JP2003213287A - 油脂組成物 - Google Patents

油脂組成物

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JP2003213287A JP2002017579A JP2002017579A JP2003213287A JP 2003213287 A JP2003213287 A JP 2003213287A JP 2002017579 A JP2002017579 A JP 2002017579A JP 2002017579 A JP2002017579 A JP 2002017579A JP 2003213287 A JP2003213287 A JP 2003213287A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可塑性範囲が広く、なお且つ経日的にも硬さ
が変化せず安定な油脂組成物を提供する。 【解決手段】 油相を70℃で完全融解した後、0℃で
30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油
脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを特徴とする
油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可塑性範囲が広
く、なお且つ経日的にも硬さが変化せず安定な油脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マーガリン、ショートニング等の
可塑性油脂に使用される油脂は“マーガリン ショート
ニング ラード“ (P324中澤君敏著:株式会社光琳発
行)に記載の『マーガリン、ショートニングは常温で結
晶性脂肪をもつ可塑性物質と定義されるが、そのためそ
の物理性は主に稠度、可塑性及び結晶構造に関連する。
物理的にその結晶状態はAlfaは蝋状(アセトグリセリド
の如き)、Betaは粗結晶、そしてBeta-primeは微粒状
である。融点ではAlfa、Beta-prime、Betaの順に高く
なる。マーガリン、ショートニング組成の望ましい結晶
状態はBeta-primeといわれている。』の通り、その結
晶状態はβプライム型のものが良好とされ、用いられて
きた。
【0003】βプライム型の油脂結晶は微細結晶をとり
乳化安定性に寄与し、良好な稠度を示す。反面このβプ
ライム型結晶はエネルギー的には準安定形であるため、
保存条件等が適切でない場合等には、さらにエネルギー
的に安定なβ型結晶へと転移現象を引き起こすという欠
点があった。このβ型結晶は最安定形であるため、これ
以上の転移現象を起こすことはないが、一般に結晶サイ
ズが大きく、グレイニングやブルームと呼ばれる粗大結
晶粒を形成し、ザラつきや触感の悪さを呈し、製品価値
の全くないものになってしまう。
【0004】βプライム型を経由するβ型結晶であって
も、結晶サイズの比較的小さなものも知られている。例
えば、カカオ脂のV型結晶がこれに相当し、実質はSO
S、POS等の対称型トリグリセリドのβ2型結晶であ
る。しかしながら、これらの結晶サイズの比較的小さな
β型結晶を得るには、テンパリングと呼ばれる特殊な熱
処理工程を経る必要があったり、所定温度まで冷却した
後、結晶核となる特定成分を加える等、極めて煩雑な工
程を要するものであった。結果として通常の油脂組成物
を製造するような急冷可塑化工程では、当該結晶は得ら
れないのが実状である。また、カカオ脂のV型結晶は可
塑性に乏しいものである。
【0005】一方、βプライム型で最安定形の油脂でさ
え経日的に硬くなる傾向があり、結晶の析出方法や保存
方法等を細かく管理しなければならなかった。
【0006】上記のような問題点を解決するため、エネ
ルギー的にも安定で且つ微細な結晶を得る目的で、これ
迄にも種々の発明がなされてきた。特公昭51−976
3号公報には、特定のトリグリセリド比率とすることに
より、β型結晶を得る方法が開示されている。また特公
昭58−13128号公報では、エステル交換反応によ
り油脂のグレイニングを抑制する方法が、そして特開平
10−295271号公報には、高融点油脂を配合する
ことにより微細な結晶を維持させる方法がそれぞれ開示
されている。
【0007】しかし、上記特公昭51−9763号公報
の方法では、β型結晶を得るのにテンパリング操作が必
要とされ、特公昭58−13128号公報及び特開平1
0−295271号公報の方法では、得られた組成物は
経日的に硬くなる傾向があり、油脂組成物として安定性
の点で十分に満足の得られるものではなかった。そし
て、これらの公報に記載の油脂組成物の油相を70℃で
完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間
保持した際に得られる油脂結晶は、2鎖長構造のβ型結
晶ではなく、2鎖長構造のβプライム型結晶や3鎖長構
造のβ型結晶であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、可塑性範囲が広く、なお且つ経日的にも硬さが変化
せず安定な油脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、油相を70℃
で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日
間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結
晶であることを特徴とする油脂組成物により、上記の目
的を達成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の油脂組成物につい
て詳細に説明する。
【0011】本発明でいう油相とは、油脂に必要により
乳化剤、着色料、酸化防止剤、着香料、調味料等を添加
したものを指す。また、本発明でいう油脂には乳製品、
果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカ
オマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、
魚介類等の食品素材から抽出される脂肪分も含む。
【0012】本発明は、上記のように、油相を70℃で
完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間
保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶
であることを特徴とする油脂組成物である。
【0013】本発明の油脂組成物は、5℃で7日間保持
した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であ
ることが必要であるが、5℃で4日間保持した際に得ら
れる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが好ま
しく、5℃で1日間保持した際に得られる油脂結晶が2
鎖長構造のβ型結晶であることがさらに好ましく、5℃
で1時間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造の
β型結晶であることが一層好ましく、5℃で30間保持
した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であ
ることが最も好ましい。
【0014】また上記の油脂結晶が2鎖長構造のβ型で
ある油脂結晶となることを確認する方法としては、X線
回折で以下のように短面間隔と長面間隔を測定する。
【0015】具体的には、短面間隔は2θ:17〜26
度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの
面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2〜4.3オングストロームの面間
隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク
強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が
1.3以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
一方、長面間隔は2θ:0〜8度の範囲で測定し、40
〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した
場合に、2鎖長構造をとっていると判断する。
【0016】従来、マーガリンやショートニング等の可
塑性油脂に用いられている油相を70℃で完全融解した
後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に
得られる油脂結晶は、2鎖長構造であるが、準安定形の
βプライム型である点が本発明の油脂組成物とは異な
る。また、主にチョコレート等の油脂性菓子に用いられ
るカカオ脂を70℃で完全融解した後、0℃で30分間
保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶
は、最安定形のβ型である点は同一であるが、鎖長構造
が3鎖長である点が本発明の油脂結晶とは異なる。
【0017】本発明の油脂組成物では、油相を70℃で
完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間
保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶
となることが必須である。油相を70℃で完全融解した
後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に
得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶とならない場
合、例えばβプライム型で最安定形となる油脂組成物
は、油脂組成物が経日的に硬くなる傾向があり、結晶の
析出方法や保存方法等を細かく管理しなければ油脂組成
物としては好ましくないものとなる。
【0018】また、本発明では、上記の2鎖長構造のβ
型結晶が微細となるものであることが好ましい。
【0019】上記の微細結晶とは、油脂の結晶が微細で
あることであり、口にしたり、触った際にもザラつきを
感ずることのない結晶であることを意味し、好ましくは
20μm以下、さらに好ましくは10μm、最も好まし
くは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記サイズ
とは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
【0020】結晶のサイズが20μmを超えた油脂結晶
であると、口にしたり、触った際にザラつきを感じやす
い。
【0021】本発明では、上記の2鎖長構造のβ型結晶
が実質的に微細結晶であることが好ましい。この「実質
的に」とは、全ての2鎖長構造のβ型結晶のうち、微細
結晶が好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは9
5重量%以上、最も好ましくは99重量%以上であるこ
とを指す。
【0022】本発明における油脂組成物の配合油脂は、
70℃で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃
で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造の
β型結晶であるものであれば、どのようなものでも構わ
ない。
【0023】次に、本発明の油脂組成物の具体的な配合
油脂の一例を示す。第1の配合油脂としては、StEE
(St:ステアリン酸、E:エライジン酸)で表される
トリグリセリドを含有する油脂(1)を含有するもので
ある。
【0024】この油脂(1)としては、例えば大豆油、
ひまわり油、シア脂、サル脂の中から選ばれた1種又は
2種以上を、水素添加及び分別から選択される1又は2
種類の処理を施した加工油脂を用いることができる。さ
らに好ましくはハイオレイックひまわり硬化油、シア分
別軟部油の硬化油又はこの硬化油の分別硬部油、サル分
別軟部油の硬化油又はこの硬化油の分別硬部油を用いる
ことが望ましい。
【0025】上記第1の配合油脂中の、上記の油脂
(1)の配合量としては、StEEで表されるトリグリ
セリドが、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは
10重量%以上、最も好ましくは30〜95重量%とな
るように配合する。
【0026】また、第1の配合油脂は、上記の油脂
(1)のほかに、その他の油脂を用いても良い。その他
の油脂を用いる場合、その他の油脂の配合量は、第1の
配合油脂中、好ましくは95重量%以下、さらに好まし
くは90重量%以下、最も好ましくは70重量%以下で
ある。その他の油脂としては、通常の加工食品に用いら
れる食用油脂であれば、特に限定されず、動物油、植物
油等の天然油、及びこれらの油脂の硬化油、分別油、エ
ステル交換油、ランダムエステル交換油等の単独あるい
は混合油が使用できる。
【0027】第2の配合油脂としては、S1MS2(S1
及びS2は飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)
で表されるトリグリセリドとMS3M(S3は飽和脂肪
酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリ
セリドとからなるコンパウンド結晶を形成する油脂
(2)を含有するものである。
【0028】上記のS1MS2のS1とS2及びMS3Mの
3は、好ましくは炭素数16以上の飽和脂肪酸であ
り、さらに好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、
アラキジン酸、ベヘニン酸である。また、本発明におい
て、上記のS1、S2及びS3が、同じ飽和脂肪酸である
のが最も好ましい。
【0029】上記のS1MS2のMやMS3MのMは、好
ましくは炭素数16以上のモノ不飽和脂肪酸、さらに好
ましくは炭素数18以上のモノ不飽和脂肪酸、最も好ま
しくはオレイン酸である。
【0030】上記のS1MS2とMS3Mとからなるコン
パウンド結晶とは、構造の異なるS1MS21分子とMS
3M1分子とが混合された際、あたかも単一のトリグリ
セリド分子であるかの如き結晶化挙動を示すものであ
る。コンパウンド結晶は分子間化合物とも呼ばれる。そ
して、上記のコンパウンド結晶は、S1MS2とMS3
を混合、溶解した後、冷却し、結晶化することにより形
成される。
【0031】上記の油脂(2)は、S1MS2で表される
トリグリセリドやS1MS2を含有する油脂と、MS3
で表されるトリグリセリドやMS3Mを含有する油脂と
の混合物である。
【0032】上記のS1MS2を含有する油脂としては、
例えばパーム油、カカオバター、シア脂、マンゴー核
油、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、デュパー脂、モー
ラー脂、フルクラ脂、チャイニーズタロー等の各種植物
油脂、これらの各種植物油脂を分別した加工油脂、並び
に下記に記載するエステル交換油、該エステル交換油を
分別した加工油脂を用いることができる。本発明では、
上記の中から選ばれた1種又は2種以上を用いる。
【0033】上記のエステル交換油としては、パーム
油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実
油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー
油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴ
ー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植
物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添
加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、
脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステ
ル交換油が挙げられる。
【0034】上記のMS3Mを含有する油脂としては、
例えば豚脂、豚脂分別油、エステル交換油を用いること
ができ、本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2
種以上を用いる。
【0035】上記のエステル交換油としては、パーム
油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実
油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー
油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴ
ー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植
物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添
加、分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低
級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油
が挙げられる。
【0036】また、第2の配合油脂は、上記の油脂
(2)のほかに、その他の油脂を用いても良い。その他
の油脂を用いる場合、その他の油脂の配合量は、第2の
配合油脂中、好ましくは95重量%以下、さらに好まし
くは90重量%以下、最も好ましくは70重量%以下で
ある。その他の油脂としては、通常の加工食品に用いら
れる食用油脂であれば、特に限定されず、動物油、植物
油等の天然油、及びこれらの油脂の硬化油、分別油、エ
ステル交換油、ランダムエステル交換油等の単独あるい
は混合油が使用できる。
【0037】上記の第2の配合油脂中の、上記のS1
2で表されるトリグリセリドやS1MS2を含有する油
脂の配合量としては、S1MS2で表されるトリグリセリ
ドが好ましくは2.5重量%以上、さらに好ましくは5
重量%以上、最も好ましくは15〜50重量%となるよ
う配合し、上記のMS3Mで表されるトリグリセリドや
MS3Mを含有する油脂の配合量としては、MS3Mで表
されるトリグリセリドが好ましくは2.5重量%以上、
さらに好ましくは5重量%以上、最も好ましくは15〜
50重量%となるよう配合する。
【0038】また第2の配合油脂中のS1MS2で表され
るトリグリセリドとMS3Mで表されるトリグリセリド
の比率は、MS3M/S1MS2がモル比率で、好ましく
は0.4〜2.5、さらに好ましくは0.6〜1.5、
最も好ましくは0.8〜1.2となるように配合する。
【0039】さらに、第2の配合油脂中の上記のS1
2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶の含有量は、
配合油脂中、好ましくは5重量%以上、さらに好ましく
は10重量%以上、最も好ましくは30〜95重量%で
ある。S1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶
の含有量が、第2の配合油脂中、5重量%未満であると
経日的に20μmを超えたサイズを有するβ型結晶が出
現しやすく、この配合油脂を用いた油脂組成物が、経日
的に硬くなりやすい。
【0040】本発明の油脂組成物において、上記の第1
の配合油脂の配合量は、好ましくは5〜95重量%、さ
らに好ましくは15〜85重量%、最も好ましくは30
〜70重量%である。
【0041】本発明の油脂組成物において、上記の第2
の配合油脂の配合量は、好ましくは5〜95重量%、さ
らに好ましくは15〜85重量%、最も好ましくは30
〜70重量%である。
【0042】その他、本発明の油脂組成物に含有させる
ことができる成分としては、例えば、水、乳化剤、増粘
安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、
グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビ
ア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメ
ル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等
の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、
卵及び各種卵加工品、水、着香料、乳製品、調味料、p
H調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コ
ーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココア
パウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品
素材や食品添加物が挙げられる。
【0043】上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エ
ステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン
有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステ
アロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン
類等が挙げられ、この中から選ばれた1種又は2種以上
を用いることができる。上記乳化剤の配合量は、特に制
限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0.0
5〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%であ
る。また本発明の油脂組成物において、上記乳化剤が必
要でなければ、乳化剤を用いなくてもよい。
【0044】上記増粘安定剤としては、グアーガム、ロ
ーカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、ア
ルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タ
マリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セル
ロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉
等が挙げられ、この中から選ばれた1種又は2種以上を
用いることができる。上記増粘安定剤の配合量は、特に
制限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜
10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。ま
た本発明の油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要
でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
【0045】次に、本発明の油脂組成物の製造方法を説
明する。本発明の油脂組成物は、70℃で完全融解した
後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に
得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶を示す油相
を、溶解し、冷却することにより得られる。
【0046】詳しくは、本発明の油脂組成物は、70℃
で完全融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日
間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結
晶を示す油相を溶解し、必要によりその他の成分を混合
し、溶解する。そして、次に殺菌処理するのが望まし
い。殺菌方法はタンクでのバッチ式でも、プレート型熱
交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わな
い。次に、冷却可塑化するのが好ましい。本発明におい
て冷却条件は好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好
ましくは−5℃/分以上である。この際、徐冷却より急
速冷却の方が好ましいが、本発明では徐冷却であって
も、可塑性範囲が広く、低温での伸展性に優れ、経日的
にも硬さが変化せず安定した油脂組成物を得ることがで
きる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷
却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェク
ター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙
げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクタ
ーの組み合わせ等が挙げられる。
【0047】また、本発明の油脂組成物を製造する際の
いずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、
させなくても構わない。
【0048】本発明の油脂組成物は、可塑性油脂組成物
であることが好ましく、マーガリンタイプでもショート
ニングタイプでもよい。またその乳化形態は、油中水
型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。
【0049】また本発明の油脂組成物の用途としては、
練り込み用油脂組成物、ロールイン用油脂組成物、フィ
リング用油脂組成物、サンド用油脂組成物、トッピング
用油脂組成物、スプレッド用油脂組成物、スプレー用油
脂組成物、コーティング用油脂組成物、フライ用油脂組
成物、クリーム用油脂組成物が挙げられ、食パン、菓子
パン、デニッシュ、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、
クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等の
ベーカリー製品に用いることができる。また、本発明の
油脂組成物の上記用途における使用量は、使用用途によ
り異なるものであり、特に限定されるものではない。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの実施例により何等制限さ
れるものではない。なお、実施例中のStはステアリン
酸、Eはエライジン酸、Oはオレイン酸、Sは飽和脂肪
酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を示す。
【0051】〔実施例1〕ハイオレイックひまわり油を
原料とし、DL−メチオニンの存在下で異性化水素添加
を行い融点40℃の硬化油(a)を得た。この硬化油
(a)を60℃で溶解し、0℃に冷却し、結晶化させた
後、DSCにより結晶転移の有無を確認したところ、β
プライム型を経由せず、最安定形のβ型結晶に直接転移
する油脂であった。確認のため、上記硬化油(a)を7
0℃で完全溶解し、0℃で30分間保持し、そして5℃
で30分間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜2
6度の範囲でX線回折測定を実施した。4.6オングス
トロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強
度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応する最
大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/
ピーク強度2の比をとったところ3.6となり、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。さらに2θ:0
〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、45オ
ングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグ
リセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることを確
認した。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観
察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
【0052】また、上記硬化油(a)はStEEで表さ
れるトリグリセリドを25重量%含有していた。
【0053】上記硬化油(a)70重量%及び大豆油3
0重量%を混合し、60℃で溶解させ配合油を得た。こ
の配合油80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モ
ノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混
合溶解した油相81重量%と水16重量%、食塩1重量
%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化
物(b)とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)に
かけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0054】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は3.3となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに45オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が1000g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1000g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0055】〔実施例2〕通常の急冷可塑化工程での冷
却速度は−20℃/分以上であるが、実施例1で用いた
乳化物(b)をさらに緩慢な冷却条件(冷却速度にして
−1℃/分)下で、冷却可塑化し、マーガリンタイプの
油脂組成物を得た。
【0056】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は3.1となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに45オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が1200g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1200g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0057】〔実施例3〕シア分別軟部油を原料とし、
ニッケル触媒を用いて水素添加を行い沃素価59の硬化
油(c)を得た。この硬化油(c)を60℃で溶解し、
0℃に冷却し、結晶化させた後、DSCにより結晶転移
の有無を確認したところ、βプライム型を経由せず、最
安定形のβ型結晶に直接転移する油脂であった。確認の
ため、上記硬化油(c)を70℃で完全溶解し、0℃で
30分間保持し、そして5℃で30分間保持し結晶析出
させたものを2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定
を実施した。4.6オングストロームの面間隔に対応す
る最大ピーク強度(ピーク強度1)と4.2オングスト
ロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度
2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとった
ところ3.1となり、この油脂結晶はβ型をとることが
確認された。さらに2θ:0〜8度の範囲でX線回折測
定を実施したところ、45オングストロームに相当する
回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態
が2鎖長構造であることを確認した。また光学顕微鏡
で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以
下の微細な結晶であった。
【0058】また、上記硬化油(c)はStEEで表さ
れるトリグリセリドを15重量%含有していた。
【0059】上記硬化油(c)70重量%及び大豆油3
0重量%を60℃で溶解させ配合油を得た。この配合油
80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリセ
リド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解し
た油相81重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱脂
粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物とし、
急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マーガリ
ンタイプの油脂組成物を得た。
【0060】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は2.6となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに45オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が1000g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1000g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0061】〔実施例4〕サル分別軟部油を原料とし、
DL−メチオニンの存在下の異性化水素添加を行い沃素
価54の硬化油とし、次いでこの硬化油をドライ分別に
より分画し、分別硬部油(d)を得た。この分別硬部油
(d)を60℃で溶解し、0℃に冷却し、結晶化させた
後、DSCにより結晶転移の有無を確認したところ、β
プライム型を経由せず、最安定形のβ型結晶に直接転移
する油脂であった。確認のため、上記分別硬部油(d)
を70℃で完全溶解し、0℃で30分間保持し、そして
5℃で30分間保持し結晶析出させたものを2θ:17
〜26度の範囲でX線回折測定を実施した。4.6オン
グストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピー
ク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応す
る最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度
1/ピーク強度2の比をとったところ2.7となり、こ
の油脂結晶はβ型をとることが確認された。さらに2
θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、
46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、
トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であるこ
とを確認した。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイ
ズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であっ
た。
【0062】また、上記分別硬部油(d)はStEEで
表されるトリグリセリドを36重量%含有していた。
【0063】上記分別硬部油(d)35重量%及び大豆
油65重量%を60℃で溶解させ配合油を得た。この配
合油80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグ
リセリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶
解した油相81重量%と水16重量%、食塩1重量%、
脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物と
し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マー
ガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0064】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は2.5となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに45オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が1300g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1300g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0065】〔実施例5〕大豆極度硬化油とオレイン酸
エチルを、重量比で2:3として混合、溶解し、ナトリ
ウムメトキシド触媒の存在下でエステル交換反応を行っ
た。反応物を分子蒸留により脂肪酸を取り除き、得られ
た油脂を分別、精製することにより、分別軟部油を得
た。この分別軟部油はMSMで表されるトリグリセリド
を60重量%含有していた。
【0066】この分別軟部油50重量%と、SMSで表
されるトリグリセリドを60重量%含有するマンゴー核
分別中部油50重量%とを60℃で溶解混合し、混合油
(e)を得た。この混合油(e)はSMSで表されるト
リグリセリドを30重量%、MSMで表されるトリグリ
セリドを30重量%含有していた。
【0067】そして、上記混合油(e)を60℃で溶解
し、0℃に冷却し、結晶化させた後、DSCにより結晶
転移の有無を確認したところ、βプライム型を経由せ
ず、最安定形のβ型結晶に直接転移する油脂であった。
確認のため、上記混合油(e)を70℃で完全溶解し、
0℃で30分間保持し、そして5℃で30分間保持し結
晶析出させたものを2θ:17〜26度の範囲でX線回
折測定を実施した。4.6オングストロームの面間隔に
対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と4.2オン
グストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピー
ク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比を
とったところ5.0となり、この油脂結晶はβ型をとる
ことが確認された。さらに2θ:0〜8度の範囲でX線
回折測定を実施したところ、45オングストロームに相
当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキン
グ状態が2鎖長構造であることを確認した。また光学顕
微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μ
m以下の微細な結晶であった。
【0068】上記混合油(e)80重量%及び大豆油2
0重量%を60℃で溶解させ配合油を得た。なお、この
配合油中のSMSで表されるトリグリセリドは24重量
%、MSMで表されるトリグリセリドは24重量%であ
り、配合油中のStOStで表されるトリグリセリドは
22重量%、OStOで表されるトリグリセリドは22
重量%であった。また、MSMで表されるトリグリセリ
ド/SMSで表されるトリグリセリドのモル比は1.0
であった。この配合油80.4重量%に乳化剤としてス
テアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.
1重量%を混合溶解した油相81重量%と水16重量
%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、
油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分
以上)にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0069】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は4.5となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに45オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が900g/cm2と低温でも軟らかくて
可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃
のレオメーター値も900g/cm2と経日的にも硬さ
が変化せず安定した油脂組成物であった。
【0070】〔実施例6〕実施例1で用いた硬化油
(a)70重量%及び大豆油30重量%を60℃で溶解
混合し配合油を得た。次いで、この配合油100重量%
を急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、ショー
トニングタイプの油脂組成物を得た。
【0071】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は3.5となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに45オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が1100g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1100g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0072】〔実施例7〕魚油を原料とし、ニッケル触
媒を用いて水素添加を行い、融点35℃の魚油硬化油を
得た。この魚油硬化油を60℃で溶解し、0℃に冷却
し、結晶化させDSCにより結晶転移の有無を確認した
ところ、βプライム型をとる油脂であった。確認のた
め、この魚油硬化油を70℃で完全溶解し、0℃で30
分間保持し、そして5℃で30分間保持し結晶析出させ
たものを2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実
施したところ、4.2オングストロームの面間隔に対応
する強い回折線が得られ、この油脂結晶はβプライム型
をとることが確認された。
【0073】この魚油硬化油70重量%及び実施例1で
用いた硬化油(a)30重量%を60℃で溶解させ配合
油を得た。次いでこの配合油100重量%を、急冷可塑
化工程(−20℃/分以上)にかけ、ショートニングタ
イプの油脂組成物を得た。
【0074】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は1.4となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに47オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が800g/cm2と低温でも軟らかくて
可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃
のレオメーター値も800g/cm2と経日的にも硬さ
が変化せず安定した油脂組成物であった。
【0075】〔実施例8〕SMSで表されるトリグリセ
リドを83重量%含有するシア分別中部油17重量%
と、MSMで表されるトリグリセリドを17重量%含有
するラード83重量%とを60℃で溶解混合し、混合油
(f)を得た。この混合油(f)はSMSで表されるト
リグリセリドを14重量%、MSMで表されるトリグリ
セリドを14重量%含有していた。
【0076】そして、上記混合油(f)を60℃で溶解
し、0℃に冷却し、結晶化させた後、DSCにより結晶
転移の有無を確認したところ、βプライム型を経由せ
ず、最安定形のβ型結晶に直接転移する油脂であった。
確認のため、上記混合油(f)を70℃で完全溶解し、
0℃で30分間保持し、そして5℃で30分間保持し結
晶析出させたものを2θ:17〜26度の範囲でX線回
折測定を実施した。4.6オングストロームの面間隔に
対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と4.2オン
グストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピー
ク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比を
とったところ4.3となり、この油脂結晶はβ型をとる
ことが確認された。さらに2θ:0〜8度の範囲でX線
回折測定を実施したところ、45オングストロームに相
当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキン
グ状態が2鎖長構造であることを確認した。また光学顕
微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μ
m以下の微細な結晶であった。
【0077】上記混合油(f)65重量%及び大豆油3
5重量%を60℃で溶解させ配合油を得た。なお、この
配合油中のSMSで表されるトリグリセリドは9重量
%、MSMで表されるトリグリセリドは9重量%であ
り、MSMで表されるトリグリセリド/SMSで表され
るトリグリセリドのモル比は1.0であった。この配合
油80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリ
セリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解
した油相81重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱
脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物と
し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マー
ガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0078】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は3.9となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに46オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が1200g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1200g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0079】〔実施例9〕SMSで表されるトリグリセ
リドを57重量%含有するサル脂分別中部油23重量%
と、MSMで表されるトリグリセリドを17重量%含有
するラード分別軟部油77重量%とを60℃で溶解混合
し、混合油(g)を得た。この混合油(g)はSMSで
表されるトリグリセリドを13重量%、SMSで表され
るトリグリセリドを13重量%含有していた。
【0080】そして、上記混合油(g)を60℃で溶解
し、0℃に冷却し、結晶化させた後、DSCにより結晶
転移の有無を確認したところ、βプライム型をとらずに
β型結晶であった。確認のため、上記混合油(g)を7
0℃で完全溶解し、0℃で30分間保持し、そして5℃
で30分間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜2
6度の範囲でX線回折測定を実施した。4.6オングス
トロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強
度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応する最
大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/
ピーク強度2の比をとったところ4.0となり、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。さらに2θ:0
〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オ
ングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグ
リセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることを確
認した。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観
察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
【0081】上記混合油(g)50重量%、乳脂肪25
重量%及び大豆油25重量%を60℃で溶解させ配合油
を得た。なお、この配合油中のSMSで表されるトリグ
リセリドは7重量%、MSMで表されるトリグリセリド
は7重量%であり、MSMで表されるトリグリセリド/
SMSで表されるトリグリセリドのモル比は1.0であ
った。この配合油80.4重量%に乳化剤としてステア
リン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重
量%を混合溶解した油相81重量%と水16重量%、食
塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水
型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)
にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。得られ
た油脂組成物はロールイン用油脂組成物として使用しや
すいように縦285mm、横420mm、厚さ9mmの
シート状に成形した。
【0082】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は3.9となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに47オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が1970g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1970g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0083】また、この油脂組成物をロールイン用とし
て使用し、常法によりペストリーを製造した。ペストリ
ー製造の際、この油脂組成物は良好な伸展性を示した。
得られたペストリーの浮き(パフ性)も良好なものであ
った。
【0084】〔実施例10〕SMSで表されるトリグリ
セリドを60重量%含有するパーム分別中部油22重量
%と、MSMで表されるトリグリセリドを17重量%含
有するラード78重量%とを60℃で溶解混合し、混合
油(h)を得た。この混合油(h)はSMSで表される
トリグリセリドを13重量%、MSMで表されるトリグ
リセリドを13重量%含有していた。
【0085】そして、上記混合油(h)を60℃で溶解
し、0℃に冷却し、結晶化させた後、DSCにより結晶
転移の有無を確認したところ、βプライム型をとらずに
β型結晶であった。確認のため、上記混合油(h)を7
0℃で完全溶解し、0℃で30分間保持し、そして5℃
で30分間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜2
6度の範囲でX線回折測定を実施した。4.6オングス
トロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強
度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応する最
大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/
ピーク強度2の比をとったところ4.9となり、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。さらに2θ:0
〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、44オ
ングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグ
リセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることを確
認した。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観
察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
【0086】上記混合油(h)40重量%、乳脂肪10
重量%、大豆極度硬化油5重量%、大豆油35重量%及
び実施例7で用いた魚油硬化油10重量%と60℃で溶
解させ配合油を得た。なお、この配合油中のSMSで表
されるトリグリセリドは5重量%、MSMで表されるト
リグリセリドは5重量%であり、MSMで表されるトリ
グリセリド/SMSで表されるトリグリセリドのモル比
は1.0であった。この配合油80.4重量%に乳化剤
としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレシ
チン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と水1
6重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法に
より、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20
℃/分以上)にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を
得た。
【0087】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は4.2となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに47オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が1840g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1840g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0088】〔実施例11〕SMSで表されるトリグリ
セリドを22重量%含有するパーム油44重量%と、M
SMで表されるトリグリセリドを17重量%含有するラ
ード56重量%とを60℃で溶解混合し、混合油(i)
を得た。この混合油(i)はSMSで表されるトリグリ
セリドを10重量%、MSMで表されるトリグリセリド
を10重量%含有していた。
【0089】そして、上記混合油(i)を60℃で溶解
し、0℃に冷却し、結晶化させた後、DSCにより結晶
転移の有無を確認したところ、βプライム型をとらずに
β型結晶であった。確認のため、上記混合油(i)を7
0℃で完全溶解し、0℃で30分間保持し、そして5℃
で30分間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜2
6度の範囲でX線回折測定を実施した。4.6オングス
トロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強
度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応する最
大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/
ピーク強度2の比をとったところ1.5となり、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。さらに2θ:0
〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、48オ
ングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグ
リセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることを確
認した。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観
察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
【0090】上記混合油(i)95重量%及び大豆油5
重量%を60℃で溶解させ配合油を得た。なお、この配
合油中のSMSで表されるトリグリセリドは10重量
%、MSMで表されるトリグリセリドは10重量%であ
り、MSMで表されるトリグリセリド/SMSで表され
るトリグリセリドのモル比は1.0であった。この配合
油80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリ
セリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解
した油相81重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱
脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物と
し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マー
ガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0091】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は1.4となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに47オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が2880g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も2880g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0092】〔実施例12〕シアステアリンとハイオレ
イックひまわり油を、重量比1:1の割合で混合、溶解
し1,3選択的酵素を用いてエステル交換反応を行っ
た。得られた反応油脂を分別、精製することにより分別
軟部油を得た。この分別軟部油はMSMで表されるトリ
グリセリドを36重量%含有していた。この分別軟部油
38重量%と、SMSで表されるトリグリセリドを22
重量%含有するパーム油62重量%とを60℃で溶解混
合し、混合油(j)を得た。この混合油(j)はSMS
で表されるトリグリセリドを14重量%、MSMで表さ
れるトリグリセリドを14重量%含有していた。
【0093】そして、上記混合油(j)を60℃で溶解
し、0℃に冷却し、結晶化させた後、DSCにより結晶
転移の有無を確認したところ、βプライム型をとらずに
β型結晶であった。確認のため、上記混合油(j)を7
0℃で完全溶解し、0℃で30分間保持し、そして5℃
で30分間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜2
6度の範囲でX線回折測定を実施した。4.6オングス
トロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強
度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応する最
大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/
ピーク強度2の比をとったところ1.9となり、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。さらに2θ:0
〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オ
ングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグ
リセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることを確
認した。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観
察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
【0094】上記混合油(j)85重量%及び大豆油1
5重量%を60℃で溶解させ配合油を得た。なお、この
配合油中のSMSで表されるトリグリセリドは12重量
%、MSMで表されるトリグリセリドは12重量%であ
り、MSMで表されるトリグリセリド/SMSで表され
るトリグリセリドのモル比は0.9であった。この配合
油80.4重量%に乳化剤としてステアリン酸モノグリ
セリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解
した油相81重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱
脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物と
し、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)にかけ、マー
ガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0095】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は1.6となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに46オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が2460g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も2460g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0096】〔実施例13〕パームステアリンとハイオ
レイックなたね油を、重量比4:6の割合で混合、溶解
し化学的触媒を用いてエステル交換反応を行った。得ら
れた反応油脂を精製することによりエステル交換反応油
脂を得た。このエステル交換反応油脂はMSMで表され
るトリグリセリドを12重量%含有していた。このエス
テル交換反応油脂84重量%と、SMSで表されるトリ
グリセリドを60重量%含有するパーム分別中部油16
重量%とを60℃で溶解混合し、混合油(k)を得た。
この混合油(k)はSMSで表されるトリグリセリドを
10重量%、MSMで表されるトリグリセリドを10重
量%含有していた。
【0097】そして、上記混合油(k)を60℃で溶解
し、0℃に冷却し、結晶化させた後、DSCにより結晶
転移の有無を確認したところ、βプライム型をとらずに
β型結晶であった。確認のため、上記混合油(k)を7
0℃で完全溶解し、0℃で30分間保持し、そして5℃
で30分間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜2
6度の範囲でX線回折測定を実施した。4.6オングス
トロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強
度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応する最
大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/
ピーク強度2の比をとったところ2.5となり、この油
脂結晶はβ型をとることが確認された。さらに2θ:0
〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オ
ングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグ
リセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることを確
認した。また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観
察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
【0098】上記混合油(k)35重量%、乳脂肪30
重量%及び大豆油35重量%を60℃で溶解させ配合油
を得た。なお、この配合油中のSMSで表されるトリグ
リセリドは4重量%、MSMで表されるトリグリセリド
は4重量%であり、MSMで表されるトリグリセリド/
SMSで表されるトリグリセリドのモル比は1.0であ
った。この配合油80.4重量%に乳化剤としてステア
リン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重
量%を混合溶解した油相81重量%と水16重量%、食
塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水
型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)
にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0099】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は1.6となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに45オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。また得られた油脂組成物は5℃のレ
オメーター値が1230g/cm2と低温でも軟らかく
て可塑性範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5
℃のレオメーター値も1230g/cm2と経日的にも
硬さが変化せず安定した油脂組成物であった。
【0100】〔実施例14〕ラード分別軟部油77重量
%とサル脂分別中油23重量%を混合し、SMSを13
重量%、MSMを13重量%含有した混合油(l)を得
た。この混合油(l)を60℃で溶解した後、0℃に冷
却し、結晶化させ、DSCにより結晶転移の有無を確認
したところ、βプライム型をとらずにβ型結晶であっ
た。
【0101】確認のため、上記混合油(l)を70℃で
完全溶解した後、0℃で30分保持し、そして5℃で3
0分間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜26度
の範囲でX線回析測定を実施した。4.6オングストロ
ーム面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)
と4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピー
ク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク
強度2の比をとったところ3.9となり、この油脂結晶
はβ型をとることが確認された。更に2θ:0〜8度の
範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングスト
ロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリド
のパッキング状態が2鎖長構造であることを確認した。
また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したと
ころ、3μm以下の微細な結晶であった。
【0102】上記混合油(1)50重量%、乳脂肪25
重量%及び大豆油25重量%を60℃で溶解させ配合油
を得た。配合油中のSMSは7重量%、MSMは7重量
%であり、SMSの含有量とMSMの含有量のモル比は
1.0であった。この配合油81.5重量%に乳化剤と
してソルビタン脂肪酸エステル2.0重量%とグリセリ
ン脂肪酸エステル0.5重量%を混合溶解した油相を得
た。水16重量%に上記油相84重量%を添加し、水中
油型の乳化物とし、5℃で固化し、可塑性のある逆相マ
ーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0103】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
上記と同条件でX線回折測定を行ったところ、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)の比(ピーク強度
1/ピーク強度2)は3.9となり、この油脂結晶はβ
型をとることが確認され、さらに46オングストローム
に相当する回折ピークも得られ、2鎖長構造のβ型であ
ることを確認した。そして、油脂組成物はロールイン用
として使用しやすいように、縦250mm、横340m
m、厚さ215mmのブロック状とした。
【0104】また得られた油脂組成物は5℃のレオメー
ター値が600g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性
範囲が広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオ
メーター値も600g/cm2と経日的にも硬さが変化
せず安定した油脂組成物であった。
【0105】さらにこの油脂組成物を2cm角にカット
してロールイン用として用い、以下のような配合・製法
にてペストリーを得た。ペストリー製造の際、この油脂
組成物は良好な可塑性を示した。得られたペストリーの
浮き(パフ性)も良好なものであった。
【0106】<配合> 強力粉 70 重量部 薄力粉 30 重量部 食塩 1.3重量部 砂糖 2 重量部 脱脂粉乳 3 重量部 練り混み油脂 5 重量部 水 54 重量部 ロールイン用油脂組成物 80 重量部
【0107】<製法>ロールイン用油脂組成物以外の原
料を、縦型ミキサーにて低速及び中速でミキシングした
後、ロールイン用油脂組成物を添加し、低速で混合し、
生地を得た。そして、冷蔵庫でこの生地をリタードし
た。この生地に、常法により折り畳み(4つ折り4
回)、成型(縦100mm×横100mm×厚さ3m
m)、焼成した。
【0108】〔実施例15〕ラード79重量%及びパー
ム分別中部油21重量%を混合し、SMSを16重量
%、MSMを16重量%含有した混合油(m)を得た。
この混合油(m)を60℃で溶解した後、0℃に冷却
し、結晶化させ、DSCにより結晶転移の有無を確認し
たところ、βプライム型をとらずにβ型結晶であった。
【0109】確認のため、上記混合油(m)を70℃で
完全溶解し、0℃で30分間保持し、そして5℃で30
分間保持し結晶析出させたものを2θ:17〜26度の
範囲でX線回折測定を実施した。4.6オングストロー
ムの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)
と4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピー
ク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク
強度2の比をとったところ4.9となり、この油脂結晶
はβ型をとることが確認された。更に2θ:0〜8度の
範囲でX線回折測定を実施したところ、44オングスト
ロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリド
のパッキング状態が2鎖長構造であることを確認した。
また光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したと
ころ、3μm以下の微細な結晶であった。
【0110】上記混合油(m)15重量%、乳脂肪75
重量%及び大豆油10重量%を混合し、60℃で溶解さ
せ配合油を得た。配合油中のSMSは2.5重量%、M
SMは2.5重量%であり、SMSの含有量とMSMの
含有量のモル比は1.0であった。この配合油80.4
重量%を溶解させ、乳化剤としてステアリン酸モノグリ
セリド0.5重量%とレシチン0.1重量%を混合溶解
した油相81重量%と水16重量%、食塩1重量%、脱
脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型の乳化物と
し、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にか
け、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。得られた油
脂組成物の形状は、ロールイン用として使用しやすいよ
うに、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシー
ト状とした。
【0111】得られた油脂組成物は、光学顕微鏡下で、
3μm以下の微細油脂結晶であり、油脂組成物の油相を
70℃で完全溶解した後、0℃で30分保持し、そして
5℃で30分間保持し結晶析出させたものを2θ:17
〜26度の範囲でX線回折測定を実施した。4.6オン
グストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピー
ク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応す
る最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度
1/ピーク強度2の比をとったところ1.5となり、こ
の油脂結晶はβ型をとることが確認された。さらに2
θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、
47オングストロームに相当する回折ピークが得られ、
トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であるこ
とを確認した。
【0112】また得られた油脂組成物は5℃のレオメー
ター値が3300g/cm2、20℃のレオメーター値
が400g/cm2と低温でも軟らかくて可塑性範囲が
広く、且つ製造から1ヶ月経過後での5℃のレオメータ
ー値も3300g/cm2と経日的にも硬さが変化せず
安定した油脂組成物であった。
【0113】さらに、この油脂組成物をロールイン用と
して用い、実施例9と同様に、常法によりペストリーを
製造した。ペストリー製造の際、この油脂組成物は良好
な伸展性を示した。得られたペストリーの浮き(パフ
性)も良好なものであった。
【0114】〔比較例1〕魚油を原料とし、ニッケル触
媒を用いて水素添加を行い、融点45℃の魚油硬化油を
得た。この魚油硬化油を60℃で溶解し、0℃に冷却
し、結晶化させた後、DSCにより結晶転移の有無を確
認したところ、βプライム型をとる油脂であった。確認
のため、この魚油硬化油を70℃で完全溶解し、0℃で
30分間保持し、そして5℃で30分間保持し結晶析出
させたものを2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実
施したところ、50オングストロームに相当する回折ピ
ークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖
長構造であることを確認した。一方、2θ:17〜26
度の範囲でX線回折測定を実施し、4.6オングストロ
ームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度
1)と4.2オングストロームの面間隔に対応する最大
ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピ
ーク強度2の比をとったところ0.8となり、4.2オ
ングストロームの面間隔に対応する強い回折線が得ら
れ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確認され
た。
【0115】この魚油硬化油60重量%及び大豆油40
重量%を混合し、60℃で溶解させ配合油を得た。次い
で、この配合油80.4重量%に乳化剤としてステアリ
ン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重量
%を混合溶解した油相81重量%と水16重量%、食塩
1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水型
の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)に
かけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0116】得られた油脂組成物の油相を上記と同条件
でX線回折測定を行ったところ、50オングストローム
に相当する回折ピークが得られ、2鎖長構造であること
を確認した。一方、4.6オングストロームの面間隔に
対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と4.2オン
グストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピー
ク強度2)の比(ピーク強度1/ピーク強度2)は0.
7となり、この油脂結晶はβプライム型をとることが確
認された。
【0117】この油脂組成物は、製造直後の段階で5℃
のレオメーター値が2680g/cm2であったのに対
し、1ヶ月経過後には5℃のレオメーター値が3990
g/cm2となり、経日的に硬くなることが認められ、
安定性の乏しい油脂組成物であった。
【0118】〔比較例2〕コーン油を原料とし、ニッケ
ル触媒を用いて水素添加を行い、融点36℃のコーン硬
化油を得た。このコーン硬化油を60℃で溶解し、0℃
に冷却し、結晶化させた後、DSCにより結晶転移の有
無を確認したところ、βプライム型をとる油脂であっ
た。確認のため、このコーン硬化油を70℃で完全溶解
し、0℃で30分間保持し、そして5℃で30分間保持
し結晶析出させたものを2θ:0〜8度の範囲でX線回
折測定を実施したところ、49オングストロームに相当
する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング
状態が2鎖長構造であることを確認した。一方、2θ:
17〜26度の範囲でX線回折測定を実施し、4.6オ
ングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピ
ーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に対応
する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強
度1/ピーク強度2の比をとったところ0.7となり、
4.2オングストロームの面間隔に対応する強い回折線
が得られ、この油脂結晶はβプライム型をとることが確
認された。
【0119】このコーン硬化油70重量%及び大豆油3
0重量%を混合し、60℃で溶解させ配合油を得た。次
いで、この配合油80.4重量%に乳化剤としてステア
リン酸モノグリセリド0.5重量%とレシチン0.1重
量%を混合溶解した油相81重量%と水16重量%、食
塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法により、油中水
型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−20℃/分以上)
にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物を得た。
【0120】得られた油脂組成物の油相を上記と同条件
でX線回折測定を行ったところ、50オングストローム
に相当する回折ピークが得られ、2鎖長構造であること
を確認した。一方、4.6オングストロームの面間隔に
対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と4.2オン
グストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピー
ク強度2)の比(ピーク強度1/ピーク強度2)は0.
7となり、この油脂結晶はβプライム型をとることが確
認された。
【0121】さらに、この油脂組成物は急冷可塑化直後
の時点では、光学顕微鏡下で5μm以下の微細結晶を呈
していたが、1ヶ月経過後には30μmにも達する粗大
結晶へと転移を起こし、非常にザラつきを感ずる製品価
値の全くないものとなった。また、同時にこの油脂組成
物は、製造直後の段階で5℃のレオメーター値が173
0g/cm2であったのに対し、1ヶ月経過後には5℃
のレオメーター値が2980g/cm2となり、経日的
に硬くなることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物
であった。
【0122】〔比較例3〕比較例1で用いた融点45℃
の魚油硬化油18重量%、シア分別中部油32重量%及
び大豆油50重量%を混合し、60℃で溶解させ配合油
を得た。この配合油を60℃で溶解し、0℃に冷却し、
結晶化させた後、DSCにより結晶転移の有無を確認し
たところ、βプライム型をとる油脂であった。確認のた
め、この配合油を70℃で完全溶解し、0℃で30分間
保持し、そして5℃で30分間保持し結晶析出させたも
のを2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施し
たところ、4.2オングストロームと4.6オングスト
ロームの面間隔に対応する強い回折線が得られた。4.
6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度
(ピーク強度1)と4.2オングストロームの面間隔に
対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピー
ク強度1/ピーク強度2の比をとったところ1.0とな
り、この油脂結晶はβプライム型とβ型の混在型をとる
ことが確認された。さらに2θ:0〜8度の範囲でX線
回折測定を実施し、トリグリセリドのパッキング状態が
3鎖長構造であることを確認した。
【0123】次いで、この配合油80.4重量%に乳化
剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5重量%とレ
シチン0.1重量%を混合溶解した油相81重量%と水
16重量%、食塩1重量%、脱脂粉乳2重量%とを常法
により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(−2
0℃/分以上)にかけ、マーガリンタイプの油脂組成物
を得た。
【0124】得られた油脂組成物の油相を上記と同条件
でX線回折測定を行ったところ、60オングストローム
に相当する回折ピークが得られ、3鎖長構造であること
を確認した。一方、4.6オングストロームの面間隔に
対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)と4.2オン
グストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピー
ク強度2)の比(ピーク強度1/ピーク強度2)は1.
0となり、この油脂結晶はβ型とβプライム型結晶の混
在型をとることが確認された。
【0125】さらに、この油脂組成物は急冷可塑化直後
の時点では、光学顕微鏡下で5μm以下の微細結晶を呈
していたが、1ヶ月経過後には30μmにも達する粗大
結晶へと転移を起こし、非常にザラつきを感ずる製品価
値の全くないものとなった。また、同時にこの油脂組成
物は、製造直後の段階で5℃のレオメーター値が370
0g/cm2であったのに対し、1ヶ月経過後には5℃
のレオメーター値が5900g/cm2となり、経日的
に硬くなることが認められ、安定性の乏しい油脂組成物
であった。また、その可塑性範囲は著しく狭いもので満
足のいくものではなかった。
【0126】これらの結果から明らかなように、油相の
油脂結晶がβプライム型結晶油脂である比較例1及び2
では、経日的な硬さの変化が認められ結晶安定性の点で
問題がある。また比較例3に示した組成物の油相では、
油脂結晶の一部がβ結晶を示したものの、2鎖長構造を
示さず、3鎖長構造であり、微細結晶でもないため、結
晶安定性に乏しく、可塑性範囲が著しく狭いものであっ
た。
【0127】これに対し、油相の油脂結晶が2鎖長構造
のβ型結晶であり、その結晶が微細結晶である油脂を用
いた実施例1〜15の組成物では可塑性範囲が広く、低
温でも軟らかく、なお且つ経日的に硬さが変化すること
のない、結晶安定性に優れた油脂組成物であった。
【0128】
【発明の効果】本発明は、油相を70℃で完全融解した
後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に
得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを
特徴とする油脂組成物に関するものであり、油脂組成物
を製造する際に特殊な温度管理をしなくても安定結晶を
含有し、低温でも軟らかく、可塑性範囲の広い、なお且
つ経日的にも硬さが変化せず安定な油脂組成物である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年4月19日(2002.4.1
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】本発明の油脂組成物は、5℃で7日間保持
した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であ
ることが必要であるが、5℃で4日間保持した際に得ら
れる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが好ま
しく、5℃で1日間保持した際に得られる油脂結晶が2
鎖長構造のβ型結晶であることがさらに好ましく、5℃
で1時間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造の
β型結晶であることが一層好ましく、5℃で30間保
持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶で
あることが最も好ましい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶村 徹 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 白羽根 みき 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 Fターム(参考) 4B026 DC06 DP03 DP04 DX02 DX05 4H059 BC03 BC13 CA06 CA72 DA30

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油相を70℃で完全融解した後、0℃で
    30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油
    脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを特徴とする
    油脂組成物。
  2. 【請求項2】 上記の油脂結晶が実質的に微細結晶とし
    て存在する請求項1記載の油脂組成物。
  3. 【請求項3】 可塑性を有する請求項1又は2記載の油
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 ロールイン用である請求項1〜3の何れ
    かに記載の油脂組成物。
  5. 【請求項5】 70℃で完全融解した後、0℃で30分
    間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶
    が2鎖長構造のβ型結晶を示す油相を溶解し、冷却する
    ことを特徴とする油脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4の何れかに記載の油脂組成
    物を用いた食品。
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