JP4582099B2 - ロールイン用可塑性油中水型乳化物 - Google Patents
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Description
なお、マーガリンの原料油としてパーム核油などのラウリン系油脂を使用することは従来からよく知られており、特に欧州製品はラウリン系油脂を主体とするものである(特許文献3、非特許文献1、非特許文献2)。一方、わが国においては、ラウリン系油脂から遊離する脂肪酸に起因するソーピー臭に消費者が敏感なこともあり、ソーピー臭発生の虞のあるラウリン系油脂の使用は控えられてきたのが実情である。しかし、ソーピー臭は、カビ等に由来するリパーゼによる油脂の加水分解によるものがほとんどであり、製造工程、流通過程における品質管理を十分に行えば特に問題になることはない。
すなわち、本発明は、1)可塑性油中水型乳化物中、ラウリン系ハードバターを5〜50重量%、パーム油起源の非選択的エステル交換油脂3〜50重量%、乳脂肪を1%以上含有し、油相のSFCが10℃で40%以上、35℃で10%以下で実質的にトランス酸を含まないことを特徴とするロールイン用可塑性油中水型乳化物。2)ラウリン系ハードバターがパーム核油の分別高融点部及び/又はその極度硬化油である1記載のロールイン用可塑性油中水型乳化物。3)ロールイン用可塑性油中水型乳化物中の油脂成分を60℃で1時間置いた後、25℃にて12時間置いたときの固体脂含量が20.0%以下である1乃至2の何れか1に記載のロールイン用可塑性油中水型乳化物。4)1乃至3の何れか1に記載のロールイン用可塑性油中水型乳化物を使用したペーストリー食品。を骨子とする。
本発明において、実質的にトランス酸を含まないとは、油脂中に含まれるトランス酸の量が、天然油脂中のトランス酸量と同等以下であることを意味する。従って、例えば乳脂など微量ながらトランス酸を含む天然油脂を用いる場合には、当該トランス酸量は考慮しない趣旨である。
本発明のロールイン用可塑性油中水型乳化物は、一般的な油中水型乳化物の製造方法により製造することができる。すなわち、油相と水相を調製した後にこれらを混合、乳化して油中水型乳化物を製造することができる。先ず、油相を構成する油脂から説明する。
パーム核油の分別高融点部は、パーム核油を分別により融点の高い部分と低い部分に分けた高い部分であって融点としては25℃〜40℃の範囲の物が好ましい。油脂を分別する方法としては、乾式法、乳化分別法、溶剤分別法の何れの方法も採用することができる。
パーム核油の高融点画分はパーム核ステアリン画分とも言われ、本発明において、沃素化は8以下が望ましい。実質的なトランス酸は含まれない。
また、パーム核油の分別油の極度硬化油とは、パーム核油を分別により融点の高い部分と低い部分に分けたいずれかに水素添加をおこない、実質的に不飽和脂肪酸を完全に飽和することによって得られ、実質的にトランス酸を含まない。
5重量%未満では口溶けが悪く、ジューシー感、バター感の劣る品質となる。50重量%を超えると、展延性のあるシート状可塑性油脂組成物の製造が困難となる。
乳脂肪が1重量%未満であると、バター風味が豊かであるという本発明の特徴に乏しくなる。上限は、以下の述べる油相となる油脂のSFCの条件(10℃で40%以上、35℃で10%以下)および、併用する他の油脂の特性によって左右されるが、ロールイン用可塑性油中水型乳化物中60重量%が目安となる。
これによると、油相を構成する油脂のID25は、20.0%以下の場合ソフトな食感となり好ましく、18.0%以下が更に好ましく、15.0%以下が最も好ましい。20.0%を超える場合は得られる焼成品のジューシー感が無くなり好ましくない。
従来の可塑性油脂組成物では最適な折り込み適性を持たせるために、融解後いかなる冷却条件においても冷却時に結晶析出が早く、固化し易い原料油脂を用いることが通例で、原料油脂をID25が20.0%以下となる特性を有する可塑性油脂組成物はほとんど使用されていなかった。
いうまでもないが、ID25は、公定法(AOCS Official Method第5版Cd16−81・・・60℃に60分置いた後、0℃に移し60分置いた後、各測定温度に移し30分後に測定)とは相違する温度処理をした後、公定法と同じ測定装置で測定した固体脂含量である。紛れぬよう、本明細書では、公定法による値をSFCと記載して区別する。
本発明における、油中水型乳化物は、以上の他に、所望により食塩、粉乳、糖類、香料や色素などを使用することができる。
表1に示す配合に従って、実施例1〜5について、それぞれ油中水型乳化物を調製し、コンビネーターで急冷混捏、シート状に押し出して成形し、厚さ10mmのロールイン用可塑性油中水型乳化物を得た。いずれも、なめらかな組織で良好な可塑性を有していた。いうまでも無いが、いずれも実質的なトランス酸の含有量は0であった。なお、表中の「パーム油のエステル交換油」は、パーム油をナトリウムメチラートを触媒としてエステル交換した、非選択的エステル交換油脂である。
次に、各ロールイン用可塑性油中水型乳化物を使用し、表3に示す配合、表4に示す製法によりクロワッサンを製造した。すなわち、表3の配合において、ロールイン用可塑性油中水型乳化物以外の原料を練り上げ、28℃、湿度75%の庫内にて60分発酵させた後、−18℃のフリーザーで60分間リタードをとった。次に、ロールイン用可塑性油中水型乳化物を折り込み、リバースシーターで3つ折りを1回行った後、−7℃のフリーザーで45分間リタードをとった。そして、リバースシーターで生地厚4mmまで延ばし、55gを成型し、32℃、湿度75%の庫内で60分間発酵させた後、庫内温度210℃のオーブンで17分間焼成しクロワッサンを得た。これを室温で12時間放置して、口溶けのジューシー感、風味のバター感の評価を行った。実施例1〜6はいずれも良好であったが、特に実施例2が良好であった。以上を表5に纏めた。
表2に示す配合に従って、比較例1〜5について、実施例と同様にして、それぞれ油中水型乳化物を調製し、コンビネーターで急冷混捏、シート状に押し出して成形し、厚さ10mmのロールイン用可塑性油中水型乳化物を得た。但し、比較例4は、可塑性が無くシート状にならなかった。比較例5は、シート状に成型できたが、硬い組織で可塑性がなく、使用できなかった。比較例1〜3のロールイン用可塑性油中水型乳化物は、なめらかな組織で良好な可塑性を有していたので、これを使用し、実施例と同様にして、クロワッサンを焼成し、実施例と同様に評価した。ジューシー感と風味のバター感は、比較例1は良好だが比較例2と3は不良であった。以上を表5に纏めた。なお、比較例1のトランス酸含量は10%であった。
ヒマワリ油(20%)、パーム油(55%)、パーム核分別高融点部(15%)、ヤシ油(10%)の混合油を用いた他は、実施例1〜4と同様の配合(油脂58.7、バター30、食塩1.0、ランオウレシチン0.3、水10)、方法により水中油型乳化物を調製、コンビネーターで急冷混捏したが、柔らかすぎて可塑性がなくシート状に成形することが困難であった。なお、油相を構成する油脂のSFCは、10℃で41、35℃で1、ID25は10であった。
Claims (4)
- 可塑性油中水型乳化物中、ラウリン系ハードバターを5〜50重量%、パーム油起源の非選択的エステル交換油脂3〜50重量%、乳脂肪を1%以上含有し、油相のSFCが10℃で40%以上、35℃で10%以下で実質的にトランス酸を含まないことを特徴とするロールイン用可塑性油中水型乳化物。
- ラウリン系ハードバターがパーム核油の分別高融点部及び/又はその極度硬化油である請求項1記載のロールイン用可塑性油中水型乳化物。
- ロールイン用可塑性油中水型乳化物中の油脂成分を60℃で1時間置いた後、25℃にて12時間置いたときの固体脂含量が20.0%以下である請求項1乃至2の何れか1項に記載のロールイン用可塑性油中水型乳化物。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載のロールイン用可塑性油中水型乳化物を使用したペーストリー食品。
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