JP3129876B2 - 冷凍パン類及びその製造方法 - Google Patents
冷凍パン類及びその製造方法Info
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Description
た状態のままで、違和感なく食べることができる冷凍パ
ンに関し、更に詳しくは、通常のパンに比較し、冷凍状
態でも固くならず違和感なくそのまま食べられる冷凍パ
ンに関する。
てできるだけ食糧を無駄に、捨ててしまうのを回避する
方策として、冷凍保存することがしばしば行われてい
る。パンについても、腐らないように冷凍して保存する
ことは従来より行われている。しかし、通常のパンを冷
凍すると、パンが噛めないくらい非常に硬くなり、冷凍
中に水分がかなり飛散してぱさついた状態になり、口溶
けも悪くなってしまう。即ち、通常のパンでは、焼成中
に小麦粉中の澱粉が吸水、膨潤しついには崩壊して、粒
形を維持せずアモルファスな状態となっているため、パ
ンの保水力は低く、パンを冷凍すると、パンからの水分
飛散が起こり、パンが硬く、食感がぱさぱさしたものに
なってしまう。そこで冷凍状態のままで食べられるパン
生地の配合については、通常のパン配合、菓子パン配合
と比較すると、砂糖、卵、ショ−トニングやマ−ガリン
等の練り込み油脂等を多く、加水量を少なくして配合を
リッチにすることが従来より行われている。しかしなが
ら従来より行われている油脂成分としてショ−トニング
やマ−ガリン等の固形油脂等を多く用い、加水量を少な
くして配合をリッチにする方法では、冷凍状態ではショ
−トニングやマ−ガリン等の油脂成分がががちがちに凍
ってしまい、そのためパンを硬くしてしまうという欠点
があった。
研究を重ねた結果、油脂成分として−10℃以下で流動
性を有する油脂組成物を用いること、あるいは更に油脂
成分として−10℃以下で流動性を有する油脂組成物を
用い、かつ組成物中に液晶状態の乳化剤を含有せしめた
油脂組成物をパン生地に添加することにより、パンの製
法は従来とさほど変えずに、パンを冷凍(−5℃未満)
してもそのままの状態で食べることが可能であることを
見いだし、本発明を完成するに至った。
下で流動性を有する油脂組成物を用いること、好ましく
は−10℃以下においても流動性を有する油脂組成物
と、組成物中に液晶状態の乳化剤を含有せしめた油脂組
成物を用い、または−10℃以下においても流動性を有
する油脂組成物と、組成物中に液晶状態の乳化剤を含有
せしめた油脂組成物を用い、更に酵素を併用して用いる
ことを特徴とする。本発明において用いられるパンとし
ては、小麦粉を主原料とし、これに油脂成分、パン酵
母、水等を加え、更に必要に応じて、ほかの原料を添加
し、発酵過程を経てあるいは経ずして得られた生地を焼
成したものを言い、更に上記原料の他に、小麦粉以外の
穀物、たとえばライ麦等を混入したものも含まれる。
℃以下においても流動性を有する油脂組成物としては、
−10℃以下で100ポイズ(PS)以下の粘度[ビス
コテスタ−(ロ−タ−NO.1)による]であって、流
動性を有し、かつ製パン時生地にスム−ズに練り込まれ
るものであることが必要である。このような油脂組成物
の好適な例としては、例えば、なたね油等の液体油脂
に、後述の乳化剤、またはワックス類あるいは増粘剤を
配合したものが挙げられる。
は、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪
酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪
酸エステル、プロピレングリコ−ル脂肪酸エステル、レ
シチン、ステアリン有機酸エステル及びその塩等が挙げ
られる。上記乳化剤中の脂肪酸としては、炭素数8〜2
4の飽和もしくは不飽和脂肪酸が1種または2種以上混
合したものが挙げられる。これら乳化剤のうちで特に好
ましいものとしては、例えばグリセリン脂肪酸モノエス
テル、グリセリン有機酸脂肪酸モノエステル、ソルビタ
ン脂肪酸エステル、ステアリン有機酸エステル、及びそ
れらの塩が挙げられる。
流動性を有する油脂組成物と併用する油脂組成物の乳化
剤はその一部が液晶状態であることが好ましい。即ち用
いる乳化剤の一部が水溶液中にニ−ト状もしくはゲル状
に分散し、ヘキサゴナル構造、キュ−ビック構造、ラメ
ラ構造または逆ヘキサゴナル構造のいずれかの構造を有
するか、または水を抱いたゲル状のα結晶状態であるこ
とが好ましい。乳化剤の液晶の安定化のために、ソルビ
ト−ル、グリセリン、プロピレングリコ−ル、糖類など
の多価アルコ−ルや該乳化剤中に若干含まれる遊離の脂
肪酸を中和するための有機酸塩等を用いることも可能で
ある。
いる製パンに用いる各種の酵素剤のいずれも使用するこ
とができ、例えば、ダイキン工業製の「ダビア−ゼ」、
天野製薬製の「プロテア−ゼPアマノ」、「プロテア−
ゼMアマノ」、ノボノルディスク製の「ファンガミ
ル」、「ペントパン」、「マルトゲナ−ゼ」、「ニュ−
トラ−ゼ」、新日本化学工業製の「スミチ−ムL」、
「スミチ−ムMP」等が挙げられ、これらは1種または
2種以上組み合わせて用いられる(上記酵素の名称は、
いずれも商品名である)。
0.1〜10%が好ましく、この範囲をはずれると効果
が不十分であったり、できたパンの風味が良くないなど
の問題が生じる。また、上記の全乳化剤中の液晶状態に
ある乳化剤の割合は10%以上が好ましく、より好まし
くは30%以上であり、これより少ない場合には冷凍状
態でも固くならないという十分な効果が得られない。
脂組成物を製造するには、例えば、多価アルコ−ル、糖
類を含む水溶液に水溶性乳化剤を添加し、60℃以上に
保って攪拌しながら、グリセリン脂肪酸エステル等の、
水に不溶性の乳化剤を添加し、安定な液晶を形成させ
る。さらに、この中に60℃以上に保った油脂を徐々に
添加し、混合乳化すればよい。油脂の添加量は通常、油
脂組成物全体に対して5〜50部が好適である。
粉末等そのままの形態で添加しても良いが、パン生地中
の澱粉、タンパク質に十分作用させるためには、水溶性
の乳化剤は水溶液の形態で十分溶解されている状態で混
合されるのが効果的であり、HLBが7以下の、水に不
溶性の乳化剤については、水に分散させるか、液晶ある
いはα結晶ゲルを形成するものは、この形態で添加する
ことが重要である。
ックス類あるいは増粘剤を配合し、油脂組成物を製造す
るには、製パン製造で一般に行われる加熱、溶解、急
冷、捏和、攪拌処理等により行うことができる。
に添加して十分に混捏すれば良く、例えば製パン法とし
て中種法を用いる場合、中種添加、本捏添加のいずれで
も良い。
下においても流動性を有する油脂組成物を使用している
ので、冷凍パンの食感を損ねないようにすることができ
る。即ち、本発明では−10℃においても流動性を有す
る油脂組成物をパン生地に添加しているので、冷凍状態
でも油脂が流動性を維持して硬化しないため、パンを冷
凍してもパンの硬化に大きな影響を及ぼさない。
化剤を含有せしめた油脂組成物を使用した場合は、該液
晶状態の乳化剤が小麦粉中の澱粉に吸着し、生地焼成中
には澱粉粒の内部で吸水糊化し、焼成した後でも粒形を
維持するため、パンの保水力は高く、冷凍状態でもパン
からの水分飛散が起こりにくく、パンが硬くならず、食
感もぱさつかないようにすることができる。さらに本発
明では酵素を併用した場合は、アモルファス状態になっ
た澱粉、あるいは損傷澱粉に対し、低分子化することで
澱粉の老化を抑制することができる。
れても、冷凍された状態のままで食べることのできる冷
凍パンが得られ、本発明の技術は製品のロスをほとんど
なくすことができるため、将来の食糧危機に有効に対処
でき、しかもフィリングのバラエティ−化も大幅に広げ
られるなど、数多くのメリットを備えたものである。
り具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、比較
例に何ら限定されるものではない。尚、実施例、比較例
中の配合はすべて重量部である。 実施例1〜3、比較例1〜2 原料として表1に記載した物を用い、油脂成分として表
2及び表3に記載した油脂組成物を用いて下記のように
してバタ−ロ−ルを製造し、冷凍庫に入れ、1週間冷凍
し、その後冷凍庫からとりだし、ただちに冷凍バタ−ロ
−ルについて食感、やわらかさ等の官能評価を行った。
結果を表1に示す。 中種ミキシング:低速2分、中速1分(捏上温度25
℃) 発酵:28℃、 2.5時間 本捏ミキシング:油脂組成物(実施例3の場合は及び酵
素)以外の全原料をミキサ−に入れ、低速2分、中速3
分、高速1分、更に油脂組成物(実施例3の場合は及び
酵素)を加えて低速2分、中速4分、ミキシングする
(捏上温度28℃)。 フロア−タイム:28℃、30分 分割、丸目:生地量50gずつ手で分割し、丸める。 ベンチタイム:28℃20分 成型:バタ−ロ−ル用モルダ−にて成型 ホイロ:38℃、湿度80%、60分 焼成:200℃、10分
ートニングを用いた以外は実施例と同様にしてバタ−ロ
−ルを製造し、冷凍庫に入れ、1週間冷凍し、その後冷
凍庫からとりだし、ただちに冷凍バタ−ロ−ルについて
食感、やわらかさ等の官能評価を行った。結果を表1に
示す。尚、使用した油脂組成物は、生地にスム−ズに練
り込まれた。また、−10℃のおける粘度は60ポイズ
(PS)であり、流動性を有していた。使用した酵素
は、ダイキン工業(株)製「ダビア−ゼ」である。
の冷凍バタ−ロ−ルに比べ、パンが柔らかく、口溶けの
良い食感が得られるのがわかる。
Claims (6)
- 【請求項1】 油脂成分として−10℃以下で流動性を
有する油脂組成物を用いたことを特徴とする冷凍パン。 - 【請求項2】 油脂成分として−10℃以下で流動性を
有する油脂組成物を用いることを特徴とする冷凍パンの
製造方法。 - 【請求項3】 油脂成分として−10℃以下で流動性を
有する油脂組成物を用い、かつ組成物中に液晶状態の乳
化剤を含有せしめた油脂組成物を用いたことを特徴とす
る冷凍パン。 - 【請求項4】 油脂成分として−10℃以下で流動性を
有する油脂組成物を用い、かつ組成物中に液晶状態の乳
化剤を含有せしめた油脂組成物を用い、更に酵素を用い
たことを特徴とする冷凍パン。 - 【請求項5】 油脂組成物中の乳化剤としてグリセリン
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリ
セリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、プロピレ
ングリコ−ル脂肪酸エステル、レシチン、ステアリン有
機酸エステル及びその塩から選ばれた1種または2種以
上の乳化剤を用いる第1項記載の冷凍パン。 - 【請求項6】 酵素が、アミラ−ゼ類、プロテア−ゼ類
から選ばれた1種または2種以上の酵素である第4項ま
たは第5項記載の冷凍パン。
Priority Applications (1)
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JP05090796A JP3129876B2 (ja) | 1993-03-24 | 1993-03-24 | 冷凍パン類及びその製造方法 |
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JPH06276919A JPH06276919A (ja) | 1994-10-04 |
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-
1993
- 1993-03-24 JP JP05090796A patent/JP3129876B2/ja not_active Expired - Fee Related
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