JP2013223464A - 気泡含有チョコレート用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トリグリセリド中に占めるSUU型トリグリセリド及びUSU型トリグリセリド(Sは炭素数16〜18の飽和脂肪酸、Uは炭素数16〜18のモノ不飽和脂肪酸)を合わせて10〜50質量%含有し、上記SUU型トリグリセリドと上記USU型トリグリセリドとの質量比(SUU/USU)が2.1〜5であって、かつ20℃のSFCが10〜55%、30℃のSFCが5〜20%である気泡含有チョコレート用油脂組成物を、気泡含有チョコレートに含まれる油脂の一部に使用する。
【選択図】なし
Description
例えば、まずチョコレート生地の粘度を下げることが行われ、液状油を使用する方法(例えば特許文献1参照)やラウリン系油脂を使用する方法(例えば特許文献2参照)が提案された。しかし、これらの方法では、口溶けは改良されるものの、気泡の粒径についてはむしろ粗くなる傾向があり、あっさりした軽い後口が得られないという問題があった。
上記範囲から外れた場合、ふわりとしたなめらかな食感が得られなくなってしまう。
上記食用油脂としては特に制限はなく、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、ココアバター、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物において液状油の含量が多くなると、ふわりとしたなめらかな食感が得られにくくなるため好ましくない。
炭素数22以上の脂肪酸の割合が1質量%以上であると、最終的に得られる気泡含有チョコレートの口溶けが悪くなりやすい。
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記乳化剤の配合量は、特に制限はないが、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物中、好ましくは0〜15質量%、更に好ましくは0〜5質量%である。
SFCが20℃で10%を下回るとチョコレートが軟化しやすくなり、また55%を超えると気泡含有チョコレート製造時の作業性が悪くなる。一方、30℃で5%を下回った場合チョコレートがあっさりとしすぎて良好な風味が得られず、20%を超えると、口溶けが悪いものとなってしまう。
本発明の気泡含有チョコレートは、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物を、気泡含有チョコレートに含まれる油脂の一部に使用したものであり、微細な気泡を均一に含有し、あっさりした軽い食感を有しながらも、なめらかで口溶けが良いという特徴を有する。
また、本発明の気泡含有チョコレートにおいては、トリグリセリド中に占めるSUS型トリグリセリドの割合が15〜80質量%であるのが好ましく、20〜70質量%であるのがより好ましく、25〜60質量%であるのが最も好ましい。15質量%よりも少ないと口溶けに劣ったものとなりやすく、また80質量%よりも多くなると本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物の量が少なくなるために軽い食感やなめらかさといった効果が得られにくくなってしまう。
上記SUS型トリグリセリドを多く含有する油脂以外の食用油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びに、これらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
なお、任意成分としてココアバターを含有する成分を使用した場合、気泡含有チョコレート中のココアバターとして算入するものとする。
本発明の気泡含有チョコレート中におけるこれらの任意成分の含有量は、好ましくは合計で98質量%以下、さらに好ましくは合計で60〜98質量%である。
また、各種粉末食品としては、例えば、カカオマスやココアパウダーといったカカオ製品、全粉乳、脱脂粉乳、果実粉末、果汁粉末、生クリーム粉末、チーズ粉末、コーヒー粉末、ヨーグルト粉末等が例示される。
また、乳化剤は、必要に応じて粘度上昇を抑制する目的で添加する場合があり、このような乳化剤としては特に制限されないが、レシチン、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
また、水性成分としては、果汁、濃縮果汁、各種フルーツ類及びそのペースト、ジャム、天然のクリーム類及び牛乳等のほかに、動植物性油脂などを使用したクリーム類、濃縮乳、練乳、各種液糖等が例示できる。
上記テンパリングする工程(II)では、一般的なテンパリング操作によって行うことができる。例えば、チョコレート生地を45〜50℃程度に加温し溶解させた後、空気が入らないようにゆっくりと攪拌しながら27℃前後まで冷却させた後、再び31〜33℃まで加温し、ゆっくりと攪拌する方法、チョコレート生地を45〜50℃程度に加温し溶解させた後、高融点油脂及び/又はテンパリングされたチョコレートを結晶核として少しずつ加えていく方法が挙げられる。
好ましい含気泡の程度、すなわち、気泡含有チョコレートの比重は、好ましくは0.5〜1.0、より好ましくは0.6〜0.9である。比重が0.5未満であると、気泡が粗くなるため極めて脆い物性となり、また、口溶けがもたついた感じになり、良好な口溶けが得られにくい。一方、比重が1.0を超えると気泡含有チョコレート独特の軽い後口が得られにくい。
脂組成物を工程(I)〜(III)の途中に混合する。すなわち、工程(I)の後に該油脂組成物を混合し、工程(II)へ進む方法、また工程(I)、(II)が終了した後、該油脂組成物を添加・混合し、工程(III)へ進む方法、あるいは工程(I)終了後と工程(II)終了後に分けて添加・混合する方法が挙げられる。
なお、成型方法としては、例えば含気泡後、各種の型に流し込んだり、口金を通して平板に絞り出したり、シェルチョコのセンターとして流し込んだりする方法を挙げることができる。
そして、その後定法にしたがい、必要に応じ離型、成型する。
配合油脂Iの製造
パーム油65質量部とパーム極度硬化油35質量部からなる油脂配合物を、Naメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により精製してエステル交換油脂を得た。続いて、このエステル交換油脂からアセトン分別により高融点部と液状部を除去し、得られた中融点部を常法により精製して、配合油脂Iとした。
パーム油55質量部とパーム極度硬化油45質量部からなる油脂配合物を、Naメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により精製してエステル交換油脂を得た。続いて、このエステル交換油脂からアセトン分別により高融点部と液状部を除去し、得られた中融点部を常法により精製して、配合油脂IIとした。
ヨウ素価55のパーム分別軟部油にナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、930Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、400Pa以下の減圧下)を行い、配合油脂IIIを得た。
上記配合油脂IIを60質量部、ヨウ素価65のパーム分別軟部油を26質量部、パーム分別中融点部を14質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物Aを得た。
上記配合油脂IIを45質量部、ヨウ素価65のパーム分別軟部油を33質量部、パーム分別中融点部を22質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物Bを得た。
上記配合油脂Iを50質量部、ヨウ素価65のパーム分別軟部油を30質量部、パーム分別中融点部を20質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物Cを得た。
上記配合油脂Iを45質量部、ヨウ素価65のパーム分別軟部油を30質量部、パーム分別中融点部を25質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物Dを得た。
上記配合油脂IIを45質量部、ヨウ素価65のパーム分別軟部油を33質量部、シア脂を22質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物Eを得た。
上記配合油脂IIIを90質量部、パームステアリンを10質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物Fを得た。
上記配合油脂IIIを75質量部、パーム分別中融点部を10質量部、パームステアリンを15質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物Gを得た。
上記配合油脂IIIを75質量部、パーム分別中融点部を10質量部、パームステアリンを15質量部、レシチンを0.2質量部、モノグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物Hを得た。
上記配合油脂IIを43質量部、パーム油を3質量部、パーム分別中融点部を30質量部、大豆油を24質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物Iを得た。
パーム油を35質量部、パームステアリンを15質量部、豚脂を50質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、気泡含有チョコレート用油脂組成物Jを得た。
パーム油を45質量部、パームステアリンを15質量部、豚脂を40質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、気泡含有チョコレート用油脂組成物Kを得た。
パーム分別中融点部100質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、気泡含有チョコレート用油脂組成物Lを得た。
上記配合油脂IIを30質量部、ヨウ素価65のパーム分別軟部油を40質量部、パームステアリンを30質量部、レシチンを0.2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステルを3質量部を45℃に保温しながら混合し、気泡含有チョコレート用油脂組成物Mを得た。
ココアバター(SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)5質量部、カカオマス(油分含有量55%、SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)5質量部を55℃に加温して溶解し、全脂粉乳(油分含有量25%)16質量部、砂糖43.5質量部、レシチン0.5質量部を、練り合わせてペースト状とし、ロール掛けした。ここで55℃に加温して溶解した本発明の気泡含有チョコレート用油脂組成物A〜I又は油脂組成物J〜Mのうちいずれかを30質量部加えてコンチングして、チョコレート生地を得た。このチョコレート生地をテンパリングした後、25℃に調温し、卓上ミキサーを使用して、比重が0.8となるまでビーターを使用してホイップし、直径10mmの丸口金をセットした絞り袋を使用して、直径10mm、長さ30mmのストロー状に絞り出し、5℃で1時間冷却・固化させ、気泡含有チョコレートを得た。
得られた気泡含有チョコレートについて、下記基準で評価した。
<内相評価>
上記実施例1〜9及び比較例1〜4で得られた油脂組成物を使用して得られた気泡含有チョコレートの内相について、下記評価基準に従って4段階で評価し、結果を[表2]に記載した。
(内相評価基準)
◎:微細な気泡が均一に存在し、粗い気泡はまったく見られない。
○:微細な気泡が均一に存在しているが、少数の粗い気泡が見られる。
△:やや粗い気泡が均一に存在しており、粗い気泡はまったく見られない。
×:やや粗い気泡が均一に存在しており、少数の粗い気泡が見られる。
上記実施例1〜9及び比較例1〜4で得られた油脂組成物を使用して得られた気泡含有チョコレートを10人のパネラーにより下記評価基準に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして[表2]に示した。
41〜50点:◎+、31〜40点:◎、21〜30点:○、11〜20点:△、0〜10点:×
(なめらかさ評価基準)
5点 :ふわりとして非常になめらかである。
3点 :ふわりとしてなめらかである。
1点 :ボソボソとした食感である。
0点 :極端に硬すぎる若しくは極端に軟らかすぎて不良である。
5点 :爽快な口溶けを有し、極めて良好である。
3点 :良好である。
1点:若干もたついた口溶けでやや不良である。
0点:もたついた口溶けで、不良である。
5点 :あっさりとして極めて軽い後口であり極めて良好である。
3点:あっさりとした軽い後口で良好である。
1点 :粗く砕けるような食感であり、やや不良である。
0点:極端に硬すぎる若しくは極端に軟らかすぎて不良である。
Claims (5)
- トリグリセリド中に占めるSUU型トリグリセリド及びUSU型トリグリセリド(Sは炭素数16〜18の飽和脂肪酸、Uは炭素数16〜18のモノ不飽和脂肪酸)を合わせて10〜50質量%含有し、上記SUU型トリグリセリドと上記USU型トリグリセリドとの質量比(SUU/USU)が2.1〜5であって、かつ20℃のSFCが10〜55%、30℃のSFCが5〜20%である気泡含有チョコレート用油脂組成物。
- 油相中に、SSS型トリグリセリドを3〜10質量%含有する、請求項1記載の気泡含有チョコレート用油脂組成物。
- 油相中のトリグリセリドを構成する脂肪酸のうち、炭素数22以上の脂肪酸の割合が1質量%未満である、請求項1又は2記載の気泡含有チョコレート用油脂組成物。
- 油分中に、請求項1〜3のいずれか1項記載の油脂組成物を20〜90質量%含有することを特徴とする、気泡含有チョコレート。
- テンパリング型である請求項4記載の気泡含有チョコレート。
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