JP2006025671A - ロールイン用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生地調製時の作業性が良好で、且つパイの浮き(パフ性)及び口溶けが良好なロールイン用油脂組成物を提供すること。
【解決手段】 油相中のPMP+MPM+PPP含量、PPP含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの各値が、特定条件を満たすロールイン用油脂組成物、又は、油相中のSt MSt +MSt M+St St St 含量、St St St 含量、St St M/(St MSt +MSt M)、(MSt M+St St St )/St MSt 、St St St /SSSの各値が、特定条件を満たすロールイン用油脂組成物。ただし、S:炭素数16〜18の飽和脂肪酸、M:炭素数16〜18のシス型モノエンの不飽和脂肪酸、P:炭素数16の飽和脂肪酸、St :炭素数18の飽和脂肪酸である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定のトリグリセリド組成を有するロールイン用油脂組成物に関するものである。
ロールイン用油脂組成物は、デニッシュ・ペーストリー、クロワッサン、パイ等のフレーキーな食感をもった製品の製造に使用され、その性質が最終製品に大きく影響する。ロールイン用油脂組成物は、生地の間に挟み込まれ、折り畳み、圧延を繰り返し生地中に薄い油脂層を多数作り、この油脂層が小麦粉生地層の相互の付着を防止し、焼成中、生地から発生する水蒸気や炭酸ガスの発散を遮り、この結果として製品を層状に膨張させフレーキーなテクスチャーを付与する。焼成中、層状に折り込まれた油脂は、最終的に溶けて生地に吸収され、その生地は、生地中の澱粉が糊化し、蛋白質が熱変性することによって凝固し、独特の層状構造が形成される。
この層状構造を形成させるには、ロールイン用油脂組成物の油脂量、折り数、油脂の硬さ等が密接に関係している。ロールイン用油脂組成物の場合、融点が高く、硬い油脂の方が、焼成初期から中期にかけて溶解しにくく、油脂層間に水蒸気や炭酸ガスがよく保持され、浮きがよくなることが知られている。欧米では、パイやペーストリーは焼成後すぐに、あるいはオーブンで再加熱して食べる習慣があるため、融点が高く、硬い油脂が使用されている。しかし、日本の場合、欧米のようにオーブンで再加熱する習慣がなく、冷めた状態のものをそのまま食べる習慣であるため、融点が高く、硬い油脂を使用すると、最終製品にワキシー感(口溶けの悪さ)が残り、製品価値を損なっていた。
このため、ロールイン用油脂組成物としては、作業温度(0〜30℃)でのSFC(固体脂含量)が20〜45%の間にあり、且つ、体温付近で急激に溶解するようなものの提案が多くなされてきた。
具体的には、トリラウリンと液状油を配合する方法(例えば特許文献1参照)や、パーム軟質油の異性化水添油を分別し、その硬部油と軟部油を配合する方法(例えば特許文献2参照)等がある。
しかし、これらは、作業性と口溶性だけに重点をおいたもので、パイの浮き(パフ性)を改良することはできなかった。
また、SUS:SSUを0.5以上2未満の重量比で含有する油脂組成物(Sは16乃至18個の炭素原子を有する飽和脂肪酸残基、及び、Uは18個の炭素原子を有するモノ及び/又はジ不飽和脂肪酸残基)を使用する方法(例えば特許文献3参照)もあるが、これはフィリング用途に考えられた組成であり、ロールイン用油脂組成物としてはSUS:SSUの比の調整だけでは良好な物性が得られなかった。
またさらに、パーム系油脂をエステル交換してマーガリン類に使用する方法(例えば特許文献4及び5参照)もあるが、これは、経日的な粗大結晶の抑制だけに重点をおいているため、ロールイン用油脂組成物の作業性が悪く、また、パイの浮き(パフ性)を改良することはできなかった。
なお、S1 US2 (S1 、S2 は飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリドとUS3 U(S3 は飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリドとからなるコンパウンド結晶を含有することを特徴とする油脂組成物を使用する方法(例えば特許文献6、特許文献7参照)も見出されているが、耐熱性が低いためホイロ耐性がないこと、さらにパイに使用した場合これ単独ではパイの浮きが十分ではなかった。
特公昭48−32164号公報 特公昭57−30458号公報 特開平10−56964号公報 特開平09−224570号公報 特開平09−285255号公報 特開2002−69484号公報 特開2003−213289号公報
本発明の目的は、生地調製時の作業性が良好で、且つパイの浮き(パフ性)及び口溶けが非常に良好なロールイン用油脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、ロールイン用油脂組成物の油相のトリグリセリド組成と、口溶け及び物性との関係について鋭意検討した結果、ロールイン油脂組成物の油相中に(PMP+MPM+PPP)及びPPPを特定量含有し、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/(PMP)、PPP/SSSが特定の比率の場合、又は、油相中に(St MSt +MSt M+St St St )及びSt St St を特定量含有し、St St M/(St MSt +MSt M)、(MSt M+St St St )/(St MSt )、St St St /SSSが特定の比率の場合、口溶け及び物性が良好なロールイン用油脂組成物が得られることを見い出した。
すなわち、本発明は、油相中のトリグリセリド組成が、下記i)〜v)の条件又は下記vi)〜x)の条件を全て満たすことを特徴とするロールイン用油脂組成物を提供するものである。
i) (PMP+MPM+PPP)が10〜60重量%
ii) PPPが3〜15重量%
iii) PPM/(PMP+MPM)が0.85以下(重量基準)
iv) (MPM+PPP)/PMPが0.5以上(重量基準)
v) PPP/SSSが0.65以上(重量基準)
vi) (St MSt +MSt M+St St St )が10〜60重量%
vii) St St St が3〜15重量%
viii) St St M/(St MSt +MSt M)が0.85以下(重量基準)
ix) (MSt M+St St St )/St MSt が0.5以上(重量基準)
x) St St St /SSSが0.65以上(重量基準)
上記i)〜x)中、S、M、P及びSt は、それぞれ下記の脂肪酸を示す。
S :炭素数16〜18の飽和脂肪酸
M :炭素数16〜18のシス型モノエンの不飽和脂肪酸
P :炭素数16の飽和脂肪酸。
St :炭素数18の飽和脂肪酸。
なお、トリグリセリドをXYZと表記した場合、グリセリンの1位にXが、2位にYが、3位にZが結合しているか、又は、グリセリンの1位にZが、2位にYが、3位にXが結合していることを示す。
本発明によれば、生地調製時の作業性が良好で、且つパイの浮き(パフ性)及び口溶けが非常に良好なロールイン用油脂組成物を提供することができる。
以下、本発明のロールイン用油脂組成物について詳細に説明する。
本発明のロールイン用油脂組成物においては、油相中のトリグリセリド組成が、上記i)〜v)の条件を全て又は上記vi)〜x)の条件を全て満たすことが必要である。
まず、本発明のロールイン用油脂組成物の、油相中のトリグリセリド組成が上記i)〜v)の条件を全て満たす場合について詳細に説明する。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記i)の条件の通り、油相中のPMP、MPM、PPPを合計した含量が、10〜60重量%であり、好ましくは13〜57重量%、さらに好ましくは15〜55重量%、最も好ましくは20〜50重量%である。上記油相中のPMP、MPM、PPPを合計した含量が10重量%未満では、油相中の結晶量が少なくロールイン用油脂としては適しておらず、さらには、ベーカリー製品に用いた場合、十分な浮きが得られない。上記含量が60重量%を超えると、ロールイン用油脂組成物の伸展性が悪くなる。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記ii)の条件の通り、油相中のPPPの含量が、3〜15重量%であり、好ましくは4〜13重量%、さらに好ましくは5〜12重量%、最も好ましくは6〜10重量%である。上記油相中のPPPの含量が3重量%未満では、ロールイン用油脂組成物の耐熱性がなく、ベーカリー製品に用いた場合、ロールイン時にべたつき、生地へ練り込まれ、十分な浮きが得られない。上記含量が15重量%を超えると、作業性(特に伸展性)や口溶けが悪くなる。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記iii)の条件の通り、油相中のPPM/(PMP+MPM)が、0.85以下であり、好ましくは0.82以下、さらに好ましくは0.80以下、最も好ましくは0.78以下である。PPM/(PMP+MPM)が0.85を超えると、急冷固化の条件下で油相中の結晶が完全なβ型とならず、準安定型のβプライム型を含み、経日的に結晶転移が起こり、経日的にマーガリンの硬さが硬くなる。またベーカリー製品に使用した場合、ロールイン時の伸展性が悪く、良好な層状構造が得られないため、十分な浮きが得られない。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記iv)の条件の通り、油相中の(MPM+PPP)/PMPが、0.5以上であり、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、最も好ましくは0.8以上である。(MPM+PPP)/PMPが0.5未満であると、急冷固化の条件下で油相中の結晶が完全なβ型とならず、準安定型のβプライム型を含み、経日的に結晶転移が起こり、経日的にマーガリンの硬さが硬くなる。またベーカリー製品に使用した場合、ロールイン時の伸展性が悪く、良好な層状構造が得られないため、十分な浮きが得られない。
(MPM+PPP)/PMPの上限値については、特に制限はないが、好ましくは3以下、より好ましくは1.8以下である。
さらに、本発明のロールイン用油脂組成物は、上記v)の条件の通り、PPP/SSSが、0.65以上であり、好ましくは0.67以上、さらに好ましくは0.69以上、最も好ましくは0.70以上である。PPP/SSSが0.65未満であると、急冷固化の条件下で油相中の結晶が完全なβ型とならず、準安定型のβプライム型を含み、経日的に結晶転移が起こり、経日的にマーガリンの硬さが硬くなる。またベーカリー製品に使用した場合、ロールイン時の伸展性が悪く、良好な層状構造が得られないため、十分な浮きが得られない。
次に、本発明のロールイン用油脂組成物が、上記vi)〜x)の条件を全て満たす場合について詳細に説明する。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記vi)の条件の通り、油相中のSt MSt 、MSt M、St St St を合計した含量が、10〜60重量%であり、好ましくは13〜57重量%、さらに好ましくは15〜55重量%、最も好ましくは20〜50重量%である。上記油相中のSt MSt 、MSt M、St St St を合計した含量が10重量%未満では、油相中の結晶量が少なくロールイン用油脂としては適しておらず、さらには、ベーカリー製品に用いた場合、十分な浮きが得られない。上記含量が60重量%を超えると、伸展性が悪くなる。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記vii)の条件の通り、油相中のSt St St の含量が、3〜15重量%であり、好ましくは4〜13重量%、さらに好ましくは5〜12重量%、最も好ましくは6〜10重量%である。上記油相中のSt St St の含量が3重量%未満では、ロールイン用油脂組成物の耐熱性がなく、ベーカリー製品に用いた場合、ロールイン時にべたつき、生地へ練り込まれ、十分な浮きが得られない。上記含量が15重量%を超えると、作業性(特に伸展性)や口溶けが悪くなる。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記viii) の条件の通り、油相中のSt St M/(St MSt +MSt M)が、0.85以下であり、好ましくは0.82以下、さらに好ましくは0.80以下、最も好ましくは0.78以下である。St St M/(St MSt +MSt M)が0.85を超えると、急冷固化の条件下で油相中の結晶が完全なβ型とならず、準安定型のβプライム型を含み、経日的に結晶転移が起こり、経日的にマーガリンの硬さが硬くなる。またベーカリー製品に使用した場合、ロールイン時の伸展性が悪く、良好な層状構造が得られないため、十分な浮きが得られない。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記ix)の条件の通り、油相中の(MSt M+St St St )/St MSt が、0.5以上であり、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、最も好ましくは0.8以上である。(MSt M+St St St )/St MSt が0.5未満であると、急冷固化の条件下で油相中の結晶が完全なβ型とならず、準安定型のβプライム型を含み、経日的に結晶転移が起こり、経日的にマーガリンの硬さが硬さが硬くなる。またベーカリー製品に使用した場合、ロールイン時の伸展性が悪く、良好な層状構造が得られないため、十分な浮きが得られない。
(MSt M+St St St )/St MSt の上限値については、特に制限はないが、好ましくは3以下、より好ましくは1.8以下である。
さらに、本発明のロールイン用油脂組成物は、上記x)の条件の通り、St St St /SSSが、0.65以上であり、好ましくは0.67以上、さらに好ましくは0.69以上、最も好ましくは0.70以上である。St St St /SSSが0.65未満であると、急冷固化の条件下で油相中の結晶が完全なβ型とならず、準安定型のβプライム型を含み、経日的に結晶転移が起こり、経日的にマーガリンの硬さが硬くなる。またベーカリー製品に使用した場合、ロールイン時の伸展性が悪く、良好な層状構造が得られないため、十分な浮きが得られない。
上記i)〜v)の条件を全て満たす本発明のロールイン用油脂組成物の場合、PMPはMPMと分子間化合物を形成し、α型から直接2鎖長構造のβ型に結晶転移する。また、PPPはPMPと共に結晶化し、分子間化合物と同様にα型から直接2鎖長構造のβ型に結晶転移する。
同様に、上記vi)〜x)の条件を全て満たす本発明のロールイン用油脂組成物の場合、St MSt はMSt Mと分子間化合物を形成し、α型から直接2鎖長構造のβ型に結晶転移する。また、St St St はSt MSt と共に結晶化し、分子間化合物と同様にα型から直接2鎖長構造のβ型に結晶転移する。
つまり、本発明のロールイン用油脂組成物の油相は、加熱溶解し冷却した場合に、熱エネルギー的に不安定なα型から最安定形の2鎖長構造のβ型結晶に直接転移する特徴をもつ。
本発明のロールイン用油脂組成物の油相がα型から最安定形の2鎖長構造のβ型結晶に直接転移することは、該ロールイン用油脂組成物の油相の油脂結晶が後述するような微細結晶であることを確認した場合については、該ロールイン用油脂組成物の油相を70℃で完全に融解し、0℃で30分間保持した後、5℃で保持した際に、7日以内に油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶になることを確認することによって確認することができる。
本発明のロールイン用油脂組成物は、油相を70℃で完全に融解し、0℃で30分間保持した後、5℃で保持した際に、7日以内に油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶になるロールイン用油脂組成物が好ましく、4日以内に油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶になるロールイン用油脂組成物がさらに好ましく、1日以内に油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶になるロールイン用油脂組成物が一層好ましく、1時間以内に油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶になるロールイン用油脂組成物がさらに一層好ましく、30分以内に油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶になるロールイン用油脂組成物が最も好ましい。
上記の結晶転移の確認方法において、ロールイン用油脂組成物の油相中の分子間化合物とPPPを合計した含有量、又は、分子間化合物とSt St St を合計した含有量が多いほど、5℃での保持時間が短時間で油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶となる。
上記の結晶転移の確認方法において、5℃で保持後の油脂結晶がβ型結晶であることを判断する方法としては、X線回析測定において、以下のように短面間隔を測定することにより判断できる。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回析ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)と4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
また、本発明のロールイン用油脂組成物の油相の油脂結晶は、トリグリセリド分子のパッキング状態が2鎖長構造であることが好ましい。この2鎖長構造であることを確認する方法としては、例えばX線回析測定による方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
また、本発明のロールイン用油脂組成物の油相の油脂結晶は、微細結晶であることが好ましい。上記の微細結晶とは、油脂の結晶が微細であることであり、口にしたり、触った際にもザラつきを感ずることのない結晶であることを意味し、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm、最も好ましくは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記サイズとは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
油脂結晶のサイズが20μmを越えと、ロールイン用油脂組成物がざらつき、液状油成分を保持することが困難となり、またロールイン用油脂組成物が油にじみを起こしやすく、水相成分と油脂結晶により形成される3次元構造を維持できにくくなる上に、ロールイン時に油脂切れが起こりやすいため良好な層状構造が得られず、十分な浮きが得られない。
本発明では、ロールイン用油脂組成物の油相に、上記のようなトリグリセリド組成の範囲でSMSやMSMやSSSを含有させるために、SMSやMSMやSSSを含有する油脂(A)を配合してもよい。
この油脂(A)としては、SMSを含有する油脂(A1)、MSMを含有する油脂(A2)、SSSを含有する油脂(A3)、SMS及びSSSを含有する油脂(A4)、SMS、MSM及びSSSを含有する油脂(A5)の1種又は2種以上の油脂を使用することができる。
上記のSMSを含有する油脂(A1)としては、PMP又はSt MSt を20重量%以上含有する油脂が好ましく、より好ましくはPMP又はSt MSt を20重量%以上含有し、且つPMP/SMS又はSt MSt /SMSの比が0.6以上である油脂を使用する。斯かる油脂(A1)としては、具体的には、例えばパーム中融点油、パーム軟質油、シア脂、シアステアリン、マンゴー脂、マンゴーステアリン、サル脂、サルステアリン、コクム脂等を挙げることができる。また、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイック紅花油、スーパーオレイン等の2位に炭素数16又は18のモノ不飽和脂肪酸を60重量%以上含有する油脂と、炭素数16又は18の飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルからなる油脂配合物とを、1、3位選択的なエステル交換反応を行うことにより得られたエステル交換油、若しくは該エステル交換油の中融点部を挙げることができる。
上記のMSMを含有する油脂(A2)としては、MPM又はMSt Mを10重量%以上含有する油脂が好ましく、例えば、ラード若しくはラードの分別軟質油を挙げることができる。また、パーム油、大豆油、菜種油、ハイオレイック菜種油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、紅花油、ハイオレイック紅花油、コーン油、米油、サルオレイン、シアオレイン等のトリグリセリドの2位に炭素数18の脂肪酸を70重量%以上含有する油脂の極度硬化油又はパームステアリン等のトリグリセリドの2位に炭素数16の飽和脂肪酸を70重量%以上含有する油脂と、炭素数16又は18のモノ不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルからなる油脂配合物とを、1、3位選択的なエステル交換反応を行うことにより得られたエステル交換油、若しくは該エステル交換油の軟質部を挙げることができる。
上記のSSSを含有する油脂(A3)としては、PPP又はSt St Stを5重量%以上含有する油脂が好ましく、St St Stを主成分とするものとしては、例えば、大豆油、菜種油、ハイオレイック菜種油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、紅花油、ハイオレイック紅花油、コーン油、米油、サルオレイン、シアオレイン等の極度硬化油やシア脂、マンゴー脂の分別高融点部等を挙げることができ、PPPを主成分とするものとしては、パームステアリンの分別高融点部等を挙げることができる。
上記のSMS及びSSSを含有する油脂(A4)としては、PMPを15重量%以上且つPPPを5重量%以上含有する油脂、又はSt MSt を15重量%以上且つSt St Stを5重量%以上含有する油脂が好ましく、例えば、パーム油、パームステアリン等が挙げられる。
上記のSMS、MSM及びSSSを含有する油脂(A5)としては、PMP、MPM及びPPPをそれぞれ4重量%以上含有する油脂、又は、St MSt 、MSt M及びSt St Stをそれぞれ4重量%以上含有する油脂が好ましく、例えば、パーム油、パームオレイン、スーパーオレイン、シアオレイン、マンゴーオレイン、サルオレイン等の、St /S又はP/Sが0.7以上且つM/U(U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸)が0.7以上の原料油脂を、ランダムエステル交換した油脂が挙げられる。なかでも原料の供給面及びMSMの含量の高い点から、ヨウ素価50〜75のパーム油又はパーム分別油をランダムエステル交換した油脂が好ましく、特にヨウ素価55〜70のパーム分別脂をランダムエステル交換した油脂が好ましい。
本発明のロールイン用油脂組成物に使用する上記油脂(A)は、上記(A1)〜(A5)の油脂のうちの1種又は2種以上の油脂を使用することができるが、なかでも、上記油脂(A)として、SMS及びSSSを含有する油脂(A4)と、SMS、MSM及びSSSを含有する油脂(A5)とを併用することが、SMSとMSMの分子間化合物の量を多くできるため好ましく、なかでも油脂(A4)としてパームステアリンを、油脂(A5)としてヨウ素価50〜75のパーム油又はパーム分別油をランダムエステル交換した油脂をそれぞれ使用することが特に好ましい。
このような油脂(A)の含量は、本発明のロールイン用油脂組成物の油相中、好ましくは10〜100重量%、さらに好ましくは20〜90重量%、最も好ましくは30〜80重量%である。
また、本発明のロールイン用油脂組成物には、油相中に、乳脂、乳脂の分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂(B)を含有させてもよい。
上記の油脂(B)としては、牛乳、クリーム、バター、チーズ等の乳脂を含有する乳製品をそのまま使用しても、これらから脂質分だけを抽出した乳脂そのものを使用してもよい。また上記の乳脂を乾式分別、溶剤分別した分別乳脂硬部油、分別乳脂中部油、分別乳脂軟部油等を使用しても構わない。
上記油脂(B)の含量は、本発明のロールイン用油脂組成物の油相中、好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜45重量%、最も好ましくは0〜40重量%である。なお、上記油脂(B)として、牛乳、クリーム、バター、チーズ等の乳脂を含有する乳製品を使用した場合、上記油脂(B)の含量とは、それらに含まれる油脂以外の原料を除いた純油分を指す。
さらに、本発明のロールイン用油脂組成物には、油相中に、実質的に20℃で固体脂のない油脂(C)を含有させてもよい。上記の実質的に20℃で固体脂のない油脂(C)とは、20℃で液状の油脂であるのが好ましい。
上記油脂(C)としては、例えば、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、サンフラワー油、ハイオレイックサンフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、米糠油等の液状油やその低融点の硬化油、ヨウ素価64以上のパーム軟質油、シア脂、マンゴー脂、サル脂等の分別軟質油を用いることができる。
上記油脂(C)の含量は、本発明のロールイン用油脂組成物の油相中、好ましくは0〜70重量%、さらに好ましくは5〜65重量%、最も好ましくは10〜60重量%である。
さらに、本発明のロールイン用油脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、油相に上記油脂(A)、(B)及び(C)以外のその他の油脂を含有させてもよい。その他の油脂の配合量は、本発明のロールイン用油脂組成物の油相中、好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜30重量%である。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記のSMSやMSMやSSSやSSM等のトリグリセリド、及び/又は油脂(A)、さらに必要に応じ油脂(B)、油脂(C)及びその他の油脂のうちの1種又は2種以上の油脂を使用して、油相中のトリグリセリド組成が、上記i)〜v)の条件又は上記vi)〜x)の条件を全て満たす範囲で、SMSやMSMやSSSやSSMを油相中に含有させることによって得ることができる。
本発明のロールイン用油脂組成物は、油相の含量が、好ましくは35〜100重量%、さらに好ましくは40〜95重量%、最も好ましくは45〜87重量%であり、水相の含量が、好ましくは65〜0重量%、さらに好ましくは60〜10重量%、最も好ましくは55〜13重量%である。
また、本発明のロールイン用油脂組成物は、トランス酸を実質的に含有しないことが好ましい。
水素添加は油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、これによって得られる水素添加油脂は、完全水素添加油脂を除いて、通常構成脂肪酸中にトランス酸が10〜50重量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10重量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス酸を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものが要求されている。
ここでいう「実質的に」とは、トランス酸含量が、本発明のロールイン用油脂組成物の全構成脂肪酸中、好ましくは10重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満、最も好ましくは2重量%未満であることを意味する。
本発明では、ロールイン用油脂組成物が水素添加油脂を使用せずとも良好なコンステンシーを有するため、トランス酸を実質的に含有しないロールイン用油脂組成物を得ることができる。
また、本発明では、ロールイン用油脂組成物が乳化剤を1種又は2種以上含有するものであってもよいが、乳化剤無添加であっても良好な油脂伸展性を示し、さらには水相を含有する場合でも、保存時やロールイン作業時に離水のない安定な乳化形態のロールイン用油脂組成物を得ることができる。
特に、上記油脂(A5)としてヨウ素価50〜75のパーム油又はパーム軟質油のランダムエステル交換油を使用することにより、乳化剤無添加でも高水分のロールイン用油脂組成物を得ることが可能である。
上記の乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の、合成乳化剤でない乳化剤が挙げられる。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上記以外のその他の成分を含有することができる。該その他の成分としては、例えば、増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記増粘安定剤の含量は、特に制限はないが、本発明のロールイン用油脂組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。なお、本発明のロールイン用油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
次に本発明のロールイン用油脂組成物の製造方法を説明する。
本発明のロールイン用油脂組成物は、その製造方法が特に制限されるものではなく、上記i)〜v)の条件を全て満たす油相又は上記vi)〜x)の条件を全て満たす油相を溶解し、冷却し、結晶化することによって得ることができる。
具体的には、まず、上記油相を溶解し、必要により水相を混合乳化する。そして次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法はタンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
次に、冷却し、結晶化させる。好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上とする。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましい。
冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンピネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせが挙げられる。
また、本発明のロールイン用油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
本発明のロールイン用油脂組成物は、マーガリンタイプでもショートニングタイプでもどちらでもよく、またその乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。
さらに、本発明のロールイン用油脂組成物は、その形状に関して、シート状、ブロック状、円柱状、直方体等の形状としてもよい。各々の形状についての好ましいサイズは、シート状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ1〜50mm、ブロック状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ50〜500mm、円柱状:直径1〜25mm、長さ5〜100mm、直方体:縦5〜50mm、横5〜50mm、高さ5〜100mmである。
本発明のロールイン用油脂組成物は、デニッシュ・ペーストリー、クロワッサン、パイ等のフレーキーな食感をもった製品のロールイン用として使用することができる。また、本発明のロールイン用油脂組成物の上記用途における使用量は、目的とする製品により異なるものであり、特に限定されるものではない。
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限されるものではない。また、下記に示す「%」はすべて重量基準であり、P:パルミチン酸、St :ステアリン酸、O:オレイン酸、S:炭素数16〜18の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸、M:炭素数16〜18のシス型モノエンの不飽和脂肪酸をそれぞれ示す。
(油脂1の調製)

ヨウ素価56のパームオレインを15℃で乾式分別を行い、ヨウ素価42のパーム中融点部を得た。これを25℃で乾式分別し、高融点画分を除去した後、油脂:アセトン=1:4の重量比で混合し、10℃で溶剤分別を行って得られた結晶部を漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A1)に該当する油脂1を得た。

得られた油脂1は、SSSを0.8%、PPPを0.7%、POPを70.3%、PPOを2.0%を含有し、OPOは0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.7%であった。
(油脂2の調製)
ヨウ素価30のパームステアリンとアセトンを1:3の重量比で混合し、これを35℃で溶剤分別し、得られた結晶部とオレイン酸エチル(純度98%:当社調製)を重量比1:4で混合し、触媒として1,3位置選択性のリパーゼ(リパーゼEG:天野製薬(株)製)を(油脂+オレイン酸エチル)の総重量に対し5%添加し、反応温度40℃で72時間反応を行った。反応終了後、分子蒸留(150℃)で脂肪酸エチルを除去した後、シリカカラムでトリグリセリド画分のみ分画した。この分画したトリグリセリド画分とアセトンを1:3の重量比で混合し、30℃で溶剤分別した低融点画分を更に0℃で溶剤分別を行って得られた低融点画分を、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A2)に該当する油脂2を得た。
得られた油脂2は、POPを0.4%、PPOを5.3%、OPOを84.1%含有し、SSS、PPPは0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.6%であった。
(油脂3の調製)
ヨウ素価30のパームステアリンとアセトンを1:3の重量比で混合し、これを35℃で溶剤分別して得られた結晶部を、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A3)に該当する油脂3を得た。
得られた油脂3は、SSSを96.3%、PPPを78.1%、POPを2.7%、PPOを1.2%含有し、OPOは0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.4%であった。
(油脂4の調製)
ヨウ素価30のパームステアリンとアセトンを1:3の重量比で混合し、これを35℃で溶剤分別し、得られた結晶部とオレイン酸エチル(純度98%:当社調製)を重量比1:4で混合し、触媒として1,3位置選択性のリパーゼ(リパーゼEG:天野製薬(株)製)を(油脂+オレイン酸エチル)の総重量に対し5%添加し、反応温度40℃で72時間反応を行った。反応終了後、分子蒸留(150℃)で脂肪酸エチルを除去した後、シリカカラムでトリグリセリド画分のみ分画した。この分画したトリグリセリド画分とアセトンを1:3の重量比で混合し、30℃で溶剤分別した低融点画分を更に0℃で溶剤分別を行って得られた結晶部を、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、油脂4を得た。
得られた油脂4は、SSSを3.1%、PPPを2.4%、POPを1.0%、PPOを74.2%、OPOを7.4%含有し、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.4%であった。
(油脂5の調製)
(パーム極度硬化油の調製)
ヨウ素価52のパーム油をニッケル触媒(SO−850:堺化学製)を用いて、反応温度190℃、水素圧3.0kg/cm2 下で、ヨウ素価0.8まで硬化反応を行った。脱触媒後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、ヨウ素価0.8の油脂5を得た。
得られた油脂5は、SSSを92.9%、PPPを5.9%含有し、POP、PPO、OPOは0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.1%であった。
〔実施例1〜4及び比較例1〜6〕
(ロールイン用油脂組成物の調製)
ロールイン用油脂組成物の油相として上記油脂1〜油脂4、大豆液状油(トランス酸含量0%)を表1の比率で混合した混合油83.2%に、レシチン0.5%及びグリセリンモノステアリン酸エステル0.5%を溶解混合した油相と、食塩1%及び水14.8%からなる水相とを乳化した予備乳化物を、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、マーガリンタイプのロールイン用油脂組成物をそれぞれ作成した。
得られたロールイン用油脂組成物の油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量、PPPの含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの各数値、トランス酸含量、油脂の結晶構造、油脂の結晶型、及び油脂の結晶サイズを測定した。その結果を表2及び表3に示した。
なお、油脂の結晶構造、油脂の結晶型、及び油脂の結晶サイズについては、ロールイン用油脂組成物の油相を70℃で完全に溶解し、0℃で30分間保持した後、5℃で7日間保持したときの結晶構造、油脂の結晶型、及び油脂の結晶サイズである。
実施例1〜4及び比較例1〜6で得られたロールイン用油脂組成物を用いて、下記配合と製法によりパイをそれぞれ製造し、ロールイン時の作業性(油脂伸展性)、焼成したパイのパフ性(浮き)及び口溶けを下記評価基準により比較評価した。その結果を表4に示した。
<パイの配合>
強力粉 70 重量部
薄力粉 30 重量部
食塩 1.3重量部
砂糖 2 重量部
脱脂粉乳 3 重量部
練り込み油脂(マーガリン) 5 重量部
水 54 重量部
ロールイン用油脂組成物 80 重量部
<パイの製法>
ロールイン用油脂組成物以外の原料を竪型ミキサーにて低速2分及び中速3分ミキシングした後、5℃の冷蔵庫内で生地を一晩リタードした。この生地にロールイン用油脂組成物をのせ、定法によりロールイン(4つ折4回)、成型(縦100mm×横100mm×厚さ3mm)し、ピケローラーでピケをうった後、焼成した。
<ロールイン時の油脂伸展性の評価基準>
◎ :コシがあり、非常に良好
○ :良好
△ :若干油脂切れが起こるか、生地に練込まれる傾向があり、やや不良である
× :油脂切れが起こるか、生地に練込まれ、不良である
<パイの口溶けの評価基準>
◎ :非常に良好
○ :良好
△ :若干ワキシー感あり
× :ワキシー感あり
<パイのパフ性(浮き)の評価基準>
焼成後のパイの厚みを焼成前の生地厚で除した値について、焼成品10個の平均値を算出し、下記の4段階で評価した。
◎ :12以上
○ :11以上〜12未満
△ :10以上〜11未満
× :10未満
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
上記表2、表3及び表4からわかるように、PPM/(PMP+MPM)が0.85を超える油脂組成物(比較例1、比較例2)は、製造時に安定な微細β結晶が得られず、また得られたマーガリンが経日的に硬くなり、粗大結晶が析出する傾向が認められた。また得られたパイは、口溶けは良好であったが、浮きが悪く、ロールイン時の油脂伸展性も悪かった。
また、油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量が10重量%未満である油脂組成物(比較例3)や60重量%を超える油脂組成物(比較例4)は、製造時には安定な微細β結晶が得られるものの、得られたマーガリンはロールイン用油脂組成物としての物性がきわめて悪かった。
さらに、油相中のPPPの含量が3重量%未満である油脂組成物(比較例5)や15重量%を超える油脂組成物(比較例6)は、製造時に安定な微細β結晶が得られるが、PPPの含量が3重量%未満である油脂組成物は耐熱性が悪く、15重量%を超える油脂組成物は口溶けが悪く、また共にパイの浮きが悪かった。
これに対し、油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量、PPPの含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの全てが、上記i)〜v)の条件の範囲内である実施例1〜実施例4の油脂組成物は、製造時に安定な微細β結晶が得られ、また得られたマーガリンも、粗大結晶の析出は見られなかった。また得られたパイは、口溶け、浮きとも良好であり、且つロールイン時の油脂伸展性も良好であった。
〔実施例5〜6及び比較例7〜8〕
ロールイン用油脂組成物の油相として上記油脂1〜油脂3、油脂5、大豆液状油(トランス酸含量0%)を表5の比率で混合した混合油を用いた以外は実施例1〜4と同様に、マーガリンタイプのロールイン用油脂組成物をそれぞれ作成した。
得られたロールイン用油脂組成物の油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量、PPPの含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの各数値、トランス酸含量、油脂の結晶構造、油脂の結晶型、及び油脂の結晶サイズを測定した。その結果を表6及び表7に示した。
実施例5〜6及び比較例7〜8で得られたロールイン用油脂組成物を用いて、実施例1〜4と同様の配合と製法によりパイをそれぞれ製造し、実施例1〜4と同様にして、ロールイン時の作業性(油脂伸展性)、パイのパフ性(浮き)及び口溶けを比較評価した。その結果を表8に示した。
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
上記表6、表7及び表8からわかるように、PPP/SSSが0.65未満である油脂組成物(比較例7、比較例8)は、製造時に安定な微細β結晶が得られず、また得られたマーガリンが経日的に硬くなり、粗大結晶が析出する傾向が認められた。また得られたパイは、口溶けは良好であったが、浮きが悪く、ロールイン時の油脂伸展性も悪かった。
これに対し、油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量、PPPの含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの全てが、上記i)〜v)の条件の範囲内である実施例5及び実施例6の油脂組成物は、製造時に安定な微細β結晶が得られ、また得られたマーガリンも、粗大結晶の析出は見られなかった。また得られたパイは、口溶け、浮きとも良好であり、且つロールイン時の油脂伸展性も良好であった。
〔実施例7〜8及び比較例9〕
ロールイン用油脂組成物の油相として上記油脂1〜油脂3、大豆液状油(トランス酸含量0%)を表9の比率で混合した混合油を用いた以外は実施例1〜4と同様に、マーガリンタイプのロールイン用油脂組成物をそれぞれ作成した。
得られたロールイン用油脂組成物の油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量、PPPの含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの各数値、トランス酸含量、油脂の結晶構造、油脂の結晶型、及び油脂の結晶サイズを測定した。その結果を表10及び表11に示した。
実施例7〜8及び比較例9で得られたロールイン用油脂組成物を用いて、実施例1〜4と同様の配合と製法によりパイをそれぞれ製造し、実施例1〜4と同様にして、ロールイン時の作業性(油脂伸展性)、パイのパフ性(浮き)及び口溶けを比較評価した。その結果を表12に示した。
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
上記表10、表11及び表12からわかるように、(MPM+PPP)/PMPが0.5未満である油脂組成物(比較例9)は、製造時に安定な微細β結晶が得られず、また得られたマーガリンが経日的に硬くなり、粗大結晶が析出する傾向が認められた。また得られたパイは、口溶けは良好であったが、浮きが悪く、ロールイン時の油脂伸展性も悪かった。
これに対し、油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量、PPPの含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの全てが、上記i)〜v)の条件の範囲内である実施例7及び実施例8の油脂組成物は、製造時に安定な微細β結晶が得られ、また得られたマーガリンも、粗大結晶の析出は見られなかった。また得られたパイは、口溶け、浮きとも良好であり、且つロールイン時の油脂伸展性も良好であった。
(油脂6の調製)
マンゴー脂とアセトンを重量比1:4で混合し、10℃で溶剤分別を行って得られた結晶部を、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A1)に該当する油脂6を得た。
得られた油脂6は、SSSを1.3%、St St St を0.9%、St OSt を64.7%、St St Oを3.0%含有し、OSt Oは0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.3%であった。
(油脂7の調製)
ヨウ素価2の大豆極度硬化油とオレイン酸エチル(純度98%:当社調製)を重量比1:4で混合し、触媒として1,3位置選択性のリパーゼ(リパーゼEG:天野製薬(株)製)を(油脂+オレイン酸エチル)の総重量に対し5%添加し、反応温度40℃で72時間反応を行った。反応終了後、分子蒸留(150℃)で脂肪酸エチルを除去した後、シリカカラムでトリグリセリド画分のみ分画した。この分画したトリグリセリド画分とアセトンを1:3の重量比で混合し、34℃で溶剤分別を行って得られた低融点画分を、更に5℃で溶剤分別を行って得られた低融点画分を、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A2)に該当する油脂7を得た。
得られた油脂7は、St OSt を0.4%、St St Oを2.7%、OSt Oを79.4%含有し、SSS、St St St は0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.7%であった。
(油脂8の調製)
ハイオレイックひまわり油をニッケル触媒(SO−850:堺化学製)を用いて、反応温度190℃、水素圧3.0kg/cm2 下で、ヨウ素価0.8まで硬化反応を行った。脱触媒後、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、ヨウ素価0.8の油脂8を得た。
得られた油脂8は、SSSを99.0%、St St St を81.0%含有し、St OSt 、St St O、OSt Oは0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.1%であった。
(油脂9の調製)
ヨウ素価2の大豆極度硬化油とオレイン酸エチル(純度98%:当社調製)を重量比1:4で混合し、触媒として1,3位置選択性のリパーゼ(リパーゼEG:天野製薬(株)製)を(油脂+オレイン酸エチル)の総重量に対し5%添加し、反応温度40℃で72時間反応を行った。反応終了後、分子蒸留(150℃)で脂肪酸エチルを除去した後、シリカカラムでトリグリセリド画分のみ分画した。この分画したトリグリセリド画分とアセトンを1:3の重量比で混合し、34℃で溶剤分別を行って得られた低融点画分を、更に5℃で溶剤分別を行って得られた結晶部を、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、油脂9を得た。
得られた油脂9は、SSSを4.2%、St St St を3.1%、St OSt を0.8%、St St Oを75.2%、OSt Oを5.3%含有し、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.4%であった。
〔実施例9〜13及び比較例10〜12〕
ロールイン用油脂組成物の油相として上記油脂5〜油脂9、大豆液状油(トランス酸含量0%)を表13の比率で混合した混合油を用いた以外は実施例1〜4同様に、マーガリンタイプのロールイン用油脂組成物をそれぞれ作成した。
得られたロールイン用油脂組成物の油相中の(St MSt +MSt M+St St St )の含量、St St St の含量、St St M/(St MSt +MSt M)、(MSt M+St St St )/St MSt 、St St St /SSSの各数値、トランス酸含量、油脂の結晶構造、油脂の結晶型、及び油脂の結晶サイズを測定した。その結果を表14及び表15に示した。
実施例9〜13及び比較例10〜12で得られたロールイン用油脂組成物を用いて、実施例1〜4と同様の配合と製法によりパイをそれぞれ製造し、実施例1〜4と同様にして、ロールイン時の作業性(油脂伸展性)、パイのパフ性(浮き)及び口溶けを比較評価した。その結果を表16に示した。
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
上記表14、表15及び表16からわかるように、St St M/(St MSt +MSt M)が0.85を超える油脂組成物(比較例10)は、製造時に安定な微細β結晶が得られず、また得られたマーガリンが経日的に硬くなり、粗大結晶が析出する傾向が認められた。また得られたパイは、口溶けは良好であったが、浮きが悪く、ロールイン時の油脂伸展性も悪かった。
また、油相中のSt St St の含量が3重量%未満であり且つSt St St /SSSが0.65未満である油脂組成物(比較例11、比較例12)は、製造時に安定な微細β結晶が得られず、また得られたマーガリンが経日的に硬くなり、粗大結晶が析出する傾向が認められた。また得られたパイは、口溶けは良好であったが、浮きが悪く、ロールイン時の油脂伸展性も悪かった。
これに対し、油相中の(St MSt +MSt M+St St St )の含量、St St St の含量、St St M/(St MSt +MSt M)、(MSt M+St St St )/St MSt 、St St St /SSSの全てが、上記vi)〜x)の条件の範囲内である実施例9〜実施例13の油脂組成物は、製造時に安定な微細β結晶が得られ、また得られたマーガリンも、粗大結晶の析出は見られなかった。また得られたパイは、口溶け、浮きとも良好であり、且つロールイン時の油脂伸展性も良好であった。
(油脂10の調製)
ヨウ素価56のパームオレインを15℃で乾式分別を行い、ヨウ素価42のパーム中融点部を得た。これを漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A1)に該当する油脂10を得た。
得られた油脂10は、SSSを2.2%、PPPを1.7%、POPを42.7%、PPOを4.9%を含有し、OPOは0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.4%であった。
(油脂11の調製)
ヨウ素価30のパームステアリンを漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A4)に該当する油脂11を得た。
得られた油脂11は、SSSを35.1%、PPPを28.7%、POPを25.8%、PPOを6.5%を含有し、OPOは0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.4%であった。
(油脂12の調製)
ヨウ素価52のパーム油を漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A4)に該当する油脂12を得た。
得られた油脂12は、SSSを7.1%、PPPを5.9%、POPを21.0%、PPOを6.4%を含有し、OPOは0.1%未満、モノグリセリドについては0.05%未満であった。なお、トランス酸含量は0.8%であった。
(油脂13の調製)
ヨウ素価56のパーム軟質油(P/S=0.87、且つ、O/U=0.79)をソジウムメチラート(和光純薬(株)製)0.15%を触媒として、ランダムエステル交換を行った。これを脱触媒、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A5)に該当する油脂13を得た。
得られた油脂13は、SSSを12.4%、PPPを7.7%、POPを7.3%、PPOを14.5%、OPOを7.2%、モノグリセリドを0.12%含有していた。なお、トランス酸含量は0.8%であった。
(油脂14の調製)
ヨウ素価65のパーム軟質油(P/S=0.86、且つ、O/U=0.79)をソジウムメチラート(和光純薬(株)製)0.15%を触媒として、ランダムエステル交換を行った。これを脱触媒、漂白(白土3%、85℃、9.3×102 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込む量5%、4.0×102 Pa以下の減圧下)を行い、上記油脂(A5)に該当する油脂14を得た。
得られた油脂14は、SSSを5.8%、PPPを4.3%、POPを5.7%、PPOを11.3%、OPOを7.8%、モノグリセリドを0.14%含有していた。なお、トランス酸含量は1.2%であった。
〔実施例14〜21及び比較例13〜16〕
(ロールイン用油脂組成物の調製)
ロールイン用油脂組成物の油相として上記油脂5、油脂10〜油脂14、乳脂(トランス酸含量3%)、大豆液状油(トランス酸含量0%)を表17の比率で混合した混合油を用いた以外は実施例1〜4同様に、マーガリンタイプのロールイン用油脂組成物をそれぞれ作成した。
得られたロールイン用油脂組成物の油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量、PPPの含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの各数値、トランス酸含量、油脂の結晶構造、油脂の結晶型、及び油脂の結晶サイズを測定した。その結果を表18及び表19に示した。
実施例14〜23及び比較例13〜16で得られたロールイン用油脂組成物を用いて、実施例1〜4と同様の配合と製法によりパイをそれぞれ製造し、実施例1〜4と同様にして、ロールイン時の作業性(油脂伸展性)、パイのパフ性(浮き)及び口溶けを比較評価した。その結果を表20に示した。
〔実施例22〜23〕
実施例14又は実施例19のロールイン用油脂組成物の油相を、乳化剤(レシチン0.5%及びグリセリンモノステアリン酸エステル0.5%)を無添加とした油相84.2重量%とした以外は実施例14又は実施例19と同様にして、マーガリンタイプの合成乳化剤無添加である実施例22及び実施例23のロールイン用油脂組成物をそれぞれ作成した。
実施例22及び実施例23で得られたロールイン用油脂組成物を用いて、実施例1〜4と同様の配合と製法によりパイをそれぞれ製造し、実施例1〜4と同様にして、ロールイン時の作業性(油脂伸展性)、パイのパフ性(浮き)及び口溶けを比較評価した。その結果を表20に示した。
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
Figure 2006025671
上記表18及び表19からわかるように、油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量、PPPの含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの何れかが、上記i)〜v)の条件の範囲外であると、製造時に安定な微細β結晶が得られず、また得られたマーガリンが経日的に硬くなり、粗大結晶が析出する傾向が認められた。
また、上記表18及び表20からわかるように、油相中の(PMP+MPM+PPP)の含量、PPPの含量、PPM/(PMP+MPM)、(MPM+PPP)/PMP、PPP/SSSの何れかが、上記i)〜v)の条件の範囲外であると、得られたパイの口溶けは良好であっても、浮きが悪く、またロールイン時の油脂伸展性も悪い傾向が認められた。
なお、乳化剤無添加で調製したロールイン用油脂組成物(実施例22、実施例23)においても、乳化剤を添加して製造した実施例14及び19のロールイン用油脂組成物と同様に、製造時及びロールイン時とも離水なく、作業性が良好であった。また得られたパイの浮きや口溶けにおいても乳化剤を添加したものと差は認められなかった。

Claims (6)

  1. 油相中のトリグリセリド組成が、下記i)〜v)の条件又は下記vi)〜x)の条件を全て満たすことを特徴とするロールイン用油脂組成物。
    i) (PMP+MPM+PPP)が10〜60重量%
    ii) PPPが3〜15重量%
    iii) PPM/(PMP+MPM)が0.85以下(重量基準)
    iv) (MPM+PPP)/PMPが0.5以上(重量基準)
    v) PPP/SSSが0.65以上(重量基準)
    vi) (St MSt +MSt M+St St St )が10〜60重量%
    vii) St St St が3〜15重量%
    viii) St St M/(St MSt +MSt M)が0.85以下(重量基準)
    ix) (MSt M+St St St )/St MSt が0.5以上(重量基準)
    x) St St St /SSSが0.65以上(重量基準)
    上記i)〜x)中、S、M、P及びSt は、それぞれ下記の脂肪酸を示す。
    S :炭素数16〜18の飽和脂肪酸
    M :炭素数16〜18のシス型モノエンの不飽和脂肪酸
    P :炭素数16の飽和脂肪酸。
    St :炭素数18の飽和脂肪酸。
  2. 油相含量が35〜100重量%である請求項1記載のロールイン用油脂組成物。
  3. ヨウ素価50〜75のパーム油又はパーム分別油をエステル交換した油脂、及び、パームステアリンを含有する請求項1又は2記載のロールイン用油脂組成物。
  4. トランス酸を実質的に含有しない請求項1〜3の何れかに記載のロールイン用油脂組成物。
  5. 乳化剤無添加である請求項1〜4の何れかに記載のロールイン用油脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載のロールイン用油脂組成物を用いた食品。
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