JP6590574B2 - 起泡性飲料、起泡性飲料用官能性向上剤、起泡性飲料の官能性向上方法及び起泡性飲料の製造方法 - Google Patents

起泡性飲料、起泡性飲料用官能性向上剤、起泡性飲料の官能性向上方法及び起泡性飲料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、起泡性飲料、起泡性飲料用官能性向上剤、起泡性飲料の官能性向上方法及び起泡性飲料の製造方法に関する。
起泡性飲料は、例えば、飲料を振る等、混合することで泡立つ飲料であり、従来、泡立ち時の外観やまろやかな口当たりが好まれている。また、カプチーノやミルクセーキといった起泡性飲料は、牛乳等の乳製品を含有するものであるから、溶液自体の白度が高いことも求められている。
起泡性飲料は、様々な種類のものが開発されており、例えば、特許文献1には、植物性油脂を含む水中油型乳化物が配合された起泡性飲料が開示されている。特許文献2には、牛乳と、大豆タンパク等の起泡剤と、カラギーナン等の安定剤を含む起泡性飲料が開示されている。特許文献3には、コーヒー抽出液に、コーヒー飲料全量中の乳脂肪分が0.05質量%以上添加された起泡性飲料が開示されている。
特開平04−30746号公報 特開昭58−155041号公報 特開平11−56244号公報
しかしながら、特許文献1の起泡性飲料は、泡の安定性が十分でなく、特許文献2の起泡性飲料は、起泡性の点で十分でない。また、特許文献3の起泡性飲料は、白度が弱い。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされてものであり、起泡性、泡の安定性、及び白度のバランスに優れた起泡性飲料、起泡性飲料用官能性向上剤、並びに、起泡性飲料の官能性向上方法を提供することを目的とする。また、本発明は、起泡性、泡の安定性、及び白度のバランスに優れた起泡性飲料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、粉末油脂を飲料に配合することにより、起泡性、泡の安定性、及び白度のバランスに優れることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 粉末油脂が配合された起泡性飲料。
(2) 前記粉末油脂の配合量が、飲料全体の質量に対して、0.5〜5質量%である(1)記載の起泡性飲料。
(3) 前記粉末油脂が、油分を、該粉末油脂全体の質量に対して25〜75質量%の含有量で含むものである(1)又は(2)記載の起泡性飲料。
(4) 前記粉末油脂が、プロピレングリコール脂肪酸エステルを、該粉末油脂全体の質量に対して5質量%以上の含有量で含むものである(1)から(3)いずれか記載の起泡性飲料。
(5) 前記プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、ステアリン酸及びベヘン酸を含み、前記ステアリン酸と前記ベヘン酸との質量比が1:0.1〜1.5である、(4)記載の起泡性飲料。
(6) 前記粉末油脂が、さらに有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含むものである、(1)から(5)いずれか記載の起泡性飲料。
(7) 前記有機酸グリセリン脂肪酸エステルの含有量が、前記粉末油脂全体の質量に対して、0.1質量%以上である、(6)記載の起泡性飲料。
(8) 前記粉末油脂が、さらにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含むものである、(6)又は(7)記載の起泡性飲料。
(9) 前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が、前記粉末油脂全体の質量に対して、0.1質量%以上である、(8)記載の起泡性飲料。
(10) 前記粉末油脂が、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、有機酸グリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含むものである、(1)から(3)のいずれか記載の起泡性飲料。
(11) 粉末油脂からなる起泡性飲料用官能性向上剤。
(12) 粉末油脂を起泡性飲料に配合する工程を有する、起泡性飲料の官能性向上方法。
(13) 粉末油脂を起泡性飲料用原料液に配合する工程を有する、起泡性飲料の製造方法。
本発明によれば、起泡性、泡の安定性、及び白度のバランスに優れた起泡性飲料、起泡性飲料用官能性向上剤、並びに、起泡性飲料の官能性向上方法を提供することができる。また、本発明によれば、起泡性、泡の安定性、及び白度のバランスに優れた起泡性飲料の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
<起泡性飲料>
本発明の起泡性飲料は、粉末油脂が配合された起泡性飲料である。ここで、「起泡性飲料」とは、振とうや、撹拌等の混合手段によって泡立たせるために用いられる飲料を意味する。また、起泡性飲料は、容器詰めの起泡性飲料と、容器詰めでない起泡性飲料のいずれも含むが、手で振って容易に泡立たせることができるので、起泡性飲料は容器詰めの状態が好ましい。本発明の起泡性飲料は、粉末油脂が配合されることで、起泡性、泡の安定性、及び白度のバランスに優れる。また、本発明の起泡性飲料は、粉末油脂が配合されることで、泡のキメや、コク味にも優れる。
本発明の起泡性飲料が、起泡性、泡の安定性、及び白度に優れる理由は、以下のように推察される。
起泡性飲料の呈味を向上させるために油脂を配合すると、起泡性、泡の安定性、及び白度のバランスが低下してしまう。ところが、本発明の油脂は、粉末油脂であり、後述のとおり、油脂を粉末化基材で覆い、乾燥粉末化して得られたものであるため、再溶解液中でも微細な油滴が安定に分散し、その結果、油脂を多く配合していても、起泡性飲料の起泡性、泡の安定性が低下しにくく、油脂が多く配合されていることで白度も向上させることができると推測される。また、粉末油脂を飲料に溶解させたとき、熱に安定な乳化物を形成するため、例えば、起泡性飲料をレトルト殺菌やUHT等の方法による殺菌をした後でも、本発明の効果を維持できる。
(粉末油脂)
本発明において、「粉末油脂」とは、油脂が粉末化基材で覆われた(カプセル化した)形状になっているものを指す。
本発明の粉末油脂は、従来の公知の方法で製造できる、例えば、油脂、粉末化基材、水、及び必要に応じて他の成分を配合して水中油型に乳化後(乳化工程)、乳化液をホモジナイザー等で均質化し(微細化工程)、水中油型乳化物を乾燥粉末化することによって(乾燥粉末化工程)製造することができる。乾燥後の本発明の粉末油脂は、油脂が粉末化基材で覆われた形状である。
以下に、本発明の粉末油脂の製造方法の具体例を説明する。
乳化工程では、上記の各原料(油脂、粉末化基材、水、及び必要に応じて他の成分)を乳化機の撹拌槽に投入して撹拌混合した後、圧力式ホモジナイザーで油滴サイズを微細化する。なお、詳細は後述するが、油相及び水相には、本発明の効果を損なわない範囲内において、必要な成分を適宜に配合してもよい。
原料の配合比は、特に限定されないが、例えば、油脂と粉末化基材の合計量100質量部に対して水50〜200質量部の範囲内にすることができる。
配合手順は、特に限定されないが、例えば、粉末化基材を水に分散後、撹拌して完全に溶解させた後、ホモミキサー等で撹拌しながら、油脂を加熱溶解させたものを添加して乳化することができる。
乳化工程後、得られた乳化液を、圧力式ホモジナイザーに供給することによって油滴サイズが微細化する。例えば、市販の圧力式ホモジナイザーを用いて、10〜250kg/cmの圧力をかけて均質化し、油滴サイズを微細化することができる。
乾燥粉末化工程は、一般的に知られている噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、真空乾燥法等を用いることができるが、以下には、噴霧乾燥法について述べる。
微細化工程後、油滴サイズを微細化した乳化液を高圧ポンプで噴霧乾燥機の入口に供給し、高温熱風を吹き込み、噴霧乾燥機の槽内に上方から噴霧する。その後、噴霧乾燥された粉末は堆積する。噴霧乾燥機としては、特に限定されないが、例えば、アトマイザー方式やノズル方式で噴霧する槽内底部スプレードライヤーを用いることができる。
乾燥粉末化工程後、噴霧乾燥された粉末を噴霧乾燥機の槽内から取り出した後、振動流動槽等により搬送しながら冷風で冷却することによって、本発明の粉末油脂を製造することができる。なお、適宜、微細化工程と乾燥粉末化工程との間に加熱殺菌工程を設ける等、他の工程を設けてもよい。
このような本発明の粉末油脂は、水中油型乳化物を乾燥したものであり、水に添加することで水中油型乳化物を形成し、微細な油滴が再分散した状態となる。本発明の起泡性飲料中の油滴のメディアン径は、例えば0.3〜2μmである。好ましくは、0.5〜1.2μmである。油滴のメディアン径は、粉末油脂を水に分散させて、水分散液中の油滴の粒度分布をレーザー回折散乱法によって測定し、粒度分布からメディアン径を算出する。このメディアン径は、島津製作所製SALD−2300湿式レーザー回折装置により体積基準として測定する。
油滴のメディアン径が上記の範囲内であると、本発明の粉末油脂の配合では、起泡性飲料に配合した際の分散性が良好であり、速やかに均一に分散するため、飲料の起泡性が向上する。一方、油滴のメディアン径が2μmを超えると、起泡性飲料に配合した際の油滴が大きく不安定であるため、経時的に合一しやすく、泡のキメが低下する。油滴のメディアン径が0.3μm未満であると、再溶解液の安定性等に影響する場合がある。
油脂中のトリグリセリドを構成する脂肪酸は、特に限定されず、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよく、あるいは飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の両方を含んでもよい。飽和脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)等が挙げられる。不飽和脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、ヒラゴン酸(16:3)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、エイコセン酸(20:1)、エルカ酸(22:1)、セラコレイン酸(24:1)等が挙げられる。なお、上記括弧内の数値表記は、各脂肪酸の炭素数:2重結合数である。本発明の油脂中に含まれる各トリグリセリドを構成する脂肪酸は、同一の脂肪酸であってもよく、異なる脂肪酸であってもよい。
本発明の油脂を調製するために用いる原料は、特に限定されないが、菜種油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、胡麻油、パーム油、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂等の植物性油脂や、牛脂、豚脂、魚油、乳脂等の動物性油脂等が挙げられる、また原料に応じて硬化、分別、エステル交換等を行ったものを用いることができる。また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の粉末油脂は、油脂と、油脂以外の成分とを含む油相を粉末化基材で覆って構成してもよい。この場合、油相に含まれる油脂以外の成分は、特に限定されず、例えば、飲料の乳化を目的として乳化剤を使用してもよく、油脂の劣化抑制のために、酸化防止剤を使用してもよい。あるいは、これらの他に、着色料、フレーバー等を油相に含んでもよい。
粉末油脂中の油分の含有量は、特に限定されず、例えば、粉末油脂全体の質量に対して、10〜80質量%の含有量で含むように構成してもよいが、優れたコク味を起泡性飲料に与える点で、粉末油脂全体の質量に対して、25質量%以上であるのが好ましく、30質量%以上であるのがより好ましく、40%質量以上であるのがさらに好ましい。一方、油分の含有量が多くなりすぎると、起泡性が低下することから、粉末油脂中の油分は、粉末油脂全体の質量に対して、75質量%以下であるのが好ましく、70質量%以下であるのがより好ましく、65質量%以下であるのがさらに好ましい。
粉末化基材は、油脂の被覆材として機能する。粉末化基材としては、特に限定されないが、乳蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白、全脂粉乳、脱脂粉乳、小麦粉、デンプン、ゼラチン、増粘多糖類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖、ラクトース、スクロース、マルトース等の二糖類、オリゴ糖、トレハロース、デキストリン、プルラン等の糖類を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
乳蛋白としては、特に限定されないが、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、ホエー蛋白、それらの酵素分解物である乳ペプチド、ミルクプロテインコンセントレート、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。中でも、非ミセル状態であるカゼインナトリウム、カゼインカリウム、ホエー蛋白、乳ペプチド、酸カゼイン等を用いると、粉末油脂を飲料に溶解したときの乳化安定性が向上するため、白度をより向上させることができる。カゼインは、アルカリの添加による中和やカルシウム封鎖剤の添加、あるいはpHを酸性に調整することによる沈澱等により、リン酸カルシウム等で架橋しているミセル構造が破壊され、非ミセル状態となる。乳蛋白の添加量は、特に限定されないが、粉末化前の乳化物の粘度を考慮すると、粉末油脂全量に対して0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜6質量%がさらに好ましい。
デンプンとしては、特に限定されないが、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、緑豆デンプン、サゴデンプンや、コーン、ワキシーコーン、馬鈴薯、タピオカ等を原料とし、これをエーテル化処理したカルボキシメチルデンプンや、エステル化処理したリン酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプン、エーテル化処理したヒドロキシプロピルデンプン、湿熱処理デンプン、酸処理デンプン、架橋処理デンプン、α化処理デンプン等が挙げられる。
増粘多糖類としては、特に限定されないが、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、寒天、LMペクチン、HMペクチン等が挙げられる。
デキストリンとしては、特に限定されないが、水あめ、粉あめ、マルトデキストリン、サイクロデキストリン、焙焼デキストリン、分岐サイクロデキストリン、難消化性デキストリン等が挙げられる。DE(Dextrose Equivalent)は特に限定されないが、10〜30が好ましい。DEはデキストリンの構成単位であるグルコース残基の鎖長の指標となるものであり、デキストリン中の還元糖の含有量(%)を示す値である。
粉末化基材の粉末油脂中全体の質量に対する含有量は、特に限定されないが、10〜60質量%となるように配合することが好ましい。
本発明の粉末油脂は、水を含んでもよく、含まなくてもよいが、水を含む場合、水が多すぎると、粉末油脂中の粉末化基材の機能性を十分に発揮できなくなる。そのため、水の含有量は、好ましくは、粉末油脂全体の質量に対して、好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは2.0質量%以下である。
上記の粉末油脂を製造するために、必要に応じて、乳化剤を使用してもよい。乳化剤は、特に限定されないが、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、粉末油脂に、乳化剤を配合する際、通常は、油溶性乳化剤は油相に、水溶性乳化剤は水相に配合するが、特にこれに限定されない。
乳化剤のうち、起泡性飲料の、起泡性、低温での泡の安定性、泡のキメを向上させる点で、プロピレングリコール脂肪酸エステルが好ましい。プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、特に限定されず、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸、リノール酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、リグノセリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、リノレン酸、エルカ酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸、酪酸、デカン酸、ノナン酸、クタン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ペンタン酸、ブタン酸等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、ステアリン酸又はベヘン酸であり、より好ましくは、ステアリン酸及びベヘン酸の両方である。また、乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル、レシチンを用いることにより、粉末油脂を飲料に溶解したときの乳化安定性が向上するため、より品質の安定した起泡性飲料を得ることができる。
粉末油脂中の、乳化剤の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜設定することができ、例えば、1〜30質量%含むことができる。乳化剤として、プロピレングリコール脂肪酸エステルを用いる場合は、優れた起泡性、低温での泡の安定性を起泡性飲料に与える点で、プロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量は、粉末油脂全体の質量に対して5質量%以上であるのが好ましく、7質量%以上であるのがより好ましく、10質量%以上であるのがさらに好ましい。一方で、プロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量が多すぎると、飲料の風味が低下することから、プロピレングリコール脂肪酸エステルの含有量は、25質量%以下であるのが好ましく、20質量%以下であるのがより好ましい。
プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、ステアリン酸及びベヘン酸を含む場合、ステアリン酸とベヘン酸との質量比は、特に限定されず、例えば、1:0.1〜10であってもよく、1:0.1〜4であってもよいが、優れた泡のキメを起泡性飲料に与える点で、1:0.1〜1.5であるのが好ましい。また、プロピレングリコール脂肪酸エステルが、構成脂肪酸としてステアリン酸及びベヘン酸を含む場合、プロピレングリコール脂肪酸エステル中の全構成脂肪酸の質量に対するステアリン酸及びベヘン酸の質量の割合は、優れた泡のキメを起泡性飲料に与える点で、75質量%以上であるのが好ましく、80質量以上%であるのがより好ましく、85質量%以上であるのがさらに好ましい。
起泡性飲料中の粉末油脂の配合量は、特に限定されず、例えば、飲料全体の質量に対して、0.1〜10質量%であってもよいが、起泡性飲料のコク味に優れる点で、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。また、起泡性飲料中の粉末油脂の配合量が多すぎても、起泡性飲料の粘度が高くなりすぎて、喉ごしが悪くなり、コク味や口当たりが低下するので、起泡性飲料中の粉末油脂の配合量は、飲料全体の質量に対して、5質量%以下が好ましい。
本発明における乳化剤のうち、起泡性飲料の起泡性、泡の安定性、泡のキメを向上させる点で、有機酸グリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。有機酸グリセリン脂肪酸エステルの種類は、特に限定されないが、例えば、酢酸グリセリン脂肪酸エステル、乳酸グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸グリセリン脂肪酸エステル、コハク酸グリセリン酸脂肪酸エステル、ジアセチル酒石酸グリセリン脂肪酸エステル等の有機酸モノグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。これらのうち、起泡性飲料の起泡性、泡の安定性、泡のキメをより向上させることができることから、コハク酸グリセリン酸脂肪酸エステル、ジアセチル酒石酸グリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。また、有機酸グリセリン脂肪酸エステルの結合脂肪酸としては、例えば、炭素数12〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を用いることができる。これら有機酸グリセリン脂肪酸エステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
乳化剤として有機酸グリセリン脂肪酸エステルを用いる場合、優れた起泡性、泡の安定性、泡のキメを起泡性飲料に与える点で、有機酸グリセリン脂肪酸エステルの含有量は、粉末油脂全体の質量に対して0.1質量%以上であるのが好ましく、0.3質量%以上であるのがより好ましく、0.5質量%以上であるのがさらに好ましい。一方で、有機酸グリセリン脂肪酸エステルの含有量が多すぎると、飲料の風味が低下することから、有機酸グリセリン脂肪酸エステルの含有量は、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、プロピレングリコール脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステルの含有量の分析は、HPLC−MS/MSにより行う。
本発明における粉末油脂が、有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含む場合、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを併用することで、さらに泡の安定性を向上させることができる。このことから、本発明における粉末油脂が、有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含む場合、さらに、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含むことが好ましい。
本発明における粉末油脂が、有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含む場合、粉末油脂中の有機酸グリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの質量比は、起泡性飲料が優れた起泡性、泡の安定性、泡のキメを得られることから、好ましくは1:0.5〜3であり、より好ましくは1:0.6〜2であり、さらに好ましくは1:0.8〜1.5である。
本発明の粉末油脂が、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、有機酸グリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含むことで、起泡性飲料の白度とコク味のバランスを保ちつつ、起泡性と泡の安定性の顕著な向上効果を得られる。このことから、本発明の粉末油脂は、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、有機酸グリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含むものであることが好ましい。
本発明における粉末油脂が、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、有機酸グリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含む場合、粉末油脂中のプロピレングリコール脂肪酸エステルと、有機酸グリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの質量比は、起泡性飲料が優れた起泡性、泡の安定性、泡のキメを得られ、白度とコク味のバランスにおいて特に優れることから、好ましくは1〜35:1:0.5〜3であり、より好ましくは3〜20:1:0.6〜2であり、さらに好ましくは3〜15:1:0.8〜1.5である。
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの種類は、特に限定されず、例えば、グリセリンの重合度が2〜10であるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが挙げられる。また、市販品としては、阪本薬品工業社製のSY グリスターCR−ED(ポリタイプ)、SY グリスターCR−310(テトラグリセリン 重合度4)、SY グリスターCR−500(ヘキサグリセリン 重合度 6)、太陽化学社製のサンソフト 818DG(テトラグリセリン 重合度4)、サンソフト 818R(ペンタグリセリン 重合度5)、サンソフト 818SK(ヘキサグリセリン 重合度6)等が挙げられる。これらポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の粉末油脂における、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、特に限定されないが、泡の安定性が良好な飲料が得られることから、粉末油脂全体の質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。他方、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量の上限は、特に限定されないが、飲料の風味が低下することから、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量の分析は、GC−MSにより行う。
起泡性飲料中の各成分の含有量は、特に限定されず、各成分の性質に応じて、適宜設定することができる。例えば、起泡性飲料中の油分は、粉末油脂の配合量で調整することができ、その配合量は、飲料全体の質量に対して、0.1〜10質量%であってもよいが、起泡性飲料のコク味に優れる点で、0.2〜4.0質量%が好ましい。また、起泡性飲料が、起泡性、泡の安定性、及び白度のバランスに優れる点で、起泡性飲料中の全油分の質量に対する、粉末油脂由来の油分の質量は、40質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのがより好ましく、70質量%以上であるのがさらに好ましい。
(起泡性飲料の種類)
本発明の起泡性飲料の種類は、特に限定されないが、コーヒー、乳飲料(例えば、コーヒー乳飲料、ココア、ミルクティー、ミルクセーキ、牛乳等)、茶飲料(例えば、紅茶、緑茶、抹茶、麦茶、ウーロン茶等)、果実飲料が挙げられる。これらのうち、本発明の粉末油脂が配合されることで、起泡性、泡の安定性、白度がより優れる点で、コーヒー、乳飲料が好ましい。
(その他の成分)
起泡性飲料は、上記の他にも、飲料に配合される従来の公知の成分を含んでもよく、含まなくてもよい。そのような成分として、例えば、動植物性油脂、動植物性蛋白質、乳化剤、甘味料、機能性成分、保存料、ビタミン類、ミネラル分、pH調整剤等が挙げられる。
動植物性蛋白質としては、特に限定されないが、例えば、大豆蛋白、乳蛋白、卵白等が挙げられる。乳蛋白としては、特に限定されないが、例えば、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、ホエー蛋白、それらの酵素分解物である乳ペプチド、ミルクプロテインコンセントレート、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。乳蛋白を用いると起泡性をさらに向上させることができるため、好ましく、乳蛋白のうち、乳蛋白を酵素分解した乳ペプチドがさらに好ましい。乳ペプチドとしては、市販されているものを使用でき、例えば、森永乳業株式会社製のエマルアップ、C800、W800が挙げられる。卵白としては、粉末状やペースト状のものを用いることができ、市販品としては、キューピー株式会社製の乾燥卵白や、エスプーマベースが挙げられる。卵白を用いると飲料の安定性が向上し、溶液の分離を起こりにくくすることができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等が挙げられる。乳化剤のうち、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いると、起泡性、泡のキメがさらに向上できる。ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリンの重合度は、特に限定されず、例えば、2〜20の重合度のものを用いることができるが、特に、デカグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。また、デカグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は特に限定されないが、ラウリン酸であるのが好ましく、例えば、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(サンソフトQ−12S、太陽化学株式会社製や三菱化学フーズ株式会社製のL−7D)が好ましい。
(容器)
本発明の起泡性飲料を充填する容器は、特に限定されないが、PETボトル、ビン、缶、紙容器等の容器を用途に応じて使用することができる。ただし、本発明の起泡性飲料は、起泡性、泡の安定性、白度及び泡のキメに優れるので、外観において優れる。そのため、容器は、飲料の外観を視認できるPETボトルや、透明なビンが好ましい。
<起泡性飲料用官能性向上剤>
本発明は、上記の粉末油脂からなる起泡性飲料用官能性向上剤を包含する。ここで、本明細書において、「官能性向上」とは、起泡性飲料の起泡性、泡の安定性、白度、泡のキメ、及びコク味を向上させることを指す。本発明の起泡性飲料用官能性向上剤における、官能性を向上させる対象の起泡性飲料は、官能性向上剤が配合されることで起泡性が向上する、飲料用の液体のことを指し、例えば、起泡性飲料用原料液や、粉末油脂以外の起泡性向上剤が既に配合された飲料用の液体のことを指す。
本発明の起泡性飲料用官能性向上剤には、起泡性飲料に配合される従来の公知の成分を含んでもよく、含まなくてもよい。そのような成分として、例えば、動植物性油脂、動植物性蛋白質、乳化剤、甘味料、機能性成分、保存料、ビタミン類、ミネラル分、pH調整剤等が挙げられる。
本発明の起泡性飲料用官能性向上剤を飲料に添加し、振とうすることで、容易に起泡性飲料を得ることができる。
<起泡性飲料の官能性向上方法>
本発明は、粉末油脂を起泡性飲料に配合する工程を有する、起泡性飲料の官能性向上方法を包含する。本発明の官能性向上方法における、粉末油脂が配合される起泡性飲料は、配合されることで起泡性が向上する、飲料用の液体のことを指し、例えば、起泡性飲料用原料液や、粉末油脂以外の起泡性向上剤が既に配合された飲料用の液体であってもよい。
<起泡性飲料の製造方法>
本発明は、粉末油脂を起泡性飲料用原料液に配合する工程を有する、起泡性飲料の製造方法を包含する。
(配合工程)
本発明の起泡性飲料の製造方法における配合工程は、粉末油脂を起泡性飲料用原料液に配合する工程である。
本明細書における「起泡性飲料用原料液」とは、起泡性飲料の原料となる液体のことを指す。具体的には、起泡性飲料用原料液としては、コーヒー、乳飲料(例えば、コーヒー乳飲料、ココア、ミルクティー、ミルクセーキ、牛乳等)、茶飲料(例えば、紅茶、緑茶、抹茶、麦茶、ウーロン茶等)、果実飲料等の原料液が挙げられる。これらのうち、本発明の粉末油脂が配合されることで、起泡性、泡の安定性、白度がより優れる点で、コーヒー、乳飲料の原料液が好ましい。
配合する方法は、特に限定されず、粉末油脂を単独で、起泡性飲料用原料液に配合してもよく、あるいは、起泡性飲料に配合される他の成分と混合した状態で配合してもよい。また、粉末油脂が溶けやすくなるように、起泡性飲料用原料液をあらかじめ温めておいた上(例えば、50〜70℃)で、起泡性飲料用原料液に配合してもよい。
本発明の起泡性飲料の製造方法における粉末油脂は、上記で述べた本発明の起泡性飲料におけるものと同様のものを用いることができる。すなわち、本発明において製造する起泡性飲料は、上記で述べた本発明の起泡性飲料と同様の配合となるように調製することができる。
(その他の工程)
本発明の起泡性飲料の製造方法は、上記配合工程の他に、従来の公知の起泡性飲料の製造方法において行われる工程を有してもよく、有さなくてもよい。そのような工程としては、例えば、粉末油脂の配合後に、液体中に粉末油脂が十分に溶けるようにするために、起泡性飲料用原料液を(例えば、50〜70℃で)温める工程、起泡性やコク味を調整するために、起泡性飲料用原料液に水(湯)を加える工程、均質化工程、調製された起泡性飲料を容器に充填する工程、充填後に起泡性飲料を殺菌する工程等が挙げられる。
起泡性飲料を充填する容器は、上記で述べた本発明の起泡性飲料と同様のものを用いることができる。
起泡性飲料の殺菌は、従来の公知の方法を用いることができ、容器の種類等に応じて適宜選択することができるが、例えば、レトルト殺菌や超高温加熱処理法(UHT)等により殺菌することができる。このように、レトルト殺菌やUHT等の高温の殺菌方法による殺菌をした後でも、粉末油脂を飲料に溶解させたときに、熱に安定な乳化物を形成することができるため、本発明の効果(起泡性、泡の安定性、及び白度のバランスに優れる効果)を維持できる。このことから、本発明の起泡性飲料の製造方法は、レトルト殺菌や超高温加熱処理等により殺菌することが好ましい。
(粉末油脂の製造)
表1に記載の各油脂に、表1に記載の配合となるように、乳化剤としてプロピレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコールベヘン酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル(ジアセチル酒石酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ポエムW−60、理研ビタミン株式会社)、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(SYグリスターCR−ED、阪本薬品工業株式会社)を添加し、70℃に調温し、これを油相とした(粉末油脂6、7については、乳化剤を添加せずに、油脂を70℃に調温し、これを油相とした)。カゼインナトリウム、コーンシロップを60℃の温水に添加し、これを水相とした。次いで、それぞれの水相と油相とを混合し、ホモミキサーで撹拌した後、圧力式ホモジナイザーを用いて150kg/cmの圧力で均質化し、水中油型の乳化液を得た。得られた乳化液を、ノズル式スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥することにより粉末化し、粉末油脂1〜10を製造した(噴霧乾燥条件:入口温度210℃)。表1中、「PG−S」とは、上記プロピレングリコールステアリン酸エステル、「PG−B」とは、プロピレングリコールベヘン酸エステルを指す。表1中、「PG合計」とは、上記プロピレングリコールステアリン酸エステル(プロピレングリコールステアリン酸エステル及びプロピレングリコールベヘン酸エステル)の合計の質量を指す。
Figure 0006590574
(起泡性飲料の調製)
後述する表2に示す各粉末類と、砂糖10g、脱脂粉乳1gを混合し、コーヒー抽出液(20質量%になるよう、湯にコーヒー粉末(市販品)を溶かし、リン酸水素2ナトリウムでpH6.49に調整したコーヒー抽出液)25gと牛乳10gとの混合液に加えた後、湯20gを加え、添加した成分を温浴槽(60℃以上)にて完全に溶解させ、全体が100gとなるように、適宜、湯を添加し、実施例1〜14、比較例1〜5の起泡性飲料を調製した。各粉末類の配合量は後述の表2に示す。
(官能性評価)
各起泡性飲料について、官能性の評価を行った。官能性は、起泡性(低温の起泡性と高温の起泡性)、泡の安定性、溶液の白度、コク味、泡のキメについて行った。各官能性の評価方法について、以下に説明する。
〔低温での起泡性評価〕
直径3.5cm高さ10.5cmのガラス製蓋付ビンに各起泡性飲料を90g入れ、5℃で一晩保管し、手で10回振って、振った直後の泡の高さを下記の基準で目視にて評価を行った。
5 かなり高い
4 高い
3 やや高い
2 低い
1 ほとんど泡立たない
〔高温での起泡性評価〕
直径3.5cm高さ10.5cmのガラス製蓋付ビンに、作製直後の各起泡性飲料(50℃)を90g入れ、振った直後の泡の高さを下記の基準で目視にて評価を行った。
5 かなり高い
4 高い
3 やや高い
2 低い
1 ほとんど泡立たない
〔低温での泡の安定性〕
泡の安定性を、低温での起泡性評価から1時間後の泡の状態を以下の基準により、目視にて評価を行った。
5 かなり泡が保持される
4 泡が保持される
3 やや泡が保持される
2 あまり泡は保持されない
1 ほとんど泡が保持されない
〔高温での泡の安定性〕
泡の安定性を、高温での起泡性評価から1時間後の泡の状態を以下の基準により、目視にて評価を行った。
5 かなり泡が保持される
4 泡が保持される
3 やや泡が保持される
2 あまり泡は保持されない
1 ほとんど泡が保持されない
〔溶液の白度〕
コーヒー溶液の白度を以下の基準により、目視にて評価を行った。
5 白濁感がかなり強い
4 白濁感が強い
3 白濁感がやや強い
2 白濁感が弱い
1 白濁感がかなり弱い
〔コク味〕
起泡性飲料を試飲し、以下の基準で官能評価を行った。
5 かなりコクがある
4 コクがある
3 ややコクがある
2 あまりコクがない
1 ほとんどコクがない
〔泡のキメ〕
低温での起泡性評価を行った飲料の泡のキメを以下の基準により、目視にて評価を行った。
5 かなりキメ細かい
4 キメ細かい
3 ややキメ細かい
2 やや粗い
1 かなり粗い
官能性評価の結果を、表2に示す。
Figure 0006590574
この結果より、比較例1〜5は、低温での起泡性、高温での起泡性、低温での泡の安定性、高温での泡の安定性、溶液の白度、コク味及び泡のキメのいずれかの項目で優れるものの、全ての項目において優れた評価ではなかった。これに対し、実施例1〜14は、低温での起泡性、高温での起泡性、低温での泡の安定性、高温での泡の安定性、溶液の白度、コク味及び泡のキメの全ての評価において優れていたことが確認された。この結果より、粉末油脂でない、乳脂、乳ペプチド(エマルアップ、森永乳業株式会社製)、サポニン(サポニンB−50、株式会社J−オイルミルズ製)、及び卵白(乾燥卵白、キューピー株式会社製)では、起泡性飲料の、低温での起泡性、高温での起泡性、低温での泡の安定性、高温での泡の安定性、溶液の白度、コク味及び泡のキメの全てを向上させることはできないが、粉末油脂によると、起泡性飲料の、低温での起泡性、高温での起泡性、低温での泡の安定性、高温での泡の安定性、溶液の白度、コク味及び泡のキメの全てを向上させることができることが示された。
また、粉末油脂が、油分を、粉末油脂全体の質量に対して70質量%の含有量で含む粉末油脂6を含む実施例6より、65質量%以下の含有量で含む粉末油脂1〜5、7のいずれかを含む実施例1〜5、7、9〜11の方が、起泡性の評価が高かった。これにより、起泡性飲料に含まれる粉末油脂中の油分の含有量は、粉末油脂全体の質量に対して、65質量%以下であることにより、起泡性が向上することが示唆された。なお、実施例8は、粉末油脂2を含むにもかかわらず、起泡性の評価が実施例6と同じである理由は、粉末油脂の含有量が、0.5質量%と、添加量が少ないからであると考えられる。
プロピレングリコール脂肪酸エステルを含まない粉末油脂6を含む実施例6より、プロピレングリコール脂肪酸エステルを、該粉末油脂全体の質量に対して5質量%以上の含有量で含む粉末油脂1〜5のいずれかを含む実施例1〜5、9〜11の方が、起泡性の評価が高かった。これにより、プロピレングリコール脂肪酸エステルを、粉末油脂全体の質量に対して5質量%以上の含有量で含む粉末油脂を配合することで、起泡性飲料の起泡性が向上することが確認された。なお、実施例7は、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含まない粉末油脂7を含むにもかかわらず、起泡性飲料の起泡性の評価が高いのは、粉末油脂の配合量が30質量%と、比較的少ないからであると考えられ、実施例8は、粉末油脂2を含むにもかかわらず、起泡性の評価が実施例6と同じである理由は、粉末油脂の含有量が、0.5質量%と、添加量が少ないからであると考えられる。
プロピレングリコール脂肪酸エステルを含まない粉末油脂6、7を含む実施例6、7より、プロピレングリコール脂肪酸エステルを、該粉末油脂全体の質量に対して5質量%以上の含有量で含む粉末油脂1〜5のいずれかを含む実施例1〜5、8〜11の方が、低温での泡の安定性の評価が高かった。これにより、プロピレングリコール脂肪酸エステルを、粉末油脂全体の質量に対して5質量%以上の含有量で含む粉末油脂を配合することで、起泡性飲料の低温での泡の安定性が向上することが確認された。
また、プロピレングリコール脂肪酸エステルとして、プロピレングリコールステアリン酸エステルのみを含む粉末油脂5を含む実施例5や、プロピレングリコールステアリン酸エステルとプロピレングリコールベヘン酸エステルとの質量比が、1:2〜3である粉末油脂3、4のいずれかを含む実施例3、4より、プロピレングリコールステアリン酸エステルとプロピレングリコールベヘン酸エステルとの質量比が、1:0.1〜1.5である粉末油脂1、2のいずれかを含む実施例1、2、8〜11の方が、泡のキメの評価が高かった。これにより、プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、ステアリン酸及びベヘン酸を含み、ステアリン酸とベヘン酸との質量比が1:0.1〜1.5である粉末油脂を含むことにより、起泡性飲料の泡のキメが向上することが示された。
また、実施例11においては、低温、高温での起泡性の評価、及び泡のキメの評価が、5段階評価における「5」より高かった(表中では、「5」と記載した)。これは、乳ペプチド、デカグリセリンモノラウリン酸エステル(サンソフトQ−12S、太陽化学株式会社製)と、卵白とを併用したためであると考えられる。
粉末油脂6と粉末油脂8との成分を比較すると、粉末油脂6が有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含まないのに対し、粉末油脂8は有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含むものであり、それ以外の配合は、両者ともに略同じである。ここで、粉末油脂6を含む実施例6の起泡性飲料と粉末油脂8を含む実施例12の起泡性飲料とを比較すると、実施例12の方が、実施例6より、著しく高温での起泡性、低温での起泡性、高温での泡の安定性、低温での泡の安定性が高いことが確認された。また、比較例5の起泡性飲料は、粉末油脂は含まないが、飲料中に有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含むものである。しかし、比較例5は、実施例12より起泡性、泡の安定性の評価が低かった。さらに、比較例5は、白度の評価が「1」と著しく低かった。この結果から、粉末油脂に含まれた状態で有機酸グリセリン脂肪酸エステルが起泡性飲料に配合されることにより、高温、低温のいずれにおいても起泡性、泡の安定性が著しく向上し、また、白度の低下も抑制されることが示された。
粉末油脂9は、粉末油脂8にさらにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを加えたものである。粉末油脂8を含む実施例12の起泡性飲料と、粉末油脂9を含む実施例13の起泡性飲料との評価結果を比較すると、実施例13の方が、高温での泡の安定性、低温での泡の安定性の評価が高かった。この結果から、粉末油脂において有機酸グリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを併用することで、高温、低温のいずれにおいても泡の安定性が高い評価になるものと考えられる。
粉末油脂9は、乳化剤として、有機酸グリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含むものである。粉末油脂10は、乳化剤として、有機酸グリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとに加え、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含むものである。粉末油脂9を含む実施例13の起泡性飲料と、粉末油脂10を含む実施例14の起泡性飲料との評価結果を比較すると、実施例14は、さらに、起泡性の評価が高かった(表中では、「5++」と記載した)。また、実施例14は、高温、低温のいずれにおいても泡の安定性の評価が高く、また、白度、コク味の評価が高度にバランスがよかった。この結果から、粉末油脂において、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、有機酸グリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含むことで、起泡性飲料の白度とコク味のバランスを高度に保ちつつ、高温、低温のいずれにおいても起泡性と泡の安定性の顕著な向上効果を得られるものと考えられる。

Claims (12)

  1. 粉末油脂が配合された起泡性飲料であって、
    前記粉末油脂中の油分の含有量が、前記粉末油脂全体の質量に対して40質量%以上であり、
    前記粉末油脂が、有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含む、
    起泡性飲料
  2. 前記粉末油脂の配合量が、飲料全体の質量に対して、0.5〜5質量%である請求項1記載の起泡性飲料。
  3. 前記粉末油脂が、プロピレングリコール脂肪酸エステルを、該粉末油脂全体の質量に対して5質量%以上の含有量で含むものである請求項1又は2に記載の起泡性飲料。
  4. 前記プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、ステアリン酸及びベヘン酸を含み、前記ステアリン酸と前記ベヘン酸との質量比が1:0.1〜1.5である、請求項記載の起泡性飲料。
  5. 前記有機酸グリセリン脂肪酸エステルが、コハク酸グリセリン脂肪酸エステル、又はジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを含むものである、請求項1から4いずれか記載の起泡性飲料。
  6. 前記有機酸グリセリン脂肪酸エステルの含有量が、前記粉末油脂全体の質量に対して、0.1質量%以上である、請求項1から5いずれか記載の起泡性飲料。
  7. 前記粉末油脂が、さらにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含むものである、請求項又は記載の起泡性飲料。
  8. 前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が、前記粉末油脂全体の質量に対して、0.1質量%以上である、請求項記載の起泡性飲料。
  9. 前記粉末油脂が、プロピレングリコール脂肪酸エステルと、有機酸グリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとを含むものである、請求項1から3のいずれか記載の起泡性飲料。
  10. 粉末油脂からなる起泡性飲料用官能性向上剤であって、
    前記粉末油脂中の油分の含有量が、前記粉末油脂全体の質量に対して40質量%以上であり、
    前記粉末油脂が、有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含む、
    官能性向上剤
  11. 粉末油脂を起泡性飲料に配合する工程を有する、起泡性飲料の官能性向上方法であって、
    前記粉末油脂中の油分の含有量が、前記粉末油脂全体の質量に対して40質量%以上であり、
    前記粉末油脂が、有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含む、
    官能性向上方法
  12. 粉末油脂を起泡性飲料用原料液に配合する工程を有する、起泡性飲料の製造方法であって、
    前記粉末油脂中の油分の含有量が、前記粉末油脂全体の質量に対して40質量%以上であり、
    前記粉末油脂が、有機酸グリセリン脂肪酸エステルを含む、
    製造方法
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