JP2005000113A - ハンバーグの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】グルコマンナンを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが均一に分散しており、pH4〜8である食品素材を、ハンバーグ用の生地に添加して、常法により成形し、焼成することによってハンバーグを製造する。このハンバーグは、冷蔵、冷凍保存し、再加熱して食することもできる。前記食品素材は、前記ハンバーグ用の生地中に0.2〜30質量%となるように添加することが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グルコマンナンを含有する食品素材を添加することによって、肉粒感や風味やジューシー感を改善したハンバーグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハンバーグは、肉を細かく挽いた絹挽きタイプと肉粒感に富む粗挽きタイプに大別され、それぞれに違った持ち味がある。工業的には機械で肉が強く練られたり、圧縮されたりする工程上、肉粒感のある粗挽きタイプのハンバーグを生産するのは困難であった。その為、工業的に大量生産する場合、肉を細かく挽いた絹挽きタイプが多く、特に氷結晶の育成による冷凍障害によって肉質のダメージの大きい冷凍食品は、その傾向が強く見られた。
【0003】
ハンバーグは、使用する全ての原料肉について専用のダイサー等を用い、一定の条件を満たすサイズにカットする。肉粒感のあるハンバーグの製造は、微細な端肉を多く出さないことや肉組織を可能な限り潰さないことが必要であり、同時に温度の管理を厳重に行なう必要があった。
【0004】
肉粒感に富むハンバーグの製造方法として、下記特許文献1には、異なる2種類のハンバーグ用生地を使用し、一方を中具、他方を外具とし、外具に練り肉を使用し、卵白、パン粉を多くするようにした方法が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、ペースト状の食肉素材にトランスグルタミナーゼを添加して、肉質をかえるようにした冷凍肉粒素材が開示されている。
【0006】
更に、食肉加工品にグルコマンナンを添加することも知られており、例えばコンニャクマンナンを膨潤に至らない水和ゲル状態で挽肉と混和する方法(特許文献3参照)や、凸凹にカットしたコンニャクを一旦凍結し、半解凍して5℃で主原料と混ぜる方法(特許文献4参照)、更にコンニャクマンナンを水で膨潤溶解し、アルカリを添加、加熱し、次いで、急冷して主原料と混合する方法(特許文献5参照)や、こんにゃく精粉を水に攪拌混合し、2〜8℃の温度で、8時間以上かけてゾル化させ、凝固剤を添加してゲル化させて加工食品用コンニャクを製造する方法(特許文献6参照)等が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−243917号公報
【特許文献2】
特許第2556109号公報
【特許文献3】
特許第2741450号公報
【特許文献4】
特開平11−285361号公報
【特許文献5】
特開平4−152865号公報
【特許文献6】
特開平2−410号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法は、いずれも作業手順の増大や充分な効果が得られないなどの問題があった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、肉粒感や風味やジューシー感を効果的に改善できるようにしたハンバーグの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のハンバーグの製造方法は、グルコマンナンを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが均一に分散しており、pH4〜8である食品素材を、ハンバーグ用の生地に添加することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、上記食品素材をハンバーグ用の生地に添加し、ハンバーグを製造することにより、弱酸性のグルコマンナンペースト中で内相にアルカリ剤を含むW/O型エマルジョンを添加することでゲル化を緩やかに進行させ、ゲル化の過程で発生する離水が非常に少なく保水性に優れ、かつ従来のこんにゃくのような堅いゲルにならず挽肉に容易に練りこむことができる。
【0012】
このような食品素材を添加することによって、肉粒感や風味やジューシー感が良好に保たれ、冷凍保存しても上記品質が劣化しにくいハンバーグを提供することができる。
【0013】
これまで肉の代替として一般的に用いられてきた顆粒状の大豆蛋白質など植物性蛋白質は、食感は肉のそれに近いものの風味の面での悪影響が強く、近年、アレルギー性物質として使用が忌避される傾向にあるが、前記食品素材は、こんにゃくを主成分としており、アレルゲンとしての問題も無い上、様々な生理活性効果や低カロリー食物繊維としての効果も期待できるため、前記顆粒状大豆タンパクをはじめとした肉の増量剤の置換としても有効である。
【0014】
本発明のハンバーグは、加熱焼成した後、そのまま食したり、冷凍保存したり、又はハンバーガーバンズに挟んでハンバーガーを作成することができる。
【0015】
本発明においては、前記食品素材を前記ハンバーグ用の生地中に0.2〜30質量%となるように添加することが好ましい。これによれば、上記効果を更に良好に得ることができる。
【0016】
また、前記食品素材のpHが4.5〜7.5であることが好ましい。これによれば、グルコマンナンのゲル化が著しく進行しないためにハンバーグの生地に練りこみやすい素材とすることができ、かつ前記食品素材からの離水が発生しないために保水性に富む、ジューシーでソフトな食感のハンバーグを提供できるという利点がある。
【0017】
本発明においては、前記食品素材が更に澱粉を含有したものであることが好ましい。この場合、澱粉が油脂加工澱粉及び/又は架橋澱粉であることがより好ましい。
【0018】
更にまた、前記W/O型エマルジョンの油脂相が不飽和脂肪酸を50質量%以上含む油脂からなることが好ましい。これによれば、前記食品素材を他の飲食品原料と混合して加工調理する際に、油脂相がより崩壊しやすくなり、グルコマンナンを均一にゲル化することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる食品素材は、グルコマンナンを含む水溶液に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが均一に分散した、pH4〜8の混合物である。この食品素材は、グルコマンナンを含む水溶液に、油脂でカプセル化されたアルカリ剤を分散させることにより、グルコマンナンのゲル化を遅延させているので、低粘度で、容易に他の原料と均一に混合することができる。
【0020】
この食品素材をハンバーグ用の生地に添加する前、又は添加した後に加熱処理することにより、カプセル化されたアルカリ水溶液が浸出してグルコマンナンがゲル化する。そして、このゲル化したグルコマンナンが、ハンバーグ中の肉粒や、玉ネギ等の食品素材を囲むようにマトリックス状に分布して、食品素材どうしを結着させる。こうして得られたハンバーグは、肉粒感や風味やジューシー感が向上し、冷蔵又は冷凍保存しても、品質の劣化が少なくなる。
【0021】
以下、上記食品素材について更に詳しく説明する。
グルコマンナンとしては、特に制限はなく、コンニャク芋を乾燥、粉末化して得られる通常のコンニャク粉、コンニャク粉を精製したコンニャク精粉等を用いることができる。本発明においては、風味や色の点から、除蛋白したコンニャク粉が特に好ましく用いられる。このような除蛋白したコンニャク粉としては、例えば「レオレックスRS」(商品名、清水化学(株)製)等が挙げられる。
【0022】
上記食品素材に用いるグルコマンナンを含む水溶液は、更に澱粉を含むことが好ましい。澱粉を含有することにより、冷凍・解凍した際のグルコマンナンゲルの離水を防ぐことができる。上記澱粉としては、特に限定されないが架橋澱粉や油脂加工澱粉が好ましく、タピオカを原料とした上記澱粉が更に好ましい。
【0023】
また、架橋澱粉と油脂加工澱粉を併用して使用すると効果が高い。例えばアセチル化タピオカ油脂加工澱粉 (商品名:日食ねりこみ澱粉K−1、日本食品化工株式会社製)とリン酸架橋タピオカ澱粉 (商品名:日食ネオビスT−100、日本食品化工株式会社製)の100:60〜100:150の範囲のブレンドにより、ソフトでジューシー感に富んだハンバーグを提供できる。
【0024】
更には、前記食品素材に添加する澱粉のブレンドにおいて、アセチル化タピオカ油脂加工澱粉の比率を上げることでハンバーグのソフトさを強調したり、リン酸架橋タピオカ澱粉の比率を上げることでハンバーグの肉粒感とジューシー感を強調するなど、嗜好により食感を調節することも可能となる。
【0025】
また、上記食品素材は、糖類を含有していてもよい。この糖類としては、特に制限はなく、砂糖、ブドウ糖、異性化糖、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール等の糖及び糖アルコール、各種オリゴ糖、及びそれらの混合物を用いることができる。上記オリゴ糖としては、マルトオリゴ糖(好ましくは重合度3〜7)、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノースオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖及びそれらのシラップ等が挙げられ、目的に応じて適宜選択して用いることができ、例えば、飲食品の冷凍耐性を向上させる場合にはマルトオリゴ糖や糖アルコールを用いることができる。これらの糖類は予め水溶液に調製して、上記食品素材中に添加することが好ましい。
【0026】
また、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンを形成する際に用いる油脂としては、食用油脂であればいずれも使用できるが、中でも不飽和脂肪酸を50質量%以上含む油脂が好ましく、例えばサフラワー油、菜種油、オリーブ油、茶種子油、椿油等が挙げられる。このような油脂を用いることにより、食品素材をハンバーグ用の生地と混合して加工調理する際に、油脂相がより崩壊しやすくなり、グルコマンナンを均一にゲル化することができる。
【0027】
更に、アルカリ水溶液としては、通常食品に用いられるアルカリ剤の水溶液であれば特に制限はなく用いることができる。このようなアルカリ剤としては、例えば炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、炭酸カルシウム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸2カリウム、リン酸3カリウム、ポリリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等の塩基性塩類が挙げられる。
【0028】
上記W/O型エマルジョンは、更に乳化剤を含有することが好ましい。乳化剤を含有することにより、アルカリ水溶液を均一に乳化することができ、安定性の高いエマルジョンを得ることができる。上記乳化剤としては、HLB5以下のものが好ましく、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、ジエチルグリセルモノ脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、中でもポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0029】
上記食品素材は、例えば以下のようにして得ることができる。
(1)グルコマンナンと水とを混合してグルコマンナン膨潤液(I)を調製する。例えば、グルコマンナン1質量部に対して水20〜200質量部を加えて撹拌し、グルコマンナンを膨潤させることにより調製することができる。
【0030】
(2)油脂にアルカリ水溶液を混合してW/O型エマルジョン(II)を調製する。例えば、油脂100質量部に対して、アルカリ水溶液10〜400質量部、より好ましくは100質量部前後を加え、更に乳化剤等の他の原料を適宜加えて、ホモミキサー、ホモゲナイザー等の手段により均質化することにより調製することができる。
【0031】
上記アルカリ水溶液の濃度は、特に限定されず、最終製品(食品素材)のpHが4〜8、好ましくはpHが4.5〜7.5になるように調製すればよいが、通常0.5〜20質量%が好ましい。
【0032】
油脂100質量部に対するアルカリ水溶液の配合割合が10質量部未満であるとW/O型エマルジョン(II)の添加量を多くしなければならず、最終製品中の油脂含量が高くなり過ぎ、400質量部超であると安定なエマルジョンを得ることができない。
【0033】
なお、乳化剤の添加量は、適宜選択できるが、通常、油脂100質量部に対して0.05〜1質量部が好ましく、0.2〜0.4質量部がより好ましい。上記油脂100質量部に対する乳化剤の添加量が0.05質量部未満であると安定なエマルジョンを得ることができず、1質量部超であると風味が悪くなる。
【0034】
(3)上記グルコマンナン膨潤液(I)と上記W/O型エマルジョン(II)を混合して、W/O/W型エマルジョン(III)を調製する。
【0035】
例えば、上記グルコマンナン膨潤液(I)100質量部に対して、上記W/O型エマルジョン(II)1〜100質量部を加え、ホモミキサー等の手段により混合することにより調製することができる。
【0036】
上記グルコマンナン膨潤液(I)100質量部に対する上記W/O型エマルジョン(II)の配合割合が1質量部未満であるとグルコマンナンを充分にゲル化することが困難になり、100質量部超であるとアルカリ剤が過剰となり、飲食品の風味に悪影響を与えることがある。
【0037】
(4)更に必要により、上記W/O/W型エマルジョン(III)に、澱粉、糖類等の他の原料を加え、pH4〜8の食品素材を調製することができる。
【0038】
澱粉を添加する場合には、予め水を加えて懸濁液として、上記食品素材中に添加することが好ましい。食品素材中における澱粉の添加量は1.0〜15.0質量部とすることが好ましい。糖類を添加する場合には、例えば50〜85質量%の濃度の糖液を調製し、これを上記食品素材中に添加することが好ましい。
【0039】
(5)pH調整の必要な場合は、食品用の酸味料を用いることができる。酸味料の種類は限定されないが、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸、L−酒石酸、L−酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、アジピン酸、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム等があげられる。
【0040】
このようにして調製した食品素材は、液状ないしは流動性を損なわない程度にゲル化した状態をなす。この食品素材を、ハンバーグ用の生地中に、好ましくは0.2〜30質量%、より好ましくは0.5〜20.0質量%となるように添加して、ハンバーグを製造する。なお、上記食品素材をハンバーグ用の生地中に添加するに先立って、上記食品素材を加熱処理し、ペースト化してから添加してもよい。
【0041】
ハンバーグ用の生地としては、ハンバーグに用いられる通常の原料を用いることができ、例えば、肉類、油脂類、食塩、香辛料、卵白、たまねぎ、パン粉などが用いられる。
【0042】
上記原料を混合してハンバーグ用の生地を調製し、これに上記食品素材を添加混合し、所定形状に成形し、オーブン等に入れて焼成することにより、本発明のハンバーグを得ることができる。
【0043】
こうして得られたハンバーグは、冷凍、冷蔵保存し、使用時に再加熱して食することもできる。また、本発明のハンバーグは、ハンバーガーバンズに挟んでハンバーガーとして利用することもできる。
【0044】
【実施例】
[製造例1]
グルコマンナンを含有する食品素材を以下に示す方法で調整した。
【0045】
グルコマンナン製剤を常法により水で膨潤させて、グルコマンナン膨潤液(濃度2.85重量%)を調製した。
【0046】
サフラワー油100gに、5重量%のリン酸ナトリウム水溶液120g、乳化剤0.8gを加え、ホモミキサーで混合均質化して、W/Oエマルジョンを調製した。
【0047】
上記グルコマンナン膨潤液950gに、W/Oエマルジョン50gを混合し、ミキサーで均質化して、上記食品素材を得た。この食品素材はペースト状でpHは7.0であった。この方法で調製した試料を食品素材Aとする。
【0048】
[製造例2]
グルコマンナンを含有する食品素材を以下に示す方法で調整した。
【0049】
グルコマンナン製剤を常法により水で膨潤させて、グルコマンナン膨潤液(濃度3.0重量%)を調製した。
【0050】
サフラワー油100gに、5重量%のリン酸ナトリウム水溶液120g、乳化剤0.8gを加え、ホモミキサーで混合均質化して、W/Oエマルジョンを調製した。
【0051】
更に、20gのリン酸架橋澱粉と20gの油脂加工澱粉を50gの水に分散させ、澱粉懸濁液を調製した。
【0052】
上記グルコマンナン膨潤液860gに、W/Oエマルジョン50gと澱粉懸濁液90gを混合し、ミキサーで均質化して、上記食品素材を得た。この食品素材はペースト状でpHは7.0であった。この方法で調製した試料を食品素材Bとする。
【0053】
[試験例1]
表1に示す配合で、ビーフハンバーグ原料を混合し、100g/個で成型した。成型したビーフハンバーグ生地はオーブンで230℃、10分間蒸し焼きにした。
【0054】
【表1】
【0055】
焼成したビーフハンバーグについて、10人の熟練したパネラーにより官能評価を行うと共に、放冷したものの重量を測定し、焼成歩留を算出した。この結果を表2に示す。
【0056】
更に、上記で放冷したビーフハンバーグを真空パックした後に2週間冷凍保存した。冷凍保存したビーフハンバーグを沸騰水中で15分間加温し、20人のパネラーにより官能評価を行うと共に、放冷した後に重量を測定し、解凍歩留を算出した。この結果を表3に示す。
【0057】
官能試験では、ジューシーさ、ソフトさ、弾力、肉粒感、風味について総合的に評価した。評価は10点評価法で行ない、平均値を求めた。なお、点数が高いほどより好ましいことを示す。
【0058】
焼成後歩留は、100×(焼成後重量)÷(焼成前重量)で算出した。また、解凍歩留は、100×(解凍後重量)÷(焼成前重量)で算出した。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
表2に示されるように、グルコマンナンを含有する食品素材を添加した実施例1、2ならびに4〜7のビーフハンバーグは、焼成後の歩留が向上した。一方、実施例3のハンバーグは歩留に変化が見られず、実施例8のハンバーグは実施例7のハンバーグよりも歩留が低下した。すなわち、対照区のハンバーグは、縮みが大きかったのに対し、本食品素材を請求の範囲で添加した実施例1、2ならびに4〜7のハンバーグは組織の縮みが抑制された。
【0062】
更に、実施例1、2のハンバーグに比べて実施例4、5のハンバーグの方が歩留が高く、本食品素材へ澱粉を添加することの優位性がここで見られた。
【0063】
また、実施例1、2ならびに4〜7のビーフハンバーグは、ジューシーで肉粒感があり、ソフトで弾力があり、優れた食感であった。また、風味においても、畜肉臭が減少してマイルドで美味なものとなった。そして、上記食品素材の添加率が大きいほど効果も大きくなった。一方、実施例3のハンバーグは本食品素材の効果が食感、風味に反映されておらず、本食品素材のハンバーグへの添加率が低いことが示された。食品素材Aよりも食品素材Bの方が風味、食感、歩留まりいずれにおいても優れた効果を示した。更に、実施例8のハンバーグは、ジューシー感、ソフトさ、弾力、肉粒感、風味において実施例7よりも劣り、過剰な添加は食感、風味を劣化させることが明らかとなった。
【0064】
一方、表3に示すように、解凍後の実施例1、2ならびに4〜7のビーフハンバーグは、歩留が高くなりドリップの流出が抑制された。これに対して対照区と実施例3のハンバーグは、組織がパサつき、ソフトさ、弾力、ジューシーさが著しく低下し、牛肉独特の臭みが強く発生した。更に、実施例8のハンバーグは食感、風味の著しい低下は見られなかったが、上記焼成直後のものと同様、実施例7のものに比べて食感、風味の劣るものとなった。また、解凍後の実施例1、2ならびに4〜7のビーフハンバーグは、冷凍前の食感がよく保存され、ジューシーで臭みなどの無い風味のよいビーフハンバーグとなった。このように、ビーフハンバーグの再加熱処理により生じる風味や食感の悪化が、上記食品素材の添加により大きく抑制され、添加率が高くなるほどその効果は大きかった。
【0065】
[試験例2]
表4に示す配合で、ビーフハンバーグを製造した。こうして得た焼成後のハンバーグ、及びこのハンバーグを真空パックした後に2週間冷凍保存し、沸騰水中で15分間加温して解凍したハンバーグについて、試験例1に準じて評価した。評価結果を表5、6に示す。なお、市販グルコマンナン製剤は、水に分散、膨潤させた後に使用した。また、各種澱粉は、水に分散させた後に使用した。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
焼成後のハンバーグについて、比較例1は、水っぽい食感となり、また風味の顕著な改善効果も見られなかった。比較例2も比較例1とほぼ同様の傾向となった。比較例3は、ジューシーさに乏しいパサついた食感となり、風味にも影響が見られなかった。比較例4は、焼成後歩留こそ高いものの、ジューシー感に乏しくカマボコ様のプリプリとした食感となった。比較例5は、ジューシー感こそ改善されたものの、対照区には及ばない結果となり、風味の面でも改善効果が見られなかった。比較例1〜5は、対照区よりは向上したものもあったが、実施例8には及ばなかった。
【0070】
冷凍‐解凍後のビーフハンバーグは、組織の縮み、離水が大きいものがほとんどであった。実施例9は、焼成後の食感、風味がよく保存されたが、比較例1〜5は縮みが大きく、食感もジューシーさ、ソフトさ、弾力、肉粒感に乏しいものとなり、風味も畜肉臭が強く感じられた。比較例4,5においては、解凍後歩留は高いものの、食感、風味の面で優れたものとはいえない結果となった。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、グルコマンナンを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが均一に分散しており、pH4〜8である食品素材をハンバーグ用の生地に添加し、ハンバーグを製造することにより、肉粒感や風味やジューシー感が良好に保たれ、冷凍保存しても上記品質が劣化しにくいハンバーグを提供することができる。
Claims (6)
- グルコマンナンを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが均一に分散しており、pH4〜8である食品素材を、ハンバーグ用の生地に添加することを特徴とするハンバーグの製造方法。
- 前記食品素材を前記ハンバーグ用の生地中に0.2〜30質量%となるように添加する請求項1記載のハンバーグの製造方法。
- 前記食品素材のpHが4.5〜7.5である請求項1又は2記載のハンバーグの製造方法。
- 前記食品素材が更に澱粉を含有している請求項1〜3のいずれか1つに記載のハンバーグの製造方法。
- 前記澱粉が油脂加工澱粉及び/又は架橋澱粉である請求項4記載のハンバーグの製造方法。
- 前記W/O型エマルジョンの油脂相が不飽和脂肪酸を50質量%以上含む油脂からなる請求項1〜5のいずれか1つに記載のハンバーグの製造方法。
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