JP4785324B2 - 油脂性素材配合ベーカリー食品におけるブルーム、白色化及び油脂性素材固化現象の抑制緩和方法 - Google Patents

油脂性素材配合ベーカリー食品におけるブルーム、白色化及び油脂性素材固化現象の抑制緩和方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油脂性素材を配合したベーカリー生地の練り込み用油脂として使用することができる油脂組成物、及び該油脂組成物を含有するベーカリー食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来からベーカリー食品、特にクッキー、ビスケット等の生地に、ナッツ類、クリーム類あるいはチョコレート類を配合した、いわゆる油脂性素材配合複合菓子においては、流通過程や保存中に焼き菓子類の表面が白い粉をふき斑点状になる白色化現象がしばしば発生し、また、チョコレート類のブルーム現象を伴う場合がある。この様な現象は、そのメカニズムが未だ明確にはされていないが、ベーカリー食品に用いられる各油脂製品間中の油分中の特定成分のマイグレーションとそれに伴う油脂結晶の成長によって引き起こされるものと推定されている。このような現象を生じると商品価値が著しく低下する。
【0003】
このため、今まではマイグレーションを抑制することによって、上記の白色化やブルームを解消する試みが多く行われてきた。
例えば、ビスケット類の焼成後の冷却をより速やかに行うことによりマイグレーションを抑制するという方法は、従来から広く知られている。
【0004】
また、上記の方法以外にも、マイグレーションを抑制する試みは、特に菓子類に使用する油脂の側面から従来盛んに行われており、次の様な提案がなされている。例えば、特公昭61−47491号公報には、ビスケット中の油脂の構成脂肪酸中のトランス酸含量が30重量%以上で特定の固体脂含量を有し、且つ、該油脂の固体脂含量とチョコレート中の油脂の固体脂含量との差が20℃で35重量%以下である油脂が記載されている。また、特開昭64−60325号公報には、必須成分として魚硬化油を20重量%以上とSFI値が20℃で50%以上、30℃で30%以上である植物性油脂を20重量%以上含有した油脂組成物であって、該油脂組成物のSFI値が20℃で30〜55%、30℃で10〜30%、40℃で5%以下の油脂組成物が記載されている。また、特開平4−66045号公報には、80℃で溶解した後、30℃に移して60分後のSFC値が30℃に移して24時間後のSFC値に対して70%以上であることを特徴とする油脂組成物が記載されている。更に、特開昭63−126457号公報には、トリグリセリドを構成する3個の脂肪酸の残基のうち、少なくとも1個が炭素数20〜24の飽和脂肪酸から構成される残基である2飽和1不飽和型混酸基トリグリセリドを10重量%以上含有する油脂及び該油脂を使用した複合菓子類の製造方法が記載されている。
【0005】
しかしながら、いずれの方法も、マイグレーション防止効果は充分なものでなく、そして、マイグレーション耐性を上げるために、油脂の高融点成分をベーカリー食品練りこみ用油脂に使用すると、ベーカリー食品、特にクッキーの製造時の油脂調温やクリーミング作業等の作業性が著しく劣ることとなる。さらに、ベーカリー食品の口溶け等の食感が悪化する等の問題点がある。
【0006】
また、別の重要な側面として、油脂性素材を配合したベーカリー生地を焼成すると、焼成時にチョコチップ等の油脂性素材が、焦げて食感ががりがりしたものになり、かつ焦げ臭がするものになってしまうという問題については、いずれの方法でも解消されない。
【0007】
従って、本発明の目的は、油脂性素材配合ベーカリー食品に焼成後経時的に発生するブルームや白色化を抑制し、かつ、油脂性素材の焼成加熱による固化現象を緩和することができる油脂性素材配合ベーカリー食品練り込み用油脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、従来のマイグレーションを抑制させるのとはまったく逆に、焼成後のマイグレーションを促進させることにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、油脂性素材を配合したベーカリー生地を焼成してなる菓子類であるベーカリー食品において、焼成後経時的に発生するブルーム及び白色化を抑制し、且つ該油脂性素材の焼成による固化現象を緩和する方法であって、上記ベーカリー生地に、マイグレーションを促進させる作用を有する練り込み用油脂組成物を配合し、該マイグレーションを促進させることにより、上記ブルーム及び白色化を抑制し且つ上記固化現象を緩和し、上記練り込み用油脂組成物は、油脂を30重量%以上含有し、該油脂のSFCが10℃で1828%、20℃で12%で、40℃で%であり、上記油脂は、動植物油脂であるパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油及び鯨油、並びにこれらの各種動植物油脂を水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂からなる群から選択した1種又は2種以上であることを特徴とする、油脂性素材配合ベーカリー食品におけるブルーム、白色化及び油脂性素材固化現象の抑制緩和方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の油脂性素材配合ベーカリー食品におけるブルーム、白色化及び油脂性素材固化現象の抑制緩和方法の好ましい実施形態について詳述する。
本発明においては、油脂性素材を配合したベーカリー生地に、練り込み用油脂組成物(以下、本発明の油脂組成物ともいう)を用いる。ここでいうところの、油脂性素材とは、ナッツ類、クリーム類、チョコレート類等を意味する。具体的には、チョコレート、生チョコレート、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、オーナッツ、マカデミアナッツ、ブラジルナッツ、ココナッツ、松、けし、ひまわり等の種実や堅果、それらのホール品・割物品・スライス品、それらを用いたペースト・ピューレ等の加工品等が挙げられる。
本発明でいうところの油脂組成物とは、マーガリン・ショートニング・ファットスプレッド・ホイップクリームをはじめとする油脂加工食品、あるいはマヨネーズ・ドレッシングをはじめとする酸性乳化食品等の、油脂を30重量%以上含有するものを意味し、該油脂組成物は水分を含まなくても含んでもよく、また、O/W、W/O、O/W/O等の乳化形態、可塑性やペースト状等の性状は、いずれであってもよい。
【0011】
本発明の油脂組成物は、油脂を30重量%以上含有するものであり、好ましくは45〜100重量%、特に好ましくは75〜100重量%含有する。30重量%未満であると、ベーカリー食品中の油分が実質的に少なく、経時的にマイグレーションを起こすための絶対的油分が少なくなってしまい、改良効果が得られない。
【0012】
上記油脂は、SFCが10℃で1828%、20℃で12%で、40℃で%であることが必須であるSFCが10℃で5%未満、及び/又は20℃で3%未満であると、特に、ベーカリー食品練り込み用油脂組成物としては軟らかすぎるため、生地中の油脂組成物の配合量を、マイグレーションを促進させる程度の量にすると、生地製造時の生地物性を保持しにくく、冷却処理等を施さなければ成型適性を得られにくい上、製造後の食品にベタつきが生じてしまう。一方、SFCが10℃で35%を超える、及び/又は20℃で20%を超えると、マイグレーションを促進させる作用が低下し、求める機能が得られにくい。また、SFCが40℃で5%を超えると、ベーカリー食品の食感が悪化し、口溶けが悪くなったり、ねちゃついたりする。
【0013】
また、上記油脂のトランス酸含量が、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜40重量%、最も好ましくは15〜40重量%であることにより、さらに良好な効果が得られる。トランス酸含量が5重量%より少ないと、ベーカリー食品製造時の油脂組成物の作業性が悪く、油脂クリーミング性が悪化したり、練り込み性が低下したりする恐れがある。40重量%を超えると、油脂組成物の物性が硬すぎ、クリーミングや生地への練り込みが不能になる恐れがある。
【0014】
本発明において使用される油脂としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂が挙げられる。本発明では、SFCやトランス酸含量が上述の如くなるように、これらの中から1種又は2種以上を選択して用いる。
【0015】
本発明の油脂組成物には、必要に応じ、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β―カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、植物ステロール類、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物を含有させることができる。
【0016】
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0017】
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0018】
本発明の油脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、油脂及びその他の成分を混合し、必要に応じて、常法に従って乳化、可塑化等を行なえばよい。
【0019】
本発明の油脂組成物は、油脂性素材配合ベーカリー食品、特に焼成を伴う菓子類の製造に用いられる。該菓子類としては、バターケーキ類、スポンジケーキ類、シュー菓子類、発酵菓子類、パイ、ワッフル等の洋生菓子、ビスケットやクッキー、クラッカー、乾パン、プレッツエル、カットパン、ウェハース、サブレ、マカロン等の焼き菓子、饅頭、どら焼き等の和菓子における焼き物菓子等が挙げられる。本発明の油脂組成物は、これらの中でも、配合油分の多い焼き菓子の製造に用いて特に有効であり、カッチングハードビスケット、カッチングソフトビスケット、ロータリービスケット、ワイヤーカットビスケット、デポジットクッキー等の各種焼き菓子に用いると高い効果が認められる。
【0020】
これらのベーカリー食品や菓子類における本発明の油脂組成物の使用量は、特に限定されるものではなく、ベーカリー食品や菓子類の種類によって適宜選択されるが、ベーカリー生地中において3〜50重量%、特に5〜35重量%が好ましい。
【0021】
ベーカリー食品に用いられる油脂性素材の形状は、ベーカリー生地との複合方法によって異なるが、粒状、板状、球状、チャンク状、チップ状、ダイス状、ペースト状等の形状とすることができる。
【0022】
油脂性素材とベーカリー生地とは、ベーカリー生地の焼成前に何らかの方法で混和・複合させておくことが必要であり、油脂性素材の大きさや硬さによっては生地作製のどの段階で混和してもよいが、基本的に、小塊を添加する場合は、生地攪拌によってつぶれないように、ベーカリー生地作製の最終段階で添加し軽く混和することが望ましい。なお、別の方法としては、生地の表面に散布したり、貼り付けたり、あるいは生地底面に敷きこんだり、さらにストーリングすることも可能である。また、油脂性素材をベーカリー生地で包んで焼成することも可能である。
【0023】
得られたベーカリー食品にさらに、バタークリームをサンドしたり、チョココーティングしたりすることもできる。
製造されたベーカリー食品は、通常通り、包装、流通することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら制限されるものではない。
なお、下記の実施例及び比較例において、SFCは次のようにして測定した。配合油脂を60℃に30分保持し、油脂を完全に融解し、そして0℃に30分保持して固化させた。さらに25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その後0℃に30分保持した。これを逐次10℃、20℃、40℃の各測定温度に30分づつ保持後、SFCを測定した。
【0025】
〔実施例1〕
ナタネ極度硬化油4重量部、ナタネ硬化油(融点25℃)60重量部、ナタネ液状油36重量部及びレシチン0.1重量部を65℃に加熱溶解し、混和後、急冷可塑化し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物の配合油脂中のトランス酸含量は22重量%であり、該配合油脂のSFCは10℃で18%、20℃で10%、40℃で4%であった。ここで得られた油脂組成物を用いて、下記の配合及び製法によりチョコチップ配合ハードビスケットを製造した。
【0026】
{配合}
薄力粉90重量部、コーンスターチ10重量部、砂糖20重量部、液糖3重量部、全粉乳2重量部、食塩1重量部、重炭安0.5重量部、重曹0.5重量部、水25重量部、油脂組成物15重量部、チョコレートチップ(明治製菓製)17重量部
【0027】
{製法}
水に食塩及び重炭安を溶解後、チョコレートチップ以外の原料をすべて一括してニーダー(入江商会製)に投入し、約35℃に調温して4速で30分ミキシングした。その後チョコレートチップを投入し、4速で30秒混合した。リバースシーター(鎌田機械工業製)で厚さ4.5ミリに圧延し、直径5センチの丸型に打ち抜いた。打ち抜いた生地を常温にて20分休めた後、リールオーブン(フジサワ製)で260℃にて約3分焼成し、次いで25℃にて40分冷却し、チョコチップ配合ハードビスケットを得た。
【0028】
得られたチョコチップ配合ハードビスケットについて、20℃にて放置テストを行った。放置テストにおいては、製造直後及び4週間後にビスケット部分及びチョコチップ部分の油分とヨウ素価を測定し、あわせて、製造直後と4週間後のチョコチップ部分及びビスケット部分の食感・性状を比較した。その結果、ビスケット部分からチョコチップ部分への油分移行が確認され、かつ、4週間後でも白色化やブルームの発生もなく、ビスケットの食感も良好であった。油分の測定結果を表1に、ヨウ素価の測定結果を表2にそれぞれ示す。
【0029】
〔実施例2〕
大豆極度硬化油3重量部、大豆硬化油(融点25℃)97重量部及びグリセリン脂肪酸エステル0.5重量部を65℃に加熱溶解し、混和後、急冷可塑化し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物の配合油脂中のトランス酸含量は32重量%であり、該配合油脂のSFCは10℃で26%、20℃で12%、40℃で3%であった。ここで得られた油脂組成物を用いて、下記の配合及び製法によりチョコチップ配合ワイヤーカットビスケットを製造した。
【0030】
{配合}
薄力粉100重量部、砂糖40重量部、全卵15重量部、食塩1重量部、重炭安1重量部、重曹1重量部、水10重量部、油脂組成物55重量部、チョコレートチップ(明治製菓製)22重量部
【0031】
{製法}
卓上ミキサー(ケンウッドミキサー)に油脂組成物及び砂糖を投入、軽く混合した後、最高速で7分クリーミングした。次いで、あらかじめ全卵、水、食塩及び重炭安を混合した水相を少しづつ加えて攪拌・混合し、さらに薄力粉及び重曹を加えた後、低速で1分混合した。最後にチョコレートチップを投入し、低速で30秒混合した。ここで得られたチョコチップ配合ワイヤーカットビスケット生地を、厚さ7ミリ、直径4センチの丸型にワイヤーカット成型した。成型したビスケット生地をオーブン(フジサワ社製)で180℃にて10分焼成後、25℃にて40分冷却し、チョコチップ配合ワイヤーカットビスケットを得た。
【0032】
得られたチョコチップ配合ワイヤーカットビスケットについて、20℃にて放置テストを行った。放置テストにおいては、製造直後及び4週間後にビスケット部分及びチョコチップ部分の油分とヨウ素価を測定し、あわせて、製造直後と4週間後のチョコチップ部分及びビスケット部分の食感・性状を比較した。その結果、ビスケット部分からチョコチップ部分への油分移行が確認され、かつ、4週間後でも白色化やブルームの発生もなく、ビスケットの食感も良好であった。油分の測定結果を表1に、ヨウ素価の測定結果を表2にそれぞれ示す。
【0033】
〔実施例3〕
パーム極度硬化油2重量部、ナタネ硬化油(融点15℃)35重量部、パーム軟部油(融点25℃)63重量部及びレシチン0.1重量部を65℃に加熱溶解し、混和後、急冷可塑化し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物の配合油脂中のトランス酸含量は6重量%であり、該配合油脂のSFCは10℃で28%、20℃で5%、40℃で3%であった。ここで得られた油脂組成物を用いて、下記の配合及び製法によりアーモンド風味チップ配合バターケーキを製造した。
【0034】
{配合}
薄力粉100重量部、砂糖100重量部、全卵100重量部、重炭安0.5重量部、重曹0.5重量部、油脂組成物100重量部、アーモンド風味チップ60重量部
なお、アーモンド風味チップは下記の配合で、常法に則りローラー掛け後コンチングを行うことにより製造したものを用いた。
(アーモンド風味チップ配合)
ショートニング34.5重量部、グラニュー糖32重量部、乳糖8重量部、アーモンドプードル10重量部、脱脂粉乳15重量部、レシチン0.5重量部
【0035】
{製法}
卓上ミキサー(ケンウッドミキサー)に、油脂組成物及び砂糖を投入し、軽く混合した後、最高速で7分クリーミングした。次いで、あらかじめ全卵及び重炭安を混合した水相を少しづつ加えて攪拌・混合し、さらに薄力粉及び重曹を加えた後、低速で1分混合した。最後にアーモンド風味チップを投入し、低速で30秒混合した。得られたアーモンド風味チップ配合バターケーキ生地を、紙を敷いたパウンド型に250g流し込んだ。オーブン(フジサワ社製)で、180℃にて40分焼成し、25℃にて40分冷却し、アーモンド風味チップ配合バターケーキを得た。
【0036】
得られたアーモンド風味チップ配合バターケーキについて、20℃にて放置テストを行った。放置テストにおいては、製造直後及び4週間後にバターケーキ部分及びアーモンド風味チップ部分の油分とヨウ素価を測定し、あわせて、アーモンド風味チップ部分及びバターケーキ部分の食感・性状を比較した。その結果、バターケーキ部分からアーモンド風味チップ部分への油分移行が確認され、かつ、4週間後でも白色化やブルームの発生もなく、バターケーキの食感も良好であった。油分の測定結果を表1に、ヨウ素価の測定結果を表2にそれぞれ示す。
【0037】
〔比較例1〕
魚硬化油(融点40℃)15重量部、魚硬化油(融点35℃)33重量部、精製パーム油52重量部及びレシチン0.2重量部を65℃に加熱溶解し、混和後、急冷可塑化し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物の配合油脂中のトランス酸含量は24重量%であり、該配合油脂のSFCは10℃で46%、20℃で27%、40℃で5%であった。得られた油脂組成物を使用した以外は、実施例1と同じ配合・製法でチョコチップ配合ハードビスケットを製造し、実施例1と同様に放置テストを行った。その結果、ビスケット部分からチョコレートチップ部分への油分移行は認められず、4週間後にビスケット部分に若干の白色化部分の発生が認められた。また、ビスケットの食感は実施例1に比べ硬く、口溶けも劣っていた。油分の測定結果を表1に、ヨウ素価の測定結果を表2にそれぞれ示す。
【0038】
〔比較例2〕
精製パーム油(融点35℃)50重量部、パーム硬化油(融点45%)20重量部、ナタネ油30重量部及びレシチン0.1重量部を65℃に加熱溶解し、混和後、急冷可塑化し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物の配合油脂中のトランス酸含量は3重量%であり、該配合油脂のSFCは10℃で37%、20℃で17%、40℃で5%であった。得られた油脂組成物を使用した以外は、実施例2と同じ配合・製法でチョコチップ配合ワイヤーカットビスケットを製造し、実施例2と同様に放置テストを行った。その結果、ビスケット部分からチョコレートチップ部分への油分移行は認められず、4週間後にビスケット部分に若干の白色化部分の発生が認められた。また、ビスケットの食感は実施例2に比べ硬く、口溶けが劣っていた。油分の測定結果を表1に、ヨウ素価の測定結果を表2にそれぞれ示す。
【0039】
〔比較例3〕
ナタネ硬化油(融点36℃)60重量部、ナタネ硬化油(融点25℃)40重量部及びレシチン0.1重量部を65℃に加熱溶解し、混和後、急冷可塑化し、油脂組成物を得た。得られた油脂組成物の配合油脂中のトランス酸含量は41重量%であり、該配合油脂のSFCは10℃で40%、20℃で25%、40℃で1%であった。得られた油脂組成物を使用した以外は、実施例3と同じ配合・製法でアーモンド風味チップ配合バターケーキを製造し、実施例3と同様に放置テストを行った。その結果、バターケーキ部分からアーモンド風味チップ部分への油分移行は認められず、4週間後にアーモンド風味チップ部分に若干のブルームの発生が認められた。また、バターケーキの食感は実施例3に比べ口溶けが悪く、ぱさついていた。油分の測定結果を表1に、ヨウ素価の測定結果を表2にそれぞれ示す。
【0040】
【表1】
Figure 0004785324
【0041】
【表2】
Figure 0004785324
【0042】
【発明の効果】
本発明の油脂組成物を使用した油脂性素材配合ベーカリー食品は、焼成後経時的に発生するブルームや白色化を抑制することができ、かつベーカリー食品に含まれる油脂性素材の焼成加熱による固化現象を緩和できる。

Claims (4)

  1. 油脂性素材を配合したベーカリー生地を焼成してなる菓子類であるベーカリー食品において、焼成後経時的に発生するブルーム及び白色化を抑制し、且つ該油脂性素材の焼成による固化現象を緩和する方法であって、
    上記ベーカリー生地に、マイグレーションを促進させる作用を有する練り込み用油脂組成物を配合し、該マイグレーションを促進させることにより、上記ブルーム及び白色化を抑制し且つ上記固化現象を緩和し、
    上記練り込み用油脂組成物は、油脂を30重量%以上含有し、該油脂のSFCが10℃で1828%、20℃で12%で、40℃で%であり、
    上記油脂は、動植物油脂であるパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油及び鯨油、並びにこれらの各種動植物油脂を水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂からなる群から選択した1種又は2種以上であることを特徴とする、油脂性素材配合ベーカリー食品におけるブルーム、白色化及び油脂性素材固化現象の抑制緩和方法。
  2. 上記油脂は、ナタネ極度硬化油とナタネ硬化油とナタネ液状油とからなる混合油である請求項1記載の抑制緩和方法。
  3. 上記油脂は、大豆極度硬化油と大豆硬化油とからなる混合油である請求項1記載の抑制緩和方法。
  4. 上記油脂は、パーム極度硬化油とナタネ硬化油とパーム軟部油とからなる混合油である請求項1記載の抑制緩和方法。
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