JP4930294B2 - 含気泡チョコレート及びその製造法 - Google Patents

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本発明は含気泡チョコレート及びその製造法に関し、詳しくは縦型ミキサーのような簡便な機械で製造することのでき、しかも従来のものより低油分・低比重の含気泡チョコレートを得ることができる、含気泡チョコレート及びその製造法に関する。
最近の菓子市場においては、チョコレート生地自体の食感を軽くする目的でチョコレート生地中に気泡を含ませる、いわゆるホイップチョコレートへの嗜好が高まっている。
チョコレートに気泡を含ませる方法としては、例えばチョコレートを先ず攪拌した後、減圧下に置くことで比重を低下させる方法(例えば特許文献1、特許文献2)や加圧した気体をチョコレート生地に含ませ、常圧に戻すことによりチョコレート生地の比重を下げる方法(例えば特許文献3、特許文献4)、或いは起泡したショートニングとチョコレート生地を混合しチョコレート生地の比重を下げる方法(例えば特許文献5)等が提案されている。しかしながら、減圧や加圧により起泡する方法はチョコレートの比重を大きく低下できるものの、製造工程が煩雑であったり大規模な付加的な設備を必要とするし、また別途起泡したショートニングと合わせて含気泡チョコレートを作製する場合は、必要以上に油分が上昇して油性感が増したり、合わせる過程で消泡したり、あわせられるチョコレート自体はまったく比重が下がっていないため、最終的に得られたホイップチョコレートの比重が下がりにくい傾向があった。
現在一般的に用いられている方法としては乳化剤により起泡する方法(例えば特許文献6、特許文献7)や、構成脂肪酸残基の炭素数の合計が58以上のトリグリセリドを一定以上含む油脂をチョコレート生地中に配合し、その油脂結晶により気泡を安定化させ、チョコレート生地の比重を下げる方法(特許文献8)、等が提案されている。
これらの方法のうち、特定の乳化剤により起泡する方法は簡便ではあるものの、チョコレート生地の比重を大きく下げる場合にはチョコレート生地の油分を高くする必要があり(好ましくは50%以上)、チョコレートの油性感が増だけでなく、また最近の低カロリー食品への嗜好に逆行することとなる。また構成脂肪酸残基の炭素数の合計が58以上のトリグリセリドを添加する方法では、この構成脂肪酸残基の炭素数の合計が58以上のトリグリセリドが高融点であるため、チョコレートの本来持つ特徴である、口溶けの良さを阻害する問題がある。
更に別な方法として、チョコレートに食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの混合油を添加する方法(特許文献9)がある。これはベヘン酸が高融点成分である点は前述の構成脂肪酸残基の炭素数の合計が58以上のトリグリセリドを添加する方法と同じではあるが、予めベヘン酸単独で結晶化させることでチョコレート中のココアバター等といった他の油脂と相互作用しないためチョコレートの口溶けを悪くしない。
しかし、この発明も食用油脂が液油の場合は油性感が増しがちであり、食用油脂がチョコレートを構成する油脂に近いハードバターの場合は比重を下げる為には添加量を増やす必要があり、これもまた、油性感が増しがちであった。
特開昭62−275648号公報 特開昭63−202341号公報 特開昭62−058955号公報 特開昭63−049040号公報 特開昭63−028355号公報 特開平01−144934号公報 特開平05−211842号公報 特開平3−201946号公報 WO2000/057715号公報
本発明は、平易な方法で且つ、低油分・低比重である含気泡チョコレート製品の製造法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドと特定の乳化剤を用いることで低油分・低比重の含気泡チョコレートが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
(1)としては、食用油脂、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB7以下の乳化剤からなる含気泡チョコレート用油脂組成物であり、(2)としては、食用油脂が65〜90重量%、トリ飽和脂肪酸グリセリドが5〜18重量%、HLB7以下の乳化剤が1〜20重量%である(1)記載の含気泡チョコレート用油脂組成物であり、(3)としては、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの飽和脂肪酸中のベヘン酸が30%以上である、(1)または(2)記載の含気泡チョコレート用油脂組成物であり、(4)としては、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドが高エルシン菜種油の極度硬化油である、(1)から(3)記載の含気泡チョコレート用油脂組成物であり、(5)としては、HLB7以下の乳化剤がプロピレングリコール脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステル、及びそれらの混合物である(1)から(4)記載の含気泡チョコレート用油脂組成物であり、(6)としては、(1)記載の含気泡チョコレート用油脂組成物を0.5〜30重量%含有してなる含気泡チョコレートであり、(7)としては、(1)記載の含気泡チョコレート用油脂組成物が、加温して結晶を融解させた後、冷却してトリ飽和脂肪酸グリセリド及び、またはHLB7以下の乳化剤の結晶を析出させた状態でチョコレート生地に添加してホイップして得られる含気泡チョコレートである。
本発明により、食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドと特定の乳化剤を用いることにより、平易な方法にて、低油分・低比重の含気泡チョコレートが得られる可能である。
本発明でいう食用油脂とは、例えば菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糖油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ脂、パーム核油等の植物性油脂、並びに、それら油脂の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が例示できる。植物油脂は魚油等の動物油脂に比べて風味上優れている。油脂の融点は低い方が取り扱いはたやすく、また、含気泡チョコレートの比重が下がりやすい傾向にあるものの、出来上がった製品の油性感が増しがちになるため、好ましくは、融点15℃以上、好ましくは融点20℃以上、更に好ましくは融点25℃以上であるものが望ましい。一例としてはパーム油中融点部やココアバター、CBE(cocoa butter equivalent)と称される1,3位飽和、2位不飽和のトリグリセリド型油脂に富むハードバターが挙げられる。なお、融点は「融点:日本油化学協会基準油脂分析試験法2.2.4.2 融点(上昇融点)」に規定の方法に準じて測定するものとする。
本発明で用いる乳化剤はHLB7以下、望ましくは5以下であれば特に限定はされないが一例を挙げると、レシチン、モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が、特にプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好適に使用できる。HLB7を超える乳化剤は、油脂に溶解し難く、更に比重が下がりにくい。
本発明でいうベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドとは、例えばエルシン酸を含む油脂を水素添加により通常沃素価1以下、融点60℃以上にすることにより得ることができる。(不飽和のエルシン酸を硬化すれば、飽和のベヘン酸を得ることができる。)エルシン酸を30%以上含む油脂としては高エルシン酸の菜種油、からし油、クランベ油等が挙げられるが、容易に入手可能な高エルシン酸の菜種油が好ましい。またトリ飽和脂肪酸グリセリドとはトリグリセリドの構成脂肪酸が全て飽和脂肪酸よりなるトリグリセリドである。
本発明においては、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの添加量の下限は、5重量%以上、望ましくは10重量%以上が良い。5%未満だと充分にチョコレートの比重を下げる事ができない。また、上限は、18重量%以下、望ましくは16重量%以下が良い。18重量%を越える場合、チョコレート生地に混ぜたときにホイップ性が悪い傾向がある。
本発明においては、HLB7以下の乳化剤の添加量の下限は、1重量%以上、望ましくは5重量%以上が良い。1重量%以下だと、十分にチョコレート比重を下げる効果が得がたい。また、上限は、20重量%以下が良い。20重量%を上回ると、コストが高くなり使用が難しくなる。
本発明でいう含気泡チョコレートの比重は0.5〜0.9である。比重が0.9より高いと従来のチョコレートと食感が同じで、食感を軽くすることは出来ない。逆に比重が0.5未満であると食感は非常に軽くなるが、気泡をかなり含む為、チョコレートの流動性が無くなり、ホイップ後の作業性が非常に悪くなり好ましくない。なお比重の測定は容器に含気泡チョコレートを充填して内容物の重量を測定し、かわりに水を充填したときの水の重量で除して算出した。
また、本願で言うところの「低比重」は従来法でも為しうる比重ではあるが、従来法では含油量を高くする必要があったり、食用油脂に液油を多く用いたりといった油性感を強く発現させてしまう傾向にある。しかし本願方法は起泡力が強いため、相対的に従来法よりも、同程度の「食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB7以下の乳化剤の混合油」の添加量、あるいは、同程度の「含気泡チョコレート」の油分の場合はより低い比重に、同程度の「含気泡チョコレート」比重ならば、より「低油分」にて達成できる。
本発明では食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB7以下の乳化剤の混合油を完全に融解した後、混合油の品温を30℃〜45℃まで冷却し結晶を析出させた後、冷却で調製した油脂を使用するのが良い。
食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB7以下の乳化剤の混合油脂を完全に融解した後、オンレーター等の練りを加えることの出来る装置を用いて、品温を30℃〜45℃まで冷却し結晶を析出させた後、冷却させて調製することができる。これ以外の方法、たとえば単純に室温に放置して徐冷却した場合では結晶のサイズが大きくなり過ぎ、チョコレートに気泡を含ませるには不向きとなり、逆にコンビネーターなどを用いて急冷却させると結晶系が異なるためか、この場合もチョコレートに気泡を含ませるには不向きとなる。
本発明では上記方法で調製した、食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB7以下の乳化剤の混合油を、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの結晶が融解しない温度でホイップすることが必要である。特にベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドが結晶状態で存在することが必要であり、これによりベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドは他の油脂、例えばチョコレート生地中のココアバター等と相互作用しないためチョコレートの口溶けを悪くしない。
しかし、完全に融解した状態で使用した場合ホイップするために必要な結晶量が無くなりチョコレートの比重が低下しないばかりか、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドが他の油脂、例えばチョコレート生地中のココアバターと相互作用し、油脂の融点を上昇させ最終チョコレートの耐熱性は上がるが、口溶けが非常に悪いものとなる。
このためチョコレート生地の品温は25℃〜45℃の範囲に温度調整することが必要であり、又、食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB7以下の乳化剤の混合油も同様に温度調整し、これらを混合してホイップする。但し、テンパリング型のチョコレート生地を使用するときには、テンパリングを行ったチョコレートのテンパリングが壊れない温度例えば31℃で混合し、ホイップする事が可能である。
本発明でいうチョコレートは、配合面よりスイートチョコレート、ミルクチョコレート、ブラックチョコレート、ホワイトチョコレート等のいずれであってもよく、またカカオバターの一部または全部にかえて他の油脂、特にカカオバター代用脂(ハードバター)を使用したもので良い。従来知られているいずれのチョコレートでも利用することが出来る。含気泡チョコレートにおける原料チョコレートの含有量は多いほど、チョコレート感の濃厚なものが得られる。
特に含気泡チョコレートはそのホイップの程度にもよるが、チョコレート中に空気が含有される為、風味が発現しにくくなる傾向にある上、食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB7以下の乳化剤の混合油が入る分チョコレートの風味に寄与しない部分が多くなるため、原料チョコレートの含有量は60%以上、望ましくは70%以上が好ましい。
また、食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB7以下の乳化剤の混合油の含量も同様にホイップの機能を出しうる量以上は過剰には配合しない方が望ましい。上記の通り、混合油はチョコレートの風味に寄与しないため最終製品のチョコレート風味が弱くなりがちであるほか、混合油が増えることで油性感が向上し、また、油分自体も高くなり、これは最近の消費者の嗜好動向にそぐわない傾向である。特に限定はされないものの食用油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB7以下の乳化剤の混合油の含油量は最終の含気泡チョコレート製品に対して40%以下、望ましくは30%以下、更に望ましくは25%以下であることが好ましい。
以下に本発明の実施例を示し本発明についてより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
<実施例1>
ハードバター(沃素価34、融点34℃、不二製油製、商品名「メラノNewSS7」)79部、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドとして高エルシン酸菜種油の極度硬化油(沃素価1以下、融点62℃)11部とプロピレングリコールステアリン酸エステル(HLB3.7、理研ビタミン製、商品名「リケマールPS−100」)10部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別に42℃に温調したミルクチョコレート(油分34%、不二製油社製、商品名「ミルクチョコレート」)90部に、上で調製した混合油を42℃に温調したものを10部加え、30℃まで冷却した後、シード剤(不二製油製、商品名「チョコシードA」)をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.78であった。
<比較例1>
ハードバター89部と高エルシン酸菜種油の極度硬化油11部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別にシード剤「チョコシードA」をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングした油分34%のミルクチョコレート90部を品温30℃で保存し、42℃に温調した上で調製した混合油10部を加え、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ1.06であった。
<比較例2>
ハードバター90部とプロピレングリコールステアリン酸エステル10部を80℃で完全に融解混合した混合油10部に、融解した油分34%のミルクチョコレート90部を加え、30℃まで冷却した後、別にシード剤「チョコシードA」をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングした後、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ1.11であった。
なお、上記混合油は実施例1のように冷却しても結晶はほとんど析出しなかった。
調整した含気泡チョコレートの配合と比重を表1に示す。
<表1>
Figure 0004930294
実施例1は従来タイプの比較例1の混合油を使用したものに比べ比重が下がり、また比較例2の乳化剤は単独では殆ど比重が下がらなかった。さらに、無添加で同様の条件でホイップを試みるもまったく比重は下がらず、チョコレートそのものの比重(1.26)であったところからみて、実施例1の比重低減効果(−0.48)は、単に従来タイプの比較例1の混合油と比較例2の乳化剤の効果を合わせた(−0.20−0.15=−0.35、しかも添加量は倍量使用)ものよりも数段高い比重の低減効果が示された。
<実施例3>
ハードバター79部、高エルシン酸菜種油の極度硬化油11部とテトラグリセリンペンタステアリン酸エステル(HLB2.6、阪本薬品工業社製「SYグリスターPS3S」)10部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別に、実施例8で使用した油分37%に調整したミルクチョコレート95部を42℃に温調し、別に上で調製した混合油を42℃に温調したものを5部加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.87であった。
<実施例4>
ハードバター69部、高エルシン酸菜種油の極度硬化油11部とテトラグリセリンペンタステアリン酸エステル20部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別に<実施例8で使用した油分37%に調整したミルクチョコレート95部を42℃に温調し、別に上で調製した混合油を42℃に温調したものを5部加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.81であった。
<比較例3>
ハードバター79部、高エルシン酸菜種油の極度硬化油11部とジグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB7.4、阪本薬品工業社製「ポエムDS−100A」)10部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別に<実施例8で使用した油分37%に調整したミルクチョコレート95部を42℃に温調し、別に上で調製した混合油を42℃に温調したものを5部加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ1.09であった。
調整した含気泡チョコレートの配合と比重を表2に示す。
<表2>
Figure 0004930294
高エルシン酸菜種油の極度硬化油とテトラグリセリンペンタステアリン酸エステル(HLB=2.6)を使用した実施例3の比重は0.9を下回り、特に実施例4は0.81程度まで低下した。これにより従来の混合油や乳化剤単独使用しただけのものでは得がたい比重の含気泡チョコレートが得られた。
一方、高エルシン酸菜種油の極度硬化油については同様だがジグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB=7.4)を使用した比較例3は比重が下がりにくく、高エルシン酸菜種油の極度硬化油のみの混合油を使用した比較例1よりも比重が高いものしかえられなかった。
<実施例5>
ハードバター74部、高エルシン酸菜種油の極度硬化油11部とプロピレングリコールステアリン酸エステル15部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別に42℃に温調した油分34%のミルクチョコレート90部に、上で調製した混合油を42℃に温調したものを10部加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.76であった。
<実施例6>
ハードバター69部、高エルシン酸菜種油の極度硬化油11部とプロピレングリコールステアリン酸エステル20部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別に42℃に温調した油分34%のミルクチョコレート90部に、上で調製した混合油を42℃に温調したものを10部加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.67であった。
<実施例7>
ハードバター84部、高エルシン酸菜種油の極度硬化油11部とプロピレングリコールステアリン酸エステル5部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別に42℃に温調した油分34%のミルクチョコレート90部に、上で調製した混合油を42℃に温調したものを10部加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.89であった。
調整した含気泡チョコレートの配合と比重を、比較の為実施例1、比較例1とともに表3に示す。
<表3>
Figure 0004930294
混合油中のプロピレングリコールステアリン酸エステルの量を15・20と増やしていくことで混合油自体の添加量は同じであっても含気泡チョコレートの比重は更に下がり、0.67に達した。一方、混合油中のプロピレングリコールステアリン酸エステルの量は5であっても比重は0.91と有意に低いものであった。
<実施例8>
ミルクチョコレートに油分調製用にメラノNEWSS7を加え、油分37%に調整したこのミルクチョコレート95部を42℃に温調し、別に42℃に温調した<実施例5の混合油5部を加え、30℃まで冷却後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.72であった。
<実施例9>
実施例8で使用した油分37%に調整したミルクチョコ95部を42℃に温調し、別に42℃に温調した<実施例6の混合油5部を加え、30℃まで冷却後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.71であった。
<比較例4>
油分37%に調整し42℃に温調したミルクチョコレート95部に、別に<比較例1で調整した混合油を42℃に温調したものを5部加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ1.12であった。
調整した含気泡チョコレートの配合と比重を表4に示す。
<表4>
Figure 0004930294
表3の系と同様に、混合油中のプロピレングリコールステアリン酸エステルの量を15・20と増やしていくことで混合油自体の添加量は同じであっても含気泡チョコレートの比重は更に下がり、0.71に達した。また、当然混合油中にプロピレングリコールステアリン酸エステルが入っていない従来タイプの比較例4よりも有意に比重は低下した。
<実施例10>
ハードバター70部、高エルシン酸菜種油の極度硬化油15部とプロピレングリコールステアリン酸エステル15部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別に42℃に温調した油分34%のミルクチョコレート95部に、上で調製した混合油を42℃に温調したものを5部加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.85であった。
<実施例11>
ハードバター65部、高エルシン酸菜種油の極度硬化油15部とプロピレングリコールステアリン酸エステル20部の混合油を完全に80℃で融解した後、水温15℃の水槽中で油脂の品温が38℃まで冷却して結晶を析出させ、この状態の混合油を20℃で保存した。別に42℃に温調した油分34%のミルクチョコレート95部に、上で調製した混合油を42℃に温調したものを5部加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.86であった。
調整した含気泡チョコレートの配合と比重を表5に示す。
<表5>
Figure 0004930294
混合油組成を高エルシン酸菜種油極度硬化油を15%、プロピレングリコールステアリン酸エステルの量を15、20と増やしていくと、さらに比重は下がり、0.86に達した。
<比較例5>
油分34%のミルクチョコレート90部にプロピレングリコールステアリン酸エステル1部を加え、予め55℃以上で融解混合した後42℃に冷却したものに、別に42℃に温調した<比較例1の混合油9部を加え、30℃まで冷却した後、シード剤をチョコレートに対し0.3%加えてテンパリングし、ケンウッドミキサー(ホイッパー使用)で高速攪拌しホイップさせ含気泡チョコレートを得た。その比重を測定したところ0.94であった。
調整した含気泡チョコレートの配合と比重を、比較の為実施例1とともに表3に示す。
<表6>
Figure 0004930294
実施例1の乳化剤は混合油中に10重量%入っており、その混合油を10重量%使用したので全体で見ると乳化剤は1%になるため、比較例5は配合的には実施例1とまったく同じであるが、混合油中に存在した状態で高エルシン酸菜種油極度硬化油を冷却・結晶を析出させた実施例1と、別々に添加した比較例5とでは明らかに比重の下がり方に差が生じた。
本発明により、平易な方法で且つ、低油分で低比重である含気泡チョコレート製品の製造法を提供することが可能となった。

Claims (7)

  1. 食用油脂、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB以下の乳化剤を含む、含気泡チョコレート用油脂組成物。
  2. 食用油脂が65〜90重量%、トリ飽和脂肪酸グリセリドが5〜18重量%、HLB以下の乳化剤が1〜20重量%である請求項1記載の含気泡チョコレート用油脂組成物。
  3. ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの飽和脂肪酸中のベヘン酸が30%以上である、請求項1または請求項2記載の含気泡チョコレート用油脂組成物。
  4. ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドが高エルシン菜種油の極度硬化油である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の含気泡チョコレート用油脂組成物。
  5. HLB以下の乳化剤がプロピレングリコール脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種または2種以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の含気泡チョコレート用油脂組成物。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の含気泡チョコレート用油脂組成物を0.5〜30重量%含有してなる含気泡チョコレート。
  7. 食用油脂、ベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリド、及びHLB以下の乳化剤を含む原料を、加温して結晶を融解させた後、冷却してトリ飽和脂肪酸グリセリド及び、またはHLB以下の乳化剤の結晶を析出させた状態でチョコレート生地に添加してホイップして得られる含気泡チョコレートの製造法。
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