JP6873746B2 - ベーカリー製品用穀粉組成物及びベーカリー製品の製造方法 - Google Patents

ベーカリー製品用穀粉組成物及びベーカリー製品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6873746B2
JP6873746B2 JP2017038712A JP2017038712A JP6873746B2 JP 6873746 B2 JP6873746 B2 JP 6873746B2 JP 2017038712 A JP2017038712 A JP 2017038712A JP 2017038712 A JP2017038712 A JP 2017038712A JP 6873746 B2 JP6873746 B2 JP 6873746B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flour
durum wheat
mass
wheat
bakery products
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017038712A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018143115A (ja
Inventor
杉田 隆
隆 杉田
伸介 河又
伸介 河又
実季 今成
実季 今成
雅義 高柳
雅義 高柳
秀男 大島
秀男 大島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Fuji Flour Milling Co Ltd
Original Assignee
Nitto Fuji Flour Milling Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Fuji Flour Milling Co Ltd filed Critical Nitto Fuji Flour Milling Co Ltd
Priority to JP2017038712A priority Critical patent/JP6873746B2/ja
Publication of JP2018143115A publication Critical patent/JP2018143115A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6873746B2 publication Critical patent/JP6873746B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

本発明は、デュラム小麦を使用したベーカリー製品用穀粉組成物及びベーカリー製品の製造方法に関する。
従来、デュラム小麦は、スパゲッティ、マカロニ等のパスタに使用されることが多く、パン等のベーカリー製品に使用されることはあまり多くはなかった。その理由としては、主に外国産であるという供給面の事情がある一方、普通小麦に比べて、生地の作業性が良くなかったり、ボリュームが出にくかったり、という品質面の問題が少なからずあった。近年、嗜好の多様化により、デュラム小麦を使用したベーカリー製品への要望も高くなっている。
デュラム小麦をパン等に使用する技術として、例えば、下記特許文献1には、デュラム小麦を所定量以上で配合した穀粉を原料として、それにα−アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ等の酵素類を配合し、あるいは場合によってはそれに加えてアスコルビン酸類を配合することで、作業性に優れ、ボリューム感、風味、食感に優れたベーカリー製品が得られることが記載されている。
一方、下記特許文献2には、パンの体積を増大させて、食感や風味の改善効果を高めるための製パン改良剤として、麦麹を用いることが記載されている。
特開2000−175614号公報 特開2000−300159号公報
しかしながら、従来の改良技術では、デュラム小麦をパンに使用したときのボリューム感のなさや作業性の悪さなどを補うことに重きがおかれて、食感や風味などに与えるデュラム小麦に特有の特徴が十分に生かされているとは言い難かった。
よって、本発明の目的は、普通小麦を使用したベーカリー製品と比べて、ボリューム等の品質面において遜色がなく、更に加えてデュラム小麦に特有の食感や風味などの特徴が際立つベーカリー製品及びそのベーカリー製品のためのベーカリー製品用穀粉組成物を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のベーカリー製品用穀粉組成物は、デュラム小麦粉砕物を穀粉中50質量%以上含有し、更に、麦麹粉末と、ビタミンC含有果物及び/又はビタミンC含有野菜の乾燥粉末とを含有することを特徴とする。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物によれば、デュラム小麦粉砕物を穀粉中50質量%以上含有し、更に、麦麹粉末と、ビタミンC含有果物及び/又はビタミンC含有野菜の乾燥粉末とを含有するので、これを使用したベーカリー製品は、十分に膨らみ(ボリューム)があり、更に加えて、しっとりして、ソフトでもちもちした食感や、甘みとコクがある良好な風味や、くすみのないきれいな黄色で、膜薄で縦に伸びている内色相など点で、デュラム小麦の特徴が際立つベーカリー製品となる。
本発明においては、前記ビタミンC含有果物の乾燥粉末がアセロラ粉末であることが好ましい。これによれば、品質等が更に良好なベーカリー製品が得られる。
本発明においては、前記デュラム小麦粉砕物を穀粉中70質量%以上含有することが好ましい。これによれば、食感や風味等においてデュラム小麦に特有の特徴がより生かされたベーカリー製品が得られる。
本発明においては、前記デュラム小麦粉砕物の平均粒径が100μm以下であることが好ましい。これによれば、ベーカリー製品の製造時の作業性や製品の膨らみ(ボリューム)がより向上する。
本発明においは、前記デュラム小麦粉砕物の損傷澱粉量が10〜15質量%であることが好ましい。これによれば、デュラム小麦に特有の甘みとコクがある風味が更に良好に付与されたベーカリー製品が得られる。また、ベーカリー製品の焼き色がより良好となったり、発酵が促進されたりという効果も期待できる。
一方、本発明のもう1つは、上記ベーカリー製品用穀粉組成物を含む生地を調製し、これを焼成することを特徴とするベーカリー製品の製造方法を提供するものである。
本発明のベーカリー製品の製造方法によれば、上記に説明したベーカリー製品用穀粉組成物を使用して、簡便且つ作業性よく、デュラム小麦に特有の食感や風味などの特徴が際立つベーカリー製品を製造することができる。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物によれば、これを使用したベーカリー製品は、十分に膨らみ(ボリューム)があり、更に加えて、しっとりして、ソフトでもちもちした食感や、甘みとコクがある風味や、くすみのないきれいな黄色で、膜薄で縦に伸びている内色相などの点で、デュラム小麦の特徴が際立つベーカリー製品となる。
本発明のベーカリー製品の製造方法によれば、簡便且つ作業性よく、デュラム小麦に特有の食感や風味などの特徴が際立つベーカリー製品を製造することができる。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物は、デュラム小麦粉砕物を含有し、更に、麦麹粉末と、ビタミンC含有果物及び/又はビタミンC含有野菜の乾燥粉末とを含有する。
(デュラム小麦粉砕物)
デュラム小麦粉砕物としては、デュラム小麦の粉砕物であればよく、その産地や種類等、あるいは粉砕形態などに特に制限はない。ただし、その平均粒径が100μm以下であることが好ましい。平均粒径が上記範囲内であると、ベーカリー製品の製造時の作業性や製品の膨らみ(ボリューム)がより向上する効果が有効に奏され易い。一方、上記範囲を超えるとそのような効果を得にくい傾向がある。なお、本発明において、平均粒径は、例えば、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置などを用いて乾式で測定された平均粒径を意味する。レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置としては、マイクロトラック粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社)等が挙げられる。
また、デュラム小麦粉砕物の損傷澱粉量が10〜15質量%であることが好ましい。損傷澱粉量が上記範囲内であると、ベーカリー製品にデュラム小麦特有の甘みとコクのある風味がより有効に付与され易く、また、ベーカリー製品の焼き色がより良好となったり、発酵が促進されたりという効果も期待できる。一方、上記範囲未満であるとそのような効果を得にくい傾向がある。また、上記範囲を超えて損傷澱粉量を多くしても風味の効果の更なる向上が得られない一方、生地がべた付き作業性が悪くなってしまう傾向がある。デュラム小麦粉砕物の損傷澱粉量は11〜15質量%であることがより好ましい。
デュラム小麦粉砕物の損傷澱粉量は、原料デュラム小麦又はデュラム小麦粉砕物に物理的な損傷を施すことにより調整することができる。より具体的には、例えば、ロールミル、ピンミル、衝撃式粉砕機等で粉砕したり、必要に応じてその粉砕を繰り返し行うことでデュラム小麦粉砕物の損傷澱粉量を調整することができる。
なお、デュラム小麦粉砕物の損傷澱粉量は、公知の方法で測定すればよい。例えば、損傷澱粉量を測定するための標準試験法としてAACC法(76−31)が知られているので、そのような標準試験法を採用し得る。その原理は、物理的な損傷を受けた穀粉中の澱粉がα−アミラーゼで分解され易いことを利用したものであり、カビα-アミラーゼにより試料を一定条件下にα-アミラーゼに処して、マルトサッカライドと限界デキストリンに分解し、次いでアミログルコシダーゼでグルコースにまで分解して、生成したグルコースを定量することにより算出されたその含有質量割合(質量%)を、澱粉の損傷度とする、というものである。あるいは市販のキット(例えばMegaZyme製、Starch Damage Assay Kit)などを利用して測定してもよい。
(麦麹粉末)
麦麹粉末としては、麦粒を含む原料に麹菌を培養して得られた麦麹を、乾燥、粉砕したものを用いることができる。好ましくは本出願人による特開2000−300159号公報に記載された剥皮した麦粒を含む原料に麹菌を培養して得られた麦麹を、乾燥、粉砕したものである。
麦麹粉末は、例えば以下のようにして得ることができる。すなわち、小麦、大麦等の麦粒(好ましくは小麦粒)を、剥皮装置を用いて剥皮する。このときの剥皮の度合い(剥皮された皮の質量/麦粒の初期質量)は、3〜30質量%であることが好ましい。剥皮の度合いが3質量%未満では麹菌の繁殖が一定ではなく、均一な麦麹を製造することが難しくなる。また、30質量%以上剥皮する場合は、経済的でない。なお、残存する繊維分は、麹菌が産生するヘミセルラーゼによって分解され、フスマ由来のざらつきがなくなり、かつ、繊維分の分解物は、製パン性等の品質の向上に寄与する。
剥皮した麦粒は、水で数回洗い、そのまま水に浸漬して、水分含量40%前後になるように調節する。この水分は、後の工程で蒸麦したときに、麦中の澱粉を適度にα化させるために必要である。水に浸漬した後、水切りをして、更に雑菌をなくすために蒸し処理する。蒸し処理は、完全に滅菌することを目的としたものではなく、雑菌の量を通常より減らすことで麹菌を生えやすくすることを目的とする。
上記作業の後、原料の温度を35℃付近まで下げて麹菌を接種する。原料に麹菌が行き渡るようによく混ぜて、恒温槽に入れてそのまま一晩培養(約14時間)した後、全体をかき混ぜて原料の一粒一粒をできるだけ離して混ぜる作業(切り返し)を行う。この作業の後、再び恒温槽の中で8時間程度培養し、2回目のかき混ぜ作業(切り返し)を行う。この後、更に18時間程度培養して、麦麹を得る。
こうして得られた麦麹は、例えば凍結乾燥、通風乾燥、スプレードライ等の方法で乾燥させ、更に粉砕する。粉砕は、小麦粉程度の大きさ、好ましくは5〜200メッシュの大きさとなるまで行うことが好ましい。この時点ではまだ麹菌は生きており、ここに水分が加われば繁殖してくるので、熱による殺菌工程を行って麦麹粉末とする。殺菌工程は、例えば90℃で30〜60分間加熱することにより行うことができる。
(ビタミンC含有果物及び/又はビタミンC含有野菜の乾燥粉末)
ビタミンC含有果物としては、例えば、アセロラ、カムカム、ゆず、すだち等が挙げられる。上記果物は、その果実、果皮、種子等の何れの部位でも使用し得る。
また、ビタミンC含有野菜としては、例えば、赤ピーマン、ブロッコリー等が挙げられる。上記野菜は、その葉もの、根菜、種子等の何れの部位でも使用し得る。
上記ビタミンC含有果物及び/又はビタミンC含有野菜は、噴霧乾燥、濃縮乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等の適当な乾燥手段により乾燥粉末の形態とされていることが好ましい。また、上記ビタミンC含有果物及び/又はビタミンC含有野菜として、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
これらのビタミンC含有果物及び/又はビタミンC含有野菜には、典型的には、その乾燥物100g中に500〜50,000mgのビタミンCが含まれており、より典型的には、その乾燥物100g中に5,000〜30,000mgのビタミンCが含まれている。
なお、ビタミンC含有素材であるアセロラ粉末は、後述の実施例で示されるように、本発明の奏する作用効果に非常に有効に寄与するので、好適に使用し得るビタミンC含有果物の1つである。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物には、上記デュラム小麦粉砕物を、その穀粉組成物の穀粉中に50質量%以上含有せしめることが好ましく、70質量%以上含有せしめることがより好ましい。上記範囲内であれば、食感や風味等においてデュラム小麦に特有の特徴がより生かされたベーカリー製品が得られ易い。一方、上記範囲未満であれば、デュラム小麦に特有の特徴が生かされない傾向がある。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物に、上記デュラム小麦粉砕物以外の穀粉を使用する場合、その穀粉としては、例えば、小麦粉(デュラム小麦由来でない)、フスマ(デュラム小麦由来でない)、大麦粉、ライムギ粉、オーツ粉、あるいはこれら穀類の全粒粉等が挙げられる。このうち小麦粉としては、強力粉(例えば、パン用小麦粉)、中力粉(例えば、麺用小麦粉)、薄力粉(例えば、菓子用小麦粉)のいずれを用いてもよいが、パン用小麦粉が特に好ましい。上記デュラム小麦粉砕物以外の穀粉は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物には、上記麦麹粉末を、その穀粉組成物中に0.01〜10質量%含有せしめることが好ましく、0.05〜1質量%含有せしめることがより好ましい。上記範囲内であれば、食感や風味等においてデュラム小麦に特有の特徴がより生かされたベーカリー製品が得られ易い。一方、上記範囲未満であれば、デュラム小麦に特有の特徴が生かされない傾向がある。また、上記範囲を超えると、生地がゆるみ過ぎ、べた付いてまとまらない傾向がある。また、得られる製品のボリュームが小さかったり、風味が劣ったりする傾向がある。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物には、上記ビタミンC含有果物及び/又はビタミンC含有野菜の乾燥粉末を、その穀粉組成物中に0.001〜0.1質量%含有せしめることが好ましく、0.005〜0.05質量%含有せしめることがより好ましい。また、ビタミンCに換算して0.05〜50mg/100gの濃度で含有せしめることが好ましく、0.5〜30mg/100gの濃度で含有せしめることがより好ましい。上記範囲内であれば、食感や風味等においてデュラム小麦に特有の特徴がより生かされたベーカリー製品が得られ易い。一方、上記範囲未満であれば、デュラム小麦に特有の特徴が生かされない傾向がある。また、上記範囲を超えると、生地が締まり過ぎて、まとまり難くなる傾向がある。また、その生地を使用して作製したパンは、得られる製品のボリュームが小さかったり、食感が硬かったり、風味が劣ったりする傾向がある。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物には、上記デュラム小麦粉砕物や、上記麦麹粉末や、上記ビタミンC含有果物及び/又はビタミンC含有野菜の乾燥粉末や、上記デュラム小麦粉砕物以外の穀粉のほかにも、適宜、本発明の作用効果を損なわない範囲で、他の素材を含有せしめてもよい。他の素材としては、例えば、食塩、砂糖、油脂、脱脂粉乳等の乳原料、全卵粉末等の卵原料、アセスルファムカリウム、ネオテーム、スクラロース、エリスリトール、還元パラチノース等の低カロリー甘味料、ベーキングパウダー等の膨張剤、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム等の増粘剤、グリセリン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム等の乳化剤、酵素、α加工澱粉等の生地改良剤、ビタミン、ミネラル、カルシウム等の栄養強化剤、デンプン、グルテン等の澱粉質原料、大豆粉、難消化性デキストリン等の低糖質食品原料、ドライイースト、イーストフード、pH調整剤、保存料、風味料などが挙げられる。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物を調製する方法に特に制限はない。例えば、上記に説明した素材を、所望の配合割合で適宜適当な手段を用いて、混合すること等により調製することができる。
本発明のベーカリー製品用穀粉組成物は、例えば、食パン、ロールパン、菓子パン、ハンバーガーバンズ、デニッシュペストリー、ドーナツ、速製パン(マフィン、アメリカンビスケット等)、ピザ等のパン類や、スポンジケーキ、パウンドケーキ、ケーキマフィン、蒸しパン、蒸しケーキ、中華まん、パイ等の菓子類などに好適に用いることができる。すなわち、これらベーカリー製品の生地の原料として好適に使用され得る。
一方、本発明のベーカリー製品の製造方法においては、上記ベーカリー製品用穀粉組成物を含む生地を調製し、これを焼成する。生地の調製は、上記ベーカリー製品用穀粉組成物を、製品に応じた配合で水やその他の原料と共に、適宜適当な手段を用いて、混合することなどにより調製することができる。例えば、典型的にパンの例を挙げれば、上記ベーカリー製品用穀粉組成物の100質量部に対し、およそ70質量部程度の水を添加して、必要に応じてその他のパン原料を添加して、混練することなどにより、パン生地を調製することができる。こうして調製した生地は、必要によりイースト発酵等を行ってもよい。そして、生地を所定の形状に成形した後、焼成することにより、デュラム小麦に特有の食感や風味などの特徴が際立つ、品質の良好なパンを得ることができる。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
(麦麹粉末)
精麦器(商品名「RMB10G」、佐竹製作所製)を用いて、小麦粒を剥皮の度合いが20質量%となるように剥皮した。この剥皮小麦粒を洗浄した後、水に3時間浸漬して水切りし、30分間放置した後、30分間蒸麦し、110℃で10分間オートクレーブ処理した。この小麦粒に麹菌を植菌し、恒温槽に入れて35℃で14時間放置した後、1回目の切り返しを行った。更に、33℃で8時間放置して2回目の切り返しを行い、最後に30℃で18時間放置して仕上げ、凍結乾燥機(商品名「FD−81」、東京理化製)を用いて乾燥し、粉砕機(商品名「160Z」、槙野産業製)を用いて粉砕し、90℃で60分間加熱して、乾燥粉末化した麦麹を得た。この麦麹粉末を以下の試験に用いた。
(ベーカリー製品用穀粉組成物)
表1に示すそれぞれの配合の各種ベーカリー製品用穀粉組成物を調製又は準備した。なお、麦麹粉末以外の原料としては、以下のものを使用した。
デュラム小麦粉A:「ソティール」(商品名、日東富士製粉社製);デュラム小麦をロール粉砕の方法により調製したもので、損傷澱粉量が13.5質量%、平均粒径が86.7μmである。
デュラム小麦粉B:デュラムセモリナを気流式粉砕の方法により調製したもので、損傷澱粉量が9.3質量%、平均粒径が92.9μmである。
強力粉:「アポロ」(商品名、日東富士製粉社製);平均粒径が63.5μmである。
α−アミラーゼ:「スミチームAS」(商品名、新日本化学工業社製)
L−アスコルビン酸:「L-アスコルビン酸ナトリウム」(商品名、渡辺ケミカル社製)
イーストフード:「Cオリエンタルフード」(商品名、オリエンタル酵母工業社製)
アセロラ粉末:「アセロラパウダー17」(商品名、マリーンバイオ社製)
Figure 0006873746
(食パンの調製)
調製したベーカリー製品用穀粉組成物を、表2に示す他の原料とともに使用して、常法に従い、ストレート法により食パンを製造した。なお、表3には、その調製の条件等を示した。
Figure 0006873746
Figure 0006873746
<試験例1>
得られたそれぞれの食パンについて、下記に示す基準で評価者6人により評価し、その評価の平均点を求めた。
(食感)
5点 しっとりソフトでもちもちしており、最も好ましい
4点 ソフトでもちもちしている
3点 ソフトでややもちもちしている
2点 ややソフト感が劣る
1点 ソフト感劣り、ややパサつきがある
(香り・味)
5点 非常に良好な風味で、甘みとコクがある
4点 風味があり、甘みとコクがある
3点 風味があり、やや甘みあり
2点 やや風味があり、やや甘みあり
1点 風味が弱く、甘みとコクが無い
(内色相)
5点 くすみのないきれいな黄色で、膜薄で縦に伸びている
4点 黄色で膜薄である
3点 黄色でやや膜薄である
2点 黄色味が無く、やや膜薄である
1点 黄色味が無く、ややくすみがある
(ボリューム)
5点 非常に大きく膨らんでいる
4点 大きく膨らんでいる
3点 膨らんでいる
2点 やや膨らみに劣る
1点 膨らみに劣る
[評価1](実施例1、比較例1〜6)
表4には、実施例1、比較例1〜6のベーカリー製品用穀粉組成物について、それらを使用して調製したパンの評価結果をまとめて示す。
Figure 0006873746
表4に示すように、穀粉としてデュラム小麦粉を使用したパン(比較例2)は、穀粉として強力粉を使用したパン(比較例1)に比べて、ボリュームに劣る傾向がみられた。穀粉としてデュラム小麦粉を使用し、加えてα−アミラーゼ及びL−アスコルビン酸を配合したパン(比較例3)や、穀粉としてデュラム小麦粉を使用し、加えてイーストフードを配合したパン(比較例4)では、パンのボリュームが改善し、風味や内色相の評価においても若干の改良効果がみられた。また、穀粉としてデュラム小麦粉を使用し、加えて麦麹粉末を配合したパン(比較例5)や、穀粉としてデュラム小麦粉を使用し、加えてアセロラ粉末を配合したパン(比較例6)においても、同様の改善・改良効果がみられた。
しかしながら、これら比較例3〜6において、穀粉として強力粉を使用した比較例1や、穀粉としてデュラム小麦粉を使用した比較例2に対して、食感の評価に変化はみられなかった。
これに対して、穀粉としてデュラム小麦粉を使用し、加えて麦麹粉末及びアセロラ粉末を配合したパン(実施例1)では、比較例1〜6に比べて、しっとりして、ソフトでもちもちした食感や、甘みとコクがある良好な風味や、くすみのないきれいな黄色で、膜薄で縦に伸びている内色相などの点で、より良好な品質のパンが得られた。特に、比較例1〜6に比べて、しっとりして、ソフトでもちもちした食感がより強く付与された。
[評価2](実施例2、3、比較例7)
表5には、実施例2、実施例3又は比較例7のベーカリー製品用穀粉組成物について、それらを使用して調製したパンの評価結果を、実施例1の結果とともに、まとめて示す。
Figure 0006873746
表5に示すように、穀粉として、その100質量部中にデュラム小麦粉70質量部と強力粉30質量部とを含むものを使用し、それ以外は実施例1と同様にして調製したパン(実施例2)では、実施例1に比べて、食感の改善効果がやや弱くなった。また、穀粉として、その100質量部中にデュラム小麦粉50質量部と強力粉50質量部とを含むものを使用し、それ以外は実施例1と同様にして調製したパン(実施例3)では、実施例1に比べて、食感の改善効果がやや弱くなるとともに、風味や内色相の改良効果についても、やや弱くなった。一方、穀粉として、その100質量部中にデュラム小麦粉30質量部と強力粉70質量部を含むものを使用し、それ以外は実施例1と同様にして調製したパン(比較例7)では、食感、風味、内色相の改善・改良効果が得られなかった。
[評価3](実施例4)
表6には、実施例4のベーカリー製品用穀粉組成物について、これを使用して調製したパンの評価結果を、実施例1の結果とともに示す。
Figure 0006873746
表6に示すように、穀粉として、損傷澱粉の割合が9.3質量%のデュラム小麦粉Bを使用し、それ以外は実施例1と同様にして調製したパン(実施例4)では、穀粉としてデュラム小麦粉A(損傷澱粉の割合が、13.5質量%)を使用したパン(実施例1)に比べて、食感、風味の改善・改良効果がやや弱くなった。よって、デュラム小麦砕物の損傷澱粉量を調整することにより、本発明の作用効果をより有効に発揮させることができるものと考えられた。

Claims (5)

  1. デュラム小麦粉砕物を穀粉中50質量%以上含有し、更に、麦麹粉末を0.05〜1質量%含有しアセロラ粉末0.005〜0.05質量%含有することを特徴とするベーカリー製品用穀粉組成物。
  2. 前記デュラム小麦粉砕物を穀粉中70質量%以上含有する請求項1記載のベーカリー製品用穀粉組成物。
  3. 前記デュラム小麦粉砕物の平均粒径が100μm以下である請求項1又は2記載のベーカリー製品用穀粉組成物。
  4. 前記デュラム小麦粉砕物の損傷澱粉量が10〜15質量%である請求項1〜のいずれか1項に記載のベーカリー製品用穀粉組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のベーカリー製品用穀粉組成物を含む生地を調製し、これを焼成することを特徴とするベーカリー製品の製造方法。

JP2017038712A 2017-03-01 2017-03-01 ベーカリー製品用穀粉組成物及びベーカリー製品の製造方法 Active JP6873746B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017038712A JP6873746B2 (ja) 2017-03-01 2017-03-01 ベーカリー製品用穀粉組成物及びベーカリー製品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017038712A JP6873746B2 (ja) 2017-03-01 2017-03-01 ベーカリー製品用穀粉組成物及びベーカリー製品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018143115A JP2018143115A (ja) 2018-09-20
JP6873746B2 true JP6873746B2 (ja) 2021-05-19

Family

ID=63588473

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017038712A Active JP6873746B2 (ja) 2017-03-01 2017-03-01 ベーカリー製品用穀粉組成物及びベーカリー製品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6873746B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7196001B2 (ja) * 2019-04-02 2022-12-26 株式会社ニップン ベーカリー食品用穀粉組成物、ベーカリー食品用生地及びベーカリー食品

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3898364B2 (ja) * 1998-12-15 2007-03-28 日清製粉株式会社 穀粉組成物
JP2004113051A (ja) * 2002-09-25 2004-04-15 Nitto Seifun Kk 冷凍パン生地改良剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018143115A (ja) 2018-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6803658B2 (ja) 食品用組成物
JP5907664B2 (ja) 湯種およびその製造方法
KR20100133984A (ko) 전지대두분 함유 조성물 및 란(卵) 대체 조성물
JP7165238B2 (ja) パン類の製造方法
JP7099819B2 (ja) ベーカリー食品用ミックス
JP4707694B2 (ja) 小麦生胚芽粉末を含む焼き菓子用穀粉及びこれを使用した焼き菓子
JP5914275B2 (ja) 熱処理小麦粉の製造方法
JP6761631B2 (ja) ベーカリー食品用混合物
JP2016158608A (ja) ベーカリー食品用組成物
JP6873746B2 (ja) ベーカリー製品用穀粉組成物及びベーカリー製品の製造方法
JP2012183038A (ja) 食品添加用焼成糠
JP5850610B2 (ja) パン類、麺類、菓子類向けブレンド用米粉
JP6489373B2 (ja) 醗酵組成物その製造方法およびそれを用いる食品
JP5290140B2 (ja) パン類の製造方法
JP2012179024A (ja) パン類及びアルカリ麺類製造用米粉ブレンド粉とそれを用いた米粉食品及びその製造方法
JP2020162593A (ja) イースト発酵ベーカリー食品用組成物、イースト発酵ベーカリー食品用の冷凍生地、及びイースト発酵ベーカリー食品の製造方法
JP6862295B2 (ja) 惣菜パン類の製造方法
JP6862256B2 (ja) 小麦加工品の製造方法及び小麦加工品
JP5782270B2 (ja) 洋菓子類製造用米粉ブレンド粉とそれを用いた洋菓子類
JP6680667B2 (ja) 小麦ふすま素材およびこれを用いたパン類の製造方法
JP2009017808A (ja) 製パン用小麦粉組成物及び製パン用穀粉組成物並びにこれらを使用したパン
JP2009232800A (ja) 米粉含有パン及びその製造方法
JP4570595B2 (ja) 生胚芽粉末を含むパン用穀粉及びこれを使用したパン
JP4029985B2 (ja) 馬鈴薯食品素材、それを用いた馬鈴薯食品および馬鈴薯食品素材の製造方法
JP7303976B1 (ja) 食用カンナ粉を含有する穀粉加工食品用生地

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200214

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201124

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210406

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210421

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6873746

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250