JP5507842B2 - 層状小麦粉膨化食品用可塑性油中水型乳化物 - Google Patents
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Description
「折りパイ」は、シート状のマーガリン(ロールイン油脂)を小麦粉生地で包み込む等し、これを折り重ねて展延する操作を繰り返すことにより、小麦粉生地層と油脂層からなる100層程度の積層構造を形成させ、これを焼成して得られるものである。ボリュームが出て軽い食感が特徴であるが1枚1枚の層が大きく剥がれやすいため口中でもそもそする欠点がある。
「練りパイ」は、小麦粉にマーガリンを目視できなくなる程度に小さくなるまで練り込んだ後、水分を加えマーガリンを生地中に細かく分散させた状態の生地を、展延、成形して焼成する。
折りパイのように層が出来ず、多数の細かな穴が開いた組織となるため、崩れ難く保形性はあるもののビスケット状で硬い食感となる。
「練りパイ」用には、予め適当な大きさにカットしたマーガリンが製品化されている。
例えば、特許文献2は、チップ状に成形されたマーガリンおよびその製造法を開示している。
「練り折りパイ」は、小麦粉にマーガリンを目視できる程度の小片状に練り込んだ後、水分を加えマーガリンを生地中に点在分散させた状態の生地を、展延、成形して焼成する。折りパイのように均一な層状ではなく細かな層が錯綜した組織となる。ボリュームは折りパイ程ではないが、噛むとサクッとして細かく砕けホグレ感がよく、口溶け、喉越しがよい。
例えば特許文献1は、通常の作業温度(10℃〜30℃)でSFCは50〜20%の範囲にあり、30℃を越えるとSFCが急激に減少し体温付近で速やかに溶解することが必要であるとしている。
「練りパイ」、「練り折りパイ」に用いられるマーガリンも形状が相違するだけで、基本的には、ロールイン油脂の配合を基本とするものである。
エステル交換を行わない方法として、特許文献4は、魚油の極度硬化油を用いることを開示している。しかし、極度硬化油を配合するため口溶けの悪いものになってしまう。なお、マーガリンの原料油としてパーム核油などのラウリン系油脂を使用することは従来からよく知られており、特に欧州製品はラウリン系油脂を主体とするものである(非特許文献1、非特許文献2)。
すなわち、本発明は、(1)ラウリン酸主体の硬質油脂を10〜50重量%含有し、油相のSFCが10℃で50以上、35℃で10以下であることを特徴とする層状小麦粉膨化食品用可塑性油中水型乳化物。
(2) トランス酸を実質的に含有しない1記載の層状小麦粉膨化食品用可塑性油中水型乳化物。
(3)酸化澱粉を1〜10重量%含有する1記載の可塑性油中水型乳化物。
(4)1個あたりの容積を15〜1500ccに成形した1〜3記載の可塑性油中水型乳化物と小麦粉とを混合攪拌することを特徴とする層状小麦粉膨化食品用生地の製造方法。
(5)4記載の層状小麦粉膨化食品用生地を焼成して得られる層状小麦粉膨化食品。を骨子とする。
本発明において、ラウリン酸主体の硬質油脂とは、当該油脂中の構成脂肪酸としてラウリン酸が45重量%以上且つオレイン酸が10重量%以下のものを指し、具体的には、パーム核油の分別高融点部、パーム核油の極度硬化油、パーム核分別油の極度硬化油(以上を、「パーム核油起源固体脂」ということがある。)、これらパーム核油起源固体脂もしくはヤシ油とハイエルシン菜種極度硬化油などラウリン酸主体でない極度硬化油とのエステル交換油脂を例示することができ、これらのいずれか1種又は2種以上、特にパーム核油起源固体脂を好適に用いることができる。
パーム核油の極度硬化油は、パーム核油を完全に水素添加したものであり、実質的なトランス酸の割合は0%である。
また、パーム核油の分別油の極度硬化油は、パーム核油の分別高融点部の極度硬化油及びパーム核油の分別低融点部の極度硬化油の双方を示す趣旨である。
いずれも、実質的なトランス酸の割合は0%である。
以上のなかでも、極度硬化しないパーム核油の分別高融点部が好ましい。分別低融点部の極度硬化油は多く使用するとワキシー感が増す。
併用する油脂は、具体的には、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、椰子油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独または混合油あるいはそれらの極度硬化、分別、エステル交換等を施した実質的にトランス酸を含まない加工油脂を使用することができる。但し、後記するSFCの条件を満たすためには、事実上、液体油のみの選択は除外される。併用する油脂は、より具体的には、パーム油50〜70重量%とパーム核油などのラウリン系油脂30〜50重量%とのエステル交換油が例示でき、好適に使用することができる。
油相とする油脂の35℃におけるSFCは口溶け(ワキシー感)の指標となる。この値は10以下であることが必要で、好ましくは5以下が良い。10を超えると口溶けが悪く、かなりワキシー感を感じてしまう。
下限未満であると、油中水型の組成物を得ることが困難になり、合成乳化剤を使用しない場合はさらに困難になり、さらに独特の食感が得られなくなる。一方、上限を超えると油中水型の組成物を得ることが困難になる。
レオメータ値が低いと、生地となじんでしまい焼成した層状小麦粉膨化食品の浮きが悪くなってしまう。
本発明の可塑性油中水型乳化物は、以上の他に、所望により食塩、粉乳、糖類、香料や色素などを使用することができる。
本発明の可塑性油中水型乳化物は、特に「練りパイ」、「練り折りパイ」、中でも「練り折りパイ」に適する。
「練り折りパイ」に使用する場合は、本発明の可塑性油中水型乳化物の1個あたりの容積を15〜1500cc、好ましくは30〜650cc、より好ましくは60〜200ccに成形したものを用いるとよく、形状としては、立方状、直方状、球状、円柱状のものが好ましく、前後、左右、上下の長さをX、Y、Zとし、各々最長のものをa、最短のものをbとした場合、a/bの値が3以下が好ましく、より好ましくは2.5以下であり、更に好ましくは、2以下が良い。
そうすることによって小麦粉含有膨化生地に薄片状の可塑性油中水型乳化物をうまく分散させることが出来る。
薄片状は長さ5〜50mm、好ましくは、10〜40mm、更に好ましくは、20〜30mmであり、厚さ2〜15mm、好ましくは、4〜10mm、更に好ましくは、5〜8mmとなるのを目安とするとよい。
可塑性油中水型乳化物の容積が小さすぎると小麦粉に攪拌混合し、水分を加えて小麦粉ドウを形成する際に練り込まれ過ぎて油脂の粒が残らないため、焼成品は層状になりにくく、食感が硬く口中でのホグレ感も悪くなる傾向がある。
容積が大きすぎると小麦粉に攪拌混合し、水分を加えて小麦粉ドウを形成する際に油脂が小さな小片状になりにくく、ミキシング時間が長くかかり作業効率が悪いものとなる。又、ミキシング中に一部は、練り込まれ過ぎ、一部は大きく残りすぎるといった油脂片の大きなものと小さなものといったバラツキが起こりやすく、ある程度の均一な大きさの油脂片をドウ中に分散させ難くなる。
そしてこのような生地を焼成すると層は均一性に欠け、一定の浮きが得難くなる。
特に、添加剤の添加順序或いは油相を水相へ又は水相を油相へ加えるなどの乳化順序が以下の例示によって限定されるものでないことは言うまでもない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
表1の実施例1に示す配合に従って、全原料を添加混合した後、コンビネーターで急冷混捏して可塑性油中水型乳化物を得た。この可塑性油中水型乳化物を使用し、下記配合(100部を2kgとした)、下記製法により練り折りパイを製造した。可塑性油中水型乳化物は、40×40×40mm(容積64cc、a/b=1)にカットしたものを、20℃に温調して使用した。尚、表1中のパーム核分別高融点部は、沃素価6、融点32℃のものを、パーム油のエステル交換油は、パーム油60%とパーム核油40%とをランダムエステル交換したものを用いた。また、酸化澱粉は、王子コーンスターチ(株)製のものを用いた。
(配合)
強力粉 70(部)
薄力粉 30(部)
食塩 1(部)
脱脂粉乳 2(部)
可塑性油中水型乳化物 50(部)
冷水 42(部)(2〜3℃)
(パイ生地の調製及び焼成)
(1)室温24℃で冷水、塩以外の原料を30コートミキサーにいれ、ビーターを使用し低速[138rpm]にて5分ミキシングし、混合生地200gを採取し可塑性油中水型乳化物の状態を観察した。可塑性油中水型乳化物の状態は長いもので20mm、厚さ8mm、短いもので長さ5mm、厚さ2mmの薄片状であり、全体として見た場合多くは、長さ15mm、厚さ4mmのものであった。このときの混合物品温は22℃であった。
(2)次に冷水に食塩を溶解して入れフックを使用し、低速[138rpm]にて1分混合した。ザックリ繋がった状態の小麦粉膨化食品用生地を調製した。 生地捏ね上げ生地温度は19℃、ここで5℃で30分のリタードをとった。
(3)生地温度15℃にて4つ折り1回後続けて4つ折り1回折りこんだ。ここで5℃で30分リタードをとった。
生地温度15℃にて2mm圧に展延後、40×40mmでカットし、ピケした。
(4)上火190℃、下火185℃、12分更に100℃、20分焼成した。
焼成品は通常のロールインマーガリン使用品(比較例1)に比べ噛み出しが硬く、口中でのほぐれ感、口溶け感のよいザックリとした新規食感のパイとなった。
又、今までにないオイリー感が少なく、さっぱりした味わいのパイに仕上がった。又、パラパラ剥がれ崩れることが少なく、保形性がしっかりしていた。
表2の比較例1に示す配合に従って、全原料を添加混合した後、コンビネーターで急冷混捏して可塑性油中水型乳化物を得た。この可塑性油中水型乳化物を使用し、実施例1と同様の配合、製法により練り折りパイを製造した。但し、冷水は44部とした。
可塑性油中水型乳化物は、実施例1と同様にカットしたものを、冷蔵庫から出してすぐ使用した。8℃であった。
(パイ生地の調製及び焼成)
(1)実施例1と同様に行い、観察すると、可塑性油中水型乳化物の状態は長いもので10mm、厚さ6mm、短いもので長さ3mm、厚さ1mmの薄片状であり、全体として見た場合多くは、長さ5mm、厚さ3mmのものであった。このときの混合物品温は20℃であった。
(2)実施例1と同様にしてザックリ繋がった状態の小麦粉膨化食品用生地を調製し、5℃で30分のリタードをとった。但し、生地捏ね上げ生地温度は15℃だった。
(3)生地温度12℃にて4つ折り1回後続けて4つ折り1回折りこんだ。ここで5℃で30分リタードをとった。生地温度10℃にて2mm圧に展延後、40×40mmでカットし、ピケした。
(4)実施例1と同様にして焼成した。焼成品は噛み出しが硬く崩れ難い保形性を有していたが、実施例1のザックリとした食感ではなく、サクッとした食感を有し、ワキシーで口溶け感は悪かった。
表1の実施例2に示す配合に従って、全原料を添加混合した後、コンビネーターで急冷混捏して可塑性油中水型乳化物を得た。この可塑性油中水型乳化物を使用し、実施例1と同様の配合、製法により練り折りパイを製造した。可塑性油中水型乳化物は、実施例1と同様にカットしたものを、20℃に温調して使用した。
(パイ生地の調製及び焼成)
(1)実施例1と同様に行い、観察すると、可塑性油中水型乳化物の状態は長いもので25mm、厚さ9mm、短いもので長さ10mm、厚さ2mmの薄片状であり、全体として見た場合多くは、長さ17mm、厚さ4mmのものであった。このときの混合物品温は22℃であった。
(2)実施例1と全く同様にしてザックリ繋がった状態の小麦粉膨化食品用生地を調製し、5℃で30分のリタードをとった。
(3)実施例1と全く同様にして、生地を折り込み、リタードをとった。生地温度16℃にて2mm圧に展延後、40×40mmでカットし、ピケした。
(4)実施例1と同様にして焼成した。焼成品は実施例1と同様に噛み出しが硬く、口中でのほぐれ感、口溶け感のよいザックリとした新規食感のパイとなった。又、今までにないオイリー感が少なく、さっぱりした味わいのパイに仕上がった。又、パラパラ剥がれ崩れることが少なく、保形性がしっかりしていた。
表1の実施例3に示す配合に従って、全原料を添加混合した後、コンビネーターで急冷混捏して可塑性油中水型乳化物を得た。この可塑性油中水型乳化物を使用し、実施例1と同様の配合、製法により練り折りパイを製造した。可塑性油中水型乳化物は、実施例1と同様にカットしたものを、20℃に温調して使用した。
(パイ生地の調製及び焼成)
(1)実施例1と同様に行い、観察すると、可塑性油中水型乳化物の状態は長いもので23mm、厚さ8mm、短いもので長さ9mm、厚さ2mmの薄片状であり、全体として見た場合多くは、長さ15mm、厚さ4mmのものであった。このときの混合物品温は22℃であった。
(2)実施例1と全く同様にしてザックリ繋がった状態の小麦粉膨化食品用生地を調製し、5℃で30分のリタードをとった。
(3)生地温度16℃にて4つ折り1回後続けて4つ折り1回折りこみ、5℃で30分リタードをとった。生地温度16℃にて2mm圧に展延後、40×40mmでカットし、ピケした。
(4)実施例1と同様にして焼成した。焼成品は実施例1と同様に噛み出しが硬くオイリー感が少ない、さっぱりした味わいのパイになったが、実施例2に比べると口中でのほぐれ感および喉越し感が劣る傾向にあった。保形性についてはパラパラ剥がれ崩れることが少なくしっかりしていた。
表1の実施例4に示す配合に従って、全原料を添加混合した後、コンビネーターで急冷混捏して可塑性油中水型乳化物を得た。この可塑性油中水型乳化物を使用し、実施例1と同様の配合、製法により練り折りパイを製造した。可塑性油中水型乳化物は、実施例1と同様にカットしたものを、20℃に温調して使用した。
(パイ生地の調製及び焼成)
(1)実施例1と同様に行い、観察すると、可塑性油中水型乳化物の状態は長いもので22mm、厚さ7mm、短いもので長さ8mm、厚さ2mmの薄片状であり、全体として見た場合多くは、長さ14mm、厚さ4mmのものであった。このときの混合物品温は21℃であった。
(2)実施例1と同様にしてザックリ繋がった状態の小麦粉膨化食品用生地を調製し、5℃で30分のリタードをとった。但し、生地捏ね上げ生地温度は18℃であった。
(3)生地温度15℃にて4つ折り1回後続けて4つ折り1回折りこみ、5℃で30分リタードをとった。生地温度16℃にて2mm圧に展延後、40×40mmでカットし、ピケした。
(4)実施例1と同様にして焼成した。焼成品は実施例2と同様に噛み出しが硬く、口中でのほぐれ感、口溶け感のよいザックリとした新規食感のパイとなった。又、今までにないオイリー感が少なく、さっぱりした味わいのパイに仕上がった。又、パラパラ剥がれ崩れることが少なく、保形性がしっかりしていた。
(パイ生地の調製及び焼成)
(1)実施例1と同様に行い、観察すると、可塑性油中水型乳化物の状態は長いもので15mm、厚さ5mm、短いもので長さ5mm、厚さ1mmの薄片状であり、全体として見た場合多くは、長さ12mm、厚さ3mmのものであった。このときの混合物品温は21℃であった。
(2)実施例1と同様にしてザックリ繋がった状態の小麦粉膨化食品用生地を調製し、5℃で30分のリタードをとった。但し、生地捏ね上げ生地温度は18℃であった。
(3)生地温度15℃にて4つ折り1回後続けて4つ折り1回折りこみ、5℃で30分リタードをとった。生地温度16℃にて2mm圧に展延後、40×40mmでカットし、ピケした。
(4)実施例1と同様にして焼成した。焼成品は実施例2と比較して噛み出しが軟らかく噛み応えがなく、口中でのほぐれ感が悪かった。又、口溶け感は悪くワキシーであった。又、パラパラ剥がれ崩れることは少なかったが、しっかりした保形性は得られなかった。
表2の比較例3に示す配合に従って、全原料を添加混合した後、コンビネーターで急冷混捏して可塑性油中水型乳化物を得た。この可塑性油中水型乳化物を使用し、実施例1と同様の配合、製法により練り折りパイを製造した。可塑性油中水型乳化物は、実施例1と同様にカットしたものを、20℃に温調して使用した。
(パイ生地の調製及び焼成)
(1)実施例1と同様に行い、観察すると、可塑性油中水型乳化物の状態は長いもので30mm、厚さ12mm、短いもので長さ15mm、厚さ4mmの薄片状であり、全体として見た場合多くは、長さ22mm、厚さ7mmのものであった。このときの混合物品温は22℃であった。
(2)実施例1と同様にしてザックリ繋がった状態の小麦粉膨化食品用生地を調製し、5℃で30分のリタードをとった。但し、生地捏ね上げ生地温度は20℃であった。
(3)生地温度16℃にて4つ折り1回後続けて4つ折り1回折りこみ、5℃で30分リタードをとった。生地温度18℃にて2mm圧に展延後、40×40mmでカットし、ピケした。
(4)実施例1と同様にして焼成した。実施例2と比較してミキシング時最後まで油脂粒が大きく残り、展延時も十分に油脂粒が伸びず十分層状にならなかった。焼成品はオイルオフが激しく、ガザ穴が開き通常の層状のパイが得られなかった。
実施例2で使用した可塑性油中水型乳化物を使用し、実施例1と同様の配合であるが、下記に示す方法により練りパイを製造した。可塑性油中水型乳化物は、実施例1と同様にカットしたものを、20℃に温調して使用した。
(パイ生地の調製及び焼成)
(1)室温24.5℃で冷水、塩以外の原料を30コートミキサーにいれ、ビーターを使用し低速[138rpm]にて8分ミキシングし、混合生地200gを採取し可塑性油中水型乳化物の状態を観察した。可塑性油中水型乳化物の状態は全体的に直径が3〜4mmの細かいソボロ状であった。このときの混合物品温は23℃であった。
(2)次に冷水に食塩を溶解して入れフックを使用し、低速[138rpm]にて1分混合し、ザックリ繋がった状態の小麦粉膨化食品用生地を調製し、5℃で30分のリタードをとった。生地捏ね上げ生地温度は20℃であった。
(3)生地温度18℃にて1.7mm圧に展延後、ピケした。この生地を50mmΦの抜き型で抜いて展板に並べた。
(4)上火190℃、下火185℃、9分更に100℃、10分焼成した。
焼成品は通常のロールインマーガリン使用品(比較例4)に比べ浮きがよく、噛み出しが硬く、口中でのほぐれ感、口溶け感のよいザックリとした新規食感のパイとなった。
又、今までにないオイリー感が少なく、さっぱりした味わいのパイに仕上がった。又、パラパラ剥がれ崩れることが少なく、保形性がしっかりしていた。
比較例1で使用した可塑性油中水型乳化物を使用し、実施例5と同様の配合、製法により練りパイを製造した。可塑性油中水型乳化物は、実施例1と同様にカットしたものを、20℃に温調して使用した。
(パイ生地の調製及び焼成)
(1)室温24℃で冷水、塩以外の原料を30コートミキサーにいれ、ビーターを使用し低速[138rpm]にて7分ミキシングし、混合生地200gを採取し可塑性油中水型乳化物の状態を観察した。可塑性油中水型乳化物の状態は全体的に直径が3〜4mmの細かいソボロ状であった。このときの混合物品温は23℃であった。
(2)次に冷水に食塩を溶解して入れフックを使用し、低速[138rpm]にて1分混合し、ザックリ繋がった状態の小麦粉膨化食品用生地を調製し、5℃で30分のリタードをとった。生地捏ね上げ生地温度は20℃であった。
(3)生地温度18℃にて1.7mm圧に展延後、ピケした。この生地を50mmΦの抜き型で抜いて展板に並べた。
(4)上火190℃、下火185℃、9分更に100℃、10分焼成した。
焼成品は噛み出しが硬く崩れ難い保形性を有していたが、浮きが悪く内相が詰んでボソボソした硬い食感で、口中でのほぐれ感、口溶け感も悪い油っぽいパイとなった。
実施例1〜4、比較例1〜2について、焼成品を90mmΦの亀甲容器(スチロール製円筒容器)に入れ、振とう培養機(マルチシェーカーMMS,東京理化器機製)に掛け、215rpmで1分攪拌しパイ焼成品の破損状態を観察した。実施例1,2は破損が非常に少なく保形性が特に良好、実施例3,4,比較例1は少し破損はあるが問題にはならない範囲であった。比較例2は破損がひどく商品的価値が損なわれた状態であった。
食感,ワキシー感,オイリー感,ホグレ感,口溶け感について評価を行った。
(実施例1〜4)
食感(ホグレ感)および、口溶け・喉越し感は、良好であった。但し、実施例3は実施例2と比較するとやや劣るものであった。ワキシー感・オイリー感については、いずれも特に感じられず良好であった。
(比較例1〜3)
比較例1〜2は食感,ワキシー感,オイリー感,ホグレ感,口溶け感の面で問題があり、比較例1は保形性の面では問題なかったが、トランス酸量が12%を占めた。比較例3は硬すぎ可塑性油脂としての展延性に欠け使用不能であった。 実施例1〜4及び比較例1〜3の結果を表3に纏めた。◎:特に良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
Claims (5)
- ラウリン酸主体の硬質油脂を10〜40重量%含有し、油相のSFCが10℃で65以上、35℃で10以下であることを特徴とする、トランス酸を実質的に含有しない、練りパイ又は練り折りパイ用可塑性油中水型乳化物。
- レオメーター値(プランジャー径10mmΦで測定、単位g)が15℃において5000以上、20℃において2000以上である請求項1記載の可塑性油中水型乳化物。
- 酸化澱粉を1〜10重量%含有する請求項1〜2のいずれか1項記載の可塑性油中水型乳化物。
- 1個あたりの容積を15〜1500ccに成形した請求項1〜3のいずれか1項記載の可塑性油中水型乳化物と小麦粉とを混合攪拌することを特徴とする練りパイ生地又は練り折りパイ生地の製造方法。
- 請求項4記載の練りパイ生地又は練り折りパイ生地を焼成して得られる練りパイ又は練り折りパイ。
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