JP2761669B2 - 油脂混合物及びその製造方法 - Google Patents
油脂混合物及びその製造方法Info
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Description
しくはパン類の製造において、パン類の生地の機械耐性
を向上させると共に、ソフトで老化の遅い、即ち、柔ら
かさが長時間に亘って持続するパンを製造するための油
脂混合物及び製造方法に関するものである。
糖、油脂、イーストフード等を原料として混捏し、醗酵
後、分割、成型等の機械的操作を経て製造されるが、生
地の物性がパンの品質に大きな影響を与えることが知ら
れている。特に、ストレート法による製パンの場合に
は、通常、機械耐性が劣るため機械生産を行なった場合
に生地が損傷を受け、良好なパンが出来ないのが現状で
ある。
手に入るまでに1日以上の時間がかかるのが普通であ
り、このため、流通の過程でパンが老化してパン類特有
の柔らかさが失われてしまうことが問題となっている。
は、機械耐性向上による良好なパンのライン生産とパン
の老化防止であると言える。
れている。機械耐性向上については、例えばカルシウム
ステアリルラクチレート、モノグリセライド等の乳化
剤、臭素酸カリウム、L−アスコルビン酸等の酸化還元
剤、L−シスチン又はプロテアーゼ、アミラーゼ、リパ
ーゼ等の酵素剤等が使用されているが、未だ満足するべ
き効果が得られていないのが現状である。
ーゼ剤との組み合わせ(特開昭63−14653)が開示され
ているが、これはアミラーゼの作用を有機酸添加により
抑制しようとするものであり、特開昭63−63170では、
シスチン又はメチオニンと乳酸菌の組み合わせによるパ
ン類の製造法が開示されているが、この場合シスチン又
はメチオニンを用いてSH−SS交換反応の促進、つまり高
分子化を目的とした物質と乳酸菌との組み合わせであ
る。
にはデンプン又は化工デンプンを含有する食用固型油
脂、特開昭55−26804には水溶性有機酸により水相のpH
を1〜5に調製してなるマーガリン、特開平1−112942
にはグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を単独又は2
種以上含む油脂組成物、特開昭64−63337には天然ガス
剤及びグリセリン脂肪酸エステルを含有する油中水型油
脂組成物等が開示されているが、いずれの油脂組成物も
実施例を見る限りその老化防止効果については或る程度
の効果は認められるものの、保存3日目ではかなり硬く
なる傾向があり、その老化防止効果は充分とは言い難
い。また、特開昭61−63232はα−アミラーゼを油中水
型に乳化させた油脂組成物を開示しているが、この場合
も実施例を見る限り、パンクラムの硬さは、3日目では
効果のあるものでも1日目に比べて1.5倍程度硬くなっ
ており、その効果はやはり充分とは言えない。
までに種々の検討が行なわれているが、各々の問題につ
いてすら未だ満足し得る結果は得られておらず、まして
や、この2つの問題を一挙に解決することは殆ど達成さ
れていないのが現状である。
服すべく鋭意研究した結果、パン生地中のグルテン、デ
ンプンに作用しやすい液晶状態の乳化剤と、これらに作
用する酵素とを組み合わせた油脂混合物を使用すること
によって、機械耐性とパンの老化の問題を一挙に解決出
来ることを発見し、本発明を完成した。
パンラインのデバイダー、ラウンダーを通した場合の生
地の損傷度のことであり、通常は、手分割、手丸目の場
合に比べ、上記の機械分割、丸目を行なった場合にどの
程度比容積がダウンし、内相が荒れるかで判断する(以
下、比容積ダウン度を記す)。また、乳化剤の液晶状態
とは、水溶液中にニート状もしくはゲル状に分散し、ヘ
キサゴナル構造、キュービック構造、ラメラ構造又は逆
ヘキサゴナル構造のいずれかの構造を有する乳化剤をい
う。
乳化剤と、プロテアーゼ類及びアミラーゼ類から選ばれ
る1種又は2種以上の酵素とを含むことを特徴とする油
脂混合物を、 本発明の第2は、少なくとも一部が液晶状態の乳化剤
と、増粘剤と、プロテアーゼ類及びアミラーゼ類から選
ばれる1種又は2種以上の酵素とを含有することを特徴
とする油脂混合物をそれぞれ内容とするものである。
これにパン酵母、水等を加え、更に他の原料を必要に応
じて添加し、醗酵工程を経て或いは経ずに、得られた生
地を焼成するか又は油揚げ又は蒸したものを言い、更に
上記原料の他に小麦粉以外の穀物、例えばライ麦等を混
入したものも包含する。
植物性の油脂及びそれらの硬化油、エステル交換油、分
別油等から目的に応じて適宜選択され、1種又は2種以
上組み合わせて用いられる。
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂
肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル、天然タンパク加水分解物等が挙げ
られる。上記乳化剤中の脂肪酸としては、炭素数8〜24
の飽和もしくは不飽和脂肪酸が1種又は2種以上混合し
て使用される。
脂肪酸モノエステル(通称モノグリセリド)、グリセリ
ン有機酸脂肪酸モノエステル等が挙げられる。尚、グリ
セリン有機酸脂肪酸モノエステル中の有機酸残基として
は、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸等の低級脂肪酸で
構成される脂肪酸モノカルボン酸、シュウ酸、コハク酸
等の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等
の脂肪族不飽和ジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石
酸、ジアセチル酒石酸、クエン酸等のオキシ酸、及びグ
リシン、アスパラギン酸等のアミノ酸が例示される。
酸とのエステルであり、通常ソルビタン1分子に1〜3
個の脂肪酸が結合したエステルである。
リセリン脂肪酸モノエステルからポリグリセリン脂肪酸
ペンタエステルまでの脂肪酸1〜5個のついたもの或い
はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを挙げる
ことが出来る。
リグリセリンと縮合リシノレイン酸とのエステルであ
り、通常、グリセリン重合度2〜3のポリグリセリンと
リシノール酸の縮合度3〜5の縮合リシノレイン酸との
モノもしくはジエステルの混合物が用いられる。
と脂肪酸のカルボキシル基が反応して出来る蔗糖エステ
ルであり、蔗糖と反応する脂肪酸の数は蔗糖のヒドロキ
シル基の数から1〜8である。
レングリコールと脂肪酸とのエステルであり、通常プロ
ピレングリコールの1個の水酸基がエステル化したもの
である。
ンパク、血液プラズマタンパク、小麦タンパク、コーン
タンパク、卵タンパク等の天然動植物タンパクの酸、ア
ルカリ、酵素等で部分分解した乳化力のある乳化性タン
パクのことであり、例えば市販品としては、大豆タンパ
ク分解物であるハイニュート−S、ハイニュート−PM
(商品名、不二製油製)が挙げられる。
リセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸
エステル、蔗糖脂肪酸エステルであり、グリセリン有機
酸脂肪酸エステルの中で特に効果のあるものはクエン
酸、コハク酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、酢酸等を構
成有機酸とするグリセリン有機酸脂肪酸モノエステルで
ある。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪
酸エステルで、特に効果のあるものはHLB12以上のもの
である。
グリセリン脂肪酸モノエステル、ソルビタン脂肪酸エス
テルであり、この中で特に効果のあるのは炭素数14〜20
の飽和脂肪酸からなるグリセリン脂肪酸モノエステルで
ある。
る乳化剤と老化に効果のある乳化剤を適当に組み合わせ
て用いればよい。添加量としては、対小麦粉当たり0.1
〜5.0部(重量部、以下同じ)の範囲になるように油脂
混合物に添加するのが適当である。この範囲外では充分
な効果が得られなかったり、パンの風味が悪影響を受け
ることがある。
等そのままの形態で添加してもよいが、パン生地中のデ
ンプン、タンパクに充分作用させるためには、水溶性の
乳化剤は水溶液の形態で充分溶解されている状態で混合
されるのが効果的であり、HLBの7以下の、水に不溶性
の乳化剤については、水相に分散させるか、液晶を形成
するものはこの形態で添加することが重要である。特
に、液晶を形成しやすいグリセリン脂肪酸モノエステ
ル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪
酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレ
ングリコール脂肪酸エステルについてはこの形態で添加
することが充分な効果を発揮させる上で必要である。こ
の液晶の安定化にとっては、一般に言われているソルビ
トール、グリセリン、プロピレングリコール、糖類等の
多価アルコールや乳化剤中に若干含まれる遊離の脂肪酸
を中和するための有機酸塩等が有効である。
で、例えばコーンスターチ、甘蔗デンプン、馬鈴薯デン
プン、タピオカデンプン、米デンプン、カルボキシルデ
ンプン、ジアルデヒドデンプン、カチオンデンプン等の
デンプン関連物質;ふのり、寒天、アルギン酸ソーダ、
カラギーナン等の海藻関連物質;アラビアガム、トラカ
ントガム、トロロアロイー、コンニャク、ローカストビ
ーンガム、グァガム、キサンタンガム、各種ペクチン、
タマリンドガム、カラヤガム、アーモンドガム、ガディ
ガム、カードラン等の粘性物質;ビスコース、メチルセ
ルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース関
連物質;にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白、血漿タン
パク、グルテン、大豆タンパク等のタンパク質、ポリビ
ニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル
酸、ポリビニルピロリドン、水溶性アルキッド、ポリビ
ニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体、ポリエチレン
イミン等の合成高分子、その他のリグニン、キチン、ポ
リウロード、ガラクトマンナン、グルコマンナン、イヌ
リン等を挙げることができる。
ヤガム、トラカントガム、ペクチン、キサンタンガム、
カードラン、アラビアガム、卵白等である。
ラーゼ類から選ばれる1種又は2種以上の酵素である。
されている各種のプロテアーゼ剤のいずれでも用いるこ
とができ、例えば天野製薬製のプロテアーゼA「アマ
ノ」、プロテアーゼM「アマノ」、プロテアーゼP「ア
マノ」、プロテアーゼN「アマノ」、パパインW−40、
新日本化学製のスミチームAP、スミチームMP、スミチー
ムIP等が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わ
せて用いられる。上記酵素の名称は、いずれも商品名で
ある。プロテアーゼ類の添加量は後記する、一般に用い
られるプロテアーゼ活性測定法にて測定したpH5.5での
プロテアーゼ活性が油脂混合物1kgに対して100〜50000
単位の範囲が好ましい。
に、市販のアミラーゼ剤のいずれも使用することが出来
る。α−アミラーゼとしては、天野製薬(株)のアミラ
ーゼAD「アマノ」、アミラーゼAK「アマノ」、ナガセ生
化学工業(株)デナチームSA−7、新日本化学工業
(株)のスミチームS、ダイキン工業(株)ダビアーゼ
等、β−アミラーゼとしては天野製薬(株)のビオザイ
ムA、β−アミラーゼ「アマノ」、新日本化学工業
(株)のスミチームL等、イソアミラーゼとしては、天
野製薬(株)のイソアミラーゼ「アマノ」、プルラナー
ゼ「アマノ」等、グルコアミラーゼとしては、天野製薬
(株)グルクザイムNL、グルクザイムAF、新日本化学工
業(株)のスミチームAN、スミチームAL、スミチームSG
等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上組み
合わせて用いられる。上記酵素の名称は、いずれも商品
名である。アミラーゼ類の使用範囲は後記する活性測定
法を用いて測定したpH5.5でのアミラーゼ活性が油脂混
合物1kgに対して100〜50000単位の範囲が好ましい。プ
ロテアーゼもアミラーゼも、上記より少ない量では効果
が不充分であり、またこの範囲を越えると逆に生地にベ
タツキが生じる。
測定法を示す。
ロシン量を用いて、下記の式により酵素力価を算出し
た。
液 緩衝液:N/10酢酸緩衝液 A液:0.24M CuSO4・5H2O B液:1.22Mロッシェル塩と2.575M NaOHの混液 C液:30wt%KI水溶液 D液:25wt%H2SO4水溶液 滴定液N/20チオ硫酸ナトリウム液 (2)活性測定法 (3)活性算出 アミラーゼ活性(BL−AV)×1.6×F=生成グルコース
(mg) 生成グルコース(mg)×稀釈倍率 ×1/10=力価(μ/g) 注)BL:盲検値(B液添加後、酵素溶液添加したもの) F :N/20チオ硫酸ナトリウムのfactor 注)アミラーゼ活性測定法でα−アミラーゼ、β−アミ
ラーゼ、グルコアミラーゼは可溶性澱粉液を基質として
測定。イソアミラーゼはアミロペクチン液を基質として
測定。
い溶液と半流動性の油脂とを軽く混合した混合物のこと
であり、通常の乳化油脂組成物とは異なるものである。
本発明の油脂混合物と乳化油脂組成物の大きな差異は、
乳化油脂組成物が通常50℃以上の温度で乳化剤の存在下
で油相と水相を充分混合し乳化させた後、急冷捏和して
作成するのに対し、油脂混合物はすべての乳化剤を多価
アルコール、糖類等の高粘性溶液(以下、高粘水相と略
す。)中に添加し、親水性の乳化剤は溶解させ、その他
のものは分散、液晶状態にした後冷却し、その液に半流
動状になるまで冷却した油脂を添加し軽く混合して調製
される点にある。このような方法によって調製された油
脂混合物は、乳化剤が本来の乳化作用を発揮しないた
め、油脂と高粘水相は乳化された状態ではなく、単に混
合された状態で存在している。このことは、通常の油中
水型乳化油脂組成物(油脂分80重量%)と本発明の油脂
混合物(油脂分80重量%)について、それぞれの電気抵
抗を測定した結果、前者が200メガオーム以上であるの
に対し、後者が1メガオーム以下であることからも裏付
けられる。ここで組成物、混合物の電気抵抗は通常のテ
スターを使用し、テスターの針を5m離れた位置に1cm差
し込んで測定された。尚、油中水型乳化油脂組成物の抵
抗が200メガオーム以上ということは、組成物が充分乳
化され連続相が油脂であることを示しており、一方、混
合物が1メガオーム以下ということは、乳化がされてお
らず単なる混合状態であると考えられる。
成物とは本質的に差異があることから、同様の組成の物
を製パンに使用してもその効果に大きな差異が生じる。
この差が生じる原因については明らかでないが、本発明
の油脂混合物では、すべての乳化剤が水に含有する高粘
水相に存在し、これがパン生地ミキシング中に容易にパ
ン生地中の水に分散、溶解し、作用しやすい状態になっ
ていること、油脂或いは高粘水相に分散し添加する酵素
及び増粘剤についても同様に単に分散状態で存在してい
るために、乳化により閉じ込められる乳化油脂組成物に
比べて生地中に出やすい状態になっていることが考えら
れる。また、本発明の油脂混合物においては、本来生地
中で作用しにくいといわれている液晶を形成する親油性
の乳化剤であるグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセ
リン有機酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等を高粘水相に液晶
状態で存在させることにより、少量の添加でこれらの乳
化剤がパン生地中のグルテン、デンプンに充分作用する
状態になっていることが考えられる。尚、デンプンへの
乳化剤の作用の度合については、焼成後のパンのデンプ
ンの糊化度(%)をヨウ素電流滴定法で測定した結果を
後記の実施例で示しているが、通常の乳化油脂組成物に
比べ、本発明の混合物が著しく糊化度を抑制することが
明らかにされている。
類、糖類、水の混合割合は、特に限定されるものではな
いが、好適なものとしては、グリセリン有機酸脂肪酸エ
ステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖紡酸エス
テル、天然タンパク加水分解物のうちの1種又は2種以
上を10〜30部、グリセリン脂肪酸モノエステル、ソルビ
タン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エス
テルのうちの1種又は2種以上を20〜70部、タンパク
質、多糖類等の増粘剤の1種又は2種以上を0.1〜50
部、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール
等の多価アルコール、液糖、グルコース等の糖類のうち
の1種又は2種以上を0〜60部、水を0〜40部混合した
ものが例示される。尚、増粘剤は水相、油相のどちらに
添加してもよい。
成方法としては、水、増粘剤、多価アルコール、糖類を
添加し、60℃以上に保って撹拌しながら水溶性乳化剤を
添加する。次に、液晶を形成する乳化剤であるグリセリ
ン脂肪酸モノエステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、HLB7以下のポリグリセ
リン脂肪酸エステル等を添加し充分に安定な液晶を形成
させる。その後、常温程度まで冷却し、乳化剤水相を調
製する。尚、水溶性乳化剤については、常温で溶解する
ものは液晶形成させ水相を冷却した後に添加してもよ
い。
半流動状となった油脂を徐々に添加し軽く混合すること
によって調製される。油脂の添加量は通常、乳化剤水相
に対して3〜200部である。
のどちらかに添加してもよいが、増粘剤の種類により分
散・溶解しやすい方に添加すればよい。
まま添加する方法、冷却した油脂に分散後添加する方
法、油脂混合物に後から粉末或いは液糖、ソルビトール
等に溶解した後添加する方法等のいずれの方法でもよ
く、特に限定されない。但し、酵素で分解される増粘剤
を使用している場合には、増粘剤と酵素を別々の相(水
相、油脂)に添加した方がよい。
が、本発明はこれらにより何ら限定を受けるものではな
い。
℃前後に保ちながら撹拌し、よく混合した。次にシュー
クロースモノステアレート、デカグリセリンモノステア
レートを添加する配合の場合にはこれらを添加し、分
散、溶解させた。次に液晶を形成する乳化剤、コハク酸
モノグリセリド(ステアレート)、グリセリンモノステ
アレート、プロピレングリコールモノステアレートを添
加し、充分に水和ゲル状態にした。その後、30℃前後ま
で冷却し、充分に乳化剤の結晶を析出させた。次に、70
℃前後に昇温して完全融解させた後、30〜40℃に冷却
し、その後酵素を分散させた油脂を上記乳化剤水相に徐
々に添加し、軽く混合して油脂混合物を調製した。
以外の乳化剤を添加し、充分溶解した。その後、70℃前
後の保った水(シュークロースモノステアレートを添加
する場合にはこれを分散、溶解させておく)を徐々に添
加し約20分程度乳化させた後、これを急冷捏和して乳化
油脂組成物を得た。
物(比較例1〜4)を用い、第2表に示す配合でストレ
ート法にて山型食パンを製造し、生地のベタツキ及びパ
ンの評価を行なった。尚、配合でショートニング添加量
が異なるのは、生地中に添加される油脂量を油脂混合
物、乳化油脂組成物中の油脂と合わせて一定になるよう
に調整したためである。結果を第2表に示す。
を用いて評価した。また、パン評価で内相、食感は手分
割、丸目のパンで評価し、比容積のダウン度から機械耐
性を評価した。更に、パンの老化、糊化度についても手
分割、丸目のパンを使用し、老化については焼成後20℃
で1時間冷却した後、ビニール袋に入れ20℃で72時間保
存し、24時間目、72時間目のパンの硬さを測定し、パン
の柔らかさを評価した。測定値の小さいもの程パンが柔
らかいことを示す。硬さの測定はパンを2cmにスライス
し、1cmまで圧縮した時の応力をレオナー(山電製)を
用いて測定した。また糊化度の測定は焼成後20℃、1時
間冷却したパンを使用し、ヘキサン、エーテル等で脱脂
後、ヨウ素電流滴定法で測定した。
1分、中速1分、高速5分ミキシング後、油脂を添加し
て同様に低速1分、中速1分、高速5分ミキシングす
る。(捏上温度28℃) 醗酵:30℃、90分 分割、丸目:(1)生地量400gずつ手分割、丸目 (2)デバイダー、ラウンダーにて分割、 丸目 ベンチ:30℃、25分 成型:モルダーにて成型 ホイロ:温度40℃、湿度80% 焼成:25分(温度210℃) 第2表の結果より、比較使用例1〜4に比べ、使用例
1〜10ではパンの比容積が増大し、比容積ダウン度も小
さくなっていることから生地の機械耐性が向上している
ことがわかる。また、生地のベトツキの点でも良好であ
り、パンの糊化度も40%以下と通常のパンに比べ非常に
抑制されていることがわかる。特に、乳化剤配合の殆ど
同一の使用例7〜10と比較使用例1〜4の糊化度の差か
ら、同量の乳化剤を添加しても乳化剤の存在状態、即
ち、乳化組成物の中にあるか、混合物として高粘水相に
存在するか(親油性のものは分散あるいは液晶として)
によって、パン生地中での乳化剤の作用に大きな差が生
じることがわかる。
おり、特に使用例2、使用例6ではパンが非常に柔らか
く且つ72時間後でも硬さが殆ど変化しないという非常に
ソフトで老化の遅いパンが得られた。
ることによって、従来の乳化油脂組成物に比べ、乳化剤
が同量でも生地中で一層有効に作用し、更に酵素添加の
相乗効果が発揮され、生地の状態が良好で機械耐性があ
り且つ出来たパンがソフトで老化が非常に遅くなること
がわかる。
物(比較例1〜4)を用い、第3表に示す配合で中種法
にて山型食パンを製造し、生地のベタツキ及びパンの評
価を行なった。
低速2分、中速2分、高速3分、更に油脂を加えて低速
2分、中速2分、高速3分ミキシングする。
効果は顕著で、使用例11〜20では生地状態良好で機械耐
性があり、ソフトで老化の遅いパンが得られることがわ
かる。
ソルビトールを添加し70℃前後に保ちながら撹拌し、よ
く混合した。次に、デカグリセリンモノステアレートを
添加し、分散、溶解させた。次に、コハク酸モノグリセ
ライド(ステアレート)、グリセリンモノステアレー
ト、プロピレングリコールモノステアレートを添加し充
分に水和ゲル(液晶ゲル)を形成させ、30℃前後まで冷
却し、乳化剤の結晶を充分析出させた。次に、70℃前後
に昇温して完全融解させた後、30〜40℃に冷却し、その
後、酵素を分散させた油脂を上記乳化剤水相に徐々に添
加し、軽く混合し油脂混合物を調製した。
以外の乳化剤、増粘剤を添加し充分混合した。その後、
70℃前後の温水にデカグリセリンモノステアレートを溶
解させた水相を徐々に油相に添加し、約20分乳化させた
後、これを冷却捏和して乳化油脂組成物を得た。
を油相に分散させ、乳化を50℃で行なうこと以外は上記
と同様の方法で調製した。
物(比較例5〜7)を用い、第5表に示す配合で前記と
同様にてストレート法にて山型食パンを製造し、生地状
態及びパンの評価を行なった。結果を第5表に示す。
21〜29では、生地状態が良好でパンの比容積が増大し、
比容積ダウン度から生地の機械耐性が非常に向上してい
ることがわかる。また、老化についても非常に改善され
ており、特に使用例24、使用例26、使用例28では、72時
間目で24時間目に比べて逆にパンが若干ではあるが柔ら
かくなるという値となっており、使用例の老化防止効果
が非常に顕著であることがわかる。更に、食感について
も、かなり改善されており、乳化剤、酵素添加によるパ
ンのネチャツキがあまりなく、凝集性も無添加の比較使
用例12に近い値を示していることがわかる。また、パン
の糊化度についても、使用例の場合10〜20%と極端に抑
制されていることがわかる。特に、乳化剤配合の殆ど同
一の使用例23、使用例25〜29と比較使用例9〜12の糊化
度の差から、同量の乳化剤を添加しても乳化剤の存在状
態、即ち乳化組成物の中にあるか、混合物として水相に
存在するか(親油性のものは分散あるいは液晶として)
によってパン生地中での乳化剤の作用に大きな差が生じ
てくることがわかる。
ることによって、従来の乳化油脂組成物に比べ、乳化剤
が同量でも生地中でより作用し、更に、増粘剤、酵素の
併用により、相乗効果で生地状態が良好で機械耐性が向
上し、更に、出来たパンが老化が遅く食感が良好になる
ことがわかる。
物(比較例5〜7)を用い、第6表に示す配合で前記と
同様にして中種法にて山型食パンを製造し、生地の状態
及びパンの評価を行った。結果を第6表に示す。
効果は顕著で、使用例では生地状態が良好で機械耐性が
あり、非常に老化が遅く食感の良好なパンが得られるこ
とがわかる。
り、ストート法、中種法等の製パンにおいて、従来にな
い生地の機械耐性が付与されると共に、内相良好で、老
化が非常に遅く且つ食感の良いパンの製造が可能にな
る。
老化、食感の問題が同時に解決されるため、機械耐性の
弱いといわれているストレート法も含め、種々の製パン
法での良好なパンの安定した機械生産が可能となる。更
に、本発明はストレート法、中種法にとどまらず、広く
パン類の工業的生産に寄与するものである。
Claims (7)
- 【請求項1】少なくとも一部が液晶状態の乳化剤と、プ
ロテアーゼ類及びアミラーゼ類から選ばれる1種又は2
種以上の酵素とを含むことを特徴とする油脂混合物。 - 【請求項2】少なくとも一部が液晶状態の乳化剤と、増
粘剤と、プロテアーゼ類及びアミラーゼ類から選ばれる
1種又は2種以上の酵素とを含有することを特徴とする
油脂混合物。 - 【請求項3】増粘剤がタンパク質、多糖類から選ばれる
1種又は2種からなり、その添加量が混合物全体に対し
て0.1〜50重量%の範囲である請求項2記載の油脂混合
物。 - 【請求項4】プロテアーゼ類の添加量が、油脂混合物1k
gに対してプロテアーゼ活性として100〜50000単位の範
囲である請求項1又は2記載の油脂混合物。 - 【請求項5】アミラーゼ類が、α−アミラーゼ、β−ア
ミラーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼの1種又
は2種以上からなり、その添加量が油脂混合物1kgに対
してアミラーゼ活性として100〜50000単位の範囲である
請求項1又は2記載の油脂混合物。 - 【請求項6】乳化剤を溶解又は分散させて少なくとも一
部を液晶状態とした後冷却した高粘性溶液に、酵素を含
有し半流動状の油脂を添加・混合することを特徴とする
油脂混合物の製造方法。 - 【請求項7】増粘剤を高粘性溶液又は油脂に添加する請
求項6記載の製造方法。
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