JP2007267654A - 製パン練込用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 多量の乳化剤および酵素を用いなくとも、製パン時の作業性が良く、ソフト性と歯切れが良好で、且つ、良好な老化耐性を有するパンを得ることができる製パン練込用油脂組成物を提供すること。【解決手段】 直接β型の油脂結晶を5〜50質量%、グリセリン脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%含有し、乳化剤の総質量が7.5質量%未満である製パン練込用油脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、製パン時の作業性が良く、ソフト性と歯切れが良好で、且つ、良好な老化耐性を有するパンを得ることができる製パン練込用油脂組成物に関する。
以前より、製パン時の生地物性の改良や、パンの食感改良については、乳化剤、増粘剤、酵素等様々な手法を用いた研究がなされている。その中でも、上記成分を油脂中に分散させた油脂組成物は、様々なパン生地に対し普遍的に使用することができる点で有利であることから、多くの研究がなされている。
例えば、全脂肪酸残基に対して不飽和脂肪酸残基75%以上である液状油50〜85重量部に、乳化剤10〜30重量部と増粘多糖類0.1〜10重量部を含有させた製パン練込用油脂組成物(例えば特許文献1参照)、グリセリン脂肪酸エステル1〜55重量%とプロピレングリコール脂肪酸エステルを含むその他の界面活性剤0.5〜45重量%、酵素、増粘剤を含有する油脂組成物(例えば特許文献2参照)などが提案されている。
しかし、特許文献1に記載の油脂組成物は、大量の液状油と乳化剤を使用するため、良好な可塑性を有さず、パン生地への練込時に十分にパン生地に分散しない問題、また生地物性も悪いものであることに加え、得られたパンも歯切れが悪く、風味が悪いという欠点があった。また、特許文献2に記載の油脂組成物は、酵素を含むものであるため、パン生地が経時的に軟化するため作業性が悪く、また、得られるパンもねちゃつきやすく歯切れも悪いという欠点があった。
ところで、油脂そのものの配合により、パンの食感改良を行なう発明として、直接β型結晶である油脂を、全油脂分中、5重量%以上含有する可塑性油脂組成物(例えば特許文献3参照)、S1US2(S1及びS2は飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリドとUS3U(S3は飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリドとからなるコンパウンド結晶を含有することを特徴とする製パン練込用油脂組成物(例えば特許文献4参照)などが提案されている。
しかし、これらの油脂組成物では、製パン時の生地物性や、食感、特に歯切れについて十分な改良がなされず、また、老化防止効果も十分なものではなかった。
特開2005−48号公報 特開平03−292848号公報 特開2002−38190号公報 特開2003−210107号公報
従って、本発明の目的は、多量の乳化剤や酵素を用いなくとも、製パン時の作業性が良く、ソフト性と歯切れが良好で、且つ、良好な老化耐性を有するパンを得ることができる製パン練込用油脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく、各種検討を行ったところ、直接β型油脂結晶を含有し、且つ2種の乳化剤を含有する油脂組成物を使用することで、上記目的を達成可能であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいて得られたもので、直接β型の油脂結晶を5〜50質量%、グリセリン脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%含有し、乳化剤の総質量が7.5質量%未満である製パン練込用油脂組成物を提供するものである。
本発明の製パン練込用油脂組成物を使用するにより、製パン時の作業性が良く、ソフト性と歯切れが良好で、且つ、良好な老化耐性を有するパンを得ることができる。
本発明の製パン練込用油脂組成物は、直接β型の油脂結晶を5〜50質量%含有する。先ず、上記の直接β型の油脂結晶について説明する。
直接β型の油脂結晶とは、油脂結晶を融解し、冷却し、結晶化したときに、熱エネルギー的に不安定なα型結晶から、準安定形のβプライム型を経由せず、最安定形のβ型結晶に直接転移する油脂結晶のことである。この際、上記の結晶化条件は如何なる結晶化条件であってもよく、テンパリング等の特殊な熱処理を必要としない。
ただし、本発明の製パン練込用油脂組成物は、油相中に直接β型の油脂結晶を5〜50質量%含有していれば、直接β型の油脂結晶でない油脂結晶、例えばβプライム型の油脂結晶を含有していてもよい。
なお、油脂結晶が直接β型であることを確認する方法としては、油脂結晶を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が、β型結晶であることを確認する方法が挙げられる。
上記の油脂結晶がβ型結晶であることを確認する方法としては、例えば、X線回析測定において、以下のように短面間隔を測定する方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回析ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)及び4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
また、上記の直接β型の油脂結晶は、トリグリセリド分子のパッキング状態が2鎖長構造であることが好ましい。油脂結晶が2鎖長構造であることを確認する方法としては、例えばX線回析測定による方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
尚、従来のマーガリンやショートニング等の可塑性油脂に用いられている油脂結晶を70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶は、2鎖長構造であるが、準安定形のβプライム型である。また、主にチョコレート等の油脂性菓子に用いられるカカオ脂も、70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶は、2鎖長構造であるが、準安定形のβプライム型である。
また、上記の直接β型の油脂結晶は、実質的に微細結晶であることが好ましい。上記の微細結晶とは、油脂の結晶が微細であることであり、口にしたり、触った際にもザラつきを感ずることのない結晶であることを意味し、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm、最も好ましくは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記サイズとは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
上記の直接β型の油脂結晶の結晶サイズが20μmを越えた油脂結晶であると、該油脂結晶を含有する製パン練込用油脂組成物を口にしたり、触った際にザラつきを感じやすい。
なお、「実質的に」とは、全ての直接β型の油脂結晶のうち微細結晶を90質量%以上含有することを指す。
上記の直接β型の油脂結晶の1つめの例として、StEE(St:ステアリン酸、E:エライジン酸)で表されるトリグリセリド(以下StEEとする)の油脂結晶が挙げられる。
StEEの油脂結晶は、本発明の製パン練込用油脂組成物の油相中、5質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上20質量%以下となるように含有させる。
本発明の製パン練込用油脂組成物中に、好ましくは上記のような範囲で、StEEの油脂結晶を含有させるために、本発明ではStEEを含有する油脂を用いることができる。
上記のStEEを含有する油脂としては、例えば、大豆油、ひまわり油、シア脂、サル脂の中から選ばれた1種又は2種以上に水素添加及び分別から選択される1又は2種類の処理を施した加工油脂を用いることができる。さらに好ましくは、ハイオレイックひまわり硬化油、シア分別軟部油の硬化油又はこの硬化油の分別硬部油、サル分別軟部油の硬化油又はこの硬化油の分別硬部油を用いることが望ましい。
また、上記の直接β型の油脂結晶の2つめの例として、S1MS2(S1及びS2は飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリド(以下S1MS2とする)と、MS3M(S3は飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリド(以下MS3Mとする)とからなるコンパウンド結晶が挙げられる。
上記のS1MS2のS1及びS2並びにMS3MのS3は、好ましくは炭素数16以上の飽和脂肪酸であり、さらに好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸である。また、本発明において、上記のS1、S2及びS3が、同じ飽和脂肪酸であるのが最も好ましい。
また、上記のS1MS2のM及びMS3MのMは、好ましくは炭素数16以上のモノ不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数18以上のモノ不飽和脂肪酸、最も好ましくはオレイン酸である。
上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶とは、構造の異なるS1MS21分子とMS3M1分子とが混合された際、あたかも単一のトリグリセリド分子であるかの如き結晶化挙動を示すものである。コンパウンド結晶は分子間化合物とも呼ばれる。
本発明の製パン練込用油脂組成物において、上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶は、本発明の製パン練込用油脂組成物の油相中、5質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上20質量%以下となるように含有させる。
また、本発明の製パン練込用油脂組成物の油相中、上記のS1MS2の含有量は、好ましくは2.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは2.5質量%以上15質量%以下、最も好まし
くは2.5質量%以上10質量%以下であり、上記のMS3Mの含有量は、好ましくは2.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは2.5質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以上10質量%以下である。
さらに、本発明の製パン練込用油脂組成物において、MS3Mのモル数/S1MS2のモル数が、好ましくは0.4〜7.0、さらに好ましくは0.8〜5.0となるように含有させる。
本発明の製パン練込用油脂組成物中に、好ましくは上記のような範囲で、S1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶を含有させるために、本発明ではS1MS2を含有する油脂及びMS3Mを含有する油脂を混合して用いてもよい。
上記のS1MS2を含有する油脂としては、例えば、パーム油、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、デュパー脂、モーラー脂、フルクラ脂、チャイニーズタロー等の各種植物油脂、これらの各種植物油脂を分別した加工油脂、並びに下記に記載するエステル交換油、該エステル交換油を分別した加工油脂を用いることができる。本発明では、上記の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記のエステル交換油としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
本発明の製パン練込用油脂組成物においては、上記のS1MS2を含有する油脂として、口溶け風味、酸化安定性の点において、パーム油、パームステアリン、パームオレイン、パーム中部油などのパーム系油脂、及びこれらのパーム系油脂を用いて製造したエステル交換油のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
上記のMS3Mを含有する油脂としては、例えば、豚脂、豚脂分別油、下記に記載するエステル交換油を用いることができ、本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記のエステル交換油としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
本発明の製パン練込用油脂組成物においては、上記のMS3Mを含有する油脂として、口溶け、風味と酸化安定性の点において、パーム油や、パームステアリン、パームオレイン、パーム中部油などのパーム系油脂を用いて製造したエステル交換油のうちの1種又は2種以上を使用することがより好ましく、中でも、口溶けが良好である点、及び上記S1MS2をも含有する点において、パームオレイン、及び/又は、パーム中部油を70%以上含有する油脂配合物をエステル交換して得られたエステル交換油を使用することがさらに好ましい。
本発明の製パン練込用油脂組成物において、上記のS1MS2を含有する油脂は、本発明の製パン練込用油脂組成物の油相中、S1MS2が好ましくは2.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは2.5質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以上10質量%以下となるよう含有させ、上記のMS3Mを含有する油脂は、本発明の製パン練込用油脂組成物の油相中、MS3Mを好ましくは2.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは2.5質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以上10質量%以下となるよう含有させる。
本発明の製パン練込用油脂組成物においては、直接β型の油脂結晶として、1つめの例として挙げた上記StEEの油脂結晶、及び2つめの例として挙げたS1MS2とMS3Mで表されるトリグリセリドとからなるコンパウンド結晶のどちらを用いてもよく、また両者を併用してもよいが、トランス酸を含まなくても製造できる点で、後者のコンパウンド結晶を使用することがより好ましい。
本発明の製パン練込用油脂組成物の油相は、上記StEE、上記S1MS2、上記MS3M、上記StEEを含有する油脂、上記S1MS2を含有する油脂、及び、上記MS3Mを含有する油脂のうちの1種又は2種以上を適宜組み合わせ、直接β型の油脂結晶を油相中に5質量%以上含有するように配合することにより得ることができる。
なお、本発明の製パン練込用油脂組成物において、その他の油脂を用いても良い。その他の油脂を用いる場合、その他の油脂の含有量は、本発明の製パン練込用油脂組成物の油相中、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、最も好ましくは80質量%以下とする。その他の油脂としては、通常の加工食品に用いられる食用油脂であれば、特に限定されず、動物油脂、植物油脂等の天然油脂、及びこれらの油脂の部分硬化油脂、完全硬化油脂、分別油脂、エステル交換油脂、ランダムエステル交換油脂等の単独あるいは混合油脂が使用出来る。
また、本発明の製パン練込用油脂組成物は、トランス酸を実質的に含有しないことが好ましい。
水素添加は油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、これによって得られる水素添加油脂は、完全水素添加油脂を除いて、通常構成脂肪酸中にトランス酸が10〜50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス酸を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものが要求されている。
ここでいう「実質的に」とは、トランス酸含量が、本発明の製パン練込用油脂組成物の全構成脂肪酸中、好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満、最も好ましくは2質量%未満であることを意味する。
本発明では、直接β型結晶を得る際に、StEEではなく、S1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶を使用することで、水素添加油脂を使用せずとも良好なコンステンシーを有するため、上記その他の油脂として部分硬化油脂を使用しないことで、トランス酸を実質的に含有しない製パン練込用油脂組成物を簡単に得ることができる。
さらに、本発明の製パン練込用油脂組成物においては、上記油脂と下記乳化剤を合計した油分含量が好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であることが、良好な生地物性が得られる点で好ましい。油分含量が50質量%未満であると、製パン時の生地改良効果が十分でなくなるおそれがある。なお、上記油分含量は、本発明の製パン練込用油脂組成物において下記のその他の成分を使用する場合は、その中に含まれる油分も算入して算出する。
ここで、ある製パン練込用油脂組成物が、直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法について述べる。
まず、第1の方法として、ある製パン練込用油脂組成物の油相のトリグリセリド組成を分析し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、例えば、StEE、又はS1MS2及びMS3Mの油相中の含有量を測定し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリドが油相中に含有されていること、好ましくはその含有量が前記範囲内にあることを確認することにより、製パン練込用油脂組成物が直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法が挙げられる。
また、第2の方法として、油相中に上記直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、例えば、StEE、又はS1MS2及びMS3Mを含有している油脂が配合されていること、好ましくは上記StEE、又はS1MS2及びMS3Mが油相中に前記範囲内の含有量となるように配合されていることを確認する方法が挙げられる。
更に、より簡単な方法である第3の方法として、ある製パン練込用油脂組成物の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを確認することによって、製パン練込用油脂組成物が直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法が挙げられる。
なお、第3の方法において、製パン練込用油脂組成物の油相の油脂結晶が下に示すような微細結晶であることが確認された場合は、油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを確認することによって、直接β型の油脂結晶を含有していることを確認することができる。この場合、ある製パン練込用油脂組成物中の直接β型の油脂結晶の含有量が多いほど、5℃での保持時間が短くても、得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶となるため、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることよりも、5℃で4日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに好ましく、5℃で1日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが一層好ましく、5℃で1時間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに一層好ましく、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが最も好ましい。
上記の第3の方法において、5℃での保持期間後に得られた油脂結晶がβ型結晶であること、2鎖長構造であることを確認する方法としては、上記のX線回析測定による方法を用いるものとする。
また、本発明の製パン練込用油脂組成物は、グリセリン脂肪酸エステルとプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する。
本発明におけるグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の炭素数12〜22の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸が挙げられる。特に飽和脂肪酸が好ましく、炭素数14〜22の飽和脂肪酸が最も好ましい。これら脂肪酸は単一または2種以上の混合系で構成されていてもよい。
また上記のグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルなどの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。これらのグリセリン脂肪酸エステルのうち、好ましくはモノグリセリン脂肪酸エステルを用いるのが望ましい。
本発明の製パン練込用油脂組成物中のグリセリン脂肪酸エステルの含有量は0.1〜7.3質量%、好ましくは0.5〜7.0質量%、さらに好ましくは1.0〜5.0質量%、最も好ましくは2.0〜3.0質量%とする。グリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.1質量%未満であると
、ソフトなパンが得られないことに加え、老化耐性の劣るパンになってしまう。また、7.3質量%を超えると得られるパンがねちゃついたものとなってしまう。
本発明の製パン練込用油脂組成物中のプロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量は、0.1〜7.3質量%、好ましくは0.5〜7.0質量%、さらに好ましくは1.0〜5.0質量%、最も好ましくは2.0〜3.0質量%とする。プロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量が0.1質量%未満であると、パンの歯切れが悪化してしまうことに加え、老化耐性の劣るパンになってしまう。また、7.3質量%を超えると得られるパンがねちゃついたものとなってしまう。
なお、上記のグリセリン脂肪酸エステルとプロピレングリコール脂肪酸エステルの質量比率は、好ましくは1:7〜7:1、さらに好ましくは1:3〜3:1、最も好ましくは1:2〜2:1とする。
さらに本発明では、上記グリセリン脂肪酸エステルとプロピレングリコール脂肪酸エステル以外のその他の乳化剤を含有してもよい。
上記その他の乳化剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄の天然乳化剤の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の製パン練込用油脂組成物では、上記グリセリン脂肪酸エステルとプロピレングリコール脂肪酸エステル、及び、その他の乳化剤を全て併せた乳化剤の総質量が7.5質量%未満、好ましくは0.2〜7.4質量%、さらに好ましくは2.0〜7.0質量%、最も好ましくは4.0〜5.0質量%とする。乳化剤の総質量が7.5質量%以上であると得られるパンがねちゃついたものとなってしまう。
本発明の製パン練込用油脂組成物は増粘安定剤を含有するのが好ましい。上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。これらのうち本発明ではキサンタンガムまたはグルコマンナンまたはカラギーナンを用いるのが好ましく、さらに好ましくはキサンタンガムまたはグルコマンナンを用いるのが好ましく、最も好ましくはキサンタンガムを用いるのが望ましい。
本発明の製パン練込用油脂組成物において上記の増粘安定剤の含有量は、好ましくは0.1〜10.0質量%、さらに好ましくは2.0〜3.0質量%である。増粘安定剤の含有量が0.1質量%未満であると、しとり感に乏しいパンとなってしまうおそれがあり、また10質量%を超えると得られるパンがねちゃついたものとなってしまう。
その他、本発明の製パン練込用油脂組成物に含有させることができる成分としては、例えば、水、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、牛乳・練乳・脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・乳脂肪球皮膜蛋白質・バター・クリーム・ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・発酵乳等の乳や乳製品、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
次に、本発明の製パン練込用油脂組成物の好ましい製造方法を説明する。
本発明の製パン練込用油脂組成物は、直接β型の油脂結晶が5〜50質量%となるトリグリセリドを含有する油相にグリセリン脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%添加し、乳化剤の総質量が7.5質量%未満となるようにし、これを加熱した後、冷却し、結晶化させることにより製造することができる。
詳しくは、本発明の製パン練込用油脂組成物は、直接β型の油脂結晶が5〜50質量%となるトリグリセリドを含有する油脂を混合した油相に、必要により水相を混合乳化する。乳化剤はグリセリン脂肪酸エステルとプロピレングリコール脂肪酸エステルは油相に添加し、その他の乳化剤は油相または水相に添加し、乳化剤の総質量が製パン練込用油脂組成物中、7.5%未満となるように添加する。そして、次に殺菌処理するのが望ましい。
殺菌方法はタンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。次に、冷却し、結晶化する。本発明において、冷却条件は好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上である。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましいが、本発明では徐冷却であっても、微細なβ型結晶をとり、可塑性範囲が広く、経日的にも硬さが変化せず安定した製パン練込用油脂組成物を得ることができる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等の油脂組成物製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
また、本発明の製パン練込用油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
本発明の製パン練込用油脂組成物は、食パン生地、菓子パン生地、デニッシュ・ペストリー生地、イーストドーナツ生地等のパン生地に、練込用として使用することができる。
また、上記用途における本発明の製パン練込用油脂組成物の使用量は、使用用途により異なるものであり特に限定されるものではないが、パン生地に使用する穀粉類100質量部に対し本発明の製パン練込用油脂組成物を、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜15質量部である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<製パン練込用油脂組成物の製造>
〔実施例1〕 パームステアリンと、パームオレインのランダムエステル交換油と、菜種油とを、11/44/45の質量比で配合した混合油95.5質量%を溶解し、モノグリセリン脂肪酸エステル(構成脂肪酸はステアリン酸)1.0質量%と、プロピレングリコール脂肪酸エステル(構成脂肪酸はステアリン酸)1.0質量%を添加、溶解後、更にキサンタンガム2.5質量%を分散混合した。そして、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、15℃まで冷却し、純植物性ショートニングタイプの製パン練込用油脂組成物1を得た。
得られた製パン練込用油脂組成物1の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ1.5となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、製パン練込用油脂組成物1は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。
さらに、この油脂結晶について、2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また、得られた製パン練込用油脂組成物1の油相中において、SMSで表されるトリグリセリド(以下SMSという)の含有量は7.5質量%で、MSMで表されるトリグリセリド(以下MSMという)の含有量は8.6質量%であり、SMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は15.0質量%であり、MSM/SMSのモル比は0.87であった。(Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸、Mは炭素数18以上のモノ不飽和脂肪酸を示す。)
さらに、ガスクロマトグラフで測定したところ、製パン練込用油脂組成物1の全構成脂肪酸中、トランス酸含量は1質量%未満であった。
〔実施例2〕 実施例1における混合油を92.5質量%に、モノグリセリン脂肪酸エステルを2.5質量%に、プロピレングリコール脂肪酸エステルを2.5質量%に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、製パン練込用油脂組成物2を得た。
〔実施例3〕 実施例1における混合油を95質量%に、モノグリセリン脂肪酸エステルを2.5質量%に、プロピレングリコール脂肪酸エステルを2.5質量%に変更し、さらにキサンタンガムを無添加とした以外は実施例1と同様の配合・製法で、製パン練込用油脂組成物3を得た。
〔実施例4〕実施例1における混合油を88.5質量%に、モノグリセリン脂肪酸エステルを3.5質量%に、プロピレングリコール脂肪酸エステルを3.5質量%に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、製パン練込用油脂組成物4を得た。
〔比較例1〕実施例1における混合油を81.5質量%に、モノグリセリン脂肪酸エステルを8質量%に、プロピレングリコール脂肪酸エステルを8質量%に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、製パン練込用油脂組成物5を得た。
〔比較例2〕 実施例1における混合油を95質量%に、モノグリセリン脂肪酸エステルを無添加に、プロピレングリコール脂肪酸エステルを2.5質量%に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、製パン練込用油脂組成物6を得た。
〔比較例3〕 実施例1における混合油を95質量%に、モノグリセリン脂肪酸エステルを2.5質量%に、プロピレングリコール脂肪酸エステルを無添加に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、製パン練込用油脂組成物7を得た。
〔比較例4〕実施例1における混合油を97.5質量%に、モノグリセリン脂肪酸エステルと、プロピレングリコール脂肪酸エステルを無添加に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、製パン練込用油脂組成物8を得た。
〔比較例5〕 実施例1における混合油を、パーム油と菜種油とを60/40の質量比で配合した混合油に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、製パン練込用油脂組成物9を得た。得られた製パン練込用油脂組成物9の油相を実施例1と同様の方法でX線回折測定を実施したところ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認され、製パン練込用油脂組成物9は直接β型の油脂結晶を含有していないことがわかった。
〔比較例6〕 実施例1における混合油95.5質量%を、菜種油81.5質量%に変更し、さらに、モノグリセリン脂肪酸エステルを8質量%に、プロピレングリコール脂肪酸エステルを8質量%に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、製パン練込用油脂組成物10を得た。菜種油はStEE、S1MS2MS3Mのいずれも含有しないため、製パン練込用油脂組成物10は直接β型の油脂結晶を
含有していないことがわかった。
上記実施例1〜4及び比較例1〜6で得られた製パン練込用油脂組成物1〜10を用いて、下記に示す配合及び製法によりプルマン型食パンを製造し、分割・丸目時の生地作業性、得られた食パンの食感(ソフト性、歯切れ、しとり感)について、下記評価基準に従って4段階で評価し、結果を表1に示した。また、得られたプルマン型食パンの1部は5℃の冷蔵庫で2日保管したのち、食パンの食感(しとり感)について同様に評価し、これを老化耐性の評価とし、その結果も併せて表1に記載した。
<プルマン型食パンの配合・製法> 強力粉(イーグル:日本製粉製)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、さらに、強力粉(イーグル:日本製粉製)30質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.5質量部、水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分ミキシングした。ここで、製パン用練込用油脂組成物8質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行なった。次いで、ベンチタイムを20分とった後、 モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマン型食パンを得た。
<評価基準>・生地作業性 ◎:べとつきもなく伸展性もよく、極めて良好な作業性であった。 ○:良好な作業性であった。 △:ややべとつきが感じられるか、又は、やや伸展性が悪く、若干劣る作業性であった。 ×:べとつきがあるか、又は、伸展性が悪く、作業性が劣るものであった。・食感(ソフト性) ◎:きわめて良好 ○:良好 △:やや悪い ×:悪い・食感(歯切れ) ◎:きわめて良好 ○:良好 △:ややねちゃつく ×:ねちゃつきが激しい・食感(しとり感) ◎:きわめて良好 ○:良好 △:やや悪い ×:悪い
Figure 2007267654
上記表1の結果からわかるとおり、直接β型の油脂結晶を5〜50質量%、グリセリン脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%含有し、乳化剤の総質量が7.5質量%未満である製パン練込用油脂組成物を使用した実施例1〜4で得られたプルマン型食パンは、作業性、食感、老化耐性とも良好であった。
それに対し、乳化剤含量が高い比較例1の製パン練込用油脂組成物を使用して得られたプルマン型食パンは、ねちゃついた食感で歯切れが悪いものであり、また生地作業性も悪いものであった。
また、グリセリン脂肪酸エステルを含有しない比較例2の製パン練込用油脂組成物を使用して得られたプルマン型食パンは、歯切れは良好であるが、老化耐性が悪いものであり、生地作業性も劣るものであった。また、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含有しない比較例3の製パン練込用油脂組成物を使用して得られたプルマン型食パンは、ねちゃつきがあり歯切れが悪いものであった。さらに、グリセリン脂肪酸エステルもプロピレングリコール脂肪酸エステルも含有しない比較例4の製パン練込用油脂組成物を使用して得られたプルマン型食パンは、ソフト性も歯切れも劣るものであり、また老化耐性も悪く、加えて生地作業性も劣るものであった。
さらに直接β型の油脂結晶を含有しない比較例5の製パン練込用油脂組成物を使用して得られたプルマン型食パンは、ソフト性が劣り、また老化耐性も悪いものであり、加えて生地作業性も劣るものであった。
なお直接β型の油脂結晶を含有せず液状油を使用した比較例6の製パン練込用油脂組成物を使用して得られたプルマン型食パンは、ねちゃついた食感で歯切れが悪いものであり、加えて生地作業性も劣るものであった。

Claims (2)

  1. 直接β型の油脂結晶を5〜50質量%、グリセリン脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%、プロピレングリコール脂肪酸エステルを0.1〜7.3質量%含有し、乳化剤の総質量が7.5質量%未満である製パン練込用油脂組成物。
  2. 増粘安定剤を0.1〜10質量%含有する請求項1記載の製パン練込用油脂組成物。
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