JP2022014338A - 飲料添加用水中油型乳化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】乳味感及び乳化安定性が良好であり、飲料に使用した場合、乳味感、特に乳のコク味が感じられ、乳成分の凝集(フェザリング)やゲル状沈殿物の生成、及び、経時的な劣化臭の発生が十分に抑制される、飲料添加用水中油型乳化物を提供すること。【解決手段】下記(a)及び(b)を含有し、(a)/(b)が0.1~10である飲料添加用水中油型乳化物(但し、(a)/(b)は固形分の質量比)。(a) カゼイネート(b) 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料【選択図】なし

Description

本発明は、飲料添加用水中油型乳化物に関する。
飲料に乳味感を付与するためには、一般的に、生乳、牛乳、生クリームなどの乳や乳製品を添加する。
しかし、生乳、牛乳、生クリームなどの乳や乳製品はそれ自体の保存性が悪いため、乳脂や乳蛋白質を含む水中油型乳化物が使用されることも多い。ところが、それら水中油型乳化物は乳や乳製品に比べて、乳のコク味の付与効果が不十分であることに加え、水中油型乳化物自体、生クリームほどではないが保管中や輸送中に乳化が壊れて増粘してしまったり、油分分離、あるいは乳成分の凝集やゲル状沈殿物が生じやすいという課題があった。
また、ホットコーヒーや紅茶などの熱い飲料に上記の乳や乳製品、水中油型乳化物を添加すると、乳成分が凝集(フェザリング)を起こすという問題があった。
さらに、乳脂や乳タンパク質といった乳成分を多く含有している容器詰飲料では、特にホットベンダーでの販売において、経時的に劣化臭が顕著に感じられるようになってしまうことに加え、乳成分が凝集(フェザリング)するのみならずゲル状沈殿物を生じてしまうという課題があった。
そのため、飲料、特に、乳成分を多く含有する容器詰飲料に使用する水中油型乳化物について、様々な検討が行われてきた。
例えば、特定のエステル交換油を使用した水中油型乳化物(例えば特許文献1参照)、水相成分を含む乳原料を主体とする水中油型乳化物(例えば特許文献2参照)、乳由来のリン脂質及びカゼイネートを特定比で含有する水中油型乳化物(例えば特許文献3参照)が開示されている。
しかし、特許文献1や特許文献2に記載の方法では、保存条件によっては水中油型乳化物の乳化安定性が不十分となりやすく、また得られる容器詰飲料も乳味感が不足する問題や、経時的な乳成分の凝集(フェザリング)やゲル状沈殿物の生成抑制効果や、劣化臭の抑制効果が十分ではないという問題があった。
また、特許文献3に記載の水中油型乳化物はレトルト食品の安定性に関する発明であり、水中油型乳化物自体の保存安定性についての発明ではなく、飲料、特にレトルト処理しない容器詰飲料の風味の保存安定性や風味についても検討されていなかった。
特開2012-231756号公報 特開2013-034461号公報 特開2017-077216号公報
したがって本発明の目的は、乳化安定性が良好であり、飲料に使用した場合、乳味感、特に乳のコク味が感じられ、乳成分の凝集(フェザリング)やゲル状沈殿物の生成、及び、経時的な劣化臭の発生が十分に抑制される、飲料添加用水中油型乳化物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく種々検討したところ、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料とカゼイネートとを特定の条件で含有する水中油型乳化物により上記目的を達成しえることを知見した。
即ち、本発明は、下記(a)及び(b)を含有し、(a)/(b)が0.1~10である飲料添加用水中油型乳化物である(但し、(a)/(b)は固形分の質量比)。
(a) カゼイネート
(b) 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料
本発明によれば、飲料に添加した場合、乳味感、特に乳のコク味が感じられ、乳成分の凝集(フェザリング)が十分に抑制される。特に容器詰飲料に使用した場合、乳味感、特に乳のコク味が感じられ、乳成分の凝集(フェザリング)やゲル状沈殿物の生成、及び、経時的な劣化臭の発生が十分に抑制される。
以下、本発明の飲料添加用水中油型乳化物について、好ましい実施形態に基づき、詳細に説明する。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物は、下記(a)及び(b)を含有し、(a)/(b)が0.1~10である飲料添加用水中油型乳化物である(但し、(a)/(b)は固形分の質量比)。
(a) カゼイネート
(b) 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料
まず、(a)について説明する。
カゼインナトリウムやカゼインカルシウム等のカゼイネートは、カゼインを水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム等の水溶液で可溶化し乾燥したものであり、乳化力を有しまた水溶性であることから、食品添加物として広く利用されている。しかし、カゼイネートは溶解度や乳化性が十分ではなく、水中油型乳化物に使用した際の乳化安定性が十分ではないことに加え、熱い飲料に添加した際にフェザリングが生じやすく、また、そのフェザリングも撹拌しても再溶解しにくい場合が多い。さらに容器詰飲料に用いた場合、ホットベンダーでの販売において、経日的に劣化臭が生じることが問題であった。本発明においては、カゼイネートを後述する(b)と特定条件下で併用することにより、溶解性や乳化性を改善し、また、カゼイネートの乳化力を生かしながら、良好なコク味のある乳味感を付与することができ、特に劣化臭を抑えられた容器詰飲料が得られる飲料添加用水中油型乳化物を得ることができる。
本発明における(a)の含有量は飲料添加用水中油型乳化物の水相中、水相基準で0.2~8.0質量%であることが好ましく、0.5~7.5質量%であることがより好ましく、1.0~7.0質量%であることがさらに好ましく、2.0~6.0質量%であることが最も好ましい。
(a)の含有量が8.0質量%よりも多いと飲料添加用水中油型乳化物の安定性が大きく低下し、増粘しやすいものとなってしまう場合があり、0.2質量%よりも少ないと、本発明の効果、特に最終的に得られる飲料の乳味感が不十分となったり、劣化臭の抑制が不十分となる場合があるため好ましくない。
次に、(b)について説明する。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物は、(b)乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を含有する。
上記乳原料の具体的な例としては、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられ、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳などの乳から製造されたものであるのが好ましく、特に牛乳から製造されたものであるのが好ましい。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30~40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70~95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記乳原料は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記乳原料は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明では、上記の乳原料をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたものなどを用いることも可能であるが、本発明の効果がより大きい点から、乾燥工程を経ていないものを使用することが好ましい。
また、溶剤を用いて濃縮したものは風味上の問題から用いないのが好ましい。
また、本発明では、上記の乳原料は、乳化安定性を向上させる目的で、好ましくは、予めpHが2.5~6.4、より好ましくはpH3.0~6.1、更に好ましくは4.7~6.0、特に好ましくは4.7~5.8となるように酸処理を行ったものを使用する。上記の乳原料のpHは25℃で測定する。酸処理の効果を一層高める上で、上記pH範囲における酸処理は、上記乳原料の固形分が5~50質量%である条件下で行うことが好ましく10~40質量%である条件下で行うことがより好ましい。
上記酸処理は、上記の乳原料に酸を添加する方法であっても、また、上記の乳原料に乳酸醗酵などの醗酵処理を行う方法であってもよいが、好ましくは上記の乳原料に酸を添加する。上記の乳原料に添加する酸としては、無機酸であっても有機酸であってもよいが、有機酸であることが好ましい。該有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられ、果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルトなどの有機酸を含有する飲食品も用いることができるが、本発明においてはより酸味が少なく、風味に影響しない点でフィチン酸及び/又はグルコン酸を使用することが好ましい。
尚、上記乳原料が粉末状の場合や、液状であっても濃厚溶液やペースト状の場合は、加水して水溶液としてから酸処理を行うことが好ましい。
また、本発明では、上記の乳原料に、乳化安定性を向上させる目的で、乳リン脂質1質量部あたり、好ましくは0.01~1質量部、より好ましくは0.02~0.5質量部、更に好ましくは0.05~0.3質量部のカルシウム塩を添加しても良い。
上記カルシウム塩としては塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等が例示され、このうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、本発明においては、得られる飲料の風味が良好である点で、塩化カルシウム及び/又は乳酸カルシウムを使用することが好ましい。
また、本発明で用いる上記の乳原料は、乳化安定性を更に向上させることができる点、及び、呈味発現性をより高めることができる点で、均質化処理を行ったものであることが好ましい。特に上記酸処理やカルシウム塩添加を行う場合は、その効果を高めるために均質化処理を行うことが特に好ましい。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。また、上記の乳原料の粘性が高いなどの場合は、加水により乳原料の粘度を調整してから均質化処理を行ってもよい。上記の乳原料の均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0~100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3~100MPa、2段目0~5MPaの均質化圧力にて行っても良い。
上記乳原料は、UHT加熱処理を行ったものでも良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120~150℃であり、処理時間は好ましくは1~8秒である。
本発明では、上記の乳原料中のリン脂質の一部または全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできるが、風味の面からリゾ化物は使用しない方が好ましい。リゾ化物を使用した場合、用途によっては最終的に得られる飲料に苦味が生じる場合がある。
なお、該リゾ化物は、乳原料をそのままリゾ化したものや、乳原料を濃縮した後にリゾ化したものが挙げられる。
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化する場合には、ホスホリパーゼAで処理する方法を用いることができる。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2を用いて処理することが好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
本発明における上記乳原料の固形分中のリン脂質の量は2質量%以上であり、3~80質量%、特に5~40質量%であることが、乳化安定性及び風味の効果に優れる点で好ましい。リン脂質の定量は、例えば以下のような方法にて測定することができる。
ここでは、上記乳原料の場合を例に説明する。但し、抽出方法などについては乳原料の形態などによって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
まずFolch法を用いて、乳原料の脂質を抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料-乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
このようにして得られる、本発明で用いる乳原料や乳原料加工品は、液状、ペースト状、粉末状、固形状などの状態のものとすることができ、本発明ではいずれの状態のものでも使用できる。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物における(b)の含有量は、好ましくは固形分として水中油型乳化物基準で0.25~5質量%、より好ましくは0.57~4質量%、最も好ましくは0.87~3質量%である。
(b)の含有量が5質量%よりも多くなると、風味に影響する場合があり、0.25質量%よりも少ないと十分な効果が得られない場合がある。
本発明において、上記成分(a)と成分(b)との質量比は、固形分基準で(a)/(b)が0.1~10であることが必要であり、0.4~9であることが好ましく、0.65~6.5がより好ましく、0.65~2.6が最も好ましい。
(a)/(b)が0.1よりも低かったり10よりも大きい場合、溶解性や乳化性が悪化してしまい、水中油型乳化物自体の保存安定性が悪化し、飲料に添加した場合にフェザリングが発生しやすくなり、また、乳味感の弱いものとなってしまう場合があるほか、経日的に劣化臭が生じる場合がある。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物においては、上記成分(a)及び上記成分(b)が水相中に存在することが好ましい。上記成分(a)及び上記成分(b)が水相中に存在することにより、本発明の効果が強く発揮できるようになる。
次に本発明の飲料添加用水中油型乳化物で使用する油脂について説明する。
本発明において用いることのできる油脂としては、例えばヤシ油、パーム核油、パーム油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
なかでも本発明の飲料添加用水中油型乳化物はラウリン系油脂を油分中、油分基準で50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が最も好ましい。油分中のラウリン系油脂の含有量は高ければ高いほど好ましい。ラウリン系油脂を50質量%以上含有することで、上記成分(a)及び成分(b)を併用した際に、飲料により良好な乳味感を付与し、かつ、その乳味感を維持することが可能となる。また、容器詰飲料の場合、経日的な劣化臭の発生を抑えることができる。
なお、上記ラウリン系油脂とは、トリグリセリドを構成する脂肪酸としてラウリン酸含有率が高い(50%弱程度以上)油脂の総称である。具体的なラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油、またはその硬化、分別、エステル交換を実施した油脂などが例示でき、これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできるが、特に好ましくはヤシ油及び/又はパーム核油を使用する。
なお、エステル交換油の原料配合油の一部にラウリン系油脂を使用した場合は、その配合比に応じてラウリン系油脂と下記のその他の油脂に含量を配分して算出する。
なお、本発明において油分とはトリグリセリドを表すものとし、油相とは油分の他、油溶性の成分もあわせたものとする。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物は乳脂の含有量が10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることがより好ましい。乳脂の含有量が10質量%以上である場合、保存条件によっては水中油型乳化物の乳化安定性が低下するおそれがあることに加え、容器詰飲料の場合、経日的な劣化臭を十分抑えられない場合がある。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物の油分の含有量は、特に制限はないが、20質量%超70質量%未満であることが好ましく、より好ましくは30~50質量%、さらに好ましくは35~50質量%である。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物の水の含有量は、特に制限はないが、好ましくは45~70質量%、さらに好ましくは50~60質量%である。
本発明で使用する水としては、水道水、天然水及び蒸留水等の一般的に水中油型乳化物の製造に使用することができる水を、使用することができる。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物では必要に応じて、その他の成分を含有させることができる。
上記その他の成分としては、乳化剤、安定剤、増粘多糖類、カゼイネート以外のタンパク質、糖類や甘味料、乳清ミネラル、穀類、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、卵製品、酸味を有さない果汁やジャム、グリシン、しらこたん白抽出物、ポリリジン、エタノール等の保存料、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられる。
上記乳化剤としては、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明では上記乳化剤の中でも、保存性が良好な飲料添加用水中油型乳化物が得られる点で、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの中の1種又は2種以上を使用することが好ましく、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの中の1種又は2種以上を使用することがより好ましく、風味に影響がない点で、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルが特に好ましい。また飲料添加用水中油型乳化物自体の風味及び飲料添加用水中油型乳化物を含む飲料の乳味を一層良好なものとする点で、飲料添加用水中油型乳化物は有機酸モノグリセリドを含有することに好ましい。有機酸としては乳酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸、フマル酸、酢酸、ジアセチル酒石酸が好ましい。これらの観点から最も好ましい乳化剤としては、コハク酸モノグリセリドである。
上記乳化剤の含有量は、本発明の飲料添加用水中油型乳化物中、好ましくは0~3質量%、さらに好ましく0.05~1質量%、最も好ましくは0.05~0.6質量%である。
上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。但し、カルシウム封鎖剤は用いないほうが好ましく、ここでいうカルシウム封鎖剤として、例えばリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)等が挙げられる。
上記安定剤の含有量は、本発明の飲料添加用水中油型乳化物中、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
上記増粘安定剤としては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、タマリンドガム、ペクチン、微結晶セルロース、ファーセレラン、寒天、ゼラチン、ジェランガム、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸塩、カードラン、ローカストビーンガム、アラビアガム、プルラン、サイリウムシードガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、卵白粉末等の増粘多糖類やゲル化剤、澱粉、糊化澱粉、糊化化工澱粉等の澱粉類を挙げることができる。
上記カゼイネート以外のタンパク質としては特に限定されないが、例えばカゼイン、ホエイタンパク質、低密度リポタンパク質、高密度リポタンパク質、ホスビチン、リベチン、リン糖タンパク質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵タンパク質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦タンパク質、その他動物性及び植物性タンパク質等のタンパク質が挙げられる。これらのタンパク質は、目的に応じて一種ないし二種以上のタンパク質として、あるいは一種ないし二種以上のタンパク質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
上記カゼイネート以外のタンパク質の含有量は、本発明の飲料添加用水中油型乳化物中、好ましくは合計で0~10質量%、さらに好ましくは0~5質量%である。
上記糖類や甘味料としては、特に限定されないが、例えば上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、液糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖、ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、はちみつ、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム、甘草などが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記糖類や甘味料の配合量は、本発明の飲料添加用水中油型乳化物中、好ましくは0~50質量%、さらに好ましくは0~40質量%である。
酸化防止剤としては、トコフェロール、茶抽出物、カテキン、ポリフェノール、アスコルビン酸、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)、ローズマリー抽出物が挙げられる。本発明において、酸化防止剤を含有することは、飲料添加用水中油型乳化物自体の保存性向上の利点がある。酸化防止剤の配合量は、本発明の飲料添加用水中油型乳化物中、好ましくは0.0001~1質量%、さらに好ましくは0.001~0.1質量%である。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物において、油相:水相の質量比率は、バランスの良い乳味感を得られる点から、好ましくは30~55:70~45、より好ましくは35~50:65~50である。
尚、油相には、上記油脂、及び油性成分〔食品素材や食品添加物に含有される油分が含まれるほか、油溶性の任意成分(例えば、油溶性の乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料)を使用した場合には、これらも含まれる。〕が含まれる。また水相には、上記成分(a)及び成分(b)、水や、水性成分〔食品素材や食品添加物に含有される水分が含まれるほか、水溶性の任意成分(例えば、水溶性の乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料)を使用した場合には、これらも含まれる。〕が含まれる。
次に、本発明の飲料添加用水中油型乳化物の製造方法を説明する。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物は、油脂及び油性成分を混合した油相と、水及び水性成分を混合した水相とを乳化することにより得ることができる。具体的には、まず水相及び油相を用意する。次に上記の水相及び/又は油相に上記成分(a)であるカゼイネートを添加するとともに、水相に上記成分(b)である乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を添加し、混合する。次いで、上記水相と上記油相とを水中油型に乳化する。ここで、上記成分(a)であるカゼイネートは水溶性であるため、油相に添加した場合であっても水相へ移行し、成分(a)及び成分(b)のいずれも水相中に含まれることとなる。なお本発明において、乳化剤として有機酸モノグリセリドを用いる場合には、有機酸モノグリセリドを水相と混合する前に、油相に含有させておくことが、有機酸モノグリセリドによる上記効果が一層奏されやすい点で好ましい。本発明の飲料添加用水中油型乳化物の製造方法においては、成分(a)及び成分(b)が同時に水相中に存在した状態で加熱することが好ましい。加熱温度は、50℃~80℃が好ましく、加熱時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは30~2時間とする。これにより、飲料添加用水中油型乳化物自体の乳化安定性が高まることに加え、飲料に添加した際、成分(a)と成分(b)を別々に添加した場合に比べ、乳化安定性が向上し、また、良好な乳味感を付与できるようになる。特に容器詰め飲料に使用した際に劣化臭の発生が抑制されるようになる。なお、上記加熱処理は、成分(a)及び成分(b)が同時に水相中に存在した状態であれば、油相と混合する前であっても水相を加熱処理することができ、水相と油相を混合後であって乳化前でもよく、また水相と油相を混合・乳化し乳化物を得た後に加熱処理を行ってもよい。
さらに、得られた飲料添加用水中油型乳化物を、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0~100MPaの範囲で均質化してもよい。
そして、得られた飲料添加用水中油型乳化物に、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、或いはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理を施してもよく、或いは得られた飲料添加用水中油型乳化物を直火等の加熱調理により加熱してもよい。
さらに、得られた飲料添加用水中油型乳化物を、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0~100MPaの範囲でさらに均質化してもよい。そして、必要により、急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
また、本発明の飲料添加用水中油型乳化物は、必要により、冷蔵若しくは冷凍状態で保存してもよい。
本発明の飲料添加用水中油型乳化物は飲料の添加用、特に容器詰飲料の製造に用いることができる。
本発明の飲料としては、例えばブラックコーヒー・ミルクコーヒー・ラクトコーヒー・コーヒー牛乳・カフェオレ・カプチーノ・カフェラテなどのコーヒー飲料、ココア飲料、チョコレート飲料、紅茶・ティーオレ・ミルクティー・フレーバーティー・スパイスティー・果汁入り紅茶などの紅茶飲料、緑茶・煎茶・番茶・玄米茶・ほうじ茶・抹茶・ハト麦茶・麦茶・ウーロン茶・ルイボスティー・ジャスミン茶・鉄観音茶・プアール茶・ウーロンミックスティー・はぶ茶・くこ茶・うこん茶・はこ茶・薬草茶・昆布茶・しそ茶・椎茸茶・桜茶・あまちゃづる茶・ギムネマ茶・桑の葉茶・杜仲茶・ドクダミ茶・高麗人参茶・柿の葉茶・パーラ茶・羅布麻茶・バナバ茶・クマ笹茶・たんぽぽ茶・減肥茶・柚子茶・日向夏茶・へべす茶・マテ茶・グアバ茶などの茶飲料、麦芽飲料、あめ湯、しょうが湯、くず湯、ニッキ水、レモン湯、100%果汁飲料・果汁入り飲料・果肉飲料などの果汁飲料、トマトジュース・野菜ジュース・トマト及び/または果汁入り野菜ジュース・青汁などの野菜飲料、コーラ・サイダー・クリームソーダ・ラムネ・ルートビア・ジンジャーエール・果汁炭酸・乳酸炭酸・トニックウォーター・ノンアルコールビールなどの炭酸飲料、ミネラルウォーター・炭酸入りミネラルウォーター・炭酸水などの飲料水、スポーツドリンク、栄養ドリンク、健康飲料、ビネガードリンク、食酢飲料、ノンアルコール清酒、ノンアルコール酎ハイ、ノンアルコールカクテル、牛乳、乳飲料、豆乳・果汁豆乳・麦芽豆乳・乳酸発酵豆乳などの豆乳類、乳酸飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、ミルクセーキ、抹茶ミルク、チーズドリンク、乳性飲料、香料入り乳飲料、清酒(日本酒)・合成清酒・焼酎(甲類・乙類)・酎ハイ・ハイボール・みりん・ビール・醸造酒・蒸留酒・発泡酒・第3のビール・果実酒・甘味果実酒・ウイスキー・ワイン・ブランデー・スピリッツ・リキュールなどのアルコール飲料、コーンポタージュ、おしるこなどが挙げられる。
中でも本発明では、炭酸飲料、ビネガードリンク、食酢飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、酸性素材を含有する果汁飲料、柚子茶・日向夏茶・へべす茶などの酸性果実茶、コーヒー飲料等の酸性飲料であることが好ましい。
また、本発明では、乳風味飲料であることが好ましい。
上記乳風味飲料としては、ミルクコーヒー、コーヒー牛乳、カフェオレ、ティーオレ、ミルクティー、カプチーノ、カフェラテ、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、ミルクセーキ、抹茶ミルク、チーズドリンク、乳性飲料、香料入り乳飲料等が挙げられる。
飲料における本発明の飲料添加用水中油型乳化物の使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではないが、飲料100質量部に対して、好ましくは0.02~100質量部、より好ましくは0.05~50質量部、さらに好ましくは0.5~15質量部、最も好ましくは1~10質量部である。
また、本発明では容器詰飲料であることが好ましい。
なお、飲料が容器詰飲料の場合の容器については特に制限されず、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、ビン等が挙げられるが、本発明では、飲料添加用水中油型乳化物を使用した飲料の乳化安定性や保存性が良好であること、さらには取扱いが容易であり、携行性も良好であることから、ペットボトルであることが好ましい。
また容器詰飲料の製造方法は特に制限されず、容器詰飲料製造の際に、本発明の飲料添加用水中油型乳化物、必要に応じ、上記その他の成分を添加し均質になるように溶解させることによって得ることができる。
本発明の水中油型乳化物を含む飲料は、レトルト処理されていないものであることが好ましい。レトルト処理とは、加圧条件下、100~150℃で1~90分間程度加熱殺菌する処理を指し、加工食品を、アルミパウチ、テーブルカップ、透明パウチ、缶、チアパック等の密封容器に封入して行われる。レトルト処理以外の殺菌処理としては、UHT殺菌が挙げられる。本発明の水中油型乳化物を含む飲料は、レトルト処理されずにUHT殺菌処理がなされたものである場合、一層良好な乳風味が得られるため好ましい。
次に実施例、及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
<酸処理乳原料の製造>
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含量11質量%、乳由来の固形分38質量%、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)100質量部にフィチン酸0.43質量部を添加して、pHを5.2に調整した。更にこれをホモジナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、7秒)を行った。そして、再度、ホモジナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5~10℃に冷却し酸処理乳原料Aを得た。
<飲料添加用水中油型乳化物A~Lの製造>
[実施例1]
ヤシ油40質量部を65℃に加温溶解し、ここにコハク酸モノグリセリド0.5質量部及びミックストコフェロール0.02質量部を添加、溶解し、油相とした。一方、上記酸処理乳原料A0.92質量部、カゼインナトリウム2質量部、及び水56.56質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。
上記油相と上記水相を混合して60℃で1時間撹拌した。続いて乳化をさせた後、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明の飲料添加用水中油型乳化物Aを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Aは、成分(a)と成分(b)との固形分質量比率(a)/(b)が5.72、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.36質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Aは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例2]
上記酸処理乳原料Aを3.4質量部とし、水を54.08質量部とした以外、実施例1と同様にして本発明の飲料添加用水中油型乳化物Bを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Bは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が1.55、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.36質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Bは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例3]
上記酸処理乳原料Aを5.9質量部とし、水を51.58質量部とした以外、実施例1と同様にして本発明の飲料添加用水中油型乳化物Cを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Cは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が0.89、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.36質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Cは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例4]
上記酸処理乳原料Aを8.4質量部とし、水を49.08質量部とした以外、実施例1と同様にして本発明の飲料添加用水中油型乳化物Dを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Dは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が0.63、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.36質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Dは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例5]
上記酸処理乳原料A0.92質量部を、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含量11質量%、乳由来の固形分38質量%、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)5.9質量部とし、水を51.58質量部とした以外、実施例1と同様にして本発明の飲料添加用水中油型乳化物Eを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Eは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が0.89、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.36質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Eは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例6]
コハク酸モノグリセリド0.5質量部を無添加とし、代わりに水相にショ糖脂肪酸エステル(HLB値16)0.5質量部を添加し、上記酸処理乳原料Aを5.9質量部とし、水を51.58質量部とした以外、実施例1と同様にして本発明の飲料添加用水中油型乳化物Fを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Fは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が0.89、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.36質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Fは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例7]
カゼインナトリウムを0.4質量部とし、上記酸処理乳原料Aを5.9質量部とし、水を53.18質量部とした以外、実施例1と同様にして本発明の飲料添加用水中油型乳化物Gを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Gは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が0.18、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が0.67質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Gは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例8]
カゼインナトリウムを1質量部とし、上記酸処理乳原料Aを5.9質量部とし、水を52.58質量部とした以外、実施例1と同様にして本発明の飲料添加用水中油型乳化物Hを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Hは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が0.45、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が1.68質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Hは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例9]
カゼインナトリウムを3質量部とし、上記酸処理乳原料Aを5.9質量部とし、水を50.58質量部とした以外、実施例1と同様にして本発明の飲料添加用水中油型乳化物Iを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Iは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が1.34、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が5.04質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Iは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例10]
カゼインナトリウムを4質量部とし、上記酸処理乳原料Aを5.9質量部とし、水を49.58質量部とした以外、実施例1と同様にして本発明の飲料添加用水中油型乳化物Jを得た。
飲料添加用水中油型乳化物Jは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が1.78、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が6.72質量%であった。また、飲料添加用水中油型乳化物Jは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[比較例1]
ヤシ油40質量部を65℃に加温溶解し、ここに大豆レシチン0.2質量部、コハク酸モノグリセリド0.5質量部及びミックストコフェロール0.02質量部を添加、溶解し、油相とした。一方、カゼインナトリウム2質量部、及び水57.28質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。
上記油相と上記水相を混合して60℃で1時間撹拌した。続いて乳化をさせた後、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較例の飲料添加用水中油型乳化物Kを得た。
[比較例2]
ヤシ油40質量部を65℃に加温溶解し、ここにコハク酸モノグリセリド0.5質量部及びミックストコフェロール0.02質量部を添加、溶解し、油相とした。一方、上記酸処理乳原料A5.9質量部、及び水53.58質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。
上記油相と上記水相を混合して60℃で1時間撹拌した。続いて乳化をさせた後、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較例の飲料添加用水中油型乳化物Lを得た。
<飲料添加用水中油型乳化物の評価>
上記実施例1~10で得られた本発明の飲料添加用水中油型乳化物A~J又は上記比較例1~2で得られた比較例である飲料添加用水中油型乳化物K~Lをそれぞれ用いて、下記に示す方法により、乳化安定性評価、及び、風味評価(乳味感)を行い、結果を〔表1〕に記載した。
・「乳化安定性」の評価
製造後、5℃で4週間、及び、20℃で3週間の各条件で保管した飲料添加用水中油型乳化物の乳化安定性について、下記<評価基準>で評価を行った。
<「乳化安定性」の評価基準>
◎ 乳化が非常に良好であり、凝集物も沈殿物も油脂の分離(オイルオフ)も見られない。
○ 乳化が良好であり、わずかに凝集物が見られるが撹拌により消失する。
△ 乳化が不良であり、撹拌で消失しない凝集物が生成している。
× 乳化が不良であり、ゲル状の沈殿物が生じている。
×× 乳化が極めて不良であり、油脂の分離(オイルオフ)が生じている。
・「風味」の評価、及び、評価基準
製造後、5℃で4週間、及び、20℃で3週間の各条件で保管した飲料添加用水中油型乳化物を口にふくんだときの乳味感を、15人のパネラーにて官能試験した。「乳味感が良好なもの」、「乳味感が不良なもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「乳味感が良好なもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「乳味感が不良なもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23~25点のものを◎、20~22点のものを○、15~19点のものを△、14点以下のものを×とした。
Figure 2022014338000001
<コーヒー添加試験及び評価(実施例11~20及び比較例3~4)>
上記実施例1~10で得られた本発明の飲料添加用水中油型乳化物A~J又は上記比較例1~2で得られた比較例である飲料添加用水中油型乳化物K~Lをそれぞれフリーズドライのインスタントコーヒーを熱湯で溶解したホットコーヒーに滴下した際のフェザリングの有無を目視観察し、下記評価基準により評価を行い、結果を〔表2〕に記載した。
<「フェザリング」の評価基準>
◎ フェザリングがみられない。
○ わずかにフェザリングが見られるが、撹拌により消失する。
△ 顕著なフェザリングが見られる。
× 激しいフェザリングが見られる。
Figure 2022014338000002
<容器詰飲料の製造例>
上記実施例1~10で得られた本発明の飲料添加用水中油型乳化物A~J又は上記比較例1~2で得られた比較例である飲料添加用水中油型乳化物K~Lをそれぞれ用いて、下記に示す方法により、容器詰コーヒー飲料を調製し、評価を行った。
<容器詰飲料の調製及び評価(実施例21~30及び比較例5~6)>
容器詰飲料(コーヒー飲料)A~Lの調製
コーヒー抽出液(Bx値:2.5)70質量部に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。
続いてショ糖脂肪酸エステル(HLB値16)0.05質量部、上記飲料添加用水中油型乳化物(A~Lのいずれか)5質量部、グラニュー糖3質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製した。次に65℃で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、容量350mlのペットボトルに無菌的に充填し、各コーヒー飲料A~L(アルファベットは使用した飲料添加用水中油型乳化物に対応)を得た。コーヒー飲料A~Lを室温(25℃)に戻した後、所定期間25℃及び55℃で保持した後における乳化安定性、乳味感、及び劣化臭についても評価した。結果を〔表3〕に記載した。
・「乳化安定性」の評価
製造後、25℃で4週間、及び、55℃で3週間の各条件で保管したコーヒー飲料の乳化安定性について、下記<評価基準>で評価を行った。
<「乳化安定性」の評価基準>
◎ 乳化が非常に良好であり、凝集物も沈殿物も油脂の分離(オイルオフ)も見られない。
○ 乳化が良好であり、わずかに凝集物が見られるが撹拌により消失する。
△ 乳化が不良であり、撹拌で消失しない凝集物が生成している。
× 乳化が不良であり、ゲル状の沈殿物が生じている。
×× 乳化が極めて不良であり、油脂の分離(オイルオフ)が生じている。
・「乳味感」の評価、及び、評価基準
製造後、25℃で4週間、及び、55℃で3週間の各条件で保管したコーヒー飲料を口にふくんだときの乳味感を、15人のパネラーにて官能試験した。「良好な乳のコク味が感じられる」、「乳のコク味が弱い」、及び「乳のコク味が感じられない」の3段階で評価し、「良好な乳のコク味が感じられる」に2点、「乳のコク味が弱い」に1点、「乳のコク味が感じられない」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23~25点のものを◎、20~22点のものを○、15~19点のものを△、14点以下のものを×とした。
・「劣化臭」の評価、及び、評価基準
製造後、25℃で4週間、及び、55℃で3週間の各条件で保管したコーヒー飲料を口にふくんだときの劣化臭を、15人のパネラーにて官能試験した。「劣化臭を全く感じないもの」、「劣化臭を強く感じるもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「劣化臭を全く感じないもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「劣化臭を強く感じるもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23~25点のものを◎、20~22点のものを○、15~19点のものを△、14点以下のものを×とした。
Figure 2022014338000003

Claims (8)

  1. 下記(a)及び(b)を含有し、(a)/(b)が0.1~10である飲料添加用水中油型乳化物(但し、(a)/(b)は固形分の質量比)。
    (a) カゼイネート
    (b) 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料
  2. 上記(b)として、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料の酸処理品を使用した、請求項1記載の飲料添加用水中油型乳化物。
  3. 上記(a)の含有量が水相中、水相基準で0.2~8質量%である、請求項1又は2記載の飲料添加用水中油型乳化物。
  4. 油分中、ラウリン系油脂を50質量%以上含有する請求項1~3いずれか一項に記載の飲料添加用水中油型乳化物。
  5. 上記(a)及び(b)が水相中に存在する、請求項1~4いずれか一項に記載の飲料添加用水中油型乳化物。
  6. 有機酸モノグリセリドを含有する、請求項1~5いずれか一項に記載の飲料添加用水中油型乳化物。
  7. 請求項1~6いずれか一項に記載の飲料添加用水中油型乳化物を含有する容器詰飲料。
  8. 水相中に下記(a)及び(b)を含有させ、加熱処理する飲料添加用水中油型乳化物の製造方法。
    (a) カゼイネート
    (b) 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料


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