JP2002262773A - ジグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを含有するコーヒー豆量の多い乳成分含有コーヒー - Google Patents
ジグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを含有するコーヒー豆量の多い乳成分含有コーヒーInfo
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Abstract
コーヒー豆量の多い乳成分含有コーヒーを提供する。 【解決手段】ジグリセリン脂肪酸エステル、HLB3〜
14のショ糖脂肪酸エステル及び乳成分を含有し、且つ
コーヒー抽出液の含有量が生豆換算で5〜10重量%で
あることを特徴とするコーヒー。
Description
コーヒーに関するものである。詳しくは、コーヒー豆量
の多い、乳成分をしたコーヒーであって、加熱殺菌を施
した際の熱安定性および長期間の保存安定性に優れたコ
ーヒーに関するものである。
存のために加熱殺菌処理を経て製造されるが、生残する
耐熱性の強い高温芽胞菌の増殖による変敗を防止するた
めに、ポリグリセリン脂肪酸エステル、特にグリセリン
の重合度が2であるジグリセリン脂肪酸エステルを添加
する方法が提案されている(特開平8−228676号
公報)。
の遊離や蛋白質の凝集の発生を抑制し、乳化安定性を長
期間保持するため、或いはポリグリセリン脂肪酸エステ
ル添加による乳エマルションの粒径増大に基づく製品の
安定性低下を防止するために、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステルとショ糖脂肪酸エステルを併用する方法が提案さ
れている(特開平11−75683号公報、特開平11
−75684号公報、特開平11−75685号公
報)。これらの方法は、コーヒー豆量の少ないコーヒー
飲料に用いられていた。
者の嗜好を反映してコーヒー豆本来の味を強調したコー
ヒー飲料が数多く製造、販売されており、使用される豆
の量も増加する傾向にある。このようなコーヒー豆量の
多いコーヒーにジグリセリン脂肪酸エステルを添加後加
熱殺菌すると、乳成分が飲料中の上方にまとまって浮上
し、乳成分が集まった白い乳成分相と、乳成分を含まな
いコーヒー相の2相に分離する現象が観察される。特に
最近では、缶入り飲料に代わり、PETボトル入り飲料
が普及してきているため、PETボトル飲料において乳
成分の分離が起こった場合には、消費者に不快な印象を
与え、商品価値が低下したり、クレームの原因につなが
る可能性がある。そこで、コーヒー豆量の多いコーヒー
飲料において、乳成分相とコーヒー相が相分離せず、且
つ長期間保存しても乳成分の凝集が起こらないコーヒー
の開発が望まれていた。
べく本発明者らは鋭意検討した結果、ジグリセリン脂肪
酸エステル及び特定範囲のHLBを有するショ糖脂肪酸
エステルを併用することにより、コーヒー含量が多い場
合でも、良好な乳化安定性を長時間持続できることを見
出し、本発明に到達した。
脂肪酸エステル、HLB3〜14のショ糖脂肪酸エステ
ル、及び乳成分を含有し、且つコーヒー抽出液の含有量
が生豆換算で5〜10重量%であることを特徴とするコ
ーヒーに存する。また、本発明の別の要旨は、HLB1
5〜22のショ糖脂肪酸エステルを併用する前記コーヒ
ーに存する。
本発明は、ジグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸
エステル及び乳成分を含有するコーヒーに関するもので
ある。本発明のコーヒーに使用されるジグリセリン脂肪
酸エステルは、通常、モノエステル含量が50重量%以
上であり、70重量%以上であることが好ましい。ジグ
リセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数は、通常
8〜22、好ましくは10〜22、更に好ましくは14
〜18である。構成脂肪酸は、飽和または不飽和のいず
れでも良いが、好ましくは飽和脂肪酸である。具体的に
は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン
酸等が例示されるが、中でもパルミチン酸が好ましい。
構成脂肪酸は2種以上組み合わせて使用してもよい。モ
ノエステル含量が70重量%以上であり、かつパルミチ
ン酸を主成分(好ましくは80重量%以上)とするもの
は、高温芽胞菌の増殖を抑制する効果が高く好ましい。
HLB3〜14であり、HLB3〜11が好ましく、H
LB3〜9が更に好ましく、特に好ましくはHLB4〜
6であり、最も好ましくはHLB5である。ショ糖脂肪
酸エステルの構成脂肪酸の炭素数は、通常、10〜2
2、好ましくは16〜20のものである。構成脂肪酸
は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれでもよいが、好
ましくは飽和脂肪酸である。中でもステアリン酸が最も
好ましい。構成脂肪酸は、2種以上用いてもよい。ショ
糖脂肪酸エステルのモノエステル含量は、好ましくは2
0重量%以上60%重量以下である。HLB3〜11の
ショ糖脂肪酸エステルとしては、モノエステル含量が2
0重量%以上60%重量以下であり、かつ構成脂肪酸の
70%以上がステアリン酸のものが好ましい。特に乳飲
料の沈殿防止の目的に使用されているモノエステル含量
が30%、ジエステル以上のエステル含量が70%であ
り、構成脂肪酸の70%以上がステアリン酸であるショ
糖脂肪酸エステルが最も好ましい。
酸エステルの水分散性が良好ではないことから、より優
れた抗菌効果を発揮するために、抗菌剤としてHLB1
5〜22のショ糖脂肪酸エステルを更に併用することが
好ましい。HLB15〜22のショ糖脂肪酸エステルの
モノエステル含量は、好ましくは50%以上であり、更
に好ましくは70%以上である。構成脂肪酸の炭素数
は、通常10〜22であるが、好ましくは、14〜20
である。飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれでもよい
が、好ましくは飽和脂肪酸である。中でもパルミチン酸
とステアリン酸が好ましく、パルミチン酸が特に好まし
い。構成脂肪酸中のパルミチン酸、ステアリン酸の含量
は、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上
である。モノエステル含量が70%以上であり、かつ構
成脂肪酸の80%以上がパルミチン酸であるショ糖脂肪
酸エステルが、抗菌性の点で最も好ましい。
肪酸エステル及びHLB3〜14のショ糖脂肪酸エステ
ルは粉の状態で混合してコーヒーに添加してもよいし、
別々に添加してもよいが、一般的には、これらを一度に
混合して乳化安定剤を製造し、これに水を添加し、混合
して乳化安定剤水溶液とし、50〜60℃で攪拌して乳
化剤水溶液としたものをコーヒーに添加するのが好まし
い。HLB15〜22以上のショ糖脂肪酸エステル等の
他の成分を入れる場合にも、ジグリセリン脂肪酸エステ
ル及びHLB3〜14のショ糖脂肪酸エステルと同時に
混合することが工程上都合がよい。
肪酸エステルとHLB3〜14のショ糖脂肪酸エステル
の配合比は、一般に、25:300〜1:300(重量
比)である。HLB15〜22のショ糖脂肪酸エステル
を併用する場合の配合比は、一般に、ジグリセリン脂肪
酸エステル:HLB3〜14のショ糖脂肪酸エステル:
HLB15〜22のショ糖脂肪酸エステル=0.025
〜0.3:0.001〜0.3:0.03〜0.3(重
量比)である。
エステル、ショ糖脂肪酸エステル、コーヒー焙煎豆より
得られるコーヒー抽出液、及び乳成分を含有する。コー
ヒー豆は特に限定されず、同一の種類のコーヒー豆を使
用しても、2種類以上のコーヒー豆を混合して用いても
よい。また、焙煎の方法、抽出方法も特に限定されず一
般的に実施されている方法を用いて構わない。コーヒー
抽出液の含有量としては生豆換算で5〜10重量%であ
る。
体的には牛乳、全脂粉乳、スキンミルクパウダー、フレ
ッシュクリーム等が挙げられるが、脱脂粉乳などの蛋白
質とバターやミルクオイル等の乳脂とを個別に加えて調
整してもよい。コーヒー中の乳成分の含有量は、牛乳換
算で4〜25重量%であることが好ましい。勿論、本発
明のコーヒーには、この他、砂糖、香料、ビタミンなど
の公知の配合剤や他の乳化安定剤を、本発明の効果を損
なわない範囲で加えてもよい。その他の乳化安定剤とし
て、レシチン、リゾレシチン、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を例示できる。
熱殺菌前にpH調整剤(炭酸水素ナトリウム等)が添加
されるが、炭酸水素ナトリウムの添加量が多いと、炭酸
水素ナトリウムの加熱臭が生じ、コーヒー本来の香りが
変化する。このため、本発明のコーヒーのpHとして
は、5.0〜7.0が好ましく、6.0〜6.7がより
好ましい。
糖および牛乳等の乳成分を混合した後、ジグリセリン脂
肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルを含有する乳化
安定剤またはこの乳化安定剤の水溶液を混合し、さらに
重曹を加えてpHを調整した後にホモジナイザーを用い
て均質化処理を行ない、さらに加熱殺菌処理を行なうこ
とにより調製される。
殺菌温度130〜150℃で121℃の殺菌価(F0)が1
0〜50に相当するような超高温殺菌を施しても殺菌直
後の乳化物の耐熱性が高く、さらに長期間の乳化安定性
を保持することができる。このため、通常121℃、2
0〜40分でレトルト殺菌される缶飲料はもちろんのこ
と、UHT殺菌後に無菌充填されるPETボトル用飲料
なども含まれる。特にPETボトルコーヒーではコーヒ
ー相と乳成分相の2相に分離する現象が観察される場合
があるが、本発明のコーヒーは、分離が抑制されるのみ
ならず、長期間良好な乳化状態を保つことができる。
量は、ジグリセリン脂肪酸エステルは0.025〜0.
3重量%、HLB3〜14のショ糖脂肪酸エステルは
0.001〜0.3重量%、HLB15〜22のショ糖
脂肪酸エステルは0.03〜0.3重量%である。
明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。また、比、%、部は
いずれも重量比、重量%および重量部を表す。 [実施例]ジグリセリンモノパルミチン酸エステル50
重量部(理研ビタミン(株)、商品名:ポエムDP−9
5RF)、HLB5のショ糖脂肪酸エステル50重量部
(三菱化学フーズ(株)、商品名:リョートーシュガー
エステルS−570)を混合して乳化安定剤を調製し、
このうち1.0gに脱塩水99gを加え、50℃で攪拌
して乳化安定剤水溶液を調製した。
値26)450gを95℃の脱塩水4500gで抽出
し、コーヒー抽出液を得た。コーヒー抽出液583g、
牛乳120g、グラニュー糖60g、及び先に製造した
乳化安定剤水溶液、及び脱塩水を加えて全量を1000
gとした。この溶液に重曹を加えて殺菌後のpHが6.
7となるように調整し、これを高圧ホモジナイザーを用
いて60〜70℃の温度で150kg/50kgの圧力
で均質化後、プレート式UHT殺菌装置(日阪製作所S
TS−100)により殺菌温度137℃、殺菌時間(ホ
ールド時間)60秒の条件で殺菌し(F0=40)、無
菌状態で350mLPETボトルに充填し冷却すること
によりコーヒーを得た。得られたコーヒーを5℃で保存
してもミルク相とコーヒー相の2相分離は観察されなか
った。 [比較例1]乳化安定剤としてジグリセリンモノパルミ
チン酸エステルのみを用いた以外は実施例と同様に行っ
た。殺菌後に5℃で保存すると、間もなくミルク相とコ
ーヒー相の2相分離が観察された。 [比較例2]ジグリセリンモノパルミチン酸エステル5
0重量部とHLB15のショ糖脂肪酸エステル50重量
部(三菱化学フーズ、商品名:リョートーシュガーエス
テルP−1570)を混合して乳化安定剤を調製した以
外は実施例と同様に行った。殺菌後に5℃で保存する
と、間もなくミルク相とコーヒー相の2相分離が観察さ
れた。
ヒー相と乳成分相の2相に分離することがなく、さらに
長期間の乳化安定性を保持することもできるため、消費
者に不快な印象を与えることも無い。
Claims (6)
- 【請求項1】ジグリセリン脂肪酸エステル、HLB3〜
14のショ糖脂肪酸エステル及び乳成分を含有し、且つ
コーヒー抽出液の含有量が生豆換算で5〜10重量%で
あることを特徴とするコーヒー。 - 【請求項2】ショ糖脂肪酸エステルのHLBが3〜11
である請求項1に記載のコーヒー。 - 【請求項3】HLB15〜22のショ糖脂肪酸エステル
を併用する請求項1又は2に記載のコーヒー。 - 【請求項4】ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸が炭素
数10〜22の飽和または不飽和の脂肪酸から選ばれる
1又は2以上の脂肪酸である請求項1乃至3のいずれか
に記載のコーヒー。 - 【請求項5】ジグリセリン脂肪酸エステルのモノエステ
ル含量が50%以上である請求項1乃至4のいずれかに
記載のコーヒー。 - 【請求項6】ジグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸
が炭素数10〜22の飽和または不飽和の脂肪酸から選
ばれる1又は2以上の脂肪酸である請求項1乃至5のい
ずれかに記載のコーヒー。
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