JP6879001B2 - ロールイン油中水型乳化組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ロールイン油中水型乳化組成物に関し、詳しくは、ヒキがあり歯切れの良い層状膨化小麦粉食品用のロールイン油中水型乳化組成物に関する。
オープンフレッシュベーカリーやインストアベーカリーなどの普及により消費者が容易に焼き立てパンを入手できるようになってきた。その結果、パン本来の美味しさが広く認知されるようになり、ホールセールやコンビニエンスストアにおいても焼き立てパンに遜色のないパンへの需要が高まっている。
デニッシュやクロワッサン、パイなどの層状膨化小麦粉食品は小麦粉生地とロールイン油脂とを重ね合わせ、折りたたみ、圧延を繰り返して油脂層と小麦粉生地層による積層構造とした後に成型し、またデニッシュやクロワッサンにおいてはその後ホイロ工程を得て焼成することにより得られる。このような層状膨化小麦粉食品の特徴は、焼き立て後の歯切れや口どけの良さ、サクサクとしたフレーキーな食感にある。特に、デニッシュやクロワッサンにおいては、最近ではヒキがあり歯切れが良い食感や、ジューシー感のある食感が好評を博している。しかし、時間の経過とともにこのような焼き立て直後の層状膨化小麦粉食品に特有の食感は損なわれてしまうといった問題があり、製造からおよそ1日から5日程度の期間販売されるホールセールやコンビニエンスストアの層状膨化小麦粉食品は、パサつきが感じられ、口どけが悪く感じられるようになったり、食感が硬くなりすぎたり、ヒキが強すぎて歯切れが悪くなったりする傾向があった。
上記のような経時的な特有の食感の低下を改良するために、様々な改良方法が開発されてきた。特許文献1は、炭素数16〜22の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノグリセリドを0.9〜5重量%、且つ、有機酸及び/又は有機酸塩を0.2〜2重量%含有するロールイン油中水型乳化組成物に関し、該油中水型乳化組成物を用いることにより、経時的な品質劣化が抑制され、特に焼成後の日数経過後であってもソフト感やしっとり感が維持された層状膨化小麦粉食品が得られるというものである。
特許文献2は、水溶性大豆多糖類を添加することを特徴とする、ペストリー類の食感改良方法に関する。該方法によると、パイ、クロワッサン、デニッシュ等のペストリー類に歯切れや口どけが良くサクサクとしたフレーキーな特有の食感を付与することができるというものである。
特許文献3は、ロールイン油中水型乳化組成物における油脂に着目した発明であり、油相の構成トリグリセリド組成におけるX3含有量及びPPP含有量、構成脂肪酸中のステアリン酸/パルミチン酸の重量比、ラウリン酸及びトランス酸含有量の各値が、特定条件を満たすロールイン油中水型乳化組成物(但し、X : 炭素数が4〜24の偶数である飽和脂肪酸、P : パルミチン酸を意味し、X3はトリ飽和脂肪酸グリセリド、PPPはトリパルミチンである。)に関する。該油中水型乳化組成物はトランス酸を実質的に含まない配合でありながら、低温での展延性が良好であり、該油中水型乳化組成物を使用した層状膨化小麦粉食品においては、きれいな層を形成し、かつ良好な口どけとジューシーな食感を発現できるというものである。
特開2015−213454号公報 特開2014−117217号公報 特開2016−21941号公報
特許文献1〜3はいずれも層状膨化小麦粉食品の経時的な食感低下防止に効果を有する有力な改良方法であるが、最近のヒキがあり歯切れの良い食感というニーズに対して不十分な効果を有するものであり、特許文献1及び3の方法では口どけが良くジューシーな食感ではあるが、ヒキと歯切れがやや弱いものであった。特許文献2の方法では、ジューシーな食感にやや乏しく、歯切れは良いがヒキは弱い食感であった。
本発明の目的は、製造後1日〜5日経過後も、口どけが良く、しかもヒキがあり歯切れの良い食感とジューシー感のある食感を有する層状膨化小麦粉食品を得ることを可能とするロールイン油中水型乳化組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するべく鋭意検討した結果、油相に特定の油脂を含有し、水相に特定の増粘剤を含有するロールイン油中水型乳化組成物を用いることにより、前記課題の層状膨化小麦粉食品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
(1)10℃における固体脂指数(SFC)が35〜60%、35℃におけるSFCが7%以下である油相60〜95重量%及びジェランガム、カラギーナン、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガムから選択される1種または2種以上である増粘剤0.01〜0.2重量%を含有する水相5〜40重量%からなる油中水型乳化組成物であって、該水相の60℃における粘度が15〜500Mpa・sであることを特徴とする、ヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品用ロールイン油中水型乳化組成物。
(2)油相に、下記に示す油脂A、油脂B及び油脂Cを含有する(1)記載のロールイン油中水型乳化組成物。
油脂Aは、構成トリグリセリド組成におけるSUS/SSUの重量比が0.4〜0.8、SSS含有量が4〜20重量%、S2U含有量が50〜80重量%であり、構成脂肪酸中のステアリン酸/パルミチン酸の重量比が0.1〜0.4である、エステル交換油の高融点部を除去した分別画分
油脂Bは、液状植物油
油脂Cは、ラウリン酸を含有する油脂
(但し、S : 炭素数が14〜24の飽和脂肪酸、U : 炭素数が14〜24の不飽和脂肪酸を意味する。)
(3)油相に、油脂Aを7〜45重量%、油脂Bを10〜50重量%及び油脂Cを10〜75重量%含有する、(2)記載のロールイン油中水型乳化組成物。
(4)油脂Aが、パーム油、及び/又はパーム分別油に、構成脂肪酸中にステアリン酸を25重量%以上含有する油脂を配合して、エステル交換した後、高融点部及び低融点部を除去した中融点画分である、(2)または(3)記載のロールイン油中水型乳化組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれか1に記載したロールイン油中水型乳化組成物を使用したヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品。
(6)油相60〜95重量%及び水相5〜40重量%からなる油中水型乳化組成物において、該水相の60℃における粘度が15〜500Mpa・sとなるようにジェランガム、カラギーナン、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガムから選択される1種または2種以上である増粘剤0.01〜0.2重量%を水相に添加することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1記載のロールイン油中水型乳化組成物の製造方法。
に関するものである。
本発明により、ロールイン時の低温での展延性が良好で、製造後1日〜5日経過後も、口どけが良く、しかもヒキがあり歯切れの良い食感とジューシー感のある食感を有する層状膨化小麦粉食品を得ることを可能とする、ヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品用のロールイン油中水型乳化組成物を得ることができる。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物とは、クロワッサンやデニッシュ等の層状膨化小麦粉食品のロールインに使用できる油脂組成物であり、通常は油中水型の乳化物である。そして、その形状はシート状である場合が多いが、ブロック状の油脂組成物を使用する場合もある。
本発明でいう油相とは、ロールイン油中水型乳化組成物における、油脂および油脂に溶解する成分が混合した状態のものであり、油中水型乳化組成物を加熱溶解して乳化状態を破壊した際に、油脂を主体とした部分として分離し、認識されるものである。
以下、本発明のロールイン油中水型乳化組成物について詳しく説明する。
本発明の乳化とは、油中水型乳化であり、油中水型または油中水中油型の何れでも構わない。
本発明でいう低温とは、10℃以下、より好ましくは5℃以下を意味する。一般的に、ロールイン油中水型乳化組成物は10〜20℃に温調後、折り込み(展延)を行い、リタードの工程により冷却される。この際、生地品温は5℃以下となるが、さらに展延して成型する必要がある。したがって、この低温での展延性が、焼成した層状膨化小麦粉食品においてきれいな層を形成するために非常に重要となる。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物における油相の含有量は、60〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは70〜90重量%である。油相の含有量が60重量%未満であると、ロールイン油中水型乳化組成物を用いて焼成した層状膨化小麦粉食品の口どけ及びジューシー感のある食感が低下する傾向にある。一方、95重量%を超えると、水相が少なくなり、ロールイン油中水型乳化組成物の組織が硬くなる場合がある。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物の油相は、10℃におけるSFC(固体脂含量)が35〜60%であることが好ましく、より好ましくは37〜58%であり、さらに好ましくは39〜56%である。10℃におけるSFCが60%を超えると、ロールイン油中水型乳化組成物が硬くなりすぎ、展延性が劣る場合がある。また、ロールイン作業時に割れて焼成品の内層が不均一になる場合がある。一方、35%未満になると、ロールイン油中水型乳化組成物が軟らかすぎて、ロールイン作業時に生地に馴染んでしまったり、油脂が滲み出したりして、展延作業での生地が安定せずに、焼成品の浮きに影響を及ぼす場合がある。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物の油相は、35℃におけるSFCが7%以下であることが好ましく、より好ましくは6%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。35℃におけるSFCが7%を超えると、得られるロールイン油中水型乳化組成物及び焼成品の口どけが悪化してしまう場合があるので好ましくない。
ここで、油脂の固体脂指数を表わすSFCは、AOCS Official Method第5版Cd16-81に準じて、60℃に60分置いた後、0℃に移し60分置き、各測定温度に移し30分後に測定したものである。
本発明において、前記SFCを満たす油相として、以下に示す油脂A、油脂B及び油脂Cの混合油脂を含有するものを用いることができる。
本発明における油脂Aは、構成トリグリセリド組成におけるSUS/SSUの重量比が0.4〜0.8であることが好ましく、より好ましくは0.5〜0.6である。構成トリグリセリド組成におけるSUS/SSUの重量比が0.8を超えると、得られるロールイン乳化油脂組成物の組織が脆くなり、展延性が悪くなってしまう場合がある。また、0.4未満では、油脂のエステル交換と一般的な分別だけでは調製が困難で、例えばカラムを使用した濃縮工程が必要となるために製造コストが高くなりすぎる場合があり好ましくない。なお、Sは炭素数が14〜24の飽和脂肪酸、Uは炭素数が14〜24の不飽和脂肪酸を意味する。よって、SUSとは、Sが2残基とUが1残基結合したグリセリドで、Uがβ位に結合している1,3‐飽和‐2‐不飽和グリセリドであり、SSUとは、Sが2残基とUが1残基結合したグリセリドで、Uがα位に結合している1,2‐飽和‐3‐不飽和グリセリドを示す。
本発明の油脂Aは、構成トリグリセリド組成におけるSSSの含有量が4〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜19重量%、さらに好ましくは7〜13重量%である。構成トリグリセリド組成におけるSSSが4重量%未満では、ロールイン乳化油脂組成物の組織が軟らかくなりすぎるために生地へ練り込まれてしまったり、ホイロで耐熱性が不足したりすることで、焼成品にきれいな層を形成することができない場合がある。一方、20重量%を超えると、ロールイン油中水型乳化組成物の融点が上昇して口どけが損なわれるため、焼成品にジューシーな食感が得られない場合がある。すなわち、SSSの含有量が上述した範囲内にある場合には、得られるロールイン油中水型乳化組成物の組織や展延性がより良くなり、該ロールイン油中水型乳化組成物を使用した焼成品はきれいな層が形成され、かつジューシーな食感とすることができる。なお、SSSはトリ飽和グリセリドを示すが、SSSを構成する3つの脂肪酸酸残基は、同一であっても、異なっていても良い。
本発明の油脂Aは、構成トリグリセリド組成におけるS2Uの含有量が50〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは55〜80重量%、さらに好ましくは65〜75重量%である。構成トリグリセリド組成におけるS2Uが50重量%未満であると、得られるロールイン油中水型乳化組成物の組織が軟らかくなりすぎるために生地へ練り込まれてしまったり、ホイロで耐熱性が不足したりすることで、きれいな層を形成することができない場合がある。一方、80重量%超では、特に低温で組織が硬くなり十分な展延性が得られない場合がある。なお、S2Uとは、Sが2残基とUが1残基結合したグリセリドであり、Uがβ位に結合しているSUS(1,3‐飽和‐2‐不飽和グリセリド)と、Uがα位に結合しているSSU(1,2‐飽和‐3‐不飽和グリセリド)の両方を含む。
本発明の油脂Aは、構成脂肪酸組成におけるステアリン酸/パルミチン酸の重量比が0.1〜0.4であることが好ましく、より好ましくは、0.15〜0.35である。構成脂肪酸組成におけるステアリン酸/パルミチン酸の重量比が0.1未満では、ロールイン油中水型乳化組成物の組織が軟らかくなりすぎるために生地へ練り込まれてしまったり、ホイロで耐熱性が不足したりすることで、焼成品にきれいな層を形成することができない場合がある。一方、0.4を超えると、ロールイン油中水型乳化組成物の融点が上がり、焼成品の口どけが損なわれるため、ジューシーな食感が得られない場合がある。すなわち、構成脂肪酸組成におけるステアリン酸/パルミチン酸の重量比が上述した範囲内にある場合には、得られるロールイン油中水型乳化組成物の組織や展延性がより良くなり、該ロールイン油中水型乳化組成物を使用した焼成品はきれいな層が形成され、かつジューシーな食感とすることができる。
また、本発明の油脂Aを構成する飽和脂肪酸は、実質的にステアリン酸とパルミチン酸で構成されるが、飽和脂肪酸のうちステアリン酸とパルミチン酸の合計含有量が90重量%以上であることが好ましく、より好ましくは95重量%以上である。さらに、本発明の油脂Aは、構成脂肪酸組成中にラウリン酸含有量が5重量%未満であることが好ましく、より好ましくは3重量%未満である。
ここで、油脂中のトランス酸含有量を含む構成脂肪酸組成は、AOCS Ce1f-96に準じて測定した。
本発明の油脂Aは、具体的には、パーム油、及び/又はパーム分別油に、ステアリン酸を25重量%以上含有する油脂を配合して、エステル交換した後、高融点部を除去した分別画分が好ましく、より好ましくは高融点部及び低融点部を除去した中融点画分である。ここで、パーム分別油とは、パーム油を原料に分別されてできる油脂であり、例えば、パームステアリン、パームハードステアリン、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パーム中融点画分等が挙げられる。
本発明における高融点部とは、エステル交換油を分別して得られる結晶部であり、構成トリグリセリド組成におけるSSSの含有量が21重量%以上、かつヨウ素価が15以下の成分である。一方、低融点部とは、エステル交換油を分別して得られる液状部であり、構成トリグリセリド組成におけるSSSの含有量が3重量%以下の成分である。
ここで、本発明における融点及びヨウ素価は、社団法人日本油化学会制定の基準油脂分析試験法2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)及び2.3.4 ヨウ素価に準じて測定したものである。
本発明において、構成脂肪酸中にステアリン酸を25重量%位上含有する油脂としては、特に制限されることはないが、例えば、パーム極度硬化油、パーム分別油の極度硬化油、大豆極度硬化油、ナタネ極度硬化油、ハイエルシン菜種油極度硬化油などを挙げることができる。また、StOSt脂質を生産する過程で、発生する高融点部及び/又は低融点部を利用することもできる。さらに、シア脂やサル脂などのStOOを主成分とする分別低融点部も同様に利用することができる。なお、Stはステアリン酸、Oはオレイン酸を示す。
このような、構成脂肪酸中にステアリン酸を高濃度に含有する油脂とパーム油、及び/又はパーム分別油を混合することで、上記のようなステアリン酸とパルミチン酸の含有量となる油脂を得ることができる。
エステル交換の方法に特に制限はなく、例えば、1種の油脂又は2種以上の混合油脂に、触媒としてナトリウムメトキシド等のアルカリ触媒、又はリパーゼ等の酵素を用いて反応させる方法が挙げられる。エステル交換は、位置特異的なエステル交換であっても、ランダムエステル交換であってもよいが、ランダムエステル交換が好ましい。
本発明の油脂Aは、このようにして得たランダムエステル交換油脂を、溶剤分別、非溶剤分別などの分別方法により、高融点部を除去した分別画分、より好ましくは高融点部と低融点部を除去した中融点画分として得ることができる。この際、分別前の油脂の組成に応じて、分別の歩留を調整することによって、当業者であれば構成トリグリセリド組成におけるSUS/SSUの重量比が0.4〜0.8、SSS含有量が4〜20重量%、S2U含有量が50〜80重量%であり、構成脂肪酸中のステアリン酸/パルミチン酸の重量比が0.1〜0.4を満たす分別画分を得ることが容易にできる。
本発明における油脂Bは、液状植物油であり、常温(20℃)において液体状である食用油である。具体的にはコーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油及びパーム油の分別油を挙げることができ、より好ましいのはコーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油であり、さらに好ましいのは大豆油、ナタネ油である。
本発明における油脂Cは、構成脂肪酸中にラウリン酸を含有している油脂、例えば、パーム核油、やし油及びこれらの分別油等を挙げることができる。より好ましくは、ラウリン系油脂を含有する混合油脂をエステル交換した油脂、例えば、ラウリン系油脂を30〜70重量%、及びパーム系油脂を70〜30重量%含有する混合油脂をエステル交換したエステル交換油脂、及び/又は乳脂を挙げることができる。ここで、ラウリン系油脂とは、該油脂の構成脂肪酸中におけるラウリン酸含有量が30重量%以上ものをいい、パーム核油や、ヤシ油及びこれらの分別油等が挙げられる。また、パーム系油脂とは、パーム油及びパーム油を原料に分別されてできるパーム分別油を含むものである。
本発明における乳脂は、乳脂肪自体をそのまま配合しても良いし、バター、牛乳などの乳製品により配合しても良い。また、乳脂肪の極度硬化、乳脂肪を分別した分別乳脂高融点部や分別乳脂低融点部を使用してもよい。ここで、乳脂肪が油相中30重量%以上であると、コストが高くなるだけでなく、低温で硬くなり十分な展延性が得られない場合がある。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物の油相は、油脂Aを7〜45重量%、油脂Bを10〜50重量%及び油脂Cを10〜75重量%含有することが好ましく、より好ましくは油脂Aを10〜40重量%、油脂Bを15〜45重量%及び油脂Cを15〜70重量%である。油相における油脂A、油脂B及び油脂Cの含有量が上述した範囲内にある場合には、得られるロールイン油中水型乳化組成物の組織や展延性がより良くなり、該ロールイン油中水型乳化組成物を使用した焼成品にきれいな層を形成することができ、かつジューシーな食感とすることができる。
更に、本発明のロールイン油中水型乳化組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、油相に油脂A、油脂B及び油脂C以外のその他の油脂を含有させてもよい。その他の油脂の配合量は、油相中、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下、更に好ましくは30重量%以下であり、ラードや水素添加油、極度硬化油、分別高融点画分などの高融点油脂素材が挙げられる。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物における水相の含有量は5〜40重量%であり、必須成分として水相中にジェランガム、カラギーナン、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガムから選択される1種または2種以上増粘剤0.01〜0.2重量%、より好ましくは0.03〜0.15重量%を含有するものである。該増粘剤を適量含有することにより、ロールイン油中水型乳化組成物を用いて焼成した層状膨化小麦粉食品に対して、口どけや食感に悪影響を与えることなく、ヒキがあり歯切れの良い食感を付与することができる。
前記増粘剤は、いわゆる中粘性〜高粘性の増粘剤であるジェランガム、カラギーナン、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガムから選択される1種または2種以上であるが、より好ましくはジェランガム、カラギーナン、サイリウムシードガムのような高粘性タイプの増粘剤から選択される1種または2種以上であるの好ましい。また、ジェランガムとしては、ネイティブ型ジェランガムと脱アセチル化ジェランガムが挙げられるが、ネイティブ型がより好ましい。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物は、前記増粘剤を含有する水相の60℃における粘度が15〜500Mpa・sである必要があり、より好ましくは30〜300Mpa・sである。水相に対し、前記増粘剤を0.01〜0.2重量%、好ましくは0.03〜0.15重量%添加することにより、前記粘度の水相を得ることができる。水相の60℃における粘度が500Mpa・sを超えると、調合液の乳化状態が悪くなりコシのないロールイン油中水型乳化組成物となる傾向がある。逆に、15Mpa・s未満であると、ロールイン油中水型乳化組成物を用いて焼成した層状膨化小麦粉食品のヒキがあり歯切れの良い食感が低下して、ヒキが弱くなる傾向がある。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物には、必要に応じて乳化剤を添加しても良い。乳化剤としてはレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、シュガーエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよび酢酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド等各種有機酸モノグリセリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物においては上記の原料、添加物の他に、所望により、色素、抗酸化剤、香料などの油溶性成分、食塩、糖類、粉乳、発酵乳などの水溶性成分を使用することができる。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物の調製法は、以下に例示するような、一般的な方法を採用することができる。設定された配合において、油脂および油脂に溶解する成分、たとえば油溶性乳化剤を油脂に溶解し油相とする。油相は、油脂が完全に溶解された状態とする。これは、油脂の融点に依存し、概ね55〜75℃である。一方、設定された配合において、水および水に溶解する成分、たとえば増粘剤、食塩、水溶性の風味素材などは水に添加、混合し水相とする。なお、液糖を使用する場合など、水を使用しない配合においては、液糖に水溶性の成分を溶解ないし混合することになる。
油相および水相の準備が終了した後、油相を攪拌しながら水相を添加することで、油中水型に略乳化した「調合液」を得る。このとき、攪拌が不十分であったり、あるいは油相の温度が低すぎる場合は、乳化が反転する場合もあるので、十分に攪拌しかつ、十分な温度に保つ必要である。
調合液はポンプにより送液し、適宜殺菌装置等を通過させた後、油中水型乳化油脂組成物の製造装置へ供される。油中水型乳化組成物の製造装置へ供される直前の段階で、調合液は溶解状態でかつ、40〜80℃である必要があり、より望ましくは50〜70℃であり、さらに望ましくは55〜65℃である。
本発明のロールイン油中水型乳化組成物の製造装置としては、冷却機能を有する各種のものを使用することができる。具体的には、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター等の掻き取り式急冷混和機を備えた装置をあげることができる。これらの装置により、一例として、調合液を1〜8℃/秒の速度で、冷却装置の出口で3〜20℃まで冷却する。冷却速度が遅すぎると、粒状結晶が発生しやすくなる場合があり、また冷却速度が速すぎると、不必要により大きな冷却エネルギーが必要となる場合がある。
冷却装置を出たロールイン油中水型乳化組成物は休止管に導入され、休止管出口に備えられた成型機により、シート状あるいはブロック状に成型される。このようにして得たロールイン油中水型乳化組成物の大きさは、成型機の形状により適宜設定することができる。成型後は包装、充填等の工程を経て冷蔵し、必要に応じてエージングを行う。なお、目標とする組織を得るために少なくとも24〜48時間程度の冷蔵または15〜20℃での温調保管を要する場合がある。
本発明のヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品は、小麦粉を主原料とし水、塩などを加えて混捏し得られる小麦粉生地(ドウ)を薄く延ばし、これに本発明のヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品用ロールイン油中水型乳化組成物を載せて折りたたみ、再び薄く延ばすことを繰り返して層状生地を作り、必要に応じ発酵、成形、焼成することにより得ることが出来る。このようにして得られる層状膨化小麦粉食品の具体例としてはデニッシュ、クロワッサン、パイ等が例示できるが、特にデニッシュ、クロワッサンにおいて、製造後1日〜5日経過後も、口どけが良く、しかもヒキがあり歯切れの良い食感とジューシー感のある食感を有するものを得ることができる。
以下、実施例等により本発明の実施形態をより具体的に記載する。
(油脂A)
パーム油(ヨウ素価52)60重量%、パームステアリン(ヨウ素価31)20重量%、パーム極度硬化油(ヨウ素価1以下)20重量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりエステル交換を行い、さらにアセトン分別により高融点部と低融点部を除去した中融点画分を得て、油脂Aとした。得られた中融点画分Aは、構成トリグリセリド組成におけるPPP含有量が5重量%、S2U含有量が75重量%及びSUS/SSUの重量比が0.5であり、ステアリン酸/パルミチン酸の重量比が0.3であった。
油脂Bとしては、液状植物油脂である精製ナタネ油(「製菓用サラダ油」不二製油株式会社製)を使用した。
(油脂C−1)
ラウリン系油脂であるパーム核分別低融点部50重量部とパーム油50重量部を混合した後、触媒としてナトリウムメチラートを混合油に添加し、80℃、真空度20Torr、40分間攪拌してエステル交換反応を行った後、水洗、脱水し、通常の精製工程を施すことにより、エステル交換油脂C−1を得た。このC−1の上昇融点は34.7℃であった。
(油脂C−2)
油脂C−2としては、乳脂を使用した。
(油脂C−3)
ナタネ油50部、パーム核油40部、ハイエルシン菜種油10部を混合し、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換を行った後、水洗、脱水し、ニッケルを触媒として極度硬化を行い、精製して極度硬化エステル交換油C−3を得た。このC−3の上昇融点は52.6℃であった。
(油脂C−4)
油脂C−4としては、パーム核分別高融点部を使用した。このC−3の上昇融点は32.2℃であった。
(油脂D)
パームステアリン(ヨウ素価31)66部、パーム油(ヨウ素価52)34部を混合し、ナトリウムメチラートを触媒として高融点パーツ1と同条件で非選択的エステル交換を行った後、水洗、脱水し、精製してエステル交換油Dを得た。このDの上昇融点は46.3℃であった。
実施例1〜3、比較例1〜3
油相として、油脂82.2重量部、飽和モノグリセリド(「エマルジーMS」理研ビタミン株式会社製)0.4重量部、大豆レシチン(「SLPペースト」辻製油株式会社製)0.1重量部、水相として水16.5重量部、食塩1.3重量部、ジェランガム0.033重量部を用いて、下記のロールイン油中水型乳化組成物の調製法に従い、それぞれロールイン油中水型乳化組成物を調製した。
(ロールイン油中水型乳化組成物の調製法)
1.油脂及び油脂に溶解する乳化剤を融解、混合して油相とした。
2.水及び水に溶解する成分を混合し水相とした。
3.油相を55〜70℃で攪拌しつつ水相を投入し、略乳化した。
4.掻き取り式急冷混和機「コンビネーター」、休止管、成型機を通してシート状のロールイン油中水型乳化組成物を得た。
5.3〜7℃の冷蔵庫にて保管した。
表1に記載の実施例1〜3及び比較例1〜3の油脂配合に従って、ロールイン油中水型乳化組成物を調製した。なお、実施例2において、水相の60℃における粘度は、100Mpa・sであった。
表1
Figure 0006879001

・単位は重量%である。
・ラードは、精製ラードを使用した。
・ここで、油相とは油脂配合に乳化剤を加えたものである。
調製した各種ロールイン油中水型乳化組成物を使用して、「クロワッサン調製試験法」によりクロワッサンの焼成を行った。
表2
Figure 0006879001

・単位は重量部である。
・練り込み用油脂としては、不二製油株式会社製「メサージュ500」を使用した。
(クロワッサン調製試験法)
上表2に記載の小麦粉生地原料を練り上げ、29℃、湿度70%の庫内にて60分間発酵させた後、−18℃のフリーザーで60分間リタードをとった。次に、実施例1〜3及び比較例1〜3のロールイン油中水型乳化組成物(10℃で温調)を折り込み、リバースシーターで3つ折りを2回行った後、−7℃のフリーザーで60分間リタードをとり、リバースシーターで3つ折りを1回行った後、−7℃のフリーザーで45分間リタードをとりリバースシーターで生地厚4mmまで延ばして成形し、32℃、湿度75%のホイロで60分間発酵させた後、庫内温度200℃のオーブンで14分間焼成し、クロワッサンを得た。これを室温で24時間保管後に焼成品の評価を行った。
得られたロールイン油中水型乳化組成物については、製造時の充填適性、組織状態、ロールイン時の作業性の3項目を、焼成後のクロワッサンについては、外観(浮き)及び内層について、熟練作業者3名で評価を行い、合議にて最終結果とした。また、口どけの評価は、5名のパネラーにより下記評価基準に従って官能評価を行なった。すべての評価基準において、◎、○が合格であり、すべての評価結果を表3にまとめた。

(ロールイン油中水型乳化組成物の評価)
充填適性の評価基準
◎ : 充填時の組織に十分な硬さがあり、安定した充填が可能
○ : 充填時の組織はやや軟らかいものの、充填が可能な範囲である
△ : 充填時の組織は軟らかい又は不均一だが、充填が可能な範囲である
× : 充填時の組織が軟らかい又は不均一で、安定した充填が困難
組織状態の評価基準
◎ : 低温でも軟らかく滑らかで、コシもある
○ : 低温でやや硬いものの、脆さはなく滑らかさがあり、コシもある
△ : 低温でやや硬く、コシが弱い
× : 低温で硬くて脆い。
作業性の評価基準
◎ : 生地とともに非常によく伸び、割れもなく、良好な展延性を示す
○ : 割れずに生地とともに伸びており、許容範囲の展延性である
△ : 伸びがやや悪く、僅かに割れがみられて展延性が劣る
× : 伸びが悪く、割れが発生する

(焼成後のクロワッサン評価)
外観(浮き)及び内層の評価基準 内層はクロワッサンを切断して評価した。
◎ : 非常に浮きが良く、きれいな内層が形成されている
○ : 浮きが良く、きれいな内層が形成されている
△ : 浮いているが、不均一な内層である
× : 浮きが不十分で、目が詰まってパン目になっているところがあり、内層の出来も悪い
口どけの評価基準 クロワッサンを実際に食して評価した。
◎ : 良好な口どけで、非常にジューシー感がある
○ : 良好な口どけで、ジューシー感がある
△ : 口どけは許容範囲内であるが、ジューシー感はない
× : 口どけが悪く、油性感がある。やや乾燥している感じでジューシー感はない
食感の評価基準 クロワッサンを実際に食して評価した。
◎:ヒキがあり歯切れが良い
○:ややヒキがあり歯切れが良い
△:ヒキはないが歯切れが良い
×:ヒキがなく歯切れも悪い
表3に、実施例1〜3及び比較例1〜3の評価結果を示す。
表3
Figure 0006879001
表3に示すように、実施例1〜3は製造時の充填適性、組織状態、低温での作業性、クロワッサンの外観、及び内層が優れ、かつ得られたクロワッサンは良好な口どけとジューシー感に加えて、ヒキがあり歯切れの良い食感を示していた。比較例1は、製造時の充填適性、組織状態、低温での作業性、クロワッサンの外観、および内層は優れるものの、得られた焼成品の口どけが劣り、ジューシー感に乏しいものであった。比較例2は、ロールイン油中水型乳化組成物の組織状態及び低温での良好な作業性が劣る結果であった。比較例3は、製造時の充填適性、組織状態、低温での作業性はいずれも良好で、クロワッサンの外観および内層も優れているものの、得られた焼成品の口どけが劣り、ジューシーな食感に乏しいものであった。
実施例4
実施例2のジェランガム0.033重量部を0.03重量部に代えて、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、20Mpa・sであった。
実施例5
実施例2のジェランガム0.033重量部を0.038重量部に代えて、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、200Mpa・sであった。
比較例4
実施例2のジェランガム0.033重量部を0.005重量部に代えて、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、10Mpa・sであった。
比較例5
実施例2のジェランガム0.033重量部を0.043重量部に代えて、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、6000Mpa・sであった。
表4に、実施例4〜5及び比較例4〜5の評価結果を示す。
表4
Figure 0006879001
表4に示すように、ロールイン油中水型乳化組成物調製時の水相の60℃における粘度が、20〜200Mpa・sであった実施例2及び実施例4〜5では、製造時の充填適性、組織状態、低温での作業性、クロワッサンの外観、及び内層が優れ、かつ得られたクロワッサンは良好な口どけとジューシー感に加えて、ヒキがあり歯切れの良い食感を示していた。前記粘度が10Mpa・sであった比較例4では、歯切れは良いがヒキのない食感であった。前記粘度が600Mpa・sであった比較例5では、調合液の粘度が高く乳化性の悪い状態であり、製造時の充填適性、組織状態、低温での作業性がやや悪いものであった。
実施例6
実施例2において、ジェランガム0.033重量部を、キサンタンガム0.15重量部に置換して、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、250Mpa・sであった。
比較例6
実施例2において、水16.5重量部を水14重量部と水溶性大豆多糖類(商品名:ソヤファイブ−S、不二製油株式会社製)2.5重量部に変更し、ジェランガム0.033重量部を無添加に変更して、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、150Mpa・sであった。
参考例1
実施例2において、水16.5重量部を水12.5重量部とアラビアガム4重量部に変更し、ジェランガム0.033重量部を無添加に変更して、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを調製し、実施例2同様にロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンを評価した。なお、水相の60℃における粘度は、180Mpa・sであった。
表5に、実施例6、比較例6、参考例1の評価結果を示す。
表5
Figure 0006879001
表5に示すように、キサンタンガム0.15重量%添加の実施例6では、製造時の充填適性、組織状態、低温での作業性、クロワッサンの外観、及び内層が優れ、かつ得られたクロワッサンは良好な口どけとジューシー感に加えて、ややヒキがあり歯切れの良い食感を示していた。水溶性大豆多糖類2.5重量%添加の比較例6では、製造時の充填適性、組織状態、低温での作業性、クロワッサンの外観、及び内層が優れ、かつ得られたクロワッサンは良好な口どけとジューシー感を有していたが、歯切れは良いがヒキのない食感であった。アラビアガム4重量%添加の参考例1は、実施例6に近似するロールイン油中水型乳化組成物及びクロワッサンが得られたが、添加量を4重量%と比較的高く設定する必要があり、コスト面より実用性に乏しいものであった。
本発明により、製造後1日〜5日経過後も、口どけが良く、しかもヒキがあり歯切れの良い食感とジューシー感のある食感を有する層状膨化小麦粉食品を得ることを可能とするロールイン油中水型乳化組成物の提供が可能となり、該ロールイン油中水型乳化組成物の使用によりヒキがあり歯切れの良い食感とジューシー感のある食感を有する層状膨化小麦粉食品の提供が可能となった。

Claims (4)

  1. 10℃における固体脂指数(SFC)が35〜60%、35℃におけるSFCが7%以下である油相60〜95重量%及びジェランガム、又はキサンタンガムから選択される1種または2種以上である増粘剤0.01〜0.2重量%を含有する水相5〜40重量%からなる 油中水型乳化組成物であって、該水相の60℃における粘度が15〜300Mpa・sであることを特徴とする、ヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品用ロールイン油中水型乳化組成物。
    ただし、油相に、下記に示す油脂A、油脂B及び油脂Cを、油脂Aを7〜45重量%、油脂Bを10〜50重量%及び油脂Cを10〜75重量%含有する。
    油脂Aは、構成トリグリセリド組成におけるSUS/SSUの重量比が0.4〜0.8、SSS含有量が4〜20重量%、S2U含有量が50〜80重量%であり、構成脂肪酸中のステアリン酸/パルミチン酸の重量比が0.1〜0.4である、エステル交換油の高融点部を除去した分別画分
    油脂Bは、液状植物油
    油脂Cは、ラウリン酸を含有する油脂 (但し、S : 炭素数が14〜24の飽和脂肪酸、U : 炭素数が14〜24の不飽和脂肪酸 を意味する。)
  2. 油脂Aが、パーム油、及び/又はパーム分別油に、構成脂肪酸中にステアリン酸を25重量%以上含有する油脂を配合して、エステル交換した後、高融点部及び低融点部を除去した中融点画分である、請求項1記載のロールイン油中水型乳化組成物。
  3. 請求項1又は2に記載したロールイン油中水型乳化組成物を使用したヒキがあり歯切れの良い食感の層状膨化小麦粉食品。
  4. 油相60〜95重量%及び水相5〜40重量%からなる油中水型乳化組成物において、該 水相の60℃における粘度が15〜300Mpa・sとなるようにジェランガム、又はキサンタンガムから選択される1種または2種以上である増粘剤0.01〜0.2重量%を水相に添加することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のロールイン油中水型乳化組成物の製造方法。
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