JP2014050322A - 焼菓子練り込み用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】油相中のトリ飽和脂肪酸トリグリセリド含量(SSS)が3〜8重量%であり、かつ油相中のジグリセリド含有量(DG)が8〜14重量%である、複合菓子の焼菓子練り込み用油脂組成物、特に上記SSSとDGが特定の2種類のエステル交換油由来である油脂組成物、を用いることにより、白色化が抑制された複合菓子を提供することができる。
【選択図】なし
Description
特許文献1は、発明の名称を「複合菓子用油脂組成物及び複合菓子の製造方法」とする出願であり、請求項1には「親油性のポリグリセリン脂肪酸エステル及び(又は)親油性のショ糖脂肪酸エステルを含有し、且つこれらポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のうち、2個以上が炭素数18以上の飽和脂肪酸であり、油脂のSFC値が20℃で20以上、30℃で7以上、40℃で5以下であることを特徴とする複合菓子用油脂組成物。」と記載されている。
特許文献1〜3に記載された発明は、それぞれ使用する乳化剤や油脂の組成を特定したものであり、その汎用性は低いものであった。特許文献4に記載された発明は、実質的にSFCの規定のみが発明の構成要件であり、その汎用性が高いとも思われたが、実際に試験を行うと、SFCの規定のみでは十分な効果は確認することはできなかった。
特許文献5に記載された発明は、一定量のトランス脂肪酸を含有させることを必須とするものであるが、昨今のトランス脂肪酸を忌避する風潮の中では、実施が困難な場合も存在することが懸念された。
すなわち本発明は
第1.油相中にトリ飽和脂肪酸トリグリセリド(SSS:Sはパルミチン酸またはステアリン酸)を3〜8重量%及びジグリセリド(DG)を8〜14重量%を含有する、焼菓子練りこみ用油脂組成物、
第2.油相中、SSS/DGの重量比が0.25〜0.65である、第1記載の焼菓子練り込み用油脂組成物、
第3.上昇融点が20℃以上であって、SSSを0.1〜1.5重量%、DGを10〜22重量%含有するエステル交換油(1)を、油相中に2〜60重量%含有し、かつ、ラウリン系油脂40〜70%、パーム系油脂20〜50%、菜種又は大豆極度硬化油5〜15%のブレンド油のエステル交換油(2)を油相中に10〜50重量%含有する、第1〜第2いずれか1つに記載の焼菓子練り込み用油脂組成物、
第4.第3記載のエステル交換油(2)を構成する脂肪酸に占めるパルミチン酸の含量が10〜45重量%であり、且つステアリン酸の含量が5〜10重量%である、第3記載の焼菓子練り込み用油脂組成物、
第5.第1〜第4のいずれか1つに記載の油脂組成物を焼菓子練り込みに使用した、複合菓子、
第6.第1〜第4のいずれか1つに記載の油脂組成物を焼菓子練り込みに使用する、複合菓子の白色化抑制方法、
に関するものである。
本発明の油脂組成物は、焼菓子の練り込み用に使用できる形態であれば、その形態は特に限定されず、ショートニングタイプ、油中水型乳化油脂組成物等いずれの形態であっても良い。
本発明において、DGの由来は特に問わないが、DGを含む油脂を原料として選択する他、例えば以下に記載するエステル交換油に由来させることにより、本発明の油脂組成物を容易に調製することができる。
エステル交換油(1)について
上昇融点が20℃以上であって、SSSが1.5重量%以下であり、DGを10〜22重量%含有するエステル交換油である。これを、油相中に2〜60重量%含有することが好ましい。上昇融点は、21℃以上がより好ましく、23℃以上がさらに好ましい。SSSは1.2重量%以下がより好ましく、0.9重量%以下がさらに好ましい。DGは11〜21重量%含有することがより好ましく、12〜20重量%含有することがさらに好ましい。これらの含有量は上限を超えても下限未満でも、本発明の白色化抑制効果が低下するため好ましくない。
ラウリン系油脂40〜70重量%、パーム系油脂20〜50重量%、菜種又は大豆極度硬化油5〜15重量%のブレンド油のエステル交換油である。これを油相中に10〜50重量%含有することが好ましい。ラウリン系油脂はより好ましくは45〜65重量%、パーム系油脂はより好ましくは25〜45重量%、菜種油又は大豆極度硬化油はより好ましくは7〜13重量%である。ここでラウリン系油脂とはラウリン酸を主要な構成脂肪酸とする油脂のことで、具体的にはヤシ油、パーム核油およびこれらを分別、硬化等の加工を施したものを挙げることができる。パーム系油脂とはパーム油およびこれを原料とし分別、硬化等の加工を施した油脂のことであり、パームオレインやスーパーパームオレイン、パームステアリンまたはこれらを硬化したものを挙げることができる。
エステル交換によりDG量を調整する場合、必要に応じて適宜融点が調整されかつDG量が調整されたエステル交換油を調製し使用することができるので、油脂組成物の配合をより容易に組み立てることができる。
以下に、本発明の実施態様の一つとして、マーガリンを例に説明する。
一方、設定された配合において、水および水に溶解する成分、たとえば水溶性の風味素材などは水に混合し水相とする。なお、液糖を使用する場合など、水を使用しない配合においては、液糖に水溶性の成分を溶解ないし混合することもできる。
なお、実施態様がショートニングである場合は、水相の調製を行わず、それ以外はマーガリンと同様にコンビネーター等の油中水型乳化油脂組成物製造装置へ供し、適宜ガスを注入すれば、同様に得ることができる。
○油脂組成物の調製
実施例1〜8、比較例1〜4
表1の配合において、以下の「ショートニング調製方法」に記載の方法により、各ショートニングを調製した。
(エステル交換油脂Aの調製)
パーム油(ヨウ素価52)27重量%、パームオレイン(ヨウ素価57)65重量%、およびなたね極度硬化油8質 量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行いエステル交換油脂A(SSS含量11.6重量%、DG含量6.8重量%、上昇融点40℃、パルミチン酸含量39重量%、ステアリン酸含量7重量%)を得た。
(エステル交換油脂Bの調製)
ヤシ油(ヨウ素価9)50重量%、パームステアリン(ヨウ素価40)40重量%、およびなたね極度硬化油10質量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行いエステル交換油脂B(SSS含量10.8重量%、DG含量14.4重量%、上昇融点34℃、パルミチン酸含量32.1重量%、ステアリン酸含量7.6質 量%)を得た。本エステル交換油は、本発明のエステル交換油(1)として利用した。
(エステル交換油脂Cの調製)
パームスーパーオレイン(ヨウ素価67)をナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換油脂C(SSS含 量4.6重量%、DG含量9.5重量%、上昇融点34℃、パルミチン酸含量31.4重量%、ステアリン酸含量3.2重量%)を得た。
(エステル交換油脂Dの調製)
パーム油(ヨウ素価52)59重量%、パームステアリン(ヨウ素価40)20重量%、パーム極度硬化油(ヨウ素価1以下)21重量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、さらにアセトン分別により高融点部を除去し、エステル交換油Dを得た(SSS含量0.6重量%、DG含量13.4重量%、上昇融点26℃、パルミチン酸含量31重量%、ステアリン酸含量7.3質 量%)。本エステル交換油は、本発明のエステル交換油(2)として利用した。
1.配合に記載の油脂を60〜70℃で融解して混合し「調合油」とした。
2.調合油を油中水型乳化油脂組成物製造装置(コンビネーター)へ供し、油中水型乳化油脂組成物を得た。
3.ダンボールケースへ充填し、3〜7℃にて冷蔵した。
実施例9〜16、比較例5〜8
表2に記載の油脂組成物をそれぞれ使用して、表3の配合にて、「焼菓子の調製法」に従い、焼菓子を調製した。
得られた焼菓子を用い、「複合菓子の白色化評価法」に従い、白色化評価を行った。
結果を表5に示す。
1.各種油脂組成物対粉40部と上白糖対粉30部を混合し、ケンミキサーを使用して攪拌し、比重を0.85まで下げた。
2.攪拌しながら、卵7部、炭酸アンモニウム0.2部、重曹0,2部、水5部を加え、比重を0.8にした。
3.小麦粉を加え、軽く混ぜた後に、生地を冷蔵庫(3−7℃)で1h以上休ませた。
4.冷蔵庫で休ませた生地を5mm厚に展延し、型でぬいて180℃で15分焼成し、クッキー(一枚約7.5g)を得た。
1.スイートチョコレート(不二製油株式会社製)を湯煎にて溶解し、32℃でチョコシードA(不二製油株式会社製)を0.2%加えた後均質化した。
2.焼成したクッキーを20℃で20分間冷却後に、溶解したチョコレートにクッキー表面が見える程度に埋没させ、チョコレート複合菓子を得た。
。(7.5gのクッキーに対し、22.5gのチョコレート)。
3. 得られた複合菓子を18℃/27℃サイクル(12時間/12時間)の温度サイクルをかけ、インキュベータ中で保存テストを行い、クッキーの白変化状態を確認した。
4.5日後、焼き菓子表面の状態を熟練した評価者3名で確認し、3名の合意により点数付けした。評価基準は、調製直後と変化がない状態を1点とし、ほぼ変化はないが焼き菓子表面に油脂結晶の小さな斑点がみられる状態を2点、全体に僅かな白色化が見られる状態を3点、全体に明確に白色化が確認できる状態を4点、全体が完全に白色化し、焼き菓子が白くカサついた状態を5点。3点以下を合格とした。
Claims (6)
- 油相中にトリ飽和脂肪酸トリグリセリド(SSS:Sはパルミチン酸またはステアリン酸)を3〜8重量%及びジグリセリド(DG)を8〜14重量%を含有する、焼菓子練りこみ用油脂組成物。
- 油相中、SSS/DGの重量比が0.25〜0.65である、請求項1記載の焼菓子練り込み用油脂組成物。
- 上昇融点が20℃以上であって、SSSを0.1〜1.5重量%、DGを10〜22重量%含有するエステル交換油(1)を、油相中に2〜60重量%含有し、かつ、ラウリン系油脂40〜70%、パーム系油脂20〜50%、菜種又は大豆極度硬化油5〜15%のブレンド油のエステル交換油(2)を油相中に10〜50重量%含有する、請求項1〜2のいずれか1項に記載の焼菓子練り込み用油脂組成物。
- 請求項3記載のエステル交換油(2)を構成する脂肪酸に占めるパルミチン酸の含量が10〜45重量%であり、且つステアリン酸の含量が5〜10重量%である、請求項3記載の焼菓子練り込み用油脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の油脂組成物を焼菓子練り込みに使用した、複合菓子。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の油脂組成物を焼菓子練り込みに使用する、複合菓子の白色化抑制方法。
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