JP2003210107A - 製パン練り込み用油脂組成物 - Google Patents
製パン練り込み用油脂組成物Info
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Abstract
れの良いパンを提供することができる製パン練り込み用
油脂組成物を提供すること。さらに、可塑性範囲が広
く、経日的にも硬さが変化せず安定である製パン練り込
み用油脂組成物を提供すること。 【解決手段】 S1US2(S1及びS2は飽和脂肪酸、U
は不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリドとU
S3U(S3は飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表
されるトリグリセリドとからなるコンパウンド結晶を含
有することを特徴とする製パン練り込み用油脂組成物。
Description
が良く、且つソフトで歯切れの良いパンを提供すること
ができる製パン練り込み用油脂組成物に関する。
可塑性油脂に使用される油脂は“マーガリン ショート
ニング ラード“ (P324中澤君敏著:株式会社光琳発
行)に記載の『マーガリン、ショートニングは常温で結
晶性脂肪をもつ可塑性物質と定義されるが、そのためそ
の物理性は主に稠度、可塑性及び結晶構造に関連する。
物理的にその結晶状態はAlfaは蝋状(アセトグリセリド
の如き)、Betaは粗結晶、そしてBeta-primeは微粒状で
ある。融点ではAlfa、Beta-prime、Betaの順に高くな
る。マーガリン、ショートニング組成の望ましい結晶状
態はBeta-primeといわれている。』の通り、その結晶状
態はβプライム型のものが良好とされ、用いられてき
た。
乳化安定性に寄与し、良好な稠度を示す。反面このβプ
ライム型結晶はエネルギー的には準安定形であるため、
保存条件等が適切でない場合等には、更にエネルギー的
に安定なβ型結晶へと転移現象を引き起こすという欠点
があった。このβ型結晶は最安定形であるため、これ以
上の転移現象を起こすことはないが、一般に結晶サイズ
が大きく、グレイニングやブルームと呼ばれる粗大結晶
粒を形成し、ザラつきや触感の悪さを呈し、製品価値の
全くないものになってしまう。
も、結晶サイズの比較的小さなものも知られている。例
えば、カカオ脂のV型結晶がこれに相当し、実質はSO
S、POS等の対称型トリグリセリドのβ2型結晶であ
る。しかしながら、これらの結晶サイズの比較的小さな
β型結晶を得るには、テンパリングと呼ばれる特殊な熱
処理工程を経る必要があったり、所定温度まで冷却した
後、結晶核となる特定成分を加える等、極めて煩雑な工
程を要するものであった。結果として通常の製パン練り
込み用油脂組成物を製造するような急冷可塑化工程で
は、当該結晶は得られないのが実状である。また、カカ
オ脂のV型結晶は可塑性に乏しいものである。
え経日的に硬くなる傾向があり、結晶の析出方法や保存
方法等を細かく管理しなければならなかった。
ルギー的にも安定で且つ微細な結晶を得る目的で、これ
迄にも種々の発明がなされてきた。特許文献1には特定
のトリグリセリド比率とすることにより、β型結晶を得
る方法が開示されている。また、特許文献2ではエステ
ル交換反応により油脂のグレイニングを抑制する方法
が、そして特許文献3には高融点油脂を配合することに
より微細な結晶を維持させる方法がそれぞれ開示されて
いる。さらに特許文献4では構成脂肪酸として炭素数1
6〜22の飽和脂肪酸をグリセリンの2位に、炭素数1
6〜18で一つの不飽和結合を有する不飽和脂肪酸をグ
リセリンの1、3位に結合した混酸型トリグリセリドを
含有する方法が開示されている。
得るのにテンパリング操作が必要とされ、特許文献2及
び特許文献3の方法では、得られた組成物は経日的に硬
くなる傾向があり、製パン練り込み用油脂組成物として
安定性の点で十分に満足の得られるものではなかった。
また、特許文献4の方法はカカオ代用脂及びこれを含有
する油脂性菓子用途に限定されたものであった。
ることができる従来の製パン技術としては、パンの老化
防止を目的とし、酵素や乳化剤等の添加物を利用した発
明が多数見受けられる。
と酵素を含有する澱粉質食品の老化防止剤が開示されて
いる。しかし、この澱粉質食品の老化防止剤を用いたパ
ンは、パン生地がベトつきやすく、ハンドリング性が悪
くなる傾向があり、パンの焼成中・焼成後にケービング
が起こりやすい傾向があり、パンを食べた時に口の中で
団子状態になり 口溶けが悪化する等の問題点があっ
た。また、酵素のハンドリングが難しかった。
は、製パン時の作業性が良く、且つソフトで歯切れの良
いパンを提供することができる製パン練り込み用油脂組
成物を提供することにある。さらに、可塑性範囲が広
く、経日的にも硬さが変化せず安定である製パン練り込
み用油脂組成物を提供することにある。
及びS2は飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表さ
れるトリグリセリドとUS3U(S3は飽和脂肪酸、Uは
不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリドとから
なるコンパウンド結晶を含有することを特徴とする製パ
ン練り込み用油脂組成物により、上記の目的を達成した
ものである。
油脂組成物について詳細に説明する。本発明の製パン練
り込み用油脂組成物は、S1US2(S1及びS2は飽和脂
肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセ
リド(以下とS1US2とする)と、US3U(S3は飽和
脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリ
セリド(以下とUS3Uとする)とからなるコンパウン
ド結晶を含有する。
UのS3は、飽和脂肪酸を示し、カプロン酸、カプリル
酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等が挙
げられるが、好ましくは炭素数16以上の飽和脂肪酸と
し、さらに好ましくは、パルミチン酸、 ステアリン酸、
アラキジン酸、ベヘニン酸とする。また、本発明におい
て、上記のS1 、S2 及びS3 が、同じ飽和脂肪酸であ
るのが最も好ましい。
は、好ましくは炭素数16以上のモノ不飽和脂肪酸、さ
らに好ましくは炭素数18以上のモノ不飽和脂肪酸、最
も好ましくはオレイン酸である。
からなるコンパウンド結晶とは、構造の異なるS1 US
2 1分子とUS3 U1分子とが混合された際、あたかも
単一のトリグリセリド分子であるかの如き結晶化挙動を
示すものである。コンパウンド結晶は分子間化合物とも
呼ばれる。このコンパウンド結晶は、トリグリセリド分
子のパッキング状態が2鎖長構造をとることが知られて
いる。
ルギー的に不安定なα型結晶から、準安定形のβプライ
ム型結晶を経由せず、最安定形のβ型結晶に直接転移し
たものである。つまり、上記のコンパウンド結晶は、S
1US2とUS3Uを混合溶解した後、冷却し、結晶化す
ることにより、最安定形のβ型結晶で、且つトリグリセ
リド分子のパッキング状態が2鎖長構造を示す結晶とし
て析出する。この際、上記の結晶化条件は如何なる結晶
化条件であってもよく、テンパリング等の特殊な熱処理
を必要としない。
して得られる油脂結晶についてX線回析で結晶型を測定
した結果、該油脂結晶がβ型の2鎖長構造をとるもので
あるのが好ましい。
を70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、好
ましくは5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶、
さらに好ましくは5℃で4日間保持した際に得られる油
脂結晶、一層好ましくは5℃で1日間保持した際に得ら
れる油脂結晶、最も好ましくは5℃で30分間保持した
際に得られる油脂結晶が、X線回析で結晶型を測定した
結果、β型の2鎖長構造をとるものであるのが好まし
い。
あることを確認する方法としては、例えばX線回折測定
による方法が挙げられる。X線回折測定においては、上
記の油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度
の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面
間隔に対応する強い回折ピークを示した場合に、該油脂
結晶はβ型結晶であると判断する。一方、上記の油脂結
晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定
し、40〜50オングストロームに相当する回折ピーク
を示した場合に、2鎖長構造をとっていると判断する。
短面間隔を測定すると、油脂結晶がβ型結晶であるかど
うかの判断がさらに高い精度で可能となる。具体的に
は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、
4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範
囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)と、
4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範
囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)とをと
り、ピーク強度1/ピーク強度2の比が、1.3以上、
好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最
も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶である
と判断する。
記のコンパウンド結晶を含有するかどうか確認をする一
例としては、該製パン練り込み用油脂組成物を70℃で
完全溶解した後、0℃で30分間保持し、そして5℃で
30分間保持して得られた油脂結晶について、上述した
方法によりX線回折で結晶型を測定した結果、β型の2
鎖長構造をとるものは、上記のコンパウンド結晶を含有
していると言える。
は、S1 US2 とUS3 Uとからなるコンパウンド結晶
を含有することが必要であり、S1 US2 とUS3 Uと
からなるコンパウンド結晶を含有しないと、製パン練り
込み用油脂組成物としてパンに用いた場合、パンがぱさ
ついたり、食感が硬くなるので好ましくない。
Uとからなるコンパウンド結晶が実質的に微細結晶であ
ることが好ましい。
微細であることであり、口にしたり、触った際にもザラ
つきを感ずることのない結晶であることを意味し、好ま
しくは20μm以下、さらに好ましくは10μm、最も
好ましくは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記
サイズとは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
結晶のサイズが20μmを超えた油脂結晶を用いた場
合、口にしたり、触った際にザラつきを感じやすく、ま
た製パン練り込み用油脂組成物としてパンに用いた場
合、パン生地成形時にグルテンを傷めやすく、ボリュー
ムのあるパンが得られにくい。
US3 Uとからなるコンパウンド結晶が実質的に微細結
晶であることが好ましい。この「実質的に」とは、全て
のS 1 US2 とUS3 Uとからなるコンパウンド結晶の
うち、微細結晶を好ましくは90重量%以上、さらに好
ましくは95重量%以上、最も好ましくは99重量%以
上含有することを指す。
らなるコンパウンド結晶は、S1 US2 で表されるトリ
グリセリドやS1 US2を含有する油脂と、US3 Uで
表されるトリグリセリドやUS3 Uを含有する油脂を用
いて製造できる。
然に存在するS1 US2 やUS3 Uでも構わないし、又
は分別により純度を上げたものでも構わない。さらに、
トリ飽和トリグリセリド(SSS)とトリ不飽和トリグ
リセリド(UUU)、又はトリ不飽和トリグリセリド
(UUU)と飽和脂肪酸とをエステル交換し(酵素によ
る選択的エステル交換が好ましい)、さらに蒸留や分別
によりS1 US2 とUS 3 Uの純度を上げたもの等、ど
のような方法によって得られたものでも構わない。
例えば、パーム油、カカオバター、シア脂、マンゴー核
油、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、デュパー脂、モー
ラー脂、フルクラ脂、チャイニーズタロー等の各種植物
油脂、これらの各種植物油脂を分別した加工油脂、並び
に下記のエステル交換油、該エステル交換油を分別した
加工油脂を用いることができる。本発明では、これらの
中から選ばれた1種又は2種以上を用いる。
油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実
油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー
油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴ
ー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植
物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添
加及び/又は分別して得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪
酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交
換油が挙げられる。
を含有する油脂としては、例えば、豚脂、豚脂分別油、
下記のエステル交換油を用いることができ、本発明では
これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いる。
油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実
油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー
油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴ
ー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植
物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添
加、分別して得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級ア
ルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙
げられる。
上記のS1 US2 とUS3 Uとからなるコンパウンド結
晶を必須成分とするものである。そして、上記のコンパ
ウンド結晶の含有量は、本発明の製パン練り込み用油脂
組成物中、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは
20重量%以上、最も好ましくは40重量%以上であ
る。
は、本発明の製パン練り込み用油脂組成物の全油脂分
中、好ましくは2.5重量%以上、さらに好ましくは1
0重量%以上、最も好ましく20〜50重量%とする。
上記のUS3 Uを含有する油脂の含有量は、本発明の製
パン練り込み用油脂組成物の全油脂分中、好ましくは
2.5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、
最も好ましくは20〜50重量%とする。
成物においては、US3Uで表されるトリグリセリドの
モル数とS1US2で表されるトリグリセリドのモル数と
の比(US3U/S1US2)が、好ましくは0.4〜
2.5、さらに好ましくは0.6〜1.5、最も好まし
くは0.8〜1.2となるようにする。
物では、S1 US2 及びUS3 U以外のトリグリセリド
や、S1 US2 及びUS3 Uを含有しない油脂を添加し
ても良い。S1 US2 及びUS3 U以外のトリグリセリ
ドや、S1 US2 及びUS3Uを含有しない油脂を添加
する場合、これらの添加量は、製パン練り込み用油脂組
成物の全油脂分中、好ましくは95重量%以下、さらに
好ましくは80重量%以下、最も好ましくは60重量%
以下とする。
さらに高融点油脂を含有することが好ましい。高融点油
脂を配合することにより、本発明の製パン練り込み用油
脂組成物の耐熱保型性を向上させ、パン製造におけるホ
イロ時の生地の伸びを向上させる。
0℃以上、さらに好ましくは50℃以上、最も好ましく
は55℃以上80℃以下である。融点が40℃未満の油
脂では、ホイロ時の生地の伸びが充分に得られにくい。
ン練り込み用油脂組成物の全油脂分中、好ましくは30
重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、最も好
ましくは5重量%以下とする。上記の高融点油脂の製パ
ン練り込み用油脂組成物の全油脂分中の含有量が、30
重量%を越えると口溶けが悪化しやすい。
ばパーム油、カカオバター、或いはパーム核油、ヤシ
油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ
油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚
脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚
油、鯨油等の各種動植物油脂を水素添加、分別並びにエ
ステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した
加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用
いて製造したエステル交換油が挙げられる。
成物において、上記の高融点油脂が必要でなければ、上
記の高融点油脂を用いなくてもよい。
いては、配合油のSFCが好ましくは10℃で20〜6
0%、20℃で10〜40%、さらに好ましくは10℃
で20〜50%、20℃で10〜20%となるように調
整するのがよい。SFCが10℃で20%未満、又は2
0℃で10%未満であると、本発明の製パン練り込み用
油脂組成物が軟らかいため、製パン練り込み用油脂組成
物として良好な製パン性が得られにくい。一方、SFC
が10℃で60%を超える、又は20℃で40%を超え
ると、製パン練り込み用油脂組成物が練り込み用として
硬すぎて使用しにくい。
る。即ち、配合油を60℃に30分保持し、油脂を完全
に融解し、そして0℃に30分保持して固化させる。さ
らに25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その
後、0℃に30分保持する。これをSFCの各測定温度
に30分保持後、SFCを測定する。
物は、さらに酵素を含有することにより、生地のハンド
リングが良好で、且つ、よりボリュームが大きく、より
ソフトなパンを得ることが出来る。
本発明の製パン練り込み用油脂組成物中、好ましくは0
〜3重量%、さらに好ましくは0〜1重量%である。上
記の酵素の製パン練り込み用油脂組成物中の含有量が、
3重量%を越えると生地のハンドリングが悪化し、さら
に、ケービングを起こしたり、パンを食べた時に口の中
で団子状態になって口溶けが悪化する等の問題が生じる
おそれがある。
ゼ、プロテアーゼ、アミログルコシダーゼ、プルラナー
ゼ、ペントサナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、ホスフォ
リパーゼ、カタラーゼ、リポキシゲナーゼ、リポキシナ
ーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、スルフィドリルオ
キシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、グルコースオキ
シダーゼ等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又
は2種以上を用いることができる。
有させることができるその他の成分としては、例えば、
水、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味
剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アル
コール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−
カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、アスコルビ
ン酸、臭素酸カリウム等の酸化剤、トコフェロール、茶
抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植
物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味
料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果
汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、
ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等
の食品素材や食品添加物が挙げられる。
ステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン
有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステ
アロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン
類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種
以上を用いることができる。上記乳化剤の配合量は、特
に制限はないが、本発明の製パン練り込み用油脂組成物
中、好ましくは0〜3重量%、さらに好ましくは0〜1
重量%である。
ーカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、ア
ルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タ
マリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セル
ロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉
等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以
上を用いることができる。上記増粘安定剤の配合量は、
特に制限はないが、本発明の製パン練り込み用油脂組成
物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0
〜5重量%である。
物の製造方法を説明する。本発明の製パン練り込み用油
脂組成物は、S1US2を含有する油脂とUS3U含有す
る油脂を混合溶解した後、冷却し、結晶化させることに
より製造される。
組成物の製造方法においては、S1US2を含有する油脂
とUS3Uを含有する油脂を混合溶解した油相に、必要
により水相を混合乳化する。そして、次に殺菌処理する
のが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、
プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続
式でも構わない。次に、冷却し、必要により可塑化す
る。本発明において、冷却条件は好ましくは−0.5℃
/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上とする。こ
の際、徐冷却より急速冷却の方が好ましいが、本発明で
は徐冷却であっても、微細なβ型結晶をとり、可塑性範
囲が広く、経日的にも硬さが変化せず安定した製パン練
り込み用油脂組成物を得ることができる。冷却する機器
としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテー
ター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン
製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放
型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が
挙げられる。
物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等
を含気させても、させなくても構わない。
成物は、マーガリンタイプでもショートニングタイプで
もどちらでもよく、またその乳化形態は、油中水型、水
中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。
組成物は、山形パン、角パン、コッペパン、ロールパ
ン、直捏法パン、中種法パン、速成法パン、老麺法パ
ン、直焼きパン、多糖パン、多油脂パン、多層パン、サ
ンドウィッチパン、各種サンドパン、トースト用パン、
型焼パン、高周波パン、袋焼きパン、菓子パン、二度焼
きパン、冷凍パン、ストレートパン、スポンヂパン、連
続パン、スイートロール、デニッシュペストリー、バン
ズ、ブリオッシュ、マフィン、ベイグル、異種穀粉入り
パン、スコーン、イングリッシュマフィン、ドーナツ、
ピザ、蒸しパン、ワッフル等のパン生地に用いることが
できる。
いたパン生地は、もちろん冷凍保存することも可能であ
る。冷凍する段階は、生地だま冷凍、板生地冷凍、成型
品冷凍、あるいは半発酵冷凍、ホイロ済み冷凍のいずれ
でも可能である。本発明のパン生地は、微細な結晶の油
脂を使用しているため生地製造時のグルテンの痛みが少
ないので、解凍後の成型時やホイロ時の生地のダレや、
焼成時のボリューム不足、あるいは梨肌の発生等の冷凍
障害が抑制される。
物は、従来の製パン練り込み用油脂組成物と同様にして
用いられ、その使用量はパンの種類によっても異なる
が、パン生地中、通常2〜25重量%、好ましくは4〜
20重量%である。
ベーキング(焼成、フライ、蒸し等)することにより得
られるものである。
するが、本発明は、これらの実施例により何等制限され
るものではない。また、St:ステアリン酸、O:オレ
イン酸、P:パルミチン酸、S:飽和脂肪酸、U:不飽
和脂肪酸を示す。
おいては、得られた製パン練り込み用油脂組成物を用い
て下記に示す配合1及び製法1によりパンを製造し、下
記評価方法及び評価基準により得られたパンの評価を行
った。
ングをし、製パン練り込み用油脂組成物を添加し、M4
H4にてミキシングをする。 捏上温度(本捏) 27℃ フロアタイム(本捏) 25℃、15分 分割重量 380g ベンチタイム 14分 成形 ワンローフ型 ホイロ条件 38℃、50分 焼成条件 200℃、25分
評価を行った。 ◎:8割以上が良好と評価、○:4割以上8割未満が良
好と評価、×:4割未満が良好と評価 ・口溶け:焼成したパンをパネラー10人にて口溶けの
評価を行った。 ◎:8割以上が良好と評価、○:4割以上8割未満が良
好と評価、×:4割未満が良好と評価 ・ウェット感:焼成したパンをパネラー10人にてウェ
ット感の評価を行った。 ◎:8割以上が良好と評価、○:4割以上8割未満が良
好と評価、×:4割未満が良好と評価 ・ソフト感:焼成したパンをパネラー10人にてソフト
感の評価を行った。 ◎:8割以上が良好と評価、○:4割以上8割未満が良
好と評価、×:4割未満が良好と評価 ・破断強度試験:焼成したパンを室温で1時間放冷後ポ
リエチレン袋に密封し、室温(25℃)で保管した。保管
後のパンを30mmにスライスした後、レオメーター
(不動工業製)にて、厚さの50%まで加圧した時の荷
重をグラム数で表して評価を行った。 測定条件:測定速度 6cm/min、接触面積 70
6.8mm2(アダプター:直径3cm円盤使用)、1
サンプルを6回測定時の平均値 ◎:400gf未満、○:400gf以上500gf未
満、×:500gf以上 尚、歯切れ、 口溶け、ウェット感、ソフト感及び破断
強度試験については焼成翌日、焼成2日後、焼成3日後
にそれぞれ評価した。
エチルを、重量比2:3の割合で混合、溶解し、1,3
位置選択的酵素を用いてエステル交換反応を行った。反
応物から分子蒸留により脂肪酸を取り除き、得られた油
脂を分別、精製することによりOStO含量60重量%
の油脂を得た。このOStO含有油脂50重量%及びマ
ンゴー核分別中部油50重量%を混合し、60℃で溶解
した後、0℃に冷却し、結晶化させ、混合油(a)を得
た。混合油(a)はStOStを30重量%、OStO
を30重量%含有し、DSCにより結晶転移の有無を確
認したところ、βプライム型をとらずにβ型結晶であっ
た。
完全溶解し、0℃で30分保持し、そして5℃で30分
間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜26度の範
囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングスト
ロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。また、光学顕微
鏡でこの油脂結晶のサイズを確認したところ、3μm以
下の微細な結晶であった。更に、2θ:0〜8度の範囲
でX線回折測定を実施し、トリグリセリドのパッキング
状態が2鎖長構造であることも確認され、コンパウンド
結晶の形成が示された。
重量%とを混合し、60℃で溶解させ配合油を得た。こ
の配合油80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モ
ノグリセリド0.5重量%及びレシチン0.1重量%を
混合溶解した油相81重量%と水16重量%、食塩1重
量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳
化物(b)とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/
分以上)にかけ、マーガリンを得た。得られたマーガリ
ンは、光学顕微鏡下で3μm以下の微細結晶であり、マ
ーガリンの油相を上記と同条件でX線回折測定を行った
ところ、2鎖長構造のβ型をとり、コンパウンド結晶を
形成することを確認した。そして、マーガリンの全油脂
分中のコンパウンド結晶の含有量は48重量%であり、
マーガリンの配合油のSFCは10℃で37%、20℃
で22%であった。
ー値が900g/cm2、20℃のレオメーター値が3
40g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性範囲が広
い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例1で用いた
乳化物(b)を更に緩慢な冷却条件(冷却速度にして−
1℃/分)下で冷却可塑化し、マーガリンを得た。得ら
れたマーガリンは、光学顕微鏡下で3μm以下の微細結
晶であり、マーガリンの油相を実施例1と同条件でX線
回折測定を行ったところ、2鎖長構造のβ型をとり、コ
ンパウンド結晶を形成することを確認した。そして、マ
ーガリンの全油脂分中のコンパウンド結晶の含有量は、
48重量%であり、マーガリンの配合油のSFCは10
℃で37%、20℃で22%であった。
ー値が1000g/cm2、20℃のレオメーター値が
400g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性範囲が
広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
(a)85重量%と大豆油15重量%とを混合し、60
℃で溶解し、乳化剤無添加で常法により急冷可塑化工程
(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、ショートニング
を得た。得られたショートニングは、光学顕微鏡下で3
μm以下の微細結晶であり、ショートニングを実施例1
と同条件でX線回折測定を行ったところ、2鎖長構造の
β型をとり、コンパウンド結晶を形成することを確認し
た。そして、ショートニングの全油脂分中のコンパウン
ド結晶の含有量は51重量%であり、ショートニングの
配合油のSFCは10℃で49%、20℃で30%であ
った。
ーター値が3360g/cm2、20℃のレオメーター
値が800g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性範
囲が広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
(a)45重量%、大豆極度硬化油(融点68℃)5重
量%及び大豆油50重量%を混合し、60℃で溶解し、
乳化剤無添加で常法により急冷可塑化工程(冷却速度−
20℃/分以上)にかけ、ショートニングを得た。得ら
れたショートニングは、光学顕微鏡下で3μm以下の微
細結晶であり、ショートニングを実施例1と同条件でX
線回折測定を行ったところ、2鎖長構造のβ型をとり、
コンパウンド結晶を形成することを確認した。そして、
ショートニングの全油脂分中のコンパウンド結晶の含有
量は27重量%であり、ショートニングの配合油のSF
Cは10℃で48%、20℃で37%であった。
ーター値が3180g/cm2、20℃のレオメーター
値が1460g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性
範囲が広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
と豚脂79重量%を混合し、60℃で溶解し、0℃で冷
却し、結晶化させ、混合油(c)を得た。この混合油
(c)は、StOStを20重量%、OStOを20重
量%含有し、DSCにより結晶転移の有無を確認したと
ころ、βプライム型をとらずにβ型結晶であった。
溶解した後、0℃で30分保持し、そして5℃で30分
間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜26度の範
囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングスト
ロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。また、光学顕微
鏡でこの油脂結晶のサイズを確認したところ、3μm以
下の微細な結晶であった。更に、2θ:0〜8度の範囲
でX線回折測定を実施し、トリグリセリドのパッキング
状態が2鎖長構造であることも確認され、コンパウンド
結晶の形成が示された。
重量%とを混合し、60℃で溶解し、乳化剤無添加で常
法により急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)
にかけ、ショートニングを得た。得られたショートニン
グは、光学顕微鏡下で3μm以下の微細結晶であり、シ
ョートニングを実施例1と同条件でX線回折測定を行っ
たところ、2鎖長構造のβ型をとり、コンパウンド結晶
を形成することを確認した。そして、ショートニングの
全油脂分中のコンパウンド結晶の含有量は36重量%で
あり、ショートニングの配合油のSFCは10℃で55
%、20℃で30%であった。
ーター値が2820g/cm2、20℃のレオメーター
値が1850g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性
範囲が広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
と豚脂80重量%を混合し、60℃で溶解した後、0℃
で冷却し、結晶化させ、混合油(d)を得た。この混合
油(d)は、StOStを20重量%、OStOを20
重量%含有し、DSCにより結晶転移の有無を確認した
ところ、βプライム型をとらずにβ型結晶であった。
溶解した後、0℃で30分保持し、そして5℃で30分
間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜26度の範
囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングスト
ロームの面間隔に対応する強い回折線が得られ、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。また、光学顕微
鏡でこの油脂結晶のサイズを確認したところ、3μm以
下の微細な結晶であった。更に、2θ:0〜8度の範囲
でX線回折測定を実施し、トリグリセリドのパッキング
状態が2鎖長構造であることも確認され、コンパウンド
結晶の形成が示された。
0重量%とを混合し、60℃で溶解し、乳化剤無添加で
常法により急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以
上)にかけ、ショートニングを得た。得られたショート
ニングは、光学顕微鏡下で3μm以下の微細結晶であ
り、ショートニングを実施例1と同条件でX線回折測定
を行ったところ、2鎖長構造のβ型をとり、コンパウン
ド結晶を形成することを確認した。そして、ショートニ
ングの全油脂分中のコンパウンド結晶の含有量は、36
重量%であり、ショートニングの配合油のSFCは10
℃で50%、20℃で33%であった。
ーター値が3580g/cm2、20℃のレオメーター
値が1890g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性
範囲が広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
%、パーム極度硬化油(融点58℃)5重量%及び大豆
油10重量%を混合し、60℃で溶解させ配合油を得
た。この配合油80.4重量%に乳化剤としてステアリ
ン酸モノグリセリド0.5重量%及びレシチン0.1重
量%を混合溶解した油相81重量%と水16重量%、食
塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水
型の乳化物(e)とし、急冷可塑化工程(冷却速度−2
0℃/分以上)にかけ、マーガリンを得た。得られたマ
ーガリンは、光学顕微鏡下で3μm以下の微細結晶であ
り、マーガリンの油相を実施例1と同条件でX線回折測
定を行ったところ、2鎖長構造のβ型をとり、コンパウ
ンド結晶を形成することを確認した。そして、マーガリ
ンの全油脂分中のコンパウンド結晶の含有量は36重量
%であり、マーガリンの配合油のSFCは10℃で48
%、20℃で33%であった。
ー値が3600g/cm2、20℃のレオメーター値が
1900g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性範囲
が広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
(a)85重量%と大豆油15重量%とを混合し、60
℃で溶解した後、該配合油にα-アミラーゼ製剤250
ppmを添加し、常法により急冷可塑化工程(冷却速度
−20℃/分以上)にかけ、ショートニングを得た。得
られたショートニングは、光学顕微鏡下で3μm以下の
微細結晶であり、ショートニングを実施例1と同条件で
X線回折測定を行ったところ、2鎖長構造のβ型をと
り、コンパウンド結晶を形成することを確認した。そし
て、ショートニングの全油脂分中のコンパウンド結晶の
含有量は51重量%であり、ショートニングの配合油の
SFCは10℃で49%、20℃で30%であった。
ーター値が2560g/cm2、20℃のレオメーター
値が400g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性範
囲が広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
量%、パーム極度硬化油(融点58℃)1.5重量%及
び大豆油10重量%を混合し、60℃で溶解させ配合油
を得た。この配合油80.4重量%に乳化剤としてステ
アリン酸モノグリセリド0.5重量%及びレシチン0.
1重量%を混合溶解した油相81重量%と水16重量
%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%及びα-アミラー
ゼ製剤250ppmとを常法により、油中水型の乳化物
(f)とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以
上)にかけ、マーガリンを得た。得られたマーガリン
は、光学顕微鏡下で3μm以下の微細結晶であり、マー
ガリンの油相を実施例1と同条件でX線回折測定を行っ
たところ、2鎖長構造のβ型をとり、コンパウンド結晶
を形成することを確認した。そして、マーガリンの全油
脂分中のコンパウンド結晶の含有量は36重量%であ
り、マーガリンの配合油のSFCは10℃で55%、2
0℃で32%であった。
ー値が3000g/cm2、20℃のレオメーター値が
1500g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性範囲
が広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
重量%、パーム極度硬化油(融点58℃)1.5重量%
及び大豆油10重量%を混合し、60℃で溶解し、乳化
剤無添加の配合油を得た。この配合油%81重量%と水
16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%及びα-
アミラーゼ製剤250ppmとを常法により、油中水型
の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分
以上)にかけ、マーガリンを得た。得られたマーガリン
は、光学顕微鏡下で3μm以下の微細結晶であり、マー
ガリンの油相を実施例1と同条件でX線回折測定を行っ
たところ、2鎖長構造のβ型をとり、コンパウンド結晶
を形成することを確認した。そして、マーガリンの全油
脂分中のコンパウンド結晶の含有量は36重量%であ
り、マーガリンの配合油のSFCは10℃で55%、2
0℃で32%であった。
ー値が2900g/cm2、20℃のレオメーター値が
1300g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性範囲
が広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
媒を用いて水素添加を行い、融点30℃の魚油硬化油、
融点36℃の魚油硬化油及び融点45℃の魚油硬化油を
得た。これらの融点30℃の魚油硬化油、融点36℃の
魚油硬化油及び融点45℃の魚油硬化油をそれぞれ60
℃で溶解し、0℃に冷却し、結晶化させ、DSCにより
結晶転移の有無を確認したところ、いずれもβプライム
型をとる油脂であった。また、これらの融点30℃の魚
油硬化油、融点36℃の魚油硬化油及び融点45℃の魚
油硬化油は、いずれもSUS及びUSUを含有しない油
脂であった。
化油、融点36℃の魚油硬化油及び融点45℃の魚油硬
化油をそれぞれ70℃で完全溶解した後、0℃で30分
保持し、そして5℃で30分間保持し結晶析出させたも
のを2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施し
たところ、4.2オングストロームの面間隔に対応する
強い回折線が得られ、これらの油脂結晶はいずれもβプ
ライム型をとることが確認された。更に、2θ:0〜8
度の範囲でX線回折測定を実施し、トリグリセリドのパ
ッキング状態が3鎖長構造であることを確認し、コンパ
ウンド結晶の形成は認められなかった。
%、融点36℃の魚油硬化油15重量%及び融点45℃
の魚油硬化油10重量%を混合し、60℃で溶解し、乳
化剤無添加で常法により急冷可塑化工程(冷却速度−2
0℃/分以上)にかけ、ショートニングを得た。得られ
たショートニングを実施例1と同条件でX線回折測定を
行ったところ、3鎖長構造のβプライム型をとり、コン
パウンド結晶を含有しないことを確認した。このショー
トニングの配合油のSFCは、10℃で38%、20℃
で22%であった。
ーター値が6900g/cm2、20℃のレオメーター
値が600g/cm2と低温で硬く、可塑性範囲が狭
い、製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
の魚油硬化油40重量%、融点36℃の魚油硬化油50
重量%及び融点45℃の魚油硬化油10重量%を混合
し、60℃で溶解し、乳化剤無添加で常法により急冷可
塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、ショー
トニングを得た。得られたショートニングを実施例1と
同条件でX線回折測定を行ったところ、3鎖長構造のβ
プライム型をとり、コンパウンド結晶を含有しないこと
を確認した。このショートニングの配合油のSFCは、
10℃で47%、20℃で33%であった。
ーター値が8120g/cm2、20℃のレオメーター
値が700g/cm2と低温で硬く、可塑性範囲が狭
い、製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
の魚油硬化油39重量%、融点36℃の魚油硬化油49
重量%及び融点45℃の魚油硬化油9重量%を混合し、
60℃で溶解した後、モノグリセリド3重量%を添加
し、常法により急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分
以上)にかけ、ショートニングを得た。得られたショー
トニングを実施例1と同条件でX線回折測定を行ったと
ころ、3鎖長構造のβプライム型をとり、コンパウンド
結晶を含有しないことを確認した。このショートニング
の配合油のSFCは、10℃で47%、20℃で33%
であった。
ーター値が8120g/cm2、20℃のレオメーター
値が700g/cm2と低温で硬く、可塑性範囲が狭
い、製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
の魚油硬化油40重量部、融点36℃の魚油硬化油50
重量部及び融点45℃の魚油硬化油10重量部を混合
し、60℃で溶解した後、該配合油にα-アミラーゼ製
剤250ppmを添加し、常法により急冷可塑化工程
(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、ショートニング
を得た。得られたショートニングを実施例1と同条件で
X線回折測定を行ったところ、3鎖長構造のβプライム
型をとり、コンパウンド結晶を含有しないことを確認し
た。このショートニングの配合油のSFCは、10℃で
47%、20℃で33%であった。
ーター値が8120g/cm2、20℃のレオメーター
値が700g/cm2と低温で硬く、可塑性範囲が狭
い、製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合と製法にて、食パンを得た。得られた
食パンの評価結果を表1に示した。
は、得られた製パン練り込み用油脂組成物を用いて、下
記に示す配合2及び製法2により、冷凍パン生地を作成
し、該冷凍パン生地を用いて解凍焼成パンを製造し、下
記評価方法及び評価基準により得られたパンの評価を行
った。
し、製パン練り込み用油脂組成物を添加し、M4H4に
てミキシングをする。 捏上温度 20℃ フロアタイム 20℃、15分 分割重量 50g ベンチタイム 15分 成形 丸め成型 急速冷凍 −40℃、60分 冷凍保管 −20℃、7日 解凍 20℃、180分 ホイロ条件 38℃、90分 焼成条件 200℃、15分
チレン袋に密封し、室温(25℃)で保管した。1日保管
後のパンの容積と重量を計測し、パンの容積を重量で割
って計算した。 ◎:7.0以上、○:6.0以上7.0未満、△:5.
0以上6.0未満、×:5.0未満 ・内相:焼成したパンの断面を目視により観察した。 ◎:膜が薄く、きれいに伸びた目であった。○:膜がや
や厚いが、目は伸びている。△:膜は厚く、目が丸目、
×:目が丸目で且つ小さく、ほとんど膨張していない。
重量%、パーム極度硬化油(融点58℃)1.5重量%
及び大豆油10重量%を混合し、60℃で溶解し、乳化
剤無添加で常法により急冷可塑化工程(冷却速度−20
℃/分以上)にかけ、ショートニングを得た。得られた
ショートニングは、光学顕微鏡下で3μm以下の微細結
晶であり、ショートニングを実施例1と同条件でX線回
折測定を行ったところ、2鎖長構造のβ型をとり、コン
パウンド結晶を形成することを確認した。そして、ショ
ートニングの全油脂分中のコンパウンド結晶の含有量は
36重量%であり、ショートニングの配合油のSFCは
10℃で50%、20℃で35%であった。
ーター値が3600g/cm2、20℃のレオメーター
値が1900g/cm2と低温でも軟らかく且つ可塑性
範囲が広い製パン練り込み用油脂組成物であった。
用い、上記の配合2と製法2にて、冷凍パン生地を作成
し、該冷凍パン生地を用いて解凍焼成パンを得た。得ら
れたパンの評価結果を表2に示した。
パン練り込み用油脂組成物を用い、上記の配合2と製法
2にて、冷凍パン生地を作成し、該冷凍パン生地を用い
て解凍焼成パンを得た。得られたパンの評価結果を表2
に示した。
は、製パン練り込み用油脂組成物及びロールイン用油脂
組成物を用いて下記配合3及び製法3よりデニッシュを
製造し、下記の評価方法及び評価基準により得られたパ
ンの評価を行った。
て低速3分及び中速5分ミキシングした生地(捏ね上げ
温度=24℃)を2℃の冷蔵庫内で一晩リタードした。
この生地にロールイン用油脂組成物をのせ、常法により
ロールインし、250mm×250mm、厚さ30mm
のロールイン生地を得た。この生地を6mmまで圧延し
て4つ折りし、次いで3つ折り2回を行い(計36
層)、厚さ30mmのデニッシュ生地を得た。この生地
を2℃の冷蔵庫内で30分レストを取った後、厚さ3m
mに圧延し、直径100mmの型で生地を打ち抜き、展
板に載せ、32℃、相対湿度85%、60分のホイロを
取った後、210℃の固定釜で11分焼成した。
mmまで圧延した際に伸展方向に何倍に伸展したかを測
定し、これを生地伸展性とした。 ◎:3.75以上、○:3.74〜3.5、△:3.4
9〜3.25、×:3.24以下 ・生地縮み率:焼成したデニッシュの短径と長径を測定
し、短径÷長径を算出し、生地縮み率とした。 ◎:0.90以上、○:0.89〜0.80、△:0.
79〜0.70、×:0.69以下 ・浮き倍率:10個の焼成したデニッシュの平均標高を
測定し、その平均値(単位:mm)÷3の数値を浮き倍
率とした。 ◎:9.0以上、○:8.9〜7.0、△:6.9〜
5.0、×:4.9以下 ・食感(翌日):パネラー10人にて、焼成した翌日の
デニッシュの歯切れ及びヒキそれぞれについて、良好な
順に3点、2点、1点として3段階評価を行った。その
歯切れの評価点とヒキの評価点とを乗じて点数を算出
し、食感評価とした。 ◎:9点、○:6点、△:3〜4点、×:1〜2点
塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、マーガ
リンタイプのロールイン用油脂組成物を得た。得られた
ロールイン用油脂組成物は、光学顕微鏡下で3μm以下
の微細結晶であり、ロールイン用油脂組成物の油相を実
施例1と同条件でX線回折測定を行ったところ、2鎖長
構造のβ型をとり、コンパウンド結晶を形成することを
確認した。そして、ロールイン用油脂組成物の全油脂分
中のコンパウンド結晶の含有量は36重量%であり、ロ
ールイン用油脂組成物の配合油のSFCは10℃で48
%、20℃で33%であった。ロールイン用油脂組成物
の形状は縦190mm、横230mm、厚さ9mmのシ
ート状とした。
み用油脂組成物及び上記のロールイン用油脂組成物を用
い、上記の配合3と製法3にて、デニッシュを得た。得
られたデニッシュの評価結果を表3に示した。
55重量%、大豆油43重量%、大豆極度硬化油(融点
68℃)5重量%とを混合した。この配合油80.4重
量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5
重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解した油相81
重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量
%とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化
工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリンタイプの
ロールイン用油脂組成物を得た。得られたマーガリンの
油相を実施例1と同条件でX線回折測定を行ったとこ
ろ、3鎖長構造のβプライム型をとり、コンパウンド結
晶を含有しないことを確認した。このショートニングの
配合油のSFCは、10℃で47%、20℃で33%で
あった。ロールイン用油脂組成物の形状は縦190m
m、横230mm、厚さ9mmのシート状とした。
用油脂組成物及び上記のロールイン用油脂組成物を用
い、配合3と製法3にて、デニッシュを得た。得られた
デニッシュの評価結果を表3に示した。
とUSUとからなるコンパウンド結晶を含有しないβプ
ライム型結晶である比較例1〜6の製パン練り込み用油
脂組成物は可塑性範囲が狭く、またこれらの製パン練り
込み用油脂組成物を用いてパンを製造すると、製パン時
の作業性、得られたパンの歯切れ、口溶け、ウェット感
及びソフト感等の全てが非常に良好であるパンは得られ
なかった。
SUSとUSUとからなるコンパウンド結晶を形成し得
る配合油を用いた実施例1〜12では、可塑性範囲が広
い製パン練り込み用油脂組成物が得られた。また、製パ
ン時の作業性、得られたパンの歯切れ、口溶け、ウェッ
ト感及びソフト感等の全てが非常に良好であった。さら
に、焼成後3日間室温に放置した状態においても、これ
らのパンは良好な歯切れ、口溶け、ウェット感及びソフ
ト感を保持していた。また、
は、可塑性範囲が広く、経日的にも硬さが変化せず安定
である製パン練り込み用油脂組成物である。また、本発
明の製パン練り込み用油脂組成物をパンに用いたときの
製パン時の作業性、得られたパンの歯切れ、口溶け、ウ
ェット感及びソフト感等の全てが良好であるパンを提供
することができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 S1US2(S1及びS2は飽和脂肪酸、U
は不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリドとU
S3U(S3は飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表
されるトリグリセリドとからなるコンパウンド結晶を含
有することを特徴とする製パン練り込み用油脂組成物。 - 【請求項2】 上記S1、S2及びS3が炭素数16以上
の飽和脂肪酸である請求項1記載の製パン練り込み用油
脂組成物。 - 【請求項3】 上記のコンパウンド結晶が実質的に微細
結晶である請求項1又は2に記載の製パン練り込み用油
脂組成物。 - 【請求項4】 さらに高融点油脂を含有する請求項1〜
3の何れかに記載の製パン練り込み用油脂組成物。 - 【請求項5】 配合油のSFC(固体脂含量)が10℃
で20〜60%、20℃で10〜40%である請求項1
〜4の何れかに記載の製パン練り込み用油脂組成物。 - 【請求項6】 S1US2(S1及びS2は飽和脂肪酸、U
は不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリドを含
有する油脂とUS3U(S3は飽和脂肪酸、Uは不飽和脂
肪酸を表す)で表されるトリグリセリドを含有する油脂
とを混合溶解した後、冷却し、結晶化させることを特徴
とする製パン練り込み用油脂組成物の製造方法。 - 【請求項7】 S1US2(S1及びS2は飽和脂肪酸、U
は不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリドとU
S3U(S3は飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸を表す)で表
されるトリグリセリドとからなるコンパウンド結晶を含
有する製パン練り込み用油脂組成物を用いたパン生地。 - 【請求項8】 請求項7記載のパン生地を焼成したパン
類。
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