JP6513987B2 - シート状可塑性油脂組成物 - Google Patents
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Description
しかし、上記パーム系油脂をシート状の可塑性油脂の原料油脂として使用した場合、パーム系の油脂は結晶化が遅く、保管中に結晶化が進んでしまうことから伸展性が悪く作業性が大きく損なわれ、結果的に得られるベーカリー製品の内相が不均一となったり、食感が劣ったものとなるほか、均一な製品が得られなくなるという問題があった。
しかし、いずれも部分硬化油を一定量含有するものであり、近年の部分硬化油低減化への要請の中で改善策としては好ましくない。
一方、(特許文献3)には、パームステアリン1重量部に対し、ラードを1.0〜3.0重量部の比率で含有し、且つ、特定のSFCを有する可塑性油脂組成物が開示されている。
本発明は上記知見に基づくものである。すなわち、
下記パーム系油脂を主体とする油脂Aを、油分基準で1〜20質量%含有することを特徴とする、シート状可塑性油脂組成物である。
油脂A:下記(a)〜(c)を満たすランダムエステル交換油脂
(a) S2Uが20〜60質量%
(b) SU2/S2U=0.2〜0.6
(c) P2St/PSt2=1〜4
(但し、
S2U:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてSを2個、Uを1個有するトリグリセリド
SU2:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてSを1個、Uを2個有するトリグリセリド
P2St:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを2個、Stを1個有するトリグリセリド
PSt2:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを1個、Stを2個有するトリグリセリド
S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸残基
U:炭素数16〜22の不飽和脂肪酸残基
St:ステアリン酸残基
P:パルミチン酸残基
である。)
本発明のシート状可塑性油脂組成物は、下記パーム系油脂を主体とする油脂Aを、油分基準で1〜20質量%含有するものである。
油脂A:下記(a)〜(c)を満たすランダムエステル交換油脂
(a) S2Uが20〜60質量%
(b) SU2/S2U=0.2〜0.6
(c) P2St/PSt2=1〜4
油脂Aは、パーム系油脂を主体とするものである。
ここでいうパーム系油脂とは、パーム油、さらにパーム油を原料油脂として分別、硬化、エステル交換等の処理のうち1種又は2種以上を組み合わせて得られた油脂をいう。
また、油脂Aが「パーム系油脂を主体とする」とは、上記パーム系油脂を油脂Aの原料油脂として50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有していることを意味するものとする。
パーム系油脂を主体としない場合、本発明の効果が十分に得られず、またパーム系油脂を活用するという本発明の趣旨からも外れてしまう。
条件(a)について:
本発明において、油脂Aは油分中に占めるS2U型トリグリセリド(以下、S2Uということもある。ただし、Sは炭素数16〜22の飽和脂肪酸残基を示し、Uは炭素数16〜22の不飽和脂肪酸残基を示し、S2Uは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、Sを2個とUを1個有するトリグリセリドを示す。)の割合が20〜60質量%であり、好ましくは25〜55質量%、より好ましくは30〜50質量%である。S2Uが20質量%よりも少ないと、最終的に得られる層状ベーカリー製品の内相が不均一で食感が劣ったものとなってしまう。また、S2Uが60質量%よりも多いと、十分な可塑性が得られなかったり、伸展性の劣ったものとなってしまう。
本発明において、油脂Aは油分中に占めるS2U型トリグリセリドとSU2型トリグリセリドの比であるSU2/S2U(但し、SU2型トリグリセリドはトリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、Sを1個、Uを2個有するトリグリセリドを示す。)が0.2〜0.6であり、好ましくは0.25〜0.55、より好ましくは0.3〜0.5である。0.2よりも小さいと伸展性の劣ったものとなってしまい、0.6よりも大きいと最終的に得られるベーカリー製品の食感が劣ったものとなってしまう。
本発明において、油脂Aは油分中に占めるP2St型トリグリセリドとPSt2型トリグリセリドの比であるP2St/PSt2(Pはパルミチン酸残基、Stはステアリン酸残基を示し、P2St型トリグリセリドはトリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、Pを1個、Stを1個有するトリグリセリドを示す。また、PSt2型トリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、Pを1個、Stを2個有するトリグリセリドを示す。)は1〜4であり、好ましくは1.2〜3.8、より好ましくは1.5〜3.5である。
1よりも小さいと最終的に得られる層状ベーカリー製品の食感が劣ったものとなってしまい、また4よりも大きいと、食感が劣るほか、ロールイン時の伸展性が劣ったものとなってしまう。
本発明で必須成分である油脂Aは、上記条件(a)〜(c)を満たす他、ランダムエステル交換油脂であることが必要である。
上記ランダムエステル交換を行う方法としては、化学的触媒による方法でも、位置選択性のない酵素による方法でもよい。
1質量%よりも少ないと本発明の効果が得られず、また20質量%よりも多いと得られる層状ベーカリー製品の食感が悪くなるほか、内相及び伸展性も悪いものとなってしまう場合があり、特にシート状可塑性油脂組成物を経日的に保存した後の食感、内相、伸展性に劣る場合がある。
上記分別処理の方法は、特に限定されないが、アセトン分別やヘキサン分別等の溶剤分別、ドライ分別等の無溶剤分別、乳化分別等により行なうことができ、特に、ドライ分別により経済的に行なうことができる。
上記油脂A及び油脂B以外に、本発明のシート状可塑性油脂組成物で使用可能なその他油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、キャノーラ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる(上記油脂A及び油脂Bに相当する油脂を除く)。
本発明では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
尚、上記の「油脂」には、必要に応じて含有させる後述の他の成分に由来する油分も含めるものとする。
なお、上記油脂Aや油脂Bも含め、エステル交換油脂の原料油脂にパーム系油脂を使用した場合は、エステル交換に使用したパーム系油脂の量もパーム系油脂含有量に算入するものとする。
上記の乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化成分が挙げられる。上記のシート状可塑性油脂組成物では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
本発明のシート状可塑性油脂組成物において、乳化剤の含有量は好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%である。
上記の糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、還元糖、ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース等が挙げられる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記の甘味料としては、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム、甘草、羅漢果等があげられる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のシート状可塑性油脂組成物において、上記の糖類の含有量及び上記の甘味料の含有量の合計は、固形物換算で好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
本発明のシート状可塑性油脂組成物は、その製造方法が特に制限されるものではなく、例えば、加熱溶解した上記油脂A及び必要に応じて油脂B、その他油脂に必要に応じてその他の成分を添加・分散後、冷却・可塑化後、シート状に成形することにより得ることができる。
具体的には、まず上記油脂A及び必要に応じて油脂B、その他油脂を50〜80℃加温し、均一になるよう攪拌・混合する。続いて、その他の油溶性の成分を添加し、混合し油相を得る。本発明においては水相は必須ではないが、必要に応じて水、その他水溶性の成分を混合した水相を油相と混合乳化することができる。
上記のシート状可塑性油脂組成物の製造工程において、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
シート状に成形する方法は特に限定されず、冷却可塑化後に成形ノズルを使用して押し出し、カットする方法などを挙げることができる。また、冷却可塑化時にいったんブロック状に成形し、これを麺棒やローラーで圧延成形したり、バターポンプ等でシート状に押出す方法などによって得ることもできる。
なお、シート状に成形する際の厚さはとくに制限されず、一般的には1〜50mm、好ましくは5〜20mmである。
本発明のシート状可塑性油脂組成物は、ロールイン用としてデニッシュ・ペストリー、クロワッサン、パイ等のベーカリー生地に好適に用いられ、該ベーカリー生地を焼成することにより、層状構造を有する本発明の層状ベーカリー製品を製造することができる。
次に本発明の層状ベーカリー製品について説明する。
本発明の層状ベーカリー製品は、上述した本発明のシート状可塑性油脂組成物を用いて得られるものである。本発明の層状ベーカリー製品における上記シート状可塑性油脂組成物の使用量は、特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。
(油脂A−1)
ヨウ素価52のパーム油65質量部及びヨウ素価0.8のパーム油の極度硬化油脂35質量部を70℃にて混合溶解して得た油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、ランダムエステル交換油脂A−1を得た。
ヨウ素価52のパーム油50質量部及びヨウ素価0.8のパーム油の極度硬化油脂50質量部を70℃にて混合溶解して得た油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、ランダムエステル交換油脂A−2を得た。
(油脂B−1)
パーム油をドライ分別して得られた低融点部であるヨウ素価55のパームオレインを、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、油脂B−1を得た。
油脂B−1をさらにドライ分別して得られた低融点部である、ヨウ素価60のパームスーパーオレインを、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、油脂B−2とした。
(油脂C−1)
パーム油をドライ分別して得られた高融点部であるヨウ素価36のパームステアリンを、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、油脂C−1を得た。
上記油脂A−1、油脂A−2、油脂B−1、油脂B−2及び油脂C−1の各油脂のS2U、SU2/S2U及びP2St/PSt2の値を[表1]に示す。
[実施例1]
上記油脂A−1を10質量部、油脂B−1を70質量部、ナタネ油20質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型(W/O型、以下各実施例及び比較例も同様)の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明のシート状可塑性油脂組成物Aを得た。
上記油脂A−1を14質量部、油脂B−1を65質量部、ナタネ油21質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明のシート状可塑性油脂組成物Bを得た。
上記油脂A−1を5質量部、油脂B−1を78質量部、ナタネ油17質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明のシート状可塑性油脂組成物Cを得た。
上記油脂A−1を3.5質量部、油脂B−1を80質量部、ナタネ油16.5質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明のシート状可塑性油脂組成物Dを得た。
上記油脂A−1を1.5質量部、油脂B−1を80質量部、ナタネ油18.5質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明のシート状可塑性油脂組成物Eを得た。
上記油脂A−1を20質量部、油脂B−2を45質量部、パーム油をドライ分別して得られた高融点部であるヨウ素価36のパームステアリン15質量部、ナタネ油20質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明のシート状可塑性油脂組成物Fを得た。
上記油脂A−2を10質量部、油脂B−1を70質量部、ナタネ油20質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明のシート状可塑性油脂組成物Gを得た。
上記油脂A−2を14質量部、油脂B−1を50質量部、油脂B−2を20質量部、ナタネ油16質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明のシート状可塑性油脂組成物Hを得た。
上記油脂A−2を20質量部、油脂B−1を50質量部、油脂B−2を10質量部、ナタネ油20質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、本発明のシート状可塑性油脂組成物Iを得た。
上記油脂A−1を30質量部、油脂B−2を50質量部、ナタネ油20質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、比較例であるシート状可塑性油脂組成物Jを得た。
上記油脂B−1を40質量部、パーム油をドライ分別して得られた高融点部であるヨウ素価36のパームステアリン30質量部、ナタネ油30質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、比較例であるシート状可塑性油脂組成物Kを得た。
上記油脂B−1を40質量部、パーム油を40質量部、ナタネ油20質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、比較例であるシート状可塑性油脂組成物Lを得た。
上記油脂B−1を70質量部、油脂C−1を20質量部、ナタネ油10質量部を60℃に加熱・混合し、混合油を得た。
次に得られた混合油82質量部に乳化剤としてステアリン酸モノグリセリド0.5質量部とレシチン0.5質量部を混合・溶解した油相と、水16質量部、食塩1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけた後、縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、比較例であるシート状可塑性油脂組成物Mを得た。
得られた本発明のシート状可塑性油脂組成物A〜I及び比較例であるシート状可塑性油脂組成物J〜Mを5℃で1週間又は3か月間保存し、その後下記配合と製法によりデニッシュペストリーA〜Mを製造した。
強力粉80質量部、薄力粉20質量部、イースト4質量部、イーストフード0.2質量部、上白糖15質量部、全卵(正味)10質量部、純植物性マーガリン5質量部、水45質量部をミキサーボールに入れ、フックを用い、縦型ミキサーにて低速3分、中速3分ミキシングし、デニッシュ用生地を得た。得られたデニッシュ用生地はフロアタイム20分、−5℃の冷凍庫で24時間リタードさせた後、定法により、上記シート状可塑性油脂組成物A〜Mのいずれか45質量部をロールイン(3つ折り3回)し、デニッシュペストリー生地A〜Mを得た。得られたデニッシュペストリー生地A〜Mは厚さ4mmに圧延し、10mm×10mmの板状に切り出し、34℃60分ホイロ後、固定オーブンで200℃15分焼成し、デニッシュペストリーA〜Mを得た。
ロールイン時の作業性(油脂の伸展性)について、下記基準で評価し、結果を[表2]に示した。
◎:伸展性が非常に良好
○:伸展性が良好
△:若干油脂切れが起こりやすく、やや不良
×:油脂切れが起こりやすく、不良
<内相評価>
◎:薄い膜のきれいな層状で且つ、均一な内相である。
○:きれいな層状で且つ、均一な内相である。
△:やや不均質な部分が見られる内相である。
×:層状の部分とパン目の部分があり、不均一な内相である。
<食感評価基準>
2点…非常に良好
1点…良好
0点…不良
Claims (4)
- 下記パーム系油脂を主体とする油脂Aを、油分基準で1〜20質量%含有することを特徴とする、シート状可塑性油脂組成物。
油脂A:下記(a)〜(d)を満たすランダムエステル交換油脂
(a) S2Uが30〜60質量%
(b) SU2/S2U=0.2〜0.6
(c) P2St/PSt2=1〜4
(d) パーム油とパーム極度硬化油との合計量が90質量%以上である配合油をランダムエステル交換して得られる油脂である。
(但し、
S2U:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてSを2個、Uを1個有するトリグリセリド
SU2:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてSを1個、Uを2個有するトリグリセリド
P2St:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを2個、Stを1個有するトリグリセリド
PSt2:トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてPを1個、Stを2個有するトリグリセリド
S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸残基
U:炭素数16〜22の不飽和脂肪酸残基
St:ステアリン酸残基
P:パルミチン酸残基
である。) - さらに、パーム油を分別して得られる低融点部、パーム油を分別して得られる低融点部をさらに処理して得られる油脂、又はパーム油を分別して得られる低融点部及びパーム油を分別して得られる低融点部をさらに処理して得られる油脂、を油分基準で20〜90質量%含有する、請求項1記載のシート状可塑性油脂組成物。
- 油分中、油分基準でパーム系油脂の割合が50質量%以上である請求項1又は2記載のシート状可塑性油脂組成物。
- 請求項1〜3の何れか一項記載のシート状可塑性油脂組成物を用いた層状ベーカリー製品。
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