JP5897473B2 - 起泡性水中油型乳化物用油脂組成物および該油脂組成物を含んでなる起泡性水中油型乳化物 - Google Patents

起泡性水中油型乳化物用油脂組成物および該油脂組成物を含んでなる起泡性水中油型乳化物 Download PDF

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Description

本願は、日本国特許出願2010−270697を基礎とするパリ条約の優先権主張を伴った出願である。よって、本願は、この日本国特許出願に開示された事項の全てを包含するものである。
本発明は、主に製菓、製パン領域で起泡性水中油型乳化物として用いられる起泡性水中油型乳化物の原料に好適な油脂組成物に関する。さらに該油脂組成物を使用した起泡性水中油型乳化物に関する。
乳等省令でいうところのクリームは、クリーム中の油脂が乳脂肪100%であり、風味、口溶けの良さは他に代わるものがないほど優れている。しかし一方で、輸送中にボテと呼ばれる急激な粘度の上昇や固化が起こり易く、また、ホイップする際の終点幅が短くて扱いにくい、さらには高価であるという難点を持っている。現在では、乳脂100%のいわゆる生クリームではなく、風味を活かしつつ、作業性を改良するために、乳脂肪と植物性油脂とを組み合わせたコンパウンドクリームと呼ばれるタイプや、保存性や保形性、コストを重視した植物性油脂のみから作られた純植クリームと呼ばれるものなど、様々な起泡性水中油型乳化物が市販されている。
純植タイプの起泡性水中油型乳化物に用いられる植物性油脂としては、炭素数12の飽和脂肪酸であるラウリン酸を多く含むヤシ油、パーム核油等のラウリン系の植物油脂、パーム油、菜種油、大豆油等の炭素数16以上の脂肪酸を多く含む植物油脂、これら植物油脂の硬化油、分別油、それらの混合油等が挙げられる。ラウリン系油脂を用いて得られる起泡性水中油型乳化物は、口溶けが非常に良い反面、乳化が不安定になりやすく、ホイップ作業時の終点幅が短い、ホイップしたクリームの表面が荒れやすいといった問題があった。一方、ラウリン系油脂と、パーム油、菜種油、大豆等の炭素数16以上の脂肪酸を多く含む植物油脂の硬化油とを併用して得られる起泡性水中油型乳化物は、口溶け、乳化安定性、保形性のバランスも良く、ホイップ状態での冷凍解凍耐性も得られやすいことから、従来、広く流通してきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、近年、硬化油に含まれるトランス脂肪酸が栄養学的に好ましくないという学説が出てきている。また、米国では一定基準以上のトランス脂肪酸を含む食品には表示の義務が課されるなどの背景から、油脂含有食品のトランス脂肪酸含量を低減することが社会的に求められるようになってきた。従って、起泡性水中油型乳化物に用いられる油脂に関しても、トランス脂肪酸を含有する植物油脂の硬化油を低減することが求められるようになってきた。
トランス脂肪酸を実質上含有しない起泡性水中油型乳化物としては、ラウリン系油脂とパーム油の中融点分別油とを併用したタイプ等が考案されている(例えば、特許文献4、5参照)。しかしながら、ラウリン系油脂とパーム油の中融点分別油とを併用して得られる起泡性水中油型乳化物は油脂配合のバランスに特に注意が必要であった。また、油脂結晶を析出させる冷却・エージング工程の微妙な変化が乳化安定性等の品質に大きく影響するので、厳密な工程管理を必要とするものであった。一方で、ラウリン系油脂を原料油としたエステル交換油を使用することでの品質改良も試みられているが(例えば、特許文献6参照)、ラウリン系油脂の優れた口溶けを十分に活かしきれないものであった。
従って、製造上特別な工程管理を要せず、トランス脂肪酸含量が十分に低減され、ラウリン系油脂の優れた口溶けを十分に活かした、乳化安定性が高く、起泡性、保形性等のホイップ特性が良好であり、ホイップ状態での冷凍解凍耐性が良好な起泡性水中油型乳化物の開発が望まれていた。
特開平2−100646号公報 特開平2−308766号公報 特開平11−9214号公報 特開平5−219887号公報 特開平8−70807号公報 特開平6−141808号公報
本発明の目的は、主に製菓、製パン領域で起泡性水中油型乳化物として用いられる起泡性水中油型乳化物の原料に好適な油脂組成物を提供することにある。さらに、本発明の別の目的は、該油脂組成物を使用することにより、製造上の特別な工程管理を要せず、トランス脂肪酸含量が十分に低減され、ラウリン系油脂の優れた口溶けを十分に活かした、乳化安定性が高く、起泡性、保形性等のホイップ特性が良好であり、ホイップ状態での冷凍解凍耐性が良好な起泡性水中油型乳化物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の種類のトリグリセリドを特定の含有量で有する混合油脂と、特定のHLB値を有し、かつ結合する脂肪酸の特定量以上が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルとを、特定の量で配合することにより上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様によれば、
起泡性水中油型乳化物用油脂組成物であって、
トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が36〜38である第1のトリグリセリドと、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が50〜52である第2のトリグリセリドとを有する混合油脂と、
HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルと
を含んでなり、
前記混合油脂の全量に対して、第1のトリグリセリドの含有量が、20質量%以上35質量%以下であり、第2のトリグリセリドの含有量が、8質量%以上44質量%以下であり、前記混合油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、飽和脂肪酸の含有量が、60質量%以上であり、
前記油脂組成物の全量に対して、前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が、0.01質量%以上2質量%以下である、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、上記の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を油相中に含んでなる起泡性水中油型乳化物、およびそれを含んでなる食品が提供される。
本発明の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を使用することにより、トランス脂肪酸含量が十分に低減され、ラウリン系油脂の優れた口溶けを十分に活かした、乳化安定性が高く、起泡性、保形性等のホイップ特性が良好であり、ホイップ状態での冷凍解凍耐性が良好な起泡性水中油型乳化物を提供することができる。また、本発明の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を使用することにより、製造時のエージング工程を短縮することができるので、製造効率を上げることができる。
ソルビタン脂肪酸エステルの種類を変化させた油脂組成物のDSC曲線を示す図である。 ソルビタン脂肪酸エステルの添加量を変化させた油脂組成物のDSC曲線を示す図である。 第1の油脂と第2の油脂の混合比を変化させた油脂組成物のDSC曲線を示す図である。 XXX型トリグリセリドの含有量を変化させた油脂組成物のDSC曲線を示す図である。
定義
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに、3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1、2、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。なお、トリグリセリドの構成脂肪酸の略称として、以下を用いる。X:炭素数16〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜24の不飽和脂肪酸。
トリグリセリド組成の分析は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce5−86準拠)及び銀イオンカラム−HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)準拠)を用いて行うことができる。油脂の構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠)を用いて行うことができる。ヨウ素価は、基準油脂分析試験法(2.3.4.1−1996)に従い、ウィイス法により測定した値である。
本発明において、飽和脂肪酸Xは、炭素数が16〜24、好ましくは16〜22、より好ましくは16〜20、さらに好ましくは16〜18である。また、トリグリセリド分子に2つ又は3つの飽和脂肪酸Xが結合する場合、飽和脂肪酸Xは同一の飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和脂肪酸であってもよい。具体的には、飽和脂肪酸Xとしては、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、およびリグノセリン酸(24)が挙げられる。なお、上記の数値表記は、脂肪酸の炭素数である。
本発明において、不飽和脂肪酸Uは、炭素数が16〜24、好ましくは16〜22、より好ましくは16〜20、さらに好ましくは16〜18である。また、トリグリセリド分子に2つ又は3つの不飽和脂肪酸Uが結合する場合、不飽和脂肪酸Uは同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。具体的には、不飽和脂肪酸Uとしては、パルミトレイン酸(16:1)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、およびリノレン酸(18:3)が挙げられる。なお、上記の数値表記は、脂肪酸の炭素数と二重結合数の組み合わせである。
I.起泡性水中油型乳化物用油脂組成物
本発明において、油脂組成物は、混合油脂と、ソルビタン脂肪酸エステルとを含んでなるものである。油脂組成物は、香料、食品用乳化剤等の油溶性成分をさらに含んでもよい。食品用乳化剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル以外の乳化剤であり、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、およびレシチン等が挙げられる。
1.混合油脂
混合油脂は、第1のトリグリセリドと第2のトリグリセリドとを有するものである。混合油脂は、第3のトリグリセリドをさらに有してもよい。混合油脂の含有量は、油脂組成物の全量に対して、50質量%以上99.99質量%以下、好ましくは70質量%以上99.99質量%以下、より好ましくは90質量%以上99.99質量%以下である。
第1のトリグリセリド
第1のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が36〜38である。第1のトリグリセリドの含有量は、混合油脂の全量に対して、20質量%以上35質量%以下であり、好ましくは23質量%以上35質量%以下、より好ましくは25質量%以上33質量%以下である。なお、第1のトリグリセリドとしては、単一の種類のトリグリセリドでもよいし、複数の種類のトリグリセリドが含まれていてもよい。複数の種類が含まれる場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。第1のトリグリセリドが上記範囲程度含まれていれば、起泡性水中油型乳化物の口どけを良好にすることができる。
第2のトリグリセリド
第2のトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が50〜52である。第2のトリグリセリドの含有量は、混合油脂の全量に対して、8質量%以上44質量%以下であり、好ましくは8質量%以上38質量%以下、より好ましくは10質量%以上33質量%以下である。なお、第2のトリグリセリドとしては、単一の種類のトリグリセリドでもよいし、複数の種類のトリグリセリドが含まれていてもよい。複数の種類が含まれる場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。第2のトリグリセリドが上記範囲程度含まれていれば、起泡性水中油型乳化物の安定性とホイップ性を良好にすることができる。
第3のトリグリセリド
第3のトリグリセリドは、第1および第2のトリグリセリド以外であればよく、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数は特に限定されない。第3のトリグリセリドの含有量は、混合油脂の全量に対して、0質量%以上70質量%以下であり、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。なお、第3のトリグリセリドとしては、単一の種類のトリグリセリドでもよいし、複数の種類のトリグリセリドが含まれていてもよい。複数の種類が含まれる場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。
飽和脂肪酸含有量
本発明において、混合油脂中の飽和脂肪酸の含有量は、混合油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、60質量%以上、好ましくは70質量%以上90質量%以下、より好ましくは73質量%以上85質量%以下である。飽和脂肪酸の含有量が上記範囲程度であれば、起泡性水中油型乳化物のホイップ作業性を良好にすることができる。
トランス脂肪酸含有量
本発明の好ましい態様によれば、混合油脂中のトランス脂肪酸の含有量は、混合油脂中の全てのトリグリセリドを構成する脂肪酸の全量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下であるのがよい。トランス脂肪酸の含有量が上記範囲程度であれば、栄養学的に好ましい。
XXX型トリグリセリド含有量
本発明の好ましい態様によれば、混合油脂中の炭素数16〜24の飽和脂肪酸Xが結合したXXX型トリグリセリドの含有量は、混合油脂の全量に対して、1質量%以上15質量%以下、好ましくは2質量%以上10質量%以下、より好ましくは2質量%以上8質量%以下、さらにより好ましくは3質量%以上6質量%以下であるのがよい。XXX型トリグリセリド含有量が上記範囲程度であれば、起泡性水中油型乳化物の口解けを損なうことなく、乳化安定性を良好にすることができる。
他の好ましい態様によれば、混合油脂は、第1の油脂と、第2の油脂とを混合してなるものであり、第3の油脂をさらに混合してもよい。
第1の油脂
第1の油脂は、第1の油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、ラウリン酸を30質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上60質量%以下含有するものである。ラウリン酸が上記範囲程度含まれていれば、ラウリン系油脂の優れた口溶けを十分に活かすことができる。また、混合油脂の全量に対して、第1の油脂の含有量は、55質量%以上95質量%以下、好ましくは60質量%以上95質量%以下、より好ましくは65質量%以上90質量%以下である。第1の油脂としては、食用油脂(動植物油脂)ならびにそれを水素添加および/または分別して得られる加工油脂、例えば、パーム核油、ヤシ油、およびこれらを水素添加して得られる加工油脂等が挙げられる。なお、第1の油脂としては、単一の種類の油脂を単独で用いてもよいし、複数の種類の油脂を併用してもよい。併用する場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。
第2の油脂
第2の油脂は、第2の油脂中のトリグリセリドの全量に対して、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Xと、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸Uとが結合したX2U型トリグリセリド(XUX型とXXU型の合計)を30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上60質量%以下含有するものである。飽和脂肪酸Xの炭素数は16〜18であるのが好ましく、不飽和脂肪酸Uの炭素数は16〜18であるのが好ましい。また、好ましい態様によれば、X2U型トリグリセリドは、X2U型中、XUX型/X2U型≧0.5、好ましくはXUX型/X2U型≧0.7である。特定の炭素数を有するX2U型トリグリセリドが上記範囲程度含まれていれば、起泡性水中油型乳化物の安定性とホイップ性を改良することができる。また、混合油脂の全量に対して、第2の油脂の含有量は、5質量%以上45質量%以下、好ましくは5質量%以上40質量%以下、より好ましくは10質量%以上35質量%以下である。第2の油脂としては、食用油脂(動植物油脂)ならびにそれを水素添加、分別、およびエステル交換のうち選択される1以上の処理を施した加工油脂、例えば、パーム油を分別して得られる中融点部が挙げられる。また、他の態様によれば、第2の油脂は、ヨウ素価32以上48以下のものが好ましい。なお、第2の油脂としては、単一の種類の油脂を単独で用いてもよいし、複数の種類の油脂を併用してもよい。併用する場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。
第3の油脂
第3の油脂は、第1および第2の油脂以外であればよく、第3の油脂中のトリグリセリドに結合する脂肪酸の炭素数は特に限定されない。混合油脂の全量に対して、第3の油脂の含有量は、10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。第3の油脂としては、食用油脂(動植物油脂)ならびにそれを水素添加および/または分別して得られる加工油脂、例えば、ナタネ油、コーン油、大豆油、米油、魚油、紅花油、オリーブ油、ごま油、綿実油、乳脂、およびバター等が挙げられる。なお、第3の油脂としては、単一の種類の油脂を単独で用いてもよいし、複数の種類の油脂を併用してもよい。併用する場合には、その合計の含有量が、上記範囲内であればよい。
2.ソルビタン脂肪酸エステル
本発明において、ソルビタン脂肪酸エステルは、HLB値が3.5以上6.5以下、好ましくは3.7以上6.0以下、より好ましくは4.0以上5.5以下のものを用いる。また、ソルビタン脂肪酸エステルにおいて、結合する脂肪酸の80質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上が飽和脂肪酸である。さらに、ソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、油脂組成物の全量に対して、0.01質量%以上2質量%以下、好ましくは0.02質量%以上1.0質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下、さらに好ましくは0.07質量%以上0.5質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。ソルビタン脂肪酸エステルを、上記程度の含有量で油脂組成物に加えることで、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性が高く、起泡性や保形性等のホイップ特性を向上することができる。さらに、ソルビタン脂肪酸エステルの含有量を0.07質量%以上にすることで、エージング時間をより短縮することができる。また、HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であることで、ソルビタン脂肪酸エステルの添加量を低減することができ、エージング時間をより短縮することができる。
本発明の好ましい態様によれば、ソルビタン脂肪酸エステルに用いられる飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびベヘン酸等が挙げられ、好ましくはステアリン酸、パルミチン酸、およびベヘン酸からなる群から選択される1種以上であり、より好ましくはステアリン酸およびパルミチン酸からなる群から選択される1種以上である。これらの脂肪酸を単独で用いてもよいし、混合してもよい。脂肪酸として、ステアリン酸およびパルミチン酸を用いると、エージング時間をより短縮することができる。
3.起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の特性
本発明の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物は、液相と固相の相転移(融解・凝固)の際に生じる熱量変位(吸熱・発熱)に特徴があり、示差走査熱量測定(METTLER TOLEDO社DSC1)装置を用いて測定した場合に、特定の転移熱曲線(DSC曲線)を有するのがよい。好ましい態様によれば、油脂組成物は、融解状態(例えば、60℃、好ましくは60℃以上℃80℃以下)から−5℃/分の冷却速度で冷却した時に、冷却が5℃に到達した時点までの発熱量が、全体の発熱量に対して60%以上、好ましくは70%以上である。冷却が5℃に到達した時点までの発熱量が上記程度であれば、起泡性水中油型乳化物を製造した場合に、冷却に要する時間を短縮し、エージング工程を短縮することができ、コストを改善できる。
他の好ましい態様によれば、融解状態から−5℃/分の冷却速度で5℃まで冷却した時に、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物のDSC曲線において、発熱量のピークトップ温度は、7℃以上、好ましくは8℃以上15℃以下、さらに好ましくは9℃以上14℃以下であることが好ましい。発熱量のピークトップ温度が上記程度であれば、起泡性水中油型乳化物を製造した場合に、冷却に要する時間を短縮し、エージング工程を短縮することができ、コストを改善できる。
II.起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の製造方法
本発明の好ましい態様によれば、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物は、上記の混合油脂を溶解し、ソルビタン脂肪酸エステルと必要に応じて油溶性成分を公知の方法で均一に分散、溶解することによって製造することができる。また、他の好ましい態様によれば、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物は、第1の油脂と、第2の油脂とを溶解して混合し、ソルビタン脂肪酸エステルを公知の方法で均一に分散、溶解することによって製造することができる。好ましくは第3の油脂や必要に応じて油溶性成分をさらに混合してもよい。なお、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の全量に対して、ソルビタン脂肪酸エステルを0.01質量%以上2質量%以下、好ましくは0.02質量%以上1.0質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下、さらに好ましくは0.07質量%以上0.5質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下混合するのがよい。特に、ソルビタン脂肪酸エステルの含有量を0.07質量%以上にすることで、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を特定のDSC曲線を有するものに調整することができる。
III.起泡性水中油型乳化物
本発明の好ましい態様によれば、起泡性水中油型乳化物は、上記の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を油相に含むものである。起泡性水中油型乳化物は、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物と、水と、さらにその他の成分とを含むものである。その他の成分としては、例えば、起泡性水中油型乳化物に一般的に使用される食品、乳化剤、香料、タンパク質(乳固形分)、増粘多糖類、抗酸化剤、および色素等が挙げられる。起泡性水中油型乳化物中の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の配合量は、20質量%以上55質量%以下、好ましくは25質量%以上50質量%以下、より好ましくは30質量%以上45質量%以下である。水の配合量は、40質量%以上70質量%以下、好ましくは35質量%以上65質量%以下、より好ましくは30質量%以上60質量%以下である。その他の成分の配合量は、0.1質量%以上25質量%以下、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
用途
本発明の起泡性水中油型乳化物は、各種用途に用いることができる。各種用途としては、例えば、ホイップクリーム、コーヒーホワイトナー、および調理用の食用クリーム等があげられる。本発明の起泡性水中油型乳化物を用いた食品としては、例えば、ホイップクリームを用いたチルドデザートや和洋生菓子等が挙げられる。
IV.起泡性水中油型乳化物の製造方法
本発明の起泡性水中油型乳化物の製造方法には、公知の方法を用いることができる。一例としては、本発明の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を融解し、油溶性のその他の成分を溶解または分散させて油相を調製する。一方、水に水溶性のその他の成分を溶解または分散させて調製した水相も調製する。それぞれ調製した油相と水相を混合し、予備的に乳化させた乳化物を均質化処理することにより製造することができる。また、必要に応じて殺菌処理することもできる。均質化処理は、殺菌処理の前に行う前均質であっても、殺菌処理の後に行う後均質であってもよく、また前均質および後均質の両者を組み合わせた二段均質を行うこともできる。均質化処理の後は、冷却、エージングの工程をとることが好ましい。本発明の製造方法においては、上記のソルビタン脂肪酸エステルを上記範囲内で油相に含む起泡性水中油型乳化物を用いることで、製造工程中の冷却工程(エージング工程)を短縮することができる。
本発明の起泡性水中油型乳化物に乳脂を含有させる場合は、バターやバターオイル、調製油脂などの乳脂を含む油相を調製し、水相と合わせて乳化することにより製造することができる。また、生クリーム(乳脂肪のみから製造されるクリーム)を水相に配合し、さらにこの水相と本発明の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を含む油相とを乳化することでも製造することができる。さらに、本発明の起泡性水中油型乳化物に生クリームを混合することでも製造することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
I.起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の製造
油脂原料と、ソルビタン脂肪酸エステルとを、表1に示す配合で、ホモミキサー(プライミクス社製)により混合し、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を製造した。
油脂組成物の製造に用いた油脂原料およびソルビタン脂肪酸エステルは以下のとおりである。
第1の油脂
・パーム核油(日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が37%、総炭素数50〜52が6%、ラウリン酸47質量%、X2U型トリグリセリド0質量%、トランス脂肪酸0.1質量%)
・パーム核微水添油(日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が37%、総炭素数50〜52が6%、ラウリン酸45質量%、X2U型トリグリセリド0質量%、トランス脂肪酸4.7質量%、ヨウ素価10)
・ヤシ極度硬化油(日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が35%、総炭素数50〜52が4%、ラウリン酸47質量%、X2U型トリグリセリド0質量%、トランス脂肪酸0.0質量%)
・パーム核極度硬化油(日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が37%、総炭素数50〜52が6%、ラウリン酸47質量%、X2U型トリグリセリド0質量%、トランス脂肪酸0.0質量%)
第2の油脂
・パーム中融点部(日清オイリオグループ株式会社社内製造品、総炭素数36〜38が1%、総炭素数50〜52が89%、ラウリン酸0.2質量%、X2U型トリグリセリド68質量%、トランス脂肪酸0.5質量%、ヨウ素価45)
第3の油脂
・ナタネ油(日清オイリオグループ株式会社内製造品、総炭素数36〜38が0.6%、総炭素数50〜52が12.7%、トランス脂肪酸1.5質量%)
ソルビタン脂肪酸エステル
・S320YN(商品名:ポエムS−320YN、理研ビタミン株式会社製、HLB値:4.2、結合脂肪酸:ステアリン酸とパルミチン酸の合計で90質量%以上)
・S300V(商品名:ソルマンS−300(V)、理研ビタミン株式会社製、HLB値:5.3、結合脂肪酸:ステアリン酸とパルミチン酸の合計で90質量%以上)
・S60V(商品名:ポエムS−60V、理研ビタミン株式会社製、HLB値:5.1、結合脂肪酸:ステアリン酸とパルミチン酸の合計で90質量%以上)
・O80V(商品名:ポエムO−80V、理研ビタミン株式会社製、HLB値:4.9、結合脂肪酸:オレイン酸主体の不飽和脂肪酸85質量%以上)
・B150(商品名:ポエムB−150、理研ビタミン株式会社製、HLB値:2.5、結合脂肪酸:ベヘン酸主体の飽和脂肪酸量90質量%以上)
・S65V(商品名:ポエムS−65V、理研ビタミン株式会社製、HLB値:3.0、結合脂肪酸:ステアリン酸とパルミチン酸の合計で90質量%以上)
上記で製造した油脂組成物の配合(質量%)を表1に示す。
Figure 0005897473
II.起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の分析
例1〜6の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物について、それぞれ以下の分析を行った。
1.トリグリセリド量
油脂組成物中の混合油脂に含まれるトリグリセリドについて、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が(1)総炭素数が36〜38のトリグリセリド量と、(2)総炭素数が50〜52のトリグリセリド量と、(3)XXX型トリグリセリド量とをガスクロマトグラフ法(AOCS Ce5−86準拠、測定装置:Agilent Technologies 6890)により測定した。
2.飽和脂肪酸含有量
油脂組成物中の混合油脂に含まれる飽和脂肪酸量を脂肪酸組成は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠、測定装置:HEWLETT PACKARD HP6890)により測定した。
3.トランス脂肪酸含有量
油脂組成物中の混合油脂に含まれるトランス脂肪酸量を脂肪酸組成は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠、測定装置:HEWLETT PACKARD HP6890)により測定した。
4.相転移の際に生じる熱量変位(DSC曲線)の測定
油脂組成物を60℃から−5℃/分の冷却速度で5℃まで冷却し、相転移の際に生じる熱量変位を示差走査熱量測定(DSC)装置(METTLER TOLEDO社DSC1)により測定し、DSC曲線を得た。DSC曲線から、(1)発熱量のピークトップ温度と、(2)5℃までの発熱量/全体の発熱量(%)とを算出した。
例1〜6の油脂組成物の分析の結果を表2に示す。また、例1〜6のDSC曲線を図1に示す。
Figure 0005897473
III.ソルビタン脂肪酸エステル添加量の検討
例1の油脂組成物の混合油脂と同様の配合において、ソルビタン脂肪酸エステル(S320YN)の配合量(質量%)を0.1%から、0.2%、0.3%、および0.5%へと変化させた油脂組成物を製造した。油脂組成物の配合を表3に示す。これらの油脂組成物について、相転移の際に生じる熱量変位を示差走査熱量測定(DSC)装置(METTLER TOLEDO社DSC1)により測定し、DSC曲線を得た。結果を図2に示す。なお、参照のために、表3および図2に、例1の配合・DSC曲線を併記した。図2において、斜線部は5℃までの発熱量である。ソルビタン脂肪酸エステルの添加量が、0.1質量%以上であれば、5℃までの発熱量/全体の発熱量(%)が70%以上であることがわかる。
Figure 0005897473
例7〜9の油脂組成物の分析の結果を表4に示す。なお、参照のために、表4に、例1の油脂組成物の分析の結果を併記した。
Figure 0005897473
IV.油脂原料の配合比の検討
ソルビタン脂肪酸エステル(S320YN)0.3質量%の配合量を変えずに、油脂原料の配合比(第1の油脂と第2の油脂の混合比)を100:0、80:20、60:40、40:60、20:80に変化させた油脂組成物を製造した。油脂組成物の配合を表5に示す。これらの油脂組成物について、相転移の際に生じる熱量変位を示差走査熱量測定(DSC)装置(METTLER TOLEDO社DSC1)により測定し、DSC曲線を得た。結果を図3に示す。図3において、斜線部は5℃までの発熱量である。第1の油脂の配合量が全体の60質量%以上であれば、発熱量のピークトップの温度が、7℃以上であることがわかる。
Figure 0005897473
例10〜14の油脂組成物の分析の結果を表6に示す。
Figure 0005897473
V.XXX型トリグリセリド含有量の検討
ソルビタン脂肪酸エステル(S320YN)0.3質量%の配合量を変えずに、XXX型トリグリセリド含有量を変化させた油脂組成物を製造した。油脂組成物の配合を表7に示す。これらの油脂組成物について、相転移の際に生じる熱量変位を示差走査熱量測定(DSC)装置(METTLER TOLEDO社DSC1)により測定し、DSC曲線を得た。結果を図4に示す。なお、参照のために、表7および図4に、例11の配合・DSC曲線を併記した。図4において、斜線部は5℃までの発熱量である。
Figure 0005897473
例15〜21の油脂組成物の分析の結果を表8に示す。なお、参照のために、表8に、例11の油脂組成物の分析の結果を併記した。
Figure 0005897473
VI.起泡性水中油型乳化物の製造
例11の油脂組成物に油溶性の乳化剤(レシチン、P−100)を溶解、分散させて油相を調製した。同時に、水に、脱脂粉乳、リン酸ナトリウム、ガム製剤、および水溶性の乳化剤(S−1170)を溶解、分散させて水相を調製した。次に、水相に油相を加え、60℃〜70℃に調温しながら、ホモミキサーにて予備乳化を行い、予備乳化後6.0MPaの圧力下で均質化した。その後、85℃、15分のバッチ殺菌を行い、約10℃まで冷却した。その後5℃の冷蔵庫にて約18時間エージングを行い、例22の起泡性水中油型乳化物を得た。なお、例22は配合の合計仕込み量3kgで、最終的に2.5kgの起泡性水中油型乳化物を得た。
起泡性水中油型乳化物の製造に用いた各種乳化剤は以下のとおりである。
・レシチン:大豆レシチン(商品名:レシチンDX、日清オイリオグループ株式会社製)
・P−100:飽和脂肪酸モノグリセリド(商品名:エマルジーP−100、理研ビタミン株式会社製)
・S−1170:ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS−1170、三菱化学フーズ株式会社、HLB値:11、結合脂肪酸:ステアリン酸70%)
上記で製造した起泡性水中油型乳化物の配合(質量%)を表9に示す。
Figure 0005897473
VII.起泡性水中油型乳化物の分析・評価
例22の起泡性水中油型乳化物について、それぞれ以下の分析・評価を行った。
1.粘度
起泡性水中油型乳化物を200mlビーカーに200g計量し、品温を10℃に調整した。B型粘度計(東機産業株式会社製、BMII型式、ローターNO.2)を用いて、60rpmで回転させたときの粘度を測定した。
2.乳化安定性
起泡性水中油型乳化物を100mlビーカーに60g計量し、品温を20℃に調整した。スリーワンモーター(新東科学株式会社製、攪拌翼プロペラRを先端に付けた攪拌棒を使用)を用いて160rpmで攪拌し、起泡性水中油型乳化物が凝固・増粘する(いわゆるボテる)までの時間を計測した。起泡性水中油型乳化物が凝固・増粘するまでの時間が長いほど、乳化安定性が高いことを示す。
3.ホイップ時間
起泡性水中油型乳化物500g計量し、品温を5〜10℃に調整した。砂糖35gを加え、ホバートミキサー(ホバートジャパン社製)を用い、中速2(約120rpm)で8分立てまでホイップした後、手立てで10分立てまでホイップした。10分立てまでにかかる時間を計測した。
4.比重
10分立てした起泡性水中油型乳化物を一定の容器に詰めた起泡性水中油型乳化物の重量を測定し、下記の式で比重を算出した。
比重=ホイップ後の起泡性水中油型乳化物の重量(g)/容器の体積(ml)
5.オーバーラン
10分立てした起泡性水中油型乳化物を一定の容器に詰めた起泡性水中油型乳化物の重量を測定し、下記の式で比重を算出した。
オーバーラン=(容器の体積(ml)−ホイップ後の起泡性水中油型乳化物の重量(g))/ホイップ後の起泡性水中油型乳化物の重量(g)×100
6.硬さ
一定の容器に空洞がないように10分立てした起泡性水中油型乳化物を詰めた。レオメーター(株式会社サン科学製、CR−500DX型式)に直径2cm円盤型のプランジャーを付け、測定速度60mm/分の条件で起泡性水中油型乳化物の上面から35mmまで進入させたときにプランジャーにかかる荷重(N)を計測した。
7.口どけ
10分立てにした起泡性水中油型乳化物を食して、下記の評価基準に従って評価した。
評価基準
評価◎:非常に良好であった。
評価○:良好であった。
評価△:通常であった。
評価×:不良であった。
8.保形性
10分立てにした起泡性水中油型乳化物を花型口金つきの絞り出し袋で絞りだし、静置したときの形の変化を観察した。静置条件は、(1)5℃で24時間静置、(2)−18℃で24時間静置(解凍後観察)、の2通りで評価した。
評価基準
評価◎:非常に良好であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は変形していなかった。
評価○:良好であった。静置後の起泡性水中油型乳化物はほとんど変形していなかった。
評価△:通常であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は多少変形していた。
評価×:不良であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は変形していた。
9.離水
10分立てにした起泡性水中油型乳化物を花型口金つきのつけた絞り出し袋で絞りだし、静置したときの離水状態を観察した。静置条件は、(1)5℃で24時間静置、(2)−18℃で24時間静置(解凍後観察)、の2通りで評価した。
評価基準
評価◎:非常に良好であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は離水していなかった。
評価○:良好であった。静置後の起泡性水中油型乳化物はほとんど離水していなかった。
評価△:通常であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は多少離水していた。
評価×:不良であった。静置後の起泡性水中油型乳化物は離水していた。
例22の起泡性水中油型乳化物の分析・評価の結果を表10に示す。なお、例10の油脂組成物を用いて、例22と同様に起泡性水中油型乳化物を製造した場合には、例10の油脂組成物に第2の油脂が含まれていないため、たとえソルビタン脂肪酸エステルが含まれていても、良好な乳化安定性やホイップ性が得られない。
Figure 0005897473

Claims (10)

  1. 起泡性水中油型乳化物用油脂組成物であって、
    トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が36〜38である第1のトリグリセリドと、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が50〜52である第2のトリグリセリドとを有する混合油脂と、
    HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルと
    を含んでなり、
    前記混合油脂の全量に対して、第1のトリグリセリドの含有量が、20質量%以上35質量%以下であり、第2のトリグリセリドの含有量が、8質量%以上44質量%以下であり、前記混合油脂中の全てのトリグリセリドに結合する脂肪酸の全量に対して、飽和脂肪酸の含有量が、60質量%以上であり、
    前記油脂組成物の全量に対して、前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が、0.01質量%以上2質量%以下である、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。
  2. 前記混合油脂が、
    油脂の構成脂肪酸中にラウリン酸を30質量%以上含有する第1の油脂と、
    炭素数16〜24の飽和脂肪酸Xと、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸Uとが結合したX2U型トリグリセリドを30質量%以上含有する第2の油脂と
    を混合してなり、
    前記混合油脂の全量に対して、第1の油脂の含有量が、55質量%以上95質量%以下であり、第2の油脂の含有量が、5質量%以上45質量%以下である、請求項1に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。
  3. 前記混合油脂は、炭素数16〜24の飽和脂肪酸Xが結合したXXX型トリグリセリドの含有量が1質量%以上15質量%以下である、請求項1または2に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。
  4. 前記油脂組成物を融解状態から−5℃/分の冷却速度で冷却した時に、冷却が5℃に到達した時点までの発熱量が、全体の発熱量に対して50%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。
  5. 前記油脂組成物を融解状態から−5℃/分の冷却速度で冷却した時に、冷却が5℃に到達した時点までの発熱量が、全体の発熱量に対して60%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。
  6. 前記油脂組成物を融解状態から−5℃/分の冷却速度で5℃まで冷却した時に、前記油脂組成物のDSC曲線において、発熱量のピークトップ温度が、5℃以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。
  7. 前記油脂組成物を融解状態から−5℃/分の冷却速度で5℃まで冷却した時に、前記油脂組成物のDSC曲線において、発熱量のピークトップ温度が、7℃以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物を油相中に含んでなる、起泡性水中油型乳化物。
  9. 請求項8に記載の起泡性水中油型乳化物を含んでなる、食品。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の製造方法であって、
    トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が36〜38である第1のトリグリセリドと、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数の合計が50〜52である第2のトリグリセリドとを有する混合油脂と、
    HLB値が3.5以上6.5以下であり、かつ結合する脂肪酸の80質量%以上が飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステルと
    を混合する工程を含んでなる、起泡性水中油型乳化物用油脂組成物の製造方法。
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