JP5428003B2 - 米を原料とする食材を用いた加工食品並びにその製造法 - Google Patents
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Description
一方、小麦は、地球規模の気象変動を受けて収穫量が大幅減となったり、加えて商品取引の場における思惑もあり、その価格が高騰している。
そしてこれらの状況が相まって、小麦粉の代替原料として米粉が考慮され、パン、麺類等での代替の試みがなされている(例えば特許文献1、2参照)。
その理由は、米粉の場合、確かに原料としての米の市場価格は安いものの、米穀粒を粉砕する際の加工コストがかかり、結果的に高価な原料となってしまうからである。この米穀粒の粉砕にあたっての低コスト化を阻む技術的要因は、そもそも米穀粒自体が極めて硬いことにある。すなわち本来は粒のまま食する米穀粒の胚乳部分は非常に硬く、微細粉末になりにくい。このため、粉砕するためには強力な力を要するのであるが、粉砕中に発生する熱による成分の変質を避けるため、効率的な粉砕加工を行うことができないからである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
また粉砕の際には遊離水が関与するため、熱による米微粒の成分変質を防ぐことができる。
更にまた米ペーストは、水が吸収された状態の米微粒間に遊離水が介在したままの状態のものであるため、米微粒は吸水状態を維持することができ、乾燥による米微粒(澱粉単粒)の損傷を回避することができる。
更に遊離水が、異種穀粉や他の材料の混捏物と米ペーストとの親和性を高めるため、これらの混合を速やかに行うことが可能となる。
また米ペーストを用いた加工食品の食感をまろやかなものとすることができる。また米微粒のグルテンへの結合を良好に行うことができる。
更にまた加工食品の原価を抑えることができる。また新たな滋味の加工食品を提供することができる。
また粉砕の際には遊離水が関与するため、熱による米微粒の成分変質を防ぐことができる。
更にまた米ペーストは、水が吸収された状態の米微粒間に遊離水が介在したままの状態のものであるため、米微粒は吸水状態を維持することができ、乾燥による米微粒(澱粉単粒)の損傷を回避することができる。
更に遊離水が、異種穀粉や他の材料の混捏物と米ペーストとの親和性を高めるため、これらの混合を速やかに行うことが可能となる。
また米ペーストを用いた加工食品の食感をまろやかなものとすることができる。また米微粒のグルテンへの結合を良好に行うことができる。
更にまた加工食品の原価を抑えることができる。また新たな滋味の加工食品を提供することができる。
また粉砕の際には遊離水が関与するため、熱による米微粒の成分変質を防ぐことができる。
更にまた米ペーストは、水が吸収された状態の米微粒間に遊離水が介在したままの状態のものであるため、米微粒は吸水状態を維持することができ、乾燥による米微粒(澱粉単粒)の損傷を回避することができる。
更に遊離水が、異種穀粉や他の材料の混捏物と米ペーストとの親和性を高めるため、これらの混合を速やかに行うことが可能となる。
また米穀粒の粉砕を好適に行い、均質な米微粒を得ることができる。
更にまた加工食品の原価を抑えることができる。また新たな滋味の加工食品を提供することができる。
また粉砕の際には遊離水が関与するため、熱による米微粒の成分変質を防ぐことができる。
更にまた米ペーストは、水が吸収された状態の米微粒間に遊離水が介在したままの状態のものであるため、米微粒は吸水状態を維持することができ、乾燥による米微粒(澱粉単粒)の損傷を回避することができる。
更に遊離水が、異種穀粉や他の材料の混捏物と米ペーストとの親和性を高めるため、これらの混合を速やかに行うことが可能となる。
また米穀粒の粉砕を好適に行い、均質な米微粒を得ることができる。
更にまた加工食品の原価を抑えることができる。また新たな滋味の加工食品を提供することができる。
まず「米を原料とする食材」について説明すると、このものは米穀粒1を水2に浸漬して米浸漬液3とした状態で米穀粒1への吸水を図り、その後、米浸漬液3を全て粉砕機に投入して粉砕することにより、水2が吸収された状態の米微粒10を得るものであり、且つこの米微粒10間に遊離水20が介在した状態の米ペースト5としたものである。
そしてこの食材の原料として用いる米穀粒1は、品種としては国内に普及しているジャポニカ種が好ましいが、インディカ種、ジャバニカ種であってもよい。
また原料として供給される米穀粒1の状態は、少なくとも、もみ殻を除去したものであればよく、玄米状態、精米状態のいずれでもよい。もちろん加工食品としての形態を考慮すると、精米状態のものが好ましいが、健康志向の要求に応じるには、玄米状態のものが好ましい。更にまた、米穀粒1としては破砕されたもの(いわゆる破砕米)を適用することもできる。
また「米を原料とする食材」は、米ペースト5の加工姿とされるものであり、米穀粒1は加工前に水2に浸漬されるが、その比率は、米穀粒1の重量1に対し水0.5〜1.5とされる。
なお後述するパン7の素材として用いることを考慮した場合、米穀粒1の重量1に対し水0.8〜1.2が更に好適である。
因みに2時間での浸漬で、米穀粒1に吸収される水2はほぼ飽和状態となることが確認されている。
また浸漬の際の温度は室温でよいが、雑菌の繁殖を防ぐことを考慮した場合には5℃程度の冷蔵温度とすることが好ましい。
この装置は、石臼が上下に重ねられ、その間に非処理物たる米穀粒1を導いて石臼の回転によりすり潰すように粉挽きするものである。
そして臼式粉砕機8に対して米穀粒1を投入するにあたっては、浸漬に用いた水2すべてとともに(米浸漬液3全量)投入するようにする。なお石臼の作用による加工時間は、例えば石臼の回転数が1500rpmの場合、米浸漬液3を1400g(米700g+水700g)ホッパから投入したときには、10秒〜2分ほどで全量が米ペースト5として排出される程度であった。
なお図3(a)に示すように米微粒10の粒度は1〜10μmの範囲に集中して分布していることが確認された。因みに5μmは、澱粉の平均粒子径(澱粉単粒の径)に近いものであって、臼式粉砕機8の作用によって澱粉細胞12が破壊されて砕片状態となった澱粉塊13に対し、遊離水20が流動性を付与するように関与するため、澱粉塊13を最小単位である澱粉単粒にまで崩壊させたものと考えられる。この点については後程検証する。
また図3(a)中、数十μm付近の二次ピーク値は、前記1〜10μm程の粒度の米微粒10がダマ状態に固まりあった澱粉塊13が崩壊せずに残ったものであると推察される。
更にまた図3(b)に示す米微粒10の粒度分布の積算図から明らかなように、粒径10μm以下のものが90%以上を占めていることが確認されている。
結果は図4に示すように、米微粒10の吸水率が60数%であるの対し、米粉11の吸水率は130数%と大きく異なっていることが確認された。なお参考データとして、市販の強力粉(小麦粉)の吸水率は90数%となっていた。
損傷澱粉の場合、吸水率が増大することが知られており、このことから米ペースト5に含まれている米微粒10は損傷が生じていないか、極小の損傷しか生じていないものと考えられる。
更に米ペースト5は、水2が吸収された状態の米微粒10間に遊離水20が介在したままの状態のものであるため、米微粒10は吸水状態を維持することができ、乾燥による米微粒10(澱粉単粒)の損傷が回避されることとなる。
図中、米ペースト54は米穀粒1と水2との混合比(重量比)を1:0.4としたものであり、同様に1:0.5としたものが米ペースト55、1:0.6としたものが米ペースト56、1:0.7としたものが米ペースト57、1:0.8としたものが米ペースト58である。なおこれら米ペースト54〜58は、臼式粉砕機8による破砕条件(時間、回転数等)を同一にして得られたものである。
上記米ペースト54〜58をスプーンで掬い、スプーンを傾けて流動状態を確認した。
米ペースト54、55はスプーンから流下することがなく、流動性は確認されなかった。なお米ペースト54はペースト状にはならず、パサついてバラけてしまうような状態であった。
米ペースト56、57、58についてはスプーンからの流下が見られ、流動性が確認された。
上記米ペースト54〜58をシャーレに移し、広がり状態を確認した。
米ペースト54、55は広がり(変形)は確認されなかった。
米ペースト56は僅かに広がりが確認された。
米ペースト57、58は広がりが確認された。
上記米ペースト54〜58をろ紙9上に載せ、30分後のろ紙9への水2(遊離水20)の浸透状態を確認した。
米ペースト54では浸透は確認されなかった。
米ペースト55〜58では浸透が確認された。更にろ紙9に浸透した水2の半径は、水2の混合比に対して略比例していることが確認された。
上記米ペースト54〜58における米微粒10の分布状態を、走査電子顕微鏡(1000倍)を用いて確認した。
米ペースト54では米微粒10の他に、複数の澱粉細胞12及び澱粉塊13が確認された。
米ペースト55では米微粒10の他に、僅かに澱粉細胞12及び澱粉塊13が確認された。
米ペースト56、57では米微粒10の他に、微細な澱粉塊13が僅かに確認され、澱粉細胞12は確認されなかった。
米ペースト58では米微粒10のみが確認され、澱粉細胞12及び澱粉塊13は確認されなかった。
このことから、米微粒10の分布状況(破砕状態)は、米穀粒1の硬度に依存したものではなく、米浸漬液3に含まれる水2の量に依存したものであるといえる。
したがって臼式粉砕機8の作用によって澱粉細胞12が破壊されて自由状態となった澱粉塊13に対し、遊離水20が流動性を付与するように関与するため、澱粉塊13を最小単位である澱粉単粒にまで崩壊させたものと考えられる。
そして前述した米を原料とする食材(米ペースト5)を、異種穀物粉及び/または他の材料と混合して本発明の加工食品が得られる。
ここで異種穀粉とは、本発明では小麦粒を粉砕したものが採用されるが、これ以外にそば、あわ、ひえ等のいわゆる雑穀などを用いることができ、更にこれらを混合するようにしてもよい。
また前記他の材料としては、水、卵、牛乳等の水分を含んだ材料や、食塩、砂糖、バター、膨化剤等が挙げられる。
そして米を原料とする食材(米ペースト5)と、異種穀物粉及び/または他の材料とを混合したものは、適宜適食状態に成形されるものであり、更に必要に応じて加熱されて可食状態とされて市場に提供される。もちろん最終的な加熱作業は消費者が調理の一環として行うようにしてもよい。
なお適食状態に形成されて市場に供給されるものとしては、うどん、そば等の麺類等が挙げられ、また可食状態で市場に供給されるものとしてはパン、ドーナツ、シュー、クレープ、クッキー、ビスケット等の焼き菓子や、ホワイトソース等が挙げられる。
また前記加熱は、パンや焼き菓子の場合にはオーブン等による焼成が行われるものであり、麺類の場合には熱湯、蒸気等による蒸煮が行われるものであり、更に食用油による揚げ処理を行うようにしてもよい。
更に米を原料とする食材(米ペースト5)を天ぷらやフライの衣として用いることもできる。
次に典型的な用途であるパン7としての加工食品について説明する。
まずパン生地6の調製工程において、異種穀粉を小麦粉(強力粉)とし、この小麦粉に対する米微粒10の代替率が10〜50%、好ましくは20〜40%となるように混入する。
なお両者を混ぜるにあたっては、まず小麦粉と、イースト及び調味剤とを水を加えて混捏(一例として2分)して混捏物60を調製する。なおこのときの水の量は、米ペースト5に含まれる水2の量を考慮して、通常の量よりも少なくする。
次いで混捏物60に米ペースト5を加えて混捏することにより(一例として8分)、パン生地6が調製される。
このとき、米成分の糊化に必要な水分は、既に米微粒10に吸収されており、小麦粉のグルテン形成に影響を及ぼしてしまうことがないため、グルテン形成が良好に行われることとなる。更に予め混捏された小麦粉に対して、遊離水20によって親和性が高められた米ペースト5が素早く馴染むため、グルテンに対する米でんぷん粒子30の結合を良好に行うことができる。
そしてその後、このパン生地6を適宜醗酵させ、更に適宜成形した後、焼成して膨化させ、パン7として加工される。
因みにパン生地6の醗酵から焼成工程に至るまでの工程は、従来手法が踏襲される。
次に米を原料とする食材を用いた加工食品として、麺の形態が採られる場合について説明する。麺の種類は、うどん、中華麺、そば等の形態が採られるものであるが、この場合、主原料となる小麦粉等に対して、この小麦粉に対する米微粒10の代替率が、20〜80%となるように混入される。
なおそれぞれの製造手法は、基本的にはそれぞれの麺の加工手法を踏襲するものである。
次に米を原料とする食材を用いた加工食品として、焼き菓子の形態が採られる場合について説明する。焼き菓子の種類は、パイ、シュー、クレープ、クッキー、ビスケット等の形態が採られるものであるが、この場合も主原料となる小麦粉等に対して、この小麦粉に対する米微粒10の代替率が、20〜100%となるように混入される。
なおそれぞれの製造手法は、基本的にはそれぞれの焼き菓子の加工手法を踏襲するものである。
以下、パン7としての加工食品である実施例1を例示する。
この実施例1は、実質的に小麦粉の30%を米微粒10によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 :210g
砂糖 : 20g
塩 : 5g
スキムミルク: 5g
イースト : 3g
バター : 20g
水 : 92g
米ペースト:198g(米微粒:水=1:1.2、米微粒90g、水108g)
比較例1として、各材料を下記のような一般的な配合としたパンを用意した。
小麦粉 :300g
砂糖 : 20g
塩 : 5g
スキムミルク: 5g
イースト : 3g
バター : 20g
水 :200g
比較例2として、小麦粉の30%を米粉(乾燥粉砕した粒径30μm程度のもの)によって代替したパンを用意した。各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 :210g
砂糖 : 20g
塩 : 5g
スキムミルク: 5g
イースト : 3g
バター : 20g
水 :200g
米粉 : 90g (米粉は乾燥粉砕によるもの。)
図11(a)に示すものが実施例1の表面を拡大したもの、(b)に示すものが比較例1の表面を拡大したもの、(c)に示すものが比較例2の表面を拡大したものである。
比較例1では、筋状のグルテン61がはっきりと観察された。
実施例1では、筋状のグルテン61に米でんぷん粒子30が嵌まり込んだ(結合した)状態となっているのが観察された。
比較例2では、米でんぷん粒子30は観察できるものの、筋状のグルテン61は観察されなかった。
図12(a)に示すものが実施例1の正面及び断面を撮影したもの、(b)に示すものが比較例1の正面及び断面を撮影したもの、(c)に示すものが比較例2の正面及び断面を撮影したものである。
比較例1を基準にすると、実施例1は比較例1と同程度に膨化していることが確認され、また気泡70の状態、いわゆるきめの細かさも、同程度であることが確認された。
一方、比較例2は比較例1を基準にすると、70%程度の膨化にとどまっていることが確認された。また気泡70の状態、いわゆるきめの細かさについては、粗くなっていることが確認された。
一方、比較例2は、全ての項目において比較例1よりも劣った結果となっている。
この結果、実施例1は、同量の米成分を含む比較例2よりも、明らかに優れたものであることが確認された。
次に、うどんとしての加工食品である実施例2を例示する。
この実施例2は、実質的に小麦粉の50%を米微粒によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 : 50g
食塩 : 1.5g
水 : 10g
米ペースト:100g(米微粒:水=1:1、米微粒50g、水50g)
そして、まず米ペーストに小麦粉、食塩、水を加えよく捏ねる。その後、30分以上ねかせ、生地を延ばして細く切る。そして沸騰している湯で10分程度ゆでた後、冷水にさらすことにより、可食状態の加工食品であるうどん100となる(図14参照)。
このようにして製造されたうどん100としての加工食品は、麺の食感、コシ、味等が、本来の原料により製造されたものと遜色ないものとなっていることが確認された。
次に米ペーストの配合量を異ならせた、うどんとしての加工食品である実施例3を例示する。
この実施例3は、実質的に小麦粉の71.4%を米微粒によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 : 20g
食塩 : 1.5g
米ペースト:100g(米微粒:水=1:1、米微粒50g、水50g)
そして、まず米ペーストに小麦粉、食塩を加えよく捏ねる。その後、30分以上ねかせ、生地を延ばして細く切る。そして沸騰している湯で10分程度ゆでた後、冷水にさらすことにより、可食状態の加工食品であるうどん110となる(図15参照)。
このようにして製造されたうどん110としての加工食品は、実施例2と同様に、麺の食感、コシ、味等が、本来の原料により製造されたものと遜色ないものとなっていることが確認された。
次にパイ生地としての加工食品である実施例4を例示する。
この実施例4は、実質的に小麦粉の82%を米微粒によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
強力粉 : 20g
バター : 90g
打ち粉 : 少々
米ペースト:180g(米微粒:水=1:1、米微粒90g、水90g)
そして、米ペーストに強力粉を少しずつ加えながら生地をまとめ、打ち粉をまぶした調理台の上に載せる。次に2cm角に切ったバターを生地の中央に載せ、少しずつ混ぜてゆき、生地がほぼ混ざったら全体を手早くまとめる。
次いで打ち粉を調理台の上にふり、めん棒を左右、上下に転がしながら、生地を長方形に延ばし、その後、3つに折り重ねる。次いで打ち粉をまぶしたラップで生地を包み、冷蔵庫で約60分ねかす。更にこのような延ばしとねかせを複数回行い、パイ皿の大きさに延ばして成形する。
そして生地の上に具材121を盛り付けるとともに、生地の表面に卵黄を塗り、180〜200℃のオーブンで25〜30分間、焼成することにより、可食状態の加工食品であるパイ生地120となる(図16参照)。
このようにして製造されたパイ生地120としての加工食品は、生地の食感、味等が、本来の原料により製造されたものと遜色ないものとなっていることが確認された。
因みに前記具材121としては、りんご300g、砂糖90gを用いた。
次にドーナツとしての加工食品である実施例5を例示する。
この実施例5は、実質的に小麦粉の43%を米微粒によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 : 20g
バター : 10g
砂糖 : 10g
全卵 : 7g
ベーキングパウダー: 0.5g
揚げ油 : 少々
米ペースト : 30g(米微粒:水=1:1、米微粒15g、水15g)
そして、ボールにバターを入れてよく練り、砂糖を加えて更に練る。次いで全卵を加えて分離しないように注意して更に混ぜる。次いで米ペーストとふるった小麦粉を加え、全体をよく混ぜる。次いで打ち粉をして生地を延ばし、ドーナツ型を用いて成形する。
そして約160℃の油できつね色になるまで揚げることにより、可食状態の加工食品であるドーナツ130となる(図17参照)。
このようにして製造されたドーナツ130としての加工食品は、食感、味等が、本来の原料により製造されたものと遜色ないものとなっていることが確認された。
次にシュー生地としての加工食品である実施例6を例示する。
この実施例6は、実質的に小麦粉の82%を米微粒によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 : 10g
バター : 25g
食塩 : 0.5g
全卵 : 60g
米ペースト: 30g(米微粒:水=1:1、米微粒15g、水15g)
そして、鍋にバターを入れて火にかけ、沸騰したら小麦粉を加え、ダマにならないようにかき混ぜた後、火からおろす。
その後、全体がまとまったら米ペーストを加え、均一に混ざったら再び火にかけ、適宜加熱した後、火からおろし、全卵を加える。
そして絞り袋に生地を入れ、オーブン用の天板上に絞り、180〜200℃で15分間焼成し、更に160〜180℃に下げて約5分間焼成することにより、可食状態の加工食品であるシュー生地140となる(図18参照)。
その後、別途用意したクリーム141をシュー生地140の中に注入する。
このようにして製造されたシュー生地140としての加工食品は、生地の食感、味等が、本来の原料により製造されたものと遜色ないものとなっていることが確認された。
因みに前記クリーム141としては、カスタードクリームを用いた。
次に米ペーストの配合量を異ならせたシュー生地としての加工食品である参考例7を例示する。
この参考例7は、実質的に小麦粉の100%を米微粒によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 : 0g
バター : 25g
食塩 : 0.5g
全卵 : 30g
米ペースト: 50g(米微粒:水=1:1、米微粒25g、水25g)
そして、鍋にバターを入れて火にかけ、沸騰したら火からおろす。
次いで米ペーストを加え、均一に混ざったら再び火にかけ、適宜加熱した後、火からおろし、全卵を加える。
そして絞り袋に生地を入れ、オーブン用の天板上に絞り、180〜200℃で15分間焼成し、更に160〜180℃に下げて約5分間焼成することにより、可食状態の加工食品であるシュー生地150となる(図19参照)。
その後、別途用意したクリーム151をシュー生地150の中に注入する。
このようにして製造されたシュー生地150としての加工食品は、実施例6のものと同様に、生地の食感、味等が、本来の原料により製造されたものと遜色ないものとなっていることが確認された。
因みに前記クリーム151としては、カスタードクリームを用いた。
次にクレープ生地としての加工食品である参考例8を例示する。
この参考例8は、実質的に小麦粉の100%を米微粒によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 : 0g
砂糖 : 5g
全卵 : 20g
牛乳 : 50cc
サラダ油 : 適量
米ペースト: 50g(米微粒:水=1:1、米微粒25g、水25g)
そして、ボールに全卵を入れ泡立器で混ぜ、砂糖を加えて更に混ぜ、次いで牛乳を加える。次いで米ペーストを加え、均一に混ざったら熱したフライパンに油を引き、生地を薄く延ばして両面を焼き上げることにより、可食状態の加工食品であるクレープ生地160となる(図20参照)。
その後、別途用意したジャム、はちみつ等のトッピング161を盛り付ける。
このようにして製造されたクレープ生地160としての加工食品は、生地の食感、味等が、本来の原料により製造されたものと遜色ないものとなっていることが確認された。
次にホワイトソースとしての加工食品である参考例9を例示する。
この参考例9は、実質的に小麦粉の100%を米微粒によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 : 0g
バター : 10g
牛乳 :170cc
塩・こしょう: 少々
米ペースト: 25g(米微粒:水=1:1、米微粒12.5g、水12.5g)
そして、鍋にバターを入れて火にかけ、米ペーストを加え、均一にかき混ぜる。そして牛乳を少しずつ加えて溶きのばし、その後、中火で加熱して、とろみがついた後しばらく煮詰める。最後に塩、こしょうで味をととのえることにより、可食状態の加工食品であるホワイトソース170となる(図21参照)。
その後、ホワイトソース170を、別途用意した具材とともにオーブンで焼いてグラタンとしたり、パスタのソース等として供する。
このようにして製造されたホワイトソース170としての加工食品は、食感、味等が、本来の原料により製造されたものと遜色ないものとなっていることが確認された。
次にかき揚げとしての加工食品である参考例10を例示する。
この参考例10は、実質的に小麦粉の100%を米微粒によって代替するものであり、各材料の配合は以下に示すようにした。
小麦粉 : 0g
干桜えび : 5g
卵 : 10g
青ねぎ : 25g
揚げ油 : 少々
米ペースト : 70g(米微粒:水=1:1、米微粒35g、水35g)
そして、ボールに米ペーストと卵を入れ、よく混ぜる。次いで干桜えびと1cmの長さに切った青ねぎを加え混ぜる。そして約180℃の油で中心部にまで熱が通るように揚げることにより、可食状態の加工食品であるかき揚げ180となる(図22参照)。
このようにして製造されたかき揚げ180としての加工食品は、食感、味等が、本来の原料により製造されたものと遜色ないものとなっていることが確認された。
10 米微粒
11 米粉
12 澱粉細胞
13 澱粉塊
2 水
20 遊離水
3 米浸漬液
30 米でんぷん粒子
5 米ペースト
54 米ペースト
55 米ペースト
56 米ペースト
57 米ペースト
58 米ペースト
6 パン生地
60 混捏物
61 グルテン
7 パン
70 気泡
8 臼式粉砕機
9 ろ紙
100 うどん
110 うどん
120 パイ生地
121 具材
130 ドーナツ
140 シュー生地
141 クリーム
150 シュー生地
151 クリーム
160 クレープ生地
161 トッピング
170 ホワイトソース
180 かき揚げ
Claims (11)
- 米穀粒を水に浸漬して米浸漬液とした状態で米穀粒への吸水を図り、その後、米浸漬液を全て臼式粉砕機に投入して粉砕することにより、水が吸収された状態であり、且つ粒径の最大分布域が1〜10μmとなった澱粉単粒状態の米微粒を得るものであり、且つこの米微粒間に遊離水が介在した状態の米ペーストとし、この米ペーストが、小麦粉または小麦粉及び他の材料と混合され、更に適宜適食状態に成形されたことを特徴とする米を原料とする食材を用いた加工食品。
- 米穀粒を水に浸漬して米浸漬液とした状態で米穀粒への吸水を図り、その後、米浸漬液を全て臼式粉砕機に投入して粉砕することにより、水が吸収された状態であり、且つ粒径の最大分布域が1〜10μmとなった澱粉単粒状態の米微粒を得るものであり、且つこの米微粒間に遊離水が介在した状態の米ペーストとし、この米ペーストが、小麦粉または小麦粉及び他の材料と混合され、更に適宜適食状態に成形され、更に加熱されて可食状態とされたことを特徴とする米を原料とする食材を用いた加工食品。
- 前記米穀粒と水との比率は、米穀粒重量1に対し水0.5〜1.5であることを特徴とする請求項1または2記載の米を原料とする食材を用いた加工食品。
- 前記加工食品は、パンとして加工されたものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の米を原料とする食材を用いた加工食品。
- 前記小麦粉に対する米微粒の代替率が、10〜50%であることを特徴とする請求項4記載の米を原料とする食材を用いた加工食品。
- 米穀粒を水に浸漬して米浸漬液とした状態で米穀粒への吸水を図り、その後、米浸漬液を全て臼式粉砕機に投入して粉砕することにより、水が吸収された状態であり、且つ粒径の最大分布域が1〜10μmとなった澱粉単粒状態の米微粒を得るものであり、且つこの米微粒間に遊離水が介在した状態の米ペーストを得て、前記米ペーストと、小麦粉または小麦粉及び他の材料とを混捏し、これを適宜適食状態に成形することを特徴とする米を原料とする食材を用いた加工食品の製造法。
- 米穀粒を水に浸漬して米浸漬液とした状態で米穀粒への吸水を図り、その後、米浸漬液を全て臼式粉砕機に投入して粉砕することにより、水が吸収された状態であり、且つ粒径の最大分布域が1〜10μmとなった澱粉単粒状態の米微粒を得るものであり、且つこの米微粒間に遊離水が介在した状態の米ペーストを得て、前記米ペーストと、小麦粉または小麦粉及び他の材料とを混捏し、これを適宜適食状態に成形し、更に加熱して可食状態とすることを特徴とする米を原料とする食材を用いた加工食品の製造法。
- 前記米穀粒を浸漬する水は、米穀粒重量1に対し0.5〜1.5であることを特徴とする請求項6または7記載の米を原料とする食材を用いた加工食品の製造法。
- 前記水に対する米穀粒の浸漬時間は、2時間以上であることを特徴とする請求項6、7または8記載の米を原料とする食材を用いた加工食品の製造法。
- 前記米ペーストと、小麦粉と、パン生地を作るために添加される適量のイースト及び調味剤とを用意し、まず小麦粉と、イースト及び調味剤とを水を加えて混捏し、次いでこれに米ペーストを加えて混捏してパン生地を調製して、その後これを焼成して膨化させ、パンとして加工することを特徴とする請求項7、8または9記載の米を原料とする食材を用いた加工食品の製造法。
- 前記小麦粉に対する米微粒の代替率は10〜50%とすることを特徴とする請求項10記載の米を原料とする食材を用いた加工食品の製造法。
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