細結晶を好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、最も好ましくは99重量%以上含有することを指す。
【0024】
本発明の油脂組成物においては、油相を70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが好ましい。5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが好ましいが、5℃で4日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに好ましく、5℃で1日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが一層好ましく、5℃で1時間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに一層好ましく、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが最も好ましい。このようにして得られた油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶をとることが確認されれば、本発明の油脂組成物はSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶を含有していると言える。
【0025】
また、上記の油脂結晶が2鎖長構造のβ型である油脂結晶となることを確認する方法としては、例えばX線回折で以下のように短面間隔と長面間隔を測定する方法が挙げられる。
【0026】
具体的には、短面間隔は2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)と4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。一方、長面間隔は2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、2鎖長構造をとっていると判断する。
【0027】
従来のマーガリンやショートニング等の可塑性油脂は、用いられている油相を70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が、2鎖長構造であるが、準安定形のβプライム型である点で、本発明の油脂組成物とは異なる。また、主にチョコレート等の油脂性菓子に用いられるカカオ脂は、70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が、最安定形のβ型である点では本発明の油脂組成物と同一であるが、鎖長構造が3鎖長である点で、本発明の油脂組成物とは異なる。
【0028】
油相を70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶とならない油脂組成物、例えばβプライム型で最安定形となる油脂組成物は、油脂組成物が経日的に硬くなる傾向があり、結晶の析出方法や保存方法等を細かく管理しなければ油脂組成物としては好ましくないものとなる。
【0029】
本発明の油脂組成物に含有されるSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶は、SMS及び/又はSMSを含有する油脂、MSM及び/又はMSMを含有する油脂、並びにSSM及び/又はSSMを含有する油脂を用いて形成することができる。
【0030】
SMS、MSM及びSSMとしては、天然に存在するSMS、MSM及びSSMを用いても構わないし、又は分別により純度を上げたものを用いても構わない。SSSとMMM、又はMMMとSの脂肪酸とをエステル交換(酵素による選択的エステル交換が好ましい)し、更に蒸留や分別によりSMS、MSM又はSSMの純度を上げたもの等、どのような方法によって得られたものでも構わない。
【0031】
上記のSMSを含有する油脂としては、例えば、パーム油、カカオバター、或いは、パーム油、カカオバター、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂に水素添加、分別並びにエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂、或いは、各種動植物油脂と脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルとを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
【0032】
本発明の油脂組成物では、これらの中でも、分別及び/又はエステル交換処理を施して、SMSの含有量を高めた加工油脂が好ましく用いられる。さらに好ましくは、分別処理を施してSMSの含有量を高めた加工油脂を用いる。最も好ましくは、安価に得られ、風味が淡白である点から、パーム油、カカオバター、マンゴー核油又はサル脂の、分別硬部油又は分別中部油を用いる。
【0033】
本発明の油脂組成物において、SMS及び/又はSMSを含有する油脂は、全油脂分中におけるSMSの含有量が、好ましくは2.5〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%、最も好ましくは10〜30重量%となるように使用する。
【0034】
上記のMSMを含有する油脂としては、例えば、豚脂、或いは、豚脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂に水素添加、分別並びにエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂、或いは、各種動植物油脂と脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルとを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
【0035】
本発明の油脂組成物において、MSM及び/又はMSMを含有する油脂は、全油脂分中におけるMSMの含有量が、好ましくは2.5〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%、最も好ましくは10〜30重量%となるように使用する。
【0036】
上記のSSMを含有する油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、或いは、牛脂、豚脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、乳脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂に水素添加、分別並びにエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂、或いは、各種動植物油脂と脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルとを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
【0037】
本発明の油脂組成物において、SSM及び/又はSSMを含有する油脂は、全油脂分中におけるSSMの含有量が、好ましくは2.5〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%、最も好ましくは10〜30重量%となるように使用する。
【0038】
尚、SMS、MSM及びSSMから選択される2種以上を含有している油脂を使用してもよい。
【0039】
本発明の油脂組成物において、上記のSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶の合計含有量は、油脂組成物の全油脂分中、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。その上限は特に制限されるものではないが、通常50重量%程度である。SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶の合計含有量が、油脂組成物の全油脂分中、5重量%未満であると、経日的に20μmを越えたサイズを有するβ型結晶が出現しやすく、経日的に硬くなりやすい。
また、全油脂分中、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は、好ましくは2.5重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、最も好ましくは10〜30重量%であり、SMSとSSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は、好ましくは2.5重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、最も好ましくは10〜30重量%である。
【0040】
本発明の油脂組成物において、SMS、MSM及びSSMの比率は、(MSM+SSM)/SMSがモル比率で、好ましくは0.4〜2.5、さらに好ましくは0.6〜1.5、最も好ましくは0.8〜1.2とする。(MSM+SSM)/SMS比率が上記の範囲にないと、本発明の効果が十分に得られない。
また、MSMとSSMとのモル比率(MSM/SSM)は、好ましくは0.1〜5、さらに好ましくは0.3〜3、最も好ましくは0.4〜2.4とする。
【0041】
また、本発明の油脂組成物において、SMS、MSM及びSSMを含有しない油脂を添加しても良い。SMS、MSM及びSSMを含有しない油脂を添加する場合、SMS、MSM及びSSMを含有しない油脂は、油脂組成物の全油脂分中、好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、最も好ましくは70重量%以下とする。
【0042】
さらに、本発明の油脂組成物においては、使用する油脂の1種以上が高融点油脂であることが好ましい。高融点油脂を配合することにより、本発明の油脂組成物の耐熱保型性を向上させ、製パン用途、ロールイン用途(デニッシュ用途)に使用した際、これらのパン・デニッシュ製造におけるホイロ時の生地の伸びを向上させることが出来る。
【0043】
上記の高融点油脂の融点は、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、最も好ましくは55℃以上80℃以下である。融点が40℃未満の油脂では、ホイロ時の生地の伸びが充分に得られにくい。
【0044】
また、上記の高融点油脂は、油脂組成物の全油脂分中、好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0〜10重量%、最も好ましくは0〜5重量%である。油脂組成物の全油脂分中の上記の高融点油脂の含有量が30重量%を超えると、口溶けが悪化しやすい。
【0045】
上記の高融点油脂の具体例としては、例えば、パーム油、カカオバター、或いは、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂を水素添加、分別並びにエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂、或いは、各種動植物油脂と脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルとを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
【0046】
本発明の油脂組成物には、さらにその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。その他の成分の配合量は、その配合目的によって適宜な量を選択することができるが、本発明の油脂組成物中において合計で50重量%以下とするのが好ましい。
【0047】
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記乳化剤の配合量は、特に制限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。また、本発明の油脂組成物において、上記乳化剤が必要でなければ、乳化剤を用いなくてもよい。
【0048】
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記増粘安定剤の配合量は、特に制限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。また、本発明の油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
【0049】
次に、本発明の油脂組成物の好ましい製造方法を説明する。
本発明の油脂組成物をスプレー油やフライ油として使用する場合は、その製造方法に特に制限はないが、SMS、MSM及びSSMを、(MSM+SSM)/SMSのモル比率が0.4〜2.5の範囲で含有する油相に、必要によりその他の成分を混合し、冷却することにより得ることが好ましい。
【0050】
本発明の油脂組成物を可塑性を有する油脂組成物とし、練り込み用油脂、ロールイン用油脂、クリーム用油脂等として使用する場合は、その製造方法は特に制限はないが、先ず、SMS、MSM及びSSMを、(MSM+SSM)/SMSのモル比率が0.4〜2.5の範囲で含有する油相に、必要により水相を混合乳化する。そして次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。次に、冷却可塑化する。本発明において、冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上とする。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましいが、本発明では徐冷却であっても、微細なβ型結晶をとり、可塑性範囲が広く、経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物を得ることができる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
【0051】
また、本発明の油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
【0052】
得られた本発明の油脂組成物は、マーガリンタイプでもショートニングタイプでもどちらでもよく、またその乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。また、本発明の油脂組成物は、可塑性油脂組成物とするのが好ましい。
【0053】
また、本発明の油脂組成物を用いた食品とは、本発明の油脂組成物を、例えば、スプレー用、フライ用、練り込み用、ロールイン用、又はクリーム用の油脂として用いて製造した食品である。
【0054】
本発明の油脂組成物は、製菓・製パン用、洋菓子用、調理用等の油脂として使用することができる。本発明の油脂組成物は、これらの中でも、特に製菓・製パン用油脂として好適であり、食パン、菓子パン、デニッシュ、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー製品に、練り込み用、折込み用、フィリング用、サンド用、トッピング用、スプレッド用、スプレー用、コーティング用、フライ用として使用することができる。また、本発明の油脂組成物の上記用途における使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではない。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限されるものではない。
【0056】
(実施例1)
マンゴー核分別中部油21重量%、豚脂分別中部油34重量%及び大豆油45重量%を混合し、混合油(a)を得た。混合油(a)は、SMSを23重量%、MSMを4重量%、SSMを19重量%含有し、(MSM+SSM)/SMS=1.0であった。
【0057】
上記混合油(a)80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と、水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0058】
得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。また、油脂組成物の油相を、70℃で完全溶解し、0℃で30分間保持し、そして5℃で30分間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を行ったところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と、4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度1/ピーク強度2)の比は2.7となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認された。更に、2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であることを確認した。また、得られた油脂組成物は、5℃のレオメーター値が1000g/cmと低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメーター値も1000g/cmと経日的にも硬さが変化せず、安定した油脂組成物であった。
【0059】
(実施例2)
マンゴー核分別中部油24重量%及び豚脂分別軟部油76重量%を混合し、混合油(b)を得た。混合油(b)は、SMSを22重量%、MSMを21重量%、SSMを7重量%含有し、(MSM+SSM)/SMS=1.3であった。
【0060】
上記混合油(b)80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と、水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0061】
得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を実施例1と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と、4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度1/ピーク強度2)の比は3.3となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認された。更に45オングストロームに相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であることを確認した。また、得られた油脂組成物は、5℃のレオメーター値が830g/cmと低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメーター値も830g/cmと経日的にも硬さが変化せず、安定した油脂組成物であった。
【0062】
(実施例3)
カカオバター21重量%、豚脂分別軟部油64重量%及び大豆油15重量%を混合し、混合油(c)を得た。混合油(c)は、SMSを18重量%、MSMを18重量%、SSMを6重量%含有し、(MSM+SSM)/SMS=1.3であった。
【0063】
上記混合油(c)80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と、水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0064】
得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を実施例1と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と、4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度1/ピーク強度2)の比は1.9となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認された。更に48オングストロームに相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であることを確認した。また、得られた油脂組成物は、5℃のレオメーター値が1170g/cmと低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメーター値も1170g/cmと経日的にも硬さが変化せず、安定した油脂組成物であった。
【0065】
(実施例4)
パーム分別中部油44重量%、豚脂分別中部油36重量%及び大豆油20重量%を混合し、混合油(d)を得た。混合油(d)は、SMSを32重量%、MSMを4重量%、SSMを28重量%含有し、(MSM+SSM)/SMS=1.0であった。
【0066】
上記混合油(d)80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と、水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0067】
得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を実施例1と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と、4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度1/ピーク強度2)の比は2.5となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認された。更に45オングストロームに相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であることを確認した。また、得られた油脂組成物は、5℃のレオメーター値が1390g/cmと低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメーター値も1390g/cmと経日的にも硬さが変化せず、安定した油脂組成物であった。
【0068】
(実施例5)
マンゴー核分別中部油25重量%、豚脂50重量%及びナタネ油25重量%を混合し、混合油(e)を得た。混合油(e)は、SMSを24重量%、MSMを11重量%、SSMを13重量%含有し、(MSM+SSM)/SMS=1.0であった。
【0069】
上記混合油(e)80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と、水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0070】
得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を実施例1と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と、4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度1/ピーク強度2)の比は3.2となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認された。更に45オングストロームに相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であることを確認した。また、得られた油脂組成物は、5℃のレオメーター値が1280g/cmと低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメーター値も1280g/cmと経日的にも硬さが変化せず、安定した油脂組成物であった。
【0071】
(実施例6)
通常の急冷可塑化工程での冷却速度は−20℃/分以上であるが、実施例1で用いた乳化物を更に緩慢な冷却条件(冷却速度にして−1℃/分)下で冷却可塑化した。得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を実施例1と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と、4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度1/ピーク強度2)の比は2.7となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認された。更に46オングストロームに相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であることを確認した。また、得られた油脂組成物は、5℃のレオメーター値が1000g/cmと低温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメーター値も1000g/cmと経日的にも硬さが変化せず、安定した油脂組成物であった。
【0072】
(比較例1)
ナタネ油を原料とし、ニッケル触媒を用いて水素添加を行い、融点45℃のナタネ硬化油を得た。このナタネ硬化油は、SMS及びMSMを含有しない油脂であり、更に結晶転移の有無をDSCにより確認したところ、βプライム型をとる油脂であった。確認のため、このナタネ硬化油を60℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出させた油脂結晶について2θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.2オングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認された。
【0073】
このナタネ硬化油55重量%と大豆油45重量%とを混合し、配合油を得た。この配合油はSMS及びMSMを含有しないものであった。次いで、この配合油に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と、水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得られたマーガリンはX線回折測定でもβプライム型をとることを確認した。
【0074】
このマーガリンは、製造直後の段階で5℃のレオメーター値が2000g/cmであったのに対し、1ヶ月経過後には5℃のレオメーター値が3000g/cmとなり、経日的に硬くなることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物であった。
【0075】
(比較例2)
コーン油を原料とし、ニッケル触媒を用いて水素添加を行い、融点36℃のコーン硬化油を得た。このコーン硬化油はSMS及びMSMを含有しない油脂であり、さらに結晶転移の有無をDSCにより確認したところ、βプライム型をとる油脂であった。確認のため、このコーン硬化油を60℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出させた油脂結晶について2θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.2オングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認された。
【0076】
このコーン硬化油70重量%と大豆油30重量%とを混合し、配合油を得た。この配合油はSMS及びMSMを含有しないものであった。次いで、この配合油に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と、水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得られたマーガリンはX線回折測定でもβプライム型をとることを確認した。
【0077】
更に、このマーガリンは急冷可塑化直後の時点では、光学顕微鏡下で5μm以下の微細結晶を呈していたが、1ヶ月経過後には30μmにも達する粗大結晶へと転移を起こし、非常にザラつきを感ずる製品価値の全くないものとなった。また、同時にこのマーガリンは、製造直後の段階で5℃のレオメーター値が1500g/cmであったのに対し、1ヶ月経過後には5℃のレオメーター値が2400g/cmとなり、経日的に硬くなることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物であった。
【0078】
(比較例3)
比較例1で用いた融点45℃のナタネ硬化油18重量%、カカオ脂32重量%及び大豆油50重量%を混合し、混合油を得た。ナタネ硬化油、カカオ脂及び大豆油の各油脂は、いずれも、MSMを含有しない油脂であり、この混合油はSMSを28重量%、SSMを10重量%含有し、MSMを含まず、(MSM+SSM)/SMS=0.36であった。さらに、この混合油についてDSCにより結晶転移の有無を確認したところ、βプライム型をとる油脂であった。確認のため、この混合油を60℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出させた油脂結晶について2θ:17〜26の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.2オングストロームと4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型とβ型の混在をとることが確認された。
【0079】
この混合油に、乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と、水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得られたマーガリンはX線回折測定でもβプライム型とβ型の混在であることを確認した。
【0080】
更に、このマーガリンは急冷可塑化直後の時点では、光学顕微鏡下で5μm以下の微細結晶を呈していたが、1ヶ月経過後には30μmにも達する粗大結晶へと転移を起こし、非常にザラつきを感ずる製品価値の全くないものとなった。また、同時にこのマーガリンは、製造直後の段階で5℃のレオメーター値が900g/cmであったのに対し、1ヶ月経過後には5℃のレオメーター値が2800g/cmとなり、経日的に硬くなることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物であった。また、その可塑性範囲は著しく狭いもので満足のいくものではなかった。
【0081】
これらの結果から明らかなように、SMS、MSM及びSSMを含有しないβプライム型結晶油脂を用いた比較例1及び2の油脂組成物では、経日的な変化が認められ結晶安定性の点で問題がある。また、比較例3に示した油脂組成物では、SMS及びSSMを含有し、一部β型結晶を示したものの、MSMを含有しておらず、(MSM+SSM)/SMS=0.4以下であり、微細結晶でもないため、結晶安定性に乏しく、可塑性範囲が著しく狭いものであった。
【0082】
これに対し、油相がSMS、MSM及びSSMを含有し、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶を含有する実施例1〜6の油脂組成物は、低温でも軟らかく、可塑性範囲の広い、なお且つ経日的に硬さが変化することのない、結晶安定性に優れた油脂組成物であり、また、これらの油脂組成物の原料油脂は、従来より広範な油脂の中から選択されたものであった。
【0083】
【発明の効果】
本発明の油脂組成物は、SMS、MSM及びSSMを含有し、(MSM+SSM)/SMSのモル比率が0.4〜2.5の範囲にあり、且つSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶を含有することを特徴とし、該油脂組成物は、製造する際に特殊な温度管理をしなくても安定結晶を含有するものである。また、本発明の油脂組成物は、低温でも軟らかく、可塑性範囲の広い、なお且つ経日的にも硬さが変化せず安定な油脂組成物であり、従来よりも広範な油脂原料を用いて提供されるものである。

Claims (6)

  1. SMS(S:飽和脂肪酸、M:モノ不飽和脂肪酸、以下同じ)で表されるトリグリセリド(以下SMSと表す)、MSMで表されるトリグリセリド(以下MSMと表す)、及びSSMで表されるトリグリセリド(以下SSMと表す)を含有し、(MSM+SSM)/SMSのモル比率が0.4〜2.5の範囲にあり、且つSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶を含有することを特徴とする油脂組成物。
  2. SMSが、分別及び/又はエステル交換処理を施して、SMSの含有量を高めた加工油脂に由来するものであることを特徴とする請求項1記載の油脂組成物。
  3. 可塑性を有することを特徴とする請求項1又は2記載の油脂組成物。
  4. SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶の合計含有量が、全油脂分中、5重量%以上である請求項1〜3の何れかに記載の油脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の油脂組成物の製造方法であって、SMS、MSM及びSSMを、(MSM+SSM)/SMSのモル比率が0.4〜2.5となるように含有する油相を冷却して、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶及びSMSとSSMとからなるコンパウンド結晶を析出させることを特徴とする油脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の油脂組成物を用いた食品。
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