JP4186375B2 - 可塑性油脂 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパン、菓子の食感と風味の向上に効果を示すショートニングやマーガリンの製造に適した可塑性油脂に関するものである。
【0002】
また本発明は、該可塑性油脂と水素添加やエステル交換などの化学変化による加工油脂ではない天然油脂とからなる可塑性油脂組成物の提供に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
ラードは安価で安定供給可能な油脂であり、独特の風味と良好なショートニング性を有するため、パイや焼き菓子に適した可塑性油脂として知られている。
【0004】
しかしラードは融点が高い割には固体脂含量(SFC)が低く、また急冷捏和してもコシが弱いため、特にパイやデニッシュの生地への折り込みに用いられるロールインマーガリンには多量に配合できなかった。
【0005】
ロールインマーガリンは、生地への折り込み作業でリバースシーターによる圧延に耐えられる機械耐性が要求される。その為には20℃以下での低温に於いて、ある程度の可塑性を有し且つコシが強く粘りがあることが必要である。
【0006】
また、30〜40℃での生地の発酵時に折り込まれた油脂が溶解しない融点が必要であり、一般的には融点が34〜40℃の範囲が望ましいとされている。油脂の融点が低い場合には、発酵時に溶解した油脂が生地に吸収されてしまい、パイの層がきれいに浮かないという問題が生じる。
【0007】
つまり、ロールインマーガリンに使われる油脂は、比較的高融点であり且つ低温で可塑性を有する特徴が必要である。この様な特性を得るためにロールインマーガリンは硬質油脂、軟質油脂、液状油脂の3種類の油脂を配合して可塑性を調整しており、実際には融点が35℃以上の硬化油が多く配合されている。
【0008】
従って、ロールインマーガリンは硬化油の配合割合が高い為、硬化油に由来するトランス型脂肪酸が比較的多く含まれている。トランス型脂肪酸は天然油脂中には殆ど存在しない脂肪酸であり、トランス型脂肪酸が生体に与える栄養学上の影響については健康への影響は無いと考えられている。
【0009】
しかしながら、トランス型脂肪酸を殆ど含まない、いわゆるゼロトランス脂肪酸の食用油脂への要望が強まっており、この様な要望に対して従来はエステル交換油や極度硬化油の利用が一般的であった。
【0010】
例えば特開平9−143490では魚油の極度硬化油とパーム核油またはヤシ油の極度硬化油とを配合したゼロトランス脂肪酸の可塑性油脂組成物が開示されている。
【0011】
また特開平11−289976ではラード或いはラード分別油と、炭素数22の飽和脂肪酸を含むハイエルシン酸ナタネ油や魚油等の極度硬化油とのエステル交換油がゼロトランス脂肪酸の可塑性油脂として開示されている。
【0012】
これらの例は実質的にトランス型脂肪酸を含まない油脂組成物であるが、水素添加やエステル交換といった化学変化による加工油脂を使用するものであり、昨今の天然原料への指向の高まりを鑑みると、今後はゼロトランス脂肪酸に留まらず化学変化によらない天然油脂への要望が高まると予想される。
【0013】
化学変化によらない油脂加工方法として分別が挙げられる。油脂の分別とは溶融した油脂を冷却しながら高融点の成分を結晶化させ、濾過または遠心により結晶部と液状部とに固液分離する方法であり、油脂のトリグリセリドの物理変化に基づいた油脂の加工方法である。
【0014】
油脂の分別は常温で固体である牛脂、パーム油、シア脂、サル脂等で従来から行われている。これらの油脂はステアリン画分(高融点部)、中融点画分、オレイン画分(低融点部)に分別することができる。
【0015】
特にこれらの油脂の中融点画分は非常にシャープな融解特性を示すことからチョコレート製造でのカカオバター代用脂として使用されている。
【0016】
一方、これらの油脂のステアリン画分は非常に硬質であるためそのままでは食用油脂としての用途は限られており、牛脂やパーム油のステアリン画分は主に界面活性剤などの高級アルコールの原料として用いられているのが現状である。
【0017】
上記の油脂以外に分別に供し得る油脂としてラードが挙げられるが、ラードは牛脂やパーム油に比べて分別の難しい油脂として知られている。
【0018】
ラードの分別では、結晶の析出時に牛脂やパーム油の分別で実施される様な急速冷却を行うと、析出した結晶が凝集して固液分離が困難となる。その為結晶の析出時に冷却を非常に緩慢に行う必要があり、従来のラードの分別方法は長時間を要する効率の悪い工程であった。
【0019】
牛脂やパーム油の分別と、ラードの分別とで結晶の析出形態が異なる原因の一として、牛脂やパーム油には結晶化するトリグリセリドとしてSSP、SPP、PPP(S;ステアリン酸、P;パルミチン酸)などの3飽和型トリグリセリド以外に、SOPやPOP(S;ステアリン酸、O;オレイン酸、P;パルミチン酸)等の対称型ジ飽和モノオレイックトリグリセリドが多く、それに対してラードには3飽和型トリグリセリド以外にSPOやPPO等の非対称型ジ飽和モノオレイックトリグリセリドが多いことが挙げられる。
【0020】
この非対称型トリグリセリドのPPOには結晶化の阻害作用が認められており、ラードの分別に於いて急冷の条件下でを結晶析出を行った場合、均一な形状の結晶が析出せず固液分離が悪化すると考えられる。
【0021】
この様にラードの分別は生産性が悪く、製造コストの点で特殊な用途にのみ利用が限られていた。例えばラードオレイン画分は消化吸収性の優れた油脂として育児用粉乳に利用されている。しかし、マーガリンやショートニングの様な安価で大量供給が必要な汎用の食用油脂には殆ど利用されていなかった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
安価で安定供給が可能なラードを効率的に分別し、その分別油をショートニングやマーガリン製造用の可塑性油脂として使用することによってコストの低減を図ると共に、ラードの良好な風味やショートニング性を活かしパン、菓子の風味と食感の向上を図る。
【0023】
また、エステル交換や水素添加の化学変化による加工油脂ではない分別油と天然油脂とからなる可塑性油脂組成物を提供する。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはラード分別の改良方法として、ラードに対称型トリグリセリドに富む油脂、つまりラード以外の分別油の結晶部を添加する分別方法により、固液分離の良好な結晶を効率的に析出させる方法を既に見出している。この方法により安価なラード分別油の供給が可能となり、ショートニングやマーガリン製造用の可塑性油脂として利用を図るべく鋭意検討した。
【0025】
本発明者らは、ショートニングやマーガリンの製造に於いて、従来使用していた硬化油の替わりにラード分別油ステアリン画分(以下ラードステアリンと称する)を使用して、パン、菓子の製造に適したショートニングやマーガリンが得られることを見出した。
【0026】
また、ラードステアリンとそれ以外の天然油脂とを配合することにより、化学変化を伴わない天然油脂からなるショートニングやマーガリンを製造することが出来るようになった。
【0027】
即ち、本発明は、ラードに対しパーム油中融点部を5%以上添加した混合油脂を、完全に溶融し、冷却して結晶析出を行い、固液分離する工程により、分別して得られたステアリン画分を含んでなる、マーガリンまたはショートニング製造用可塑性油脂に関する。
【0029】
好ましい実施態様としては、ラードの分別により得られたステアリン画分の融点が35℃以上であることを特徴とする上記記載の可塑性油脂に関する。
【0030】
別の好ましい実施態様としては、上記いずれかに記載のラードの分別により得られたステアリン画分と、それ以外の天然油脂を含んでなり、油分中の前記ステアリン画分の配合割合が30重量%以上であるマーガリンまたはショートニング製造用可塑性油脂組成物に関する。
【0031】
別の更に好ましい実施態様としては、前記の天然油脂として、水素添加やエステル交換によるトリグリセリドの脂肪酸残基の化学変化を伴わない動物性油脂または植物性油脂を用いてなる上記記載の可塑性油脂組成物に関する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳述する。
【0033】
尚、以下の説明において「%」および「部」は特に断らない限り「重量%」および「重量部」を意味する。
【0034】
本発明に於いて用いるラードとは精製ラードであり、豚の何れの部分から得られたラードでもよい。
【0035】
本発明でのラードの分別方法はラード単品を徐冷却で結晶析出させる従来の分別方法でも構わないが、望ましくはラードと、ラード以外の油脂を分別して得られた結晶部との混合油脂を分別する方法が効率的である。ラード以外の油脂を分別して得られた結晶部とは、牛脂、パーム油、シア脂、サル脂等の固体脂を分別して得られた対称型トリグリセリドに富む結晶部であり、ラードに対して5%以上を添加するのが好ましい。添加量が5%未満の場合は分別操作で良好なろ過性が得にくく分別操作の効率が向上しにくい。
【0036】
分別方法は溶剤分別、無溶剤分別の何れの方法でも構わないが、得られるステアリン画分の特性はオレイン画分の混入が多い無溶剤分別によるものでも十分満足するものである。従って設備コストの有利な無溶剤分別法が望ましい。
【0037】
ラードを主とする混合油脂を完全に溶融し、撹拌しながら3〜10℃/時間の冷却速度で30℃以下まで冷却し結晶析出を行う。ステアリン画分の収量を上げるために所定の温度で数時間維持することが望ましい。固液分離は吸引濾過、圧搾または遠心分離により行う。
【0038】
この様にして得られるラードステアリンは融点が35℃以上、望ましくは融点が40℃以上である。ラードステアリンの融点がそれ以下であると、ラードステアリンと他の油脂との配合組立の幅が狭くなり好ましくない。
【0039】
ラードステアリンは従来の精製ラードや硬化ラードと同様に、フライ用、調理用、カレールー用等の食用油脂として使用しても良いが、ラードの風味やショートニング性を活かすために、パン、菓子製造用のショートニング、マーガリンの可塑性油脂組成物として使用することが出来る。
【0040】
即ち、従来ショートニングやマーガリンに使用されていた動物性硬化油や植物性硬化油の代替としてラードステアリンを使用することが出来る。
【0041】
また、ラードステアリンとそれ以外の天然油脂とを配合することにより、硬化油やエステル交換油の様な化学変化による加工油脂ではない天然油脂に由来するショートニングやマーガリン製造用の可塑性油脂組成物を提供することが出来る。
【0042】
本発明におけるラードステアリン以外の天然油脂とは、水素添加やエステル交換によるトリグリセリドの脂肪酸残基の化学変化を伴わない動物性油脂または植物性油脂である。
【0043】
例えば、ナタネ油、大豆油、コーン油、綿実油、米糠油、ヒマワリ油、サフラワー油等の常温で液状を呈する植物油や、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、ラード等の固体脂、或いはそれらの分別油が挙げられる。
【0044】
これらの天然油脂とラードステアリンとの配合割合は特に制限はなく目的に応じて油脂配合を選定すればよいが、ラードの風味やショートニング性の効果が現れるには油分中のラードステアリンの配合割合が30%以上であることが望ましい。
【0045】
また本発明の可塑性油脂にレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を添加してショートニングやマーガリンの製造に供することが出来る。
【0046】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
精製ラード(融点34℃)90部とパーム油中融点部(融点32.2℃、沃素価36)10部との混合油脂を5℃/時間の速度で25℃まで撹拌冷却し更に20℃で2時間静置した後、吸引濾過により固液分離を行いラードステアリン40部を得た。
【0048】
(比較例1)
精製牛脂(融点41.5℃)100部を5℃/時間の速度で25℃まで撹拌冷却し直ちに吸引濾過により固液分離を行い牛脂ステアリン45部を得た。
【0049】
(比較例2)
精製パーム油(融点34.5℃、沃素価53)100部を5℃/時間の速度で25℃まで撹拌冷却し直ちに吸引濾過により固液分離を行いパームステアリン45部を得た。
【0050】
(比較例3)
マーガリンやショートニング製造用の可塑性油脂として一般的に使用されている硬化大豆油(融点40℃、沃素価65)の特性を示した。実施例1および比較例1〜3のステアリン画分の融点とSFCを表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004186375
比較例1の牛脂ステアリンおよび比較例2のパームステアリンは、30℃の高温でもSFCが40%以上で、可塑性が殆どない硬質な油脂であった。従って、牛脂ステアリンやパームステアリンをショートニング、マーガリンの製造に多量に使用した場合、可塑性の乏しい硬質な品質となり望ましくない。
【0052】
また、比較例3の硬化大豆油は牛脂ステアリンやパームステアリンと比較して25℃以下ではSFCが高く硬質であったが30℃以上ではSFCが低く軟化した。従って、硬化大豆油の様な植物性硬化油は他の液状油や軟質油脂と配合することによりショートニングやマーガリン製造用の可塑性油脂として使用することができ、ショートニングやマーガリンの耐熱性の向上に効果がある。但し、植物性硬化油はショートニングやマーガリンに多量に配合すると低温での可塑性を損なう恐れがある。
【0053】
一方、実施例1のラードステアリンは牛脂ステアリンやパームステアリンとは異なり、30℃ではSFCが30%以下でありショートニングやマーガリンの作業性が良好な可塑性であった。またラードステアリンは硬化大豆油よりも全体的にSFCが低く軟質であり、ラードステアリンはショートニングやマーガリン製造用の可塑性油脂として、硬化大豆油等の植物性硬化油よりも多量に配合することが可能である。
【0054】
(実施例2)
実施例1で得られたラードステアリン50部と天然油脂であるパーム油30部およびナタネ油20部の配合油脂を油相原料とし、乳化剤としてレシチン0.4部とステアリン酸モノグリセリド0.4部を添加し、水20部を加えて撹拌し油中水型の乳化物を調整した。更に公知の方法で急冷捏和してマーガリンを製造した。
【0055】
(比較例4)
比較例1の牛脂ステアリン50部とパーム油30部およびナタネ油20部の配合油脂を原料とし、実施例2と同様に乳化剤と水を加えた乳化物を急冷捏和しマーガリンを製造した。
【0056】
(比較例5)
比較例2のパームステアリン50部とパーム油30部およびナタネ油20部の配合油脂を原料とし、実施例2と同様に乳化剤と水を加えた乳化物を急冷捏和しマーガリンを製造した。
【0057】
(比較例6)
比較例3の硬化大豆油50部とパーム油30部及びナタネ油20部の配合油脂を原料とし、実施例2と同様に乳化剤と水を加えた乳化物を急冷捏和しマーガリンを製造した。
【0058】
実施例および比較例のマーガリンはペネトロメーター(J.I.S.)により各温度での針入度(ペネトレイション)を測定し可塑性を評価した。その結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
Figure 0004186375
表2より実施例2のラードステアリンを使用したマーガリンは比較例6の硬化大豆油を使用したマーガリンよりもやや軟質であり低温でも作業性の良い適度な可塑性を有する品質であった。
【0060】
それに対して比較例4の牛脂ステアリンや比較例5のパームステアリンを使用したマーガリンは全体的に硬く好ましい品質ではなかった。
【0061】
(実施例3)
実施例2のラードステアリンを使用したマーガリンを用いてビスケットを表3に示す配合により試作した。ビスケットの重要な食感である「歯もろさ」を評価するため、ナイフ刃の割り金具を装着したレオメーターにより破断強度を測定した。
【0062】
【表3】
Figure 0004186375
(比較例7)
比較例4の牛脂ステアリンを使用したマーガリンを用いて実施例3と同様の方法によりビスケットを試作した。
【0063】
(比較例8)
比較例5のパームステアリンを使用したマーガリンを用いて実施例3と同様の方法によりビスケットを試作した。
【0064】
(比較例9)
比較例6の硬化大豆油を使用したマーガリンを用いて実施例3と同様の方法によりビスケットを試作した。
【0065】
実施例3および比較例7〜9のビスケットの評価結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
Figure 0004186375
ラードステアリンを主原料とするマーガリンを用いて作製した実施例3のビスケットは比較例7〜9のビスケットに比べて、破断強度が低く割れ易い物性であり、「歯もろさ」の良好な食感であると言える。このことはラードの良好なショートニング性を反映しているものと考えられる。
【0067】
(実施例4)
実施例2のラードステアリンを使用したマーガリンを用いてパイを表5に示す配合により試作した。マーガリンをシート状に成形してパイ生地に折り込み、そのロールイン性の評価として焼成したパイの内層を観察した。
【0068】
【表5】
Figure 0004186375
(比較例10)
比較例4の牛脂ステアリンを使用したマーガリンを用いて実施例4と同様の方法によりパイを試作した。
【0069】
(比較例11)
比較例5のパームステアリンを使用したマーガリンを用いて実施例4と同様の方法によりパイを試作した。
【0070】
(比較例12)
比較例6の硬化大豆油を使用したマーガリンを用いて実施例4と同様の方法によりパイを試作した。
【0071】
実施例4および比較例10〜12のパイの評価結果を表6に示す。
【0072】
【表6】
Figure 0004186375
ラードステアリンを主原料とするマーガリンで作製した実施例4のパイは、従来の硬化大豆油を使用した比較例12の場合と同様に良好な内層を形成しており、ロールイン性に適した物性であると言える。また、パイの風味については、実施例4のパイは比較例12に比べて良好であった。
【0073】
一方、比較例10、11の牛脂ステアリンやパームステアリンを主原料としたマーガリンは可塑性の乏しい硬い品質であるため、マーガリンの延展性が悪く生地への折り込みが不均一で生地の損傷も生じていた。その結果、焼成したパイの内層もムラが多く不良であった。
【0074】
【発明の効果】
本発明のラードの分別によって得られたラードステアリンを含んでなる可塑性油脂はショートニングやマーガリンの製造用の油脂として好適な特性を有し、ラードステアリンを使用したショートニングやマーガリンをパン、菓子の製造に用いることによりパン、菓子の風味と食感の向上に効果が認められる。
【0075】
また、本発明の可塑性油脂は、ラードステアリンとそれ以外の天然油脂とを配合することにより、天然油脂からなる可塑性油脂としてショートニングやマーガリンの製造に供することが出来る。

Claims (4)

  1. ラードに対しパーム油中融点部を5%以上添加した混合油脂を、完全に溶融し、冷却して結晶析出を行い、固液分離する工程により、分別して得られたステアリン画分を含んでなる、マーガリンまたはショートニング製造用可塑性油脂。
  2. 前記ステアリン画分の融点が35℃以上であることを特徴とする請求項1記載の可塑性油脂。
  3. ラードに対しパーム油中融点部を5%以上添加した混合油脂を、完全に溶融し、冷却して結晶析出を行い、固液分離する工程により、分別して得られたステアリン画分と、それ以外の天然油脂を含んでなり、油分中の前記ステアリン画分の配合割合が30重量%以上であるマーガリンまたはショートニング製造用可塑性油脂組成物。
  4. 前記の天然油脂として、水素添加やエステル交換によるトリグリセリドの脂肪酸残基の化学変化を伴わない動物性油脂または植物性油脂を用いてなる請求項3記載の可塑性油脂組成物。
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