JP2009017808A - 製パン用小麦粉組成物及び製パン用穀粉組成物並びにこれらを使用したパン - Google Patents

製パン用小麦粉組成物及び製パン用穀粉組成物並びにこれらを使用したパン Download PDF

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義和 石原
Takahiro Horibe
貴弘 堀部
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Abstract

【課題】しっとりソフトで歯切れの良い食感を有するパン、並びにそのパンを作るための穀粉組成物及び小麦粉組成物を提供すること。
【解決手段】
小麦粉を主原料とし、少なくともトリティケーレ粉を含み、穀粉(小麦粉、トリティケーレ粉を含む)、澱粉、バイタルグルテンの合計に対して、トリティケーレ粉の比率が1質量%以上8質量%以下であることを特徴とする製パン用穀粉組成物。小麦粉とトリティケーレ粉を質量比99:1から92:8の範囲で混合したことを特徴とする製パン用小麦粉組成物。前記穀粉組成物又は前記小麦粉組成物を使用して製造したパン。
【選択図】なし

Description

本発明は、製パン用小麦粉組成物及び製パン用穀粉組成物並びにこれらを使用したパンに関する。
トリティケーレは小麦の機能性と多収性に、ライ麦の耐寒性、耐病性、痩せた土地でも育つ性質などを導入すべく、小麦とライ麦を人為的に交配して作出された作物である。
しかし、トリティケーレの加工性は小麦と比べると大幅に劣っている。
そのため、小麦と比べると生産量は極僅かに留まっている(例えば非特許文献1参照)。
トリティケーレの主な用途は飼料であるが、食品にも用いられることがある。
食品への利用例としては、シリアルフレーク、パン、菓子類(例えばケーキ、ビスケット)などが挙げられる。
パンに使用する場合は、トリティケーレ粉100%でライ麦パン風に仕上げるか、もしくは小麦粉に35%から50%程度配合して使われる。(例えば非特許文献1参照)。
しかし、トリティケーレは製パン性において種々の欠点を持つため、パンへの使用は非常に特殊な場合に限定されている(例えば非特許文献2参照)。
日本でもトリティケーレは栽培されているが、用途は飼料用に限定され、穂が出る前に刈り取ってサイレージなど飼料用に使われる。
したがって、穀粒を採取するのは種子用に限られる。
パンの食感においてしっとりさ、ソフトさを強調するには、脂質と蛋白質の複合体からなるパン生地改良剤を使う方法(例えば特許文献1参照)、アミラーゼやセルラーゼなどの酵素を使う方法、生地を湯捏ねする方法などが知られている。
また、パンをサクサクさせるには、小麦ファリーナを使用する方法(例えば特許文献2などを参照)などが知られている。
特開2006−288341号公報 特公平15−3393388号公報 G.バルヘセ,W.H.プファイファー,および J.ペーニャ(G.Varughese, W.H.Pfeiffar, and R.J.Pe▲n▼a)著、「トリティケーレ: ア リアプライザル(Triticale: A Reappraisal) 」,CGIAR ニュースレター(CGAIR Newsletter)第4巻,第2号,1997年4月発行, <URL = http://www.worldbank.org/HTML/cgiar/newsletter/april97/8tritic.HTML> 小田哲二郎著、「雑穀 −その科学と利用−」、樹村房、昭和56年9月1日発行
本発明は、しっとりソフトで歯切れの良い食感を有するパン、並びにそのパンを作るための穀粉組成物及び小麦粉組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、小麦粉または小麦粉を主体とする穀粉にトリティケーレ粉を加えると、しっとりソフトであり、かつ歯切れの良い食感を有するパンを製造できることを見出した。
さらに、トリティケーレ粉を穀粉に加える比率が1質量%から8質量%の範囲であるときにパンの食感が有意に改善されることを確認して本発明の完成に至った。
従って、本発明はトリティケーレ粉を1質量%以上8質量%以下の範囲で含む小麦粉組成物および穀粉組成物、さらにはそれらを使用したパンである。
本発明の製パン用小麦粉組成物及び製パン用穀粉組成物を使用することにより、しっとりかつソフトでありながら、歯切れが良くサクサクしているという食感を併せ持ちシェルフライフが長いパンを、特殊な資材や製造方法などを用いることなく容易に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
トリティケーレとはイネ科の植物であり、学名は、X Triticosecale Wittmackである。
本発明のトリティケーレ粉とはトリティケーレの頴果を製粉した粉をいう。
本発明の小麦粉組成物とは、小麦粉とトリティケーレ粉を質量比99:1から92:8の範囲で混合したものをいう。
パン用の穀粉としては強力小麦粉を使うことが多いが、製造するパンの種類によって、もしくは食感上の特徴を出すなどの目的で、中力小麦粉、薄力小麦粉、デュラムフラワー、さらにはデュラムセモリナなどの小麦粉を使用する場合もある。
本発明ではパンのサクさの付与に、小麦とトリティケーレのグルテンの相互作用を利用している。
従って、本発明の小麦粉はグルテン組織が形成可能であることが必須の条件になるが、グルテン組織が形成できてパンに利用できる小麦粉ならば種類を問わず利用可能であり、前記小麦粉は全て利用することができる。
また、栄養成分の増強や特徴のある色調、食感などを出すといった理由で、スペルト小麦(ディンケル小麦とも呼ばれる)、一粒小麦(アインコルン小麦とも呼ばれる)、カムート小麦、ポーランド小麦、イギリス小麦、エンマー小麦、黒小麦、オレンジ小麦、青小麦などの特殊な小麦から製粉した小麦粉もパンに使用されることがある。
本発明の小麦粉には、これらの小麦を製粉したものも、グルテン組織が形成可能ならば使用できる。
本発明の小麦粉組成物は、小麦とトリティケーレを混合して製粉する方法や、小麦とトリティケーレを個別に製粉してから混合する方法により得ることができる。
パンの食感や風味、色調などに特徴を出したり、加工性を改良したりといった目的で、パン用小麦粉に小麦粉以外の穀粉や、バイタルグルテン、澱粉を混ぜて使用することがある。
前記穀粉としては、ライ麦粉、トウモロコシ粉、米粉、ソルガム粉、黍粉、粟粉、稗粉、そば粉、ハト麦粉、アマランス粉、キヌア粉、大麦粉、オート麦粉などが挙げられる。
前記澱粉としては、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、うるち米澱粉、もち米澱粉、さつまいも澱粉、小豆澱粉、緑豆澱粉、さご澱粉、くず澱粉、どんぐり澱粉、片栗澱粉等の生澱粉や、これらをアルファ化、部分アルファ化、エーテル化、エステル化、架橋、酸化、クラスレート化などの処理をした加工澱粉などが挙げられる。
前記バイタルグルテンとしては、小麦から調製したバイタルグルテンの他に、バイタルグルテンからグリアジンやグルテニンに分離したもの、バイタルグルテンに酸化や還元などの化学的処理を施したものが挙げられる。
本発明の製パン用穀粉組成物は小麦粉を主原料として、小麦粉以外の穀粉(トリティケーレ粉は除く)、澱粉、バイタルグルテンを混合した穀粉の質量と、トリティケーレ粉の質量の比が99:1から92:8の範囲である穀粉組成物である。
なお、小麦粉を主原料とするとは、穀粉組成物の質量の半分以上を小麦粉が占めることをいう。
種々の穀粉、バイタルグルテン及び澱粉は生地や焼成後のパンの骨格を作る働きをするが、食塩や糖、イーストなどは骨格を作る成分ではない。
したがって、ミックス粉として食塩や糖、イーストなどを添加する場合にも、前記質量比の計算にはそれら資材の質量は加えない。
小麦粉又は穀粉にトリティケーレ粉を適量配合したうえで製パンを行うと、製造されたパンは非常にソフトでしっとりとしているにもかかわらず、非常にサクサクしていて口溶けが良いという、驚くべき食感上の特徴を有したものとなる。
トリティケーレは小麦とライ麦を交配して作出したものであるため、小麦とライ麦双方の特徴を引き継いでいる。
例えば、小麦と比較してグルテンが形成されにくく、形成されても弱い、酵素活性が高い、澱粉以外の多糖類が多く吸水性が高い、などが代表的な特徴として挙げられる。
このうち、グルテンの弱さがパンの組織の強度を落としてサクミを与え、吸水の高さと酵素活性の高さがソフトさとしっとり感を与えているものと推定される。
ライ麦粉でも同様の効果が得られそうだが、ライ麦のグルテンは小麦のグルテンとうまく相互作用せず、またライ麦の多糖類はしっとりではなく、ぬめるような食感を与えるため、本発明のトリティケーレ粉のような使い方はできない。
本発明におけるパンとは、小麦粉、水(牛乳などで代替することもある)、食塩を必須の原材料とし、必要に応じて小麦粉以外の穀粉、澱粉、糖、油脂、乳製品、生地改良剤(酵素、酸化剤、還元剤、無機塩類など)、鶏卵、モルト、酵母、乳酸菌、膨剤、香料、調味料、バイタルグルテンなどを加えてミキシングすることで生地を作成し、グルテン組織を形成して気泡を保持させ、(必要に応じて醗酵や型詰めなどの工程を経た後に)加熱して、膨化させた食品をいう。
代表的なパンとしては、食パン(角食パン、山型パンなどを含む)、バラエティブレッド(小麦全粒粉パン、小麦粉を使用するライ麦パンやコーンブレッドなどを含む)、テーブルロール(バターロールなどを含む)、食卓パン(コッペパン、ホットドックバンズ、ハンバーガーバンズなどを含む)、ハースブレッド(フランスパン(ドゥリーブル、パリジャン、バタール、バゲット、フルート、フィセル、クッペ、ブール、タバチェ、エピー、シャンピニオン、フォンデュ、パンドカンパーニュなどを含む)、ドイツパン(ブレーチヒェン、カイザーゼンメル、ブレッツェル、キプセル、ツォプフ、ヴァイツェンブロート、ミッシュブロート、ヴァイツェンミッシュブロートなどを含む)、イタリアパン(ロゼッタ、ビザクラスト、グリッシーニなどを含む)などを含む)、菓子パン(メロンパンなどを含む)、デニッシュ、ペストリー、スイートドウ(スイートロール、コーヒーケーキなどを含む)、クロワッサン、揚げパン(イーストドーナッツ、ピロシキなどを含む)、蒸しパン(中華饅頭などを含む)、フォカッチャ、パネトーネ、イングリッシュマフィン、フラットブレッド(ピタ、ナン、チャパティ、プーリーなどを含む)、ベーグル、ブリオッシュ、フラワートルティーヤ、パンオーレ、ラスクなどが挙げられる。
前記パンを製造する際に、生地に他の食材を練りこんだもの(ベジタブルブレッド、フルーツブレッド、ナッツブレッド、胡椒パンなどを含む)、前記パンにフィリングを入れたもの(あんぱん、クリームパン、ジャムパン、チョコパン、チョココロネ、カレーパン、あんドーナッツ、ベーコンエピーなどを含む)、前記パンに他の食材をはさんだり乗せたりしたもの(サンドウィッチ、ハンバーガー、ホットドッグ、調理パン、フレンチトーストなどを含む)もパンに含まれる。
パン粉はパンの加工品であり、本発明のパンに含まれる。
本発明の穀粉組成物および小麦粉組成物は、小麦粉を主体としたパンと同様の方法でパンを製造することができる。
従来のトリティケーレ粉を使用したパンは、トリティケーレ粉の配合率が100質量%、又は小麦粉に混合する場合でも35質量%〜50質量%と高いため、ライ麦パンに準じた製法を採る。
ライ麦パンでは、吸水を極端に上げ(ライ麦粉にはペントザンが多いため)、ミキシング時間を大幅に減らし(グルテンが出ないため)、醗酵種を使い(癖のある風味を和らげるため)、多量の手粉を使用し(生地のべたつきが酷いため)、焼成時間を長くして(火通りが悪いため)製パンを行う。
本発明の穀粉組成物および小麦粉組成物では、トリティケーレ粉の比率が低いため、小麦粉を使うパンと基本的に同様の方法でパンを製造することができる。
また、本発明の穀粉組成物およびプレミクス粉では、小麦粉だけの場合と比べるとやや弱いもののグルテン組織が形成されるため、パンの食感もライ麦パンのように硬くぼそぼそしたものではなく、ソフトで滑らかなものになる。
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1〜5、比較例1〜6]食パンによる評価
小麦粉にトリティケーレ粉を加えて食パンを作り、評価を行った。
小麦粉は市販のパン用小麦粉を使用した。
トリティケーレ粉は、北海道産トリティケーレをブラベンダーテストミルで挽いたストレート粉(歩留調整をせず、できた粉を全部混合したもの)を使用した。
小麦粉へのトリティケーレ粉の添加率は、比較例1で添加なし、比較例2で0.5質量%、実施例1で1質量%、実施例2で2質量%、実施例3で4質量%、実施例4で6質量%、実施例5で8質量%、比較例3で10質量%、比較例4で15質量%、比較例5で20質量%、比較例6で30質量%とした。
前記添加率はいわゆる内%によるものであり、例えば5質量%の添加とは小麦粉95質量部とトリティケーレ粉5質量部を混合したことを示す。
製パン方法は次のとおりである。
1.パン用ミキサーに小麦粉または小麦粉とトリティケーレ粉の混合物を100質量部、パン用イースト2質量部、食塩2質量部、砂糖5質量部、脱脂粉乳2質量部、水68質量部を入れ、低速2分間、中速3分間、高速1分間ミキシングを行った。
2.ショートニング5質量部を加え、さらに低速1分間、中速3分間、高速7分間ミキシングを行い、生地を得た。捏ね上げ生地温度は27℃となるように調整した。
3.前記生地を27℃で90分間醗酵し、ガス抜きしてさらに30分間醗酵した。
4.醗酵した生地を230gに分割し、手で丸めて25分間室温で休ませた。
5.前記丸めた生地をモルダーで棒状に整形し、食パン用の型に詰めた。
6.生地が型の高さの80%に達するまで、38℃で醗酵した。
7.食パン型に蓋をして200℃で35分間焼成して食パンを得た。
8.焼成した食パンを1時間室温で冷却し、袋に詰めた。
9.翌日に食パンを15mm厚にスライスし、熟練のパネラー10名により評価した。
評価項目は作業性、外観、食感(軟らかさ、弾力、しっとり感、歯切れ、口溶け、総合)、風味である。
食感の総合とは食感の各項目の特徴に、全体的なバランスを含めた評価である。
評価は、1点=非常に劣る、2点=劣る、3点=やや劣る、4点=普通、5点=やや優れる、6点=優れる、7点=非常に優れるの7段階とし、パネラー10名の平均を評点とした。
作業性のみは、製パン技術者2名による評価の平均とした。
比較例1を対照として全項目4点とし、実施例1〜5および比較例2〜6を評価した結果を表1に示す。
Figure 2009017808
トリティケーレ粉の比率が増すにしたがい生地がべたつくようになり、作業性は悪化した。
特に15質量%以上の添加で作業し辛かった。
外観はほとんど優劣が付かなかったが、極端にトリティケーレ粉比率が高いもののみ劣った。
食感は、トリティケーレ粉を加えることで、柔らかさ、しっとり感、歯切れ、口溶けが改良された。
項目によってはトリティケーレ粉15質量%の添加まで改良効果がみられたが、10質量%を超えるあたりから軟らかすぎて弾力に欠ける食感となり、20質量%以上の添加では生焼けのような食感となってしまった。
したがって、特徴があり、なおかつバランスの良い食感を維持している1質量%以上8質量%以下の範囲でトリティケーレ粉を加えるのが、実用的な範囲といえる。
風味はトリティケーレ粉比率が非常に高いもののみ、若干の苦みを感じた。
この結果より、小麦粉にトリティケーレ粉を1質量%以上8質量%以下の範囲で加えると、柔らかさ、しっとり感、歯切れ、口溶けが良くなり、食感のバランスも良い食パンが製造できることが分かった。
パンのシェルフライフはいくつかの要因で決まるが、最も影響が大きいのは老化であり、パンは経時的に食感が硬くボソボソになって行くことで、商品価値が下がって行く。
実施例3と比較例1の食パンを、焼成後3日目に試食したところ、両者とも1日後の評価と比べるとソフトさ、しっとり感が弱くなっていたが、実施例3の食パンは焼成1日後の比較例1よりも強いソフトさとしっとり感を維持していた。さらに、サクさは焼成1日後よりも強くなっていた。
この結果より、トリティケーレ粉を使用した食パンは、小麦粉のみ使用の食パンよりもシェルフライフを伸ばせることが判明した。
[実施例6〜9、比較例7〜10]フランスパンによる評価
小麦粉にトリティケーレ粉を加えてフランスパンを作り、評価を行った。
小麦粉は市販のフランスパン用小麦粉を使用した。
トリティケーレ粉は実施例1などに用いたものと同じものを使用した。
小麦粉へのトリティケーレ粉の添加率は、比較例7で添加なし、比較例8で0.5質量%、実施例6で1質量%、実施例7で2質量%、実施例8で5質量%、実施例9で8質量%、比較例9で10質量%、比較例10で20質量%とした。
前記添加率はいわゆる内%によるものである。
製パン方法は次のとおりである。
1.パン用ミキサーに小麦粉または小麦粉とトリティケーレ粉の混合物を100質量部、インスタントドライイースト0.5質量部、食塩2質量部、モルト0.3質量部、水68質量部を入れ、低速5分間、中速3分間ミキシングを行って生地を得た。捏ね上げ生地温度は24℃となるように調整した。
2.前記生地を27℃で2時間醗酵し、ガス抜きしてさらに1時間醗酵した。
3.前記醗酵した生地を300gに分割し、手で丸めて25分間室温で休ませた。
4.前記丸めた生地を手作業でバゲットの形に整形した。
5.整形した生地を30℃で60分間最終醗酵させた。
6.醗酵後の生地にクープ(切り込み)を入れ240℃の窯で30分間焼成した。
7.焼成後1時間冷却した後に、熟練のパネラー10名により評価した。
評価項目は作業性、外観、クラム食感(しっとり感、もちもち感、歯切れ、口溶け)、クラストのサクさ、食感総合、風味である。
食感総合とは、食感各項目の特徴に、全体的なバランスを含めた評価である。
評価は、1点=非常に劣る、2点=劣る、3点=やや劣る、4点=普通、5点=やや優れる、6点=優れる、7点=非常に優れるの7段階とし、パネラー10名の平均を評点とした。
作業性のみは、製パン技術者2名による評価の平均とした。
比較例7を対照として全項目4点とし、実施例6〜9および比較例8〜10を評価した結果を表2に示す。
Figure 2009017808
フランスパンにおいてもトリティケーレ粉を1質量%から8質量%小麦粉に加えることで、食感などの改良ができることが確認できた。
[比較例11〜12]ライ麦との比較
トリティケーレの祖先はライ麦なので、ライ麦の形質を受け継いでおり、それがパンの改良に役立った可能性もある。
その場合、ライ麦でも同様の改良効果が発揮できる可能性があるので、確認した。
比較例1と同じ小麦粉95質量部に市販のライ麦粉5質量部を加えて混合した。
比較例1の小麦粉の代わりに、前記穀粉の混合物を使用して、それ以外は比較例1と同様の方法で比較例11の食パンを試作した。
同様に、比較例7の小麦粉の代わりに、比較例7と同じ小麦粉95質量部に市販のライ麦粉5質量部を加えた混合物を使用し、それ以外は比較例7と同じ方法を用い、比較例12のフランスパンを試作した。
比較例11の食パンはボリュームが劣り内相が丸目で伸びておらず、色調暗く、食感はねちゃつき、口の中で団子状に固まって口溶け悪く、口の中でぬめりを感じ、風味もライ麦特有の香りと苦みが感じられた。
また、比較例11試作時の生地性は、べたつくとともに弾力が弱く傷み易い傾向があり、作業性はやや劣った。
比較例12のフランスパンは、ボリュームが劣るとともに色調が濃いので外観がやや劣り、内相は詰んでいて色調暗く、食感はねちゃつきが感じられ、口溶け悪く、香りは比較的良好だが食味に苦みが感じられた。
これらの結果より、ライ麦ではトリティケーレと同じ効果は得られないことが確認された。
[実施例10、比較例13]中華饅頭
しっとりソフトで、もちもちした食感は、蒸しパンと相性が良さそうなので、中華饅頭を試作して、評価を行った。
中華饅頭は以下の方法により製造した。
1.強力小麦粉60質量部、薄力小麦粉40質量部、パン用イースト2質量部、ベーキングパウダー1質量部、砂糖8質量部、食塩1質量部、ラード2質量部、水47質量部を製パン用ミキサーで低速3分間、中速5分間ミキシングして生地を得た。最終生地温度は25℃になるように調整した。
2.前記生地を室温で10分間置いた後に60gに分割し、手で丸めた。
3.前記生地を室温で10分間休ませたあとに、平たく伸ばして中華饅頭用の具を包んだ。
4.前記具を包んだ生地を40℃、50%RHの条件で30分間醗酵させ、98℃の蒸し器で14分間蒸して、比較例13の中華饅頭とした。
前記中華饅頭の製法で、小麦粉を強力小麦粉58質量部、薄力小麦粉39質量部、トリティケーレ粉3質量部の混合物とした以外は同様の方法を用い、実施例10の中華饅頭を得た。
実施例10は比較例13に比べてしっとり、もちもちした食感であるにもかかわらず、サクみがやや強く、口溶けも勝っていた。
この結果より、トリティケーレ粉によるパンの改良方法は、中華饅頭の製造でも同様に使用できることが確認された。
[実施例11、比較例14]ハンバーガーバンズ
ハンバーガーバンズは一般的にサクみの強い食感が好まれるが、ともするとパサついた食感になりがちである。
本発明の方法を用いて、しっとりソフトでサクみのあるバンズの試作を試みた。
バンズの製造及び評価の方法は次のとおりである。
1.市販の強力小麦粉70質用部、パン用イースト2質量部、イーストフード0.1質量部、水40質量部をパン用ミキサーで混合(低速2分間、中速2分間)し、中種を得た。中種の温度は24℃となるように調整した。
2.前記中種を、27℃の醗酵室で4時間醗酵させた。
3.醗酵後の中種に、強力小麦粉(中種に使用したのと同じもの)30質量部、食塩1.7質量部、脱脂粉乳2質量部、砂糖10質量部、水25質量部加えてパン用ミキサーで低速2分間、中速3分間、高速1分間混合し、ショートニング7質量部を加えて低速1分間、中速3分間、高速7分間混合し、15分間休ませてから再度高速で7分間混合して生地とした。
4.前記生地を70gに分割して丸め、20分間休ませたあとに丸め直してバンズ用の型に入れ、38℃の醗酵室で50分間醗酵させた。
5.前記醗酵後の生地を、200℃のオーブンで10分間焼成して比較例14のバンズを得た。
比較例14の製法で使用した強力小麦粉を、市販の強力小麦粉とトリティケーレ粉を質量比95:5で混ぜた混合物に換えた以外は同じ方法を用いて、実施例11のバンズを得た。
実施例11は比較例14に比べてしっとりとしてソフトな食感であり、サクさもやや強かった。
[実施例12、比較例15]ライ麦パン
小麦粉以外の穀粉を使用して作るパンとして最も代表的なのはライ麦パンである。
そのひとつであるヴァイツェンミッシュブロートの食感の改良を、トリティケーレ粉を使って試みた。
ライ麦パンの製造及び評価の方法は次のとおりである。
1.市販の準強力粉79質量部、市販のライ麦粉20質量部、小麦バイタルグルテン1質量部を混合した穀粉混合物を作った。
2.前記穀粉混合物100質量部と、食塩2質量部、パン用イースト2質量部、水65質量部をパン用ミキサーに投入し、低速で5分間混合して生地を得た。生地温度は捏ね上げ時に30℃となるように調整した。
3.前記生地を40分間醗酵させた後に400gに分割して丸め、10分間休ませた。
4.前記休ませた生地を整形し、50分間最終醗酵させた。
5.前記最終醗酵後の生地を220℃のパン用オーブンで50分間焼成して、比較例15のヴァイツェンミッシュブロートを得た。
前記ヴァイツェンミッシュブロートの製法において、市販の強力小麦粉79質量部の代わりに、市販の強力小麦粉75質量部とトリティケーレ粉4質量部を使用して、それ以外は同じ方法を用いて実施例12のヴァイツェンミッシュブロートを得た。
実施例12は比較例15に比べてソフトでしっとりした食感であり、口溶けはやや良好で、サクさもやや強かった。外観(色調や形状など)や食味は同等であった。
実施例12は比較例15よりも美味で食べ易かった。
この結果より、小麦粉以外の穀粉を使用したパンにも、本発明の方法は効果があることが確認された。

Claims (3)

  1. 小麦粉を主原料とし、少なくともトリティケーレ粉を含み、穀粉(小麦粉、トリティケーレ粉を含む)、澱粉、バイタルグルテンの合計に対して、トリティケーレ粉の比率が1質量%以上8質量%以下であることを特徴とする製パン用穀粉組成物。
  2. 小麦粉とトリティケーレ粉を質量比99:1から92:8の範囲で混合したことを特徴とする製パン用小麦粉組成物。
  3. 請求項1に記載の穀粉組成物又は請求項2に記載の小麦粉組成物を使用して製造したパン。
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