JP3508101B2 - 油脂組成物 - Google Patents
油脂組成物Info
- Publication number
- JP3508101B2 JP3508101B2 JP2000265205A JP2000265205A JP3508101B2 JP 3508101 B2 JP3508101 B2 JP 3508101B2 JP 2000265205 A JP2000265205 A JP 2000265205A JP 2000265205 A JP2000265205 A JP 2000265205A JP 3508101 B2 JP3508101 B2 JP 3508101B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- weight
- fat
- crystals
- type
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Edible Oils And Fats (AREA)
- Fats And Perfumes (AREA)
Description
脂として、練り込み用途、折り込み用途、サンド・フィ
リング用途、スプレー・コーティング用途、フライ用
途、油脂性菓子用途(チョコレート等)等に適した物性
・機能を有する油脂組成物に関する。
マーガリン、ショートニング等の可塑性油脂に使用され
る油脂は、“マーガリンショートニングラード“(P3
24、中澤君敏著:株式会社光琳発行)に記載の『マー
ガリン、ショートニングは常温で結晶性脂肪をもつ可塑
性物質と定義されるが、そのためその物理性は主に稠
度、可塑性及び結晶構造に関連する。物理的にその結晶
状態はAlfaは蝋状(アセトグリセリドの如き)、B
etaは粗結晶、そしてBeta−primeは微粒状
である。融点ではAlfa、Beta−prime、B
etaの順に高くなる。マーガリン、ショートニング組
成の望ましい結晶状態はBeta−primeといわれ
ている。』の通り、その結晶状態はβプライム型のもの
が良好とされ、用いられてきた。
乳化安定性に寄与し、良好な稠度を示す。反面このβプ
ライム型結晶はエネルギー的には準安定形であるため、
保存条件等が適切でない場合等には、さらにエネルギー
的に安定なβ型結晶へと転移現象を引き起こすという欠
点があった。このβ型結晶は最安定形であるため、これ
以上の転移現象を起こすことはないが、一般に結晶サイ
ズが大きく、グレイニングやブルームと呼ばれる粗大結
晶粒を形成し、ザラつきや触感の悪さを呈し、製品価値
の全くないものになってしまう。
も、結晶サイズの比較的小さなものも知られている。例
えば、カカオ脂のV型結晶がこれに相当し、実質はSO
S、POS等の対称型トリグリセリドのβ2型結晶であ
る。しかしながら、これらの結晶サイズの比較的小さな
β型結晶を得るには、テンパリングと呼ばれる特殊な熱
処理工程を経る必要があったり、所定温度まで冷却した
後、結晶核となる特定成分を加える等、極めて煩雑な工
程を要するものであった。結果として通常の可塑性油脂
を製造するような急冷可塑化工程では、当該結晶は得ら
れないのが実状である。また、カカオ脂のV型結晶は可
塑性に乏しいものである。
え経日的に硬くなる傾向があり、結晶の析出方法や保存
方法等を細かく管理しなければならなかった。
ギー的にも安定で、且つ微細な結晶を得る目的で、これ
迄にも種々の提案がなされてきた。特公昭51−976
3号公報には、特定のトリグリセリド比率とすることに
より、β型結晶を得る方法が開示されている。また特公
昭58−13128号公報では、エステル交換反応によ
り油脂のグレイニングを抑制する方法が、そして特開平
10−295271号公報には、高融点油脂を配合する
ことにより微細な結晶を維持させる方法がそれぞれ開示
されている。さらに特公平6−14836号公報では、
StEEを含む特定のトリグリセリド比率とすることに
より、SUSの安定結晶を得る方法が開示されている。
の方法では、β型結晶を得るのにテンパリング操作が必
要とされ、特公昭58−13128号公報及び特開平1
0−295271号公報の方法では、得られた組成物は
経日的に硬くなる傾向があり、油脂組成物として安定性
の点で十分に満足の得られるものではなかった。また、
特公平6−14836号公報の方法は、SUSの安定結
晶を得る方法であり、S2Uを12〜35%含有し、S
US:SSUの比が0.6〜2.0の範囲にある脂肪混
和物であった。
特殊な温度管理を必要とせず、しかも可塑性範囲が広
く、経日的にも硬さが変化せず安定な油脂組成物を提供
することにある。
t:ステアリン酸、E:エライジン酸)で表されるトリ
グリセリドを全油脂分中5重量%以上含有し、且つSU
S(S:炭素原子数16以上の飽和脂肪酸、U:炭素原
子数18以上の不飽和脂肪酸)で表されるトリグリセリ
ドの含有量が全油脂分中2重量%以下であり、StEE
で表されるトリグリセリドが20μm以下のサイズの油
脂結晶であることを特徴とする可塑性油脂組成物によ
り、上記の目的を達成したものである。
て詳細に説明する。
るトリグリセリド(以下、StEEとする)を含有し、
且つ実質的にSUSで表されるトリグリセリド(以下、
SUSとする)を含まないことを特徴とする。
ン酸、Eはエライジン酸をそれぞれ示し、グリセリンの
1位にステアリン酸残基、2及び3位にエライジン残基
を有する、1−ステアロ−2,3−ジエライジック−ト
リグリセライドを指す。また上記のSUSにおいて、S
は炭素原子数16以上の飽和脂肪酸、Uは炭素原子数1
8以上の不飽和脂肪酸を示す。
定なα型結晶から、準安定形のβプライム型結晶を経由
せず、最安定形のβ型結晶に直接転移するトリグリセリ
ドである。即ち本発明に用いるStEEを含有する油脂
組成物は如何なる冷却条件であっても、β型結晶として
析出する。また本発明のStEEを含有する油脂組成物
は、β型結晶を析出させる油脂の結晶化工程においてテ
ンパリング等の特殊な熱処理を必要としない。
が必要であり、StEEを含有しない油脂を用いた場合
には、経日的に硬くなる傾向があり、結晶の析出方法や
保存方法等を細かく管理しなければ油脂組成物としては
好ましくないものとなる。
ない。ここで言う、「実質的にSUSを含まない」と
は、全油脂分中SUS含量が2重量%以下、最も好まし
くは1重量%以下であることを指す。本発明の油脂組成
物において実質的にSUSを含んでしまうと、経日的に
硬くなるので好ましくない。上記SUSのSは炭素数1
6以上の飽和脂肪酸を示し、具体的には、パルミチン
酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等が挙げ
られる。Uは炭素鎖18以上の不飽和脂肪酸を示し、具
体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイ
コセン酸、エルシン酸等が挙げられる。
ることが好ましい。上記の微細結晶とは、油脂の結晶が
微細であることであり、口にしたり、触った際にもザラ
つきを感ずることのない結晶であることを意味し、20
μm以下、好ましくは10μm以下、最も好ましくは3
μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記サイズとは、
結晶の最大部位の長さを示すものである。
であることが好ましい。この「実質的に微細結晶である
こと」とは、全てのStEEのうち、微細結晶を好まし
くは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以
上、最も好ましくは99重量%以上含有することを指
す。
を用いた場合には、口にしたり、触った際にザラつきを
感じやすく、液状油成分を保持することが困難となり製
品の油滲みを起こしやすく、水相成分を有する油中水型
乳化とした際には、水相成分を油脂結晶により、形成さ
れる3次元構造中に維持できない恐れがある。
EEを含有するものであれば、どのようなものでも構わ
ない。
油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、
ナタネ油、米油、ひまわり油、サフラワー油、牛脂、乳
脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、サル脂、マンゴ脂、
コクム脂、イリッペ脂等の各種植物油脂、動物油脂並び
にこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択さ
れる1又は2以上の処理を施した加工油脂から選ばれた
1種又は2種以上を挙げることができる。これらのう
ち、ひまわり油、サフラワー油、サル脂分別油の中から
選ばれた1種又は2種以上を水素添加、分別及びエステ
ル交換から選択される1又は2以上の処理を施した油脂
を用いるのが好ましい。さらに好ましくはハイオレイッ
クひまわり硬化油、ハイオレイックサフラワー硬化油、
サル分別軟部油の硬化油又はこの硬化油の分別硬部油を
用いることが望ましい。
EEを含有する油脂を油脂組成物の全油脂分中、5重量
%以上、好ましくは10重量%以上、最も好ましくは3
0重量%以上を使用する。StEEを含有する油脂の使
用量が、油脂組成物の全油脂分中、5重量%未満である
と経日的に20μmを超えたサイズを有するβ型結晶が
出現しやすく、経日的に硬くなりやすい。
Eを含有しない油脂を添加しても良い。StEEを含有
しない油脂を添加する場合には、StEEを含有しない
油脂は、油脂組成物の全油脂分中、好ましくは95重量
%以下、さらに好ましくは90重量%以下、最も好まし
くは70重量%以下である。
ことができる成分としては、例えば、水、乳化剤、増粘
安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、
グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビ
ア、アスパルテーム等の甘味料、β―カロチン、カラメ
ル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等
の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物、蛋白
卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調
整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒ
ー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウ
ダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材
や食品添加物が挙げられる。
ステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン
有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステ
アロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン
類等が挙げられ、この中から選ばれた1種又は2種以上
を用いることができる。上記乳化剤の配合量は、特に制
限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0.0
5〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%であ
る。また本発明の油脂組成物において、上記乳化剤が必
要でなければ、乳化剤を用いなくてもよい。
ーカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、ア
ルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タ
マリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セル
ロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉
等が挙げられ、この中から選ばれた1種又は2種以上を
用いることができる。上記増粘安定剤の配合量は、特に
制限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜
10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。ま
た本発明の油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要
でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
明する。本発明は、StEEを含有し、実質的にSUS
を含有しない油相を、冷却することにより製造される。
この際、熱エネルギー的に不安定なα型結晶から、準安
定形のβプライム型結晶を経由せず、最安定形のβ型結
晶に直接転移するトリグリセリドであるStEEを含有
しているため、特殊な温度管理を必要としない。
製造する場合は、例えば次のような方法で製造すること
ができる。まず、StEEを含有する油脂を用いた油
相、必要により水相を混合乳化する。そして、次に殺菌
処理するのが望ましい。殺菌方法はタンクでのバッチ式
でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用い
た連続式でも構わない。次に、冷却、必要により可塑化
する。本発明において冷却条件は好ましくは−0.5℃
/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上とする。こ
の際、徐冷却より急速冷却の方が好ましいが、本発明で
は徐冷却であっても、微細なβ型結晶をとり、可塑性範
囲が広く、経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成
物を得ることができる。冷却する機器としては、密閉型
連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネー
ター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート
型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラ
ーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
る際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させ
ても、させなくても構わない。
ーガリンタイプでもショートニングタイプでもどちらで
もよく、またその乳化形態は、油中水型、水中油型、及
び二重乳化型のいずれでも構わない。
ン、デニッシュ、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、ク
ッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベ
ーカリー製品に練り込み用、折込み用、フィリング用、
サンド用、トッピング用、スプレッド用、スプレー用、
コーティング用、フライ用として使用することができる
他、油脂性菓子用として種々の食品に使用することもで
きる。また、本発明の油脂組成物の上記用途における使
用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定さ
れるものではない。
明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限さ
れるものではない。
用いて水素添加を行い融点40℃の硬化油(a)を得
た。硬化油(a)はStEEを26重量%含有し、SU
S含量は2重量%以下であった。硬化油(a)の結晶転
移の有無をDSCにより確認したところ、βプライム型
をとらずにβ型結晶をとる油脂であった。確認のため、
硬化油(a)を60℃以上の温度で完全融解した後、5
℃で結晶析出させたものを2θ:17〜26度の範囲で
X線回折測定を実施したところ、4.6オングストロー
ムの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結
晶はβ型をとることが確認された。また光学顕微鏡で、
この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の
微細な結晶であった。
%とを混合した。この配合油のStEE含量は18重量
%、SUS含量は2重量%以下であった。次いで、この
配合油に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.
5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相8
1重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重
量%とを常法により、油中水型の乳化物(b)とし、急
冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリン
を得た。
μm以下の微細油脂結晶であり、X線回折測定でもβ型
をとることを確認した。また得られたマーガリンは5℃
のレオメーター値が1000g/cm2と低温でも軟ら
かくて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1000g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例1で用いた
乳化物(b)をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして
−1℃/分)下で、冷却可塑化した。
と同様に、3μm以下の微細なβ型結晶をとり、5℃の
レオメーター値が1200g/cm2と低温でも軟らか
くて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での5℃
のレオメーター値も1200g/cm2と経日的にも硬
さが変化せず安定した油脂組成物であった。
添加を行い沃素価59の硬化油(c)を得た。硬化油
(c)はStEEを11重量%含有し、SUS含量は2
重量%以下であった。硬化油(c)の結晶転移の有無を
DSCにより確認したところ、βプライム型をとらずに
β型結晶をとる油脂であった。確認のため、硬化油
(c)を60℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結
晶析出させたものを2θ:17〜26度の範囲でX線回
折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面
間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβ
型をとることが確認された。また光学顕微鏡で、この油
脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な
結晶であった。
%とを混合した。この配合油のStEE含量は8重量
%、SUS含量は2重量%以下であった。次いで、この
配合油に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.
5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相8
1重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重
量%とを常法により、油中水型の乳化物(d)とし、急
冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリン
を得た。
μm以下の微細油脂結晶であり、X線回折測定でもβ型
をとることを確認した。また得られたマーガリンは5℃
のレオメーター値が1000g/cm2と低温でも軟ら
かくて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1000g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例3で用いた
乳化物(d)をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして
−1℃/分)下で、冷却可塑化した。
と同様に、3μm以下の微細なβ型結晶をとり、5℃の
レオメーター値が1100g/cm2と低温でも軟らか
くて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での5℃
のレオメーター値も1100g/cm2と経日的にも硬
さが変化せず安定した油脂組成物であった。
を用いて水素添加を行い沃素価38の硬化油(e)を得
た。硬化油(e)はStEEを10重量%含有し、SU
S含量は2重量%以下であった。硬化油(e)の結晶転
移の有無をDSCにより確認したところ、βプライム型
をとらずにβ型結晶をとる油脂であった。確認のため、
硬化油(e)を60℃以上の温度で完全融解した後、5
℃で結晶析出させたものを2θ:17〜26度の範囲で
X線回折測定を実施したところ、4.6オングストロー
ムの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油脂結
晶はβ型をとることが確認された。また光学顕微鏡で、
この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の
微細な結晶であった。
%とを混合した。この配合油のStEE含量は7重量
%、SUS含量は2重量%以下であった。次いで、この
配合油に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.
5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相8
1重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重
量%とを常法により、油中水型の乳化物(f)とし、急
冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリン
を得た。
μm以下の微細油脂結晶であり、X線回折測定でもβ型
をとることを確認した。また得られたマーガリンは5℃
のレオメーター値が1300g/cm2と低温でも軟ら
かくて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1300g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例5で用いた
乳化物(f)をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして
−1℃/分)下で、冷却可塑化した。
と同様に、3μm以下の微細なβ型結晶をとり、5℃の
レオメーター値が1500g/cm2と低温でも軟らか
くて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での5℃
のレオメーター値も1500g/cm2と経日的にも硬
さが変化せず安定した油脂組成物であった。
の異性化水素添加を行い沃素価54の硬化油とし、次い
でこの硬化油をドライ分別により分画し、分別硬部油
(g)を得た。分別硬部油(g)はStEEを74重量
%含有し、SUS含量は2重量%以下であった。分別硬
部油(g)の結晶転移の有無をDSCにより確認したと
ころ、βプライム型をとらずにβ型結晶をとる油脂であ
った。確認のため、分別硬部油(g)を60℃以上の温
度で完全融解した後、5℃で結晶析出させたものを2
θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したとこ
ろ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回
折線が得られ、この油脂結晶はβ型をとることが確認さ
れた。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察
したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
重量%とを混合した。この配合油のStEE含量は26
重量%、SUS含量は1重量%以下であった。次いで、
この配合油に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド
0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油
相81重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳
2重量%とを常法により、油中水型の乳化物(h)と
し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マー
ガリンを得た。
m以下の微細油脂結晶であり、X線回折測定でもβ型を
とることを確認した。また得られたマーガリンは5℃の
レオメーター値が1300g/cm2と低温でも軟らか
くて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での5℃
のレオメーター値も1300g/cm2と経日的にも硬
さが変化せず安定した油脂組成物であった。
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例7で用いた
乳化物(h)をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして
−1℃/分)下で、冷却可塑化した。
と同様に、3μm以下の微細なβ型結晶をとり、5℃の
レオメーター値が1500g/cm2と低温でも軟らか
くて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での5℃
のレオメーター値も1500g/cm2と経日的にも硬
さが変化せず安定した油脂組成物であった。
(a)70重量%と大豆油30重量%とを混合した。こ
の配合油のStEE含量は18重量%、SUS含量は2
重量%以下であった。次いで、この配合油を急冷可塑化
工程(−20℃/分以上)にかけ、ショートニングを得
た。
で、3μm以下の微細油脂結晶であり、X線回折測定で
もβ型をとることを確認した。また得られたショートニ
ングは5℃のレオメーター値が1100g/cm2と低
温でも軟らかくて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経
過後での5℃のレオメーター値も1100g/cm2と
経日的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であっ
た。
冷却速度は−20℃/分以上であるが、実施例9で用い
た硬化油(a)70重量%と大豆油30重量%の混合物
をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして−1℃/分)
下で、冷却可塑化した。
化時と同様に、3μm以下の微細なβ型結晶をとり、5
℃のレオメーター値が1200g/cm2と低温でも軟
らかくて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での
5℃のレオメーター値も1200g/cm2と経日的に
も硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
い、融点35℃の魚油硬化油を得た。この魚油硬化油を
DSCにより結晶転移の有無を確認したところ、βプラ
イム型をとる油脂であった。確認のため、この魚油硬化
油を60℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析
出させたものを2θ:17〜26度の範囲でX線回折測
定を実施したところ、4.2オングストロームの面間隔
に対応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプラ
イム型をとることが確認された。
いた硬化油(a)30重量%とを混合した。この配合油
のStEE含量は8重量%、SUS含量は1重量%以下
であった。次いで、この配合油を急冷可塑化工程(−2
0℃/分以上)にかけ、ショートニングを得た。
で、3μm以下の微細油脂結晶であり、X線回折測定で
もβ型をとることを確認した。また得られたショートニ
ングは5℃のレオメーター値が800g/cm2と低温
でも軟らかくて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過
後での5℃のレオメーター値も800g/cm2と経日
的にも硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
冷却速度は−20℃/分以上であるが、実施例11で用
いた魚油硬化油70重量%と硬化油(a)30重量%の
混合物をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして−1℃
/分)下で、冷却可塑化した。
化時と同様に、3μm以下の微細なβ型結晶をとり、5
℃のレオメーター値が1000g/cm2と低温でも軟
らかくて可塑性範囲が広く、製造から1ヶ月経過後での
5℃のレオメーター値も1000g/cm2と経日的に
も硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
行い、融点45℃のナタネ硬化油を得た。このナタネ硬
化油はStEEを含有しない油脂であり、さらに結晶転
移の有無をDSCにより確認したところ、βプライム型
をとる油脂であった。確認のため、このナタネ硬化油を
60℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出さ
せたものを2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を
実施したところ、4.2オングストロームの面間隔に対
応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム
型をとることが確認された。
重量%とを混合した。この配合油はStEEを含有せ
ず、またSUSも含まないものであった。次いで、この
配合油に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.
5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相8
1重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重
量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑
化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得
た。
プライム型をとることを確認した。このマーガリンは、
製造直後の段階で5℃のレオメーター値が2000g/
cm 2であったのに対し、1ヶ月経過後には5℃のレオ
メーター値が3000g/cm2となり、経日的に硬く
なることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物であっ
た。
行い、融点36℃のコーン硬化油を得た。このコーン硬
化油はStEEを含有しない油脂であり、さらに結晶転
移の有無をDSCにより確認したところ、βプライム型
をとる油脂であった。確認のため、このコーン硬化油を
60℃以上の温度で完全融解した後、5℃で結晶析出さ
せたものを2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を
実施したところ、4.2オングストロームの面間隔に対
応する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム
型をとることが確認された。
重量%とを混合した。この配合油はStEEを含有せ
ず、またSUSも含まないものであった。次いで、この
配合油に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.
5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相8
1重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重
量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑
化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンを得
た。
プライム型をとることを確認した。さらにこのマーガリ
ンは急冷可塑化直後の時点では、光学顕微鏡下で5μm
以下の微細結晶を呈していたが、1ヶ月経過後には30
μmにも達する粗大結晶へと転移を起こし、非常にザラ
つきを感ずる製品価値の全くないものとなった。また、
同時にこのマーガリンは、製造直後の段階で5℃のレオ
メーター値が1500g/cm2であったのに対し、1
ヶ月経過後には5℃のレオメーター値が2400g/c
m2となり、経日的に硬くなることが認められ、安定性
の乏しい油脂組成物であった。
とカカオ脂32重量%及び大豆油50重量%とを混合し
た。ナタネ硬化油、カカオ脂、大豆油の各油脂はStE
Eを含有しない油脂であり、この混合油はStEEを含
まず、SUS含量は28重量%であった。さらに、この
混合油をDSCにより結晶転移の有無を確認したとこ
ろ、βプライム型をとる油脂であった。確認のため、こ
の混合油を60℃以上の温度で完全融解した後、5℃で
結晶析出させたものを2θ:17〜26度の範囲でX線
回折測定を実施したところ、4.2オングストロームと
4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折線
が得られ、この油脂結晶はβプライム型とβ型の混在を
とることが確認された。
モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を
混合溶解した油相81重量%と水16重量%、食塩1重
量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳
化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にか
け、マーガリンを得た。
プライム型とβ型の混在であることを確認した。さらに
このマーガリンは急冷可塑化直後の時点では、光学顕微
鏡下で5μm以下の微細結晶を呈していたが、1ヶ月経
過後には30μmにも達する粗大結晶へと転移を起こ
し、非常にザラつきを感ずる製品価値の全くないものと
なった。また、同時にこのマーガリンは、製造直後の段
階で5℃のレオメーター値が900g/cm2であった
のに対し、1ヶ月経過後には5℃のレオメーター値が2
800g/cm2となり、経日的に硬くなることが認め
られ、安定性の乏しい油脂組成物であった。また、その
可塑性範囲は著しく狭いもので満足のいくものではなか
った。
Eを含有しない油脂を用いた比較例1及び2では、経日
的な変化が認められ結晶安定性の点で問題がある。また
比較例3に示した組成物ではSUS含量が4%を超え、
一部β結晶を示したものの、StEEを含有していない
ので、結晶安定性に乏しく、可塑性範囲が著しく狭いも
のであった。
いた実施例1〜10の組成物では低温でも軟らかく可塑
性範囲が広く、なお且つ経日的に硬さが変化せず、結晶
安定性に優れた油脂組成物であった。さらにStEEを
含有する油脂とβプライム型結晶である油脂を併用した
実施例11及び実施例12の組成物においても、低温で
軟らかく可塑性範囲が広く、なお且つ経日的に硬さが変
化せず、結晶安定性に優れた油脂組成物であった。
有し、且つ実質的にSUSで表されるトリグリセリドを
含まない本発明の油脂組成物は、製造する際に、特殊な
温度管理を必要とせず、しかも低温でも軟らかく可塑性
範囲が広く、なお且つ経日的にも硬さが変化せず安定で
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 StEE(St:ステアリン酸、E:エ
ライジン酸)で表されるトリグリセリドを全油脂分中5
重量%以上含有し、且つSUS(S:炭素原子数16以
上の飽和脂肪酸、U:炭素原子数18以上の不飽和脂肪
酸)で表されるトリグリセリドの含有量が全油脂分中2
重量%以下であり、StEEで表されるトリグリセリド
が20μm以下のサイズの油脂結晶であることを特徴と
する可塑性油脂組成物。 - 【請求項2】 StEE(St:ステアリン酸、E:エ
ライジン酸)で表されるトリグリセリドを含有し、実質
的にSUS(S:炭素原子数16以上の飽和脂肪酸、
U:炭素原子数18以上の不飽和脂肪酸)で表されるト
リグリセリドを含有しない油相を、冷却し、結晶化さ
せ、請求項1記載の可塑性油脂組成物を製造することを
特徴とする可塑性油脂組成物の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の可塑性油脂組成物を用い
た食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000265205A JP3508101B2 (ja) | 2000-09-01 | 2000-09-01 | 油脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000265205A JP3508101B2 (ja) | 2000-09-01 | 2000-09-01 | 油脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002069483A JP2002069483A (ja) | 2002-03-08 |
JP3508101B2 true JP3508101B2 (ja) | 2004-03-22 |
Family
ID=18752498
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000265205A Expired - Fee Related JP3508101B2 (ja) | 2000-09-01 | 2000-09-01 | 油脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3508101B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003061397A1 (fr) * | 2002-01-23 | 2003-07-31 | Asahi Denka Co., Ltd. | Composition a base de matieres grasses |
KR100516789B1 (ko) * | 2003-04-14 | 2005-09-26 | 주식회사 두산 | 라드 지질 조성물 및 그 제조방법 |
-
2000
- 2000-09-01 JP JP2000265205A patent/JP3508101B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002069483A (ja) | 2002-03-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7435441B2 (en) | Fat composition | |
JP2005350660A (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP4155743B2 (ja) | ロールイン用油脂組成物 | |
JP4493268B2 (ja) | 乳脂肪含有ロールイン用油脂組成物 | |
JP2007252203A (ja) | 離型油組成物 | |
JP5107094B2 (ja) | 固形ルウ用油脂組成物 | |
JP6041080B1 (ja) | 新規なロールインマーガリン | |
JP4877775B2 (ja) | 可塑性油脂組成物の製造方法 | |
JP4841136B2 (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP4338347B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP3641197B2 (ja) | 油脂組成物及びその製造方法 | |
JP4514378B2 (ja) | 焼き菓子用油脂組成物 | |
JP2005320445A (ja) | パームステアリン含有可塑性油脂組成物 | |
JP3566636B2 (ja) | ロールイン用油脂組成物 | |
JP4376043B2 (ja) | 固形ルウ | |
JP3621029B2 (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP3508101B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP6519279B2 (ja) | 新規なロールインマーガリン | |
JP2003213291A (ja) | 油脂組成物 | |
JP4082896B2 (ja) | クリーム用油脂組成物 | |
JP4651270B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP4245303B2 (ja) | 油脂組成物の製造方法 | |
JP2007267654A (ja) | 製パン練込用油脂組成物 | |
JP4799379B2 (ja) | 油中水型乳化油脂組成物 | |
JP2004305048A (ja) | ペストリー練り込み用油脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20031212 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 3508101 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080109 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090109 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100109 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100109 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110109 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120109 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130109 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |