JP6862256B2 - 小麦加工品の製造方法及び小麦加工品 - Google Patents

小麦加工品の製造方法及び小麦加工品 Download PDF

Info

Publication number
JP6862256B2
JP6862256B2 JP2017079767A JP2017079767A JP6862256B2 JP 6862256 B2 JP6862256 B2 JP 6862256B2 JP 2017079767 A JP2017079767 A JP 2017079767A JP 2017079767 A JP2017079767 A JP 2017079767A JP 6862256 B2 JP6862256 B2 JP 6862256B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheat
processed
mass
content
processed wheat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017079767A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018174808A (ja
Inventor
美樹 阿部
美樹 阿部
正明 市野
正明 市野
陽子 高見
陽子 高見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=64279843&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6862256(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Showa Sangyo Co Ltd filed Critical Showa Sangyo Co Ltd
Priority to JP2017079767A priority Critical patent/JP6862256B2/ja
Publication of JP2018174808A publication Critical patent/JP2018174808A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6862256B2 publication Critical patent/JP6862256B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Cereal-Derived Products (AREA)

Description

本発明は、小麦加工品の製造方法及び小麦加工品に関する。
小麦を食品原料として用いる場合、特有のエグミと臭みを有する外皮を製粉工程で除去することが一般的であった。ところが近年は、食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富な小麦の外皮が健康素材として注目されており、小麦の外皮を含有する食品素材が種々検討されている。例えば、特許文献1〜3には、焙煎や発芽などにより小麦の風味を改善する技術が開示されている。
特開2005−245410号公報 特開2005−130754号公報 特開2004−283042号公報
外皮の除去率を高めて外皮含有量を低減させればエグミや臭みは抑えられるが、外皮に含まれる栄養素を十分に摂取することができない。
また、従来の小麦外皮含有素材は、エグミや臭みが強かったり、焙煎風味が付与されて自然な甘みが感じられない場合があった。
そこで、本発明は、外皮の除去を最小限に抑えつつ、外皮特有のエグミ及び臭みが少なく、甘みを有する小麦加工品を提供することを主目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、水分含有量が特定の範囲となるように吸水させた小麦を特定条件で加熱することにより、外皮を有しつつも外皮特有のエグミ及び臭みが抑えられ、且つ、小麦本来の甘みを有する小麦加工品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水分含有量を20〜50質量%に調節した小麦を加熱し、小麦加工品に含まれる糊化した澱粉の含有量を5〜50質量%、水分含有量を15質量%以下に調整する小麦加工品の製造方法を提供する。
また、本発明は、糊化した澱粉の含有量が5〜50質量%、水分含有量が15質量%以下、灰分が、乾物換算質量で、原料小麦に含まれる灰分100に対して70〜100である小麦加工品を提供する。
また、本発明は、前記小麦加工品を含む穀粉組成物を提供する。
本発明によれば、外皮の除去を最小限に抑えつつ、外皮特有のエグミ及び臭みが少なく、甘みを有する小麦加工品を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
<小麦加工品の製造方法>
本実施形態に係る小麦加工品の製造方法では、水分含有量を20〜50質量%に調節した小麦を加熱し、小麦加工品に含まれる糊化した澱粉の含有量を5〜50質量%、水分含有量を15質量%以下に調整する。以下、当該製造方法の詳細について説明する。
上記製造方法では、まず、小麦の水分含有量を20〜50質量%に調節する。水分含有量を調節するためには、小麦と水とを接触させればよい。例えば、小麦を水に浸漬してもよく、断続的なシャワーリングなどで小麦粒の表面を濡れた状態に保持してもよい。小麦の水分含有量が20質量%未満であると、次工程で加熱する際に小麦に含まれる澱粉の糊化が進みにくく、外皮のエグミ及び臭みが十分に低減されない場合がある。水分含有量が50質量%超であると、後述するように加熱手段として水蒸気を使用した時の乾燥負荷が増える、また、生地に加工した際にべたつきやすくなる場合がある。なお、小麦の水分含有量は、加熱乾燥法により測定することができる。
上記製造方法では、水分含有量を調節する前の小麦の灰分が、乾物換算質量で、原料小麦に含まれる灰分100に対して70〜100であることが好ましい。灰分は、小麦の外皮に多く含まれており、ミネラル含量の直接的な指標となる。また、灰分が多いほど外皮が多く残存しており、灰分が少ないほど外皮に受けた損傷の程度が大きいと判断できる。外皮に損傷を受けた小麦は原料小麦と比較して吸水速度が速いことから、小麦の水分含有量を調節する時間を短縮する観点からは、外皮に損傷を受けた小麦を水と接触させることが好ましい。
灰分が、原料小麦に含まれる灰分100に対して100である小麦は、原料小麦そのもののことである。原料小麦の表面を針状の突起や、ブレードで外皮を貫通させるなどの手段により実質的に小麦灰分の減少がない損傷を受けた小麦も分析測定で灰分100となり得るが、細胞レベルで脱落していることから灰分100に対して100未満である小麦とみなすことができる。すなわち、100未満である小麦とは、原料小麦の外皮に損傷を与えた小麦であり、例えば、原料小麦の外皮に傷を付けた小麦や原料小麦の外皮を削った小麦、原料小麦の外皮の一部を除去した小麦などが含まれる。小麦の水分含有量を調節する時間を短縮する観点からは、水分含有量を調節する前の小麦の灰分は100未満であることがより好ましい。
小麦外皮に含まれる栄養素を残すべく小麦外皮の除去を最小限に抑える観点からは、水分含有量を調節する前の小麦の灰分は70以上が好ましく、82以上がより好ましく、87以上が更に好ましい。
小麦の外皮は、外側から、外表皮、中間組織、横細胞、内表皮(管状細胞)、種皮、珠心層の6層からなる。珠心層の内側にはアリューロン層(糊粉層)があり、アリューロン層の内側には胚乳が存在する。原料小麦の外皮に損傷を与える場合、外皮の内側に存在するアリューロン層又は胚乳の一部を除去してもよい。原料小麦の外皮を均一に剥離する必要はなく、外皮を部分的に厚く削ってもよく、外皮を構成する6層のうち一部の層だけを除去してもよい。
外皮に損傷を受けた小麦を得るための公知技術としては、例えば、剥皮と精麦が挙げられる。剥皮は、小麦同士を物理的に擦り合わせて外皮の一番外側に存在する外表皮の一部又は全部を剥離させる。精麦は、金属、セラミックなどで小麦の外皮を削り取る。本実施形態に係る小麦加工品の製造方法では、精麦により原料小麦の外皮の一部を除去することが好ましい。小麦の精麦には一般に精麦機が用いられ、原料小麦が精麦機内に滞在する時間を制御することで、簡便に外皮の除去率を調整できるからである。
小麦と水とを接触させる時間は、1〜360分が好ましく、5〜60分がより好ましい。このような範囲とすることで、小麦の水分含有量を20〜50質量%に調節することができる。また、小麦と水との接触時間を、好ましくは360分以内、より好ましくは60分以内とすることで、微生物が増殖するリスクがより低減される。
小麦の灰分は、直接灰化法により測定することができる。具体的には、AACC法08−02に従って測定することができる。
なお、小麦に含まれる灰分は、水への接触や加熱などの処理を施しても消失せず保持される。このため、水分含有量を調節する前の小麦の灰分量は、最終的に得られる小麦加工品の灰分量と同等となる。
次に、本実施形態に係る小麦加工品の製造方法では、水分含有量を20〜50質量%に調節した小麦を加熱し、小麦加工品に含まれる糊化した澱粉の含有量を5〜50質量%、水分含有量を15質量%以下に調整する。水分を含んだ小麦を加熱することで、小麦に含まれる澱粉の糊化が進み、小麦に含まれるタンパク質が大きく変性して可溶性タンパク質が減少する。また、加熱により酵素の失活と臭い成分の揮発が起こることで、エグミ及び臭みが低減すると考えられる。
小麦の加熱手段は特に限定されず、例えば、水蒸気又は過熱水蒸気により直接加熱してもよく、ヒートジャケットを用いて間接的に加熱してもよい。加熱効率の観点からは、水蒸気又は過熱水蒸気を用いて加熱することが好ましい。
加熱の温度及び時間は、加熱後に得られる小麦加工品の糊化した澱粉の含有量及び水分含有量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。水蒸気で加熱する場合は、水蒸気で5〜60分加熱することが好ましく、10〜30分加熱することがより好ましい。過熱水蒸気で加熱する場合は、120〜250℃の過熱水蒸気で1〜15分加熱することが好ましく、130〜210℃で1〜12分加熱することがより好ましい。
加熱手段として水蒸気を用いる場合、小麦加工品の水分含有量を15質量%以下に調整するため、加熱後に乾燥工程が必要な場合がある。つまり、水蒸気を用いた加熱により小麦加工品の水分含有量が15質量%を超えた場合は、乾燥工程を行う必要がある。乾燥工程を設ける場合、小麦加工品の水分含有量を15質量%以下に調整できれば、乾燥の手段は特に限定されない。例えば、通気乾燥器、回転乾燥器、気流乾燥器、流動層乾燥器などにより乾燥することができる。
過熱水蒸気で加熱する場合、加熱中に小麦に含まれる水分が蒸散するため、加熱温度や加熱時間を上記範囲内で調整することで、小麦加工品の水分含有量を15質量%以下とすることができる。過熱水蒸気は、糊化した澱粉の含有量と、水分含有量を同時に調整可能であり、すなわち、加熱・乾燥工程としてひとつに構成することができる好ましい手段である。
本実施形態において最終的に得られる小麦加工品は、糊化した澱粉の含有量が5〜50質量%である。糊化した澱粉の含有量が5質量%未満であるとエグミや臭みが強く、50質量%超であると食品加工適性に影響が出るおそれがある。食品加工適性の観点から、糊化した澱粉の含有量は40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、小麦由来の自然な甘みがより強く感じられる小麦加工品を得るためには、糊化した澱粉の含有量は10質量%超が好ましく、12質量%以上がより好ましい。
本明細書において「糊化した澱粉の含有量」とは、小麦加工品の総質量あたりの糊化した澱粉の質量を意味する。糊化した澱粉の含有量は、小麦加工品全量中のα−アミラーゼによって分解される澱粉の含有量をAACC法76−31に従って測定することにより求めることができ、市販のキットを用いて測定してもよい。市販のキットとしては、例えば、Starch Damage Assay Kit(MegaZyme社製)を用いることができる。
また、上記小麦加工品は、水分含有量が15質量%以下である。水分含有量が15質量%超であると、保存性が低下するおそれがある。水分含有量は、加熱乾燥法により測定することができる。
本実施形態に係る小麦加工品の製造方法は、更に、小麦加工品を粉砕する工程を含んでもよい。これにより、粉末状の小麦加工品を得ることができる。粉砕方法は、特に限定されず、ロール式粉砕、衝撃式粉砕、気流式粉砕などの公知の方法を用いることができる。粉末状の小麦加工品の平均粒径は、特に限定されないが、他の原料と混合して用いる場合には他の原料とのなじみが良いことから20〜500μmが好ましい。平均粒径は、例えば、レーザー回析・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3300EXII」(日機装株式会社製)を用いて乾式で測定することができる。
粉末状の小麦加工品の平均粒径の調整方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ロール式粉砕、衝撃式粉砕及び気流式粉砕などにおいて通常用いられる粉砕装置を使用して平均粒径を調整してもよく、粉砕後に分級することで平均粒径を調整してもよい。粉砕後の分級により調整する場合、任意に分級点を設定した気流式分級機にて小麦加工品を分取し、回収すればよい。また、平均粒径が特定の範囲となるような目開きの篩を用いて平均粒径を調整してもよい。
<小麦加工品>
本実施形態の小麦加工品は、糊化した澱粉の含有量が5〜50質量%、水分含有量が15質量%以下、灰分が、乾物換算質量で、原料小麦に含まれる灰分100に対して70〜100であり、上述の製造方法により得られる。
糊化した澱粉の含有量、水分含有量、及び灰分の好適範囲は、上記製造方法の実施形態で説明した好適範囲と同様である。
糊化した澱粉の含有量、水分含有量、及び灰分は、上記製造方法の実施形態で説明した方法により測定することができる。
本実施形態の小麦加工品は、粒状であってもよく、粉砕処理により粉末状としてもよい。粒状の小麦加工品は、そのまま又は水や湯で戻して食してもよく、食品の原料や食品のトッピング素材として用いてもよい。粉末状の小麦加工品は、食品の原料として好適であり、特に他の粉末原料と混合して用いる場合は、平均粒径を20〜500μmとすることが好ましい。
<小麦加工品を含む穀粉組成物>
本実施形態の穀粉組成物は、上記小麦加工品を含む。小麦加工品は粒状でも粉末状でもよい。穀粉組成物に含まれる小麦加工品以外の原料は粉末状が好ましい。また、穀粉組成物は、小麦加工品以外の穀粉及び/又は穀粉以外の粉末原料を含むことが好ましい。
小麦加工品以外の穀粉は、目的に応じて選択することができ、例えば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、とうもろこし粉などが挙げられる。
穀粉以外の粉末原料は、目的に応じて選択することができ、例えば、澱粉類、糖類、乳成分、卵成分、増粘多糖類、乳化剤、酵素製剤、食塩、無機塩類、ビタミン類、イースト、イーストフード、膨張剤、着色料、香料などが挙げられる。
上記穀粉組成物は、穀粉を含む食品用として好適である。例えば、パン類用、菓子類用、麺類用、皮類用、お好み焼き用、たこ焼き用として好適であり、これらの中でもパン類用又は菓子類用としてより好適である。穀粉組成物に含まれる小麦加工品の割合は、用途に応じて適宜決定すればよい。パン類用又は菓子類用の場合、穀粉組成物中の小麦加工品の含有量は、例えば、小麦加工品が粒状であれば3〜30質量%とすることができ、小麦加工品が粉末状であれば1〜40質量%とすることができる。
<小麦加工品を含む食品>
本実施形態の食品は、上記小麦加工品を含む。当該食品は、小麦の外皮を多く含みつつも、エグミ及び臭みが少なく、甘みを有している。
上記食品の種類としては、穀粉を含む食品が好ましい。例えば、パン類、菓子類、麺類、皮類、お好み焼き、たこ焼きなどが挙げられ、これらの中でもパン類又は菓子類が好ましい。パン類としては、例えば、食パン、ロールパン、菓子パン、デニッシュペストリー、バラエティブレッド、調理パン、蒸しパンなどが挙げられる。菓子類としては、スポンジケーキ、バターケーキ、ビスケット、クッキー、クラッカーなどが挙げられる。
粒状の小麦加工品が好適な食品としては、パン類、菓子類、お好み焼き、たこ焼きが挙げられる。粒状の小麦加工品は、トッピング素材として用いてもよく、そのまま又は水や湯で戻してから生地に配合してもよい。粉末状の小麦加工品が好適な食品としては、パン類、菓子類、麺類、皮類が挙げられる。
小麦加工品を含む食品は、小麦加工品を用いること以外は特に限定されず、常法に従って製造することができる。食品原料に含まれる小麦加工品の割合は、食品の種類に応じて適宜決定すればよい。パン類又は菓子類の場合、食品原料中の小麦加工品の含有量は、例えば、小麦加工品が粒状であれば3〜30質量%とすることができ、小麦加工品が粉末状であれば1〜40質量%とすることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
原料小麦として、北海道産中力系小麦「きたほなみ」を使用した。精麦機(グレイン・テスティング・ミルTM-05、株式会社サタケ製)を用いて原料小麦を精麦することにより、原料小麦の外皮に損傷を与えた小麦を得た。当該小麦の精麦率は93%又は86%であった。AACC法08−02に従って灰分を測定したところ、原料小麦に含まれる灰分100(乾物換算質量)に対して、精麦率93%の小麦の灰分は82、精麦率86%の小麦の灰分は70であった。
下記表1及び表2に示す条件で、原料小麦又は精麦後の小麦を水に浸漬した後、加熱し、粉砕して、実施例1〜16及び比較例1〜4の小麦加工品を製造した。水蒸気を利用して加熱し、加熱後の水分含有量が15質量%を超えた小麦加工品は、水分含有量が15質量%以下となるよう加熱後粉砕前に乾燥を行った。
水蒸気を利用した加熱工程では、コンベクションオーブン(OD−6.10P、FMI社製)を用いた。過熱水蒸気を利用した加熱あるいは加熱乾燥は、スチームオーブンQF−5100CB−R(L)(直本工業社製)を用いた。乾燥は風乾でおこなった。送風温度を50℃とし、均一に乾くように適宜混合した。粉砕は、超遠心粉砕機ZM200(レッチェ社製)を用いた。
加熱前後における小麦の水分含有量は、加熱乾燥法により測定した。具体的には、AACC44−15Aに記載の方法で粉砕した後、アルミ容器に試料10gを秤量し、送風乾燥機で130℃、1時間乾燥させた。乾燥後の試料の重量を測定し、乾燥前の試料から乾燥後の試料の重量を減じることで、試料に含まれる水分量を算出した。
小麦加工品の糊化した澱粉の含有量は、Starch Damage Assay Kit(MegaZyme社製)を用いて、キットのプロトコールに従って測定した。
粉末状の小麦加工品の平均粒径は、レーザー回析・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3300EXII」(日機装株式会社製)を用いて乾式で測定した。
上述の手順で得られた小麦加工品(粒状)を専門パネラー12名が試食し、エグミ及び臭みの低減効果と、小麦由来の自然な甘みについて評価を行った。エグミ及び臭みの低減効果について、効果があると感じた場合は○、効果が感じられにくかった場合は×と評価した。また、小麦由来の自然な甘みについて、甘みを強く感じた場合は◎、甘みを感じた場合は○、甘みをやや感じた場合は△、甘みが感じられにくかった場合は×と評価した。
更に、250μm以下に粉砕した小麦加工品(粉末状)を10質量部、小麦粉90質量部に水70質量部を添加した後、10分間撹拌して、生地を作成した。得られた生地のべたつきを、専門パネラー5名が評価した。べたつかない場合は○、ややべたついた場合は△、べたついた場合は×と評価した。
評価結果を下記表1及び表2に示す。
Figure 0006862256
Figure 0006862256
実施例1〜16の小麦ふすまは、エグミ及び臭みが低減されており、小麦由来の自然な甘みが感じられた。一方、加熱前に水分含有量を調節しなかった比較例1及び3、並びに、加熱前の水分含有量が20質量%未満であり小麦加工品の糊化した澱粉の含有量が5質量%未満の比較例2は、エグミ及び臭みの低減効果と甘みが感じられにくかった。これらの結果から、本発明の小麦加工品は、エグミ及び臭みが少なく、小麦由来の自然な甘みを有することが確認された。また、糊化した澱粉の含有量が50質量%超の小麦加工品を配合した比較例4の生地はべたついていた。この結果から、小麦加工品に含まれる糊化した澱粉の含有量は、食品加工適性を向上させる観点から50質量%以下が好ましいことが確認された。
また、実施例の小麦加工品中の総タンパク質量に対する可溶性タンパク質量の割合を分析したところ3.5〜10質量%であった。可溶性タンパクがある程度保持されることで食品加工適性が良好となること、小麦に比べて可溶性タンパク質量は減少するが、小麦加工品に含まれる様々な酵素が適度に低減し同様に食品加工適性の向上に寄与することが考えられる。なお、可溶性タンパクは、20倍量の0.05規定の酢酸で25℃1時間で抽出したもので、それぞれのタンパク質量はケルダール法(窒素蛋白質換算係数は5.70)にて測定したものである。
次に、下記原料を使用して下記工程にて実施例17〜23のパンを製造した。小麦加工品として、実施例5又は実施例13の小麦加工品を用いた。実施例17〜19のパンには粉末状にした実施例5の小麦加工品を配合し、実施例20〜22のパンには粉末状にした実施例13の小麦加工品を配合し、実施例23のパンには粉砕処理しない粒状の実施例13の小麦加工品を配合した。
<原料>
小麦加工品(粉末状又は粒状)100g
強力小麦粉 900g
イースト 40g
ショートニング 80g
砂糖(上白糖) 120g
食塩 18g
脱脂粉乳 20g
液全卵 50g
水 610g(基準配合)
<工程>
縦型ミキサーにショートニング以外の原料を投入し、生地の状態を見ながら水分量を微調整し、低速3分間、中低速6分間ミキシングした。ショートニングを投入し、さらに低速2分間、中低速5分間ミキシングした。生地の捏上温度は27±0.5℃とした。28℃、湿度75%の条件下で20分間発酵させた後、生地を60gに分割し、丸めを行った。さらに28℃、湿度75%の条件下で20分間ベンチタイムをとった後、生地をロール状に成型して天板に並べ、38℃湿度85%の条件下でホイロを60分間とった。焼成は210℃で9分間行った。
得られたパンについて、小麦加工品と同様に、エグミ及び臭みの低減効果と小麦由来の自然な甘みを評価した。評価結果を下記表3に示す。
Figure 0006862256
いずれのパンも、エグミや臭みが少なく、小麦由来の自然な甘みが感じられた。実施例13の小麦加工品を含有するパンは、実施例5の小麦加工品を含有するパンよりも甘みが強く感じられた。
次に、実施例13を粉末状にした平均粒径220μmの小麦加工品(粉末状)を用いて以下の原料および工程でクッキーを製造した。コントロールは、小麦加工品(粉末状)を薄力小麦粉に置き換えた。
<原料>
小麦加工品(粉末状) 40g
薄力小麦粉 200g
マーガリン 120g
砂糖(上白糖) 80g
全卵 40g
ベーキングパウダー 0.5g
<工程>
縦型ミキサーを用いてマーガリン、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜ合わせた後、全卵を加えさらに混ぜ合わせた。最後に小麦粉及び小麦加工品(コントロールは小麦粉のみ)を加え、混ぜ合わせた後、7mmの厚さの生地を調製し、内径6cmのカッターで型抜きした。焼成は205℃で10分間行った。
クッキーの食味を比較した結果、得られた小麦加工品を加えたクッキーには、エグミ及び臭みは感じられず、コントロールに比べて小麦特有の好ましい風味が強く感じられた。

Claims (9)

  1. 水分含有量を20〜50質量%に調節した小麦を加熱し、
    小麦加工品に含まれる糊化した澱粉の含有量を5〜50質量%、水分含有量を15質量%以下に調整し、
    水分含有量を調節する前の小麦の灰分が、乾物換算質量で、原料小麦に含まれる灰分100に対して70〜100である、小麦加工品の製造方法。
  2. 水分含有量を調節する前に、原料小麦の外皮に損傷を与える請求項1に記載の小麦加工品の製造方法。
  3. 精麦により前記原料小麦の外皮に損傷を与える請求項に記載の小麦加工品の製造方法。
  4. 前記加熱が水蒸気による加熱である請求項1〜のいずれか一項に記載の小麦加工品の製造方法。
  5. 前記水蒸気で5〜60分間加熱する請求項に記載の小麦加工品の製造方法。
  6. 前記加熱が過熱水蒸気による加熱である請求項1〜のいずれか一項に記載の小麦加工品の製造方法。
  7. 前記過熱水蒸気で1〜12分間加熱する請求項に記載の小麦加工品の製造方法。
  8. 糊化した澱粉の含有量が5〜50質量%、
    水分含有量が15質量%以下、
    灰分が、乾物換算質量で、原料小麦に含まれる灰分100に対して70〜100である小麦加工品。
  9. 請求項に記載の小麦加工品を含む穀粉組成物。
JP2017079767A 2017-04-13 2017-04-13 小麦加工品の製造方法及び小麦加工品 Active JP6862256B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017079767A JP6862256B2 (ja) 2017-04-13 2017-04-13 小麦加工品の製造方法及び小麦加工品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017079767A JP6862256B2 (ja) 2017-04-13 2017-04-13 小麦加工品の製造方法及び小麦加工品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018174808A JP2018174808A (ja) 2018-11-15
JP6862256B2 true JP6862256B2 (ja) 2021-04-21

Family

ID=64279843

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017079767A Active JP6862256B2 (ja) 2017-04-13 2017-04-13 小麦加工品の製造方法及び小麦加工品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6862256B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7308049B2 (ja) * 2019-02-22 2023-07-13 日東富士製粉株式会社 和風スナック用穀粉組成物及び和風スナックの製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53101548A (en) * 1977-02-18 1978-09-05 Yokoyama Seifun Kk Production of modified wheat flour
JP4320723B2 (ja) * 2003-10-30 2009-08-26 千葉製粉株式会社 発芽小麦乾燥物及び穀物加工食品
WO2014104252A1 (ja) * 2012-12-28 2014-07-03 花王株式会社 小麦ふすま加工品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018174808A (ja) 2018-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4393385B2 (ja) 米粉の製造方法とその用途
JP7000629B2 (ja) 小麦ふすま組成物及びその製造方法
KR101814262B1 (ko) 겨 및 배아 향미 및 질감 개선
JP6649280B2 (ja) 熱処理小麦粉の製造方法及びベーカリー食品用ミックスの製造方法
JP5428003B2 (ja) 米を原料とする食材を用いた加工食品並びにその製造法
JP6405104B2 (ja) 熱処理穀類全粒粉の製造方法
JP6681250B2 (ja) 粉砕熱処理小麦粉の製造方法及びベーカリー食品用ミックスの製造方法
JP6862256B2 (ja) 小麦加工品の製造方法及び小麦加工品
JP6749753B2 (ja) 穀物外皮加工品、穀物外皮加工品の製造方法、ベーカリー製品の製造方法、ベーカリー製品及びベーカリー製品用ミックス粉
JP6515541B2 (ja) 緑豆蛋白質配合ベーカリー製品の製造方法
JP4324237B2 (ja) パン又は菓子用米粉
JP6920241B2 (ja) ミックス組成物及びその製造方法
JP2006136257A (ja) 米粉パンの製造方法及び粉粒状米粉パンの製造方法
JP6742742B2 (ja) 熱処理大麦粉及び熱処理大麦粉の製造方法
JP6680667B2 (ja) 小麦ふすま素材およびこれを用いたパン類の製造方法
JP2018143115A (ja) ベーカリー製品用穀粉組成物及びベーカリー製品の製造方法
JP4570595B2 (ja) 生胚芽粉末を含むパン用穀粉及びこれを使用したパン
WO2022202966A1 (ja) ケーキ類用ミックス及びその製造方法
JP2009082034A (ja) パン類の製造方法
JP2024046497A (ja) パン類及びその製造方法
JP2006136255A (ja) 米粉パンの製造方法
JP2024041588A (ja) パン類の製造方法
Ranken et al. Cereals and cereal products
JP2024010277A (ja) 小麦全粒粉及びその製造方法
JP2022150940A (ja) 熱処理小麦ふすまの製造方法、及び加工食品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210323

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210331

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6862256

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250