JP5758108B2 - エステル交換油脂およびこれを用いたロールイン用油脂組成物 - Google Patents

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本発明は、エステル交換油脂およびこれを用いたロールイン用油脂組成物に関するものである。詳しくは、広い温度許容性を有し、作業性が良好なロールイン用油脂組成物に関する。
さらに良好な歯切れとサクサク感を持続できる層状ベーカリー食品に関する。
パイやデニッシュ・ペストリーなどの層状ベーカリー食品は、生地にロールイン用油脂組成物をロールインし、折りたたむことにより層状構造をつくる。層状ベーカリー食品は、この層状構造により特徴のある食感となるが、最近、オーブンフレッシュベーカリーをはじめ、ホールセールにおいても、歯切れが良くサクサク感を呈する層状ベーカリー食品が好まれるようになってきている。
この歯切れが良くサクサク感を呈する層状ベーカリー食品を提供するため、ロールイン用油脂組成物の種類や焼成条件を各種設定するのが一般的である。
例えば、ロールイン用油脂組成物中の結晶量が層状ベーカリー食品の食感に大きく影響することが知られており、ロールイン用油脂組成物の結晶量が少ないと生地中にロールイン用油脂組成物が移行してしまい、また結晶量が多すぎると生地圧延時に生地中でロールイン用油脂組成物が割れてしまい、層の形成が不十分となるため、良好な歯切れやサクサク感が得られない。そのため、ロールイン用油脂組成物の結晶量を調整することがあげられる。
一方、エステル交換油脂において、全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうち炭素数14以下の飽和脂肪酸残基の占める割合や炭素数20以上の飽和脂肪酸残基の占める割合に着目した技術としては特許文献1〜3を挙げることができる。
特許文献1では、炭素数14以下の飽和脂肪酸2〜50%および炭素数20以上の飽和脂肪酸1〜50%を含有する油脂配合物のランダムエステル交換油脂からなる油脂組成物が記載されている。特許文献1には油脂配合物中のパルミチン酸の含有量の記載は全くなく、特許文献1の実施例の油脂配合物中のパルミチン酸の含有量は当該発明の範囲外である。
また、特許文献2では、液状油5〜15重量%とベヘン酸又はそのエステルあるいはそれらを含む油脂とパーム油起源の油脂およびラウリン系油脂との配合油を、1,3位特異性リパーゼを作用させて選択的にエステル交換することを特徴とするハードストックの製造法が記載されている。
さらに、特許文献3では、構成脂肪酸含有率が炭素数12以下の飽和脂肪酸12〜17重量%、炭素数14以上の飽和脂肪酸30〜65重量%、炭素数20以上の飽和脂肪酸2重量%以下である油脂混合物を、ランダムエステル交換し、更に水素添加して得られる油脂組成物が記載されている。
上記の特許文献1〜3で得られた油脂を用いて製造されたロールイン用油脂組成物は、ロールイン用油脂組成物に要求される低温から高温の広い温度帯で伸展性を有することができず、また特許文献1〜3で得られた油脂を用いて製造されたロールイン用油脂組成物を使用した層状ベーカリー食品では、良好な歯切れやサクサク感が得られないものであった。
特開平9−165595号公報 特開平9−241673号公報 特開2002−121585号公報
従って、本発明の目的は、広い温度許容性を有する(広い温度範囲で、極端に硬くなったり柔らかくなったりせず、ロールイン用油脂に必要なコシ、伸展性を有する)ロールイン用油脂組成物を提供することができるエステル交換油脂を提供することを目的とする。さらに上記のエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物を層状ベーカリー食品に使用することにより、良好な歯切れやサクサク感を有する層状ベーカリー食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々検討した結果、油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合が9〜15質量%、パルミチン酸残基の占める割合が31〜37質量%、ベヘン酸残基の占める割合が2.5〜5.5質量%、飽和脂肪酸残基の占める割合が53〜67質量%である油脂配合物をランダムエステル交換したエステル交換油脂により、上記の目的を達成したものである。
本発明のエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物は、広い温度許容性を有するため、作業性が良好である。
また本発明のエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物を使用した層状ベーカリー製品は、良好な歯切れやサクサク感を有することができる。
以下、本発明のエステル交換油脂の好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のエステル交換油脂は、油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合が9〜15質量%、パルミチン酸残基の占める割合が31〜37質量%、ベヘン酸残基の占める割合が2.5〜5.5質量%、飽和脂肪酸残基の占める割合が53〜67質量%である油脂配合物をランダムエステル交換したエステル交換油脂である。
上記の油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合が9質量%よりも少ないと得られたエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物が硬くなり、広い温度許容性を有することができないので好ましくなく、15質量%よりも多いと得られたエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物が軟らかくなり、広い温度許容性を有することができないので好ましくない。
上記の油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうちパルミチン酸残基の占める割合が31質量%よりも少ないと、得られたエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物を使用した層状ベーカリー食品が柔らかくなり、サクサク感が得られないので好ましくなく、37質量%よりも多いと、得られたエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物を使用した層状ベーカリー食品の歯切れが悪くなるので好ましくない。
上記の油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうちベヘン酸残基の占める割合が2.5質量%よりも少ないと、得られたエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物を使用した層状ベーカリー食品において、サクサク感が得られないため好ましくなく、5.5質量%よりも多いと、得られたエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物を使用した層状ベーカリー食品の歯切れが悪くなるので好ましくない。
上記の油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうち飽和脂肪酸残基の占める割合が53質量%よりも少ないと、ロールイン用油脂組成物が軟らかくなり、広い温度許容性を有することができないので好ましくなく、67質量%よりも多いとロールイン用油脂組成物が硬くなり、広い温度許容性を有することができないので好ましくない。
上記油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合は、好ましくは10〜14質量%、さらに好ましくは10〜13質量%、最も好ましくは12〜12.5質量%である。上記油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうちパルミチン酸残基の占める割合は、好ましくは32〜36質量%、さらに好ましくは33〜35質量%、最も好ましくは33.5〜34.5質量%である。上記油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうちベヘン酸残基の占める割合は、好ましくは2.6〜4質量%、さらに好ましくは2.7〜3.5質量%、最も好ましくは2.8〜3.1質量%である。上記油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうち飽和脂肪酸残基の占める割合は、好ましくは54〜65質量%、さらに好ましくは55〜63質量%、最も好ましくは57〜59質量%である。
上記の油脂配合物は具体的には以下の油脂1と油脂2及び油脂3を配合することにより得ることができる。
上記の油脂1はパーム系油脂であり、パーム油及びこれらの分別油或いはエステル交換油脂を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。本発明では特にパーム油を用いることが好ましい。
上記の油脂2はラウリン系油脂であり、パーム核油、ヤシ油、ババス油及びこれらの分別油或いはエステル交換油脂を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。本発明では特にパーム核油、ヤシ油、ババス油を用いることが好ましい。
上記の油脂3としては長鎖飽和脂肪酸残基を高含量含有する油脂であり、ナタネ極度硬化油及び魚極度硬化油を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。本発明では特にハイエルシンナタネ極度硬化油を用いることが好ましい。
上記の油脂1と油脂2と油脂3の配合比率は、好ましくは油脂1が65〜75質量%、油脂2が19〜29質量%、油脂3が1〜11質量%、さらに好ましくは油脂1が68〜73質量%、油脂2が22〜27が質量%、油脂3が4〜9質量%、最も好ましくは油脂1が69〜71質量%、油脂2が23〜25質量%、油脂3が5〜7質量%である。
上記の油脂1と油脂2と油脂3の配合比率が、油脂1が65〜75質量%、油脂2が19〜29質量%、油脂3が1〜11質量%の範囲外であると、得られたエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物において、広い温度許容性を有し難い。
次に、上記油脂配合物に対しランダムエステル交換を行ない、ランダムエステル交換油脂を得る。このエステル交換反応は、化学的触媒による方法でも、酵素による方法でもよく、常法に従って行うことができる。上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が用いられる。
また、上記酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼが挙げられる。尚、該リパーゼは、イオン交換樹脂或いはケイ藻土やセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
得られたエステル交換油脂は、ロールイン用油脂組成物に好適に用いることができる。
なお、本発明においてランダムエステル交換ではない位置選択性のエステル交換をしたエステル交換油脂をロールイン用油脂組成物に用いると広い温度許容性が得られず、またこの位置選択性のエステル交換をしたエステル交換油脂を用いたロールイン用油脂組成物を使用した層状ベーカリー食品において良好な歯切れやサクサク感が得られないので好ましくない。
また上記のロールイン用油脂組成物において、上記のランダムエステル交換油脂以外の油脂を用いることが好ましい。
上記のランダムエステル交換油脂以外の油脂としては例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、サル脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂があげられる。本発明はこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。特に乳脂(乳脂を含有するバターを含む)を用いることが好ましい。
上記のロールイン用油脂組成物において、本発明のエステル交換油脂の含有量は、油相中好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは45〜80質量%、最も好ましくは50〜75質量%である。上記のロールイン用油脂組成物において、本発明のエステル交換油脂の含有量が油相中40質量%よりも少ないと、ロールイン用油脂組成物を使用した層状ベーカリー食品の歯切れが悪くなったり、サクサク感が得られにくく、80質量%よりも多いと広い温度許容性を有するロールイン用油脂組成物が得られ難い。
また上記のロールイン用油脂組成物において、乳脂(例えばバター中の乳脂)を用いる場合の含有量は、油相中好ましくは0.1〜40質量%、さらに好ましくは10〜35質量%、最も好ましくは25〜30質量%である。
上記のロールイン用油脂組成物は、含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸を実質的に含有しないことが好ましい。
尚、ここでいう「トランス酸を実質的に含有しない」とは、トランス酸の含有量が、上記のロールイン用油脂組成物に含まれる油脂の構成脂肪酸組成において、好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下であることを意味する。
また上記のロールイン用油脂組成物が水相を含む場合、油相と水相の割合は好ましくは油相65〜95質量%、水相35〜5質量%、さらに好ましくは油相75〜90質量%、水相25〜10質量%、最も好ましくは油相80〜85質量%、水相20〜15質量%である。
尚、上記の油相とは、油脂に、必要に応じて、乳化剤、着色料、酸化防止剤、着香料、調味料等を添加したものを指す。また、上記の油脂には、乳製品(例えばバター中の乳脂)、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材から抽出される脂肪分も含まれる。
上記のロールイン用油脂組成物は本発明の効果を妨げない範囲においてその他の成分を含有することができる。
上記のその他の成分としては水、卵類、蛋白質、糖類、甘味料、乳化剤、増粘安定剤を含有することができる。
また上記のその他の成分として、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、無機塩類、乳清ミネラル、アミラーゼ、プロテアーゼ、アミログルコシダーゼ、プルラナーゼ、ペントサナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、ホスフォリパーゼ、カタラーゼ、リポキシゲナーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、スルフィドリルオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ等の酵素、β―カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料類、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、調味料、原料アルコール、焼酎、ウイスキー、ウオッカ、ブランデーなどの蒸留酒、ワイン、日本酒、ビールなどの醸造酒、各種リキュール、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、カカオパウダーなどのカカオ製品、コーヒー、紅茶、緑茶、ハーブ、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、着香料、保存料、苦味料、酸味料、ジャム、フルーツソース、コンソメ、ブイヨンなどの植物及び動物エキス、食品添加剤等を添加してもよい。その他の成分は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、上記ロールイン用油脂組成物中、30質量%以下である。
上記の水としては、水道水や天然水などの水や、牛乳、液糖などの水分も含めたものとする。上記のロールイン用油脂組成物において水の含有量は好ましくは5〜35質量%、さらに好ましくは10〜25質量%、最も好ましくは15〜20質量%である。
上記の卵類としては、全卵、生卵黄、生卵白、殺菌全卵、殺菌卵黄、殺菌卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加塩卵白、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白、酵素処理卵黄、粉末全卵、粉末卵黄、粉末卵白、凍結全卵、凍結卵黄、凍結卵白、凍結加糖全卵、凍結加糖卵黄、凍結加糖卵白等の卵黄由来の食品素材等が挙げられる。
上記の卵類の含有量は、上記のロールイン用油脂組成物中、固形分として好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%、最も好ましくは0〜0.5質量%である。
上記の蛋白質としては特に限定されないが、例えばホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて一種ないし二種以上の蛋白質として、あるいは一種ないし二種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
上記のロールイン用油脂組成物では上記の蛋白質として乳蛋白質を用いるのが好ましい。
上記の乳蛋白質としてはホエイ蛋白質のみ、カゼイン蛋白質のみ、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との併用のいずれでもよいが、ホエイ蛋白質のみもしくは、ホエイ蛋白質とカゼイン蛋白質を併用するのが好ましい。
上記のカゼイン蛋白質としては、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼイン、κ−カゼインの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材であるアルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼイン等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記のホエイ蛋白質としては、ラクトアルブミン、βラクトグロブリン、血清アルブミン、免疫グロブリン、プロテオースペプトンの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材として、乳清蛋白質、ホエイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱乳糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC及び/又はWPI)等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記のカゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白質の両方を含有する食品素材として、例えば、生乳、牛乳、加糖練乳、加糖脱脂れん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン(TMP)、脱脂粉乳、全粉乳、加糖粉乳、調製粉乳、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、クリーム、クリームパウダー、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム、醗酵乳、酵素処理バター、乳飲料等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記の蛋白質の配合量は特に制限はないが、上記のロールイン用油脂組成物中、好ましくは0〜3質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、最も好ましくは0.05〜0.4質量%である。
上記の糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース等があげられる。上記のロールイン用油脂組成物ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
特に上記の糖類としてブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖より選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましい。
上記の糖類の配合量は特に制限はないが、上記のロールイン用油脂組成物中、固形分として好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0.01〜3質量%である。
上記の甘味料としては、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム、甘草、羅漢果等があげられる。上記のロールイン用油脂組成物ではこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記の乳化剤として、例えばグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化剤が挙げられる。上記のロールイン用油脂組成物では、これらの中から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。
上記の乳化剤の含有量は特に制限はないが、上記のロールイン用油脂組成物中、好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%、最も好ましくは2〜4質量%である。
特に上記のロールイン用油脂組成物では健康志向や風味の点で、上記の合成乳化剤を用いないのが好ましく、合成乳化剤や天然乳化剤を用いないのがさらに好ましい。
上記の増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
上記の増粘安定剤の含有量は、特に制限はないが、上記のロールイン用油脂組成物中、好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。
なお、上記のロールイン用油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
次に上記のロールイン用油脂組成物の製造方法について説明する。
まず本発明のエステル交換油脂に必要により上記のその他の成分を添加し、油相とする。そしてこの油相を加熱溶解し、必要により、水にその他の成分を添加した水相を加える。
そして殺菌処理するのが望ましい。殺菌方式は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続方式でも構わない。また殺菌温度は好ましくは80〜100℃、さらに好ましくは80〜95℃、最も好ましくは80〜90℃とする。その後、必要により油脂結晶が析出しない程度に予備冷却を行なう。予備冷却の温度は好ましくは40〜60℃、さらに好ましくは40〜55℃、最も好ましくは40〜50℃とする。
次に急冷可塑化を行なう。この急冷可塑化は、ゴンビネーター、ボテーター、パーフェクター、ケムテーターなどの密閉型連続式掻き取りチューブラー冷却機(Aユニット)、プレート型熱交換機などが挙げられ、また開放型冷却機のダイヤクーラーとコンプレクターを組み合わせが挙げられる。この急冷可塑化を行なうことにより、可塑性を有する油脂組成物となる。
これらの装置の後に、ピンマシンなどの捏和装置(Bユニット)やレスティングチューブ、ホールディングチューブを使用してもよい。
また、上記のロールイン用油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
上記のロールイン用油脂組成物はショートニングタイプでもマーガリンタイプでも構わない。マーガリンタイプの乳化形態は、油中水型、水中油型、二重乳化のいずれでも構わないが、油中水型であることが好ましい。
上記のロールイン用油脂組成物の油相の10℃における固体脂含量(SFC)は、好ましくは80%以下、さらに好ましくは5〜70%、最も好ましくは10〜60%とするのがよい。また、20℃における固体脂含有量は、好ましくは60%以下、さらに好ましくは5〜50%、最も好ましくは10〜40%とするのがよい。
上記のロールイン用油脂組成物は、シート状、ブロック状、円柱状、直方体等の形状とする。各々の形状についての好ましいサイズは、シート状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ1〜50mm、ブロック状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ50〜500mm、円柱状:直径1〜25mm、長さ5〜100mm、直方体:縦5〜50mm、横5〜50mm、高さ5〜100mmである。
上記のロールイン用油脂組成物は、パイやデニッシュペストリーなどの層状ベーカリー食品の製造におけるロールイン用途に用いることができる。
上記用途における上記のロールイン用油脂組成物の使用量は、層状ベーカリー食品の種類などにより異なるものであり、特に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限されるものではない。
実施例1〜5は本発明のエステル交換油脂の実施例であり、比較例1〜7はエステル交換油脂の比較例である。
実施例6〜10は本発明のロールイン用油脂組成物の実施例であり、比較例8〜15はロールイン用油脂組成物の比較例である。尚、実施例6〜10及び比較例8〜15で使用したバターは、乳脂83質量%で、油相83質量%、水相17質量%であった。
実施例11〜15は本発明のロールイン用油脂組成物を用いたデニッシュペストリーの実施例であり、比較例16〜23は比較例のロールイン用油脂組成物を用いたデニッシュペストリーの比較例である。
〔実施例1〕
パーム油70重量%とパーム核油24重量%とハイエルシン菜種極度硬化油6重量%とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、本発明の油脂1を得た。得られた油脂1の組成を表1に示した。
〔実施例2〕
パーム油65重量%とパーム核油29重量%とハイエルシン菜種極度硬化油6重量%とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、本発明の油脂2を得た。得られた油脂2の組成を表1に示した。
〔実施例3〕
パーム油75重量%とパーム核油19重量%とハイエルシン菜種極度硬化油6重量%とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、本発明の油脂3を得た。得られた油脂3の組成を表1に示した。
〔実施例4〕
パーム油70重量%とパーム核油19重量%とハイエルシン菜種極度硬化油11重量%とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、本発明の油脂4を得た。得られた油脂4の組成を表1に示した。
〔実施例5〕
パーム油65重量%とパーム核油24重量%とハイエルシン菜種極度硬化油11重量%とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、本発明の油脂5を得た。得られた油脂5の組成を表1に示した。
〔比較例1〕
パーム油70重量%とパーム核油24重量%とハイエルシン菜種極度硬化油6重量%とを混合、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、油脂6を得た。得られた油脂6の組成を表1に示した。
〔比較例2〕
パーム油100重量%を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエ
ステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、油脂7を得た。得られた油脂7の組成を表1に示した。
〔比較例3〕
パーム油68重量%とパーム核油30重量%とハイエルシン菜種極度硬化油2重量%とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、油脂8を得た。得られた油脂8の組成を表1に示した。
〔比較例4〕
パーム油77重量%とパーム核油20重量%とハイエルシン菜種極度硬化油3重量%とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、油脂9を得た。得られた油脂9の組成を表1に示した。
〔比較例5〕
パーム油73重量%とパーム核油27重量%とからなる油脂配合物を、ナト
リウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂
白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(25 0℃、
60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を 行ない、
油脂10を得た。得られた油脂10の組成を表1に示した。
〔比較例6〕
パーム油75重量%とパーム核油15重量%とハイエルシン菜種極度硬化油10重量%とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、油脂11を得た。得られた油脂11の組成を表1に示した。
〔比較例7〕
パーム油60重量%とパーム核油30重量%とハイエルシン菜種極度硬化油10重量%とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、油脂12を得た。得られた油脂12の組成を表1に示した。
Figure 0005758108
〔実施例6〕
実施例1で得られた油脂1を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明の油中水型乳化のロールイン用油脂組成物1を得た。ロールイン用油脂組成物1に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.2質量%であった。
〔実施例7〕
実施例2で得られた油脂2を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明の油中水型乳化のロールイン用油脂組成物2を得た。ロールイン用油脂組成物2に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.2質量%であった。
〔実施例8〕
実施例3で得られた油脂3を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明の油中水型乳化のロールイン用油脂組成物3を得た。ロールイン用油脂組成物3に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.3質量%であった。
〔実施例9〕
実施例4で得られた油脂4を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明の油中水型乳化のロールイン用油脂組成物4を得た。ロールイン用油脂組成物4に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.2質量%であった。
〔実施例10〕
実施例5で得られた油脂5を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明の油中水型乳化のロールイン用油脂組成物5を得た。ロールイン用油脂組成物5に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.2質量%であった。
〔比較例8〕
比較例1で得られた油脂6を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、油中水型乳化のロールイン用油脂組成物6を得た。ロールイン用油脂組成物6に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.2質量%であった。
〔比較例9〕
比較例2で得られた油脂7を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、油中水型乳化のロールイン用油脂組成物7を得た。ロールイン用油脂組成物7に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.5質量%であった。
〔比較例10〕
比較例3で得られた油脂8を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、油中水型乳化のロールイン用油脂組成物8を得た。ロールイン用油脂組成物8に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.2質量%であった。
〔比較例11〕
比較例4で得られた油脂9を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、油中水型乳化のロールイン用油脂組成物9を得た。ロールイン用油脂組成物9に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.3質量%であった。
〔比較例12〕
比較例5で得られた油脂10を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、油中水型乳化のロールイン用油脂組成物10を得た。ロールイン用油脂組成物10含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.2質量%であった。
〔比較例13〕
比較例6で得られた油脂11を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、油中水型乳化のロールイン用油脂組成物11を得た。ロールイン用油脂組成物11に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.3質量%であった。
〔比較例14〕
比較例7で得られた油脂12を71質量部、菜種極度硬化油を7質量部、菜種油を22質量部配合した混合油を溶解し、この混合油60質量部に、バター27質量部と水13質量部とを加え、油相82.4質量%、水相17.6質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、油中水型乳化のロールイン用油脂組成物12を得た。ロールイン用油脂組成物12に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.2質量%であった。
〔比較例15〕
実施例1で得られた油脂1を95質量部、菜種油を5質量部配合した混合油を溶解し、この混合油87質量部に水13質量部とを加え、油相87質量%、水相13質量%の予備乳化物を製造し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、油中水型乳化のロールイン用油脂組成物13を得た。ロールイン用油脂組成物13に含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸の含有量は1.2質量%であった。
[実施例11]
(デニッシュペストリーの配合)
強力粉 70 質量部
薄力粉 30 質量部
イースト 5 質量部
イーストフード 0.1 質量部
上白糖 15 質量部
食塩 1.2 質量部
脱脂粉乳 3 質量部
全卵 6 質量部
練り込み用油脂(マーガリン) 8 質量部
水 47 質量部
ロールイン用油脂組成物1 50 質量部
呈味材(水分40質量%のフラワーヘ゜ースト) 30 質量部
(デニッシュペストリーの製法)
ロールイン用油脂組成物1と上記の練り込み用油脂とフラワーペースト以外の材料をミキサーボールに入れ、フックを用い、縦型ミキサーにてL3、M2にてミキシングを行ない、練り込み用油脂を入れ、さらにL3、M3、H2にてミキシングを行ない、生地を調製した。そしてフロアタイムを20分とり、−10℃の冷凍庫で24時間リタードさせた。
次にこの生地で実施例6で得られたロールイン用油脂組成物1を包み、3つ折り2回行い、ベーカリー生地を得た。
得られたベーカリー生地でフラワーペーストを包み、4つ折りを1回行なった。最終生地厚は7ミリとした複合積層状生地を得た。得られた複合積層状生地を縦10センチ、横10センチの大きさに切断した。ホイロは34℃で、60分行った。なお、複合積層状生地において、ロールイン用油脂組成物1は36層、フラワーペーストは4層であった。
この複合積層状生地を190℃、18分にて焼成し、本発明の層状ベーカリー製品であるデニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[実施例12]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに実施例7で得られたロールイン用油脂組成物2を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[実施例13]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに実施例8で得られたロールイン用油脂組成物3を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[実施例14]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに実施例9で得られたロールイン用油脂組成物4を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[実施例15]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに実施例10で得られたロールイン用油脂組成物5を用いた以外は、実施例と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[比較例16]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに比較例8で得られたロールイン用油脂組成物6を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[比較例17]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに比較例9で得られたロールイン用油脂組成物7を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[比較例18]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに比較例10で得られたロールイン用油脂組成物8を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[比較例19]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに比較例11で得られたロールイン用油脂組成物9を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[比較例20]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに比較例12で得られたロールイン用油脂組成物10を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[比較例21]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに比較例13で得られたロールイン用油脂組成物11を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[比較例22]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに比較例14で得られたロールイン用油脂組成物12を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
[比較例23]
ロールイン用油脂組成物1の代わりに比較例15で得られたロールイン用油脂組成物13を用いた以外は、実施例11と同様の配合と製法にて、デニッシュペストリーを得た。
得られたデニッシュペストリーの評価を表2に示した。
(評価基準)
温度許容性: 上記のデニッシュペストリーの製法において生地でロールイン用油脂組成物を包んだものを低温(10℃の恒温室)または高温(30℃の恒温室)に1時間保持した後、3つ折りを行った際のロールイン用油脂組成物の状態を評価した。
◎:低温で保持した場合においてロールイン用油脂組成物に割れがなく、且つ高温で保持した場合においてロールイン用油脂が軟化(油脂分離)しない。
〇 :低温で保持した場合においてロールイン用油脂組成物にやや割れが見られるか、または高温で保持した場合においてロールイン用油脂がやや軟化(油脂分離)する。
△ :低温で保持した場合においてロールイン用油脂組成物が割れるか、または高温で保持した場合においてロールイン用油脂が軟化(油脂分離)する。
× :低温で保持した場合においてロールイン用油脂組成物が割れ、且つ高温で保持した場合においてロールイン用油脂組成物が軟化(油脂分離)する。
歯切れ:焼成翌日における噛み出しの噛み切りやすさ
◎ :噛み切りやすい
〇 :やや噛み切りやすい
△ :やや噛み切りにくい
× :噛み切りにくい
サクサク感:焼成翌日における咀嚼時の砕けやすさ
◎ :咀嚼時に砕けやすい
〇 :咀嚼時にやや砕けやすい
△ :咀嚼時にやや砕けにくい
× :咀嚼時に砕けにくい
経日のサクサク感:焼成3日後における咀嚼時の砕けやすさ
◎ :咀嚼時に砕けやすい
〇 :咀嚼時にやや砕けやすい
△ :咀嚼時にやや砕けにくい
× :咀嚼時に砕けにくい
Figure 0005758108

Claims (4)

  1. 油脂配合物中の全トリグリセリドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合が9〜15質量%、パルミチン酸残基の占める割合が31〜37質量%、ベヘン酸残基の占める割合が2.5〜5.5質量%、飽和脂肪酸残基の占める割合が53〜67質量%である油脂配合物をランダムエステル交換したことを特徴とするエステル交換油脂。
  2. 請求項1記載のエステル交換油脂を油相中に40〜80質量%含有するロールイン用油脂組成物。
  3. 含まれる油脂の構成脂肪酸組成においてトランス酸を実質的に含有しない請求項2記載のロールイン用油脂組成物。
  4. 請求項2または3に記載のロールイン用油脂組成物を用いた層状ベーカリー食品。
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