JP3717641B2 - 起泡性コーヒー飲料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製造工程中の起泡を抑制し、かつ加熱殺菌後の製品において安定な泡を形成することのできる、起泡性コーヒー飲料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、粉末のインスタントコーヒーでは調製時にウインナコーヒー、カプチーノ、エスプレッソ様の泡を形成できる製品が知られている。
これらの製品には一般に各種の動植物蛋白、多糖類、界面活性剤等の起泡剤が使用されている。
一方、缶コーヒー飲料では起泡剤が配合されていると、製造工程において種々の問題が生じ、実用化が難しい。ミルク入り缶コーヒー飲料の製造は、コーヒー液の抽出工程、粉乳類を溶解する溶解工程、それらを混合する調合工程、および充填・殺菌工程より成るが、例えば、溶解工程、調合工程では攪拌による空気の衝撃や送液時の空気の抱き込みによって過剰な泡が発生し、製造ラインに大きな支障をきたす。この溶解工程での起泡の問題は、粉乳類、起泡剤、安定剤を個別に溶解することによって泡の質を粗くし、消泡しやすくしてある程度は回避することができる。また、調合工程以降の起泡を抑えるには、通常シリコーン消泡剤、アルコールなどが用いられる。しかし、シリコーン消泡剤は、加熱後も残存して製品中の起泡を阻害するため、本発明の意図するような起泡性のある製品には使用できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、製造工程中の起泡を抑制し、かつ加熱殺菌後の製品において安定な泡を形成することのできる、起泡性コーヒー飲料の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、乳脂肪の有する消泡作用に着目し、コーヒー飲料全量中の乳脂肪分の割合を調整することによって、製造工程中の起泡を抑制し、しかも加熱殺菌後の製品において安定な泡を形成できることを見いだし、本発明を完成させるに到った。
【0005】
すなわち、本発明は、コーヒー抽出液に、コーヒー飲料全量中の乳脂肪分が0.05重量%以上となる量の乳成分を起泡剤とともに添加することを特徴とする、起泡性コーヒー飲料の製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、起泡性コーヒー飲料に配合するコーヒー抽出液は、コーヒー焙煎豆を抽出して得られる。
コーヒー豆の種類は、特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ等が挙げられる。コーヒー豆は1種でもよいし、または複数種をブレンドして用いてもよい。焙煎は通常の方法で行えばよく、焙煎の程度は所望する呈味により適宜調整すればよい。具体的には、焙煎を深くすると苦みが強くなり、焙煎が浅いと酸味が強くなる。
コーヒー焙煎豆の抽出方法は、特に限定されないが、例えば熱水抽出で行う。
【0007】
本発明における起泡性コーヒー飲料には、乳成分として、牛乳、生乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂乳、れん乳等を用いる。
上記の乳成分は、いずれか1種でもよく、または複数種を組み合わせて用いてもよい。複数種を組み合わせる場合、好適には、牛乳と脱脂粉乳、全粉乳と脱脂粉乳、あるいは牛乳と全粉乳と脱脂粉乳の組み合わせが例示される。
上記の乳成分は、コーヒー飲料全量中の乳脂肪分が0.05重量%以上、好ましくは0.05重量%以上0.2重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以上0.2重量%以下となるような量を配合する。乳脂肪分が0.05重量%より少ないと製造工程中の起泡を抑制することができず好ましくない。
【0008】
本発明による起泡性コーヒー飲料においては、乳脂肪分を除去した乳成分により起泡性が付与されるが、さらに、起泡剤として、卵白ペプタイド、大豆タンパク、小麦タンパク、ゼラチン、カゼインナトリウム等の動植物起源の蛋白質またはその加水分解物を用いる。
また、起泡性は、副原料として用いる後記乳化剤、安定剤によっても付与される。
【0009】
また、本発明における起泡性コーヒー飲料に用いる糖分としては、ショ糖、グルコース、フルクトース、キシロース、果糖ブドウ糖液糖、糖アルコール等から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、ショ糖が好ましい。
【0010】
さらに、本発明における起泡性コーヒー飲料には、副原料としてpH調整剤、乳化剤、安定剤、香料等を用いる。
pH調整剤は加熱殺菌による乳蛋白質の沈殿生成を防止できるものであれば特に限定はされないが、例えば重曹が好適に用いられる。
乳化剤としては、加熱殺菌による乳蛋白質の沈殿生成や、脂肪の分離を防止できるものであれば特に限定されないが、例えばショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、微結晶セルロース、レシチン、サポニン等が好適に用いられる。
安定剤としては、乳化の安定化、ゲル化などの機能により、品質の安定化が望めるものであれば特に限定されないが、例えばカラギナン、アラビアガム、グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、プルラン等の植物起源の多糖類およびその誘導体が好適に用いられる。
【0011】
本発明のミルク入りコーヒー飲料の製造方法としては、具体的には、コーヒー抽出液に所定量の糖分、例えばショ糖を加え溶解させた後、重曹にてpHを6.8 〜7.1 に調整する。これに、乳化剤、乳成分、起泡剤、安定剤を溶解してホモゲナイズ処理した液と香料とを加えコーヒー調合液とする。これを例えば60〜70℃に昇温後、ホモゲナイズ処理し、さらに90℃に昇温後、容器に充填してレトルト殺菌する。レトルト殺菌は、例えば115 〜130 ℃、15〜30分間、10〜60Fにて行う。ここで使用される容器としては、例えば缶(アルミニウム、スチール)、瓶(ガラス)である。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕 起泡性コーヒー飲料の製造
焙煎したブラジル豆を粉砕した後、攪拌を行いながら、15倍量の95℃の熱水で、15分間抽出を行った。抽出終了後、市販の紙製の濾過フィルターで抽出液を濾過し、濾液を氷冷した。得られた液(以下、コーヒー抽出液)の可溶性固形分(ブリックス;Brix )は2.0 であり、抽出率は25% であった。このコーヒー抽出液を1000g 処方でのコーヒー焙煎豆の使用量が40g になるように秤量した。この抽出液に、ショ糖を50g 添加し完全に溶解した後、重曹を加えpHを6.9 に調整した。これに、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル0.3g、起泡剤として卵白ペプタイド0.5 〜1.2g、安定剤としてカラギナン0.2 〜0.7g、および乳成分を溶解してホモゲナイズ処理(1次圧100kg/cm2 、2次圧50kg/cm2の計150kg/cm2)した液と香料とを加えて調合液とした。調合液を60℃に昇温し、ホモゲナイズ処理(1次圧150kg/cm2 、2次圧50kg/cm2の計200kg/cm2)して均質化し、90℃に昇温後、缶に充填し、レトルト殺菌を行い(124℃, 20分間, F=39) 、目的の起泡性コーヒー飲料を得た。
【0013】
〔試験例1〕 起泡性試験
(1) 試料
実施例1において、乳成分を表1に示す割合で配合したコーヒー飲料を調製した。製造時における起泡力は、ホモゲナイズ処理をした調合液(レトルト殺菌前)を、また製品後の起泡力は、レトルト殺菌後常温にて7日間経過後の保存液をそれぞれ試料とし、以下の方法にて測定した。
【0014】
【表1】
(単位:g)
【0015】
(2) 測定方法
使用する試料は予め20〜25℃にする。市販のスピッツ管(イワキガラス社製CORNING 、容量15ml、直径14.5mm、蓋付きプラスチック製)に泡立てないように注意しながら試料10mlを計り取り、蓋を閉めた後、管を横にした状態で5秒以上(15 〜20回) 激しく振盪する。試験管立てに1分間静置後、泡の高さをmm単位で測定し、平均値(n=3以上) を起泡力とした。
製造時における起泡を抑制するには本測定方法での測定値が15mm以下、製品に所望する安定な泡を形成させるには本測定方法での測定値が20mm以上とした。
【0016】
(3) 結果
結果を表2および図1にそれぞれ示す。
上記の測定値と起泡性の相関より、乳成分が0.05重量%以上、好ましくは0.05重量%以上0.2 重量%以下、さらに好ましくは0.1 重量%以上0.2 重量%以下とすれば、調合液の起泡力が15mm以下、製品の起泡力が20mm以上となって、製造工程中の起泡を抑制し、かつ製品においては所望する安定な泡が形成できると判断される。
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、製造工程中の起泡を抑制し、かつ加熱殺菌後の製品において安定な泡を形成することのできる、起泡性コーヒー飲料の製造方法が提供される。本方法で製造された起泡性コーヒー飲料は、飲む前に缶を振ることにより適度な泡が形成されて、本格的なウインナコーヒー、カプチーノ、エスプレッソ様仕立てのコーヒーを手軽に楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コーヒー飲料全量中の乳脂肪分と調合時、製品における起泡力との関係を示す。
Claims (3)
- コーヒー抽出液に、コーヒー飲料全量中の乳脂肪分が0.05重量%以上0.2重量%以下となる量の乳成分を動植物起源の蛋白質または加水分解物からなる起泡剤とともに添加することを特徴とする、起泡性コーヒー飲料の製造方法。
- 乳成分が、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1記載の起泡性コーヒー飲料の製造方法。
- 動植物起源の蛋白質が、卵白ペプタイド、大豆タンパク、小麦タンパク、ゼラチン、及びカゼインナトリウムから選ばれるものである、請求項1又は2記載の起泡性コーヒー飲料の製造方法。
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