JP2004180639A - 食品用の耐熱性保形剤 - Google Patents

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裕也 櫻井
Seiya Sakurai
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Abstract

【課題】加熱時における形状変化を抑制し、保水性を改善する機能を付与し得る食品添加剤を提供すること。
【解決手段】コンニャク粉、水およびアルカリの混合物を含む非固形組成物からなることを特徴とする、加熱工程を経て製造される食品用の耐熱性保形剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱工程を経て製造される食品の保形性や保水性を改善するための添加剤に関する。また、本発明は、保形性や保水性に優れた食品の製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
食文化の発展や嗜好の多様化により、現代社会にはさまざまな種類の食品が提供されるに至っている。その中には、食品材料を焼いたり、揚げたり、蒸したり、煮たりする加熱工程を経て製造されるものが多数ある。このような加熱工程を経て製造される食品は、その食品に要求されるコンセプトを十分に備えた状態で製造されなければならない。
【0003】
例えば、肉まんでは、内包される具材が分散して肉汁が外皮に染み出さないように、具材が適度な保形性と保水性を有していることが求められる。しかしながら、加熱工程中は具材に含まれる水の分子運動が活発になるため、具材から水分が抜けやすく、また形も崩れやすくなってしまう(特許文献1参照)。このような問題は、餃子や菓子パンなどの二重構造を有する食品に共通して存在するものである。
【0004】
この問題を回避するために、例えばクリーム入り菓子パンを製造する際には、まず外皮であるパンを焼き上げ、それを常温に戻してから中にクリームを注入する方法が採られることがある。しかしながらこのような方法では、パン生地を損傷してしまううえ、焼きたての温かいパンを迅速に消費者に提供することができないという欠点がある。また、製造効率が悪いため、大量生産に不向きであるという問題もある。したがって、あらかじめクリームをドウの中に内包した状態で加熱工程に供することが求められている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−128650号公報の[従来の技術及び発明の解決しようとする課題]の欄
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、加熱工程を経て製造される食品は、加熱工程中に流動性が高まって形状が変わりやすく、水分が抜けて乾燥しやすいという問題をかかえている。特に、二重構造を有する食品の場合は、加熱工程前に具材を内包すると、加熱工程を経たときに具材がだれて外皮に染み出したり、分散したりするなどの問題を生じやすい。
【0007】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みて、加熱時における形状変化を抑制し、保水性を改善する機能を付与し得る食品添加剤を提供することを課題とした。また、このような食品添加剤を用いることによって、効率的で実用性が高い食品の製造方法を提供することも課題とした。さらに本発明は、このような方法によって製造される耐熱性や保形性に優れた食品を提供することも課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、アルカリ性のコンニャク組成物を用いれば、加熱時の形状変化を抑制し、保水性を高め得ることを見出し、本発明を提供するに至った。
すなわち本発明は、コンニャク粉、水およびアルカリの混合物を含む非固形組成物からなることを特徴とする、加熱工程を経て製造される食品用の耐熱性保形剤を提供する。本発明の耐熱性保形剤は、さらにグリセリン脂肪酸エステルを含有していてもよい。
【0009】
本発明は、上記の耐熱性保形剤を食品材料と混合する工程、および、得られた混合物を加熱する工程を含むことを特徴とする食品の製造方法も提供する。ここでいう加熱工程の中には、焼く、揚げる、および/または蒸す工程が含まれる。本発明の製造方法によって、例えば餅、チーズ、餡、ジャム、クリームなどを製造することができる。
【0010】
本発明はまた、上記の耐熱性保形剤を食品材料と混合する工程、得られた混合物を外皮を構成する食品材料内に内包して二重構造体を製造する工程、および、得られた二重構造体を加熱する工程を含むことを特徴とする食品の製造方法も提供する。また、上記の耐熱性保形剤を食品材料と混合する工程、得られた混合物を外皮として他の食品材料を内包することにより二重構造体を製造する工程、および、得られた二重構造体を加熱する工程を含むことを特徴とする食品の製造方法も提供する。本発明の製造方法によって、例えば中華まん、パンまたは餃子を製造することができる。
さらに本発明は、上記の製造方法により製造される食品も提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の耐熱性保形剤、食品の製造方法、および食品について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0012】
本発明の耐熱性保形剤は、コンニャク粉、水およびアルカリの混合物を含む非固形組成物からなることを特徴とする。
耐熱性保形剤に用いるコンニャク粉の産地や種類は特に制限されない。コンニャク芋をそのまま粉末化したものを用いてもよいし、精製工程を経たものを用いてもよい。また、コンニャク粉は必ずしも粒径が揃っている必要はない。
【0013】
耐熱性保形剤に用いるアルカリは、食品に用いることができるものの中から適宜選択する。好ましいのは、塩基性アミノ酸、塩基性塩類または両者の混合物である。
【0014】
塩基性アミノ酸としては、通常は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、シトルリン、オルニチン等の単独または混合したものを使用する。特に好ましいのはアルギニンまたはリジンである。塩基性アミノ酸は、コンニャク粉に対して1.25〜20重量%で添加することが好ましい。
塩基性アミノ酸はpHの緩衝性が高い。このため、塩基性アミノ酸を用いれば、安定したpHが得られ、品質の安定した耐熱性保形剤が得られる。また、アルカリ性でありながらアルカリ味がないため、味のよい食品が得られるという利点もある。
【0015】
塩基性物質としては、通常は、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸ナトリム等の有機酸塩、及びポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸2〜3ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸2〜3カリウム等のリン酸塩、及び炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、及び硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の単独又は混合したものを用いることができる。このように、塩基性の食品用塩類であればいずれも、耐熱性保形剤中に塩基性塩類として含ませることができる。
【0016】
なお、バッファ効果を持たせるために各々の酸または酸性塩類を組み合わせて、最終的にpHがアルカリ性になる組み合わせで用いることも可能である。その場合の酸、塩基性塩類としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、リン酸、リン酸1ナトリウム、リンゴ酸1カリウム等を用いることができる。使用量はコンニャク粉に対して0.01〜20重量%にすることが好ましい。
【0017】
塩基性アミノ酸と塩基性塩類を併用すれば、両者の機能をうまくバランスさせて耐熱性保形剤を容易に製造し得る場合がある。すなわち、塩基性アミノ酸はpH緩衝性が高く、安定したpHが得られる反面、pH値を任意に設定することが難しいという難点がある一方で、塩基性塩類はpHの緩衝性は低いが、物質の選択により任意にpHを調整できる長所がある。このため、両者をうまく組み合わせれば、pH設定を容易にし、原料、使用水によるpHの変動をおさえて、均一な耐熱性保形剤を製造することが可能になる。
【0018】
耐熱性保形剤のpHは9.0〜10.5に調整することが好ましく、9.3〜10.2に調整することがより好ましい。
【0019】
コンニャク粉に、水とアルカリを添加する順序は特に制限されない。例えば、コンニャク粉に水を加えて膨潤溶解させてからアルカリを添加混合して反応させてもよいし、アルカリを添加した水をコンニャク粉に加えて膨潤と反応を同時に行ってもよい。あるいは、コンニャク粉にアルカリを混合しておいてから水を加えて膨潤溶解させてもよい。これらの方法は適宜組み合わせてもよい。また、コンニャク粉にまず塩基性アミノ酸を含む水を添加して、その後に塩基性塩類を含む水を添加してもよい。いずれの方法であっても、水による膨潤とアルカリによる反応が進行する限り、耐熱性保形剤の製造方法として採用することが可能である。
【0020】
好ましい具体例として、まず、コンニャク粉に20〜100倍の水を加えて膨潤溶解し、得られたコンニャク糊状物に塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を加え、よく混合する方法を挙げることができる。また、別の好ましい具体例として、コンニャク粉の20〜100倍の水に塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を予め混合溶解し、この溶液でコンニャク粉を膨潤溶解する方法を挙げることができる。更に別の好ましい具体例として、コンニャク粉に塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を予め混合し、次いでコンニャク粉の20〜100倍の水を添加混合して膨潤溶解する方法を挙げることができる。
【0021】
コンニャク粉に水やアルカリを添加した後は、室温に静置する等して十分に膨潤・反応させることが好ましい。たとえば、室温に2時間程度静置することにより十分に膨潤・反応させることができる。静置する時間や条件は、コンニャク粉とアルカリの割合、添加方法、pH、目的とする食品の種類などによって適宜決定することができる。一般に、pHが高い場合には静置時間は短くてよく、pHが低い場合は静置時間を長くすることが好ましい。
【0022】
本発明で用いる耐熱性保形剤には、本発明の効果を過度に損なわない限り、食品成分や添加剤を含有させておくこともできる。例えば、乳化剤、澱粉、油脂、調味料または香料等を適宜含有させておいてもよい。その種類や量は、目的とする食品の種類や製造条件、保存環境などに応じて決定することができる。
【0023】
特に、本発明の耐熱性保形剤には、グリセリン脂肪酸エステルを好ましく含有させることができる。グリセリン脂肪酸エステルを含有させることによって、耐熱性保形剤に乳化性を付与することができる。また、グリセリン脂肪酸エステルを含有する耐熱性保形剤を用いれば、加熱後の組織がしまっていて、旨みを十分に保持した食品を提供することができる。
【0024】
本発明に用いるグリセリン脂肪酸エステルは、食品に安全に用いることができるものであればその種類は特に制限されない。また、グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸部分の構造や分子量も特に制限されない。本発明で用いることができるグリセリン脂肪酸エステルの具体例として、グリセリンコハク酸エステル、グリセリンクエン酸エステル、グリセリンリンゴ酸エステル、グリセリン酢酸エステル、グリセリン乳酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸エステルなどを挙げることができる。
本発明で好ましく用いることができるグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンコハク酸エステルである。
【0025】
本発明の耐熱性保形剤に用いるグリセリン脂肪酸エステルの量は、グリセリン脂肪酸エステル1重量部に対して、コンニャク粉が25〜70重量部となる量であることが好ましく、コンニャク粉が35〜50重量部となる量であることがより好ましい。
【0026】
なお、グリセリン脂肪酸エステルは耐熱性保形剤の中に含ませずに、耐熱性保形剤を添加する食品材料中に含ませておいてもよい。また、耐熱性保形剤と食品材料の両方に含ませておいてもよい。さらに、耐熱性保形剤と食品材料を混合した後に、グリセリン脂肪酸エステルを添加してもよい。いずれの態様も本発明の範囲に包含される。
【0027】
以下において、本発明の耐熱性保形剤を用いた食品の好ましい製造工程例を示すが、本発明の製造工程は以下の具体例に限定されるものではない。
例えば、1つの製造方法として、耐熱性保形剤を食品材料と混合する工程と、得られた混合物を加熱する工程を含む方法を挙げることができる。この方法によって、例えば餅、チーズ、餡、ジャム、クリーム、レトルトカレー、レトルトシチューなどを好ましく製造することができる。
【0028】
目的とする食品が二重構造を有する場合には、耐熱性保形剤を食品材料と混合する工程、得られた混合物を外皮を構成する食品材料内に内包して二重構造体を製造する工程、得られた二重構造体を加熱する工程を含む製造方法により製造することが好ましい。あるいは、耐熱性保形剤を食品材料と混合する工程、得られた混合物を外皮として他の食品材料を内包することにより二重構造体を製造する工程、および、得られた二重構造体を加熱する工程を含む製造方法により製造することが好ましい。これらの方法によって、例えば肉まんや餡まんなどの中華まん、餃子、クリーム入りパンなどの菓子パンを好ましく製造することができる。この方法によれば、外皮だけを先に加熱処理して常温に戻した後に内包物を挿入する従来法に比べて、大量の食品を効率よく製造することができる。また、外皮の損傷を回避し、できたての温かい食品を迅速に消費者に提供することができるという利点もある。
【0029】
耐熱性保形剤と混合する食品材料の種類は特に制限されない。加熱工程を経て製造される食品の材料として考えられるものを広く用いることができる。また、混合手段や混合のタイミングについても特に制限されない。例えば、耐熱性保形剤と食品材料とを均等に混合してもよいし、食品材料に耐熱性保形剤をからめてもよい。耐熱性保形剤と食品材料の混合割合は、食品の種類に応じて適宜決定しうるが、例えば肉まんの具などを製造する場合は、耐熱性保形剤が具全体の2〜20%になるように混合することが好ましい。
【0030】
耐熱性保形剤と食品材料の混合物は成形してから加熱することが好ましい。成形は、目的とする食品の最終形態に基づいて決めることができる。加熱は、煮る、焼く、揚げる、蒸すなどの操作を含むものである。これらの操作は単独で行ってもよいし、組み合わせて行ってもよい。加熱温度は、通常80℃以上にする。従来法に比べて本発明の効果がより顕著に現れるのは、加熱温度が100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは170℃以上の場合である。加熱手段は、通常用いられる手段の中から適宜選択すればよい。
【0031】
これらの製造方法を経ることによって、加熱による形状変化を抑え、保水性が高い食品を製造することができる。本発明の耐熱性保水剤を用いないで製造した食品は、加熱時に「とろけ」や「だれ」を生じ、流動性が高まるが、本発明の耐熱性保水剤を用いて製造した食品はこの種の問題が大幅に抑えられている。したがって、例えばクリーム入りパンや具材を内包する中華まんを製造する際に、クリームや具材に本発明の耐熱性保水剤を混合しておけば、加熱時にクリームや具材が流動化して分散し、場合によっては外皮に染み込むような事態を効果的に防ぐことができる。また、本発明の耐熱性保水剤を用いれば、乾燥を防ぐこともできるので、肉汁や水分を維持し、旨みを保持した嗜好性の高い食品を提供することができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0033】
(実施例1) 本発明の揚げ餅の製造
コンニャク粉28gに0.3%炭酸ナトリウム水溶液1000mlを加え撹拌しながら膨潤させ、さらに室温に2時間放置、完全に膨潤させた。得られたコンニャク糊のpHは9.9であった。このアルカリ性コンニャク糊450gを、餅粉1000g、トレハロース100gおよび水450gと混合した。この混合物を長方形のいわゆる切り餅状に成形し、150〜180℃の油中で油ちょうすることにより揚げ餅を製造した。
製造した揚げ餅は、長方形の形状を維持しており、保形性が優れていることが確認された。
【0034】
(比較例1) 比較用の揚げ餅の製造
餅粉1000g、トレハロース100gおよび水900gを混合した。この混合物を長方形のいわゆる切り餅状に成形し、150〜180℃の油中で油ちょうした。
油ちょうの途中で流動し始めたため、保形性がある長方形の揚げ餅を製造することができなかった。
【0035】
(実施例2) 本発明の揚げチーズの製造
コンニャク粉28gに0.3%炭酸ナトリウム水溶液1000mlを加え撹拌しながら膨潤させ、さらに室温に2時間放置、完全に膨潤させた。得られたコンニャク糊のpHは9.9であった。このアルカリ性コンニャク糊5000gを、チェダーチーズ7000g、ゴーダーチーズ4300g、タピオカ澱粉3400g、油脂400gおよびクエン酸ナトリウム160gと混合した。この混合物を長方形に成形し、150〜180℃の油中で油ちょうすることにより揚げチーズを製造した。
製造した揚げチーズは、長方形の形状を維持しており、保形性が優れていることが確認された。
【0036】
(比較例2) 比較用の揚げチーズの製造
チェダーチーズ7000g、ゴーダーチーズ4300g、タピオカ澱粉3400g、油脂400gおよびクエン酸ナトリウム160gを混合した。この混合物を長方形に成形し、150〜180℃の油中で油ちょうした。
油ちょうの途中で流動し始めたため、保形性がある長方形の揚げチーズを製造することができなかった。
【0037】
(実施例3) 本発明のフラワーペーストおよびパンの製造(1)
コンニャク粉28gに0.3%炭酸ナトリウム水溶液1000mlを加え撹拌しながら膨潤させ、さらに室温に2時間放置、完全に膨潤させた。得られたコンニャク糊のpHは9.9であった。このアルカリ性コンニャク糊5gを、砂糖14g、加工澱粉6g、トレハロース10g、脱脂粉乳3g、加糖練乳7g、全卵7g、ショートニング10g、バター5g、牛乳15g、フレーバー1g、ソルビン酸カリウム0.1g、クエン酸0.1g、グリロイド2A0.1g、水24gと混合した。混合物全体を加熱しながらヘラで攪拌することにより糊化させた。
【0038】
このようにして煮あげることにより得たフラワーペーストは特有のとろみを有しており、だれることは無かった。また、フラワーペーストの製造段階で、設備に付着するなどの問題はなかった。フラワーペーストを賞味したところ、糊感が無くさっぱりした食感が得られた。
このフラワーペースト10gをドウ90gの中に内包して、100℃のオーブンで15分間加熱して発酵させ、さらに180℃で10分間焼いてパンを製造した。パンの内包物は特有のとろみを維持しており、さらにとろけたりだれたりして外皮に染み込むこともなかった。
【0039】
(実施例4) 本発明のフラワーペーストおよびパンの製造(2)
実施例3の処方において、アルカリ性コンニャク糊の量を3gに変更し、水の量を26gに変更して同じ方法によりフラワーペーストおよびパンを製造した。得られたフラワーペーストおよびパンは、実施例3と同様の性状と食感を示した。
【0040】
(比較例3) 比較用のフラワーペーストおよびパンの製造(A)
実施例3の処方において、アルカリ性コンニャク糊を混合せずに、水の量を29gにして同じ方法でフラワーペーストを製造した。
加熱の途中で流動し始め、得られたフラワーペーストは十分なとろみを有していなかった。また、このフラワーペーストを用いて実施例3の方法で製造したパンは、内包物がとろけてやや乾燥しており、食感も好ましくなかった。
【0041】
(実施例5) 本発明のフラワーペーストおよびパンの製造(3)
コンニャク粉28gに0.3%炭酸ナトリウム水溶液1000mlを加え撹拌しながら膨潤させ、さらに室温に2時間放置、完全に膨潤させた。得られたコンニャク糊のpHは9.9であった。このアルカリ性コンニャク糊6gを、砂糖20g、加工澱粉6g、脱脂粉乳1g、加糖練乳12g、全卵3g、バター15g、ココアパウダー6g、カカオマス3g、カラメル1g、フレーバー0.1g、ソルビン酸カリウム0.1g、水33gと混合した。混合物全体を加熱しながらヘラで攪拌することにより糊化させた。
【0042】
このようにして煮あげることにより得たフラワーペーストは特有のとろみを有しており、だれることは無かった。また、フラワーペーストの製造段階で、設備に付着するなどの問題はなかった。フラワーペーストを賞味したところ、糊感が無くさっぱりした食感が得られた。
このフラワーペースト10gをドウ90gの中に内包して、100℃のオーブンで15分間加熱して発酵させ、さらに180℃で10分間焼いてパンを製造した。パンの内包物は特有のとろみを維持しており、さらにとろけたりだれたりして外皮に染み込むこともなかった。
【0043】
(比較例4) 比較用のフラワーペーストおよびパンの製造(B)
実施例5の処方において、アルカリ性コンニャク糊を混合せずに、水の量を39gにして同じ方法でフラワーペーストおよびパンを製造した。
加熱の途中で流動し始め、得られたフラワーペーストは十分なとろみを有していなかった。また、このフラワーペーストを用いて実施例5の方法で製造したパンは、内包物がとろけてやや乾燥しており、食感も好ましくなかった。
【0044】
(実施例6) 本発明のチーズ内包食品の製造
鶏ムネ肉100gと塩5gを混合して、フードカッターを用いて粘り気がよく出るまで混練することにより混合物Aを得た。
グルソー2g、上白糖6g、粉末卵白1.5g、グルコース5gおよびエキス5gを混合して混合物Bを得た。
コンニャク粉28gに0.3%炭酸ナトリウム水溶液1000mlを加え撹拌しながら膨潤させ、さらに室温に2時間放置、完全に膨潤させた。得られたコンニャク糊のpHは9.9であった。このアルカリ性コンニャク糊200gを、澱粉35gおよび水50gに混合して混合物Cを得た。
【0045】
混合物Aと混合物Bをよく混ぜ、さらに混合物Cを添加してよく混合した。得られた生地を外皮として、チーズを内包した。120℃の油中で5分間油ちょうし、さらに180℃で1〜2分間油ちょうしてチーズ内包食品を製造した。
このチーズ内包食品をおでんの具として80〜90℃で12時間煮込んだ後、取り出して観察した。チーズ内包食品は、煮込んだ後も組織がへたることがなく、保形性が高いことが確認された。また、内包されているチーズも一様で美味であった。
【0046】
(比較例5) 比較用のチーズ内包食品の製造
実施例6の処方において、アルカリ性コンニャク糊を混合せずに、同じ方法でチーズ内包食品を製造した。
このチーズ内包食品をおでんの具として80〜90℃で12時間煮込んだところ、へたりが大きく、保形性が悪いことが確認された。
【0047】
(実施例7) 本発明の餅内包食品の製造
実施例6の内包物をチーズから餅に変更して、同じ方法で餅内包食品を製造した。得られた餅内報食品も、煮込み後の組織のへたりが無く、保形性が高いことが確認された。また、内包されている餅も一様で美味であった。
【0048】
(比較例6) 比較用の餅内包食品の製造
実施例6の処方において、アルカリ性コンニャク糊を混合せずに、同じ方法で餅内包食品を製造した。
この餅内包食品をおでんの具として80〜90℃で12時間煮込んだところ、へたりが大きく、保形性が悪いことが確認された。
【0049】
(実施例8) グリセリン脂肪酸エステルを含有する食品の製造
コンニャク粉28gにグリセリンコハク酸エステル0.6gと0.3%炭酸ナトリウム水溶液1000mlを加え撹拌しながら膨潤させ、さらに室温で2時間放置して完全に膨潤させた。得られたコンニャク糊のpHは9.9であった。
このようにして得たコンニャク糊を、実施例1〜7で使用したアルカリ性コンニャク糊のかわりに用いて、実施例1〜7と同じ方法で食品を製造した。得られた各食品は、加熱後の組織がしまっていて、内部に包含させた旨みを十分に保持していた。
【0050】
【発明の効果】
本発明の耐熱性保形剤は、加熱時における形状変化を抑制し、保水性を改善する機能を付与し得る食品添加剤である。本発明の耐熱性保形剤を用いれば、効率的で実用性が高い食品の製造方法を提供することができる。また本発明によって提供される食品は、加熱による流動化や乾燥が抑えられているために、保形性や嗜好性が高く、消費者に受け入れられやすいものである。したがって本発明は、加熱工程を経て製造される広範な食品に適用することができる。

Claims (9)

  1. コンニャク粉、水およびアルカリの混合物を含む非固形組成物からなることを特徴とする、加熱工程を経て製造される食品用の耐熱性保形剤。
  2. さらにグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項1の耐熱性保形剤。
  3. 請求項1または2の耐熱性保形剤を食品材料と混合する工程、および、得られた混合物を加熱する工程を含むことを特徴とする食品の製造方法。
  4. 加熱工程が、焼く、揚げる、および/または蒸す工程であることを特徴とする請求項3の製造方法。
  5. 食品が餅、チーズ、餡、ジャムまたはクリームである請求項4の製造方法。
  6. 請求項1または2の耐熱性保形剤を食品材料と混合する工程、得られた混合物を外皮を構成する食品材料内に内包して二重構造体を製造する工程、および、得られた二重構造体を加熱する工程を含むことを特徴とする食品の製造方法。
  7. 請求項1または2の耐熱性保形剤を食品材料と混合する工程、得られた混合物を外皮として他の食品材料を内包することにより二重構造体を製造する工程、および、得られた二重構造体を加熱する工程を含むことを特徴とする食品の製造方法。
  8. 食品が中華まん、パンまたは餃子である請求項6または7の製造方法。
  9. 請求項3〜8のいずれか1項に記載の製造方法により製造される食品。
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