JP6879001B2 - ロールイン油中水型乳化組成物 - Google Patents
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Description
(1)10℃における固体脂指数(SFC)が35〜60%、35℃におけるSFCが7%以下である油相60〜95重量%及びジェランガム、カラギーナン、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガムから選択される1種または2種以上である増粘剤0.01〜0.2重量%を含有する水相5〜40重量%からなる油中水型乳化組成物であって、該水相の60℃における粘度が15〜500Mpa・sであることを特徴とする、ヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品用ロールイン油中水型乳化組成物。
(2)油相に、下記に示す油脂A、油脂B及び油脂Cを含有する(1)記載のロールイン油中水型乳化組成物。
油脂Aは、構成トリグリセリド組成におけるSUS/SSUの重量比が0.4〜0.8、SSS含有量が4〜20重量%、S2U含有量が50〜80重量%であり、構成脂肪酸中のステアリン酸/パルミチン酸の重量比が0.1〜0.4である、エステル交換油の高融点部を除去した分別画分
油脂Bは、液状植物油
油脂Cは、ラウリン酸を含有する油脂
(但し、S : 炭素数が14〜24の飽和脂肪酸、U : 炭素数が14〜24の不飽和脂肪酸を意味する。)
(3)油相に、油脂Aを7〜45重量%、油脂Bを10〜50重量%及び油脂Cを10〜75重量%含有する、(2)記載のロールイン油中水型乳化組成物。
(4)油脂Aが、パーム油、及び/又はパーム分別油に、構成脂肪酸中にステアリン酸を25重量%以上含有する油脂を配合して、エステル交換した後、高融点部及び低融点部を除去した中融点画分である、(2)または(3)記載のロールイン油中水型乳化組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれか1に記載したロールイン油中水型乳化組成物を使用したヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品。
(6)油相60〜95重量%及び水相5〜40重量%からなる油中水型乳化組成物において、該水相の60℃における粘度が15〜500Mpa・sとなるようにジェランガム、カラギーナン、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガムから選択される1種または2種以上である増粘剤0.01〜0.2重量%を水相に添加することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1記載のロールイン油中水型乳化組成物の製造方法。
に関するものである。
本発明でいう油相とは、ロールイン油中水型乳化組成物における、油脂および油脂に溶解する成分が混合した状態のものであり、油中水型乳化組成物を加熱溶解して乳化状態を破壊した際に、油脂を主体とした部分として分離し、認識されるものである。
本発明の乳化とは、油中水型乳化であり、油中水型または油中水中油型の何れでも構わない。
また、本発明の油脂Aを構成する飽和脂肪酸は、実質的にステアリン酸とパルミチン酸で構成されるが、飽和脂肪酸のうちステアリン酸とパルミチン酸の合計含有量が90重量%以上であることが好ましく、より好ましくは95重量%以上である。さらに、本発明の油脂Aは、構成脂肪酸組成中にラウリン酸含有量が5重量%未満であることが好ましく、より好ましくは3重量%未満である。
ここで、油脂中のトランス酸含有量を含む構成脂肪酸組成は、AOCS Ce1f-96に準じて測定した。
ここで、本発明における融点及びヨウ素価は、社団法人日本油化学会制定の基準油脂分析試験法2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)及び2.3.4 ヨウ素価に準じて測定したものである。
このような、構成脂肪酸中にステアリン酸を高濃度に含有する油脂とパーム油、及び/又はパーム分別油を混合することで、上記のようなステアリン酸とパルミチン酸の含有量となる油脂を得ることができる。
パーム油(ヨウ素価52)60重量%、パームステアリン(ヨウ素価31)20重量%、パーム極度硬化油(ヨウ素価1以下)20重量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりエステル交換を行い、さらにアセトン分別により高融点部と低融点部を除去した中融点画分を得て、油脂Aとした。得られた中融点画分Aは、構成トリグリセリド組成におけるPPP含有量が5重量%、S2U含有量が75重量%及びSUS/SSUの重量比が0.5であり、ステアリン酸/パルミチン酸の重量比が0.3であった。
ラウリン系油脂であるパーム核分別低融点部50重量部とパーム油50重量部を混合した後、触媒としてナトリウムメチラートを混合油に添加し、80℃、真空度20Torr、40分間攪拌してエステル交換反応を行った後、水洗、脱水し、通常の精製工程を施すことにより、エステル交換油脂C−1を得た。このC−1の上昇融点は34.7℃であった。
(油脂C−2)
油脂C−2としては、乳脂を使用した。
(油脂C−3)
ナタネ油50部、パーム核油40部、ハイエルシン菜種油10部を混合し、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換を行った後、水洗、脱水し、ニッケルを触媒として極度硬化を行い、精製して極度硬化エステル交換油C−3を得た。このC−3の上昇融点は52.6℃であった。
(油脂C−4)
油脂C−4としては、パーム核分別高融点部を使用した。このC−3の上昇融点は32.2℃であった。
(油脂D)
パームステアリン(ヨウ素価31)66部、パーム油(ヨウ素価52)34部を混合し、ナトリウムメチラートを触媒として高融点パーツ1と同条件で非選択的エステル交換を行った後、水洗、脱水し、精製してエステル交換油Dを得た。このDの上昇融点は46.3℃であった。
油相として、油脂82.2重量部、飽和モノグリセリド(「エマルジーMS」理研ビタミン株式会社製)0.4重量部、大豆レシチン(「SLPペースト」辻製油株式会社製)0.1重量部、水相として水16.5重量部、食塩1.3重量部、ジェランガム0.033重量部を用いて、下記のロールイン油中水型乳化組成物の調製法に従い、それぞれロールイン油中水型乳化組成物を調製した。
(ロールイン油中水型乳化組成物の調製法)
1.油脂及び油脂に溶解する乳化剤を融解、混合して油相とした。
2.水及び水に溶解する成分を混合し水相とした。
3.油相を55〜70℃で攪拌しつつ水相を投入し、略乳化した。
4.掻き取り式急冷混和機「コンビネーター」、休止管、成型機を通してシート状のロールイン油中水型乳化組成物を得た。
5.3〜7℃の冷蔵庫にて保管した。
表1
・単位は重量%である。
・ラードは、精製ラードを使用した。
・ここで、油相とは油脂配合に乳化剤を加えたものである。
表2
・単位は重量部である。
・練り込み用油脂としては、不二製油株式会社製「メサージュ500」を使用した。
上表2に記載の小麦粉生地原料を練り上げ、29℃、湿度70%の庫内にて60分間発酵させた後、−18℃のフリーザーで60分間リタードをとった。次に、実施例1〜3及び比較例1〜3のロールイン油中水型乳化組成物(10℃で温調)を折り込み、リバースシーターで3つ折りを2回行った後、−7℃のフリーザーで60分間リタードをとり、リバースシーターで3つ折りを1回行った後、−7℃のフリーザーで45分間リタードをとりリバースシーターで生地厚4mmまで延ばして成形し、32℃、湿度75%のホイロで60分間発酵させた後、庫内温度200℃のオーブンで14分間焼成し、クロワッサンを得た。これを室温で24時間保管後に焼成品の評価を行った。
(ロールイン油中水型乳化組成物の評価)
充填適性の評価基準
◎ : 充填時の組織に十分な硬さがあり、安定した充填が可能
○ : 充填時の組織はやや軟らかいものの、充填が可能な範囲である
△ : 充填時の組織は軟らかい又は不均一だが、充填が可能な範囲である
× : 充填時の組織が軟らかい又は不均一で、安定した充填が困難
組織状態の評価基準
◎ : 低温でも軟らかく滑らかで、コシもある
○ : 低温でやや硬いものの、脆さはなく滑らかさがあり、コシもある
△ : 低温でやや硬く、コシが弱い
× : 低温で硬くて脆い。
作業性の評価基準
◎ : 生地とともに非常によく伸び、割れもなく、良好な展延性を示す
○ : 割れずに生地とともに伸びており、許容範囲の展延性である
△ : 伸びがやや悪く、僅かに割れがみられて展延性が劣る
× : 伸びが悪く、割れが発生する
(焼成後のクロワッサン評価)
外観(浮き)及び内層の評価基準 内層はクロワッサンを切断して評価した。
◎ : 非常に浮きが良く、きれいな内層が形成されている
○ : 浮きが良く、きれいな内層が形成されている
△ : 浮いているが、不均一な内層である
× : 浮きが不十分で、目が詰まってパン目になっているところがあり、内層の出来も悪い
口どけの評価基準 クロワッサンを実際に食して評価した。
◎ : 良好な口どけで、非常にジューシー感がある
○ : 良好な口どけで、ジューシー感がある
△ : 口どけは許容範囲内であるが、ジューシー感はない
× : 口どけが悪く、油性感がある。やや乾燥している感じでジューシー感はない
食感の評価基準 クロワッサンを実際に食して評価した。
◎:ヒキがあり歯切れが良い
○:ややヒキがあり歯切れが良い
△:ヒキはないが歯切れが良い
×:ヒキがなく歯切れも悪い
実施例2のジェランガム0.033重量部を0.03重量部に代えて、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、20Mpa・sであった。
実施例2のジェランガム0.033重量部を0.038重量部に代えて、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、200Mpa・sであった。
実施例2のジェランガム0.033重量部を0.005重量部に代えて、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、10Mpa・sであった。
実施例2のジェランガム0.033重量部を0.043重量部に代えて、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、6000Mpa・sであった。
実施例2において、ジェランガム0.033重量部を、キサンタンガム0.15重量部に置換して、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、250Mpa・sであった。
実施例2において、水16.5重量部を水14重量部と水溶性大豆多糖類(商品名:ソヤファイブ−S、不二製油株式会社製)2.5重量部に変更し、ジェランガム0.033重量部を無添加に変更して、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、150Mpa・sであった。
実施例2において、水16.5重量部を水12.5重量部とアラビアガム4重量部に変更し、ジェランガム0.033重量部を無添加に変更して、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、180Mpa・sであった。
Claims (4)
- 10℃における固体脂指数(SFC)が35〜60%、35℃におけるSFCが7%以下である油相60〜95重量%及びジェランガム、又はキサンタンガムから選択される1種または2種以上である増粘剤0.01〜0.2重量%を含有する水相5〜40重量%からなる 油中水型乳化組成物であって、該水相の60℃における粘度が15〜300Mpa・sであることを特徴とする、ヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品用ロールイン油中水型乳化組成物。
ただし、油相に、下記に示す油脂A、油脂B及び油脂Cを、油脂Aを7〜45重量%、油脂Bを10〜50重量%及び油脂Cを10〜75重量%含有する。
油脂Aは、構成トリグリセリド組成におけるSUS/SSUの重量比が0.4〜0.8、SSS含有量が4〜20重量%、S2U含有量が50〜80重量%であり、構成脂肪酸中のステアリン酸/パルミチン酸の重量比が0.1〜0.4である、エステル交換油の高融点部を除去した分別画分
油脂Bは、液状植物油
油脂Cは、ラウリン酸を含有する油脂 (但し、S : 炭素数が14〜24の飽和脂肪酸、U : 炭素数が14〜24の不飽和脂肪酸 を意味する。) - 油脂Aが、パーム油、及び/又はパーム分別油に、構成脂肪酸中にステアリン酸を25重量%以上含有する油脂を配合して、エステル交換した後、高融点部及び低融点部を除去した中融点画分である、請求項1記載のロールイン油中水型乳化組成物。
- 請求項1又は2に記載したロールイン油中水型乳化組成物を使用したヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品。
- 油相60〜95重量%及び水相5〜40重量%からなる油中水型乳化組成物において、該 水相の60℃における粘度が15〜300Mpa・sとなるようにジェランガム、又はキサンタンガムから選択される1種または2種以上である増粘剤0.01〜0.2重量%を水相に添加することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のロールイン油中水型乳化組成物の製造方法。
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