JP5964250B2 - 油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物 - Google Patents
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Description
また、このような灰分含量の高い、後の分離で得られた小麦粉は、2等粉と称され、製パン用、特に風味を大切にする高級なパンの製造には使用できないという問題があった。
そのような小麦粉改質方法の一つとして、小麦粉を湿熱処理する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、この方法では、澱粉に起因する問題は解決可能であるが、灰分に起因する問題を解決することができず、そのため、良好な品質のパン生地やパンを得ることはできなかった。
また、本発明は、上記製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を製造する方法であって、油相と、グルコマンナン及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する水相又は水中油型乳化物とを均一に混合することを特徴とする油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物の製造方法を提供するものである。
本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物は、水相中に(1)グルコマンナン及び(2)グリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する。
グルコマンナンは食用コンニャクの塊茎に含まれ、D−グルコースとD−マンノースがほぼ1:1.6のモル比でβ−1,4結合により多数結合した複合多糖類(難消化性多糖類)である。その分子量は産地や品種等によって異なるものの、約100万〜200万である。その物性は、水との親和性に優れ保水力が非常に高い。また、グルコマンナンは、従来増粘安定剤として用いられており、増粘安定剤の中でも特に粘度が高いことが知られている。
まず、製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を60〜65℃に加熱し完全に溶解させる。その後、溶解した上記乳化油脂組成物から油相を分離し、残りの量を上記水相量(質量%)とする。
尚、上記の水相とは、水及び水溶性成分から構成されるものをいう。
通常の製パン時には、グリセリンモノ脂肪酸エステルをはじめとする乳化剤は、パン生地中で澱粉と強く結合して複合体を形成することで澱粉の膨潤を抑制する。その結果として、余分となった水がグルテン構造の生成に使われることでしっかりとした伸展性良好なグルテン構造が形成される。このように、乳化剤は、パン生地の物性の改良や、得られるパンの体積の増大やソフトな食感を得ることを目的として使用される。しかし、灰分含量の高い小麦粉を使用した場合は、グリアジンの比率が高く、弾性が強いため、水分をたとえ多く供給したとしても良好なグルテン構造が得られない。
上記グリセリンモノ脂肪酸エステルは油溶性であるため、通常、乳化油脂組成物中では油相中に溶解して使用される。しかし、本発明においては、グリセリンモノ脂肪酸エステルを水相中に含有させないとグルコマンナンとの相乗効果が得られない。
まず、製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を60〜65℃で完全に溶解させ、溶解した該乳化油脂組成物から油相を分離し水相部分だけを100〜110℃で完全に乾燥させる。乾燥した水相部分に含まれる脂質成分をガスクロマトグラフィーで分析し、モノグリセリドを定量する。
グリセリンモノ脂肪酸エステルは一般に老化防止効果に優れるものの、水への分散性が悪く、性能を発揮しにくいという欠点を有する。本発明では、グリセリンモノ脂肪酸エステルをグルコマンナンと共に水相に含有させることで、水相中においてもグリセリンモノ脂肪酸エステルが効果的に作用することができ、さらにグルコマンナンが有する多様な機能が最大限に引き出され本発明の効果が発揮されると考えられる。
但し、本発明においては、直接β型の油脂結晶を含有していれば、直接β型の油脂結晶でない油脂結晶、例えばβプライム型の油脂結晶を含有していても良い。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)及び4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
尚、上記の油相とは、油脂に、必要に応じて、乳化剤、着色料、酸化防止剤、着香料、調味料等を添加したものを指す。また、上記の油脂には、乳製品、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材から抽出される脂肪分も含まれる。更に、上記の油脂には、製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物に含まれる油脂として上記で挙げた各種植物油脂、動物油脂及び加工油脂等のほか、後述するS1MS2を含有する油脂及びMS3Mを含有する油脂として挙げるものが含まれる。
上記の直接β型の油脂結晶の例としては、S1MS2(S1及びS2は飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリド(以下S1MS2とする)と、MS3M(S3は飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリド(以下MS3Mとする)とからなるコンパウンド結晶が挙げられる。
上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶とは、構造の異なるS1MS21分子とMS3M1分子とが混合された際、あたかも単一のトリグリセリド分子であるかの如き結晶化挙動を示すものである。コンパウンド結晶は分子間化合物とも呼ばれる。
また、上記のS1MS2のM及びMS3MのMは、好ましくは炭素数16以上のモノ不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数18以上のモノ不飽和脂肪酸、最も好ましくはオレイン酸である。
尚、本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物において、上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶の含有量は、S1MS2とMS3Mのうち、少ない方の含有量の2倍とみなすことができる。
上記のエステル交換油としては、蒸留により精製したパーム油、通常精製したパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
上記のエステル交換油としては、蒸留により精製したパーム油、通常精製したパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
まず、第1の方法として、ある可塑性乳化油脂組成物の油相のトリグリセリド組成を分析し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、例えばS1MS2及びMS3Mの油相中の含有量を測定し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリドが油相中に含有されていること、好ましくはその含有量が前記範囲内にあることを確認することにより、可塑性乳化油脂組成物が直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法が挙げられる。
上記の第3の方法において、ある可塑性乳化油脂組成物中の直接β型の油脂結晶の含有量が多いほど、5℃での保持時間が短くても、得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶となる。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)及び4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
まず、製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を60〜65℃に加熱し完全に溶解させる。その後、溶解した上記乳化油脂組成物から油相を分離する。得られた油相について、さらに高速液体クロマトグラフィー等でトリグリセリドを定量すると共にその組成を分析し、該トリグリセリドに含まれるS1MS2及びMS3Mのそれぞれの含有量を得る。S1MS2の含有量及びMS3Mの含有量のうち、少ない方の2倍量をS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶の含有量とする。
ここで、製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物における油相量(質量%)は、以下の方法によって測定することができる。
まず、製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を60〜65℃に加熱し完全に溶解させる。その後、溶解した上記乳化油脂組成物から油相を分離し、その量を上記油相量(質量%)とする。
本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物は、油相と、グルコマンナン及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する水相又は水中油型乳化物とを均一に混合することにより得ることができる。
先ず、上述のようにして、油相と水相をそれぞれ用意する。次に、上記油相を溶解し、そこへ上記水相を加え、混合乳化し予備乳化物を得る。そして次に、この予備乳化物を必要に応じて殺菌処理する。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
また、本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を製造する際の何れかの工程で、窒素、空気等を含気させてもよい。
グリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する第1の水相又は水中油型乳化物と、タンパク質分解酵素を含有する第2の水相又は水中油型乳化物とを用意し、油相と第1の水相又は水中油型乳化物とを混合、冷却可塑化させ、得られた可塑性乳化油脂組成物に、第2の水相又は水中油型乳化物を混合する。尚、第1の水相又は水中油型乳化物及び第2の水相又は水中油型乳化物は、その組成が、グリセリンモノ脂肪酸エステル及びタンパク分解酵素以外の成分について同じであってもよく、異なっていてもよい。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を使用したパン生地である。
本発明のパン生地における本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物の使用量は、従来の製パン練り込み用可塑性油脂組成物と同様であり、パンの種類によっても異なるが、パン生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を生地に練り込むことにより、製造することができる。
本発明のパン生地は、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法等、従来から製パン法として使用されているあらゆる製パン法を採ることができる。尚、本発明のパン生地を中種法で製造する場合は、本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を中種生地及び/又は本捏生地に練り込むことにより製造することができる。
また、得られた本発明のパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
上記成形は、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。これらの成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
上記加熱処理としては、焼成、蒸し、フライ等を挙げることができる。尚、これらのうちの2種以上の加熱処理を併用してもよい。
また、得られたパンを、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
下記実施例1〜15及び比較例1〜5においては、本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物及び比較用の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物をそれぞれ製造し、下記使用例1〜16及び比較使用例1〜5においては、これらの製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物をそれぞれ用いてパン生地を製造し、該パン生地からパンを焼成し、得られたパンの評価を行った。パン生地の製造に際し、使用例1〜15及び比較使用例1〜5においては灰分含量の高い小麦粉を使用し、使用例16においては灰分含量の低い小麦粉を使用した。
尚、以下の実施例等において、Sは飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す。
<可塑性乳化油脂組成物1の製造>
パームオレイン(ヨウ素価56)のランダムエステル交換油脂80質量部及び大豆油20質量部を均一に混合した混合油脂68.47質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステル1.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水22.9質量部に、(1)成分としてグルコマンナン含有物質(グルコマンナンの純度が70質量%、残部の不純物は、澱粉類、シュウ酸、シュウ酸カリウム等、以下同じ)0.1質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。ここに(2)成分としてグリセリンモノパルミチン酸エステル3.0質量部を添加し分散させた後、60℃に保ったまま、クエン酸を用いてpHを4に調整して水相1を得た。
さらに15℃まで冷却し、ここに、水3.92質量部、タンパク質分解酵素の液体製剤(ノボザイムズジャパン社製、商品名:ニュートラーゼ、酵素の純タンパク質含量は30質量%)0.08質量部を混合して調製した水相2を添加し、インラインミキサーで均一に混合し、油中水型の本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物1を得た。
得られた可塑性乳化油脂組成物1の油相中において、油相基準でSMSの含有量は7.5質量%で、MSMの含有量は6.5質量%であった。
<可塑性乳化油脂組成物2の製造>
パームオレイン(ヨウ素価56)のランダムエステル交換油脂80質量部及び大豆油20質量部を均一に混合した混合油脂68.47質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステル1.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水26.9質量部に、(1)成分としてグルコマンナン含有物質0.1質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。ここに(2)成分としてグリセリンモノパルミチン酸エステル3.0質量部を添加し分散させた後、60℃に保ったまま、クエン酸を用いてpHを4に調整して水相を得た。
得られた可塑性乳化油脂組成物2の油相中において、油相基準で、SMSの含有量は7.5質量%で、MSMの含有量は6.5質量%であった。
<可塑性乳化油脂組成物3の製造>
水を26.94質量部、グルコマンナン含有物質を0.06質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物3を得た。
<可塑性乳化油脂組成物4の製造>
水を24.60質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステルを5.0質量部、グルコマンナン含有物質を0.40質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物4を得た。
<可塑性乳化油脂組成物5の製造>
水を26.98質量部、グルコマンナン含有物質を0.02質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物5を得た。
<可塑性乳化油脂組成物6の製造>
水を26.30質量部、グルコマンナン含有物質を0.70質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物6を得た。
<可塑性乳化油脂組成物7の製造>
水を26.00質量部、グルコマンナン含有物質を1.00質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物7を得た。
<可塑性乳化油脂組成物8の製造>
水を24.50質量部、グルコマンナン含有物質を2.50質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物8を得た。
<可塑性乳化油脂組成物9の製造>
水を29.30質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステルを0.6質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物9を得た。
<可塑性乳化油脂組成物10の製造>
水を20.90質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステルを9.0質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物10を得た。
<可塑性乳化油脂組成物11の製造>
パームオレイン(ヨウ素価65)のランダムエステル交換油脂95質量部及びパームステアリン5質量部を均一に混合した混合油脂68.47質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステル1.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水26.9質量部に、(1)成分としてグルコマンナン含有物質0.1質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。ここに(2)成分としてグリセリンモノパルミチン酸エステル3.0質量部を添加し分散させた後、60℃に保ったまま、クエン酸を用いてpHを4に調整して水相を得た。
上記油相に上記水相を加え混合乳化し予備乳化物とした後、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、油中水型の本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物11を得た。
得られた可塑性乳化油脂組成物11の油相中において、油相基準で、SMSの含有量は7.1質量%で、MSMの含有量は7.0質量%であった。
<可塑性乳化油脂組成物12の製造>
パーム油80質量部及び大豆油20質量部を均一に混合した混合油脂68.47質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステル1.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水26.9質量部に、(1)成分としてグルコマンナン含有物質0.1質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。ここに(2)成分としてグリセリンモノパルミチン酸エステル3.0質量部を添加し分散させた後、60℃に保ったまま、クエン酸を用いてpHを4に調整して水相を得た。
上記油相に上記水相を加え混合乳化し予備乳化物とした後、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、油中水型の本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物12を得た。
得られた可塑性乳化油脂組成物12の油相中において、油相基準で、SMSの含有量は19.9質量%で、MSMの含有量は1.3質量%であった。
<可塑性乳化油脂組成物13の製造>
グルコマンナン含有物質0.1質量部を0.0質量部とし、水を27質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物13を得た。
<可塑性乳化油脂組成物14の製造>
グルコマンナン含有物質0.1質量部に代えてキサンタンガムを0.1質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物14を得た。
<可塑性乳化油脂組成物15の製造>
グルコマンナン含有物質0.1質量部に代えてアルギン酸ナトリウムを0.1質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物15を得た。
<可塑性乳化油脂組成物16の製造>
パームオレイン(ヨウ素価56)のランダムエステル交換油脂80質量部及び大豆油20質量部を均一に混合した混合油脂68.47質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステル1.5質量部、コハク酸モノグリセリン脂肪酸エステル3.0質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水26.9質量部に、(1)成分としてグルコマンナン含有物質0.1質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。さらに、クエン酸を用いてpHを4に調整して水相を得た。
上記油相に上記水相を加え混合乳化し予備乳化物とした後、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、油中水型の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物16を得た。
得られた可塑性乳化油脂組成物16の油相中において、油相基準で、SMSの含有量は7.5質量%で、MSMの含有量は6.5質量%であった。
<可塑性乳化油脂組成物17の製造>
パームオレイン(ヨウ素価56)のランダムエステル交換油脂80質量部及び大豆油20質量部を均一に混合した混合油脂68.47質量部に、60%トコフェロール0.01質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステル4.5質量部及び香料0.02質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水26.9質量部に、(1)成分としてグルコマンナン含有物質0.1質量部を添加、溶解させ、60℃に調温した。さらに、クエン酸を用いてpHを4に調整して水相を得た。
上記油相に上記水相を加え混合乳化し予備乳化物とした後、コンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、油中水型の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物17を得た。
得られた可塑性乳化油脂組成物17の油相中において、油相基準で、SMSの含有量は7.5質量%で、MSMの含有量は6.5質量%であった。
<可塑性乳化油脂組成物18の製造>
水を24.45質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステルを5.0質量部、グルコマンナン含有物質を0.55質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物18を得た。
<可塑性乳化油脂組成物19の製造>
水を23.5質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステルを5.0質量部、グルコマンナン含有物質を1.5質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物19を得た。
<可塑性乳化油脂組成物20の製造>
水を17.4質量部、グリセリンモノパルミチン酸エステルを12.5質量部とした以外は<可塑性乳化油脂組成物2の製造>と同様の方法で本発明の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物20を得た。
まず、可塑性乳化油脂組成物1を60〜65℃で完全に溶解させ、溶解した該乳化油脂組成物1から油相を分離し水相部分だけを100〜110℃で完全に乾燥させた。その後、乾燥した水相部分中に含まれる脂質成分をガスクロマトグラフィーで分析することにより、水相中のグリセリンモノパルミチン酸エステルの存在を確認した。実施例2〜15においても同様の確認を行った。
<プルマン型食パンの配合・製法>
強力粉(輸入小麦粉、タンパク質含量13.0質量%、灰分0.52質量%)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。
この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉(輸入小麦粉、タンパク質含量13.0質量%、灰分0.52質量%)30質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.5質量部及び水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物8質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。
ここで、フロアタイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行なった。次いで、ベンチタイムを20分とった後、 モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマン型食パンを得た。
尚、各使用例、比較使用例で使用した製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物は表2−1及び2−2に示した。
強力粉(輸入小麦粉)に代えて、強力粉(商品名:カメリア、日清製粉製、タンパク質含量11.8質量%、灰分0.37質量%)を用いた以外は使用例1と同様にしてプルマン型食パンを得た。
・生地作業性
◎:べとつきもなく伸展性もよく、極めて良好な作業性であった。
○:良好な作業性であった。
△:ややべとつきが感じられるか、又は、やや伸展性が悪く、若干劣る作業性であった。×:べとつきがあるか、又は、伸展性が悪く、作業性が劣るものであった。
・外観(着色)
◎:きわめて良好
○:良好
△:ややくすんだ焼き色である。
×:赤茶けた色である。
・外観(体積)
◎:体積が大きく、細い均一なホワイトラインを有し、上面の4隅の角もしっかり出たプルマンブレッドである。
○:体積が大きく、ホワイトラインを有し、上面の4隅の角もしっかり出たプルマンブレッドである。
△:体積がやや小さく、明瞭なホワイトラインがなく、上面の4隅の角も丸いプルマンブレッドであった。
×:体積が小さいため、上面が平らにならず、曲面であるプルマンブレッドである。
・外観(保型性)
◎:腰折れは全く見られなかった。
○:若干の焼き細りはあるが、腰折れは見られなかった。
△:若干の腰折れが見られた。
×:激しい腰折れが見られた。
◎:気泡膜が薄く、均一で、タテ目である。
○:気泡膜が薄く、均一である。
△:不均一で、やや目が詰まっている。
×:気泡膜が厚く、不均一で、目が詰まっている。
・内相(色相)
◎:光沢のある白色であり、きわめて良好
○:ほぼ白色であり良好
△:ややくすんだ色である。
×:暗くくすんだ色である。
・風味
◎:きわめて良好
○:良好
△:エグ味がありムレ臭がある。
×:エグ味がありムレ臭が激しい。
◎:きわめて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
・食感(ソフト性)
◎:きわめて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
・食感(歯切れ)
◎:きわめて良好
○:良好
△:ややねちゃつく
×:ねちゃつきが激しい
◎:ソフトで歯切れも良好である。
○:ソフトである。
△:硬い食感でありやや悪い。
×:硬い食感でヒキが強く極めて悪い。
・2日後にトーストした際の形状
◎:形状の変化がなく極めて良好である。
○:形状にわずかな歪みが見られる。
△:形状に歪みがみられる。
×:形状が大きく湾曲し、極めて悪い。
これに対して、表2−2の結果から、水相中に(1)グルコマンナン及び(2)グリセリンモノ脂肪酸エステルの一つでも欠けた製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を使用すると、製パン作業性とパンの品質の全てを満足するものにならないことがわかる。
Claims (9)
- 水相中にグルコマンナン及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有し、上記水相中における上記グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量が、可塑性乳化油脂組成物基準で0.5〜14質量%であることを特徴とする油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物。
- 上記グルコマンナンの含有量が0.01〜2.1質量%である、請求項1記載の油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物。
- 上記グルコマンナンとして、該グルコマンナンの純度が50質量%以上であるグルコマンナン含有物質を含有する、請求項1又は2記載の油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物。
- 油相中に直接β型の油脂結晶を含有する請求項1〜3のいずれか一項記載の油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物。
- 上記直接β型の油脂結晶を油相中に、油相基準で5〜50質量%含有する請求項4記載の油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物。
- タンパク質分解酵素を含有しない請求項1〜5のいずれか一項記載の油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を使用したことを特徴とするパン生地。
- 灰分0.45質量%以上の小麦粉を使用した請求項7記載のパン生地。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物を製造する方法であって、油相と、グルコマンナン及びグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する水相又は水中油型乳化物とを均一に混合することを特徴とする油中水型である製パン練り込み用可塑性乳化油脂組成物の製造方法。
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