JP4426643B2 - 硬質脂肪 - Google Patents

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Description

本発明は、ラウリン脂肪の優れた口溶けを活かした硬質脂肪、及び該硬質脂肪を使用したマーガリン・ショートニング類に関するものである。
ヤシ油やパーム核油に代表されるラウリン酸に富んだラウリン脂肪は、淡白な食味と優れた口溶けを有する脂肪であり、従来から、チョコレート、マーガリン・ショートニング、ホイップクリーム、アイスクリーム等の油性食品の原料として使用されてきた。ラウリン脂肪をマーガリン・ショートニング類の原料油脂として使用する場合は、優れた口溶けの代償として、適度な可塑性を有する温度域が狭いという欠点を有するため、その配合量には限度があり、結果として優れた口溶けを活かしきれないというジレンマがあった。
ラウリン脂肪の優れた口溶けを保持しつつ適度な可塑性を有する温度域を広げる試みとして、ラウリン脂肪と炭素数が16以上の飽和脂肪酸を有する固体脂肪とをエステル交換する技術(例えば、特許文献1、2)が知られている。しかし、これらの技術では、エステル交換油脂自体は口溶けが良好なものの、マーガリン・ショートニング類の原料として液体油等と配合されてしまうと、ラウリン脂肪独特の口溶けというものは呆けてしまい、なお十分に活かしきれない状況であった。
また、トリラウリンやトリミリスチンといったトリグリセリドの単一性を高め、35℃近傍までは良好な可塑性を有し、体温で速やかに融解する特質を持たせたパフペストリーマーガリン(例えば、特許文献3)も提案されている。しかし、特許文献3で提案された技術では、トリグリセリド構成脂肪酸中のラウリン酸及びミリスチン酸含量を90質量%(以下、本願において%とは質量%のことを指すものとする)以上に高めるにはエステル合成が必要であり、天然油脂を原料とした分別・エステル交換等の加工技術では困難であることから、経済的に見合わないものであった。
従って、可塑性が良好で、ラウリン脂肪の特質を活かしたマーガリン・ショートニング類は、未だに提供されていない。
特開昭47−13607号公報 特開昭57−74041号公報 特公昭48−32164号公報
解決しようとする課題は、ラウリン脂肪の良好な口溶けを有し、かつ、可塑性が良好なマーガリン・ショートニング類を得るための原料となる硬質脂肪を開発することである。また、該硬質脂肪を使用することにより、可塑性が良好で、ラウリン脂肪の良好な口溶けを有するマーガリン・ショートニング類、及びそれらを使用した菓子・パン類を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ラウリン脂肪を使用し、特定のトリグリセリド組成を有する様に加工・調製することによって、課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明第1の発明は、ラウリン酸を25〜45質量%含有し、よう素価0〜25であって、以下のトリグリセリド組成を満たす硬質脂肪である。
構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32〜54のトリグリセリド(CN32〜54TG)85〜100質量%
構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32〜38のトリグリセリド(CN32〜38TG)30〜50質量%、
構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40〜46のトリグリセリド(CN40〜46TG)25〜55質量%、
構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48〜54のトリグリセリド(CN48〜54TG)10〜30質量%であって、
構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32〜38のトリグリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40〜46のトリグリセリドとの質量比((CN32〜38TG)/(CN40〜46TG))が、0.5〜1.5
構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32〜38のトリグリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48〜54のトリグリセリドとの質量比((CN32〜38TG)/(CN48〜54TG))が、≧1.0
構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40〜46のトリグリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48〜54のトリグリセリドとの質量比((CN40〜46TG)/(CN48〜54TG))が、≧1.0
本発明の第2の発明は、脂肪A:ラウリン酸を35〜65質量%含有し、よう素価0〜30であるラウリン脂肪と、脂肪B:ラウリン酸を12〜34質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を45〜75質量%含有し、よう素価0〜20であるエステル交換脂とを、30:70〜75:25で混合してなる第1の発明に記載の硬質脂肪である。
本発明の第3の発明は、上記脂肪A:ラウリン酸を35〜65質量%含有し、よう素価0〜30であるラウリン脂肪が、ヤシ油由来の油脂である第2の発明に記載の硬質脂肪である。
本発明の第4の発明は、上記脂肪A:ラウリン酸を35〜65質量%含有し、よう素価0〜30であるラウリン脂肪が、エステル交換脂である第2の発明に記載の硬質脂肪である。
本発明の第5の発明は、第1〜第4の何れか1つに記載の硬質脂肪と液性油脂とを10:90〜90:10で混合してなる油脂組成物である。
本発明の第6の発明は、第5の発明に記載の油脂組成物を油相としてなるマーガリン・ショートニング類である。
本発明の第7の発明は、スプレッド又はロールイン用である第6の発明に記載のマーガリン・ショートニング類である。
本発明の第8の発明は、第6又は第7の発明に記載のマーガリン・ショートニング類を使用してなる食品である。
本発明の硬質脂肪を使用し、マーガリン・ショートニング類を調製することで、ラウリン脂肪の冷涼感のある良好な口溶けを有し、かつ、保形性、組織状態(きめ)に優れ可塑性が良好なマーガリン・ショートニング類を得ることができる。特に油脂物性の影響が大きいスプレッドやロールイン用途に使用することにより、冷涼感のある良好な口溶けを有する保形性、組織状態(きめ)が良好なスプレッドや伸展性が良く生地浮きの良いロールインマーガリンが製造でき、これを使用した軽い食感で口溶けの良い、パイ・デニッシュ・クロワッサン類を提供できる。
通常マーガリン・ショートニング類は口溶けが良くなると保形性が悪くなる、あるいは保形性が良くなると口溶けが悪くなるという関係にあるが、本発明の硬質脂肪を使用することにより、口溶けと保形性が同時に良好なバランスの取れたマーガリン・ショートニング類を調製することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の硬質脂肪とはマーガリン・ショートニング類に代表される可塑性油脂食品に適した、常温(25℃)で固体の脂肪であり、可塑性油脂食品に適度な硬さと粘り気を与えるものである。
本発明の硬質脂肪は、脂肪を構成する脂肪酸としてラウリン酸を25〜45質量%含有し、よう素価は0〜25である。ラウリン酸含量とよう素価が上記範囲を満たす場合、冷涼感のある良好な口溶けと硬質脂肪としての保形性が得られ易くなるので好ましい。
本発明の硬質脂肪のラウリン酸含量は25〜45質量%であり31〜41質量%であることが好ましく、33〜39質量%であることがより好ましい。また、よう素価は、0〜25であり、0〜15であることが好ましく、0〜10であることがより好ましい。
本発明の硬質脂肪は、必須構成成分として、構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32〜38のトリグリセリド(CN32〜38TG)、構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40〜46のトリグリセリド(CN40〜46TG)、及び構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48〜54のトリグリセリド(CN48〜54TG)、である3つのトリグリセリド区分からなる。
CN32〜38TGは、主に冷涼な口溶けを与える成分であり、合成品を使用しても差し支えないが、好適には、天然油脂であるヤシ油やパーム核油、及びそれらの加工油(所謂ラウリン脂肪)に含まれるものであり、それらを使用できる。
また、CN40〜46TGは、主に油脂結晶を調整する成分であり、CN48〜54TGは、主に構造を保持する成分であって、それらは、合成品を使用しても差し支えないが、好適には、ラウリン脂肪と炭素数16以上の飽和脂肪酸から構成されるトリグリセリドに富んだ油脂(例えば、パームステアリン、非ラウリン脂肪の極度硬化油等)とをエステル交換した油脂に含まれるものであり、それらを使用できる。
本発明の硬質脂肪は、上記各トリグリセリド区分を、CN32〜38TGが30〜50質量%、CN40〜46TGが25〜55質量%、CN48〜54TGが10〜30質量%であり、かつ、3つのトリグリセリド区分の合計(CN32〜54TG)が、85〜100質量%を満たす様に調製する必要がある。CN32〜38TG、CN40〜46TG、CN48〜54TGの含量、及びCN32〜54TGの含量が、上記範囲を満たす場合、本発明の硬質脂肪を使用した油脂組成物、又は、マーガリン・ショートニング類は、可塑性が良好で、ラウリン脂肪の冷涼感のある良好な口溶けが得られ易くなり好ましい。
CN32〜38TGの含量は、30〜50質量%であり、34〜43質量%であることが好ましい。CN40〜46TGの含量は、25〜55質量%であり、30〜50質量%であることが好ましい。CN48〜54TGの含量は、10〜30質量%であり、15〜25質量%であることが好ましい。
本発明の硬質脂肪は、上記各トリグリセリド区分含量の条件を満たす以外に、(CN32〜38TG)/(CN40〜46TG)が0.5〜1.5、(CN32〜38TG)/(CN48〜54TG)が≧1.0、及び(CN40〜46TG)/(CN48〜54TG)が≧1.0である各トリグリセリド区分間の構成比を満たす必要がある。各トリグリセリド区分の構成比が上記条件を満たす場合、本発明の硬質脂肪を使用した油脂組成物、又は、マーガリン・ショートニング類は、可塑性が良好で、ラウリン脂肪の冷涼感のある良好な口溶けが得られ易くなり好ましい。
(CN32〜38TG)/(CN40〜46TG)は0.5〜1.5であり、0.9〜1.3であることが好ましい。
(CN32〜38TG)/(CN48〜54TG)は≧1.0であり、≧1.3であることが好ましい。
(CN40〜46TG)/(CN48〜54TG)は≧1.0であり、≧1.4であることが好ましい。
本発明の硬質脂肪が、脂肪を構成する脂肪酸としてのラウリン酸含量、よう素価、各トリグリセリド区分の含量及び構成比の各項目について、上記条件を満たす場合、本発明の硬質脂肪を使用した油脂組成物、又は、マーガリン・ショートニング類は、可塑性が良好で、ラウリン脂肪の冷涼感のある良好な口溶けを有するものとなり好ましい。
尚、構成脂肪酸残基の炭素数によるトリグリセリドの分析は、AOCS Ce5−86に準じてガスクロマトグラフィー法により行うことができる。また、よう素価は、「社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996」の方法に準じて測定することができる。
本発明の硬質脂肪の好ましい態様の1つとして、脂肪A:脂肪を構成する脂肪酸としてラウリン酸を35〜65質量%含有し、よう素価が0〜30であるラウリン脂肪と、脂肪B:ラウリン酸を12〜34質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を45〜75質量%含有し、よう素価0〜20であるエステル交換脂とを、30:70〜75:25で混合して得られる硬質脂肪が挙げられる。
脂肪Aを構成するラウリン脂肪とは、脂肪を構成する脂肪酸として炭素数12の飽和脂肪酸であるラウリン酸に富んだ脂肪の総称である。ラウリン脂肪としては、具体的にはヤシ油、パーム核油、ババス油等が挙げられる。脂肪Aとしては、ラウリン脂肪を分別して得られる分別脂や、ラウリン脂肪を水素添加して得られる硬化油や、ラウリン脂肪の各単独脂肪又は混合脂肪をエステル交換反応に付して得られるエステル交換脂も使用することができる。脂肪Aを構成するラウリン脂肪の全構成脂肪酸中におけるラウリン酸含量は35〜65質量%であり、45〜65質量%であることが好ましい。ラウリン脂肪のラウリン酸含量が上記範囲である場合、ラウリン脂肪特有の冷涼感のある良好な口溶けを有し、また、CN32〜38TGを適量含有するため、後述の脂肪Bと配合する場合、本発明の硬質脂肪に必須のトリグリセリド構成を容易に調整できるので好ましい。
脂肪Aを構成するラウリン脂肪の好ましい具体例としては、ヤシ油、その分別硬質部、それらの1種以上の混合脂からなるエステル交換脂、それらから選ばれた1種以上の脂肪が挙げられる。また別の好ましい具体例としては、パーム核油又はパーム核油分別硬質部から選ばれた1種以上の混合脂からなるエステル交換脂が挙げられる。
脂肪Bを構成するエステル交換脂とは、エステル交換脂を構成する脂肪酸としてラウリン酸が12〜34質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸が45〜75質量%からなり、よう素価0〜20であるエステル交換脂である。エステル交換脂のラウリン酸含量は、12〜34質量%であり、16〜28質量%であることが好ましい。エステル交換脂の炭素数16以上の飽和脂肪酸含量は、45〜75質量%であり、50〜70質量%であることが好ましい。エステル交換脂のよう素価は0〜20であり、0〜15であることが好ましく、0〜13であることがより好ましい。エステル交換脂のよう素価が上記範囲にある場合、CN40〜46TG及びCN48〜54TGがバランス良く生成するので、前述の脂肪Aと配合する場合、本発明の硬質脂肪に必須のトリグリセリド構成を容易に調整できるので好ましい。
脂肪Bを構成するエステル交換脂としては、2種以上の原料油脂を含む混合油脂をエステル交換した油脂を例示できる。よう素価を調整するための水素添加処理は、必要により行うことができる。水素添加処理は、原料油脂、2種類以上の原料油脂を含む混合油脂(エステル交換処理の前)、エステル交換処理後の油脂、の何れかに対して行うことが可能である。水素添加した水添油とは、硬化油と極度硬化油をいう。水素添加処理は、当業者が適宜調整して行うことができる。
上記2種以上の原料油脂を含む混合油脂としては特に規定はないが、具体例としては、例えば、脂肪Aに関して述べた様なラウリン脂肪(又はその水添油)と、炭素数16以上の脂肪酸が豊富な植物油脂(又はその水添油)との混合油脂が挙げられる。炭素数16以上の脂肪酸が豊富な植物油脂としては、例えば菜種油、大豆油、パーム油等が挙げられる。特に、ラウリン脂肪又はその水添油(b1)とパーム系油脂又はその水添油(b2)とを含む油脂(b1とb2の混合油を含む)等が挙げられる。
上記ラウリン脂肪(b1)としては、脂肪Aのところで述べたラウリン脂肪と同一であっても全く差し支えないが、構成脂肪酸中のラウリン酸含量が35質量%未満のラウリン脂肪であっても、後述の油脂(b2)と適宜配合を調整することによって使用することができる。構成脂肪酸中にラウリン酸含量が35質量%未満となる例としては、ヤシ油、パーム核油の高次分別軟質油等を例示できる。ラウリン脂肪(b1)としては、脂肪Aのところで述べたラウリン脂肪や、ラウリン酸含量が35質量%未満となるラウリン脂肪の高次分別軟質油の中から、任意の1種を用いてもよく、また2種以上を任意に混合して用いてもよい。
上記パーム系油脂(b2)としては、パーム油及びパーム油の分別油であれば何れも使用することができる。具体的には、(1)1段分別油であるパームオレイン及びパームステアリン、(2)パームオレインを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、(3)パームステアリンを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)、等が例示できる。
パーム油を分別する方法には特に制限はなく、溶剤分別、乾式分別、乳化分別の何れの方法を用いてもよい。パーム系油脂は、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量を高めるため(エステル交換脂のよう素価を0〜20に調整するため)極度硬化して使用することが好ましい。ただし、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量の高いパームステアリンは、極度硬化せずに用いることが可能である。
脂肪Bを構成するエステル交換脂としては、エステル交換脂を構成する脂肪酸としてラウリン酸が12〜34質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸が45〜75質量%からなり、よう素価0〜20である構成を満たせば、上述したもの以外の油脂を使用したものであってもよい。
脂肪Bを構成するエステル交換脂の好ましい態様の1つとしては、例えば、パーム核油又はその分別油(上記b1に相当)とパーム系油脂(上記b2に相当)とを30:70〜70:30に混合したものをエステル交換し、その後、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加したものが挙げられる。この場合、パーム核油又はその分別油とパーム系油脂とは、まず、それぞれ別々に水素添加を行い、その後ヨウ素価10以下となるように30:70〜70:30の混合比の中で混合し、最後にエステル交換してもよい。即ち、エステル交換脂を製造するにあたって、エステル交換と水素添加とは、その何れを先に行ってもよい。
水素添加工程を伴うエステル交換脂のよう素価は、トランス脂肪酸の含有量を十分に低減させるという意味で、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、2以下であることが更に好ましい。
別の例としては、パーム核極度硬化油とパーム極度硬化油とを50:50に混合した混合油脂をエステル交換したエステル交換脂が挙げられる。
脂肪Bを構成するエステル交換脂のまた別の好ましい態様の1つとしては、例えば、ヨウ素価が10以下のラウリン脂肪(上記b1に相当)と、ヨウ素価が20以下のパーム系油脂(上記b2に相当)とをエステル交換して得られた油脂が挙げられる。ヨウ素価が10以下のラウリン脂肪としては、例えば、パーム核油の分別ステアリン部が挙げられる。パーム核油の分別ステアリン部のヨウ素価は、10以下であることが好ましいが、7以下であることが更に好ましい。ヨウ素価が20以下のパーム系油脂としては、パーム油の分別ステアリン部が挙げられる。パーム油の分別ステアリン部としては、パーム油を1段分別したパームステアリンを更に分別した2段分別ステアリン(ハードステアリン)が好ましく、そのよう素価は0〜20であり、0〜15であることが好ましく、0〜13であることがより好ましい。脂肪Bを構成するエステル交換脂としては、ヨウ素価が10以下のパーム核油分別ステアリンと、ヨウ素価が20以下のパームステアリンとを30:70〜70:30の混合比の中で混合し、エステル交換したエステル交換脂が例示できる。
脂肪A又は脂肪Bを調製する際に必要に応じて行う水素添加又はエステル交換の各方法に関しては、特に制限は無く、業界で一般に使用されている方法で行うことができる。
水素添加の場合は、例えば、ニッケル触媒の下、水素圧0.02〜0.3Mpa、160〜200℃の条件にて、5分〜2時間反応を行うことができる。反応終了後は、触媒をろ過にて取り除いた後、通常の食用油の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。水素添加は、心疾患との因果関係が懸念されるトランス脂肪酸を低減させるという意味合いから、よう素価2以下の極度硬化を行うことが好ましい。
エステル交換の場合は、化学的エステル交換であっても酵素的エステル交換であってもよい。化学的エステル交換は、ナトリウムメチラート等の化学触媒を用いて行われる、位置特異性の乏しいエステル交換反応である(ランダムエステル交換とも言われる)。化学的エステル交換反応は、例えば、常法に従って、原料油脂を十分に乾燥させ、触媒を原料油脂に対して0.1〜1質量%添加した後、減圧下、80〜120℃で0.5〜1時間攪拌することにより行うことができる。エステル交換反応終了後は、触媒を水洗にて洗い流した後、通常の食用油の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
酵素的エステル交換は、リパーゼを触媒として用いて行われる。リパーゼとしては、リパーゼ粉末やリパーゼ粉末をセライト、イオン交換樹脂等の担体に固定化した固定化リパーゼを使用することができる。酵素的エステル交換によるエステル交換反応は、リパーゼの種類によって、位置特異性の乏しいエステル交換反応とすることもできるし、1,3位特異性の高いエステル交換反応とすることもできる。
位置特異性の乏しいエステル交換反応を行うことのできるリパーゼとしては、アルカリゲネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャンディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
1,3位特異性の高いエステル交換反応を行うことのできるリパーゼとしては、リゾムコールミーハイ由来の固定化リパーゼ(ノボザイムズ社製のリポザイムTLIM、リポザイムRMIM等)等が挙げられる。
酵素的エステル交換反応は、例えば、リパーゼ粉末又は固定化リパーゼを原料油脂に対して0.02〜10質量%、好ましくは0.04〜5質量%添加した後、40〜80℃、好ましくは40〜70℃で0.5〜48時間、好ましくは0.5〜24時間攪拌することにより行うことができる。エステル交換反応終了後は、ろ過等によりリパーゼ粉末又は固定化リパーゼを除去後、通常の食用油の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
本発明の硬質脂肪の好ましい態様の1つとしては、上述した脂肪Aと、上述した脂肪Bとを、上述の本発明の硬質脂肪に必須のトリグリセリド構成となるように、30:70〜75:25の範囲で混合して得られる硬質脂肪が挙げられる。また、本発明の硬質脂肪に必須のトリグリセリド構成を達成できる範囲内で、脂肪A及び脂肪B以外のその他の脂肪を混合しても差し支えないが、その他の脂肪の配合量としては、0〜30質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましい。
本発明は、上述の硬質脂肪と液性油脂とからなる油脂組成物を含む。
液性油脂とは、構成脂肪酸としてラウリン酸含量が5質量%未満である常温(25℃)で流動状を呈する油脂であり、かかる液性油脂の例としては、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、米油、オリーブ油、パーム油、落花生油及び亜麻仁油等、並びにそれらの各単独油又は混合油の水素添加油、それらの各単独油又は混合油をエステル交換反応に付して得られるエステル交換油、それらの各単独油又は混合油の分別油等の加工油など、から選ばれた1種以上からなる油脂が挙げられる。液性油脂は25℃で流動状であり、20℃で流動状であることが好ましく、15℃で流動状であることがより好ましい。
液性油脂の好ましい態様の1つとしては、通常サラダ油と称される、好ましくは冷却試験(基準油脂分析試験法2.2.8.1−1996 冷却試験(その1))において、0℃で5時間以上清澄(透明)である程度の耐寒性を持った植物性油脂である。また別の好ましい態様の1つとしては、上記植物性油脂とよう素価55以上のパームオレイン又はそのエステル交換油との質量比40:60〜90:10の混合油が挙げられる。また更に別の好ましい態様の1つとしては、上記植物性油脂と、よう素価55以上のパームオレインのエステル交換油とパーム中融点部との質量比70:30〜0:100、好ましくは、60:30〜20:80で混合した混合油脂との、40:60〜90:10の混合油脂が挙げられる。
本発明の硬質脂肪及び該硬質脂肪と液性油脂とからなる油脂組成物の全構成脂肪酸中におけるトランス脂肪酸の割合は、健康に好ましくないとされるトランス脂肪酸を実質的に含まないという主旨から、5質量%未満であることが必要であり、3質量%未満であることが好ましく、2質量%未満であることがより好ましく、1質量%未満であることがより一層好ましい。
尚、構成脂肪酸分析及びトランス脂肪酸分析は、AOCS Ce1f−96に準拠してガスクロマトグラフィー法で行うことができる。
本発明の油脂組成物は、上述の硬質脂肪と上述の液性油脂とを質量比10:90〜90:10で混合した油脂組成物である。特に、本発明の油脂組成物をマーガリン・ショートニング類の油相とすることにより、可塑性が良好で、ラウリン脂肪の冷涼感のある良好な口溶けを有する本発明のマーガリン・ショートニング類が得られる。
本発明のマーガリン・ショートニング類は、油相の含有量が、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜98質量%であり、更に好ましくは、70〜98質量%である。また、水相の含有量が、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは2〜40質量%であり、更に好ましくは2〜30質量%である。一般に水相が無い場合がショートニング類であり、水相を含む場合はマーガリン類と呼ばれる。油相及び水相の含有量が上記範囲内の場合には、得られたマーガリン類は、その乳化状態がより良好に保たれる。
本発明のマーガリン・ショートニング類は、上記以外の他の成分を含有することができる。他の成分としては、乳化剤、増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロテン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、グリセリドエステル等の合成乳化剤や、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の合成乳化剤でない乳化剤等が挙げられる。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられる。
本発明のマーガリン・ショートニング類において、上記その他の成分の含有量は、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
次に、本発明のマーガリン・ショートニング類の製造方法を説明する。
本発明のマーガリン・ショートニング類の製造方法は特に制限されるものではなく、油脂分が本発明の油脂組成物からなる油相を溶解し、冷却し、結晶化することにより得ることができる。具体的には、先ず、上記油相を溶解し、必要により水相を混合乳化する。そして次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式であってもよく、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式であってもよい。
次に、冷却し、結晶化させる。好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−5℃/分以上とする。この際、徐冷却より急冷却の方が好ましい。
冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組合せが挙げられる。
本発明の油脂組成物は、上述のように実質的にトランス脂肪酸を含有していない。従って、油脂分が本発明の油脂組成物からなるマーガリン・ショートニング類は、実質的にトランス酸を含有していない。
本発明の油脂組成物を使用してマーガリン類を製造する場合、その乳化形態は油中水型、水中油型、及び二重乳化型の何れであってもよい。
本発明の油脂組成物を使用したマーガリン・ショートニング類の好ましい態様の1つとしては、スプレッド類、特に、油相65〜75質量%、水相35〜25質量%からなる油中水型に乳化したファットスプレッドが挙げられる。ファットスプレッドの油相として使用する場合、硬質脂肪と液性油脂との混合比(質量基準)は、10:90〜50:50であることが好ましく、15:85〜40:60であることがより好ましく、20:80〜35:65であることが最も好ましい。硬質脂肪と液性油脂との混合比(質量基準)が上記の場合、冷蔵庫から出し入れしても組織が良好でかつ可塑性が良好で塗り易く、冷涼感のある良好な口溶けがあるファットスプレッドが得られるので好ましい。
本発明の油脂組成物を使用したマーガリン・ショートニング類のまた別の好ましい態様の1つとしては、油相65〜95質量%、水相35〜5質量%からなるロールイン用マーガリンが挙げられる。ロールイン用マーガリンの油相として使用する場合、硬質脂肪と液性油脂との混合比(質量基準)は、25:75〜65:35であることが好ましく、35:65〜60:40であることがより好ましく、45:55〜55:45であることが最も好ましい。硬質脂肪と液性油脂との混合比(質量基準)が上記の場合、広い作業温度域で良好な伸展性があり、また、水相が25質量%以上と比較的多い場合においても、口当たりが軽く、口溶けの良い焼成層状食品を製造することができる。
本発明のマーガリン・ショートニング類を用いた食品としては、食パン・菓子パン・クロワッサン・デニッシュ等のパン類、クッキー・ビスケット・ケーキ・パイ等の焼き菓子類等が挙げられる。また、本発明のショートニングを用いた食品としては、食パン・菓子パン・クロワッサン・デニッシュ等のパン類、クッキー・ビスケット・ケーキ・パイ等の焼き菓子類等が挙げられる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はそれらに何等制限されるものではない。
〔試験油脂の調製〕
1.脂肪Aの調製
A−1:ヤシ油(商品名:精製ヤシ油、ラウリン酸含量48.0質量%、よう素価8.6、日清オイリオグループ株式会社製)
A−2:パーム核油(ラウリン酸含量46.5質量%、よう素価18.7、日清オイリオグループ株式会社社内製)
A−3:パーム核油エステル交換油(ラウリン酸含量46.2質量%、よう素価18.5、ナトリウムメチラートを触媒とした化学的エステル交換で調製)
2.脂肪Bの調製
B−1:エステル交換脂1(パーム核油極度硬化油50質量部とパーム油極度硬化油50質量部とを混合し、ナトリウムメチラートを触媒とした化学的エステル交換で調製したエステル交換脂、ラウリン酸含量21.9質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量65.8質量%、よう素価0.3)
B−2:エステル交換脂2(パーム核油分別硬質部(よう素価6.9)40質量部とパーム油2段分別硬質部(よう素価12.5)60質量部とを混合し、ナトリウムメチラートを触媒とした化学的エステル交換で調製したエステル交換脂、ラウリン酸含量22.4質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量55.5質量%、よう素価10.3)
B−3:エステル交換脂3(ヤシ油極度硬化油60質量部とパーム油極度硬化油40質量部とを混合し、ナトリウムメチラートを触媒とした化学的エステル交換で調製したエステル交換脂、ラウリン酸含量28.8質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量52.4質量%、よう素価0.2)
3.液性油脂の調製
液性油脂1:菜種油(商品名:菜種白絞油、ラウリン酸含量0質量%、0℃5時間清澄、日清オイリオグループ株式会社製)
液性油脂2:(菜種油80質量部とパームオレイン(よう素価56)をナトリウムメチラートを触媒として化学的エステル交換したエステル交換脂20質量部とを混合した混合油脂、ラウリン酸含量0質量%、15℃で流動状)
液性油脂3:(菜種油80質量部とパームオレイン(よう素価56)をナトリウムメチラートを触媒として化学的エステル交換したエステル交換脂10質量部とパーム油中融点画分(よう素価45)10質量部とを混合した混合油脂、ラウリン酸含量0質量%、15℃で流動状)
4.その他油脂の調製
大豆油極度硬化油(商品名:大豆極度硬化油、ラウリン酸含量0質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量99.7質量%、よう素価0.2、横関油脂株式会社製)
〔硬質脂肪調製1〕
表1の油脂配合に従って、硬質脂肪を調製した(硬質脂肪No.1〜8)。また、調製した硬質脂肪のラウリン酸含量、よう素価、各トリグリセリド区分の含量及び構成比を同じく表1に示した。
〔ファットスプレッドの調製及び評価1〕
表1のファットスプレッドを構成する油相の配合に従って、各硬質脂肪(硬質脂肪No.1〜8)と液性油脂1とを混合し、ファットスプレッドの油相に配合する脂肪とした。
以下の配合に従って、油相と水相を調製し、常法に従ってオンレーターにて急冷練り合わせを行い、各硬質脂肪(硬質脂肪No.1〜8)と液性油脂とを混合して調製したそれぞれの脂肪について油中水型のファットスプレッドを得た。得られたファットスプレッドは、以下の基準に従って、口溶け、保形性、組織状態の評価を行った。評価結果は同様に表1(実施例1〜4、比較例1〜4)に示した。

(ファットスプレッドの組成)
油相:脂肪70%、乳化剤0.5%(グリセリンモノ脂肪酸エステル0.1%、大豆レシチン0.4%)、香料(バターフレーバー)0.1%
水相:水27.4%、食塩1%、脱脂粉乳1%

(ファットスプレッドの評価)
(1).口溶け評価
官能試験により、以下3段階で評価を行った。
A:冷涼感のある口溶けがあり非常に良好
B:普通
C:口の中に固形脂の溶け残りがあり不良

(2).保形性評価
冷蔵保管したファットスプレッドを30℃にて15時間放置した際の状態を以下3段階で
評価した。
A:液油の染み出しが少なく良好
B:若干液油の染み出しがあるが、形をとどめている
C:全体的に溶け出して形を留めない状態

(3).組織状態評価
ファットスプレッドの表面状態を、目視にて以下3段階で評価した。
A:つやがあり滑らか
B:普通
C:つやが無く滑らかでない
Figure 0004426643
〔硬質脂肪調製2〕
表2の油脂配合に従って、硬質脂肪(硬質脂肪No.9〜12)を調製した。また、調製した硬質脂肪のラウリン酸含量、よう素価、各トリグリセリド区分の含量及び構成比を同じく表2に示した。
〔ファットスプレッドの調製及び評価2〕
表2のファットスプレッドを構成する油相の配合に従って、各硬質脂肪(硬質脂肪No.9〜12)と液性油脂1〜3とを混合し、ファットスプレッドの油相に配合する脂肪とした。
〔ファットスプレッドの調製及び評価1〕と同様の配合で油相と水相を調製し、常法に従ってオンレーターにて急冷練り合わせを行い、各硬質脂肪(硬質脂肪No.9〜12)と液性油脂1〜3とを混合して調製したそれぞれの脂肪について油中水型のファットスプレッドを得た。得られたファットスプレッドは、〔ファットスプレッドの調製及び評価1〕と同様の基準に従って、口溶け、保形性、組織状態の評価を行った。評価結果は同様に表2(実施例5〜9、比較例5)に示した。
Figure 0004426643
〔硬質脂肪調製3〕
表3の油脂配合に従って、各硬質脂肪を調製した(硬質脂肪No.5及び13)。また、調製した硬質脂肪のラウリン酸含量、よう素価、各トリグリセリド区分の含量及び構成比を同じく表3に示した。
〔ロールイン用マーガリンの調製及び評価〕
表3のロールイン用マーガリンを構成する油相の配合に従って、硬質脂肪No.5又はNo.13と液性油脂1とを混合し、ロールイン用マーガリンの油相に配合する脂肪とした。
以下の配合に従って、油相と水相を調製し、常法に従ってコンビネーターにて急冷練り合わせを行い、レスティングチューブを通してシート状に成形し、硬質脂肪No.5又はNo.13と液性油脂1とを混合して調製したそれぞれの脂肪について油中水型のロールイン用マーガリンを得た。得られたロールイン用マーガリンを用いて以下の配合及び手順に従ってクロワッサンを試作し、以下の基準に従って、伸展性、生地浮き及び食感の評価を行った。評価結果は同様に表3(実施例10、比較例6)に示した。

(ロールイン用マーガリンの組成)
油相:脂肪94%、乳化剤0.4%(グリセリンモノ脂肪酸エステル0.3%、大豆レシチン0.1%)、香料(バターフレーバー)0.1%
水相:水5%、食塩0.5%

(クロワッサンの配合及び試作)
以下に示す配合で生地を作成し、−5℃で保存した。この生地が0℃になったら生地1787g(粉1kg分)に対して上記ロールイン用マーガリン500gを用いて3つ折を2回行い、0℃で120分保存した。その後更に3つ折を1回行った後0℃で90分保存した。この生地をシーターで伸ばして、底辺12cm高さ15cmの2等辺三角形にカットした後成型した。これを32℃、湿度75%のホイロで発酵後、215℃のオーブンで17分焼成を行った。

・クロワッサンの生地配合(強力粉と中力粉の合計を100%とした場合の相対比%)
強力粉30%、中力粉70%、上白糖6%、全卵5%、脱脂粉乳3%、食塩1.7%、練り込みマーガリン6%、イースト4%、水53%

(作業性及び試食評価)
(1).伸展性評価
シーターで伸ばした際のマーガリンの伸展性について、以下3段階で評価した。
A:伸びがよく良好
B:普通
C:ひび割れが生じ不良

(2).生地浮き評価
作成したクロワッサンを輪切りにし、その外観(内相とボリューム)を目視にて以下3段階で評価した。
A:しっかり内相が分かれておりボリュームがあって良好
B:普通
C:内相がつぶれておりボリュームがない

(3).食感評価
官能試験により、以下3段階で評価を行った。
A:口残りが無く良好
B:普通
C:口残りがあり不良
Figure 0004426643
本発明の硬質脂肪を使用したマーガリン・ショートニング類を調製することで、良好な口溶けを有し、かつ、保形性、組織状態(きめ)に優れ可塑性が良好なマーガリン・ショートニング類を得ることができる。また本発明の硬質脂肪をスプレッドやロールイン用途に使用することにより、冷涼感のある良好な口溶けを有する保形性、組織状態(きめ)が良好なスプレッドや伸展性が良く生地浮きの良いロールインマーガリンが製造でき、これを使用した軽い食感で口溶けの良い、パイ・デニッシュ・クロワッサン類を提供できる。

Claims (8)

  1. ラウリン酸を25〜45質量%含有し、よう素価0〜25であって、以下のトリグリセリド組成を満たす硬質脂肪。
    構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32〜54のトリグリセリド(CN32〜54TG)85〜100質量%
    構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32〜38のトリグリセリド(CN32〜38TG)30〜50質量%、
    構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40〜46のトリグリセリド(CN40〜46TG)25〜55質量%、
    構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48〜54のトリグリセリド(CN48〜54TG)10〜30質量%であって、
    構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32〜38のトリグリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40〜46のトリグリセリドとの質量比((CN32〜38TG)/(CN40〜46TG))が、0.5〜1.5
    構成脂肪酸残基の炭素数の合計が32〜38のトリグリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48〜54のトリグリセリドとの質量比((CN32〜38TG)/(CN48〜54TG))が、≧1.0
    構成脂肪酸残基の炭素数の合計が40〜46のトリグリセリドと構成脂肪酸残基の炭素数の合計が48〜54のトリグリセリドとの質量比((CN40〜46TG)/(CN48〜54TG))が、≧1.0
  2. 脂肪A:ラウリン酸を35〜65質量%含有し、よう素価0〜30であるラウリン脂肪と、脂肪B:ラウリン酸を12〜34質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸を45〜75質量%含有し、よう素価0〜20であるエステル交換脂とを、30:70〜75:25で混合してなる請求項1記載の硬質脂肪。
  3. 上記脂肪A:ラウリン酸を35〜65質量%含有し、よう素価0〜30であるラウリン脂肪が、ヤシ油由来の油脂である請求項2記載の硬質脂肪。
  4. 上記脂肪A:ラウリン酸を35〜65質量%含有し、よう素価0〜30であるラウリン脂肪が、エステル交換脂である請求項2記載の硬質脂肪。
  5. 請求項1〜4何れか1項記載の硬質脂肪と液性油脂とを10:90〜90:10で混合してなる油脂組成物。
  6. 請求項5の油脂組成物を油相としてなるマーガリン・ショートニング類。
  7. スプレッド又はロールイン用である請求項6記載のマーガリン・ショートニング類。
  8. 請求項6又は7のマーガリン・ショートニング類を使用してなる食品。
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