JP3048724B2 - 製パン用生地改良剤及び該改良剤を用いたパンの製造方法 - Google Patents
製パン用生地改良剤及び該改良剤を用いたパンの製造方法Info
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- JP3048724B2 JP3048724B2 JP3350799A JP35079991A JP3048724B2 JP 3048724 B2 JP3048724 B2 JP 3048724B2 JP 3350799 A JP3350799 A JP 3350799A JP 35079991 A JP35079991 A JP 35079991A JP 3048724 B2 JP3048724 B2 JP 3048724B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製パン用生地改良剤及び
該改良剤を用いたパンの製造方法に関し、更に詳しく
は、パンの製造時にパン生地中に練込んで使用すること
により、機械耐性を損なうことなく、パンをソフトに
し、老化を遅くし、ボリュームがあり口当りの良いパン
を提供する製パン用生地改良剤、及びそれを用いたパン
の製造方法に関するものである。
該改良剤を用いたパンの製造方法に関し、更に詳しく
は、パンの製造時にパン生地中に練込んで使用すること
により、機械耐性を損なうことなく、パンをソフトに
し、老化を遅くし、ボリュームがあり口当りの良いパン
を提供する製パン用生地改良剤、及びそれを用いたパン
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パンは製造直後はソフトで風味も優れて
いるが、製造後、日が経つにつれて老化して硬化した
り、またボソボソとした感じになり、商品価値が急速に
低下する。このパンの老化を抑制し、ソフトさを維持す
ることが大きな課題となっている。最近、特にパンのソ
フト化志向が強く、ソフト化の検討が数多くなされてい
る。その中で、最も一般的な方法は乳化剤を用いる方法
であり、例えばグリセリンモノ脂肪酸エステルなどがパ
ン生地に直接添加されたり、あるいはショートニングや
マーガリンに添加して使用されている。しかし乍ら、こ
の方法では乳化剤を多量に使用する必要があり、風味、
食感を低下させるという問題がある。また、乳化剤以外
の添加物やアミラーゼ等の酵素剤についても、パンのソ
フト化効果が認められている。しかし、この方法では製
パン時の作業性や、パンの風味を低下させるという問題
を含んでいる。
いるが、製造後、日が経つにつれて老化して硬化した
り、またボソボソとした感じになり、商品価値が急速に
低下する。このパンの老化を抑制し、ソフトさを維持す
ることが大きな課題となっている。最近、特にパンのソ
フト化志向が強く、ソフト化の検討が数多くなされてい
る。その中で、最も一般的な方法は乳化剤を用いる方法
であり、例えばグリセリンモノ脂肪酸エステルなどがパ
ン生地に直接添加されたり、あるいはショートニングや
マーガリンに添加して使用されている。しかし乍ら、こ
の方法では乳化剤を多量に使用する必要があり、風味、
食感を低下させるという問題がある。また、乳化剤以外
の添加物やアミラーゼ等の酵素剤についても、パンのソ
フト化効果が認められている。しかし、この方法では製
パン時の作業性や、パンの風味を低下させるという問題
を含んでいる。
【0003】一方、添加物によらないでパンのソフト化
を図るべく、カラギーナンなどのゲル化剤を含有させた
油中水型乳化油脂を生地練込用油脂として用いる方法が
提案されている(特開平2−171136号公報)。こ
の方法では、ゲル化した水性相を油脂中に分散させパン
生地調製時及び取扱時には生地物性に影響を与えず、焼
成時に水分が解放されるため、ソフトで老化の遅いパン
が得られると記載されている。しかし、この方法では、
生地の吸水量の増加を図るとはいうものの、実質的な増
加は約3重量%(対小麦粉)であり、パン老化防止効果
はそれほど顕著なものは期待できない。
を図るべく、カラギーナンなどのゲル化剤を含有させた
油中水型乳化油脂を生地練込用油脂として用いる方法が
提案されている(特開平2−171136号公報)。こ
の方法では、ゲル化した水性相を油脂中に分散させパン
生地調製時及び取扱時には生地物性に影響を与えず、焼
成時に水分が解放されるため、ソフトで老化の遅いパン
が得られると記載されている。しかし、この方法では、
生地の吸水量の増加を図るとはいうものの、実質的な増
加は約3重量%(対小麦粉)であり、パン老化防止効果
はそれほど顕著なものは期待できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる実情に
鑑み、機械耐性を損なうことなく、パン生地の吸水量を
大幅に増加させ、ソフトで老化が遅く、ボリュームがあ
り、口当りの良いパンを提供する生地改良剤及びパンの
製造方法を提供する。
鑑み、機械耐性を損なうことなく、パン生地の吸水量を
大幅に増加させ、ソフトで老化が遅く、ボリュームがあ
り、口当りの良いパンを提供する生地改良剤及びパンの
製造方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、パンをソ
フトにすべく、パン生地の吸水量の増加に着目し、通常
機械耐性の面から制約される仕込水量をほとんど減らす
ことなく実質的な生地吸水量の大幅な増加を可能とする
製パン用生地改良剤を鋭意研究した結果、デンプンを使
用し、水中油型に乳化した常温で保型性のある改良剤を
パン生地に練込むことにより、ソフトで老化の遅いパン
を製造できることを見出し、本発明を完成した。
フトにすべく、パン生地の吸水量の増加に着目し、通常
機械耐性の面から制約される仕込水量をほとんど減らす
ことなく実質的な生地吸水量の大幅な増加を可能とする
製パン用生地改良剤を鋭意研究した結果、デンプンを使
用し、水中油型に乳化した常温で保型性のある改良剤を
パン生地に練込むことにより、ソフトで老化の遅いパン
を製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明は、油脂2〜20重量%、化
工デンプン2〜20重量%、乳化剤2〜20重量%を含
有し、水中油型に乳化してなることを特徴とする製パン
用生地改良剤、及びそれを用いたパンの製造方法を内容
とするものである。尚、本発明において、パンとは小麦
粉を主原料とし、これにイースト、水等を加え、更に必
要に応じて他の原料を添加し発酵工程を経て或いは経ず
して得られた生地を焼成したものをいい、更に上記原料
の他に小麦粉以外の穀物、例えばライ麦等を混入したも
のも含まれる。
工デンプン2〜20重量%、乳化剤2〜20重量%を含
有し、水中油型に乳化してなることを特徴とする製パン
用生地改良剤、及びそれを用いたパンの製造方法を内容
とするものである。尚、本発明において、パンとは小麦
粉を主原料とし、これにイースト、水等を加え、更に必
要に応じて他の原料を添加し発酵工程を経て或いは経ず
して得られた生地を焼成したものをいい、更に上記原料
の他に小麦粉以外の穀物、例えばライ麦等を混入したも
のも含まれる。
【0007】本発明に用いられる油脂としては、食用に
適する動物性、植物性の油脂及びそれらの硬化油、エス
テル交換油、分別油等が挙げられ、これらは目的に応じ
て単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。油脂の
量は、改良剤全体に対して2〜20重量%の範囲であ
る。2重量%未満では、水中油型の乳化が困難となり目
的とする改良剤が得られにくく、20重量%を超える
と、得られる改良剤は油脂が分離するなど商品価値のな
いものになる。これは、改良剤中のデンプンに水を奪わ
れ、乳化に必要な水が減少し、水中油型の乳化がうまく
できないためと考えられる。
適する動物性、植物性の油脂及びそれらの硬化油、エス
テル交換油、分別油等が挙げられ、これらは目的に応じ
て単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。油脂の
量は、改良剤全体に対して2〜20重量%の範囲であ
る。2重量%未満では、水中油型の乳化が困難となり目
的とする改良剤が得られにくく、20重量%を超える
と、得られる改良剤は油脂が分離するなど商品価値のな
いものになる。これは、改良剤中のデンプンに水を奪わ
れ、乳化に必要な水が減少し、水中油型の乳化がうまく
できないためと考えられる。
【0008】本発明に用いられる化工デンプンとは、天
然デンプンに対し、エステル化、エーテル化、リン酸架
橋などの化学変性処理をしたものや、アルファ化処理な
どの物理変性処理をしたデンプンをいい、これらは単独
又は2種以上組み合わせて用いられる。また、上記処理
方法を2種以上重複して施してもよく、例えばリン酸架
橋し且つエーテル化処理したもの、リン酸架橋し且つエ
ーテル化処理したものを更にアルファ化処理したもの等
が好適に使用される。これらの化工デンプンのうち、リ
ン酸架橋し且つエーテル化処理したデンプン、あるい
は、それらの処理にさらにアルファ化処理したデンプン
が好ましい。化工デンプンの量は改良剤全体に対して2
〜20重量%の範囲である。2重量%未満では、改良剤
のデンプンによる保型性が得られにくく、パン生地に練
込むことが困難となり製パン時の作業性を損なう。ま
た、デンプンの吸水量も少なく、改良剤をパン生地に練
込んだときの吸水量の大幅な増加は望めない。20重量
%を超えると、改良剤中の水分を過度に奪ってしまうた
め、水中油型の乳化が満足にできず、目的とする改良剤
が得られにくい。
然デンプンに対し、エステル化、エーテル化、リン酸架
橋などの化学変性処理をしたものや、アルファ化処理な
どの物理変性処理をしたデンプンをいい、これらは単独
又は2種以上組み合わせて用いられる。また、上記処理
方法を2種以上重複して施してもよく、例えばリン酸架
橋し且つエーテル化処理したもの、リン酸架橋し且つエ
ーテル化処理したものを更にアルファ化処理したもの等
が好適に使用される。これらの化工デンプンのうち、リ
ン酸架橋し且つエーテル化処理したデンプン、あるい
は、それらの処理にさらにアルファ化処理したデンプン
が好ましい。化工デンプンの量は改良剤全体に対して2
〜20重量%の範囲である。2重量%未満では、改良剤
のデンプンによる保型性が得られにくく、パン生地に練
込むことが困難となり製パン時の作業性を損なう。ま
た、デンプンの吸水量も少なく、改良剤をパン生地に練
込んだときの吸水量の大幅な増加は望めない。20重量
%を超えると、改良剤中の水分を過度に奪ってしまうた
め、水中油型の乳化が満足にできず、目的とする改良剤
が得られにくい。
【0009】本発明に用いられる乳化剤としては、製パ
ン時の作業性を良くし、機械耐性を向上させてパンのボ
リュームを増大させるものであれば特に限定はないが、
パンがねちゃついたり、口どけが悪いといったような食
感の劣化を起こさない程度に添加されるべきである。具
体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ステアロイル乳
酸カルシウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪
酸エステル等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組
み合わせて用いられる。なかでも、グリセリン脂肪酸モ
ノエステルは改良剤中で、水を結晶中に含んだ構造の、
いわゆる液晶を形成することが知られており、これがデ
ンプンとの反応性を高め、デンプンの老化を効果的に抑
制するので好ましい。更に、グリセリン有機酸脂肪酸モ
ノエステルやステアロイル乳酸カルシウムはグルテンの
ネットワークを強化し、生地の機械耐性を向上し、パン
のボリューム増大に効果がある。また、改良剤中の液晶
は、それ自体は不安定で液晶構造が破壊されるため、併
用乳化剤としてショ糖脂肪酸エステルやソルビタン脂肪
酸エステル等を用いたり、多糖類等の増粘剤により高粘
度化したりして液晶の安定化を図るのが好ましい。
ン時の作業性を良くし、機械耐性を向上させてパンのボ
リュームを増大させるものであれば特に限定はないが、
パンがねちゃついたり、口どけが悪いといったような食
感の劣化を起こさない程度に添加されるべきである。具
体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ステアロイル乳
酸カルシウム、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪
酸エステル等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組
み合わせて用いられる。なかでも、グリセリン脂肪酸モ
ノエステルは改良剤中で、水を結晶中に含んだ構造の、
いわゆる液晶を形成することが知られており、これがデ
ンプンとの反応性を高め、デンプンの老化を効果的に抑
制するので好ましい。更に、グリセリン有機酸脂肪酸モ
ノエステルやステアロイル乳酸カルシウムはグルテンの
ネットワークを強化し、生地の機械耐性を向上し、パン
のボリューム増大に効果がある。また、改良剤中の液晶
は、それ自体は不安定で液晶構造が破壊されるため、併
用乳化剤としてショ糖脂肪酸エステルやソルビタン脂肪
酸エステル等を用いたり、多糖類等の増粘剤により高粘
度化したりして液晶の安定化を図るのが好ましい。
【0010】本発明でいう乳化剤の液晶とは、水溶液中
に乳化剤がニート状もしくはゲル状に分散し、ヘキサゴ
ナル構造、キュービック構造、ラメラ構造又は逆ヘキサ
ゴナル構造のいずれかの構造を有している状態のことを
いい、更に、水を抱いてα結晶状態でゲル状の形態であ
るα結晶ゲル状態のものも含まれる。乳化剤の量は改良
剤全体に対して2〜20重量%の範囲である。改良剤の
使用量にもよるが、2重量%未満ではパンの老化抑制効
果、ボリューム増大の効果が充分に得られず、一方、2
0重量%を超えると、水中油型の乳化が満足にできず目
的とする改良剤が得られにくく、また、パンの風味を損
ねるなどの弊害を生じる。
に乳化剤がニート状もしくはゲル状に分散し、ヘキサゴ
ナル構造、キュービック構造、ラメラ構造又は逆ヘキサ
ゴナル構造のいずれかの構造を有している状態のことを
いい、更に、水を抱いてα結晶状態でゲル状の形態であ
るα結晶ゲル状態のものも含まれる。乳化剤の量は改良
剤全体に対して2〜20重量%の範囲である。改良剤の
使用量にもよるが、2重量%未満ではパンの老化抑制効
果、ボリューム増大の効果が充分に得られず、一方、2
0重量%を超えると、水中油型の乳化が満足にできず目
的とする改良剤が得られにくく、また、パンの風味を損
ねるなどの弊害を生じる。
【0011】本発明の改良剤は、上記成分の他に、必要
に応じ、タンパク質、増粘多糖類、塩類、糖類等を添加
しても差し支えない。
に応じ、タンパク質、増粘多糖類、塩類、糖類等を添加
しても差し支えない。
【0012】本発明の製パン用生地改良剤は、例えば以
下の方法で得ることができる。即ち、油脂に乳化剤(油
溶性のもの)、デンプンを加え、攪拌しつつ加熱したも
のを油相とする。一方、水に乳化剤(水溶性のもの)を
加え、攪拌しつつ加熱したものを水相とする。油相に水
相を徐々に加え乳化したのち、急冷して常温で固形ある
いはペースト状の水中油型乳化油脂組成物、即ち製パン
用生地改良剤を得る。
下の方法で得ることができる。即ち、油脂に乳化剤(油
溶性のもの)、デンプンを加え、攪拌しつつ加熱したも
のを油相とする。一方、水に乳化剤(水溶性のもの)を
加え、攪拌しつつ加熱したものを水相とする。油相に水
相を徐々に加え乳化したのち、急冷して常温で固形ある
いはペースト状の水中油型乳化油脂組成物、即ち製パン
用生地改良剤を得る。
【0013】
【作用】こうして得られる製パン用生地改良剤は、デン
プンの強い保水力により組成物中の水分が保持されてい
るために、生地の機械耐性にもあまり影響を及ぼすこと
がなく仕込水を殆ど減らす必要がないので、保持された
水分がそのままパン生地の吸水量増加につながり、実質
的な生地吸水量を大幅に増加させることができる。ま
た、改良剤中の乳化剤の液晶は、デンプンにより高粘度
の状況下にあるので安定な状態が維持される。このた
め、乳化剤はその反応性が高い状態が維持されるので老
化抑制、機械耐性向上に大きく寄与し、その結果とし
て、少量で所定の効果を充分に発揮し、多量使用による
風味の劣化を抑えることができる。更に、パン生地中の
水分が多くなればなるほど、小麦粉中のデンプンは糊化
がおこり易くなり、乳化剤との反応性が飛躍的に向上す
る。従って、パン生地の吸水量を多くすることにより、
乳化剤の使用量を極力少なくしても大きな効果が発揮さ
れ、結果として風味や食感の劣化を防ぐことができる。
プンの強い保水力により組成物中の水分が保持されてい
るために、生地の機械耐性にもあまり影響を及ぼすこと
がなく仕込水を殆ど減らす必要がないので、保持された
水分がそのままパン生地の吸水量増加につながり、実質
的な生地吸水量を大幅に増加させることができる。ま
た、改良剤中の乳化剤の液晶は、デンプンにより高粘度
の状況下にあるので安定な状態が維持される。このた
め、乳化剤はその反応性が高い状態が維持されるので老
化抑制、機械耐性向上に大きく寄与し、その結果とし
て、少量で所定の効果を充分に発揮し、多量使用による
風味の劣化を抑えることができる。更に、パン生地中の
水分が多くなればなるほど、小麦粉中のデンプンは糊化
がおこり易くなり、乳化剤との反応性が飛躍的に向上す
る。従って、パン生地の吸水量を多くすることにより、
乳化剤の使用量を極力少なくしても大きな効果が発揮さ
れ、結果として風味や食感の劣化を防ぐことができる。
【0014】本発明の製パン用生地改良剤は、生地吸水
量の増加が図れるので、特に菓子パンで吸水量の少ない
生地に添加すると、より効果的であり非常にソフトで老
化の遅いパンを製造できる。一般に菓子パンは、あんパ
ンに代表されるように、包あん機などの機械を用いて大
量生産されるものも多く、機械耐性を大きくするために
生地の吸水量を食パンに比べて大幅に減少させているの
が現状である。このため、菓子パンの老化は非常に大き
く、生地の吸水量を1重量%でも多くすることが、パン
のソフト化に効果があるといわれている。本発明の製パ
ン用生地改良剤を添加すれば大幅に生地吸水量が増加で
きるので、ソフトで老化の遅い菓子パンを製造できる。
もちろん食パンにおいても同様の効果が期待でき、乳化
剤の添加量が少ない上、ソフトで風味の良いパンを製造
できる。
量の増加が図れるので、特に菓子パンで吸水量の少ない
生地に添加すると、より効果的であり非常にソフトで老
化の遅いパンを製造できる。一般に菓子パンは、あんパ
ンに代表されるように、包あん機などの機械を用いて大
量生産されるものも多く、機械耐性を大きくするために
生地の吸水量を食パンに比べて大幅に減少させているの
が現状である。このため、菓子パンの老化は非常に大き
く、生地の吸水量を1重量%でも多くすることが、パン
のソフト化に効果があるといわれている。本発明の製パ
ン用生地改良剤を添加すれば大幅に生地吸水量が増加で
きるので、ソフトで老化の遅い菓子パンを製造できる。
もちろん食パンにおいても同様の効果が期待でき、乳化
剤の添加量が少ない上、ソフトで風味の良いパンを製造
できる。
【0015】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限をう
けるものではない。尚、以下の記載において、「%」は
「重量%」、「部」は「重量部」を示す。 実施例1 表1に示す配合割合で製パン用生地改良剤Aを製造し
た。
詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限をう
けるものではない。尚、以下の記載において、「%」は
「重量%」、「部」は「重量部」を示す。 実施例1 表1に示す配合割合で製パン用生地改良剤Aを製造し
た。
【0016】
【表1】
【0017】生地改良剤Aの製造方法としては、まず上
記の油相部を攪拌しつつ加熱し、均一に混合した。一
方、上記の水相部を攪拌しつつ加熱し、均一に混合し
た。次に、油相部中に水相部を徐々に添加し、乳化した
のち、急冷し、生地改良剤Aを製造した。次に、得られ
た生地改良剤Aを用いて、表2に示す生地配合であんパ
ンを製造した。
記の油相部を攪拌しつつ加熱し、均一に混合した。一
方、上記の水相部を攪拌しつつ加熱し、均一に混合し
た。次に、油相部中に水相部を徐々に添加し、乳化した
のち、急冷し、生地改良剤Aを製造した。次に、得られ
た生地改良剤Aを用いて、表2に示す生地配合であんパ
ンを製造した。
【0018】
【表2】
【0019】あんパンの製造方法は以下の通りである。 ミキサーで中種生地を混合する(捏上げ温度25
℃)。 中種生地を28℃で2.5時間醗酵させる。 中種に本捏原料を加えてミキサーで混合し、本捏生
地を作る(捏上げ温度27℃)。 フロアタイムを28℃にて60分とる。 パンチングマシーンで50秒パンチする。 レオン自動機製包あん機CN200型を用いて包あ
んする(生地50g、あん50g)。 平板プレートに並べ、ホイロタイムを70分とる
(38℃、80%RH)。 ラックタイムを10分とり、生地の表面を乾燥させ
る。 オーブンで200℃、約8分焼成する。
℃)。 中種生地を28℃で2.5時間醗酵させる。 中種に本捏原料を加えてミキサーで混合し、本捏生
地を作る(捏上げ温度27℃)。 フロアタイムを28℃にて60分とる。 パンチングマシーンで50秒パンチする。 レオン自動機製包あん機CN200型を用いて包あ
んする(生地50g、あん50g)。 平板プレートに並べ、ホイロタイムを70分とる
(38℃、80%RH)。 ラックタイムを10分とり、生地の表面を乾燥させ
る。 オーブンで200℃、約8分焼成する。
【0020】比較例1 生地改良剤A10%に代えてグリセリンモノステアレー
ト0.4%、及びステアロイル乳酸カルシウム0.1%
を使用した他は実施例1と同様にあんパンを製造した。
ト0.4%、及びステアロイル乳酸カルシウム0.1%
を使用した他は実施例1と同様にあんパンを製造した。
【0021】実施例1及び比較例1で得られたあんパン
を20℃で1日保存した後、官能評価を行った。結果を
表3に示す。表3から明らかなように、実施例1のあん
パンは、比較例1のあんパンに比べ、ボリューム感があ
り、非常にソフトで口当りが良好であった。
を20℃で1日保存した後、官能評価を行った。結果を
表3に示す。表3から明らかなように、実施例1のあん
パンは、比較例1のあんパンに比べ、ボリューム感があ
り、非常にソフトで口当りが良好であった。
【0022】
【表3】
【0023】実施例2 表4に示す配合割合で製パン用生地改良剤Bを製造し
た。
た。
【0024】
【表4】
【0025】生地改良剤Bの製造は実施例1と同様に行
った。次に、この生地改良剤Bを用いて表5に示す配合
で食パンを製造した。
った。次に、この生地改良剤Bを用いて表5に示す配合
で食パンを製造した。
【0026】
【表5】
【0027】食パンの製造方法は以下の通りである。 ミキサーで中種生地を混合する(捏上げ温度25
℃)。 中種生地を28℃で4.5時間醗酵させる。 中種に本捏原料を加えてミキサーで混合し、本捏生
地を作る(捏上げ温度28℃)。 フロアタイムを28℃にて20分とる。 分割し、ベンチタイムを28℃にて20分とる。 整形し、パン型に入れ、ホイロタイムを50〜60
分とる(39℃、80%RH)。 オーブンで210℃、約30分焼成する。
℃)。 中種生地を28℃で4.5時間醗酵させる。 中種に本捏原料を加えてミキサーで混合し、本捏生
地を作る(捏上げ温度28℃)。 フロアタイムを28℃にて20分とる。 分割し、ベンチタイムを28℃にて20分とる。 整形し、パン型に入れ、ホイロタイムを50〜60
分とる(39℃、80%RH)。 オーブンで210℃、約30分焼成する。
【0028】比較例2 生地改良剤B10%に代えてグリセリンモノパルミテー
ト0.25%及びコハク酸モノグリセリド0.1%を使
用した他は、実施例2と同様に食パンを製造した。
ト0.25%及びコハク酸モノグリセリド0.1%を使
用した他は、実施例2と同様に食パンを製造した。
【0029】実施例2及び比較例2で得られた食パンを
20℃で3日間保存して、その間のクラムの硬さの変化
をレオナー(山電製)を用いて測定した。結果を表6に
示す。表6に示すように、実施例2のパンは、比較例2
と比較して、ボリュームが大きく、ソフトで、老化が遅
く、口当りもしっとりしていて良好であった。
20℃で3日間保存して、その間のクラムの硬さの変化
をレオナー(山電製)を用いて測定した。結果を表6に
示す。表6に示すように、実施例2のパンは、比較例2
と比較して、ボリュームが大きく、ソフトで、老化が遅
く、口当りもしっとりしていて良好であった。
【0030】
【表6】 *食パンを厚さ2cm、タテ、ヨコ各5cmにカットし、レ
オナーで1cmまで圧縮した際の応力。10検体での平均
値。
オナーで1cmまで圧縮した際の応力。10検体での平均
値。
【0031】
【発明の効果】本発明の製パン用生地改良剤は、機械耐
性を損なわずにパン生地の吸水量を大幅に増加させるの
で、ソフトで、老化が遅く、ボリュームがあり、口当り
の良いパンを提供することができる。
性を損なわずにパン生地の吸水量を大幅に増加させるの
で、ソフトで、老化が遅く、ボリュームがあり、口当り
の良いパンを提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 鹿谷 明 兵庫県神戸市垂水区小束山5−9−3 (56)参考文献 特開 平3−297345(JP,A) 特開 昭60−130354(JP,A) 特開 昭60−160833(JP,A) 特開 平3−87135(JP,A) 特開 平4−91744(JP,A) 特開 平3−236734(JP,A) 特開 昭62−104536(JP,A) 特開 昭54−92641(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A21D 2/18 A23D 9/00
Claims (5)
- 【請求項1】 油脂2〜20重量%、化工デンプン2〜
20重量%、乳化剤2〜20重量%を含有し、水中油型
に乳化してなることを特徴とする製パン用生地改良剤。 - 【請求項2】 化工デンプンが、リン酸架橋したもの、
エーテル化したもの、エステル化したもの、アルファ化
したもの、及びリン酸架橋したもの、エーテル化したも
の、エステル化したものを更にアルファ化したものから
なる群より選択される少なくとも1種である請求項1記
載の製パン用生地改良剤。 - 【請求項3】 化工デンプンが、リン酸架橋し且つエー
テル化処理したもの、又はリン酸架橋し且つエーテル化
処理したものを更にアルファ化処理したものである請求
項2記載の製パン用生地改良剤。 - 【請求項4】 乳化剤が液晶を形成したものである請求
項1〜3記載の製パン用生地改良剤。 - 【請求項5】 請求項1〜4記載の製パン用生地改良剤
を使用することを特徴とするパンの製造方法。
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JP3350799A JP3048724B2 (ja) | 1991-12-10 | 1991-12-10 | 製パン用生地改良剤及び該改良剤を用いたパンの製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3350799A JP3048724B2 (ja) | 1991-12-10 | 1991-12-10 | 製パン用生地改良剤及び該改良剤を用いたパンの製造方法 |
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ID=18412952
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP3350799A Expired - Lifetime JP3048724B2 (ja) | 1991-12-10 | 1991-12-10 | 製パン用生地改良剤及び該改良剤を用いたパンの製造方法 |
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1991
- 1991-12-10 JP JP3350799A patent/JP3048724B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH05161446A (ja) | 1993-06-29 |
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