JP4100715B2 - 干からび防止剤としてのポリデキストロース - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、パンおよび他の焼き製品の干からび(staling)を遅くし、貯蔵寿命を長くするために使用される方法に関する。
発明の背景
パン、マフィン、ケーキ、クッキー、ドーナツおよび他のペストリーなどの焼き製品は、典型的には、干からびたり、他の不安定な状態になりやすい。例えば、かかる製品は、製造後、新鮮さに関連する望ましいきめや風味を失いがちである。
特に、普通の塊で製造され、スライスしてラップされた白パンなどの栄養強化パンは、貯蔵寿命が比較的短く、約5日以下である傾向があり、その後、典型的には、干からびると考えられる。砂糖および脂肪の含有量が高いいわゆる「甘い焼き」製品(ドーナツおよびケーキなど)は、砂糖および脂肪の存在が干からびを遅くするため、比較的遅い速度で干からびる傾向にある。しかし、砂糖および脂肪の含有量が比較的低い製品(マフィンなど)は、比較的早く干からびる。
焼き製品の国際的産業にとって、かかる干からびによる製品および金銭上の損失はかなりのものである。砂糖および脂肪の含有量が比較的少ないパン製品および甘い焼き製品の貯蔵寿命が比較的短いため、結果的に更なる製造、倉庫保管、在庫管理および流通非能率を招く干からび現象によって規制される、限られた販売適性範囲の中で稼動製造および流通システムを作り、維持する必要がある。
焼き製品、特にパン製品が干からびるまでの時間(従って貯蔵寿命)を長くするための種々の技術および添加剤が開発され、使用されている。これらには、生地ミックスにおける保存剤の使用、包装の酸素含有量の低下、水分損失および酸性化の低下が含まれている。これらの方法には、制御された雰囲気での包装の使用ならびに酵素的および非酵素的褐色着色を抑制する添加剤のパン生地への混入も含まれる。
Boussingaultが1852年に例証したように、パンの干からびは、乾燥プロセスによる水分の損失によるものではない。Boussingaultは、彼の実験において、パンをガラス管に密封して水分の損失を防いだ。彼は、水分はこれらの条件下では一定のままであるが、パンは干からびることを見出した。しかし、パンが貯蔵中に水分を失うと、より固くなり、許容され難くなる。一般に知られているように、水分量が高いパンほど、干からびる速度は遅い。J.B. Boussingault, 「新鮮なパンの干からびたパンへの変化を調べるための実験(Experiments to determine the transformation of fresh bread into stale bread)」, Ann. Chem. Phys. 36:490, 1852。従って、改善された包装が干からびの減少をもたらし得るが、包装は干からびを排除することはできない。さらに、いくつかの焼き製品(パンおよびマフィンを含む)は、包装しないで販売可能であり、包装しないで販売されている。
KimおよびD’Appoloniaは、水に不溶性のペントサンをパン生地に添加すると、でんぷんゲルの全体的なエージングの速度が遅くなり、従って、パンの干からびが遅くなることを示した。小麦粉のペントサンは、植物ガムと類似の性質を有する。ペントサンは室温で粘性であり、加熱中は低粘度になり、かなり親水性である。水に不溶性のペントサンは、パンの干からびを遅くするのには有効であるが、パンの体積の著しい減少を招いた。パンの体積は、パン製品の単一の最も重要な特性ではないとしても、最も重要なものの1つであると考えられるので、体積の著しい低下はパンの品質を低下させる。S.K. KimおよびB.J.D’Appolonia,「小麦でんぷんゲルの遅延に関するペントサンの影響(Effect of pentosans on the retardation of wheat starch gels)」, Cereal Chemistry: 54:150, 1977。
B. ズブチリス(Subtilis)由来の細菌性アミラーゼおよび他の麦芽由来のアミラーゼを干からび防止剤としてパン生地に添加してもよい。酵素は、老化があまり生じないような様式で小麦粉のでんぷん成分に作用して、でんぷん成分を修飾する。酵素は、焼き製品の水保持能を改善する低分子量の糖およびデキストリンを作り出す。ほとんどの酵素の商業的適用において困難なことは、パンの焼成中および流通における幅広い条件に関して活性が注意深く制御されなければならないということである。好ましいレベルより0.1%上のレベルですら、または予想されるよりも高い貯蔵温度では、パンにおける酵素活性はとても高く、パンはガム状で粘着性になり、消費者に許容され得ないものになる。また、過剰量のアミラーゼおよび低い焼成温度では、ガム状で弱いクラム(芯)構造が生じ、スライス時に問題が生じる。しかし、アミラーゼは、量が注意深く制御されると、パンが固くなるのを遅らせることが示されている。M. Maleki, A. Schulz, およびJ.M. Bruaemmer,「パンの干からび、II新鮮さに関する細菌、真菌類および穀物α-アミラーゼの影響」Getreide Mehl Brot. 26:211, 1972。しかし、酵素を焼き製品に入れて均一に混合するのは困難であり、添加される酵素の量は、注意深く較正されなければならない。酵素が高すぎるレベルで添加されるならば、バッチ全体が損なわれる可能性がある。
パン焼き産業では、ほとんどの消費者によって好まれるソフトタイプのパンを製造するために、表面活性脂質、乳化剤およびクラム軟化剤を使用している。界面活性剤が、固くなる速度を実際に低下させるかどうか、または柔らかいパンを作るだけであって、その後、そのクラムが、界面活性剤を用いないで製造されたパンの場合と同じ速度で固くなるかどうかに関しては議論の余地がある。PelshenkiおよびHampelは、ショートニングおよび乳化剤により、焼き後の最初の6時間のみ、比較的柔らかいパンクラムが得られることを確認した。その後、クラムの固化およびでんぷんの老化は共に、脂肪や表面活性脂質を含まないクラムと比較してより急速に増加した。P.E. PelshenkiおよびG. Hampel. Baker’s Digest. 36(3):48, 1962。
従って、過去100年にわたりパンおよび他の焼き製品の干からびについて鋭意研究されたにもかかわらず、焼き製品はなおも干からびやすい。特に、パン製品は比較的速く干からびる。大部分の研究者は、固さの変化を主に、でんぷん成分のアミロペクチン画分の物理化学反応の結果であると考えているが、小麦粉の蛋白質がある程度関与しているかもしれない。加工処理、処方、貯蔵条件および添加剤などの技術的手段によって固化速度(干からび)を遅くすることの利点は限られている。主な軟化効果は、脂質界面活性剤の使用によって得られている。熱に安定なα-アミラーゼおよび他の酵素の使用は制御が困難であるが、潜在的には有用であるかもしれない。公知技術により、市販の焼き製品の貯蔵寿命において一定の延長が得られているが、これらの技術は、最終の焼き製品に対してマイナスの官能効果を生じる場合がある。従って、生地の取扱い性(大量の生地が処理される商業的焼き状況における重要な因子)、または最終製品の官能性に悪影響を及ぼすことなく、焼き製品(特にパン)におけ干からびの速度を遅くする技術の開発が依然として望まれている。
ポリデキストロース(水溶性)を生地ミックスに添加すると、パンを含めた焼き製品における干からびを遅らせることができることが今発見された。また、ポリデキストロースは、いくつかの状況では、生地の或る取扱い性を改善し、またパンの体積を増加させる可能性があることも発見された。
ポリデキストロースは、いくつかの結合したソルビトールおよび適当な酸(例えば、クエン酸)を有するD−グルコースのランダムに結合した縮合ポリマーである。それは無臭であり、わずかに酸味がある。ポリデキストロースは水に非常によく溶解する。それは、例えばカロリーが低下された製品において使用するための、脂肪代替物、食物増量剤、褐色着色剤、テクスチュアライザー、湿潤剤および増粘剤としての用途を有することが知られている。かかるカロリーが低下された製品としては、脂肪を含まないクッキー、低脂肪の冷凍されたデザート、低脂肪ピーナツバターおよび脂肪を含まないサラダドレッシングが挙げられる。ポリデキストロースは、虫歯の原因とはならず、重要な胃腸障害のもとともならず、カロリーはあまりないと考えられる。ポリデキストロースは、典型的には、130℃を越える温度で融解され得る。典型的な10%水溶液のpHは約2.5〜3.5である。米国食品医薬品局は、ポリデキストロースを、冷凍された乳製品デザート、焼き製品類およびミックス、糖菓および糖衣、サラダドレッシング、ゼラチン、プディングおよびパイフィリング、ハードキャンデーおよびソフトキャンデー、ならびにチューインガムなどの製品のための多目的食品成分として承認している。ポリデキストロースはまた、食品成分としての使用のために種々の他の米国規制当局によっても承認されている。
LITESSE(商標)改善されたポリデキストロースFCCは、他の形態のポリデキストロースを製造するCultor Food Scienceから入手できるポリデキストロースの市販入手できる形態である。
ポリデキストロースは、水吸収能が比較的高く、従って、可溶性炭水化物の含量を増加させる。焼き製品における干からび速度の低下におけるポリデキストロースの主な効果は、でんぷん成分を希釈し、従って結晶化に利用できるでんぷん画分を低下させることである。
国際特許出願公開WO92/00012は、甘味を付与されたシリアル穀類ベースおよび擬脂肪系で構成される甘味を付与された焼き製品を開示している。擬脂肪系は、ポリデキストロース、セルロースでできた物質、無脂肪乳固形分または代替物、乳化剤、変形された食物澱粉および増粘剤を包含する。開示された、甘味を付与された焼き製品は、化学的に醗酵される。
米国特許第4,678,672号は、カロリーの低下されたクラッカーおよびその製造法を開示している。クラッカー生地の粉含量を低下させるおよび/または脂肪/ショートニングをポリデキストロースで置き換えることによって少なくとも25%の所望のカロリー低下が得られる。粉成分の重量に基づいて16重量%より多いポリデキストロースの量を含む生地組成物が例示されている。
米国特許第4,042,714号は、パスタおよび他の粉含有食品の製造に有用な澱粉質組成物を開示している。これらの低カロリー組成物は、変形されたポリデキストロースを基物質として使用して製造される。その結果、例示された澱粉質組成物は、組成物中の粉の重量に基づいてポリデキストロースを21重量%より多く含む。
モノステアリン酸グリセロールなどの乳化剤は、アミラーゼおよびでんぷんのアミロペクチン画分を有する改善された複合体形成剤である。麦芽由来のα−アミラーゼは、貯蔵温度の変動に対する感受性が小さい。生地ミックスにおけるポリデキストロース、乳化剤および麦芽由来のα−アミラーゼの組み合わせは、クラムのきめが柔らかく、干からび速度が比較的遅い焼き製品を生じる。さらに、生地ミックスにおけるポリデキストロースと繊維との組み合わせは、生地の取扱い性を改善しかつ焼き製品における干からび速度を遅くするという相乗効果を与え得る。
発明の概要
本発明は、ポリデキストロースを焼き製品における成分として使用する方法を提供することにより、公知の干からび防止剤の欠点を著しく軽減するものである。ポリデキストロースを、焼き生地と組み合わせて、単独で、または或る乳化剤および酵素と組み合わせて本発明に従い使用すると、改善された干からび防止特性および、パンおよび他の焼き製品のパンクラム構造における改善が付与される。これらの改善された特性は一般に、焼き製品の官能特性に悪影響を及ぼすことなく達成される。本発明に従って作られる生地は、良好な取扱い特性を示し、最終の焼き製品の品質は、ポリデキストロースを用いないで焼かれた対照のパンと同等以上である。さらに、酵素による干からび防止組成物の使用と通常関連するガム化も、本発明に従って使用される酵素の投与により除去され、または最小化される。
パンの場合、ポリデキストロースは、好ましくは、粉重量の1%〜約5%の量で添加され、約2%〜約3%の量で添加されるポリデキストロースが特に好ましい。イースト醗酵された焼き製品でも、ポリデキストロースが好ましくは粉重量の約1%〜約5%の量で添加され、甘味を付与されたイースト醗酵された焼き製品の場合には、4%から約5%の量で添加されるポリデキストロースが特に好ましい。ポリデキストロースが多すぎると粘着性の生地となり、効率よく処理することができない。
本発明は、直接生地法、パン種法、Chorleywoodパン法およびスポンジ・生地法などの通常使用される生地製造法を用いて使用され得る。本発明の方法は、パンおよび甘い焼き製品(ケーキ、マフィンおよびパイなど)の製造に使用することができる。
一態様では、ポリデキストロースは、乳化剤と組み合わせて使用される。所望により、かかる乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル、モノグリセリド、ジグリセリド、ナトリウムステアリルラクチレートおよびDatem(モノグリセリドおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル)などであり得る。別の態様では、ポリデキストロースは、酵素と組み合わせて、または酵素および乳化剤と組み合わせて使用される。適する酵素としては、細菌および真菌類のアミラーゼ、プルラナーゼ、アミログルコシダーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼおよび麦芽由来のx−アミラーゼが挙げられる。
さらに別の態様では、ポリデキストロースは、繊維と組み合わせて使用される。ポリデキストロースと繊維との組み合わせはいくつかの相乗結果を示し、粘着性の小さい生地ならびに改善された生地の固さおよびクラムのねばり(cohesiveness)を生じる。
【図面の簡単な説明】
本発明の上記および他の目的および利点は、下記の詳細な説明、および類似の参照特性が至るところで類似の部分に言及している添付の図面を考慮することにより明らかになるであろう。添付の図面において、
図1は、本明細書で後述する実施例1から得られたクラムの固さの平均の結果をグラフで表したものである。
図2は、本明細書で後述する実施例2から得られたクラムの固さの平均の結果をグラフで示す。
図3は、本明細書で後述する実施例2から得られたクラムの固さの平均の結果をグラフで表したものである。
図4は、本明細書で後述する実施例2から得られたクラムの固さの加速をグラフで表したものである。
図5は、本明細書で後述する実施例2から得られたクラムの固さの平均データの傾向を表す。
図6は、実施例3から得られたマフィンの固さに関するポリデキストロースの効果を表す。
詳細な説明
実施例1:対照の生地とポリデキストロースを含む生地および小麦繊維と組み合わせたポリデキストロースを含む生地との比較
A.対照処方
対照処方を、下記成分を使用して調製した。
Figure 0004100715
市販の製パン用粉の単一の送り荷を得て、使用するまで環境温度で貯蔵した。粉の特性は以下の通りであった。
水分%(130℃で1.5時間) 13.9
蛋白質%、ケルダール法(n×5.7) 11.8
損傷を受けたでんぷん(Farrand単位) 42
α-アミラーゼ(Farrand単位) 12
グレードカラー値 2.0
Falling数 338
アスコルビン酸(定性)スポット試験 無
添加されたグルテン 有
B.ポリデキストロースを含む生地
対照生地の全成分および下記成分を含む生地を調製した。
生地No.1:200 ppmのエリソルビン酸、3重量%のポリデキストロース(LITESSE)および2重量%の小麦繊維を含む
生地 No.2:アスコルビン酸、3重量%のポリデキストロース(LITESSE)および2重量%の小麦繊維を含む
生地 No.3:アスコルビン酸および3重量%のポリデキストロース(LITESSE)を含む
C.生地の混合および加工処理
全ての生地は、5kgの粉をベースとし、「Chorleywoodパン法」を使用して製造した。混合は、標準高速混合機において、大気圧下、減圧は行わないで行った。混合機の速度は300回転/分に設定され、作業入力は11ワット時/kg生地(Wh/kg)に制御された。生地の温度は、水の温度を調整することにより30.%±1℃に制御された。試験生地は全て二回作り、混合順序は任意であった。
加工処理は下記処方で行われた。
混合機: Tweedy 35
作業入力: 11 Wh/kg
圧力: 大気圧
生地の温度: 30.5±1℃
スケーリング: 908gまで手による
第一成形: 円錐形の成形機により球形にした
第一検査: 室温で6分
最終成形: 4個(R9、W15.5、P0.25)
釜の大きさ: 上部 250mm x 122mm、深さ 125mm
形状: 蓋付き
検査条件: 43℃、はがれを防ぐほどの湿気
検査の高さ: 11cm
焼き温度: 244℃
オーブンの型: 直接ガス燃焼リール
焼き時間: 30分
焼き湿度: 蒸気注入なし
冷却: 開放棚、室温
貯蔵: 閉じたカップボードで一夜、21℃
D.結果
生地 No.1、2,3および対照生地(生地 No.4)の干からび速度を下記表1に示す。
一般に、ポリデキストロース(LITESSE)を含む生地を使用したパンは、対照のパンよりも遅い干からび速度を示した。ポリデキストロース(LITESSE)を含む生地は、対照の生地よりも大きい粘着性を示した。繊維とポリデキストロース(LITESSE)との組み合わせ(生地 No.1および2)は干からび防止効果を示し、また、生地の粘着性は減少した。生地の固さおよびクラムのねばりに関して、ポリデキストロースと繊維との組み合わせにプラスの相乗効果が認められる。
表1は、貯蔵の5日後および7日後の各々のクラムの固さの平均値および値の変化(%)を示す。
Figure 0004100715
パンの固さを評価するために、テクスチュアプロファイル分析を使用して貯蔵中のパンの干からびの程度をモニターした。試験を安定マイクロシステムテクスチュア分析機において下記条件下で行った。
オプション: TPA
力単位: グラム
距離フォーマット: mm
前試験速度: 2.0 mm/秒
試験速度: 2.0 mm/秒
後試験速度: 10.0 mm/秒
距離: 7.0 mm
時間: 0.50秒
トリガー型: 自動
トリガー力: 5g
データ取得速度: 200 pps
直径4cmおよび高さ2cmの2個の円柱コアをローフクラムの標準の位置から取り出した。1日につき2個のローフを使用した。コアサンプルを秤量し、次いで2回の連続した圧縮に付して自由距離曲線を得た。パンの干からびの変化を測定するために、測定された固さの値を使用し、パンのコア密度に関して較正した。固さは、所与の変形を得るために必要な力として記載される。これは、実際のレベルでは、臼歯の間で食物を圧縮するのに必要な力を表す。
実施例2:白パンにおけるポリデキストロースの使用
パンの焼き
この実施例では、3種類のグルテンを有する硬質の小麦粉を使用した。
強力粉(SWF)
中力粉(MSWF)
中力ソバ粉(短グルテン)(MSBWF)
粉はCIMMYT(International Maize and Wheat Improvement Center)によって供給された。
本実施例では、パンを下記の標準条件下で焼いた。直接生地法による白パンをAACC 10-10の承認された方法に従って製造したが、発酵時間および組成は以下のように変えた。
総発酵時間:150分
80分後に最初の生地パンチ
45分後に第二の生地パンチ
さらに25分後に成形
組成:
成分 粉ベース
粉、14%水分ベース 100 g
植物性ショートニング 3 g
全粉乳 3 g
イースト懸濁物 25 ml
塩−砂糖溶液 25 ml
水の吸収を、粉蛋白質含量を使用して測定した。それを、生地の粘度のオペレーター規準に従って調節した。初めに、混合時間を、混合グラフにおける混合時間によって決定した。次いで、混合時間を、生地の構成および粘度のオペレーター規準に従って調節した。
低い値ほど、過混合に対する寛容性が大きいことを示す。曲線のピークでの上昇部分と下降部分との間の角度は、寛容指数に関する情報を提供する。高い値ほど、過混合に対する寛容性が大きいことを示す。混合開始から0.5分経過後の上昇部分と、ピーク高さから2分経過後の下降部分が使用された。
パンクラムの固さ
インストロンユニバーサル試験機を使用してクラムの固さを測定した。固さは、サンプル中に一定の変形を生じるのに必要な力として測定される。装置は、パンのクラムサンプルに単軸圧縮を施与するための平行板構造を使用する、広く使用されている装置である。
50%の圧縮が使用された。5の範囲が使用された。2.5cmのサンプルが使用された。使用された方法は、Bakerらの手法に従う方法であった(Baker A.E., Duerry, W.T., Kemp, K., クラムの固さの測定に関連するインストロン因子、Cereal Foods World 31(2)193-195)。最初の圧縮のピーク高さがクラムの固さの指標であり、kg力で測定される。
各評価のために、パンの塊を4片にスライスし、測定日ごとに1個とした。端を保持し、各塊を密閉されたプラスチックの袋に入れた。これは、消費者の保存条件に近づくために行われた。
固さのプロファイルは、貯蔵期間を、クラムの圧縮に必要な力と関連させる(回帰係数)ことにより確認された。2回の繰り返しの平均を使用して、固さ対貯蔵日数のグラフを得た。各グラフに関して直線状の回帰が得られた。各曲線の勾配を、クラムの固さの日ごとの増加またはクラム品質劣化動力学として使用した。
各データを1000倍して、MSTATコンピュータープログラムが小さい数字を0に変換しないようにした。従って、測定値はkg力の代わりにg力であった。
結果
パンを上記の手法に従って焼いた。対照の生地(ポリデキストロースの添加がない)ならびにポリデキストロースの量が1重量%、2重量%、3重量%、4重量%および5重量%である生地を作った。使用されたポリデキストロースは、LITESSE(商標)改善ポリデキストロースであった。パンの焼きは、3種類のグルテン粉(SWF、MSWFおよびMSBWF)を用いて行われた。
パンクラムの固さの加速
クラム固さ動力学のための分散分析を下記表IIに示す。
Figure 0004100715
6種類の添加量を有する3種類の粉に関する種々の貯蔵日数におけるクラム固さの平均を、各々、図1、2および3に示す。クラム固さの加速を図4に示し、データの傾向を図5に示す。
図1、2および3に示すように、固さの値は時間と共に増加した。クラムの固さにおける減少は、各日数において、対照に関してポリデキストロース(LITESSE)の増加と共に認めることができる。クラム固さの加速に関するポリデキストロースの効果は、濃度が増加すると、動力学の減少が得られることを示している。
パンの固さは、消費者にとって重要な規準であり、クラムの固さ特性は、実際、パンの新鮮さの重要な要素である。パンクラムのレオロジー特性の測定は、干からびの評価および一般的なクラム品質制御に密接に関連する。一般に、データは、ポリデキストロースの存在がパンの干からびの制御におけるプラスの要因であることを示している。この効果は、ポリデキストロースが有する大きい吸湿性と関連させることができる。
実施例3:マフィンに添加されたポリデキストロース
マフィンを、下記処方を使用して焼いた。
Figure 0004100715
ポリデキストロースを1%、3%および5%(重量%)の量でこの処方に添加し、焼かれたマフィンの特性を分析した。弾力性(第一のかみ終わりと第二のかみ始めの間の時間の経過中に食物が回復する距離(高さ))、固さ(第一の圧縮サイクルにおける力のピークの重量)、ガム性(半固体食品を呑み込める状態に咀嚼するのに要するエネルギー)および咀嚼性(ガム性×弾力性、すなわち、固体食品を呑み込める状態に咀嚼するのに要する時間と噛む回数)を測定した。分析により、ポリデキストロースが存在すると、ポリデキストロースを含まない対照マフィンと比較して、マフィンの弾力性が改善され(すなわち、構造の回復が良好)、マフィンの咀嚼性が改善され(すなわち、咀嚼数の減少)、マフィンのガム性が改善され(すなわち、マフィンの咀嚼および呑み込をより容易にすることによりガム性が低下する)、マフィンの固さが改善される(すなわち、対照と比較して固さが減少し、クラムの柔らかさが増加する)。結果は、ポリデキストロースが、マフィンの貯蔵寿命を長くするであろう干からび防止効果を有することを示している。
Figure 0004100715
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図6は、マフィンの固さに関するポデキストロースの効果を示す。
このように、焼き製品の干からび防止特性を改善する方法が提供されることが分かる。当業者であれば理解されるように、本発明は、説明するために示され限定するために示されたのではない好ましい態様以外によって行うことができ、本発明は、以下の請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (20)

  1. 粉、イースト、干からび防止剤および水を含む成分から焼き生地を形成する工程、および
    該生地を焼いて焼き製品を製造する工程
    を含む、改善された干からび防止特性を有する焼き製品の製造法において、
    該焼き生地が粉の重量に基づいて重量%〜重量%の水溶性ポリデキストロース干からび防止剤を含むことを特徴とする方法。
  2. 焼き製品がパンである、請求項1に記載の方法。
  3. 焼き製品が甘い焼き製品であり、焼き生地を形成する工程において甘味料または甘味剤が生地成分と一緒にされる、請求項1に記載の方法。
  4. 甘味料または甘味剤が1以上の高甘味度の甘味料を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 粉、パン種、水溶性ポリデキストロース干からび防止剤および水を含む成分からパン生地を形成する工程、および
    該パン生地を焼いて焼きパン製品を製造する工程
    を含む、改善された干からび防止特性を有する焼きパン製品の製造法において、
    該パン生地が粉の重量に基づいて重量%〜重量%のポリデキストロース干からび防止剤を含むことを特徴とする方法。
  6. パン焼き生地が直接生地法によって作られる、請求項2またはに記載の方法。
  7. パン焼き生地がパン種法によって作られる、請求項2またはに記載の方法。
  8. パン焼き生地がコーレイウッド(Chorleywood)パン法によって作られる、請求項2またはに記載の方法。
  9. パン焼き生地がスポンジ・生地法によって作られる、請求項2またはに記載の方法。
  10. 生地が繊維をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 生地が粉の重量に基づいて重量%〜重量%の水溶性ポリデキストロース干からび防止剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 生地が粉の重量に基づいて重量%〜重量%の水溶性ポリデキストロース干からび防止剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  13. 生地が粉の重量に基づいて重量%〜重量%の水溶性ポリデキストロース干からび防止剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  14. 生地が、モノステアリン酸グリセロール、モノグリセリド、ジグリセリド、ナトリウムステアリルラクチレートおよびDatemから選択される乳化剤をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
  15. 乳化剤がモノステアリン酸グリセロールを含む、請求項14に記載の方法。
  16. モノステアリン酸グリセロールが粉の重量に基づいて重量%の量で生地中に含まれる、請求項15に記載の方法。
  17. 生地が、1以上の酵素をさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 1以上の酵素がアミラーゼ、プルラナーゼ、アミログルコシダーゼ、ペントサナーゼ、キシラナーゼおよび麦芽由来のx−アミラーゼから選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法によって製造される焼き製品。
  20. 粉に基づく生地組成物から製造された焼き製品の干からび防止特性を改善するために、水溶性ポリデキストロースを、粉の重量に基づいて重量%〜重量%の量で、粉に基づく生地組成物中に使用する方法。
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