JP6758822B2 - 包餡食品の皮用組成物、包餡食品の皮、及び包餡食品、並びに生包餡食品の皮の軟化を抑制する方法 - Google Patents

包餡食品の皮用組成物、包餡食品の皮、及び包餡食品、並びに生包餡食品の皮の軟化を抑制する方法 Download PDF

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本発明は、餃子、ワンタン、シュウマイ、ラビオリ等の包餡食品の皮用組成物、特に加熱調理前の未加熱の形態で、冷蔵又はチルド温度帯で保存、流通、及び/又は販売される包餡食品の皮用組成物、並びにそれを用いる包餡食品の皮、及び包餡食品に関する。
包餡食品は、細かく刻んだ野菜類、畜肉類、魚介類、調味料等からなる餡を、麺皮(以下、単に「皮」ともいう)で包んだものを焼き調理、揚げ調理、蒸し調理、茹で調理等の加熱調理したものであり、餃子、ワンタン、シュウマイ、ラビオリ等が挙げられる。これらの包餡食品では、焼き調理、蒸し調理等の加熱調理前の未加熱の状態(以下、「生包餡食品」とも称する)で、冷蔵又はチルド温度帯(本発明において、冷蔵は10℃以下、チルドは5℃以下を意味する。以下、省略して「冷蔵温度帯」ともいう)で保存、流通、及び/又は販売される商品形態がある。生包餡食品は、冷蔵温度帯で長時間保存していると、餡の水分が皮へ移行することによって、皮が軟化して、保存容器中で型崩れが生じたり、調理時に容器から取り出す際に、皮が伸びたり、容器に張り付いたりして皮が破れるといった問題が生じる。したがって、一般的には、皮の調製の際に加水量を少なくする、皮の厚さを厚くする、餡の水分を少なくするといった手段で、皮の軟化を防ぐことが行なわれている。しかしながら、このような手段では、加熱調理した際の包餡食品の皮や具材の食感が悪く、包餡食品の品質として劣る場合がある。
従来から、生包餡食品の餡から皮への水分の移行を防止する方法が開発されている。例えば、特許文献1においては、具をでん粉質薄皮で包み込む等により形成された、餃子等のでん粉質薄皮を有する食品を工場で大量生産して、生の生鮮食品として市場に流通するに際し、具の水分を薄皮の生地が吸水することによる「だれ」を防止し、風味、食感ともに優れたでん粉質薄皮を有する食品を提供することを目的として、加熱加工により薄皮となる生地のでん粉質と、加熱調理を完了していない具素材とを、可食防水皮膜により分離してなることを特徴とするでん粉質薄皮を有する食品が開発されている。また、特許文献2においては、具材からの離水に起因する皮の軟化によって外観が損なわれることなく、喫食に際して良好な食感、食味を具え、且つ食品安全上問題のない離水防止された具材を含む生餃子を提供することを目的として、具材を皮で包み込んだ生餃子において、前記具材には、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カルシウム塩が添加混合されていることを特徴とする離水防止された具材を含む生餃子が開発されている。
特開昭60−172273号公報 特開2003−144107号公報
上記の特許文献においては、餡の離水防止や防水皮膜によって、餡の水分の皮への移行を防止するため、包餡食品の皮に関しては特に検討されていない。しかしながら、包餡食品の餡の種類によっては、餡の水分が皮に移行してしまう場合があるため、餡の水分を吸収した場合であっても、品質を維持できる包餡食品の皮の開発が望まれている。
したがって、本発明の目的は、包餡食品の皮用の組成物であって、特に生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難く、且つ加熱調理した際に食感が良好な包餡食品の皮が得られる組成物、並びにそれを用いた包餡食品の皮、及び包餡食品を提供することにある。また、本発明の目的は、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で保存した際の包餡食品の皮の軟化を抑制する方法を提供することにある。
本発明者らは、包餡食品の皮を調製する組成物に配合する材料について、種々検討した結果、特定の食物繊維を所定量配合することで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、上記目的は、穀粉を含む原料粉を含有する包餡食品の皮用組成物であって、柑橘類由来の食物繊維を、前記原料粉の質量を基準として、0.8〜4.5質量%含有し、前記包餡食品が、加熱調理前の未加熱の状態で、冷蔵又はチルド温度帯で保存、流通、及び/又は販売される包餡食品であることを特徴とする組成物によって達成される。上記食物繊維を、上記範囲で含有する組成物を用いることで、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難く、且つ食感が良好な包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができる。この要因としては、包餡食品の皮に含まれる上記食物繊維が、生包餡食品の形態で保存中に餡から皮へ移行する水分を保持し、皮を構成するグルテンやでん粉に水分が移行することを抑制するためと考えられる。
本発明の包餡食品の皮用組成物の好ましい態様は以下の通りである。
(1)増粘多糖類をさらに含む。
)活性グルテンをさらに含む。
)及び/又は()により、生包餡食品の形態において、さらに高い強度の包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができる。
また、上記目的は、本発明の組成物、及び水を含む生地からなる包餡食品の皮によって達成される。本発明の組成物から調製した包餡食品の皮を用いることで、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難く、且つ食感が良好な包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができる。
さらに、上記目的は、本発明の包餡食品の皮、及び前記包餡食品の皮に包まれた餡を含む包餡食品によって達成される。
また、上記目的は、加熱調理前の未加熱の状態の包餡食品を、冷蔵又はチルド温度帯で保存した際の包餡食品の皮の軟化を抑制する方法であって、前記包餡食品の皮が、穀粉を含む原料粉を含有する包餡食品の皮用組成物であり、柑橘類由来及び/又は大豆由来の食物繊維を、前記原料粉の質量を基準として、0.8〜4.5質量%含有し、前記包餡食品が、加熱調理前の未加熱の状態で、冷蔵又はチルド温度帯で保存、流通、及び/又は販売される包餡食品である組成物、及び水を含む生地からなる包餡食品の皮であることを特徴とする方法によって達成される。
本発明の包餡食品の皮用組成物を用いることで、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難く、且つ食感が良好な包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができる。これにより、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で保存、流通、及び/又は販売される、高品質の包餡食品を提供することができる。
[包餡食品の皮用組成物]
本発明の包餡食品の皮用組成物は、穀粉を含む原料粉を含有する。本発明において、原料粉に含まれる穀粉は、通常、小麦粉を含む。小麦粉としては、どのような種類の小麦粉を用いてもよく、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、セモリナ粉等を適宜使用することができる。本発明において、穀粉は、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、米粉、そば粉、大豆粉等の小麦粉以外の穀粉を含んでいてもよい。本発明において、原料粉は、穀粉の他、後述するその他の組成物の材料の内、澱粉;たん白素材;粉末油脂等の粉体材料のことを意味し、食塩、かんすい、アルコール製剤等の水に可溶な材料、液状の材料は含まない。本発明の組成物は、柑橘類由来及び/又は大豆由来の食物繊維を、原料粉の質量を基準として、0.8〜4.5質量%含有することを特徴とする。この組成物を用いることで、皮の調製の際に加水量を少なくする、皮の厚さを厚くするといった調整をせずに、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難く、且つ食感が良好な包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができる。この要因としては、明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、柑橘類由来の食物繊維は、スポンジ様の繊維構造を有するため、極めて高い水分保持力を有する。また、大豆由来の食物繊維も高い保水性を有する。包餡食品の皮が、上記食物繊維を適切な範囲で含むことで、上記食物繊維が、生包餡食品の形態で保存中に餡から皮へ移行する水分を吸収・保持し、包餡食品の皮を構成するグルテンやでん粉に水分が移行することを抑制し、且つ包餡食品の皮の物性に悪影響を与え難いためと考えられる。後述する実施例に示す通り、上記食物繊維以外の食物繊維では、上記の効果が得られず、また、上記食物繊維の配合量が、上記範囲より少ない場合は、皮の軟化を抑制する効果が低く、上記範囲より多い場合は、皮の軟化は抑制されるものの皮の食感が低下する。上記食物繊維の含有量は、原料粉の質量を基準として、好ましくは1.0〜4.0質量%、さらに好ましくは1.5〜3.5質量%、特に1.7〜3.0質量%である。
本発明の組成物において、柑橘類由来の食物繊維は、レモン、ライム、グレープフルーツ、ザボン、ナツミカン、オレンジ、ユズ等の柑橘類由来で、不溶性食物繊維のセルロース、ヘミセルロース、及び水溶性食物繊維のペクチン等を含み、スポンジ様の繊維構造を有するものである。本発明において、柑橘類由来の食物繊維は、不溶性食物繊維の含有量が、食物繊維の総量に基づいて、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。食物繊維の内、不溶性食物繊維を60質量%以上とすることで、水分保持力がさらに高くなり、効果的に餡から皮へ移行する水分を吸収・保持することができる。また、大豆由来の食物繊維は、大豆由来で、不溶性食物繊維のヘミセルロース、セルロース、及び水溶性の多糖類等を含むものである。これらの食物繊維は、保水量が、8ml/g食物繊維以上であることが好ましく、10ml/g食物繊維以上であることがより好ましく、15ml/g食物繊維以上であることがさらに好ましい。なお、保水量は、一定量の食物繊維試料に一定量の水を添加して撹拌・混合したものを遠心分離した後、分離した水を除去し、残った試料の質量を測定することにより、食物繊維試料に保持された水の量を求めることができる。例えば、0.5gの食物繊維試料を、50ml遠沈管に採り、30mlの水を添加して室温20時間振とう撹拌した後、遠心分離(2500rpm、10分間)にかけ、分離した液層を除去し、残った試料の質量と使用した食物繊維試料の質量との差を求めることにより、食物繊維試料に保持された水の量を求めることができる。柑橘類由来の食物繊維としては、例えば、ヘルバセルAQプラスCF、シトリ・ファイ等、大豆由来の食物繊維としては、例えば、ベジプラスSO等の市販品を適宜使用することができる。上記食物繊維は1種を単独で、又は複数種を混合して使用してもよい。
本発明の組成物は、上述の通り、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難く、且つ食感が良好な包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができるので、本発明において、包餡食品は、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で保存、流通、及び/又は販売される包餡食品であることが好ましい。
本発明の組成物は、増粘多糖類をさらに含むことが好ましい。これにより、生包餡食品の形態で、さらに高い強度の包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができる。これは増粘多糖類が包餡食品の皮を構成するグルテンを強化するためと考えられる。本発明の包餡食品の皮用組成物における増粘多糖類の含有量は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はない。増粘多糖類が少な過ぎると、皮の強度をさらに高める効果が低く、多過ぎると食感が低下する場合がある。したがって、増粘多糖類の含有量は、原料粉の質量を基準として、好ましくは0.1〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.2〜1.0質量%、特に0.3〜0.8質量%である。本発明の組成物において、増粘多糖類としては特に制限はなく、例えば、カラギーナン、キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、アラビアガム、アルギン酸、サイリウム、ジェランガム等の市販のものを適宜使用することができる。増粘多糖類は1種を単独で、又は複数種を混合して使用してもよい。
本発明の組成物は、活性グルテンをさらに含むことが好ましい。これにより、生包餡食品の形態において、さらに高い強度の包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができる。これは活性グルテンが包餡食品の皮を構成するグルテンをさらに強化するためと考えられる。本発明の包餡食品の皮用組成物における活性グルテンの含有量は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はない。活性グルテンが少な過ぎると、皮の強度をさらに高める効果が低く、多過ぎると食感が低下する場合がある。したがって、活性グルテンの含有量は、原料粉の質量を基準として、好ましくは0.5〜5.0質量%であり、さらに好ましくは1.0〜3.0質量%、特に1.5〜2.5質量%である。活性グルテンは、例えば、小麦粉に水を加えて混捏し、グルテンが形成された生地を調製した後、その生地を洗浄して澱粉等を除去し、必要に応じてpH調整、乾燥、粉砕等することにより粉状物として得ることができる。本発明の組成物に含有する活性グルテンとしては、特に制限はなく、市販のものを適宜使用することができる。
本発明の組成物においては、本発明の効果を損なわない限り、上述した材料以外に、一般に、包餡食品の皮に使用される材料を適宜含んでいてもよい。その他の材料としては、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉、及びそれらの澱粉を原料として、物理的又は化学的に加工を施した加工澱粉;リグニン、キチン、キトサン、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の上記食物繊維以外の食物繊維;卵白粉、卵黄粉、カゼイン等の上記活性グルテン以外のたん白素材;粉末油脂等の食用油脂;糖類;乳化剤;色素;アラニン、グリシン、リジン等のアミノ酸;グルタミン酸ナトリウム、食塩等の調味料;香料;かんすい;アルコール製剤等が挙げられる。本発明の組成物は、原料粉等の各材料を予め混合したミックス粉の形態でもよく、包餡食品の皮を調製する際に各材料を、混練機に別々に投入して混合した形態でもよく、さらに水を混合した生地の形態でもよい。
[包餡食品の皮]
本発明の包餡食品の皮は、本発明の組成物、及び水を含む生地からなる包餡食品の皮である。上述の通り、本発明の組成物から調製した包餡食品の皮を用いることで、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難く、且つ食感が良好な包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができる。本発明の包餡食品の皮の調製は、常法にしたがって行なうことができる。例えば、まず、本発明の組成物を混練機に入れ、撹拌しながら所定量の水を添加して、生地がそぼろ状になるまで混練する。なお、必要に応じて、組成物の一部の材料については、添加する水に溶解するか、又は分散させてから添加してもよい。その後、そぼろ状の生地を製麺機のロールに通して圧延する。ロールによる圧延は、複数回繰り返しても良く、最終的に所望の厚さの麺帯を得る。得られた麺帯を切断するか、型抜きをして包餡食品の皮を調製する。生地に添加する水の量(加水量ともいう)は、本発明の包餡食品の皮が調製できれば、特に制限はなく、生地の状態を見て、適宜調整することができる。上述の通り、従来技術では、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で保存、流通、及び/又は販売される包餡食品の場合は、餡の水分の皮への移行を考慮して、皮の調製の際に加水量を少なくする手段で、皮の軟化を防ぐことが行なわれることがあるが、この場合、十分なグルテン形性ができずに、加熱調理後の皮の食感が悪くなる場合がある。本発明の包餡食品の皮であれば、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難いため、皮の調製の際に加水量を少なくする必要はなく、通常の加水量、又は通常より多い加水量で調製でき、良好な食感の包餡食品の皮とすることができる。
[包餡食品]
本発明の包餡食品は、本発明の包餡食品の皮、及び前記包餡食品の皮に包まれた餡を含む包餡食品である。本発明の包餡食品の製造は、常法にしたがって行なうことができる。例えば、本発明の包餡食品の皮に餡を包み、生包餡食品を調製する。その後、必要に応じて焼き調理、蒸し調理、茹で調理等の加熱調理を行う。包餡食品の商品形態としては、生包餡食品の調製後、加熱調理前の未加熱の状態で、冷蔵、又は冷凍した形態であってもよく、加熱調理後の出来立ての状態、又は冷蔵若しくは冷凍保存した形態であってもよい。本発明の包餡食品は、上述の通り、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難く、且つ食感が良好な包餡食品の皮を有する包餡食品なので、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で保存、流通、及び/又は販売される包餡食品であることが好ましい。本発明において、餡は、包餡食品の種類によって異なるが、一般に、粗く若しくは細かく刻んだキャベツ、ネギ、にら、玉ねぎ、ニンニク、ニンジン等の野菜類、小豆、緑豆等の豆類、牛肉、豚肉、鶏肉等の畜肉類、エビ、帆立貝等の魚介類、鶏卵等の卵類、チーズ等の乳製品、リンゴ等の果実類、醤油、食塩、砂糖等の調味料等を混練したものである。なお、本発明の包餡食品には、上記餡に加えて、又は餡に代えて、豚の角煮等の肉類やエビ等の魚介類等の大きめな具材を包餡食品の皮に包んだものも含む。本発明の包餡食品としては、特に制限はなく、例えば、餃子、ワンタン、シュウマイ、ラビオリ等が挙げられる。
[生包餡食品の皮の軟化抑制方法]
本発明の方法は、加熱調理前の未加熱の状態の包餡食品(すなわち、生包餡食品)を、冷蔵温度帯で保存した際の包餡食品の皮の軟化を抑制する方法であって、前記包餡食品の皮が、柑橘類由来及び/又は大豆由来の食物繊維を含有することを特徴とする方法である。上述の通り、柑橘類由来及び/又は大豆由来の食物繊維を包餡食品の皮に含有させることで、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存した場合であっても、餡の水分の移行による皮の軟化を抑制することができる。柑橘類由来及び/又は大豆由来の食物繊維の好ましい含有量は、上述の通りである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.餃子の製造方法
(1)餃子の皮の調製方法
包餡食品として餃子を選択し、まず、表1〜4に示した各実施例、比較例及び参考例の配合で餃子の皮を調製した。具体的には、各材料の内、食塩、アルコール製剤、水以外の材料を合計1kgになるように混練機(カントーミキサー10Q、フック使用)に投入し、混合した後、所定の量の食塩、アルコール製剤、及び水を混合したものを混練機中へ投入し、さらに混練し、そぼろ状の生地を調製した。その後、そぼろ状の生地を製麺機の圧延ロールに掛け(8号ロール1回、6号ロール2回)麺帯を調製した。得られた麺帯を型でくり抜き、餃子の皮(直径90mm、厚さ0.8mm)を調製した。
(2)餃子の製造方法
豚挽き肉200質量部、ラード30質量部を混合し、ごま油25質量部、醤油25質量部、酒15質量部、おろしニンニク2質量部、おろしショウガ2質量部、及びコショウ少々を加えてさらに混合し、キャベツ(脱水処理(5〜7mmの角切りにし、1質量%の食塩を振って混ぜた後、1時間放置後、水分を搾った(歩留まり約80質量%))後)400質量部、及び刻んだニラ400質量部を加えて軽く混合して、餡を調製した。(1)で調製した皮を用いて、上記餡(15g)を包み、各例10個の生餃子を調製した。
2.餃子の皮の評価
(1)皮の伸び、破れの評価
仕切りつきトレーに打ち粉(粉雪AL(昭和産業株式会社製))約3gを振った後、得られた各生餃子を、1個ずつトレーに並べ、さらに打ち粉約3gを振った。これをラップで包みチルド温度帯(0〜5℃)で保存した。3日後(D+3)(及び5日後(D+5))に各生餃子の皮の伸び、破れを以下の評価方法で評価した。すなわち、まず、静置状態で生餃子のミミ(餃子の皮の結着部分)の長さを測定する。次いで、ミミを摘んで、生餃子をトレーから持ち上げ、トレーから持ち上がった時点でのミミの長さを測定し、静置状態との差を、皮の伸び(mm)とした。なお、ミミを摘んで生餃子を持ち上げたとき、トレーから離れずに、皮が破けた場合は、破れた個数としてカウントするとともに、その時点での長さを測定した。皮の伸びは、各例10個の平均値を算出した。
(2)食感
上記保存試験における3日後の生餃子については、焼き餃子を作製して、餃子の皮の食感を評価した。すなわち、200℃に加熱したフライパンに2gの油を引き、生餃子6個を置き、1分間加熱後、水140ml添加し、蓋をして約4分間加熱した。その後、蓋をはずして240℃まで加熱した後、餃子を取り出し、餃子の皮の食感を以下の評価基準で評価した。
◎:硬さ、粘り、弾力のバランスが非常によく非常に良好な食感である。
○:適度な硬さ、粘り、弾力があり良好な食感である。
△:やや硬さ、又はややざらつきが感じられるが、許容範囲である。
×:硬さ、又はざらつきが強く非常に食感が悪い。
まず、餃子の皮に種々の食物繊維を添加した場合の皮の伸び、破れを評価した。表1に示した通り、食物繊維を含有しない参考例1の餃子の皮は、チルド温度帯での保存3日後の皮の伸びが18mmであり、皮の破れが生じた餃子も4個認められた。これに対し、柑橘類由来食物繊維製品(1)を含有する実施例1の餃子の皮は、皮の伸びが4.7mmと極めて小さく、皮の破れも認められなかった。また、柑橘類由来食物繊維製品(2)を含有する実施例2の餃子の皮は、皮の伸びが8.2mm、大豆由来食物繊維製品を含有する実施例3の餃子の皮は、皮の伸びが5.5mmと、実施例1より劣るものの、皮の破れも認められなかった。一方、不溶性食物繊維を含む素材として、小麦ふすまを含有する餃子の皮を用いた比較例1、一般的な不溶性食物繊維である結晶セルロースを含有する餃子の皮を用いた比較例2、並びに不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の比率を柑橘類由来の食物繊維組成に合わせて、不溶性食物繊維の結晶セルロース、及び水溶性食物繊維のペクチンを含有する餃子の皮を用いた比較例3では、皮の伸びが、それぞれ13.3mm、11.2mm、及び16.6mmと大きく、皮の破れが生じた生餃子も認められた。したがって、食物繊維の内、柑橘類由来食物繊維及び/又は大豆由来の食物繊維を含有する餃子の皮を用いることで、生餃子を冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化し難く、且つ食感が良好な餃子の皮を有する餃子を製造することができることが示唆された。
Figure 0006758822
次に、本発明の効果に対する上記食物繊維の含有量の影響について、柑橘類由来食物繊維製品(1)を用いて調べた。表2に示した通り、柑橘類由来食物繊維の含有率が高い程、チルド温度帯での保存3日後の皮の伸びは小さくなる傾向があり、皮の破れが生じた餃子の数も少ない傾向があった。一方、柑橘類由来食物繊維の含有率が高い程、餃子の皮の食感が悪くなる傾向があった。具体的には、原料粉の質量を基準として、柑橘類由来食物繊維の含有率が0.43質量%の比較例4では、皮の伸びが表1の参考例1と同程度であり、5.10質量%の比較例5では、皮の食感が悪かった。これに対し、実施例4〜8では、皮の伸びが表1の参考例1と比較して抑制され、皮の食感も良好であった。したがって、本発明の餃子の皮において、上記食物繊維は、原料粉の質量を基準として、0.8〜4.5質量%含有すればよいことが示唆された。なお、表には記載していないが、表1の参考例1、及び表2の実施例6について、チルド温度帯での保存5日目の皮の伸び、破れを評価した結果、表1の参考例1では、全ての餃子で皮の破れが生じたのに対し、表2の実施例6では、皮の破れは3個以下であった。したがって、上記食物繊維を含有する本発明の餃子の皮は、長期間の冷蔵保存にも有効であることが示唆された。
Figure 0006758822
Figure 0006758822
表3においては、本発明の効果を向上させる他の材料について調べた。表3に示した通り、柑橘類由来食物繊維と共に、増粘多糖類を、原料粉の質量を基準として0.5質量%配合した実施例10、活性グルテンを、原料粉の質量を基準として2質量%配合した実施例11、その両方を配合した実施例12では、柑橘類由来食物繊維のみを配合した実施例9に比べて、皮の伸びが抑制されていた。一方、柑橘類由来食物繊維を配合せずに、増粘多糖類、及び/又は活性グルテンを配合した比較例6〜8では、皮の伸びが大きく、皮の破れが生じた餃子が数個認められ、増粘多糖類、及び/又は活性グルテンだけでは本発明に効果は認められなかった。したがって、餃子の皮に、柑橘類由来食物繊維に加えて、さらに増粘多糖類、及び/又は活性グルテンを含有させることが好ましいことが示唆された。なお、表には記載していないが、上述の参考例1及び実施例6と同様に、実施例12について、チルド温度帯での保存5日目の皮の伸び、破れを評価した結果、実施例12でも、皮の破れは3個以下であった。したがって、柑橘類由来食物繊維に加えて、さらに増粘多糖類等を含有する本発明の餃子の皮も、長期間の冷蔵保存にも有効であることが示唆された。
Figure 0006758822
表4においては、餃子の皮の加水量の影響を調べた。表4に示した通り、通常配合の餃子の皮の場合は、皮の軟化を防止するため、皮の調製の際の加水量を少なくした参考例2では、通常の加水量の参考例3より皮の伸びがやや小さくなり、皮の破れの生じた餃子も3個に減少したものの、皮の食感はやや硬かった。また、加水量を多くした参考例4及び5では、皮の伸びも増大し、過半数の餃子で皮の破れが生じた。一方、柑橘類由来食物繊維を含有する本発明の餃子の皮の場合、加水量を通常よりやや多くした実施例13では、皮の伸びが抑制され、皮の破れが生じた餃子もなく、且つ皮の食感も良好であった。また、加水量をさらに多くした実施例14では、皮の伸びが抑制され、皮の破れが生じた餃子も2個のみであった上、皮の食感が非常に良好であった。したがって、本発明の餃子の皮においては、加水量を少なくすることなく、皮の軟化を抑制することができ、さらには通常よりも加水量を上げることで、皮の食感を向上させることができることが示唆された。
3.他の包餡食品について
他の包餡食品として、ワンタンを選択して評価した。実施例15として、実施例1の配合で、上記餃子の皮と同様な方法でそぼろ状の生地を調製し、製麺機のロールに通して圧延して得られた麺帯を切断してワンタンの皮(80mm角、厚さ0.6mm)を調製した。また、豚鶏合挽き肉60質量部、玉ねぎ30質量部、調味料類4質量部、澱粉4質量部、ラード2質量部を混合し、ペースト状にして餡を調製した。次いで、上記で調製した皮を用いて、上記餡(6g)を包み、約11gの生ワンタンを、10個調製した。また、参考例5として、実施例15と同様の方法により、参考例1の配合で調製したワンタンの皮を用いて、上記餡を包み、生ワンタンを10個調製した。これらの生ワンタンを用いて、実施例1と同様の方法でチルド温度帯保存3日後の皮の破れの評価を行ったところ、実施例15の生ワンタンは皮の破れは0個であったのに対し、参考例5の生ワンタンの皮の破れは5個であった。
以上の実施例の結果により、本発明の包餡食品の皮用組成物を用いることで、皮の調製の際に加水量を少なくする、皮の厚さを厚くするといった調整をせずに、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で長時間保存しても、軟化して、保存容器中で型崩れが生じたり、調理時に容器から取り出す際に、皮が伸びたり、容器に張り付いたりして皮が破れるといった問題が生じ難く、且つ食感が良好な包餡食品の皮を有する包餡食品を製造することができることが示唆された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、生包餡食品の形態で、冷蔵温度帯で保存、流通、及び/又は販売される、高品質の包餡食品を提供することができる。

Claims (6)

  1. 穀粉を含む原料粉を含有する包餡食品の皮用組成物であって、柑橘類由来の食物繊維を、前記原料粉の質量を基準として、0.8〜4.5質量%含有し、
    前記包餡食品が、加熱調理前の未加熱の状態で、冷蔵又はチルド温度帯で保存、流通、及び/又は販売される包餡食品であることを特徴とする組成物。
  2. 増粘多糖類をさらに含む請求項1に記載の組成物。
  3. 活性グルテンをさらに含む請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物、及び水を含む生地からなる包餡食品の皮。
  5. 請求項4に記載の包餡食品の皮、及び前記包餡食品の皮に包まれた餡を含む包餡食品。
  6. 加熱調理前の未加熱の状態の包餡食品を、冷蔵又はチルド温度帯で保存した際の包餡食品の皮の軟化を抑制する方法であって、
    前記包餡食品の皮が、
    穀粉を含む原料粉を含有する包餡食品の皮用組成物であり、
    柑橘類由来及び/又は大豆由来の食物繊維を、前記原料粉の質量を基準として、0.8〜4.5質量%含有し、
    前記包餡食品が、加熱調理前の未加熱の状態で、冷蔵又はチルド温度帯で保存、流通、及び/又は販売される包餡食品である組成物、及び水を含む生地からなる包餡食品の皮であることを特徴とする方法。
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