JP2005168356A - 粉末油脂、用途および粉末油脂の製造方法 - Google Patents

粉末油脂、用途および粉末油脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 溶解後の乳化安定性が良く、かつ粉体としての物性が良好な粉末油脂を提供する。
【解決手段】
下記のエステル交換油30〜90重量部と、被覆材1〜70重量部とを主成分として含有することを特徴とする粉末油脂。
エステル交換油;
融点30℃〜60℃のパーム系油脂60〜95重量%と、中鎖飽和脂肪酸油5〜40重量%とをエステル交換して得られる融点20℃〜55℃であるエステル交換油。
被覆材が、タンパク質または乳化性糖質である粉末油脂。
前記の粉末油脂を用いることを特徴とする食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、粉末スープや粉末クリームに使用できる、粉体物性が良くかつ溶解後の乳化安定性が高い粉末油脂、その用途および粉末油脂の製造方法に関する。
粉末油脂は、油脂を粉体でハンドリングできるため、秤量が容易で、諸原料と混合する場合に簡単にしかも均一に混合することができ、作業性を改善できる。また粉末油脂は、粉末スープや粉末クリームに用いた場合、製品にまろやかなこく味を付けられるため、加工食品分野においては広く使用されている。
特にパーム油を使った粉末油脂は価格が安いことから、もっとも広く使われている。しかし、パーム油を使った粉末油脂を溶解後乳化状態で室温あるいは冷蔵保管すると、パーム油が針状の結晶を形成し乳化破壊を生じてしまうという欠点があった。
この点を解決すべく、特開平2−163198号公報(特許文献1)、特開平6−14710号公報(特許文献2)等には、パームオレイン、サフラワー油、ヒマワリ油および大豆油等と、中鎖飽和脂肪酸油脂(以下、MCTと略す。)をエステル交換反応して針状結晶を防止する方法が開示されており、乳化破壊は防げるようになっている。しかし、この技術では、油脂の融点が低いため、粉末油脂を調製した際、ブロッキングを生じやすい等望ましい粉体物性が得られなかった。
すなわち、粉末油脂としては、ブロッキング等を生じない望ましい粉体物性を有し、かつ粉末油脂を使用した溶解後の乳化状態で室温あるいは冷蔵保管しても、パーム油が針状の結晶を形成し乳化破壊を生じてしまうことのない食品が求められていた。
特開平2−163198号公報 特開平6−14710号公報
本発明が解決しようとする課題は、前記のような背景のもとでなされたもので、溶解後の乳化安定性が良く、かつ粉体としての物性が良好な粉末油脂を提供することにある。
また、その粉末油脂を用いる食品の用途を提供することにある。またさらに、前記の粉末油脂の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を解決するため研究を重ねた結果、前記の特定のエステル交換油を30〜90重量部と、被覆材1〜70重量部とを含有する粉末油脂が優れた効果を有することの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、次の[1]〜[4]である。
[1]下記のエステル交換油30〜90重量部と、被覆材1〜70重量部とを主成分として含有することを特徴とする粉末油脂。
エステル交換油;
融点30℃〜60℃のパーム系油脂60〜95重量%と、中鎖飽和脂肪酸油5〜40重量%とを配合しエステル交換して得られる融点20℃〜55℃であるエステル交換油。
[2]被覆材が、タンパク質または乳化性糖質である前記[1]記載の粉末油脂。
[3]前記[1]または[2]記載の粉末油脂を用いることを特徴とする食品。
[4]下記の工程I、II、IIIを順次行うことを特徴とする前記[1]〜[3]記載の粉末油脂の製造方法。
工程I;融点30℃〜60℃のパーム系油脂60〜95重量%と、中鎖飽和脂肪酸油5〜40重量%とを用いてエステル交換して融点20℃〜55℃であるエステル交換油を得る。
工程II;被覆材1〜70重量部を含有する被覆材水溶液または分散液に前記工程Iで得られたエステル交換油30〜90重量部を分散させて、O/W型エマルションを得る。
工程III;得られたO/W型エマルションを乾燥させて粉末油脂を得る。
本発明の粉末油脂は、粉体としての物性は良好であり、流動性が高く、保存後もブロッキングを起こしにくい粉末油脂である。また、本発明の粉末油脂を用いる食品は、粉末油脂溶解後の保存安定性が良く、スープやクリーム等幅広く加工食品に使用できる。
さらに、本発明の粉末油脂の製造方法は、特定の油脂をエステル交換反応させた後、乾燥して粉末油脂を得るので容易に粉体としての物性が優れた粉末油脂が得られる。
本発明の粉末油脂は、下記のエステル交換油を30〜90重量部と、被覆材1〜70重量部とを含有することを特徴とする。
エステル交換油;
融点30℃〜60℃のパーム系油脂60〜95重量%と、中鎖飽和脂肪酸油5〜40重量%とをエステル交換して得られる融点が20℃〜55℃であるエステル交換油。
ここで、本発明に用いるパーム系油脂は、パーム油、水素添加パーム油、パーム分別油あるいはこれらの混合油で融点が30〜60℃であれば良く、パーム油、水素添加パーム油、パーム分別油を単独でも使用でき、さらに、これらの油脂をブレンドすることにより融点を調整したものも使用できる。
本発明のエステル交換に用いる中鎖飽和脂肪酸油(以下、MCTと略す。)としては、炭素数6、8、10、12の飽和脂肪酸のトリグリセリドが挙げられる。前記のトリグリセリドの構成脂肪酸は、1種単独でもよいし、2種以上混合したものでもよい。
なかでも好ましくは、炭素数8、10の脂肪酸のトリグリセリドが挙げられる。市販品としては、例えば日本油脂(株)製、商品名、パナセート800(炭素数8の脂肪酸が主体)、同パナセート810(炭素数8と10の混合脂肪酸が主体)、花王(株)製、商品名、ココナードMT(炭素数8と10の混合脂肪酸が主体)等が挙げられる。
本発明に用いるエステル交換油は、上記のパーム系油脂60〜95重量%と、MCTを5〜40重量%とを混合し、触媒を用いてエステル交換反応することによって得られる。
エステル交換反応に用いる触媒としては、ナトリウムメチラート、湿った水酸化スズ(II)、ナトリウム水素化物、金属スズなどのエステル交換触媒、あるいは、リパーゼ等のエステル交換触媒を使用することができる。
エステル交換反応の際に使用する酵素としては、具体的には例えば、タリパーゼ(田辺製薬(株)商品名)、リポザイム(ノボザイムス(株)商品名)、リパーゼR(天野製薬(株)商品名)等のリパーゼが挙げられる。
なおエステル交換反応の進行は、試料のガスクロマトグラフィー(以下GCと略す)の測定により、トリグリセリドの組成の変化で確認できる。
本発明の粉末油脂に用いる被覆材(コーティング材という場合もある。)としては、一般に粉末の被覆材として使用できるものである。被覆材としては、タンパク質および乳化性糖質が好ましく挙げられる。
ここでタンパク質としては、乳タンパク、大豆タンパク、小麦タンパク、さらに脱脂粉乳が挙げられる。より好ましくは、乳タンパクであり、さらに好ましくは、カゼインおよびカゼインナトリウムが挙げられる。
乳化性糖質としては、アラビアガムおよびオクテニルコハク酸エステル化デンプン等の加工デンプンが挙げられる。
アラビアガムは、アカシア種の幹と枝から得られる樹液に含まれる含タンパク多糖類であり、市販品が使用できる。
オクテニルコハク酸エステル化デンプンは、でんぷんに界面活性剤の機能を付与するために疎水基と親水基を導入したでんぷんで、市販品としては、例えば、ナショナルスターチ アンドカンパニー(National Sterach&Company)製、商品名ピュリテイガム(1773,2000,BE)エヌクリーマー(46)、エヌライト(L、LP)等のシリーズの製品が挙げられる。
これらのタンパク質および乳化性糖質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上配合して使用してもよい。
前記の被覆材の添加量は、エステル交換油30〜90重量部に対して、1〜70重量であり、被覆材がタンパク質の場合は、1〜20重量部、被覆材が乳化性糖質の場合は10〜70重量部を使用することが望ましい。被覆材の添加量が1重量部より少ないとエステル交換油の被覆が十分できず、70重量部より多いと粘度が高くなって効率よく乾燥ができない。
さらに粉末油脂製造時のエステル交換油の乳化性を向上させるために、乳化剤を使用してもよい。
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。より好ましくは、モノグリセリドであり、カゼインナトリウムと相性が良いのはステアリン酸モノグリセリドあるいはパルミチン酸モノグリセリドである。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、無機塩、乳化性糖質以外の他の糖質を配合してもよい。
無機塩としては、リン酸塩やクエン酸塩が挙げられるが、好ましくは、リン酸3ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、クエン酸3ナトリウム等が挙げられる。より好ましくは、リン酸3ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムである。
乳化性糖質以外の他の糖質としては、ショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖、果糖、水あめ、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、デキストリン、小麦デンプン、グアーガム、キサンタンガム、トラガントガム等が挙げられる。
前記の乳化剤の添加量は、0.1〜2重量部、無機塩0.1〜1重量部使用することが望ましい。乳化性糖質以外の他の糖質の添加量としては、0.1〜50重量部である。
乳化剤の添加量が2重量部より多いと乳化剤の影響により風味が悪くなるので好ましくない。さらに、無機塩の添加量が1重量部より多いと風味が悪く、かつ焦げやすくなるので好ましくない。糖質の添加量が50重量部より多いと粉末油脂の吸湿性が高くなるので好ましくない。
これらの素材は2種以上組み合わせて使用しても良い。乳化剤、無機塩およびその他の糖質は、適宜添加することにより粉末油脂の物性が向上する。
前記のタンパク質、糖質、乳化剤、無機塩等の組み合わせでは、乳化力とコーティング力を有するタンパク質あるいは糖質に乳化剤を組み合わせることが望ましい。
特に、カゼインナトリウム、ステアリンモノグリセライドおよびヘキサメタリン酸塩の組み合わせがより好ましい。
本発明の粉末油脂の製造方法は、下記の工程I、II、IIIを順次行うことを特徴とする。
工程I;融点30℃〜60℃のパーム系油脂60〜95重量%と、MCT5〜40重量%とを用いてエステル交換して融点20℃〜55℃であるエステル交換油を得る。
工程II;被覆材水溶液または分散液に前記工程Iで得られたエステル交換油を分散させて、O/W型エマルションを得る。
工程III;得られたO/W型エマルションを乾燥させて粉末油脂を得る。
ここで、工程Iは、前記の融点30℃〜60℃のパーム系油脂60〜95重量部と、MCT5〜40重量部とをエステル交換して融点20℃〜55℃であるエステル交換油を得る工程であるが、その反応に際して、前記の触媒としてナトリウムメチラートやリパーゼなどの触媒が好ましく挙げられ、そのエステル交換反応の条件は、原料の種類や配合量等に応じて通常使用される条件を適宜選択することができる。
工程IIは、被覆材水溶液または分散液に前記工程Iで得られたエステル交換油を分散させて、O/W型エマルションを得る工程である。ここで被覆材には前記のタンパク質または乳化性糖質さらに必要に応じて各成分を配合して用いる、その添加量は、タンパク質1〜20重量部、糖質10〜50重量部、乳化剤0〜2重量部、無機塩0〜1重量部を水100重量部に加えて水溶液もしくは分散液とし、その液へ前記の工程Iで得たエステル交換油、100重量部をかき混ぜながら加えて乳化液あるいは分散液とする工程である。その際に、水溶性の成分は水に溶解あるいは分散させて使用し、例えば油溶性の乳化剤等を使用する場合には、エステル交換油に配合して使用することが望ましい。
このとき使用する水としては、精製水、蒸留水、イオン交換水あるいは、深層水などが使用できる。粉末油脂を食品に使用する関係から、特に安全性に優れた管理を行っている水が望ましい。この場合の乳化、分散の際の温度は、エステル交換油が液化して分散する温度であればよく、特に限定されないが、55〜75℃が好ましい。
工程IIIは、得られたO/Wエ型マルションを乾燥させて粉末油脂を得る工程である。乾燥方法は限定されないが、この工程IIIでは、噴霧乾燥法による製造が適している。前記の得られた乳化液を、ノズル式、アトマイザー式等の公知の噴霧乾燥機を用いて噴霧することにより粉末油脂を得ることが望ましい。この際の条件は、特に一般に使用される条件でよく、例えば、通常温度は、80〜140℃が好ましい。例えば、吹き込み温度を120〜140℃、出口温度80〜95℃とする条件が挙げられる。
その後室温程度まで冷却して、食品等の用途に使用される。
本発明の効果を損なわない範囲で、抗酸化剤、着色料、香料、ビタミン類、微量金属成分等のその他の成分を1種または、2種以上を配合してもよい。
本発明で得られた粉末油脂は、粉末スープや粉末クリームに好適に使用される。その場合、製品や目的によっても異なるが、まろやかなこく味を付けられるため、加工食品分野においては広く使用することができ、例えば製品中に粉末油脂を、1〜50重量%配合する。
以下具体例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
次に本発明の粉末油脂の評価試験方法、評価基準を示す。
(1)油脂の融点の測定;基準油脂分析試験法に従った。
(2)粉末のブロッキング
アルミパウチ入り粉末油脂あるいは粉末スープ300gを恒温恒湿室(40℃、75%)に入れて、1月後の粉末油脂のブロッキングの状態を観察して、下記の評価基準で評価した。
評価記号:評価基準
○:ブロッキングせず。
△:ブロッキングあるが、ほぐすと崩れる。
×:完全にブロッキング。ほぐそうとしても崩れない。
なお○および△を合格とした。
(3)乳化安定性
調製した粉末油脂あるいは粉末スープ10gを精製水に溶解し100mlとし、メスシリンダーに入れ、室温24時間後の状態を観察して、下記の評価基準で評価した。
評価記号:評価基準
○:分離せず
×:分離してクリーム層が生じる。
(4)スープの風味試験(官能試験)
配合した粉末スープを70〜80℃のお湯で溶解し、5人のパネラーで官能試験を行った。
○:クリーミーで風味良好。
×:クリーミーでなく風味が悪い。
発明例1
1−1)エステル交換油
2リットル四つ口フラスコ融点33℃のパーム油750gと、中鎖飽和脂肪酸油(構成脂肪酸が炭素数8,10の脂肪酸の日本油脂(株)製パナセート810)250gを配合し、この油脂を窒素バブリング下120℃で1時間加熱した後、触媒としてナトリウムメチラート1gを入れ、120℃で30分間エステル交換反応を行った。反応生成物を常法により水洗、乾燥後、吸着剤として活性白土を50g用いて脱色し、さらに水蒸気脱臭して、エステル交換油を得た。組成と結果を表1に示す。
なお、エステル交換反応による生成物は、下記のGC条件により検出し、トリグリセリドを確認した。(以下同様に確認した。)
GC条件:
機種:(株)島津製作所製GC−9APF
カラム:0.5m×φ3mmステンレスカラム
キャリアーガス:窒素ガス1.2kg/cm
充填剤:1.6%OV−1
ガス注入温度:200〜350℃昇温10℃/min
検出器:FID
注入量:2μl
1−2)粉末油脂
水相部として1kgの水に、カゼインナトリウム100g、ラクトース185g、ヘキサメタリン酸ナトリウム5gを溶解し、65〜70℃に昇温した。また予め別に油相部として(1−1)で得られた油脂700gを65〜70℃に昇温し、ステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン(株)製、商品名エマルジーMS)10gを溶解した。
前記の水相部に油相部を添加し、プロペラ式攪拌機で65〜70℃で20分間予備乳化した。次にこの予備乳化液をピストン式ホモジナイザイザーを用いて圧力1470Ps(パスカル;150kg/cm2)で均質化し、水中油滴型乳化液を得た。
この乳化液をノズル式噴霧乾燥機にてスプレードライにより本発明の粉末油脂(A)を得た。得られた粉末油脂を上記の評価法で評価した。組成と結果を表2に示す。
発明例2
2−1)エステル交換油
2リットル四つ口フラスコ融点33℃のパーム油950gと、中鎖飽和脂肪酸油(構成脂肪酸が炭素数8,10の脂肪酸の日本油脂(株)製パナセート810)50gを配合し、この油脂に、固定化酵素リポザイムTL−IM(ノボザイム(株)商品名)を50g入れ、40℃で8時間浸透攪拌することによりエステル交換反応を行った。反応生成物から固定化酵素を除去し、さらに水蒸気脱臭して、エステル交換油を得た。原料組成と結果を表1に示す。
2−2)粉末油脂
水相部として1kgの水に、カゼインナトリウム40g、ラクトース45g、ヘキサメタリン酸ナトリウム5gを溶解し、65〜70℃に昇温した。また予め別に油相部として(2−1)で得られた油脂900gを65〜70℃に昇温し、ステアリン酸モノグリセリド(前に同じ)10gを溶解した。
前記の水相部に油相部を添加し、プロペラ式攪拌機で65〜70℃で20分間予備乳化した。次にこの予備乳化液をピストン式ホモジナイザイザーを用いて圧力1470Ps(パスカル;150kg/cm2)で均質化し、水中油滴型乳化液を得た。
この乳化液をノズル式噴霧乾燥機でスプレードライすることにより本発明の粉末油脂(B)を得た。得られた粉末油脂を上記の評価法で評価した。組成と結果を表2に示す。
発明例3〜7、比較例1〜3
表1に示すように、発明例3〜7および比較例1〜3の配合で粉末油脂(C)〜(J)を調整し、水溶液の乳化安定性および粉末のブロッキング性について評価した。エステル交換油の原料組成と結果を表1に、また粉末油脂組成と結果を表2に示す。
注;
*1.MCT:パナセート810(日本油脂(株)製、商品名)
*2.カゼインナトリウム:インスタンラックS(中央商工(株)製 商品名)
*3.アラビアゴム:INSTANGUM IRX(コロイドナチュレルジャパン(株)商品名)、
*4.オクテニルコハク酸エステル:ピュリテーガムBE(日本エヌエスシー(株) 商品名)、
*5.ステアリン酸モノグリセリド:エマルジーMS(理研ビタミン(株)製、商品名)
*6.テトラグリセリンモノラウリン酸エスエル:SYグリスターML−310(阪本薬品工業(株)製 商品名)、
*7.ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エスエル:SYグリスターCR−ED(阪本薬品工業(株)製 商品名)、
*8.プロピレングリコールステアリン酸エステル:リケマールPS−100(理研ビタミン(株)製 商品名)、
*9.ショ糖脂肪酸エステル:シュガーエステルS−170(三菱化学フーズ(株)製 商品名)
*10.乳糖:ラクトース(レプリノフーズ社製 商品名)
*11.デキストリン:コーンデックス(三和澱粉工業(株)製 商品名)、
表2より、本発明例の粉末油脂は、水溶液の乳化安定性および粉末のブロッキング性において、比較例に比べて優れていることが分かる。
発明例8、比較例4
発明例1および比較例1の粉末油脂を用いて、表2の組成で粉末スープを調製した。調製した粉末スープについてブロッキング試験を行ったところ、発明例8はブロッキングしていなかったが、比較例4ではブロッキングが生じていた。調製した粉末スープを溶解したところ、発明例1のものは乳化状態が良く風味が良好なスープになったが、比較例1のスープは乳化が悪く、表面に油分が浮いており、口当たりが滑らかでなかった。したがって、本発明の粉末油脂の使ったスープの方が明らかに品質が良いことがわかる。
注:
*12:コーンパウダー:コーンパウダーNM−2(井村屋製菓(株)商品名)
*13:ポテトスターチ:STスターチP(日澱化学(株)商品名)
*14:脱脂粉乳:明治脱脂粉乳(明治乳業(株)商品名)
乳糖、デキストリンは前記に同じ。
以上の結果、本発明の範囲のエステル交換油を使用した発明例1〜7は、本発明のエステル交換油の融点が範囲外である比較例1、3、エステル交換油のMCTの含量が範囲外である比較例2に比べて、粉末油脂の耐ブロッキング性および水溶解液の乳化安定性が優れていることがわかる。また、本発明例1の粉末油脂(A)を用いた粉末スープの発明例8は、比較例1の粉末油脂(H)を用いたスープの比較例4に比べて、分散性が優れていることがわかる。

Claims (4)

  1. 下記のエステル交換油30〜90重量部と、被覆材1〜70重量部とを主成分として含有することを特徴とする粉末油脂。
    エステル交換油;
    融点30℃〜60℃のパーム系油脂60〜95重量%と、中鎖飽和脂肪酸油5〜40重量%とを配合しエステル交換して得られる融点が20℃〜55℃であるエステル交換油。
  2. 被覆材が、タンパク質または乳化性糖質である請求項1記載の粉末油脂。
  3. 請求項1または2記載の粉末油脂を用いることを特徴とする食品。
  4. 下記の工程I、II、IIIを順次行うことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末油脂の製造方法。
    工程I;融点30℃〜60℃のパーム系油脂60〜95重量%と、中鎖飽和脂肪酸油5〜40重量%とを用いてエステル交換して融点が20℃〜55℃であるエステル交換油を得る。
    工程II;被覆材1〜70重量部を含有する被覆材水溶液または分散液に前記工程Iで得られたエステル交換油30〜90重量部を分散させて、O/W型エマルションを得る。
    工程III;得られたO/W型エマルションを乾燥させて粉末油脂を得る。
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