JP6555451B1 - ロールイン用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

低トランスタイプで、広い温度域で伸展性に優れた可塑性と優れた口溶けを有するロールイン用油脂組成物、該ロールイン用油脂組成物を用いて得られる、焼成1日後に焼き立て同様のジューシーな口当りとさっくりとした歯切れを有する層状ベーカリー食品の提供を課題とする。油相中に、全構成脂肪酸に対し、ラウリン酸含量が5〜25重量%、パルミチン酸含量が5〜25重量%及びステアリン酸含量が10〜35重量%であり、ステアリン酸/パルミチン酸の重量比率が0.5〜7であるエステル交換油脂を45〜95重量%、液状油5〜25重量%及び上昇融点45℃を超える高融点油脂1重量%未満を含有するロールイン用油脂組成物を調製し、それを用いて層状ベーカリー食品を得る。

Description

本発明は、広い温度域で優れた進展性を有するロールイン用油脂組成物及び該ロールイン用油脂組成物を用いることにより得られるジューシーな口当りと歯切れの良い食感を有する層状ベーカリー食品に関する。
パイやデニッシュなどの層状ベーカリー食品の製造には、層状構造をつくるために、生地にロールイン油脂組成物を層状に折り込まれる。その後、焼成することにより、独特の歯切れが良く、サクサク感を有する層状ベーカリー食品が得られるが、かかるロールイン用油脂組成物には生地に折り込む際の広い温度域、例えば5〜25℃における伸展性と焼成後の優れた歯切れ、口溶けが要求される。
上記要求に対して、従来は動植物油脂の水素添加油を高融点油脂や中融点油脂としてロールイン用油脂組成物に液状油脂とともに配合することにより、伸展性と焼成後の優れた歯切れ、口溶けを満足するロールイン用油脂組成物が得られていた。
近年、水素添加油に由来する油脂中のトランス脂肪酸の健康に与える悪影響が問題視され、水素添加油に代えて動植物油脂の分別油やエステル交換油をベースとした低トランスタイプのロールイン用油脂組成物への要望が高まり、かかる低トランスタイプで伸展性と焼成後の優れた歯切れ、口溶けを満足する可塑性油脂及びそれを用いたロールイン用油脂組成物が要望されている。
上記に加えて、オープンフレッシュベーカリー、所謂焼き立てのパンを販売する町のパン屋さんなどではクロワッサン、パイ、デニッシュペストリーなどの層状ベーカリー食品が人気を集めており、店の顔とも言うべき存在になっている。焼き立てのジューシーな口当たり、さっくりと歯切れの良い食感が消費者に好まれていると言える。一方で、コンビニエンスストア、量販店などにおいてもクロワッサン、パイ、デニッシュペストリーが販売されているが、配送に時間がかかるなどの問題により焼き立てを販売することは困難で、ジューシーな口当たり、さっくり歯切れの良い食感を長時間にわたり維持できる技術が強く望まれている。
通常クロワッサン、パイ、デニッシュペストリーなどの層状ベーカリー食品を製造する際ロールイン用油脂組成物が使用されるが、使用する油脂組成物により層状ベーカリー食品の形状、風味が決まってしまうという位、重要な役割を担っている。オープンフレッシュベーカリーでは手作業にて製造されることが多く、生地を捏ね上げ、ロールイン用油脂組成物を折り込み、ホイロで発酵させ、オーブンで焼き上げる。手作業が主体となる為、使用する油脂組成物の物性に合わせて適切な温度調節を施して折り込み作業を行なったり、ホイロにおける発酵の時間、温度管理など適宜調節することができる。例えばバターなど温度による硬さの変化の大きい油脂組成物を使用した場合でも折り込み作業を適切に行うことができ、またホイロにおいてもバターの融解しない30℃付近で長時間発酵させることもでき、油脂組成物の品質に制限される場面が少ないといえる。
それに対し、コンビニエンスストア、量販店などで販売される場合は当然の事ながら大量生産となり、その為連続ラインなどの設備により生産されている。折り込み作業は自動で行なわれ、ホイロでは効率を上げるため36〜40℃程度で発酵が行なわれているのが現状である。その為、ロールイン用油脂組成物は幅広い温度帯で硬さの変化が少なく伸展性に優れ、ホイロで融け出さない品質が望ましいとされており、バターのような作業温度域が狭い油脂組成物は実質的に使用することは難しい。
このような問題を克服する為、ロールイン用油脂組成物の油相に高融点脂を配合し、幅広い温度帯で硬さの変化が少なく展延性に優れ、且つホイロで融け出さないようにする方法が一般的に知られているが、これらを使用して得られるクロワッサン、パイ、デニッシュペストリーはジューシー感に乏しくなってしまう問題がある。オープンフレッシュベーカリーで販売されているような焼き立てのものは焼成工程により融解した油脂がほとんど固化していない状態で販売されている為、口の中に液状の油脂が広がりジューシーに感じる。一方、コンビニエンスストア、量販店では配送などに時間がかかるため油脂が固化し易く、上記のとおり高融点脂を配合することにより更に固化が早まってしまいジューシー感が得難くなっている。
上記の問題に対応するべく、連続ラインなどの設備で生産され、配送に時間を要しても、ジューシー感を有する層状ベーカリー食品の提供を可能とする方法として、特許文献1や特許文献2が開示されている。
特許文献1は、乳由来の脂肪、20℃で液状の油脂及びパーム硬化油をそれぞれ特定量含有するロールイン用油中水型乳化組成物に関し、乳由来の脂肪が持つジューシー感を増強するという効果を有する。特許文献2は、特定の乳化剤から選択される結晶調整剤を含有するロールイン用油中水型乳化組成物に関し、結晶調整剤の効果により焼成後の層状ベーカリー食品中の油脂の固化遅延により、層状ベーカリー食品にジューシー感を付与するというものである。
特許文献1及び2の方法は有力なジューシー感付与方法であるが、いずれもトランス脂肪酸含有の硬化油を使用する発明であるため、低トランスタイプでジューシー感を付与するロールイン用油脂組成物も開示されている。
特許文献3は、油相中に液状油を25〜55重量%、及びSOS(2−オレオ、1,3ジステアリン)を6〜33重量%含有し、油相の構成脂肪酸のラウリン酸含量が7重量%以下であることを特徴とする、実質的にトランス脂肪酸を含まないロールイン用乳化油脂組成物を開示する。該油脂組成物は展延性が良好であり、焼成後のクロワッサンにおいてジューシーな食感を発現することが記載されているが、SOSの原料油脂が比較的高価であることと分別工程を必要とすることから製造が煩雑という問題があった。また本方法では、優れたジューシーな食感が得られるが、ロールイン用乳化油脂組成物の展延性が劣る傾向にあった。
特許文献4は、べとつきがなくジューシー感を有し、さらに経日的な食感の変化が少ないベーカリー製品、特に層状ベーカリー製品の提供を可能とする可塑性油脂組成物を開示する。豚脂、パーム中融点部、極度硬化油、液油などの組み合わせによる特定のトリグリセリド組成を有することを特徴とするものであるが、口に入れた瞬間に油性感はないが、歯で噛むことにより、ベーカリー食品より油脂がにじみ出てくる食感であるジューシー感を目指したものであり、高融点油脂を用いることで、ジューシー感が十分に得られない傾向があった。
特許文献5は、乳脂分別低融点部、ラウリン系油脂とパーム系油脂の混合油のエステル交換油、パーム系油脂エステル交換油及び液油からなる特定のトリグリセリド組成を有する層状食品用油脂組成物に関する。比較的口溶けの良い植物性油脂に乳脂分別低融点部を配合することにより、乳脂由来のジューシーな食感を有するものであるが、乳脂分別低融点部が比較的高価であることと分別工程を必要とすることから製造が煩雑という問題があった。また、本発明によるジューシー感も、口に入れた瞬間に油性感はないが、歯で噛むことにより、ベーカリー食品より油脂がにじみ出てくる食感であり、焼き立ての層状ベーカリー製品のジューシー感とは異なるものであった。さらに、パーム系油脂を主体とするため、層状食品用油脂組成物のコシがやや弱い傾向にあった。
再公表2006/11331号公報 特開2012−183080号公報 再公表2007/153902号公報 特開2013−188205号公報 特開2016−82887号公報
本発明は、トランス脂肪酸含量が5重量%未満である低トランスタイプで、コシが強く広い温度域で伸展性に優れ、優れた口溶けを有するロールイン用油脂組成物、該ロールイン用油脂組成物を使用して得られる、焼成1日後に焼き立て同様のジューシーな口当りとさっくりとした歯切れを有する層状ベーカリー食品の提供を課題とする。
上記のように、従来提案されている方法では、ロールイン油脂組成物における層状ベーカリー生地調製時のコシの強さと広い温度域での伸展性、焼成1日後でも焼き立てのようなジューシーな口当りの両方を満足し得る低トランスタイプのロールイン用油脂組成物が得られていなかった。
本発明者は、上記課題を解決するロールイン用油脂組成物を鋭意検討した結果、全構成脂肪酸組成のラウリン酸含量、パルミチン酸含量及びステアリン酸含量を特定の割合としたランダムエステル交換油と液状油を特定比率で含有するロールイン用油脂組成物が優れたコシと進展性を有し、該ロールイン用油脂組成物、該ロールイン用油脂組成物を用いて焼成した層状ベーカリーが焼成1日後の焼き立て同様のジューシーな口当りと優れた歯切れを有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)油相中に、全構成脂肪酸に対し、ラウリン酸含量が5〜25重量%、パルミチン酸含量が5〜25重量%及びステアリン酸含量が10〜35重量%であり、ステアリン酸/パルミチン酸の重量比率が0.5〜7であるエステル交換油脂を45〜95重量%、液状油5〜25重量%及び上昇融点45℃を超える高融点油脂1重量%未満を含有することを特徴とするロールイン用油脂組成物。
(2)油相中に、上昇融点45℃を超える高融点油脂を含有しない(1)記載のロールイン用油脂組成物。
(3)油相中の油脂の上昇融点が30〜40℃であり、20℃SFCが20〜45%、35℃SFCが10%以下である(1)記載のロールイン用油脂組成物。
(4)油相中の油脂の上昇融点が30〜40℃であり、20℃SFCが20〜45%、35℃SFCが10%以下である(2)記載のロールイン用油脂組成物。

(5)油脂含量が50〜100重量%である(1)記載のロールイン用油脂組成物。
(6)油脂含量が50〜100重量%である(2)記載のロールイン用油脂組成物。
(7)油脂含量が50〜100重量%である(3)記載のロールイン用油脂組成物。
(8)油脂含量が50〜100重量%である(4)記載のロールイン用油脂組成物。
(9)(5)記載のロールイン用油脂組成物を用いた層状ベーカリー食品。
(10)(6)記載のロールイン用油脂組成物を用いた層状ベーカリー食品。
(11)(7)記載のロールイン用油脂組成物を用いた層状ベーカリー食品。
(12)(8)記載のロールイン用油脂組成物を用いた層状ベーカリー食品。
である。
本発明により、トランス脂肪酸含量が5重量%未満である低トランスタイプで、コシが強く広い温度域で伸展性に優れ、優れた口溶けを有するロールイン用油脂組成物の提供、及び該ロールイン用油脂組成物を使用して得られる、焼成1日後に焼き立て同様のジューシーな口当りとさっくりとした歯切れを有する層状ベーカリー食品の提供が可能となった。
本発明のロールイン用油脂組成物は、油相中に、全構成脂肪酸に対し、ラウリン酸含量が5〜25重量%、パルミチン酸含量が5〜25重量%及びステアリン酸含量が10〜35重量%であり、ステアリン酸/パルミチン酸の重量比率が0.5〜7であるエステル交換油脂を45〜95重量%、より好ましくは50〜90重量%、液状油を5〜25重量%、より好ましくは10〜25重量%、及び上昇融点45℃を超える高融点油脂1重量%未満を含有するものである。
前記エステル交換油脂の含有量が45重量%未満であると、ロールイン用油脂組成物のコシが弱くなる傾向にある。逆に、95重量%を超えると、ロールイン用油脂組成物を使用して得られた層状ベーカリー食品の焼成1日後のジューシー感が低下する傾向にある。液状油の含有量が5重量%未満であると、同様にロールイン用油脂組成物を使用して得られた層状ベーカリー食品の焼成1日後のジューシー感が低下する傾向にある。また、液状油の含有量が25重量%を超えると、ロールイン用油脂組成物のコシが弱くなる傾向にある。なお、本発明においては、ロールイン用油脂組成物の油相中に一般的に配合される、上昇融点45℃を超える高融点油脂の含有量は1重量%未満であり、より好ましくは全く含有しないのが望ましい。かかる高融点油脂を配合すると、ロールイン用油脂組成物の口溶けが低下するとともに、ロールイン用油脂組成物を使用して得られた層状ベーカリー食品の焼成1日後のジューシー感の発現も阻害される傾向にある。
前記エステル交換油脂中のラウリン酸含量は、より好ましくは10〜20重量%であり、パルミチン酸含量はより好ましくは5〜20重量%である。また、ステアリン酸含量はより好ましくは15〜35重量%である。St/P比は、より好ましくは0.8〜5、最も好ましくは1〜3である。
上記のラウリン酸含量が5重量%より少ないと、ロールイン用油脂組成物の口溶けが低下する傾向にあり、最終製品の層状ベーカリーの口溶けも重くなる傾向にある。逆に、25重量%を超えると、ロールイン用油脂組成物が低温で硬くなる傾向にあり、ロールイン用油脂組成物のコシが弱くなるとともに広い温度域、例えば5〜25℃での伸展性が低下する傾向にあり、好ましくない。
上記のパルミチン酸含量が5重量%より少ないと、ロールイン用油脂組成物の口溶けがやはり低下する傾向にあり、最終製品の層状ベーカリーの口溶けも重くなる傾向にある。逆に、25重量%を超えると、ロールイン用油脂組成物が低温でやや硬くなる傾向にあり、ロールイン用油脂組成物のコシが弱くなるとともに広い温度域、例えば5〜25℃での伸展性が低下する傾向にある。
上記のステアリン酸含量が10重量%より少ないと、ロールイン用油脂組成物の口溶けは良くなる傾向であるが、ロールイン用油脂組成物が低温で硬くなる傾向にあり、ロールイン用油脂組成物のコシが弱くなるとともに広い温度域、例えば5〜25℃での伸展性が低下するため、好ましくない。逆に、35重量%を超えると、ロールイン用油脂組成物の口溶けがやはり低下する傾向にあり、最終製品の層状ベーカリーの口溶けも重くなる傾向にある。
上記のステアリン酸/パルミチン酸の重量比率が0.5未満であると、ロールイン用油脂組成物の口溶けは良くなる傾向であるが、ロールイン用油脂組成物が低温で硬くなる傾向にあり、ロールイン用油脂組成物のコシが弱くなるとともに広い温度域、例えば5〜25℃での伸展性が低下するため、好ましくない。逆に、7を超えると、ロールイン用油脂組成物の口溶けがやはり低下する傾向にあり、最終製品の層状ベーカリーの口溶けも重くなる傾向にある。
本発明のロールイン用油脂組成物に用いる液状油とは、冷蔵温度〜常温で液状を呈する油脂であれば特に限定されないが、菜種油、大豆油、コーン油、ひまわり油、米糠油、綿実油、サフラワー油、パームスーパーオレインなどから選択される1種または2種以上を用いることができる。
本発明のロールイン用油脂組成物油相中に1重量%未満または全く含有しないのが好ましい。上昇融点45℃を超える高融点油脂とは、ラウリン系油脂、パーム系油脂、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂、これらの油脂の分別油、エステル交換油脂、水素添加油脂から選択される油脂の1種または2種以上の上昇融点45℃を超える油脂である。
本発明のロールイン用油脂組成物は、上昇融点が30〜40℃であり、20℃SFCが20〜45%、35℃SFCが10%以下であるのが好ましい。上昇融点は、さらに好ましくは32〜38℃である。また、SFCは、さらに好ましくは20℃で25〜40%、35℃で9%以下である。
上昇融点が30℃未満であると、20〜25℃のような温度域での伸展性が低下する傾向にあり、40℃を超えるとロールイン用油脂組成物の口溶けが低下する傾向にあり、最終製品の層状ベーカリーの口溶けも重くなる傾向にある。また、20℃SFCが20%未満であると、20〜25℃のような温度域での伸展性が低下する傾向にあり、45%を超えると5〜10℃のような低温での伸展性が低下する傾向にある。35℃SFCが10%を超えると、ロールイン用油脂組成物の口溶けが低下する傾向にあり、最終製品の層状ベーカリーの口溶けも重くなる傾向にある。
本発明のエステル交換油脂は、例えば下記の油脂原料を配合し、その後エステル交換することによって得ることができる。ラウリン酸源としてラウリン系油脂を10〜50重量%、パルミチン酸源としてパーム系油脂を0〜75重量%、ステアリン酸源として、液状油脂の極度硬化油やステアリン酸に富む天然油脂を10〜30重量%、エステル交換油脂の上昇融点及びSFCを調整するために必要に応じて不飽和脂肪酸に富む液状油脂や炭素数20〜24の飽和脂肪酸に富む油脂の適量を混合し、エステル交換に供すればよい。
ラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油、ババス油及びこれらの分別油、水素添加油、エステル交換油から選択される1種または2種以上を用いることができ、水素添加油の場合は極度硬化油であるのが好ましい。
パーム系油脂としては、パーム油及びパームオレイン、スーパーパームオレイン、パーム中融点部、パームステアリンなどのパーム分別油、これらの水素添加油、エステル交換油から選択される1種または2種以上を用いることができ、水素添加油の場合は極度硬化油であるのが好ましい。
液状油脂の極度硬化油としては、菜種油、大豆油、コーン油、ひまわり油、米糠油、綿実油、サフラワー油などの炭素数18の不飽和脂肪酸に富む油脂の極度硬化油から選択される1種または2種以上を用いることができる。ステアリン酸に富む天然油脂としては、シア脂、サル脂、コクム脂、マンゴ脂、アランブラッキア脂およびこれらの分別油や水素添加油、エステル交換油から選択される1種または2種以上を用いることができ、水素添加油の場合は極度硬化油であるのが好ましい。
不飽和脂肪酸に富む液状油脂としては、菜種油、大豆油、コーン油、ひまわり油、米糠油、綿実油、サフラワー油などから選択される1種または2種以上を用いることができる。炭素数20〜24の飽和脂肪酸に富む油脂としては、高エルシン酸菜種油や魚油の極度硬化油などが例示できる。
上記のエステル交換の反応は、ナトリウムメチラートなどの化学的触媒による方法でも、リパーゼなどの酵素による方法でもよく、また、非選択的なランダム化反応であっても、位置特異性のある選択的なエステル交換反応であってもよいが、非選択的なランダム化反応であるのが好ましい。
本発明のロールイン用油脂組成物の油脂含量は、50〜100重量%であり、より好ましくは70〜90重量%、最も好ましくは80〜87重量%である。油脂含量が50重量%未満であると、本発明のロールイン用油脂組成物のコシが弱くなるとともに広い温度域、例えば5〜25℃での伸展性が低下する傾向にある。
本発明のロールイン用油脂組成物の油相には、上記エステル交換油脂と液状油以外に、コシの強さとロールイン用油脂組成物を使用して得られた層状ベーカリー食品の焼成1日後のジューシー感を阻害しない範囲で、前記ラウリン系油脂、前記パーム系油脂、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂、これらの油脂の分別油、エステル交換油脂から選択される油脂の1種または2種以上に由来する、融点22〜45℃の中融点油脂を配合することができる。また、中融点油脂として乳脂肪若しくはバターを配合することもできる。乳脂肪若しくはバターの配合により、バター風味が増強されたジューシー感を得ることができる。
本発明のロールイン用油脂組成物は、水相を含むマーガリンタイプでも、水相を含まないショートニングタイプでも構わないが、水相を含むマーガリンタイプであるのが好ましい。マーガリンタイプとしては、油中水型、水中油型、二重乳化型のいずれでもよいが、油中水型であるのが好ましい。
本発明のロールイン用油脂組成物には、必要に応じて乳化剤を添加しても良い。乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、シュガーエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよび酢酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド等各種有機酸モノグリセリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明ロールイン用油脂組成物には、上記の油脂、添加物の他に、所望により、色素、抗酸化剤、香料などの油溶性成分、有機酸、食塩、糖類、粉乳、発酵乳などの水溶性成分を使用することができる。
本発明のロールイン用油脂組成物の製造方法については特に限定されないが、常法通り油相と水相とを予備乳化した後、パーフェクター、ボテーター、コンビネーターなどで急冷捏和することにより製造することができる。油相は、融解した油脂に必要に応じて色素、抗酸化剤、香料等の油溶性成分を添加、溶解/分散させ調製することができる。水相は水又は温水に水溶性の乳成分、必要に応じて食塩、糖類、無機塩類等を添加、溶解/分散させ調製することができる。
本発明の層状ベーカリー食品は、小麦粉を主原料とし水、塩などを加えて混捏し得られる小麦粉生地(ドウ)を薄く延ばし、これに本発明のロールイン用油脂組成物を載せて折りたたみ、再び薄く延ばすことを繰り返して層状生地を作り、必要に応じ発酵、成形、焼成することにより得ることが出来る。このようにして得られる層状ベーカリー食品の具体例としてはデニッシュペストリー、クロワッサン、パイ等が例示できる。特に、本発明のデニッシュペストリー、クロワッサンにおいては、焼成して15〜25℃のような常温に1日放置後に、焼き立て同様のジューシーな口当りと歯切れの良い食感を維持できるという利点がある。
以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中%及び部はいずれも断りのない限り重量基準を意味する。なお、油脂の脂肪酸組成、上昇融点及びSFCは下記の方法で測定したものである。
脂肪酸組成:日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.4.1.2メチルエステル化法(三フッ化ホウ素メタノール法)に規定の方法に準じて測定した。
上昇融点:日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.2.4.2(上昇融点)に規定の方法に準じて測定した。
SFC:IUPAC.2 150 SOLID CONTENT DETERMINATION IN FATS BY NMRに準じて測定した。
(エステル交換油脂の調製)
試作例1
パーム油分別低融点部(沃素価67)44部、パーム核油分別低融点部(沃素価26)40部及び菜種極度硬化油(沃素価1.2)16部を混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、その後、常法通り脱色、脱臭を行い、精製油としてエステル交換油脂1を得た。得られた油脂1の組成を表1に示した。
試作例2
パーム油分別低融点部(沃素価67)25部、パーム核油分別低融点部(沃素価26)40部、菜種極度硬化油(沃素価1.2)23部及び菜種油12部を混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、その後、常法通り脱色、脱臭を行い、精製油としてエステル交換油脂2を得た。得られた油脂2の組成を表1に示した。
試作例3
パーム核油分別低融点部(沃素価26)40部、菜種極度硬化油(沃素価1.2)30部及び菜種油30部を混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、その後、常法通り脱色、脱臭を行い、精製油としてエステル交換油脂3を得た。得られた油脂3の組成を表1に示した。
試作例4
パーム油(沃素価52)50部、パーム核油分別低融点部(沃素価26)40部及びパーム分別高融点部(沃素価42)10部を混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、その後、常法通り脱色、脱臭を行い、精製油としてエステル交換油脂4を得た。得られた油脂4の組成を表1に示した。
試作例5
パーム油(沃素価52)55部、パーム核油分別低融点部(沃素価26)40部及び菜種極度硬化油(沃素価1.2)5部を混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、その後、常法通り脱色、脱臭を行い、精製油としてエステル交換油脂5を得た。得られた油脂5の組成を表1に示した。
表1
Figure 0006555451
ロールイン用油脂組成物の調製用として、別に下記の高融点エステル交換油脂を調製した。
試作例6(高融点エステル交換油脂)
パーム油高融点部(沃素価40)60部、パーム油(沃素価52)37部、高エルシン酸菜種極度硬化油(ヨウ素価1.0)3部の混合油脂を、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、その後、常法通り脱色、脱臭を行い、精製油としてエステル交換油脂6得た。油脂6の上昇融点は46℃あった。
また、高融点油脂として、高エルシン酸菜種極度硬化油(ヨウ素価1.0、上昇融点62℃)の精製油を調製した。
(ロールイン用油脂組成物の調製)
実施例1
試作例1で調製した油脂1 82部、菜種油18部のそれぞれの融解油を混合し、ステアリン酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP100、理研ビタミン社製)0.48部及びレシチン0.12を添加して油相とした。水16部に食塩1.0部を添加して水相とした。油相83部と水相17部とを60℃で混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和し、組織良好なロールイン用油脂組成物1を得た。なお、油相の上昇融点は36.0℃であった。
実施例2
実施例1において、油脂1 82部を試作例2で調製した油脂2 82部に置換して、実施例1同様にロールイン用油脂組成物を調製し、ロールイン用油脂組成物2を得た。なお、油相の上昇融点は34.2℃であった。
実施例3
実施例1において、油脂1 82部を試作例3で調製した油脂3 82部に置換して、実施例1同様にロールイン用油脂組成物を調製し、ロールイン用油脂組成物3を得た。なお、油相の上昇融点は31.2℃であった。
比較例1
実施例1において、油脂1 82部を試作例4で調製した油脂4 82部に置換して、実施例1同様にロールイン用油脂組成物を調製し、ロールイン用油脂組成物4を得た。なお、油相の上昇融点は32.2℃であった。
比較例2
実施例1において、油脂1 82部を試作例5で調製した油脂5 82部に置換して、実施例1同様にロールイン用油脂組成物を調製し、ロールイン用油脂組成物5を得た。なお、油相の上昇融点は32.1℃であった。
比較例3
試作例1で調製した油脂1 70部、試作例6で調製した油脂6 20部及び菜種油10部のそれぞれの融解油を混合し、ステアリン酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP100、理研ビタミン社製)0.48部及びレシチン0.12を添加して油相とした。水16部に食塩1.0部を添加して水相とした。油相83部と水相17部とを60℃で混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和し、組織良好なロールイン用油脂組成物6を得た。なお、油相の上昇融点は37.3℃であった。
比較例4
試作例1で調製した油脂1 80部、高エルシン酸菜種極度硬化油2部及び菜種油18部のそれぞれの融解油を混合し、ステアリン酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP100、理研ビタミン社製)0.48部及びレシチン0.12を添加して油相とした。水16部に食塩1.0部を添加して水相とした。油相83部と水相17部とを60℃で混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和し、組織良好なロールイン用油脂組成物7を得た。なお、油相の上昇融点は40.5℃であった。
実施例1〜3、比較例1〜4で調製したロールイン用油脂組成物の油相分析結果を表2に示した。
表2
Figure 0006555451
(層状ベーカリー食品の調製)
実施例1〜3及び比較例1〜4で調製したロールイン用油脂組成物1〜7を用いて、下記の配合でクロワッサンを調製した。
クロワッサン生地配合
強力粉 100重量部
上白糖 8重量部
食塩 1.6重量部
脱脂粉乳 3重量部
全卵 10重量部
モルトシロップ 0.5重量部
練り込み油脂 6重量部
イースト 3重量部
イーストフード 0.1重量部
水 50重量部
ロールイン油脂組成物は、対強力粉として50重量部を使用した。
実施例4〜6、比較例5〜8
上記クロワッサン生地原料を練り上げ、28℃、湿度75%の庫内にて60分間発酵させた後、−18℃のフリーザーで60分間リタードをとった。実施例5〜8及び比較例3〜4のロールイン用油脂組成物をそれぞれ折り込み(対粉50%)、リバースシーターで3つ折りを2回行った後、−7℃のフリーザーで60分間リタードをとり、リバースシーターで3つ折りを1回行った後、−7℃のフリーザーで45分間リタードをとった。続いてリバースシーターで生地厚4mmまで最終展延し、成形した。成形後、32℃、湿度75%の庫内で60分間発酵させた後、庫内温度210℃のオーブンで16分間焼成し、クロワッサン1〜7を得た。
(ロールイン用油脂組成物のコシ及び伸展性の評価)
10℃と20℃の恒温室で温調したロールイン用油脂組成物を生地に包んで折り込み(対粉50%)、リバースシーターで3つ折りを2回行い、ロールイン用油脂組成物の伸展性を下記の基準で評価した。また、最終展延時の生地状態から、ロールイン油脂組成物のコシを下記の基準で評価した。評価結果を表3に示した。いずれも○以上を合格とした。
(10℃温調した際のロールイン(伸展性)評価)
◎:ロールイン用油脂組成物に割れずに端まできれいに油脂が伸びる
○:ロールイン用油脂組成物に割れないが、端に生地が残る。
△:ロールイン用油脂組成物に僅かな割れがみられて、端に生地が残る。
×:ロールイン用油脂が割れ、伸びにくい。
(20℃温調した際のロールイン(伸展性)評価)
◎:ロールイン用油脂は割れずに伸びて、軟化せず生地も縮まない
○:ロールイン用油脂は割れずに伸びるが、やや軟化し、生地が縮む
△:ロールイン用油脂は割れずに伸びるが、軟化し、生地が縮む。
×:ロールイン用油脂の軟化し生地に練り込まれる
(最終展延後の成形後の生地状態(コシの評価)
◎:生地のコシが強く、全く縮まず、成形性もよい。
○:生地にコシがあり、ほとんど縮まず、成形性もよい
△:生地がやや軟らかく、やや縮むため、成形性が劣る。
×:生地が軟らかく、縮むため、成形性が悪い。
(層状ベーカリー食品の評価)
上記で調製したクロワッサン1〜6について、パネラー7名による官能評価を行い、焼成1日後の口溶け、ジューシー感、及び食感(歯切れ、サクサク感)について評価した結果を表3に示した。いずれも○以上を合格とした。
(口溶け)
◎:非常に良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
(ジューシー感)
◎:非常に良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
(食感)
◎:歯切れ、サクサク感とも非常に良好
○:歯切れ、サクサク感とも良好
△:歯切れ、サクサク感にやや乏しい
×:歯切れ、サクサク感が乏しい
表3
Figure 0006555451
表3に示すように、本発明のエステル交換油脂1〜3と菜種油の混合油を油相として使用した実施例1〜3は、10〜20℃で良好な伸展性を有しており、コシに優れたものであった。また、ロールイン用油脂組成物1〜3を用いて、焼成した実施例4〜6は口溶け良好で、ジューシー感、歯切れ、サクサク感とも良好なものであった。St/P比が低いエステル交換油脂4〜5と菜種油の混合油を油相として使用した比較例1〜2は、口溶けとジューシー感は良好であったが、10〜20℃での進展性に乏しく、クロワッサンの歯切れもやや悪いものであった。本発明のエステル交換油脂1と菜種油の混合油に、高融点油脂であるエステル交換油脂6または高エルシン酸菜種極度硬化油を配合した比較例3〜4は、10〜20℃で良好な伸展性を有し、クロワッサンの歯切れは良好であったが、口溶けがやや悪くジューシー感に乏しいものであった。
実施例7
試作例1で調製した油脂1 63部、試作例4で調製した油脂4 5部、菜種油21部及びバターオイル11部のそれぞれの融解油を混合し、ステアリン酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP−100,理研ビタミン社製)0.48部、レシチン0.12部を添加して油相とした。水10部に食塩1部を添加して水相とした。油相89部と水相11部とを60℃で混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和し、組織良好なロールイン用油脂組成物8を得た。なお、油相の上昇融点は35.7℃であった。
実施例8
実施例7の油脂1 63部を、試作例2で調製した油脂2 63部に代えて、実施例7同様にロールイン用油脂組成物9を得た。なお、油相の上昇融点は33.8℃であった。
実施例9
実施例7の油脂1 63部を、試作例3で調製した油脂3 63部に代えて、実施例7同様にロールイン用油脂組成物10を得た。なお、油相の上昇融点は30.3℃であった。
実施例10
試作例1で調製した油脂1 50部、試作例4で調製した油脂4 18部、菜種油21部及びバターオイル11部のそれぞれの融解油を混合し、ステアリン酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP100,理研ビタミン社製)0.48部、レシチン0.12部を添加して油相とした。水10部に食塩1部を添加して水相とした。油相89部と水相11部とを60℃で混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和し、組織良好なロールイン用油脂組成物11を得た。なお、油相の上昇融点は34.8℃であった。
比較例9
試作例1で調製した油脂1 40部、試作例4で調製した油脂4 28部、菜種油21部及びバターオイル11部のそれぞれの融解油を混合し、ステアリン酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP100,理研ビタミン社製)0.48部、レシチン0.12部を添加して油相とした。水10部に食塩1部を添加して水相とした。油相89部と水相11部とを60℃で混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和し、組織良好なロールイン用油脂組成物12を得た。なお、油相の上昇融点は34.2℃であった。
比較例10
試作例1で調製した油脂1 30部、試作例4で調製した油脂4 38部、菜種油21部及びバターオイル11部のそれぞれの融解油を混合し、ステアリン酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP100,理研ビタミン社製)0.48部、レシチン0.12部を添加して油相とした。水10部に食塩1部を添加して水相とした。油相89部と水相11部とを60℃で混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和し、組織良好なロールイン用油脂組成物13を得た。なお、油相の上昇融点は33.8℃であった。
比較例11
試作例1で調製した油脂1 23部、試作例4で調製した油脂4 35部、試作例6で調製した油脂6 7部、菜種油15部及びバターオイル20部のそれぞれの融解油を混合し、ステアリン酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP100,理研ビタミン社製)0.48部、レシチン0.12部を添加して油相とした。水10部に食塩1部を添加して水相とした。油相89部と水相11部とを60℃で混合攪拌し予備乳化させ、コンビネーターにより急冷捏和し、組織良好なロールイン用油脂組成物14を得た。なお、油相の上昇融点は33.9℃であった。
表4に、実施例13、比較例7で調製したロールイン用油脂組成物の油相分析結果を示した。
表4
Figure 0006555451
実施例11〜14、比較例12〜14
実施例4〜6同様に、実施例11〜14及び比較例12〜14で調製したロールイン用油脂組成物8〜14を用いてクロワッサンを調製し、クロワッサン8〜14を得た。ロールイン用油脂組成物8〜14のコシ・伸展性の評価を10℃及び20℃の条件で実施例4〜6同様に行い、またクロワッサン8〜14の評価を実施例4〜6同様に行い、その結果を表5に示した。
表5
Figure 0006555451
表5に示すように、油相中に本発明のエステル交換油脂55〜63重量%及び菜種油11重量%配合した実施例7〜10は、10〜20℃で良好な伸展性を有しており、コシに優れたものであった。また、実施例7〜10のロールイン用油脂組成物を用いて、焼成した実施例11〜14は口溶け良好で、ジューシー感、歯切れ、サクサク感とも良好なものであった。油相中の本発明のエステル交換油脂配合料が30〜40重量%の比較例9〜10では、口溶けとジューシー感は良好であったが、10〜20℃での進展性に乏しく、クロワッサンの歯切れもやや悪いものであった。本発明のエステル交換油脂1、試作例4で調製したエステル交換油脂4と菜種油の混合油に、高融点油脂であるエステル交換油脂6を配合した比較例11は、10〜20℃で良好な伸展性を有していたが、それを用いて焼成した比較例14のクロワッサンの歯切れは良好であったが、口溶けがやや悪くジューシー感に乏しいものであった。
本発明により、トランス脂肪酸含量が5重量%未満である低トランスタイプで、コシが強く広い温度域で伸展性に優れ、優れた口溶けを有するロールイン用油脂組成物の提供、及び該ロールイン用油脂組成物を使用して得られる、焼成1日後に焼き立て同様のジューシーな口当りとさっくりとした歯切れを有する層状ベーカリー食品を提供することができる。

Claims (12)

  1. 油相中に、全構成脂肪酸に対し、ラウリン酸含量が5〜25重量%、パルミチン酸含量が5〜25重量%及びステアリン酸含量が10〜35重量%であり、ステアリン酸/パルミチン酸の重量比率が0.5〜7であるエステル交換油脂を45〜95重量%、液状油5〜25重量%及び上昇融点45℃を超える高融点油脂1重量%未満を含有することを特徴とするロールイン用油脂組成物。
  2. 油相中に、上昇融点45℃を超える高融点油脂を含有しない請求項1記載のロールイン用油脂組成物。
  3. 油相中の油脂の上昇融点が30〜40℃であり、20℃SFCが20〜45%、35℃SFCが10%以下である請求項1記載のロールイン用油脂組成物。
  4. 油相中の油脂の上昇融点が30〜40℃であり、20℃SFCが20〜45%、35℃SFCが10%以下である請求項2記載のロールイン用油脂組成物。
  5. 油脂含量が50〜100重量%である請求項1記載のロールイン用油脂組成物。
  6. 油脂含量が50〜100重量%である請求項2記載のロールイン用油脂組成物。
  7. 油脂含量が50〜100重量%である請求項3記載のロールイン用油脂組成物。
  8. 油脂含量が50〜100重量%である請求項4記載のロールイン用油脂組成物。
  9. 請求項5記載のロールイン用油脂組成物を用いた層状ベーカリー食品。
  10. 請求項6記載のロールイン用油脂組成物を用いた層状ベーカリー食品。
  11. 請求項7記載のロールイン用油脂組成物を用いた層状ベーカリー食品。
  12. 請求項8記載のロールイン用油脂組成物を用いた層状ベーカリー食品。
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