JP6869662B2 - 加熱殺菌飲料用粉末油脂とそれを用いた加熱殺菌飲料 - Google Patents

加熱殺菌飲料用粉末油脂とそれを用いた加熱殺菌飲料 Download PDF

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Description

本発明は、加熱殺菌飲料用粉末油脂とそれを用いた加熱殺菌飲料に関する。
コーヒー、紅茶、ココアなどの飲料には、風味やコク味を付与するために、生クリームや牛乳などの乳成分を添加することが行われているが、コスト面や外観として白濁感を付与する点などから植物油脂が用いられるようになってきている。例えば、ミルクコーヒーなどの乳飲料における牛乳の一部を油脂に置き替えることや、乳成分を使用しない飲料を製造する際にも風味やコク味、白濁感を付与するために植物油脂を添加することが行われている。
このような植物油脂は、乳化油脂、水中油型のクリームなどとして配合することが行われている(特許文献1〜4)。これらにおいて乳化剤は、水を含む飲料への油脂の分散性、飲料に添加した際に分離した脂肪分が浮くオイルオフや、羽毛状の凝固物が生じるフェザーリングと呼ばれる現象の抑制などの観点から検討されてきた。しかし、いずれも飲料を高温で加熱殺菌した場合に油脂や乳成分などが分離、凝集した凝集物の再分散に関する技術ではない。
近年、常温保管が可能な加熱殺菌飲料が製品化され、特にレトルト殺菌、UHT殺菌などのように高温で加熱殺菌した缶入りやPETボトル入りの加熱殺菌飲料が市場に流通している。
しかし、加熱殺菌飲料は、市場に流通する間に、溶解した油脂や乳成分などが分離、凝集した凝集物が発生しやすい。容器入りの飲料にこのような凝集が生じると、時間の経過とともに浮上、合一し、容器内面に沿ったリング状の層(ネックリング)を形成する。ネックリングが生じた飲料容器を振とうしても、凝集物は飲料表面に浮上し、白色浮遊物として目視可能な状態に至る。そのため、容器を振って内容物を撹拌しても容易に分散せず容器に付着し、あるいは飲料中に剥がれ落ちて大きな白色浮遊物などが生じるという問題があった。PETボトル入りの加熱殺菌飲料では、内容物が見やすいことからネックリングの発生による外観悪化が特に問題となりやすい。また、ネックリングの発生により、撹拌しても固化した油脂が再分散しなくなると、風味や白濁感の低下への影響も懸念される。
このような点から、植物油脂を乳化して加熱殺菌飲料に配合した場合に、油脂や乳成分などが分離、凝集した凝集物の再分散性を改良し、ネックリングが発生した場合に容器を軽く振とうするだけで凝集物が白色浮遊物にならずに再分散できる技術が望まれていた。
このような点の改良を図る技術として、特許文献5には、ソルビタン脂肪酸エステルを含有する粉末油脂を使用することが提案されている。
特開平10−042801号公報 特開2009−284824号公報 特開平4−234947号公報 特開平6−209704号公報 特開2015−146737号公報
特許文献5において実施例の結果とともに具体的に開示された技術では、ソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸として、炭素数が10〜14の飽和脂肪酸、特にラウリン酸を使用している。しかしながら、加熱殺菌後の再分散性において更なる改良が望まれ、また良好な白濁感も付与することができる技術が望まれていた。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、粉末油脂を添加した飲料における加熱殺菌後の再分散性が良好で、良好な白濁感も付与することができる加熱殺菌飲料用粉末油脂とそれを用いた加熱殺菌飲料を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂は、構成脂肪酸中の炭素数12の脂肪酸の含有量が構成脂肪酸全体の質量に対して20質量%以上である油脂と、パーム油の固化開始温度を1.0℃以上上昇させるソルビタン脂肪酸エステルおよびパーム油の固化開始温度を1.0℃以上上昇させるポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種とを含有することを特徴としている。
本発明の加熱殺菌飲料は、前記加熱殺菌飲料用粉末油脂を含有する。
本発明によれば、粉末油脂を添加した飲料における加熱殺菌後の再分散性が良好で、良好な白濁感も付与することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
1.油脂
本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂に使用される油脂は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸を含む。
飽和脂肪酸(以下、Sとも表記する。)は、油脂中に含まれるすべての飽和脂肪酸である。飽和脂肪酸Sとしては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)などが挙げられる。なお、上記飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、脂肪酸の炭素数である。
不飽和脂肪酸(以下、Uとも表記する。)は、油脂中に含まれるすべての不飽和脂肪酸である。また、各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの不飽和脂肪酸Uは、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。不飽和脂肪酸Uとしては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)などが挙げられる。なお、上記不飽和脂肪酸についての括弧内の数値表記は、左側が脂肪酸の炭素数であり、右側が二重結合数を意味する。
油脂中のトリグリセリドは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有する。本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂に使用される油脂は、1位、2位、3位のすべてに飽和脂肪酸Sが結合した3飽和トリグリセリド(SSS)を含んでいてもよく、1分子のグリセロールに2分子の飽和脂肪酸Sと1分子の不飽和脂肪酸Uが結合した2飽和トリグリセリドとして、1位および3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合した対称型トリグリセリド(SUS)を含んでいてもよく、1位と2位、または2位と3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位または1位に不飽和脂肪酸Uが結合した非対称型トリグリセリド(SSU、USS)を含んでいてもよい。また、1分子のグリセロールに2分子の不飽和脂肪酸Uと1分子の飽和脂肪酸Sが結合した2不飽和トリグリセリド(SUU、UUS、USU))を含んでいてもよく、1位、2位、3位のすべてに不飽和脂肪酸Uが結合した3不飽和トリグリセリド(UUU)を含んでいてもよい。ここでトリグリセリドの1位、2位、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。
本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂に使用される油脂は、構成脂肪酸中の炭素数12の脂肪酸の含有量が構成脂肪酸全体の質量に対して20質量%以上である。この範囲内であると、パーム油の固化開始温度を1.0℃以上上昇させるソルビタン脂肪酸エステルおよびパーム油の固化開始温度を1.0℃以上上昇させるポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種の乳化剤を用いたことと相俟って、粉末油脂を添加した飲料における加熱殺菌後の再分散性が良好で、良好な白濁感も付与することができる。上記乳化剤は、加熱殺菌飲料の製造時における加熱殺菌処理などの加熱後における徐冷条件において、上記油脂の結晶化を促進し、上記油脂は結晶が微細化され、加熱殺菌後の再分散性が向上する。これらの点を考慮すると、構成脂肪酸中の炭素数12の脂肪酸の含有量は、構成脂肪酸全体の質量に対して30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。また、構成脂肪酸中の炭素数12の脂肪酸の含有量は、構成脂肪酸全体の質量に対して90質量%以下が好ましく、70質量%以上がより好ましく、55質量%以下が更に好ましい。
また、本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂に使用される油脂は、上記の点を考慮すると、構成脂肪酸中の炭素数12超の脂肪酸の含有量が構成脂肪酸中の炭素数12以下の脂肪酸の含有量に対して質量比で0.1以上4.0以下であることが好ましく、0.2以上3.7以下であることがより好ましく、0.3以上3.4以下であることが更に好ましく、0.5以上2.5以下であることが特に好ましい。
本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂に使用される油脂は、上記炭素数12の脂肪酸の含有量や、上記炭素数12超の脂肪酸の炭素数12以下の脂肪酸に対する質量比を上記範囲内とするために、ラウリン系油脂を必須としている。ラウリン系油脂は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上、好ましくは40〜55質量%、より好ましくは45〜50質量%である。このようなラウリン系油脂としては、パーム核油、ヤシ油や、その分別油や脱臭油、あるいはこれらの加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂に使用される油脂は、ラウリン系油脂とともに、その他の油脂を組み合わせて使用してもよい。その他の油脂としては、特に限定されるものではないが、パーム油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、シア脂、サル脂、マンゴー油、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂や、その分別油や脱臭油、あるいはこれらの加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂に使用される油脂は、油脂の構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を含んでもよく、含まなくてもよいが、トランス脂肪酸の摂取量が多くなると、血液中におけるLDLコレステロール量が増加しうる。よって、これを抑制しやすい点から、本発明においては、油脂の構成脂肪酸中のトランス脂肪酸の含有量は、油脂の構成脂肪酸全体の質量に対して10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることが最も好ましい。
2.乳化剤
本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂は、パーム油の固化開始温度を1.0℃以上上昇させるソルビタン脂肪酸エステルおよびパーム油の固化開始温度を1.0℃以上上昇させるポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種とを含有する。
これらのソルビタン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルは、パーム油の固化開始温度を1.0℃以上、好ましくは1.5℃以上、より好ましくは2.0〜4.0℃上昇させる。
このようなソルビタン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種を用いることで、粉末油脂を添加した飲料における加熱殺菌後の再分散性が良好で、良好な白濁感も付与することができる。上記乳化剤は、加熱殺菌飲料の製造時における加熱殺菌処理などの加熱後における徐冷条件において、上記油脂の結晶化を促進し、上記油脂は結晶が微細化され、加熱殺菌後の再分散性が向上する。
上記パーム油の固化開始温度は、示差走査熱量測定(DSC)により測定した値である。固化開始温度の測定には、示差走査熱量計(型番:DSC Q1000、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いることができる。より詳細には、パーム油(ヨウ素価53)100質量部にソルビタン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステル0.5質量部を添加し、80℃から毎分10℃の速度で冷却し、固化開始温度を測定することができる。
上記ソルビタン脂肪酸エステルは、全構成脂肪酸中の好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上がパルミチン酸とステアリン酸である。また、パルミチン酸とステアリン酸の質量比は、好ましくは0.3:1.0〜1.0:1.0であり、より好ましくは0.5:1.0〜0.8:1.0である。パルミチン酸とステアリン酸の質量比がこの範囲程度であれば、パーム油の固化開始温度を1.0℃以上上昇させることができる。
ここでパルミチン酸とステアリン酸の質量比は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」)により測定することができる。
上記ソルビタン脂肪酸エステルは、HLB値が好ましくは3.5〜7であり、より好ましくは4〜7である。HLB値がこの範囲であると、パーム油の固化開始温度を上昇させるのに適している。
ここでHLB値は、Griffin式(Atlas社法)により求めることができる。
本発明においては、上記ソルビタン脂肪酸エステルとして、市販のものを用いることができる。例えば、理研ビタミン(株)製のS−320YN、ポエムS−60V、ソルマンS−300V、およびポエムSMV−302等が挙げられる。
これらの中でも、前記ソルビタン脂肪酸エステルがモノエステルタイプまたはジエステルタイプであることが好ましく、ジエステルタイプであることがより好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトールまたはソルビトール分子内縮合物と脂肪酸とのエステル化物であり、エステル化反応は公知の方法で行うことができる。ソルビトールまたはソルビトール分子内縮合物と脂肪酸とのモル比を調整し反応させることで、脂肪酸が一つ結合したもの(モノエステル)、二つ結合したもの(ジエステル)、三つ結合したもの(トリエステル)などを得ることができるが、通常市販されているものは、エステル結合数の異なるものを含む混合物である。本発明において、モノエステルタイプとはモノエステルを最も多く含むもの、ジエステルタイプとはジエステルを最も多く含むもの、トリエステルタイプとはトリエステルを最も多く含むものを言う。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLB値が好ましくは1〜7であり、より好ましくは1〜6である。HLB値がこの範囲であると、パーム油の固化開始温度を上昇させるのに適している。
本発明においては、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、市販のものを用いることができる。例えば、阪本薬品工業(株)製のSYグリスターPS−3S、SYグリスターPS−5S、SYグリスターTHL−50、SYグリスターMS−3S、SYグリスターHB−750、SYグリスターDDB−750、三菱化学フーズ株式会社製のリョートーポリグリエステルB−70D等が挙げられる。
上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび上記ポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種の含有量は、これらのいずれかを単独で配合した場合を例として示すと次のとおりである。上記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、油脂全量に対して0.05〜20質量%であり、好ましくは0.05〜10質量%、更に好ましくは0.8〜8質量%である。上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、特に限定されないが、例えば、油脂全量に対して0.05〜20質量%であり、好ましくは0.05〜10質量%、更に好ましくは1.2〜8質量%である。含有量がこの範囲内にあれば、粉末油脂を添加した飲料における加熱殺菌後の再分散性が良好で、良好な白濁感も付与することができ、かつ、乳化剤による雑味を感じることなく風味の良好な食品を得ることができる。また、乳化剤による雑味をより感じにくいという点で、ソルビタン脂肪酸エステルがより好ましい。
上記ソルビタン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルの分析は、高速液体クロマトグラフィー質量分析法(HPLC−MS/MS)により行うことができる。
3.加熱殺菌飲料用粉末油脂
以下に、上記の油脂および乳化剤を用いた本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂の一例について説明する。
粉末油脂は、賦形剤を含む水相に、上記のような油脂を含む油相を添加し、ホモミキサーなどで攪拌後、ホモジナイザーなどで均質化することにより、水中油型乳化物とし、その後、乾燥粉末化して得ることができる。
水中油型乳化物を乾燥粉末化する方法としては、一般的に知られている噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、真空乾燥法などを用いることができる。
賦形剤は、被覆材として機能し、乾燥後の本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂は、油脂が賦形剤で覆われた(カプセル化した)形状となっている。
賦形剤としては、例えば、カゼインナトリウムなどの乳タンパクや、大豆タンパク、小麦タンパク、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、コラーゲン、ゼラチンなどのタンパク、これらタンパクの分解物、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロースなどの二糖類、オリゴ糖、デキストリン、デンプンなどの多糖類、増粘多糖類、糖アルコールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乳タンパクとしては、例えば、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、ホエイタンパク、それらの酵素分解物である乳ペプチド、ミルクプロテインコンセントレート、トータルミルクプロテインなどが挙げられる。これらの中でも、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、ホエイタンパク、乳ペプチド、酸カゼインなどの非ミセル状態であるものは、乳化安定性が向上する点で好ましい。乳タンパクの含有量は、特に限定されないが、粉末化前の乳化物の粘度を考慮すると、粉末油脂全量に対して0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜6質量%が更に好ましい。
デキストリンは、澱粉を化学的または酵素的方法により低分子化した澱粉部分加水分解物であり、市販品などを使用できる。澱粉の原料としては、コーン、キャッサバ、米、馬鈴薯、甘藷、小麦などを挙げることができる。デキストリンとして具体的には、水あめ、粉あめ、マルトデキストリン、サイクロデキストリン、焙焼デキストリン、分岐サイクロデキストリン、難消化性デキストリンなどが挙げられる。
デンプンとしては、例えば、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、緑豆デンプン、サゴデンプン、コーン、ワキシーコーン、馬鈴薯、タピオカなどを原料とし、これをエーテル化処理したカルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンや、エステル化処理したリン酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプン、湿熱処理デンプン、酸処理デンプン、架橋処理デンプン、α化処理デンプンなどが挙げられる。
増粘多糖類としては、例えば、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、ジェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、寒天、LMペクチン、HMペクチンなどが挙げられる。
賦形剤は、粉末油脂中の割合が、10〜60質量%となるように配合することが好ましく、15〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%が更に好ましい。また本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂に使用される油脂は、粉末油脂中の割合が、40〜90質量%となるように配合することが好ましく、50〜80質量%がより好ましく、60〜80質量%が更に好ましい。
粉末油脂は、必要に応じて、上記項目2で示した乳化剤の他に、他の乳化剤を配合することができる。乳化剤は、食品用であれば特に限定されるものではなく、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウムなどが挙げられる。粉末油脂に乳化剤を配合する場合、通常は、油溶性乳化剤は油相に、水溶性乳化剤は水相に配合する。油相および水相には、酸化防止剤、着色料、フレーバーなどを適宜に配合してもよい。
以下に、本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂の製造方法の一例について説明する。
乳化工程では、前記の各原材料を乳化機の撹拌槽に投入して撹拌混合した後、圧力式ホモジナイザーで均質化する。
原材料の配合比は、特に限定されるものではないが、例えば、油脂と賦形剤の合計量100質量部に対して水50〜200質量部の範囲内にすることができる。
配合手順は、特に限定されるものではないが、例えば、賦形剤を水に室温で分散後、加熱下に攪拌し、あるいは賦形剤を加熱した水に分散、攪拌して完全に溶解させた後、ホモミキサーで攪拌しながら、油脂を加熱溶解させたものを滴下して乳化することができる。
得られた乳化液は、圧力式ホモジナイザーに供給することによって油滴サイズが微細化される。例えば、市販の圧力式ホモジナイザーを用いて、10〜250kgf/cmの程度の圧力をかけて均質化し、油滴サイズを微細化することができる。
次に、均質化した乳化液を高圧ポンプで噴霧乾燥機の入口に供給し、高温熱風を吹き込み、噴霧乾燥機の槽内に上方から噴霧する。噴霧乾燥された粉末は槽内底部に堆積される。噴霧乾燥機としては、例えば、アトマイザー方式やノズル方式で噴霧するスプレードライヤーを用いることができる。
次に、噴霧乾燥された粉末を噴霧乾燥機の槽内から取り出した後、振動流動槽などにより搬送しながら冷風で冷却することによって、粉末油脂を製造することができる。なお、適宜のときに加熱殺菌工程などを設けることもできる。
このような本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂は水中油型乳化物を乾燥したものであり、水に添加すると元の水中油型乳化物となり、油滴が再分散した状態となる。油滴のメディアン径は、例えば0.1〜2.5μmであり、好ましくは、0.3〜2μmであり、より好ましくは、0.5〜1.2μmである。
4.加熱殺菌飲料
本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂は、加熱殺菌飲料に配合して用いられる。加熱殺菌飲料に配合する本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂の配合量としては、製品の種類や目的によっても異なるが、例えば、0.01〜40質量%が挙げられ、0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.01〜3質量%が更に好ましい。
加熱殺菌飲料としては、特に限定されるものではないが、例えば、コーヒー飲料、ココア飲料、チョコレート飲料、紅茶飲料、茶飲料、麦芽飲料、野菜飲料、スープ飲料(コーンポタージュ等)、おしるこ飲料、乳性飲料、酸性飲料などが挙げられる。これらの飲料は、乳脂や乳タンパク質などの乳成分を含有していてもよい。
本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂を配合することで、加熱殺菌飲料に風味やコク味、例えば味(酸味、塩味、および苦味など)のカドがとれたまろやかな風味を付与することができる。また、加熱殺菌飲料に良好な白濁感を付与することができる。
加熱殺菌飲料を収容する容器は、殺菌方法や保存方法に合わせて適宜選択すればよく、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、アルミ缶、スチール缶などの金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の包装容器などが挙げられる。
加熱殺菌飲料は、各種飲料に加熱による殺菌を行ったものである。加熱殺菌方法としては、例えば、レトルト殺菌法、超高温殺菌法(UHT法)、高温短時間殺菌法(HTST法)などが挙げられる。
加熱殺菌飲料の容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することができる。例えば、金属缶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合には、レトルト殺菌を用いることができる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、飲料に対して瞬間殺菌を行った後、直ちに常温まで冷却し、無菌の容器へ無菌環境下で充填することができる。
レトルト殺菌は、飲料を金属缶などの耐熱性容器に充填し、レトルト殺菌機により行うことができる。UHT殺菌は、高温まで加熱して短時間殺菌した後、無菌条件下で殺菌処理された保存容器に充填する方法であり、直接加熱方式であってもよいし、間接加熱方式であってもよい。直接加熱方式とは、処理液への伝熱が液と蒸気とを加圧下で混合させ、その蒸発潜熱を瞬間的に処理液に伝え、希釈された液の水分を減圧容器内で真空蒸発させ、冷却しながらもとの濃度に戻す方式をいい、インジェクションヒーター、インフュージョンヒーターなどが挙げられる。間接加熱方式とは、最終加熱部で処理液への伝熱が金属壁を経て間接的に行われる方式をいい、プレート式、チューブ式などが挙げられる。
加熱殺菌の条件は、飲料の特性や使用する保存容器に応じて適宜選択すればよいが、レトルト殺菌の場合、通常110〜130℃で10〜30分程度、好ましくは120〜125℃で10〜20分間程度の条件であり、UHT殺菌の場合、通常120〜150℃で1〜120秒間程度、好ましくは130〜145℃で30〜120秒間程度の条件である。
本発明の加熱殺菌飲料用粉末油脂は、上記のような方法で加熱殺菌処理した場合に、油脂や乳成分などが分離、凝集した凝集物の再分散性に優れている。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1および表2の油脂および乳化剤の配合量は質量部を示す。
(1)測定方法
各油脂の融点は、基準油脂分析法(公益社団法人日本油化学会)の「3.2.2.2−2013 融点(上昇融点)」で測定した。
全油脂における構成脂肪酸中の炭素数12の脂肪酸の含有量(構成脂肪酸全体の質量を基準とし、表1および表2では「C12脂肪酸の含有量」と表記している。)と、構成脂肪酸中の炭素数12超の脂肪酸の含有量/構成脂肪酸中の炭素数12以下の脂肪酸の含有量(表1および表2では「C12超の脂肪酸の含有量/C12以下の脂肪酸の含有量」と表記している。)は、次の方法で求めた。全油脂における各炭素数の構成脂肪酸の含有量を、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」)で測定した。なお、これらの含有量は、上記試験法のとおりガスクロマトグラフィーで測定した全ピーク面積である油脂全量(油脂の構成脂肪酸全体の質量)を基準としている。得られた構成脂肪酸の含有量より、C12脂肪酸の含有量と、上記質量比(C12超の脂肪酸の含有量/C12以下の脂肪酸の含有量)を求めた。
(2)粉末油脂の作製
表1および表2に示す各油脂のうち、パーム核極度硬化油のエステル交換油脂は、次の方法で作製した。
パーム核極度硬化油(融点44℃)を110℃に加熱し、十分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、更に脱臭を行って、パーム核極度硬化油のエステル交換油脂(融点33℃)を得た。
表1および表2に示す乳化剤のうち、ソルビタン脂肪酸エステル1〜6、ポリグリセリン脂肪酸エステル1〜4、およびポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは次のものを用いた。なお、表1および表2に示す乳化剤量は、油脂に対する量である。
(ソルビタン脂肪酸エステル1)
S−320YN (理研ビタミン(株)製) ジエステルタイプ
パーム油の固化開始温度の上昇値 3.0℃
パルミチン酸とステアリン酸の合計含有量 98.1質量%
パルミチン酸/ステアリン酸(質量比) 0.8
HLB 4.2
(ソルビタン脂肪酸エステル2)
ポエムS−60V (理研ビタミン(株)製) モノエステルタイプ
パーム油の固化開始温度の上昇値 2.0℃
パルミチン酸とステアリン酸の合計含有量 98.6質量%
パルミチン酸/ステアリン酸(質量比) 0.9
HLB 5.1
(ソルビタン脂肪酸エステル3)
ソルマンS−300V(理研ビタミン(株)製) モノエステルタイプ
パーム油の固化開始温度の上昇値 2.9℃
パルミチン酸とステアリン酸の合計含有量 98.7質量%
パルミチン酸/ステアリン酸(質量比) 0.5
HLB 5.3
(ソルビタン脂肪酸エステル4)
ポエムO−80V (理研ビタミン(株)製) モノエステルタイプ
パーム油の固化開始温度の上昇値 0.7℃
パルミチン酸とステアリン酸の合計含有量 0質量%
HLB 4.9
(ソルビタン脂肪酸エステル5)
ポエムS−65V (理研ビタミン(株)製) トリエステルタイプ
パーム油の固化開始温度の上昇値 0.8℃
パルミチン酸とステアリン酸の合計含有量 98.0質量%
パルミチン酸/ステアリン酸(質量比) 0.9
HLB 2.5
(ソルビタン脂肪酸エステル6)
ソルビタンラウレート ジエステルタイプ
パルミチン酸とステアリン酸の合計含有量 1.3質量%
パルミチン酸/ステアリン酸(質量比) 0.86
ラウリン酸含有量 98.4質量%
パーム油の固化開始温度の上昇値 −0.47℃
(ポリグリセリン脂肪酸エステル1)
SYグリスターPS−3S (阪本薬品工業(株)製)
パーム油の固化開始温度の上昇値 1.42℃
HLB 2.6
(ポリグリセリン脂肪酸エステル2)
SYグリスターTHL−50 (阪本薬品工業(株)製)
パーム油の固化開始温度の上昇値 1.12℃
(ポリグリセリン脂肪酸エステル3)
SYグリスターMS−3S (阪本薬品工業(株)製)
パーム油の固化開始温度の上昇値 3.65℃
(ポリグリセリン脂肪酸エステル4)
SYグリスターTHL−44 (阪本薬品工業(株)製)
パーム油の固化開始温度の上昇値 0.14℃
(ポリグリセリン縮合リシノ−ル酸エステル)
SYグリスターCR−ED (阪本薬品工業(株)製)
パーム油の固化開始温度の上昇値 0.11℃
乳化剤(ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、またはポリグリセリン縮合リシノール酸エステル)を添加したパーム油の固化開始温度(℃)の上昇値は、以下のようにして測定した。まず、パーム油(ヨウ素価53)100質量部に乳化剤0.5質量部を添加し、それをアルミニウムパンに3.5mg量り取った測定用パンと、何も入れない空のアルミニウムパン(リファレンス)を用いて、示差走査熱量計(型番:DSC Q1000、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)で以下の条件で固化開始温度を測定した。
次に、同様にして、乳化剤を添加していないパーム油の固化開始温度を測定した。
乳化剤を添加したパーム油の固化開始温度と乳化剤を添加していないパーム油の固化開始温度の差を、パーム油の固化開始温度(℃)の上昇値とした。
固化開始温度(℃)の上昇値=(ソルビタン脂肪酸エステルを添加したパーム油の固化開始温度)−(ソルビタン脂肪酸エステルを添加していないパーム油の固化開始温度)
固化開始温度(℃)の上昇値=(ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したパーム油の固化開始温度)−(ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加していないパーム油の固化開始温度)
固化開始温度(℃)の上昇値=(ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを添加したパーム油の固化開始温度)−(ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを添加していないパーム油の固化開始温度)
(測定条件)
示差走査熱量計のセル内の温度を80℃まで昇温し、5分間保持し、完全にサンプルを溶解させた。その後、毎分10℃(10℃/min.)で80℃から−40℃まで降温させ、その過程における固化開始温度(発熱ピークにおける発熱開始温度)を測定した。固化開始温度は、ベースラインとピークとの接線における交点とした。
<粉末油脂の作製>
表1および表2に示す油脂を70℃に調温後、表1および表2に示す乳化剤を添加し、油相35質量%を調製した。水50質量%を60℃に調温し、賦形剤としてデキストリンを13質量%、カゼインナトリウムを2質量%添加し水相を調製した。油相を70℃で、水相を60℃で保持し、ホモミキサーで攪拌しながら水相に油相の全量を添加し、水中油型に乳化させた後、ホモジナイザーで150kgf/cmの圧力をかけて均質化し、水中油型乳化物を得た。得られた水中油型乳化物をノズル式スプレードライヤーを用いて、水分1.5質量%を目標に噴霧乾燥し、粉末油脂を得た(噴霧乾燥条件:入口温度210℃)。
比較例9は、表2に示す油脂を70℃に調温後、表2に示す乳化剤を添加し、乳化剤が完全に溶けるまで撹拌し、油脂組成物を調製した。調製した油脂組成物を、下記評価ではこの油脂組成物を飲料のコーンポタージュまたはコーヒーに添加した。
(3)評価
(3−1)コーンポタージュの評価
<コーンポタージュの作製>
下記に示す配合でコーンポタージュを作製した。
〈コーンポタージュの配合〉
スイートコーン缶詰 200質量部
牛乳 200質量部
実施例1〜17、比較例1〜8のいずれかの粉末油脂 5質量部、
または比較例9の油脂組成物 3.5質量部
食塩 少々
〈コーンポタージュの作製、保管方法〉
(1) 上記配合で各成分を混合し、ホモミキサーで撹拌(5000rpm、10分間)しながら80℃に加熱しコーンポタージュを作製した。
(2) 湯煎により85℃で数分間、予備加熱した。
(3) コーンポタージュをメジウムビンに充填後、オートクレーブ(121℃、20分)にかけた。
(4) 40℃で1週間保管した。
[再分散性]
上記条件で保管したコーンポタージュ入りメジウムビンを転倒撹拌した後、液面の状態(液面に凝集している凝集物(ネックリング))を目視にて、以下の基準により評価した。
評価基準
◎:撹拌前にあった液面の浮遊物がきれいに分散している。
○:撹拌前にあった液面の浮遊物の一部がわずかに残っている。
△:撹拌前にあった液面の浮遊物の一部が残っている。
×:撹拌前にあった液面の浮遊物の一部が多く残っている。
[白濁感]
上記条件で保管後のコーンポタージュの液色を目視し、以下の基準で白濁感を評価した。
評価基準
◎:強く白濁している。
○:白濁している。
△:少し白濁している。
×:あまり白濁していない。
[コク味]
上記条件で保管後のコーンポタージュをパネル20名により喫飲し、油脂の風味が良く出ていて、良好なコク味があるかどうかを以下の基準で官能評価した。
パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性8名、女性12名を選抜した。
評価基準
◎:20名中16名以上が、良好であると評価した。
○:20名中10名〜15名が、良好であると評価した。
△:20名中6名〜9名が、良好であると評価した。
×:20名中5名以下が、良好であると評価した。
[喉ごし]
上記条件で保管後のコーンポタージュをパネル20名により喫飲し、喉通りが良く、飲みこんだ後の油脂のしつこさがなく、良好な喉ごしであるかを以下の基準で官能評価した。
パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性8名、女性12名を選抜した。
評価基準
◎:20名中16名以上が、良好であると評価した。
○:20名中10名〜15名が、良好であると評価した。
△:20名中6名〜9名が、良好であると評価した。
×:20名中5名以下が、良好であると評価した。
[コーンポタージュの風味]
上記条件で保管後のコーンポタージュをパネル20名により喫飲し、乳化剤のエグ味がなく、良好なコク味があり、コーンポタージュ本来の良好な風味があるかどうかを以下の基準で官能評価した。
パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性8名、女性12名を選抜した。
評価基準
◎:20名中16名以上が、良好であると評価した。
○:20名中10名〜15名が、良好であると評価した。
△:20名中6名〜9名が、良好であると評価した。
×:20名中5名以下が、良好であると評価した。
(3−2)コーヒーの評価
<コーヒーの作製>
下記に示す配合でコーヒーを作製した。
〈コーヒー調整液の配合〉
インスタントコーヒー 20質量%
水 80質量%
〈コーヒーの配合〉
コーヒー調整液 5.00質量%
グラニュー糖 6.00質量%
実施例1〜17、比較例1〜8のいずれかの粉末油脂 1.00質量%、
または比較例9の油脂組成物 0.70質量%
P−1670(※1) 0.050質量%
ポエムB−15V(※2) 0.03質量%
カゼインナトリウム 0.050質量%
水 87.870質量%
※1 ショ糖パルミチン酸エステル 三菱化学フーズ株式会社製
※2 コハク酸グリセリン脂肪酸エステル 理研ビタミン株式会社製
〈コーヒーの作製、保管方法〉
(1) コーヒー調整液を上記配合で作製した。インスタントコーヒーをお湯に溶かして、リン酸水素二ナトリウム、炭酸水素ナトリウムでpH6.8に調整し(初期pH4.8程度)、コーヒー調整液を得た。
(2) 60℃のお湯にコーヒー調整液以外の上記各成分を入れて、ホモミキサー(5000rpm、10min)で予備乳化した。
(3) 得られた予備乳化液にコーヒー液を混合し、撹拌した(最終コーヒーBrix1.2〜1.4程度を目標とした)。
(4) 高圧ホモジナイザー(15MPa/4MPa、2パス)にかけ、均質化した。目標粒子径は0.6〜0.7μmとした。
(5) 湯煎により85℃で数分間、予備加熱した。
(6) コーヒーをメジウムビンに充填後、オートクレーブ(121℃、20分)にかけた。
(7) 40℃で4週間、0℃で1週間保管した。
[再分散性]
上記条件で保管したコーヒー入りメジウムビンを転倒撹拌した後、液面の状態(液面に凝集している凝集物(ネックリング))を目視にて、以下の基準により評価した。
評価基準
◎:撹拌前にあった液面の浮遊物がきれいに分散している。
○:撹拌前にあった液面の浮遊物の一部がわずかに残っている。
△:撹拌前にあった液面の浮遊物の一部が残っている。
×:撹拌前にあった液面の浮遊物の一部が多く残っている。
[白濁感]
上記条件で保管後のコーヒーの液色を目視し、以下の基準で白濁感を評価した。
評価基準
◎:強く白濁している。
○:白濁している。
△:少し白濁している。
×:あまり白濁していない。
[コク味]
上記条件で保管後のコーヒーをパネル20名により喫飲し、油脂の風味が良く出ていて、良好なコク味があるかどうかを以下の基準で官能評価した。
パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性8名、女性12名を選抜した。
評価基準
◎:20名中16名以上が、良好であると評価した。
○:20名中10名〜15名が、良好であると評価した。
△:20名中6名〜9名が、良好であると評価した。
×:20名中5名以下が、良好であると評価した。
[コーヒーの風味]
上記条件で保管後のコーヒーをパネル20名により喫飲し、乳化剤のエグ味がなく、良好なコク味があり、コーヒー本来の良好な風味があるかどうかを以下の基準で官能評価した。
パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性8名、女性12名を選抜した。
評価基準
◎:20名中16名以上が、良好であると評価した。
○:20名中10名〜15名が、良好であると評価した。
△:20名中6名〜9名が、良好であると評価した。
×:20名中5名以下が、良好であると評価した。
評価結果を表1および表2に示す。
Figure 0006869662
Figure 0006869662

Claims (2)

  1. 構成脂肪酸中の炭素数12の脂肪酸の含有量が構成脂肪酸全体の質量に対して20質量%以上である油脂と、
    パーム油の固化開始温度を1.0℃以上上昇させるソルビタン脂肪酸エステルとを含有し、
    前記ソルビタン脂肪酸エステルは、全構成脂肪酸中の80質量%以上がパルミチン酸とステアリン酸であり、かつ、パルミチン酸とステアリン酸の質量比が、0.3:1.0〜1.0:1.0であり、
    前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、油脂全量に対して0.8〜8質量%である加熱殺菌飲料用粉末油脂。
  2. 請求項1に記載の加熱殺菌飲料用粉末油脂を含有する加熱殺菌飲料。
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