JP6316604B2 - ベーカリー製品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、乳化油脂組成物を用いたパンや菓子等のベーカリー製品の製造方法に関する。
マーガリン等の乳化油脂組成物は、バターの代替品として、スプレッド、バタークリーム、製菓・製パンの練り込みや折り込み用、調理用等として広く使用されている。
マーガリン等の乳化油脂組成物は、バターに比べて可塑性、乳化安定性に優れ、取り扱い易い反面、風味の点で劣るため、フレーバーや呈味剤等の呈味成分を添加したり、乳脂肪を添加したりすることにより、風味を向上させることが行われている。
しかしながら、パンや菓子等のベーカリー製品の生地に乳化油脂組成物を使用した場合、焼成工程における加熱等により、呈味成分に由来する風味は低減してしまう場合が多く、この場合、焼き残りの風味が良好なベーカリー製品が得られなかった。
更に、乳化油脂組成物に香味や呈味などの呈味成分を添加しても、焼成して得られたベーカリー製品は、口中で直ぐに感じるトップの風味は出るものの、風味の持続性が弱いという問題があった。
従来、ベーカリー製品に良好な風味を付与する技術や、焼成による風味損失を抑制する技術として、次のような技術が提案されている。
特許文献1には、ベーカリー製品に自然なバター風味を与えることを目的として、バター由来の油溶性成分とホエー由来の水溶性成分を組み合わせることが提案されている。
またベーカリー製品の焼成による風味損失を抑制することを目的として、特許文献2には、油中水型乳化物の水分と糖の固形分比率を特定範囲にすることが提案されている。特許文献3には、油中水型乳化物の水相にオクテニルコハク酸デンプンを添加することが提案されている。特許文献4には、最内相の水相部の外側に順次、油相部、水相部、油相部を有する多重乳化油脂組成物の最内相の水相に、水溶性香料や呈味剤を含有させることが提案されている。
特開2010−4807号公報 特開2010−94080号公報 特開2009−124970号公報 特開平10−28527号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、焼き残りの風味が十分ではなかった。また焼成による風味損失の抑制を目的とする特許文献2に記載の技術は、糖による甘味の増加と食感の変化が生じ易く、特許文献3に記載の技術は、オクテニルコハク酸デンプンの水相への添加量が多くなるとそれによる食感の低下が生じ易く、特許文献4に記載の技術は、多重乳化油脂組成物の製造工程が煩雑で経済性が低下するという問題があった。
また、これらの従来技術は、焼成による風味損失は抑制されても、風味の持続性の改善には効果を発揮しないという問題があった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、焼成による風味損失がおこりにくく良好な風味が得られ、風味の持続性にも優れたベーカリー製品を得ることができるベーカリー製品の製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明のベーカリー製品の製造方法は、粉末化基材で被覆された粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物(O1/W)が、第二の食用油脂の連続相(O2)中に分散相として分散されている二重乳化油脂組成物(O1/W/O2)を原料に用いて生地を作製し、この生地を焼成することを特徴としている。
このベーカリー製品の製造方法において、二重乳化油脂組成物における粉末油脂の粉末化基材に乳蛋白及び/又はオクテニルコハク酸デンプンを含有することが好ましい。
このベーカリー製品の製造方法において、二重乳化油脂組成物における粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物(O1/W)の油脂粒子のメディアン径が0.3〜2μmであることが好ましい。
このベーカリー製品の製造方法において、二重乳化油脂組成物における粉末油脂の油相(O1)に呈味油を含有することが好ましい。
本発明によれば、焼成による風味損失がおこりにくく良好な風味が得られ、風味の持続性にも優れたベーカリー製品を得ることができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
1.二重乳化油脂組成物
本発明に使用される二重乳化油脂組成物は、粉末化基材で被覆された粉末油脂を再溶解した水中油型乳化物(O1/W)が、分散相として第二の食用油脂の連続相(O2)中に分散された二重乳化構造の乳化物(O1/W/O2)である。
水中油型乳化物(O1/W)における第一の食用油脂としては、液体、固体の動植物油脂、硬化した動植物油脂、動植物油脂のエステル交換油、分別した液体油又は固体脂等、食用に適するものであれば特に限定されない。具体的には、ナタネ油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油、パーム油、ヤシ油、米糠油、ごま油、カカオ脂、オリーブ油、パーム核油等の植物性油脂、魚油、豚脂、牛脂、鶏脂、乳脂等の動物性油脂、及びこれらの油脂の水素添加油又はエステル交換油、或いはこれらの油脂を分別して得られる液体油、固体脂等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
本発明に使用される二重乳化油脂組成物に、風味、呈味性を強く付与させる場合、最内相の油相(O1)に呈味油を含有していることが好ましく、最内相の油相(O1)を構成する呈味油として、呈味性を有する油脂や油溶性の呈味成分を用いるか、油脂に油溶性の呈味成分を添加することにより、呈味性を有する油脂とすることができる。最内相の油相(O1)に呈味油を含有することで、本発明の方法により得られるベーカリー製品の風味やその風味の持続性が更に向上する。
呈味性を有する油脂としては、食用油脂であれば特に限定されず、乳脂、ごま油、牛脂、豚脂、鶏油、ピーナツ油、アーモンド油、レモン油、ライム油、オレンジ油、オリーブ油、動植物油等に香味野菜の香気成分を付与した葱油、山椒油、ガーリック油、ジンジャー油、バターを加熱して焙煎臭を付与した焦がしバター油、動植物油脂の部分水素添加油等が挙げられる。また油溶性の呈味成分としては、バターフレーバー、ミルクフレーバー、クリームフレーバー、ナッツフレーバー、フルーツフレーバー、乳製品の酵素分解物等が挙げられる。
本発明に使用される二重乳化油脂組成物は、粉末化基材で被覆された粉末油脂を水相に再溶解させた水中油型乳化物(O1/W)を、連続相である第二の油相(O2)中に分散相として分散させた構造を有する。粉末油脂を水相に再溶解させずに添加しても、二重乳化とはならず、風味の持続性を得ることができない。粉末油脂は、乾燥粉末化して得られ、再溶解後、熱に安定な乳化物を形成するため、二重乳化油脂組成物の最内相として、ベーカリー製品の生地中に練り込むことで、焼成後も乳化が壊れにくく、ベーカリー製品の風味やその風味の持続性を向上させることができる。
粉末油脂は、粉末化基材を含む水相に油相を添加し、ホモミキサー等で加温下にて攪拌後、ホモゲナイザー等で均質化することにより、水中油型乳化物とし、その後、乾燥粉末化して得ることができる。水相と油相は、50〜90℃、好ましくは65〜85℃に加熱し、添加した成分を完全に溶解しておくことが望ましい。
水中油型乳化物を乾燥粉末化する方法としては、一般的に知られている噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、真空乾燥法等を用いることができる。
粉末化基材としては、乳蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白、全脂粉乳、脱脂粉乳、小麦粉、デンプン、ゼラチン、増粘多糖類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖、ラクトース、スクロース、マストース等の二糖類、オリゴ糖、トレハロース、デキストリン、プルラン等の糖類を用いることができる。
乳蛋白としては、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、ホエー蛋白、乳ペプチド、脱脂粉乳等が挙げられる。
デンプンとしては、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、緑豆デンプン、サゴデンプン、コーン、ワキシーコーン、馬鈴薯、タピオカ等を原料とし、これをエーテル化処理したカルボキシメチルデンプンや、エステル化処理したリン酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプン、エーテル化処理したヒドロキシプロピルデンプン、湿熱処理デンプン、酸処理デンプン、架橋処理デンプン、α化処理デンプン等が挙げられる。
増粘多糖類としては、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、寒天、LMペクチン、HMペクチン等が挙げられる。
デキストリンとしては、水あめ、粉あめ、マルトデキストリン、サイクロデキストリン、焙焼デキストリン、分岐サイクロデキストリン等が挙げられる。
粉末化基材は、粉末油脂中の割合が、10〜95質量%となるように配合することが好ましい。
粉末化基材として、特に乳蛋白及び/又はオクテニルコハク酸デンプンを使用すると、ベーカリー製品の風味に悪影響を及ぼす虞のある乳化剤を全く使用しないか、あるいは乳化剤の使用量を少なくしても、再溶解後、安定な水中油型乳化物(O1/W)を得ることができるため、風味が更に向上する点で好適である。また、二重乳化の安定性も向上するため、ベーカリー製品の風味の持続性も更に向上する点で好適である。
粉末油脂を形成するために必要に応じて、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等の乳化剤を食品用であれば特に限定されることなく用いることができる。風味の点から、粉末油脂には乳化剤は添加しないことが好ましい。
粉末油脂に乳化剤を配合する場合、通常は、油溶性乳化剤は油相に、水溶性乳化剤は水相に配合する。
油相(O1)には、酸化防止剤等を配合することができる。
粉末油脂を再溶解して水中油型乳化物(O1/W)を得る方法としては、粉末油脂を水に添加し、プロペラで攪拌する方法等が挙げられる。
水相(W)には、粉末油脂、水溶性乳化剤の他に、必要に応じて食塩、脱脂粉乳、乳蛋白、澱粉、抗酸化剤、増粘多糖類、色素等、油中水型乳化物を作製するときに添加する素材を配合することができる。
粉末油脂を再溶解する際には、再溶解後の水中油型乳化物(O1/W)の油相(O1)と水相(W)の質量比(O1:W)が1:0.85以上となるようにすることが好ましい。油相(O1)に対する水相(W)の割合が0.85未満であると、水中油型乳化物(O1/W)の粘度が高くなり、水中油型乳化物(O1/W)を最外相の油相(O2)中に乳化分散しにくくなり、安定なO1/W/O2型の二重乳化油脂組成物を得ることが困難となる虞がある。
O1/W/O2型の二重乳化油脂組成物を製造する際には、粉末油脂を再溶解した水中油型乳化物(O1/W)を、最外相の油相(O2)となる第二の食用油脂に添加し、ホモミキサー等で加温下にて攪拌し、油相(O2)中に水中油型乳化物(O1/W)を乳化分散させる。これら水中油型乳化物(O1/W)と油相(O2)は、50〜90℃、好ましくは65〜85℃に加熱し、添加した成分を完全に溶解しておくことが望ましい。
その後、加熱された乳化物をコンビネーター、パーフェクター、ボテーター等の冷却混合機により急冷捏和し、可塑化して二重乳化油脂組成物を得ることができる。必要に応じて、得られた二重乳化油脂組成物を15〜35℃で熟成してもよい。
最外相の油相(O2)に用いる油脂としては、最内相の油相(O1)に用いる油脂と同様のものを用いることができる。最外相として呈味油を使用すると、食した時にすぐに感じるトップの風味も向上する点で好ましい。
水中油型乳化物(O1/W)を油相(O2)に分散させて二重乳化油脂組成物(O1/W/O2)を得るに際し、必要に応じて、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等の乳化剤を食品用であれば特に限定されることなく用いることができる。
二重乳化油脂組成物における最内相の油相(O1)、水相(W)、連続相である最外相の油相(O2)の質量比は、O1:W:O2=0.1〜30:0.1〜49.9:50〜99.8とすることが好ましい。
本発明に使用される二重乳化油脂組成物(O1/W/O2)は、粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物(O1/W)の油脂粒子のメディアン径を、0.3〜2μmとして最外相の油相(O2)に分散させることが好ましい。メディアン径がこの範囲であると、二重乳化油脂組成物の乳化安定性が向上するため、ベーカリー製品の風味やその風味の持続性も更に向上する。
再溶解させた水中油型乳化物(O1/W)の油脂粒子のメディアン径が0.3〜2μmである粉末油脂は、粉末油脂を得る前の水中油型乳化物を調製する際に、均質化時の圧力を10〜150kgf/cm2に調整することにより得ることができる。メディアン径は、油脂粒子の粒度分布をレーザー回折散乱法によって測定し、粒度分布からメディアン径(積算で50体積%における直径)を算出することで得ることができる。
2.ベーカリー製品
本発明では、以上に説明した二重乳化油脂組成物を原料に用いて生地を作製し、この生地を焼成することによってベーカリー製品が製造される。
二重乳化油脂組成物は、可塑性油脂としてベーカリー製品の生地に練り込んで使用することで、パンや菓子等のベーカリー製品を得ることができる。また生地へ層状に折り込んで、生地と可塑性油脂の薄い層を何層にも作り上げることで、デニッシュ、クロワッサン等のベーカリー製品を得ることができる。
生地は穀粉を主成分とし、穀粉としては、通常、ベーカリー製品の生地に配合されるものであれば、特に限定されないが、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉等が挙げられる。
生地には、穀粉と二重乳化油脂組成物以外にも、通常、ベーカリー製品の生地に配合されるものであれば、特に制限なく配合することができる。また、これらの配合量も、通常、ベーカリー製品の生地に配合される範囲を考慮して特に制限なく配合することができる。具体的には、水、糖、糖アルコール、卵、卵加工品、澱粉、食塩、乳化剤、乳化起泡剤(乳化油脂)、チーズ、生クリーム、合成クリーム、ヨーグルト、全脂粉乳、脱脂粉乳、牛乳、濃縮乳、合成乳、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆蛋白、膨張剤、可塑性油脂、甘味料、調味料、香辛料、着色料、香料等が挙げられる。
本発明の方法によって製造されるベーカリー製品とは、穀粉を原料として加熱調理されるものであれば、その他特に限定されず、例えば、食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッド等のパン類、シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ブリオッシュ、ドーナツ等のイースト菓子、デニッシュ、クロワッサン、パイ等のペストリー、バターケーキ、パウンドケーキ、スポンジケーキ、ドーナツ、ブッセ、ホットケーキ、ワッフル等のケーキ、ビスケット、クッキー等が挙げられる。
生地中における二重乳化油脂組成物の使用量は、各種のベーカリー製品にそれぞれ使用されるバター、マーガリン、ショートニング等の油脂類の通常の使用量と同等でよい。
食パン、テーブルロール、菓子パン等のパン類や、デニッシュ、クロワッサン等のペストリーの場合は、ベーカリー製品中の穀粉100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。
イーストドーナツ、ケーキドーナツ等のドーナツ類の場合は、ベーカリー製品中の穀粉100質量部に対して、1〜20質量部が好ましい。
クッキー、ビスケット等の菓子類の場合は、ベーカリー食品中の穀粉100質量部に対して、10〜100質量部が好ましい。
スポンジケーキの場合は、ベーカリー食品中の穀粉100質量部に対して、10〜50質量部が好ましい。バターケーキやパウンドケーキの場合は、ベーカリー食品中の穀粉100質量部に対して、50〜120質量部が好ましい。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1、表2に示す配合量は質量部を示す。
1−1.二重乳化油脂組成物の調製
表1の実施例及び比較例の配合の二重乳化油脂組成物を次の手順に従って調製した。
(実施例1〜8)
表1に示す粉末化基材を水に添加し、70℃に調温したものを水相とした。乳化剤、酸化防止剤を油脂に添加し、70℃に調温したものを油相とした。水相に油相を添加し、ホモミキサーで攪拌した後、ホモゲナイザーで150kg/cm2の圧力をかけて均質化して水中油型乳化物を得、この水中油型乳化物を噴霧乾燥して表1に示す組成の粉末油脂を得た。水に粉末油脂、脱脂粉乳を添加し、プロペラ攪拌機で攪拌して粉末油脂を再溶解して水中油型乳化物(O1/W)を得た。
次いで、この水中油型乳化物(O1/W)を80℃に調温し、70℃に調温した油相(O2)に添加し、ホモミキサーで攪拌して油相(O2)に水中油型乳化物(O1/W)を分散させ、マーガリン製造機で急冷混捏した。得られた乳化油脂組成物を20℃で24時間熟成した後10℃に冷却し、表2に示す二重乳化油脂組成物(O1/W/O2)を得た。
(比較例1)
粉末油脂1を再溶解したものと同様の組成となるように、水相と油相とをホモゲナイザーを用いて乳化して水中油型乳化物を調製し、この水中油型乳化物を実施例1の二重乳化油脂組成物の最外相と同様の油相中に分散させて表2に示す組成の二重乳化油脂組成物を得た。
(比較例2)
粉末油脂3を再溶解したものと同様の組成となる水相と油相に、更にグリセリン脂肪酸エステルを添加してホモゲナイザーで乳化して水中油型乳化物を調製した。この水中油型乳化物を実施例3の二重乳化油脂組成物の最外相と同様の油相中に分散させて表2に示す組成の二重乳化油脂組成物を得た。
(比較例3)
実施例1の油相(O2)と油相(O1)とを合わせた組成となるように油相を調製し、実施例1と同様の組成の油中水型乳化物を得た。
(比較例4)
粉末油脂1を再溶解したものと同様の組成となるように、水相と油相とをホモゲナイザーを用いて乳化して水中油型乳化物を調製し、この水中油型乳化物を実施例6の二重乳化油脂組成物の最外相と同様の油相中に分散させて表2に示す組成の二重乳化油脂組成物を得た。
1−2.二重乳化油脂組成物の測定及び評価
実施例及び比較例で得られた二重乳化油脂組成物について、次の測定及び評価を行った。
[メディアン径]
粉末油脂を再溶解した水中油型乳化物(O1/W)の油脂粒子のメディアン径は、島津製作所製:SALD−2100湿式レーザー回折装置により測定して求めた。
[二重乳化の安定性]
二重乳化油脂組成物を75℃の湯浴中で加熱して、油相と、水中油型乳化物の相とに分離させ、分離した上部油相の質量を測定し、その質量と最外相(O2)に用いた油脂の配合質量との差を、水中油型乳化物(O1/W)が破壊されて生じた油脂質量(ΔO1)とし、ΔO1を、油相(O1)の配合質量で除した値の百分率を、油相(O1)量の変化率として求め、以下の基準で評価した。
評価基準
最良:変化率が20%未満
良:変化率が20%以上、35%未満
普通:変化率が35%以上、80%未満
不良:変化率が80%以上
2−1.ベーカリー製品の製造
得られた二重乳化油脂組成物を用いて、以下に示す配合、製法によりクロワッサン及びクッキーを作製した。
〈クロワッサンの作製〉
強力粉90部、薄力粉10部、上白糖8部、食塩1.8部、イースト5部、イーストフード0.1部、ショートニング6部、脱脂粉乳2部、全卵6部、水50部の生地配合にてミキシングして生地を作製し、冷蔵庫で一晩生地を休ませた。
この生地100部に対し、実施例又は比較例で得られた油中水型乳化油脂組成物25部を折り込み、折り込んだ生地を冷蔵庫で休ませながら3つ折りを3回行い、シーターで3mm厚さに延ばして成型した。35℃ホイロで60分間発酵後、200℃で15分間焼成し、クロワッサンを得た。
得られたクロワッサンは、30分放置して粗熱を取った後、ポリ袋に入れて密封し、25℃にて2日間保存した後、以下の風味評価を行った。
〈クッキーの作製〉
薄力粉100部、上白糖40部、卵15部、実施例又は比較例で得られた油中水型乳化油脂組成物60部の生地配合にてミキシングして生地を作製し、棒状に成型後、冷蔵庫で一旦生地を休ませた。
この生地を10mm厚に輪切りし、鉄板に並べて、170℃で15分間焼成し、クッキーを得た。
得られたクッキーは、30分放置して粗熱を取った後、ポリ袋に入れて密封し、25℃にて1週間保存した後、以下の風味評価を行った。
2−2.ベーカリー製品の評価
上記において得られたクロワッサン、クッキーの風味とその持続性について以下の試験を行った。
[風味]
クロワッサン、クッキーを食したときの風味を、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:非常に豊かな風味を感じる。
○:豊かな風味を感じる。
△:風味が弱い。
×:風味がかなり弱い。
[風味の持続性]
クロワッサン、クッキーをパネル20名で試食し、飲み込んだ後に風味が持続する時間を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:20名中16名以上が20秒以上と評価
○:20名中10名〜15名が20秒以上と評価
△:20名中6名〜9名が20秒以上と評価
×:20名中5名未満が20秒以上と評価
上記の測定及び評価の結果を表3に示す。
Figure 0006316604
Figure 0006316604
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表3より、粉末化基材で被覆された粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物(O1/W)が、第二の食用油脂の連続相(O2)中に分散相として分散されている二重乳化油脂組成物(O1/W/O2)を原料に用いて生地を作製した実施例1〜8は、ベーカリー製品の風味が良好で、その風味の持続性も良好であった。
粉末油脂の粉末化基材に乳蛋白及び/又はオクテニルコハク酸デンプンを含有している実施例1、2、4〜8は、ベーカリー製品の風味とその風味の持続性ともに、更に良好であった。
比較例3は、実施例1と同様の組成の乳化油脂組成物を用いたが、乳化油脂組成物が油中水型乳化物であったため、ベーカリー製品の風味やその風味の持続性の向上が見られなかった。
比較例1、2、4は、実施例と同様の組成の二重乳化油脂組成物を用いたが、二重乳化の安定性が悪いため、比較例3と同様に、ベーカリー製品の風味やその風味の持続性の向上が見られなかった。

Claims (4)

  1. 粉末化基材で被覆された粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物(O1/W)が、第二の食用油脂の連続相(O2)中に分散相として分散されている二重乳化油脂組成物(O1/W/O2)を原料に用いて生地を作製し、この生地を焼成するベーカリー製品の製造方法。
  2. 二重乳化油脂組成物における粉末油脂の粉末化基材に乳蛋白及び/又はオクテニルコハク酸デンプンを含有する請求項1に記載のベーカリー製品の製造方法。
  3. 二重乳化油脂組成物における粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物(O1/W)の油脂粒子のメディアン径が0.3〜2μmである請求項1又は2に記載のベーカリー製品の製造方法。
  4. 二重乳化油脂組成物における粉末油脂の油相(O1)に呈味油を含有する請求項1から3のいずれかに記載のベーカリー製品の製造方法。
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