JP2015146754A - 粉末油脂とそれを用いた飲食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期保存しても液状油の染みだしが起こりにくく、風味と口溶けが良好で、かつ長期に渡り良好な風味を維持することができる粉末油脂とそれを用いた飲食品を提供する。
【解決手段】油脂に粉末化基材が被覆された粉末油脂であって、油脂として、パーム核油とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有し、油脂における、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計量が15〜85質量%、全構成脂肪酸中のラウリン酸量が15.0質量%以下であることを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品や飲料等の素材として使用され、油脂に粉末化基材が被覆された粉末油脂とそれを用いた飲食品に関する。
粉末油脂は、製菓製パン、スープ類、ソース類、飲料、フライバッター、スナック惣菜類、水産練り製品、畜肉製品、ミックス粉等の素材として使用されている。
この粉末油脂は、油脂に乳蛋白や糖質等の粉末化基材が被覆されたもので、粉末化基材を含む水相と油相とを攪拌、均質化することにより水中油型乳化物とし、その後、乾燥粉末化して得ることができる。
この粉末油脂は、食品や飲料等の素材として、美味しさをだすために風味が良好であることや、口に入れた際に速やかに溶ける口溶け感が良好であることが求められる。またパンなどの焼成品では歯切れの良さが好まれることが多く、スープ類や飲料では、喉ごしや風味の良さが好まれることが多い。また、粉末油脂はその形状上、クラフト袋に入れて積み重ねられて保管、流通されることが多く、荷重により液状油が染みださないことが求められる。保存時に油脂中の2不飽和トリグリセリド及び3不飽和トリグリセリド等の低融点トリグリセリドの液状油が染みだすと、粉末油脂の粉体特性が悪化して秤量や混合等の際にハンドリング性が低下し、あるいは商品価値を損なう懸念があることから、長期保存しても液状油の染みだしが起こりにくいことが求められる。
従来、粉末油脂として次のような技術が提案されている。
特許文献1には、パームステアリンのエステル交換油脂とパーム核極度硬化油とを組み合わせた油脂を使用することが提案されている。酸化安定性等の改善を図ったものであるが、ラウリン酸量が多いため長期保存すると石鹸臭が発生し風味が低下する。
特許文献2には、融点30〜60℃のパーム系油脂と中鎖飽和脂肪酸油(MCT)とのエステル交換油脂を使用することが提案されている。
特開2013−255440号公報 特開2005−168356号公報 特開2005−218307号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術はパーム系油脂を使用した粉末油脂について中鎖飽和脂肪酸油で特性の改善を図ったものであるが、中鎖飽和脂肪酸油は食品用として使用するには価格が高い。そのため、長期保存しても液状油の染みだしや低温での異臭の発生が起こりにくく、風味や口溶けの良好な粉末油脂を低コストで製造する技術が望まれている。
なお、特許文献3は、前記のような粉末油脂に関するものではないが、パーム系油脂とラウリン系油脂とのエステル交換油脂を、乳成分を主としてなる粉末原料に噴霧して家畜用代用乳を製造する技術が提案されている。0℃以下の低温で保存しても代用乳の固結を抑制することを目的とし、ラウリン系油脂としてはヤシ油を使用した例が開示されているが、エステル交換油脂にヤシ油を使用しているため、長期保存すると油脂の劣化臭が発生し風味が低下する。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、長期保存しても液状油の染みだしが起こりにくく、風味と口溶けが良好で、かつ長期に渡り良好な風味を維持することができる粉末油脂とそれを用いた飲食品を提供することを主な課題としている。
また本発明は、前記の課題に加えて、粉末油脂を素材に使用した焼成品の歯切れと口溶けや、スープ類や飲料の喉ごし、コク味、油浮きを改善することを課題としている。
前記の課題を解決するために、本発明の粉末油脂は、油脂に粉末化基材が被覆された粉末油脂であって、油脂として、パーム核油とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有し、油脂における、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計量が15〜85質量%、全構成脂肪酸中のラウリン酸量が15.0質量%以下であることを特徴としている。
この粉末油脂において、油脂における3飽和トリグリセリドの含有量が5.0〜50質量%、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの質量比(2飽和トリグリセリド/3飽和トリグリセリド)が0.50以上であることが好ましい。
この粉末油脂において、2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.35〜1.50であることが好ましい。
本発明の飲食品は、前記の粉末油脂を素材に用いて得られる。この飲食品は、前記の粉末油脂を素材に用いた生地を焼成して得られる焼成品、或いは、スープ又は飲料であることが好ましい。
本発明の粉末油脂によれば、荷重がかかっても液状油の染みだしが起こりにくく、風味と口溶けが良好で、かつ長期に渡り良好な風味を維持することができる。更に、この粉末油脂を焼成品に使用した場合には、歯切れと口溶けが良好であり、スープ類や飲料に使用した場合には、喉ごし、コク味が良好であり、油浮きを抑制できる。
本発明の粉末油脂は、核発生を誘発し、他の油脂との相溶性が良いエステル交換油脂を含有するため、低融点トリグリセリドの染みだしが起こりにくく、かつ2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドの合計量を特定範囲としていることと相俟って、荷重がかかっても液状油の染みだしが起こりにくい。そして油脂全体としてラウリン酸量が少ないため石鹸臭などの異臭の発生が起こりにくく、良好な風味を長期に渡り維持することができ、更に口溶けも良好であることを特徴としている。
以下に、本発明を詳細に説明する。
1−1.エステル交換油脂(A)
本発明の粉末油脂において油脂に使用されるエステル交換油脂(A)は、パーム核油(A1)と、パーム系油脂(A2)とのエステル交換油脂である。
エステル交換油脂(A)は、パーム核油(A1)5質量%以上80質量%以下と、パーム系油脂(A2)20質量%以上95質量%以下とをエステル交換して得られたものであることが好ましく、パーム核油(A1)5質量%以上30質量以下とパーム系油脂(A2)70質量%以上95質量%以下とをエステル交換して得られたものであることがより好ましく、パーム核油(A1)10質量%以上30質量%未満とパーム系油脂(A2)70質量%超90質量%以下とをエステル交換して得られたものであることが更に好ましい。
特に、粉末油脂からの液状油の染みだしや異臭の発生が起こりにくく、風味や口溶けも良好である点を考慮すると、エステル交換油脂(A)は、全構成脂肪酸中の炭素数12〜14の飽和脂肪酸の含有量が7〜20質量%であることが好ましい。また、全構成脂肪酸中の炭素数18の不飽和脂肪酸の含有量が18〜40質量%であることが好ましい。
またエステル交換油脂(A)は、全構成脂肪酸中の炭素数16〜18の飽和脂肪酸の含有量が好ましくは40〜60質量%である。
そしてエステル交換油脂(A)は、ヨウ素価が20〜45であることが好ましい。この範囲内であると、核発生を誘発し、そして他の油脂との相溶性が良いため、2不飽和トリグリセリド及び3不飽和トリグリセリド等の低融点トリグリセリドの染みだしが起こりにくく、粉末油脂からの液状油の染みだしを抑制できる。
以上の他に、荷重がかかっても粉末油脂からの液状油の染みだしが起こりにくく、風味と口溶けが良好で、かつ長期に渡り良好な風味を維持することができる点を考慮すると、パーム核油(A1)とパーム系油脂(A2)とを前記の質量範囲でエステル交換して得られるエステル交換油脂(A)は、次のものが好ましい。
エステル交換油脂(A)は、構成脂肪酸の総炭素数が40〜46であるトリグリセリドの割合が15〜35質量%であることが好ましく、20〜35質量%であることがより好ましい。
エステル交換油脂(A)は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称トリグリセリド(SUS)と非対称トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55であることが好ましい。
エステル交換油脂(A)は、油脂の全構成脂肪酸中、ラウリン酸量のステアリン酸量に対する質量比(ラウリン酸量/ステアリン酸量)が好ましくは0.2〜0.7、より好ましくは0.4〜0.6であり、かつ炭素数18の不飽和脂肪酸量の炭素数18の飽和脂肪酸量に対する比率(C18の不飽和脂肪酸量/C18の飽和脂肪酸量)が好ましくは0.5〜4.0、より好ましくは1.0〜2.0である。
エステル交換油脂(A)は、5℃におけるSFCが55〜80%であることが好ましい。また35℃におけるSFCが15%以上であることが好ましく、15〜30%であることがより好ましい。なお、5℃及び35℃のSFCは、基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)」により測定することができる。
1−2.パーム核油(A1)
以上のようなエステル交換油脂(A)の原料であるパーム核油(A1)は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上、好ましくは40〜55質量%、より好ましくは45〜50質量%である。パーム核油(A1)としては、パーム核油、その分別油及び硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム核油(A1)は、長期保存してもヤシ油に比べて風味の低下を抑制できる。
これらの中でも、パーム核油(A1)は、ヨウ素価が2以下であることが好ましい。ヨウ素価が2以下のパーム核油(A1)を用いると、エステル交換油脂(A)は、核発生を誘発し、そして他の油脂との相溶性が良いため、2不飽和トリグリセリド及び3不飽和トリグリセリド等の低融点トリグリセリドの液状油の染みだしを抑制できる。ヨウ素価が2以下のパーム核油(A1)としては、極度硬化油を用いることができる。
また、パーム核油(A1)は、融点が34〜50℃であることが好ましく、40〜50℃がより好ましい。融点が34〜50℃のパーム核油(A1)を用いると、エステル交換油脂(A)は、核発生を誘発し、そして他の油脂との相溶性が良いため、2不飽和トリグリセリド及び3不飽和トリグリセリド等の低融点トリグリセリドの液状油の染みだしを抑制できる。なお、ここでパーム核油(A1)の融点は、基準油脂分析試験法の2.2.4.2−1996により測定することができる。
1−3.パーム系油脂(A2)
エステル交換油脂(A)の原料であるパーム系油脂(A2)は、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上である。
このようなパーム系油脂(A2)としては、パーム油、パーム分別油、及びこれらの硬化油、エステル交換油脂等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部(パームステアリン等)、軟質部(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、中融点部(PMF等)等を用いることができる。これらの中でも、ヨウ素価45〜65のパーム系油脂を使用することが好ましく、このようなパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別軟質油、パーム分別中融点油等が挙げられる。
パーム系油脂(A2)として硬化油を使用する場合、部分硬化油、低温硬化油、極度硬化油等を用いることができるが、中でも極度硬化油が好ましい。
パーム系油脂(A2)は、ヨウ素価が30〜55であることが好ましく、30〜40であることがより好ましい。この範囲内であると、口溶けが良好で、かつ長期保存しても粉末油脂からの液状油の染みだしを抑制できる。
パーム系油脂(A2)は、極度硬化油をパーム系油脂(A2)の合計量に対して5〜45質量%の範囲内で含有することが好ましく、20〜40質量%の範囲内で含有することがより好ましい。極度硬化油をこの範囲内で含有すると、長期保存しても粉末油脂からの液状油の染みだしを抑制できる。
パーム核油(A1)と、パーム系油脂(A2)とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定し固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、パーム核油(A1)とパーム系油脂(A2)とのエステル交換反応が完了すると、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂(A)中における質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55となる。
エステル交換に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間攪拌することでパーム核油(A1)とパーム系油脂(A2)とのエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂(A)を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂(A)を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭等の精製を行うことができる。
パーム核油(A1)における全構成脂肪酸中のラウリン酸の割合、パーム系油脂(A2)における全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量、エステル交換反応の終了は、ガスクロマトグラフ法により確認することができる。
本発明の粉末油脂は、油脂におけるエステル交換油脂(A)の含有量が、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。
2.油脂(B)
本発明の粉末油脂は、エステル交換油脂(A)を必須成分として、これに加えて、構成脂肪酸の総炭素数が46であるトリグリセリドと構成脂肪酸の総炭素数が48であるトリグリセリドとの合計割合が油脂全体の質量に対して1〜25質量%である油脂(B)を併用することができる。
このような油脂(B)を使用すると、エステル交換油脂(A)を用いて油脂成分のトリグリセリド組成や全構成脂肪酸中のラウリン酸量を本発明の範囲内に調整することが容易であり、かつ、エステル交換油脂(A)との相溶性が良いため、長期保存しても粉末油脂からの液状油の染みだしが起こりにくい。更に風味と口溶けが良好で、かつ長期に渡り良好な風味を維持することができる。
油脂(B)は、飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.1〜2.5であることが好ましい。この範囲内であると、エステル交換油脂(A)と混合して得られる油脂における、前述の対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)を0.35〜1.50に調整することが容易である。
油脂(B)としては、パーム系油脂や、ラード、牛脂、乳脂、ヤシ油、パーム核油、及びこれらの分別油や部分硬化油、菜種部分硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらの中でも、パーム系油脂及びラードから選ばれる少なくとも1種の油脂を用いることが好ましい。
ここでパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油、及びこれらの硬化油、エステル交換油脂等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部(パームステアリン等)、軟質部(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、中融点部(PMF等)等を用いることができる。
パーム系油脂は、特に相溶性と口溶けの点から、ヨウ素価45〜65のパーム系油脂を使用することが好ましく、このようなパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別軟質油、パーム分別中融点油、及びこれらのエステル交換油脂等が挙げられる。
油脂(B)を使用する場合、その含有量は、油脂全体の質量に対して70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、5〜55質量%が更に好ましい。
3.液状油(C)及び極度硬化油(D)
本発明の粉末油脂において油脂には、エステル交換油脂(A)を必須成分として、これに加えて、液状油(C)を併用することができる。液状油(C)は、エステル交換油脂(A)を用いて油脂のトリグリセリド組成や全構成脂肪酸中のラウリン酸量を本発明の範囲内に調整することができる。また、エステル交換油脂(A)を使用することで、長期保存しても粉末油脂から液状油(C)が染みだすことを抑制できる。
液状油(C)は、5℃で流動状を呈する油脂であり、菜種油、大豆油、コーン油、米油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
液状油(C)を使用する場合、その含有量は、油脂全体の質量に対して80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
本発明の粉末油脂において油脂には、エステル交換油脂(A)を必須成分として、これに加えて、極度硬化油(D)を併用することができる。極度硬化油(D)は、エステル交換油脂(A)を用いて油脂のトリグリセリド組成や全構成脂肪酸中のラウリン酸量を本発明の範囲内に調整することができる。
極度硬化油(D)としては、ヤシ極度硬化油、パーム極度硬化油、パーム核極度硬化油、菜種極度硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
極度硬化油(D)を使用する場合、その含有量は、油脂全体の質量に対して10質量%以下が好ましい。
4.油脂組成
本発明の粉末油脂は、油脂における、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計量が15〜85質量%である。この範囲内であると、長期保存しても粉末油脂からの液状油の染みだしを抑制でき、かつ口溶けが良好である。この合計量が15質量%以上であると長期保存しても粉末油脂からの液状油の染みだしを抑制でき、85質量%以下であると口溶けが良好である。
油脂は、3飽和トリグリセリドの含有量が5.0〜50質量%であることが好ましく、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの質量比(2飽和トリグリセリド/3飽和トリグリセリド)が0.50以上であることが好ましい。これらの範囲内であると、長期保存しても粉末油脂からの液状油の染みだしを抑制でき、かつ口溶けが良好である。
油脂は、全構成脂肪酸中のラウリン酸量が15.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましい。ラウリン酸量がこの範囲内であると、長期保存しても石鹸臭の発生が抑制され風味が長期に渡り良好で、かつ口溶けが良好である。
油脂は、2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.35〜1.50であることが好ましい。この範囲内であると、本発明の粉末油脂を素材に使用した焼成品の口溶けと歯切れ、飲料の喉ごしがよく、油浮きが抑制される。SUS/SSUが1.50以下であると、焼成品の歯切れが良好になる。
トランス型脂肪酸は動脈硬化症のリスクを増加させると言われており、健康への影響が懸念される点を考慮し、本発明の粉末油脂の油脂は、トランス酸量が0.1〜5質量%であることが好ましい。
5.粉末油脂
本発明の粉末油脂は、粉末化基材を含む水相に油相を添加し、ホモミキサー等で攪拌後、ホモジナイザー等で均質化することにより、水中油型乳化物とし、その後、乾燥粉末化して得ることができる。
水中油型乳化物を乾燥粉末化する方法としては、一般的に知られている噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、真空乾燥法等を用いることができる。
粉末化基材は、被覆材として機能し、乾燥後の本発明の粉末油脂は、油脂が粉末化基材で覆われた(カプセル化した)形状となっている。
粉末化基材としては、乳蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白、全脂粉乳、脱脂粉乳、小麦粉、デンプン、ゼラチン、増粘多糖類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖、ラクトース、スクロース、マストース等の二糖類、オリゴ糖、トレハロース、デキストリン、プルラン等の糖類を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
乳蛋白としては、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、ホエー蛋白、乳ペプチド、脱脂粉乳等が挙げられる。
デンプンとしては、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、緑豆デンプン、サゴデンプン、コーン、ワキシーコーン、馬鈴薯、タピオカ等を原料とし、これをエーテル化処理したカルボキシメチルデンプンや、エステル化処理したリン酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプン、エーテル化処理したヒドロキシプロピルデンプン、湿熱処理デンプン、酸処理デンプン、架橋処理デンプン、α化処理デンプン等が挙げられる。
増粘多糖類としては、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、寒天、LMペクチン、HMペクチン等が挙げられる。
デキストリンとしては、水あめ、粉あめ、マルトデキストリン、サイクロデキストリン、焙焼デキストリン、分岐サイクロデキストリン、難消化性デキストリン等が挙げられる。
粉末化基材は、粉末油脂中の割合が、10〜60質量%となるように配合することが好ましい。
粉末油脂を形成するために必要に応じて、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等の乳化剤を食品用であれば特に限定されることなく用いることができる。
粉末油脂に乳化剤を配合する場合、通常は、油溶性乳化剤は油相に、水溶性乳化剤は水相に配合する。
油相及び水相には、本発明の効果を損なわない範囲内において、酸化防止剤、着色料、フレーバー等を適宜に配合してもよい。
本発明の粉末油脂は、例えば、油脂、粉末化基材、水、及び必要に応じて他の成分を配合して水中油型に乳化後、水中油型乳化物を乾燥させ粉末化することによって製造することができる。以下に本発明の粉末油脂の製造方法の一例を説明する。
乳化工程では、前記の各原料を乳化機の撹拌槽に投入して撹拌混合した後、圧力式ホモジナイザーで油滴サイズを微細化する。
原料の配合比は、特に限定されないが、例えば、油脂と粉末化基材の合計量100質量部に対して水50〜200質量部の範囲内にすることができる。
配合手順は、特に限定されないが、例えば、粉末化基材を水に室温で分散後、加熱下に攪拌して完全に溶解させた後、ホモミキサーで攪拌しながら、油脂を加熱溶解させたものを滴下して乳化することができる。
得られた乳化液は、圧力式ホモジナイザーに供給することによって油滴サイズが微細化される。例えば、市販の圧力式ホモジナイザーを用いて、10〜250kg/cm2の程度の圧力をかけて均質化し、油滴サイズを微細化することができる。
次に、油滴サイズを微細化した乳化液を高圧ポンプで噴霧乾燥機の入口に供給し、高温熱風を吹き込み、噴霧乾燥機の槽内に上方から噴霧する。噴霧乾燥された粉末は槽内底部に堆積される。噴霧乾燥機としては、例えば、アトマイザー方式やノズル方式で噴霧するスプレードライヤーを用いることができる。
次に、噴霧乾燥された粉末を噴霧乾燥機の槽内から取り出した後、振動流動槽などを搬送しながら冷風で冷却することによって、本発明の粉末油脂を製造することができる。なお、適宜のときに加熱殺菌工程などを設けることもできる。
このような本発明の粉末油脂は水中油型乳化物を乾燥したものであり、水に添加すると元の水中油型乳化物となり、微細な油滴が再分散した状態となる。油滴のメディアン径は、例えば0.3〜2μmである。好ましくは、0.5〜1.2μmである。
本発明の粉末油脂は、長期保存しても液状油の染みだしが起こりにくいため、長期保存後も油脂を粉体でハンドリングすることが容易で、秤量や他の原材料との均一な混合も容易である。そして風味と口溶けが良好で、保存時の異臭の発生が起こりにくいことから長期に渡り良好な風味を維持することができる。したがって広い範囲の飲食品に使用することができ、製菓製パン、スープ類、ソース類、飲料、フライバッター、スナック惣菜類、水産練り製品、畜肉製品、ミックス粉等に好適に使用することができる。
6.飲食品
本発明の粉末油脂は、パンや菓子等の焼成品の生地の素材やスープ類、飲料等の素材として使用することができる。
本発明の粉末油脂を素材として使用した焼成品は、歯切れと口溶けが良好である。
パンや菓子等の焼成品は、本発明の粉末油脂を素材として用いた生地を焼成することによって得られる。焼成は、例えば公知の方法及び条件に従って行うことができる。
生地は穀粉を主成分とし、穀粉としては、通常、焼成品の生地に配合されるものであれば、特に限定されないが、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉等が挙げられる。
生地における本発明の粉末油脂の配合量は、焼成品の種類によっても異なり特に限定されないが、生地に配合される穀粉100質量部に対して、例えば3〜20質量部である。
生地には、穀粉と本発明の粉末油脂以外に、通常、焼成品の生地に配合されるものであれば、特に制限なく配合することができる。また、これらの配合量も、通常、焼成品の生地に配合される範囲を考慮して特に制限なく配合することができる。具体的には、例えば、水、糖、糖アルコール、卵、卵加工品、澱粉、食塩、乳化剤、乳化起泡剤(乳化油脂)、チーズ、生クリーム、合成クリーム、ヨーグルト、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルク、ホエー、カゼイン、牛乳、濃縮乳、合成乳、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、フレーバー等が挙げられる。
焼成品のパンや菓子としては、例えば、食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッドなどのパン類、シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ブリオッシュ、ドーナツなどのイースト菓子、デニッシュ、クロワッサン、パイなどのペストリー、バターケーキ、パウンドケーキ、スポンジケーキ、ビスケット、クッキー、ドーナツ、ブッセ、ホットケーキ、ワッフルなどのケーキ等が挙げられる。
本発明の粉末油脂を素材として使用したスープ類や飲料は、喉ごしが良好で、コクのある風味が得られ、油浮きも起こりにくい。
スープ類としては、例えば、コンソメ、ポタージュ、とんこつスープ等が挙げられ、飲料としては、例えば、コーヒー、乳性飲料、酸性飲料、ココア等が挙げられる。
スープ類や飲料における本発明の粉末油脂の配合量は、スープ類や飲料等の種類によっても異なり特に限定されないが、スープ類や飲料等に対して0.5〜20質量部である。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1及び表2における各成分の配合量は質量部を示す。
(1)測定方法
表1及び表2の油脂のヨウ素価は基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」で測定した。
油脂における3飽和トリグリセリドの含有量、2飽和トリグリセリドの含有量、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの質量比は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「暫7-2003 2位脂肪酸組成」)で測定し、それぞれ脂肪酸量を用いて計算にて求めた。
油脂における対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「暫7-2003 2位脂肪酸組成」)により求めたSUS型トリグリセリドとSSU型トリグリセリドの質量より算出した。
油脂における全構成脂肪酸中のラウリン酸量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)で測定した。
(2)エステル交換油脂1〜4の調製
エステル交換油脂1、2は次の方法で調製した。表1に示す割合でパーム核油(A1)とパーム系油脂(A2)とを混合して110℃に加熱し、十分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、更に脱臭を行ってエステル交換油脂を得た。
エステル交換油脂3、4は、エステル交換油脂1、2の製法に準じて調製した。
エステル交換に用いた油脂を以下に示す。
パーム核油(A1)
パーム核極度硬化油:ラウリン酸含有量45.7質量%(ヨウ素価2、融点44℃)
ヤシ油:ラウリン酸含有量47.1質量%(ヨウ素価8、融点25℃)
パーム系油脂(A2)
パーム油:C16以上の脂肪酸含有量97.9質量%(ヨウ素価53)
パーム極度硬化油:C16以上の脂肪酸含有量97.9質量%(ヨウ素価2)
パーム分別硬質油:C16以上の脂肪酸含有量98.8質量%(ヨウ素価32)
得られたエステル交換油脂1〜4の分析結果を表1に示す。また粉末油脂の製造に使用した油脂配合を表2に、油脂組成の分析結果を表3に示す。
(3)評価
実施例及び比較例の各試料について次の評価を行った。
(粉末油脂の製造)
表2に記載の油脂35質量%を70℃に調温し油相とした。オクテニルコハク酸デンプンナトリウム4質量%、デキストリン11質量%を60℃の温水50質量%に溶解させ、水相とした。水相と油相を混合した後、圧力式ホモジナイザーを用いて150kg/cm2の圧力で均質化し、水中油型乳化物を得た。得られた水中油型乳化物をノズル式スプレードライヤーを用いて、水分1.8質量%を目標に噴霧乾燥し、粉末油脂を得た(噴霧乾燥条件:入口温度210℃)。
[荷重による液状油の染みだし]
粉末油脂からの液状油の染みだしについて、粉末油脂3gを薬包紙2枚の間に挟み、500gの重りを載せ、60℃に5日間保管後、薬包紙への液状油の染みだしを、以下の基準で評価した。
評価基準
5点:液状油の染みだしがまったくない。
4点:液状油の染みだしがかすかにある。
3点:液状油の染みだしが少しある。
2点:液状油の染みだしがある。
1点:液状油の染みだしがかなりある。
[口溶け]
粉末油脂の口溶けについて、パネル12人により試食し、以下の基準で官能評価を行った。
評価基準
5点:12名中、9名以上が良好であると評価した。
4点:12名中、8〜7名が良好であると評価した。
3点:12名中、6〜5名以上が良好であると評価した。
2点:12名中、4〜3名以上が良好であると評価した。
1点:12名中、2名以下が良好であると評価した。
[におい]
粉末油脂のにおいについて、水95mlに粉末油脂5gを加えて攪拌溶解させ、密閉容器に入れ、60℃で3週間保存後、以下の基準で評価した。
評価基準
5点:石鹸臭がまったくしない。
4点:石鹸臭がかすかにする。
3点:石鹸臭が少しする。
2点:石鹸臭がする。
1点:石鹸臭がかなりする。
[風味]
粉末油脂の風味について、粉末油脂を40℃で90日間保存した後、パネル12人により試食し、以下の基準で官能評価を行った。
評価基準
5点:12名中、9名以上が良好であると評価した。
4点:12名中、8〜7名が良好であると評価した。
3点:12名中、6〜5名以上が良好であると評価した。
2点:12名中、4〜3名以上が良好であると評価した。
1点:12名中、2名以下が良好であると評価した。
(パンの製造)
実施例及び比較例の粉末油脂を用いて、下記の配合と工程により食パンを製造した。
<パンの配合および工程>
・中種配合
強力粉 70質量部
イースト 2.5質量部
イーストフード 0.1質量部
水 40質量部
・中種工程
ミキシング 低速3分 中低速1分(フック使用)
捏上温度 24℃
発 酵 発酵室温27℃ 湿度75% 4時間
・本捏配合
強力粉 30質量部
上白糖 6質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
粉末油脂 6質量部
水 25質量部
・本捏工程(本捏配合の全素材および中種生地全量を添加)
ミキシング 低速3分 中低速8分
捏上温度 28℃
フロアータイム 28℃ 20分
生地分割 230g
ベンチタイム 28℃ 20分
成 型 モルダーで5mmに延ばしロール型に成型
U型にしてプルマン型に6本詰め
ホイロ 室温38℃ 湿度80% 40分
焼 成 200℃ 40分
製造した食パンを室温25℃に調温した部屋で2時間冷却し、その後乾燥しないようにポリ袋に入れて25℃に調温した部屋で24時間保管した。
24時間保管した食パンを2cm厚にスライスし、次の評価を行った。
[焼成パンの口溶け]
焼成パンの口溶けについて、パネル12人により試食し、以下の基準で官能評価を行った。
評価基準
5点:12名中、9名以上が良好であると評価した。
4点:12名中、8〜7名が良好であると評価した。
3点:12名中、6〜5名が良好であると評価した。
2点:12名中、4〜3名が良好であると評価した。
1点:12名中、2名以下が良好であると評価した。
[焼成パンの歯切れ]
焼成パンの歯切れについて、パネル12人により試食し、以下の基準で官能評価を行った。
評価基準
5点:12名中、9名以上が良好であると評価した。
4点:12名中、8〜7名が良好であると評価した。
3点:12名中、6〜5名が良好であると評価した。
2点:12名中、4〜3名が良好であると評価した。
1点:12名中、2名以下が良好であると評価した。
(コーンポタージュの製造)
実施例及び比較例の粉末油脂を用いて、下記に示す配合で、混合し撹拌しながら80℃に加熱しコーンポタージュを作製した。
<コーンポタージュ配合>
スイートコーン缶詰 100質量部
牛乳 300質量部
粉末油脂 50質量部
食塩 少々
コショウ 少々
[コーンポタージュの喉ごし]
コーンポタージュの喉ごしについて、パネル12人により試飲し、以下の基準で官能評価を行った。
評価基準
5点:12名中、9名以上が良好であると評価した。
4点:12名中、8〜7名が良好であると評価した。
3点:12名中、6〜5名が良好であると評価した。
2点:12名中、4〜3名が良好であると評価した。
1点:12名中、2名以下が良好であると評価した。
[コーンポタージュのコク味]
コーンポタージュのコク味について、パネル12人により試飲し、以下の基準で官能評価を行った。
評価基準
5点:12名中、9名以上が良好であると評価した。
4点:12名中、8〜7名が良好であると評価した。
3点:12名中、6〜5名が良好であると評価した。
2点:12名中、4〜3名が良好であると評価した。
1点:12名中、2名以下が良好であると評価した。
[コーンポタージュの油浮き]
コーンポタージュの油浮きについて、作製直後のコーンポタージュの液面の油浮きを目視にて、以下の基準で評価した。
評価基準
5点:油浮きがまったくない。
4点:油浮きがかすかにある。
3点:油浮きが少しある。
2点:油浮きがある。
1点:油浮きがかなりある。
上記の評価結果を表4に示す。

Claims (6)

  1. 油脂に粉末化基材が被覆された粉末油脂であって、
    油脂として、パーム核油とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有し、
    油脂における、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計量が15〜85質量%、全構成脂肪酸中のラウリン酸量が15.0質量%以下である粉末油脂。
  2. 油脂における3飽和トリグリセリドの含有量が5.0〜50質量%、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの質量比(2飽和トリグリセリド/3飽和トリグリセリド)が0.50以上である請求項1に記載の粉末油脂。
  3. 2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.35〜1.50である請求項1に記載の粉末油脂。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の粉末油脂を素材に用いて得られる飲食品。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の粉末油脂を素材に用いた生地を焼成して得られる焼成品である請求項4に記載の飲食品。
  6. スープ類又は飲料である請求項4に記載の飲食品。
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