JP4707694B2 - 小麦生胚芽粉末を含む焼き菓子用穀粉及びこれを使用した焼き菓子 - Google Patents

小麦生胚芽粉末を含む焼き菓子用穀粉及びこれを使用した焼き菓子 Download PDF

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本発明は、生胚芽粉末を含む焼き菓子用穀粉及びこれを使用した焼き菓子に関する。
小麦粉は、元来石臼などで製粉して、ふすま(小麦の皮部)が多く混入したものが使われてきた。
しかし、製粉用ロール機やピュリファイヤの発明、製粉機器の加工精度の上昇、製粉ソフトウエア(機械の組み合わせ方法など)の発達により、小麦粉製造技術はここ数十年で長足の進歩を遂げ、生産される小麦粉のグレード(ふすまなどの混入率の低さ)も著しく上昇した。
その傾向は、欧米諸国などよりも日本の方が著しい。
小麦粉のグレードの上昇は、菓子やパンなどの加工製品の色調を良くすること、ふすまや胚芽の混入を抑えて加工性を良くすること、ふすまに由来するにが味などを押さえることを目的としている。
小麦には炭水化物、たん白質、脂質、無機質、ビタミン類、食物繊維などの栄養素が含まれる。
そのうち、食物繊維や無機質はふすま中に多く、穀粉中には少量しか含まれないので、それらの増量のために食品にふすまを加えることがある。
また、脂質(特に必須脂肪酸を多く含むもの)、ビタミン類(ビタミンB群とビタミンE)は胚芽中に偏在しているので、それらの栄養成分を増量するために、食品に胚芽を加えることがある。
ベーカリー製品に利用される胚芽は、焙煎処理したものがほとんどである(例えば特許文献1参照)。
焙煎以外には、乳酸菌で醗酵させる方法も知られている(例えば特許文献2参照)。
しかし、胚芽中のグルタチオンが生地性を悪化させるため(例えば非特許文献1参照)、従来、焙煎等の処理を行っていない胚芽をベーカリー製品に加えることはなかった。
ベーカリー製品以外では、乳飲料などへの胚芽の添加が知られているが、そのような場合にも、焙煎した胚芽を使用している(例えば特許文献3参照)。
小麦胚芽は、小麦粉製粉ライン中で、ロール機での処理によるサイズ変化を利用して採取される。
一定の粒度をもつ小麦胚乳、小麦胚芽、小麦ふすまの混合物をロール機にかけると、胚乳は砕かれて粉状となるが、ふすまはロール機でほとんど砕けないため、サイズの変化はない。
胚芽は柔らかいので、ロールにより押しつぶされてフレーク状になり、サイズは元の粒子よりも大きくなる。
したがって、ロール機の処理後に、元の粒子よりも粗い目開きの篩いを通すことで、胚芽を回収することができる。
小麦胚芽はこのような方法で製造されており、粒径は1mm前後が多く、細かくても500〜800μm程度である。
生の小麦胚芽は、粉砕することが困難なので、前記のとおり生の胚芽粉末を食品に添加することはなかった。
小麦粉加工品(例えば焼き菓子)の風味の改良には、何らかの風味を持つ素材(例えばフルーツ、ハーブ、スパイス)などを配合する方法、香料などの添加物を使用する方法、生地もしくは原材料の一部を酵母や乳酸菌などで発酵させる方法(例えば特許文献4参照)、原材料の一部を焙煎して風味を付ける方法(例えば特許文献5参照)などが知られている。
一方、小麦粉を使用して製造する焼き菓子の食感の改良には、油脂や乳化剤を添加する方法、デキストリン還元物を添加する方法(例えば特許文献6参照)、セルラーゼを添加する方法(例えば特許文献7参照)、麹や酵母を添加する方法(例えば特許文献8参照)などが知られている。
特開2000−350560号公報 特表平10−508477号公報 特開昭59−232047号公報 特開2004−357631号公報 特開2005−229832号公報 特開2001−321084号公報 特開2005−304441号公報 特開2002−125577号公報 「小麦英和用語集」、日本麦類研究会、昭和57年
本発明の目的は、風味と食感に優れる焼き菓子を製造するための穀粉及び前記穀粉を使用した焼き菓子を提供することである。
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、粉末状に加工した生胚芽(以下、「生胚芽粉末」ともいう)を穀粉中に1.0〜5.0質量%含み前記穀粉の灰分が1.00質量%以下である穀粉を使用した焼き菓子は食感および風味が著しく改良されることを見出し本発明を完成するに至った。
従って、本発明は目開き200μmの篩を通過する大きさの小麦生胚芽粉末を穀粉中1.0〜5.0質量%含み、前記穀粉の灰分が1.00質量%以下である焼き菓子用穀粉、目開き200μmの篩を通過する大きさの小麦生胚芽粉末を小麦粉中1.0〜5.0質量%含み、前記小麦粉の灰分が1.00質量%以下である焼き菓子用小麦粉及び前記穀粉又は前記小麦粉を使用して製造した焼き菓子である。
本発明の焼き菓子用穀粉及び焼き菓子用小麦粉は胚芽を含んでいるにもかかわらず優れた保存性を有する。
本発明の焼き菓子用穀粉及び焼き菓子用小麦粉を使用した焼き菓子は優れた風味と食感を有し、ビタミンB群、ビタミンE、無機質、必須脂肪酸などに富み、栄養価も高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
焼き菓子を製造する主原料として、小麦粉単独又は小麦粉と小麦粉以外の穀粉や澱粉、バイタルグルテンを混合して使用する場合があり、小麦粉に添加する小麦粉以外の穀粉や澱粉、バイタルグルテンは焼き菓子の食感や風味を改良することを目的としている。
本発明の穀粉とは、小麦粉単独又は小麦粉と小麦粉以外の穀粉や澱粉、バイタルグルテンを混合したものをいう。
本発明で使用できる小麦粉には薄力小麦粉、中力小麦粉、強力小麦粉、デュラムフラワー、デュラムセモリナ、およびそれらを混合したものを含む。
焼き菓子には薄力小麦粉を使う場合が多いが、製造する焼き菓子の種類や食感上の特徴を出すなどの目的で、中力小麦粉、強力小麦粉、デュラムフラワーを使用するか、又はそれらを薄力小麦粉に混合して利用する場合があり、さらにはデュラムセモリナを混合して使用する場合もある。
本発明で使用できる小麦粉以外の穀粉は、焼き菓子用に使用できる穀粉であれば特に限定されず、例えば、そば粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、トウモロコシ粉、ソルガム粉、黍粉、ハトムギ粉、稗粉、粟粉又はオーツ粉末等を使用することができる。
本発明で使用できる澱粉としては、焼き菓子用に使用できる澱粉であれば特に限定されず、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、うるち米澱粉、もち米澱粉、さつまいも澱粉、小豆澱粉、緑豆澱粉、さご澱粉、くず澱粉、どんぐり澱粉、片栗澱粉等の生澱粉や、これらをアルファ化、部分アルファ化、エーテル化、エステル化、架橋、酸化、クラスレート化などの処理をした加工澱粉も使用することができる。
本発明の生胚芽粉末とは、焙煎等の非酵素的褐変化反応をともなう加熱をしていない穀物の胚芽を粉末状に加工したものをいう。
小麦粉製粉工程とは別の粉砕機で胚芽粉末を製造して添加する場合、使用する胚芽には、搾油した残りの脱脂胚芽も焙煎等の加熱をしていない場合に限り使用可能である。
本発明において、焙煎等の加熱をした胚芽は、焼き菓子の改良に難点があるので使用できない。
本発明に使用できる穀物の胚芽としては、小麦胚芽、とうもろこし胚芽、ライ麦胚芽などが挙げられる。
植物の種類が異なると胚芽の成分組成も異なるため、焼き菓子に使用したときに生成される香りは胚芽によって異なったものとなる。
このことを利用して、求める風味により胚芽を使い分けることが可能となる。
例えば、とうもろこし胚芽の粉末を使用すると、焼きとうもろこしのような風味を付与することができる。
生胚芽粉末の小麦粉への添加方法としては、小麦粉製粉工程中で胚乳とともに粉砕して、小麦粉に混ざった形で採取する方法(例えば石臼で製粉する)や小麦粉製粉工程とは別の粉砕機で粉砕した生胚芽粉末を小麦粉に添加する方法がある。
広く行われているロール式製粉では生胚芽の粉砕が困難である。
製粉の工程で生胚芽の粉砕が困難な場合には、別途粉砕した生胚芽粉末を小麦粉に添加する方法を採ることになる。
前記した2つの方法で生胚芽粉末を添加した小麦粉は、粉末状の生胚芽が混入しているという点では同一であり、生胚芽粉末の添加方法は焼き菓子の加工性や品質に影響を及ぼさない。
従って、本発明では小麦粉に生胚芽粉末を加えるための方法は、前記したいずれの方法も使用できる。
焙煎胚芽はビタミン類などの栄養素の増量を目的として食品に添加されるが、保存による油脂の劣化を起こし易い(焙煎時に発生したフリーラジカルが連鎖反応を引き起こすためと推定される)ので、小麦粉に添加するという用途に適しているとはいえない。
焙煎胚芽は酸化を抑える目的で酸化防止剤を入れた密封パッケージで販売されているが、小麦粉はエージング(空気中の酸素による酸化により、グルテン蛋白の性状が改善されること)をとるために通気性の紙袋で包装される。
そのため、小麦粉と焙煎胚芽の双方に適した包装形態は存在せず長期保存が困難であった。
生の胚芽を添加した場合には、非酵素的褐変化反応に使われなかったアミノ酸などが食品に甘味や旨味を与えるが、焙煎胚芽を使用した場合には、胚芽由来のアミノ酸はほとんど残らない。
したがって、焙煎胚芽を使用した焼き菓子は、ロースト臭は強くても、焦げ臭を伴う不快な香りとなり、味も甘味や旨味が失われて薄っぺらなものとなってしまう。
そのような理由により、焙煎胚芽を粉末状にして小麦粉に添加しても、本発明の課題は達成できない。
生の胚芽は各種酵素やグルタチオンを含んでおり、保存中に成分(特に油脂)が分解されたり、生地に加えたときにグルテンの弱化やべたつきを生じたりする。
しかし、粉末状にして小麦粉に添加すると、生地性の悪化が少なくなる。
表面積を大きくすると、前記の成分の一部が(おそらく空気中の酸素により酸化されることで)破壊されるためと推定される。
生胚芽は、胚芽油を採取した残りの脱脂胚芽も、焙煎していない場合に限り使用可能である。
胚芽油の抽出により、脂溶性のビタミン類や、一部のアミノ酸が失われるという欠点はあるため、搾油前の胚芽と比較すると効果はやや落ちるが、糖やアミノ酸は残っているため使用可能である。
本発明の生胚芽粉末の粒径は、目開き200μmの篩いを通過する大きさである。
生胚芽は、粉末にした方が表面積が大きくなり、風味を発生させる非酵素的褐変化反応が均一に起こり易くなる。
また、フレーク状生胚芽を焼き菓子に添加すると、食感にざらつきなどの違和感を感じるが、生胚芽粉末ではその問題が解消される。
さらに、フレーク状生胚芽を添加した場合には製品に濃褐色の斑点が多数見られるようになり、外観を損なうという問題がある。
濃褐色の斑点に関しては、消費者に胚芽が入っているということをアピールできるために欠点ではなく長所とする見方もあるが、主流の考え方とはいえない。
小麦粉に生胚芽粉末を添加する際には、小麦粉と同じ粒度にするのが、粉体の取り扱い上も望ましい。
小麦粉の製造には篩いの工程が含まれており、フレーク状の生胚芽を加えても篩いで除去されてしまうが、生胚芽粉末は篩いを抜けるので、既存の製造設備をそのまま使用した製造が可能となる。
従来の小麦粉は、特殊なものを除き目開き212μmもしくは200μmの篩いを通過するように粒度調整されている。
小麦粉にはでんぷんやたん白質が豊富に含まれるのに対し、生胚芽には遊離糖や遊離アミノ酸が多く含まれる。
遊離糖や遊離アミノ酸はアミノカルボニル反応やカラメル化反応といった非酵素的褐変化反応により多種多様な物質を生成することで風味を発生する。
でんぷんやたん白質が非酵素的褐変化反応の材料とならないわけではないが、遊離糖や遊離アミノ酸と比べると、効率は遥かに劣る。
したがって、生胚芽を含む素材を非酵素的褐変化反応が起こる条件で加熱すれば、風味が良い食品を製造することができる。
焼き菓子は、非酵素的褐変化反応が起こる条件で加熱する代表的な食品である。
焼き菓子とは、小麦粉などの穀粉、糖(砂糖、黒糖、異性化糖、コーンシロップ、デキストロース、蜂蜜、モルトシロップ、メイプルシロップ、糖蜜など)、鶏卵(全卵、卵黄、卵白、乾燥全卵、乾燥卵黄、乾燥卵白など)を主な材料とし、場合によっては油脂、乳製品、膨剤など他の素材も加えた上で生地(バッターを含む)を作り、焼成した菓子類を指すことが多く、本発明の焼き菓子もこの定義に従う。
本発明における焼成とは、非酵素的褐変化反応が起こる条件で加熱することをいう。
焼成は、放射熱、伝導熱、対流を利用したオーブンや、熱した金属板もしくは金属の型、石などに被加熱物質を乗せて加熱する方法が一般的であるが、非酵素的褐変化反応が起こる条件での加熱であれば、方法は特に限定されない。
高温の液体(例えば食用の油脂)に被加熱物質を入れて揚げる方法も、非酵素的褐変化反応が起こるので本発明の焼成に含む。
茹でる、蒸すなどの加熱方法は、非酵素的褐変化反応がほとんど起きないので焼成には含まないが、高温(例えば150℃以上)の水蒸気を使用して被加熱物質に非酵素的褐変化反応が起こるような条件で加熱する場合は本発明の焼成に含まれる。
なお、非酵素的褐変化反応においては、初期段階で風味発生に関連する反応が起こり、その後に褐変化反応が続くが、焼き菓子の褐変化まで反応が進んでいなくても、風味発生の反応が開始していれば、本発明の焼成に含む。
本発明の焼き菓子とは、スポンジ類(スポンジケーキ、ジェノワーズ、ビスキュイ、ジョコンド、ビスキュイ・オ・ザマンド、ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール、ビスキュイ・ド・サヴォワ、シフォンケーキ、エンゼルフードケーキ、デビルズフードケーキ、ブッセ、パフケーキ、オムレット、モーレンコップフ、ドボス等を含む)、パウンドケーキ類(パウンドケーキ、マドレーヌ、フィナンシェ、マフィン、ガトー・ウィークエンド、バウムクーヘン、ザントマッセ、ザッハ等を含む)、ビスケット類(ビスケット、クッキー、サブレ、ラング・ド・シャ、クラッカー、ビスコッティ、ボーロ、ウェハース、プレッツェル、スコーン、ショートブレッド、シュトロイゼル、レープクーヘン、ホーニッヒクーヘン、ブレッヒクーヘン、包餡クッキー、フロランタン、ポルポローネ、ゴーフル、ガレット、エンガディナー、杏仁酥等を含む)、タルト(タルト、ガトー・バスク、リンツァートルテ、ミルリトン等を含む)、発酵菓子類(クグロフ、シュトーレン、シュネック、ラスク、ブリオッシュ、クロワッサン、パネトーネ等を含む)、パイ(ピティヴィエ、パイ饅頭、エッグタルト等を含む)、メレンゲ類(ダコワーズ、マカロン、クロッカン、スフレ等を含む)、プリン類(ファーブルトン、フラン、クラフティ、プディング等を含む)、饅頭類(栗饅頭、カステラ饅頭、桃山、月餅、乳菓等を含む)、シュー、ガトー・ショコラ、カヌレ、ベイクドチーズケーキ、ブラウニー、カステラ、甘食、丸ボーロ、金属製の板や型を直接火にかけて焼く菓子類(きんつば、クレープ、ホットケーキ、パンケーキ、どら焼き、ワッフル、たいやき、今川焼(回転焼、大判焼を含む)、人形焼、おやき、せんべい類(瓦煎餅、南部煎餅、えびせん等を含む)等を含む)、揚げ菓子類(かりんとう、ベニエ、ドーナツ等を含む)等が代表的なものとして挙げられる。
さらに、前記焼き菓子の組み合わせ(例えばコンヴェルサシオン、ポンヌフなど)や、前記焼き菓子にクリームやフルーツなどのフィリングやトッピングを加えるなどの加工を施したもの(例えばショートケーキなど)も焼き菓子に含む。
蒸し菓子(柏餅、粽、桜餅、おはぎ、蒸しまんじゅう、蒸しカステラ、羊羹)、糖菓(飴やボンボン・ショコラ)、氷菓(アイスクリームやシャーベット)、冷菓(バヴァロア、ムース、ゼリー、ブランマンジェ、杏仁豆腐)は、焼き菓子には含まない。
生胚芽粉末を加えることにより、焼き菓子の食感はもろく(サクく)、口溶けは良くなる。
焼き菓子の組織は糊化した澱粉による結合力で保持されているが、生胚芽粉末は全く糊化しないので、組織の結合が弱まり、もろく、口溶けが良い食感となる。
また、生胚芽中の油脂も焼き菓子中の組織の結合力を弱める働きを持つ(脱脂生胚芽を使用した場合には、食感改良効果は弱くなる。)。
焼き菓子用穀粉中に含まれる生胚芽粉末の量は、1.0〜5.0質量%である。
小麦粉単独の場合は小麦粉に対し1.0〜5.0質量%であるが、小麦粉及び小麦粉以外の穀粉や澱粉、バイタルグルテンを小麦粉と共に使用する場合には、小麦粉及び小麦粉以外の穀粉や澱粉の合計に対し1.0〜5.0質量%である。
これは、小麦粉以外の穀粉や澱粉を添加する場合に、小麦粉中の澱粉と外から加えた小麦粉以外の穀粉や澱粉、バイタルグルテンは、焼き菓子の骨格を形作るという点では共通しており、風味の観点からは小麦粉が増量されたと見做すことができるためである。
穀粉によっては特有の風味を持つものもあるが、それらの風味は本発明における胚芽由来の香ばしい香りとは相性がよい。
小麦粉以外の穀粉は、食感改良や風味付けのために焼き菓子に添加して使用されることがある。
風味付け目的での利用において、本発明の生胚芽粉末の添加と合わせて使用すれば、風味に幅広いバリエーションを持たせることが可能となり、特徴を持った焼き菓子の製造するための有効な手段となる。
生胚芽粉末の穀粉に対する添加量が1.0質量%未満では、風味の発生が弱すぎて添加しない場合との差がほとんど分からない。
生胚芽粉末の穀粉粉に対する添加量が5.0質量%を超えると、濃厚な風味は発生するものの、えぐ味や焦げ臭などの不快な味と香りが感じられるようになり、また加工する製品によっては作業性が悪化するため、好ましくない。
生胚芽粉末の量が1.0〜5.0質量%条件を満たした小麦粉でも、ふすまの混入量があまりに多いと、風味の改良は期待できない。
灰分が高すぎる場合には、ふすま臭やにが味、えぐ味等の原因となったり、焼き菓子製造時の作業性が劣るなどの問題が発生する。
例えば、全粒小麦粉には、生胚芽は2〜3質量%程度含まれるが、ふすまの比率が高すぎるため、ふすま臭やにが味、えぐ味が強く、風味は劣る。
従って、本発明の小麦粉は、食品用途として相応しい品質である必要があり、生胚芽粉末を添加した状態で、灰分含有量が1.00質量%以下であることが好ましい。
0.80質量%以下の灰分含有量だと一層好ましい。
なお、本発明の灰分の値は、酢酸マグネシウム添加灰化法により測定した値である。
現時点の技術レベルで、市販の小麦粉の灰分下限は0.32〜0.33質量%程度であり、さらに研究レベルでは灰分0.29質量%程度の小麦粉を試作することができる。
したがって、その灰分の小麦粉に胚芽を1.0質量%混ぜたものが灰分の下限となる。
しかしながら、今後の製粉技術の改良や、小麦の品種改良によっては、さらに低灰分の小麦粉が製造できる可能性がある。
胚芽の混入量が1.0質量%以上、5.0質量%以下の範囲に入っていれば、アミノ酸等の含有量は焼き菓子の品質を向上させる範囲に入るため、元となる小麦粉の灰分がさらに下がった場合を仮定しても、焼き菓子の品質に対する効果は失われない。
そのような理由により、灰分の下限については厳密には設定できない。
本発明の焼き菓子用小麦粉は必要に応じ焼き菓子に使用する副資材を配合することができる。
本発明の焼き菓子用小麦粉を使用した焼き菓子は、既存の生胚芽添加食品と同様に、ビタミンB群、ビタミンE、無機質、必須脂肪酸などに富み、栄養価も高い。
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
代表的な焼き菓子として、サブレとスポンジケーキ、ドーナッツ、南部煎餅による評価を行った。
[実施例1〜5、比較例1〜7]
市販の薄力小麦粉(灰分0.36質量%、胚芽0.0質量%)に生胚芽粉末(灰分3.53質量%、胚芽99.3質量%)を添加してサブレの試作を行い、風味と食感の評価を行った。
小麦粉への生胚芽粉末の添加量は、実施例1で1.0質量%、実施例2で2.0質量%、実施例3で3.0質量%、実施例4で4.0質量%、実施例5で5.0質量%、比較例1で0.0質量%、比較例2で0.5質量%、比較例3で6.0質量%、比較例4で10.0質量%であった。
また、比較例5〜7は小麦粉にフレーク状生胚芽(灰分3.58質量%、胚芽92.8質量%)を添加したもので、生胚芽の添加量は比較例5で1.0質量%、比較例6で3.0質量%、比較例7で5.0質量%であった。
生胚芽粉末は、市販の小麦胚芽に粉砕したドライアイスを混合してレッチェ社製超遠心粉砕機により粉砕し、製粉用の7xxの篩い(目開き200μm)で抜けたものを使用した。
フレーク状生胚芽は、市販の小麦胚芽を使用した。
なお、前記灰分は酢酸マグネシウム添加灰化法により測定したものであり、前記胚芽純度は蛍光光度法により測定したものである。
サブレの評価は以下のとおり行った。
(1)ミキサー内でバター180gと砂糖135gを合わせてミキシングした。
(2)ミキシングしながら、卵162gを少しずつ加えた。
(3)篩った小麦粉300gを合わせてミキシングした。
(4)生地をビニール袋に入れて一晩冷蔵庫でねかした。
(5)翌日、生地を3.5mm厚に延ばした。
(6)径6cmの型で抜いて、天板に並べた。
(7)180℃のオーブンで15分焼成した。
(8)製品の粗熱がとれたらビニール袋に入れて保管した。
(9)経験を積んだ10名のパネラーにより、次に示す基準で官能評価を行った。
評価項目は、外観(色調を含む)、風味、食感(硬さ、サクさ、口溶け)を、次の7段階で数値化し、10名の評点の平均を取った。
7点 非常に優れる
6点 優れる
5点 やや優れる
4点 普通
3点 やや劣る
2点 劣る
1点 非常に劣る
製菓時の作業性は、加工を行った製菓技術者2名が評価を行い、前記の7段階で数値化して、2名の平均を取った。
結果を表1に示す。
Figure 0004707694
小麦粉に加える生胚芽粉末の量を増やしていくと、風味、硬さ、サクさ、口溶けが向上した。
しかし、添加量が6.0質量%以上になると、濃厚な風味の中にえぐ味を感じるようになり、サブレの風味としては適さなくなった。
また、食感に関しても最適値を超えてしまっており、生胚芽添加量が6.0質量%以上になると評価が急激に下がった。
フレーク状生胚芽を加えた比較例5〜7では、風味、硬さ、サクさに対する効果は、程度は弱いものの生胚芽粉末と同一傾向である。
ただしフレーク状生胚芽の場合は、サブレの表面に黒点が浮き出たり、ざらつきが目立って口溶けが劣ったりといった問題がみられた。
以上の結果より、生胚芽粉末を1.0〜5.0質量%の範囲で添加した小麦粉で、サブレの風味と食感が優れていた。
[実施例6〜10、比較例8〜12]
市販の薄力小麦粉に生胚芽(粉末およびフレーク)を添加してスポンジケーキの試作を行い、風味と食感の評価を行った。
小麦粉への生胚芽粉末の添加量は、実施例6で1.0質量%、実施例7で2.0質量%、実施例8で3.0質量%、実施例9で4.0質量%、実施例10で5.0質量%、比較例8で0.0質量%、比較例9で0.5質量%、比較例10で6.0質量%であった。
また、比較例11および比較例12は小麦粉にフレーク状生胚芽を添加したもので、生胚芽の添加量は比較例11で1.0質量%、比較例12で5.0質量%であった。
なお、市販の薄力小麦粉、生胚芽粉末、フレーク状生胚芽は、実施例1〜5と同じものを使用した。
スポンジケーキの評価は以下のとおり行った。
(1)ミキサー内で鶏卵170gと砂糖120gを混合し、良く泡立てた。
(2)篩った小麦粉を100g加えてミキシングした。
(3)スポンジ型に生地を流し込んだ。
(4)180℃のオーブンで30分焼成した。
(5)型から取り出して、放冷した。
(6)放冷後、ビニール袋に入れて保管し、翌日に評価を行った。
評価項目は、外観(色調を含む)、風味、食感(硬さ、口溶け)とし、次の7段階で数値化し、10名の評点の平均を取った。
7点 非常に優れる
6点 優れる
5点 やや優れる
4点 普通
3点 やや劣る
2点 劣る
1点 非常に劣る
製菓時の作業性は、加工を行った製菓技術者2名が評価を行い、前記の7段階で数値化して、2名の平均を取った。
結果を表2に示す。
Figure 0004707694
風味に関しては、添加量が1.0〜5.0質量%の範囲で、甘さの角が取れてまろやかな味になり、こんがりとした香りを感じた。
しかし、生胚芽粉末添加量が6.0質量%になると、風味は濃厚であるが、焦げ臭とえぐ味を感じ、スポンジケーキとしては不快な風味となった。
食感に関しては、生胚芽粉末添加量が1.0〜5.0質量%の範囲では、ソフトな弾力を感じ、口溶けも良好であった。
しかし、生胚芽粉末添加量が6.0質量%になると、弾力が強くなりすぎ、硬さを感じた。
生胚芽粉末添加量が0.5質量%の場合、生胚芽粉末無添加とほとんど差を感じなかった。
フレーク状生胚芽を加えた場合、若干風味の改良が認められたが、生胚芽粉末の場合と比較すると、効果は大幅に劣った。
さらに、フレーク状生胚芽の添加量が増えると、ざらつきを感じるため、口溶けがやや劣った。
以上の結果より、生胚芽粉末を1.0〜5.0質量%の範囲で添加した小麦粉で、スポンジケーキの風味と食感が優れていた。
[実施例11、比較例13]
ドーナッツの評価は次のとおり行った。
小麦粉200g、グラニュー糖80g、脱脂粉乳20g、ベーキングパウダー10g、食塩2g、ショートニング16g、鶏卵(全卵)40g、水80mlをミキサー中で2分攪拌して均一な生地とした。
実施例11では前記小麦粉として、市販の薄力小麦粉155.2g、市販の強力小麦粉38.8g、生胚芽粉末6gを混合したものを使用した(生胚芽粉末は実施例1〜5と同様の方法で製造したものである。)。
また、比較例13では前記小麦粉として、市販の薄力小麦粉160g、市販の強力小麦粉40gを混合した小麦粉を使用した。
前記生地を1cm厚に伸ばし、リング型の抜き型で1個45gに抜いた。
型抜きした前記生地を180℃の揚げ油中に投入し、片面1分づつ、計2分間フライし、ケーキドーナッツを製造した。
実施例11の小麦粉で製造したドーナッツは、比較例13の小麦粉によるものと比較して風味が強く、口溶けが良かった。
実施例11および比較例13で使用した市販の薄力小麦粉は灰分0.36質量%、胚芽0.0質量%を含んでいた。
実施例11および比較例13で使用した市販の強力小麦粉は灰分0.39質量%、胚芽0.0質量%を含んでいた。
前記灰分は酢酸マグネシウム添加灰化法により測定したものであり、前記胚芽純度は蛍光光度法により測定したものである。
[実施例12、比較例14]
南部煎餅での評価は次のとおり行った。
水85mlをミキサーに入れ、重曹4g、食塩4gを溶かした後に、小麦粉200gを加えて4分間混合し生地を作った。
実施例12では前記小麦粉として、市販の薄力小麦粉192gに生胚芽粉末8gを混合したものを使用した。
比較例14では前記小麦粉として、市販の薄力小麦粉を使用した。
実施例12および比較例14の薄力小麦粉および生胚芽粉末は、実施例1〜5と同じものを使用した。
前記生地を28gに分割し、円盤状に伸ばしてピーナッツおよび黒ゴマを表面に付けて南部煎餅用の型に詰め、210℃のオーブンで11分間焼成した。
実施例12の小麦粉で製造した南部煎餅は、比較例14の小麦粉によるものと比較して風味に優れ(自然な甘味を感じ、香ばしさが強い)サクサク感や口溶けにも優れていた。
[実施例13〜14、比較例15〜16]
市販の薄力小麦粉495gに脱脂胚芽粉末を5g添加し、実施例13とした。
市販の薄力小麦粉475gに脱脂胚芽粉末を25g添加し、実施例14とした。
市販の薄力小麦粉495gに焙煎胚芽粉末を5g添加し、比較例15とした。
市販の薄力小麦粉475gに焙煎胚芽粉末を25g添加し、比較例16とした。
実施例13〜14および比較例15〜16の市販の薄力小麦粉は、実施例1〜5と同じものを使用した。
前記脱脂胚芽粉末は、市販の脱脂小麦胚芽(焙煎していないもの)をレッチェ社製超遠心粉砕機により粉砕し、目開き200μmの篩いを抜けたものを使用した。
前記焙煎胚芽粉末は、市販の焙煎小麦胚芽をレッチェ社製超遠心粉砕機により粉砕し、目開き200μmの篩いを抜けたものを使用した。
実施例13、14および比較例15、16の小麦粉を使い、実施例1〜5と同様の方法でサブレを製造して、評価を行った。
さらに、実施例13、14および比較例15、16の小麦粉を使い、実施例6〜10と同様の方法でスポンジケーキを製造して、評価を行った。
サブレの評価結果を表3に、スポンジケーキの評価結果を表4に示す。
Figure 0004707694
Figure 0004707694
実施例13および実施例14では、風味と食感が改良された。
実施例13および実施例14のサブレおよびスポンジケーキにおいて、同じ量の生胚芽粉末(脱脂及び焙煎を行っていないもの)を入れた場合と、食感の傾向はほぼ同じであった。
さらに、風味も傾向は同じであったが、脱脂していない生胚芽粉末の場合よりは、味、香りともやや薄かった。
比較例15および16のサブレは、食感にやや改良がみられるものの、風味と外観は劣っていた。
特に比較例16においては、サブレ、スポンジケーキともロースト臭は強いものの、焦げ臭さを感じるため好ましくなく、味はにが味が目立ち、甘味と旨味は感じられなかった。
さらに、外観も色が濃すぎて好ましくなかった。
この結果より、脱脂小麦胚芽(焙煎していないもの)は本発明の生胚芽粉末を作るために使用できるが、焙煎小麦胚芽は使用できないことが確認できた。
[実施例15〜16、比較例17〜19]
市販の薄力小麦粉1Kg(灰分0.36質量%、胚芽0.0質量%)を比較例17とした。
比較例17と同じ小麦粉990gに生胚芽粉末を10g添加し、実施例15とした。
比較例17と同じ小麦粉950gに生胚芽粉末を50g添加し、実施例16とした。
使用した生胚芽粉末は、実施例1〜5と同様の方法で製造したものである。
比較例17と同じ小麦粉990gに焙煎小麦胚芽粉末を10g添加し、比較例18とした。
比較例17と同じ小麦粉950gに焙煎小麦胚芽粉末を50g添加し、比較例19とした。
使用した焙煎小麦胚芽粉末は、比較例15〜16と同様の方法で製造したものである。
実施例15、16および比較例17〜19の小麦粉をクラフト紙の袋に入れ、半年間室温で保存し、1ヶ月毎に官能的に臭いの確認を行った(パネラー5名によるダブルブラインド試験として実施した。)。
その結果、実施例15、16および比較例17の小麦粉につき、試験期間内に酸敗臭(油脂の劣化による臭い)を指摘したパネラーは1名もいなかった。
比較例18は、1箇月経過時点で弱い酸敗臭が感じられ、2箇月経過時点で強い酸敗臭が感じられた。
比較例19は、1箇月経過時点では異臭は感じられなかったが、2箇月経過時点で酸敗臭が感じられた。
比較例18および比較例19は保存性に問題が認められたので、2箇月経過の時点で保存性の確認試験を打ち切った。
実施例15、16および比較例17の小麦粉を半年間保存した後に、実施例1〜5と同様の方法でサブレを製造して、加工性を確認した。
その結果、食感および風味の傾向は、生胚芽粉末添加量が等しい実施例1、実施例5および比較例1の場合と同様であった。
すなわち、比較例17と比較して実施例15のサブレはサクサク感、ソフトさ、口溶けおよび風味が優れており、実施例16は実施例15よりもさらに優れていた。
なお、比較例18および比較例19は保存性に問題が認められたため、サブレによる食感及び風味の確認は行わなかった。
この結果より、生胚芽粉末を添加した焼き菓子用小麦粉は、長期の保存が可能なことが確認された。
[比較例20〜21]
市販の小麦胚芽をコーヒーミルで粗粉砕した後に篩い分け、粒径200μm以上400μm未満、および粒径400μm以上600μm未満の胚芽を製造した。
市販の薄力小麦粉291gに粒径200μm以上400μm未満の胚芽を9g添加し、実施例20とした。実施例20の小麦粉の灰分は0.46質量%、胚芽は2.9質量%であった。
市販の薄力小麦粉291gに粒径400μm以上600μm未満の胚芽を9g添加し、実施例21とした。実施例21の小麦粉の灰分は0.46質量%、胚芽は2.9質量%であった。
前記灰分は酢酸マグネシウム添加灰化法により測定したものであり、前記胚芽純度は蛍光光度法により測定したものである。
実施例20および21の小麦粉を使い、実施例1〜5と同様の方法でサブレを製造して評価を行った。
結果を表5に示す。
Figure 0004707694
生胚芽粉末よりもやや粗い生胚芽を使用した場合、風味、硬さ、サクさは改良することができたが、その程度は生胚芽粉末の場合よりも劣った。
さらに、粗めの生胚芽を使用した場合には、外観と口溶けが悪化して好ましくなかった。
特に、生胚芽が粗くなるほど、食べた時にざらつきを感じるようになり、違和感が強くなった。
この結果より、200μmより粗い生胚芽を使う場合には、一部の評価項目には改善が見られるものの、悪化する項目もあるため、総合的には高い改善効果は得られない。
従って、焼き菓子の改良に使用する生胚芽は、粉末状(200μmの篩い抜け)のものが好ましいことが確認された。
[実施例17〜18]
軟質小麦を石臼で製粉することで、生胚芽粉末を多く含んだ小麦粉を製造し、クッキーおよびパウンドケーキによる評価を行った。
実施例17〜18は、精選したアメリカ合衆国産ウエスタンホワイト小麦をフォルマー社製石臼製粉機で製粉した小麦粉であり、篩いの目開きを200μmとして、石臼のギャップにより生胚芽粉末の混入量を調整した。
通常の臼式製粉(篩いの目開きは100〜112μm程度を使用)では、小麦粉への生胚芽粉末の混入量がロール式製粉よりも多いが、1.0質量%には満たない。
ところが、篩いの目開きを200μmとすることで、生胚芽粉末を1.0質量%以上に増量することが可能となる。
実施例17の小麦粉における胚芽の混入量は1.1質量%、灰分は0.57質量%であった。
実施例18の小麦粉における胚芽の混入量は1.5質量%、灰分は0.60質量%であった。
前記胚芽混入量の測定には蛍光光度法を、灰分の測定には酢酸マグネシウム添加灰化法を用いた。
クッキーの評価は以下のとおり行った。
(1) バター130gに粉糖90gを加え、ミキサーで2分間混合した。
(2) 卵黄(鶏卵)30gを加え、2分間混合した。
(3) 小麦粉200g、アーモンドプードル50g、食塩1.4gを加えて1分間混合し、生地とした。
(4) 生地をφ3cmの円柱状に整形し、冷凍した後に1cmの幅の円盤状に切断した。
(5) 生地を天板に並べ、170℃のオーブンで14分間焼成した。
(6) 室温で冷却した後に評価した。
パウンドケーキの評価は以下のとおり行った。
(1) 小麦粉200g、ベーキングパウダー4g、上白糖180g、バター180gをミキサーで2分30秒間混合した。
(2) 鶏卵(全卵)180gを加え4分間混合した。
(3) パウンドケーキ用の型に350gの生地を詰めた。
(4) 170℃のオーブンで40分間焼成した。
(5) 室温で冷却した後に評価した。
評価項目は、クッキーにおいては製菓時作業性、製品外観、ソフトさ、サクサク感、口溶け、風味の6項目、パウンドケーキにおいては製菓時作業性、製品外観、ソフトさ、口溶け、風味の5項目とした。
評価は熟練のパネラー10名による官能試験により以下に示す7段階で数値化し、その平均を評価結果とした。
7点 非常に優れる
6点 優れる
5点 やや優れる
4点 普通
3点 やや劣る
2点 劣る
1点 非常に劣る
製菓時の作業性は、加工を行った製菓技術者2名が評価を行い、前記の7段階で数値化して、2名の平均を取った。
クッキーの評価結果を表6に、パウンドケーキの評価結果を表7に示す。
Figure 0004707694
Figure 0004707694
比較例1および比較例8の市販の薄力小麦粉に比較して、生胚芽混入量を増やした石臼挽き小麦粉では、食感、風味ともに大幅な改善がみられた。
この結果から、生胚芽粉末は予め粉砕したものを小麦粉に添加する方法だけでなく、小麦粉製造時に胚乳とともに粉砕しても良いことが確認された。
[実施例19〜22、比較例22〜23]
実施例18の小麦粉にふすま粉末を混合し、灰分値を変えた小麦粉(実施例19〜22、比較例22〜23)を製造した。
ふすま粉末は、市販の小麦ふすまを目開き1mmの篩いにかけ、そのオーバーをレッチェ社製超遠心粉砕機により粉砕し、目開き200μmの篩いの抜けとして回収したものであり、生胚芽粉末の混入量は1.4質量%、灰分は4.96質量%であった。
実施例19の小麦粉における生胚芽粉末の混入量は1.5質量%、灰分は0.70質量%であった。
実施例20の小麦粉における生胚芽粉末の混入量は1.5質量%、灰分は0.80質量%であった。
実施例21の小麦粉における生胚芽粉末の混入量は1.5質量%、灰分は0.90質量%であった。
実施例22の小麦粉における生胚芽粉末の混入量は1.5質量%、灰分は1.00質量%であった。
比較例22の小麦粉における生胚芽粉末の混入量は1.5質量%、灰分は1.10質量%であった。
比較例23の小麦粉における生胚芽粉末の混入量は1.5質量%、灰分は1.20質量%であった。
なお、ふすま粉末の胚芽混入量の測定には蛍光光度法を、灰分の測定には酢酸マグネシウム添加灰化法を用いた。
実施例19〜22および比較例22〜23の胚芽混入量と灰分は、ふすま粉末と実施例18の分析結果からの計算値である。
実施例19〜22および比較例22〜23の小麦粉を用い、実施例17〜18と同様の方法でサブレによる評価を行った。
結果を表8に示す。
Figure 0004707694
灰分が高くなると、0.90質量%でふすま臭とにが味、えぐ味を極わずかに感じるようになり、1.10質量%以上で前述の不快な風味(特に、にが味とえぐ味を伴う後味)が顕著になった。
さらに、灰分が1.10質量%以上では、ざらつきが残り口溶けが劣るとともに、色調も目立って悪化した。
これらの結果より、本発明の焼き菓子用小麦粉は、灰分が1.00質量%以下である必要がある。
風味、食感、外観の悪化は灰分が1.10質量%以上で顕著となるが、表8の評価では灰分0.90質量%の実施例21からその兆候が現れている。
したがって、灰分を0.80質量%以下に抑えると、なおいっそう好ましいといえる。
[実施例23〜26、比較例24〜25]
澱粉の効果を確認するために、小麦粉に澱粉と生胚芽粉末を加え、サブレとスポンジケーキを製造した。
実施例23〜26および比較例24〜25で使用した小麦粉は市販の薄力小麦粉(灰分0.37質量%、胚芽0.0質量%)であり、澱粉は市販の小麦澱粉(灰分0.30質量%、胚芽0.0質量%)である。
胚芽は、実施例1〜5で使用したものと同様の方法で製造した生胚芽粉末であり、灰分3.61質量%、胚芽99.6質量%であった。
実施例23〜26および比較例24〜25の小麦粉、小麦澱粉及び胚芽は表9に示す比率で配合した。
Figure 0004707694
実施例1〜5と同様にサブレを作り評価した。
結果を表10に示す。
Figure 0004707694
実施例6〜10と同様の方法でスポンジケーキを作り評価した。
結果を表11に示す。
Figure 0004707694
サブレおよびスポンジケーキの評価より、小麦粉と澱粉の合計に対する生胚芽粉末の添加量が1から5質量%の範囲のときに、美味な焼き菓子が製造できることが確認された。
[実施例27]
実施例23〜26および比較例24〜25と同様の方法で、澱粉だけ市販のコーンスターチ(灰分0.12質量%、胚芽0.0質量%)に変えてサブレおよびスポンジケーキを試作し、評価を行った。
その結果は表9および表10の小麦澱粉使用時とほとんど同じであり、生胚芽粉末の添加量が1から5質量%のときに、美味な焼き菓子が製造できることが確認された。
[実施例28]
実施例23〜26および比較例24〜25と同様の方法で、小麦澱粉を市販のうるち米粉(灰分0.28質量%、胚芽0.0質量%)に変えてサブレおよびスポンジケーキを試作し、評価を行った。
その結果は表9および表10の小麦澱粉使用時とほとんど同じであり、生胚芽粉末の添加量が1から5質量%のときに、美味な焼き菓子が製造できることが確認された。
[実施例29]
実施例23〜26および比較例24〜25と同様の方法で、小麦澱粉を市販のコーンフラワー(灰分0.34質量%、胚芽0.0質量%)に変えてサブレおよびスポンジケーキを試作し、評価を行った。
その結果、サブレとスポンジには焼きとうもろこし風の香りが少し付加されており、胚芽混合比1〜2質量%のときには胚芽から発生する風味と合わさって良好な風味となった。(混合比4〜5質量%では、焼きとうもろこしの香りは、胚芽由来の香りの陰に隠れてしまうが。)
最終的な評価は、表9および表10の小麦澱粉使用時とほとんど同じであり、生胚芽粉末の添加量が1から5質量%のときに、美味な焼き菓子が製造できることが確認された。
[実施例30]
実施例1,3,5および比較例2、3と同じ方法で生胚芽風末入り小麦粉を作成し、サブレとスポンジケーキによる評価を行った。
ただし、生胚芽粉末としてとうもろこし胚芽の粉砕物を使用した。
前記とうもろこし胚芽の生胚芽粉末は、粒状の胚芽を目視で100質量%の純度となるように選別してから、実施例1〜5に使用した小麦胚芽の生胚芽粉末と同じ方法で調製しており、灰分6.74質量%であった。
使用した市販の薄力小麦粉は灰分0.38質量%、胚芽0.0質量%であった。
試作したサブレとスポンジケーキの評価は、実施例1,3,5および比較例2、3とほぼ同じとなり、ソフトさ、サクサク感、口溶けといった食感は、胚芽添加量1〜5質量%の時に良好であった。
また、風味も胚芽添加量1〜5質量%の時に良好となったが、発生した香りは焼きとうもろこしの香りに似ており、ユニークな風味の焼き菓子に仕上がった。

Claims (4)

  1. 目開き200μmの篩を通過する大きさの小麦生胚芽粉末を穀粉中1.0〜5.0質量%含み、前記穀粉の灰分が1.00質量%以下である焼き菓子用穀粉。
  2. 目開き200μmの篩を通過する大きさの小麦生胚芽粉末を小麦粉中1.0〜5.0質量%含み、前記小麦粉の灰分が1.00質量%以下である焼き菓子用小麦粉。
  3. 請求項1に記載の焼き菓子用穀粉を使用して製造した焼き菓子。
  4. 請求項2に記載の焼き菓子用小麦粉を使用して製造した焼き菓子。
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