JP6625860B2 - レトルト処理食品用水中油型乳化物 - Google Patents

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本発明は、良好な乳味感を付与することができ、またレトルト処理等の加圧加熱処理後でも乳化安定性に優れ、ムレ臭や劣化臭の抑えられた加工食品を得ることができる、水中油型乳化物に関する。
食生活の多様化に伴い、保存性がよくいつでも手軽に喫食できるレトルト処理食品は市場が大きく拡大し、飲料から食品まで様々な種類、形態の製品が開発されてきた。そして、保存性を維持しながらもより美味しさを追求した製品の検討が行われている。中でも、乳味感は様々な食品素材や飲料と相性が良く、コクや深みのある風味を付与できるため、レトルト処理食品においても幅広く利用されてきた。
レトルト処理食品に乳味感を付与するためには、生乳や牛乳を添加する方法、バター、クリーム等の乳脂主体の乳製品を添加する方法、脱脂粉乳、乳蛋白質等の乳蛋白質主体の乳製品を添加する方法、或いはこれらを組み合わせる方法等が行われている。しかし、レトルト処理では基本的に100℃を超えるような高温での殺菌工程や加圧加熱処理が必要であり、その際に乳化が不安定となったり、風味の悪化が顕著に生じてしまい、また保存中、経日的に容器内の蒸れたような風味(ムレ臭)等の劣化臭が生じてしまうという課題があった。
このような問題を解決するための方法として、水中油型乳化物に特定の乳化剤を使用する方法(例えば特許文献1)、乳蛋白質を特定比で使用する方法(例えば特許文献2)、特定の乳蛋白質や水溶性乳成分と糖アルコールを併用する方法(例えば特許文献3)が開示されている。
しかし、特許文献1に記載の方法では、水中油型乳化物や該水中油型乳化物を使用した加工食品に乳味感が不足する問題に加え、乳化剤により異味・雑味が強く出てしまう問題があった。また、特許文献2や特許文献3に記載の方法では、水中油型乳化物を使用した加工食品を加圧加熱処理した場合に、油分分離やざらが発生し乳味感の悪いものになりやすいという問題があり、特に特許文献3に記載の方法では、得られる加工食品の色調が淡化してしまう場合があった。
一方、本出願人は、特許文献4において、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液である容器詰飲料用添加剤についてすでに出願しているが、カゼインナトリウム等による劣化に課題があり、また乳味感を付与するものではなかった。
このように、レトルト処理後でも乳味感・乳化安定性に優れる加工食品を得るには課題が残されていた。
特開2005−341933号公報 特開2009−278896号公報 特開2000−139343号公報 特開2015−53925号公報
よって、本発明の目的は、良好な乳味感を付与することができ、またレトルト処理等の加圧加熱処理後でも乳化安定性に優れ、ムレ臭や劣化臭の抑えられた加工食品を得ることができる、水中油型乳化物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく種々検討したところ、乳由来の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料とカゼイネートとを特定の条件であらかじめ水中油型乳化物とすることにより、飲食品へ添加した際に良好な乳味感を付与することができ、またレトルト処理後の乳化安定性に優れ、さらにムレ臭や劣化臭を抑えられることを知見した。
即ち、本発明は、下記(a)及び(b)を含有し、(a)/(b)が0.1〜10であることを特徴とするレトルト処理食品用水中油型乳化物である(但し、(a)/(b)は固形分の質量比)。
(a) カゼイネート
(b) 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料
本発明によれば、良好な乳味感を付与することができ、またレトルト処理等の加圧加熱処理後でも乳化安定性に優れ、ムレ臭や劣化臭の抑えられたレトルト処理食品を得ることができる。
以下、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物について、好ましい実施形態に基づき、詳細に説明する。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、下記(a)及び(b)を含有し、(a)/(b)が0.1〜10であることを特徴とするレトルト処理食品用水中油型乳化物である(但し、(a)/(b)は固形分の質量比)。
(a) カゼイネート
(b) 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料
まず、(a)について説明する。
カゼインナトリウムやカゼインカルシウム等のカゼイネートは、カゼインを水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム等の水溶液で可溶化し乾燥したものであり、乳化力を有しまた水溶性であることから、食品添加物として広く利用されている。しかし、カゼインネートはレトルト処理食品等に用いた場合、経日的にムレ臭等の劣化臭が生じることが問題であった。本発明においては、カゼイネートを後述する(b)と特定条件下で併用することにより、カゼイネートの乳化力を生かしながら、乳味感を付与することができ、またムレ臭等の劣化臭を抑えられたレトルト処理食品が得られるレトルト処理食品用水中油型乳化物を得ることができる。
本発明における(a)の含有量はレトルト処理食品用水中油型乳化物の水相中、水相基準で0.2〜8.0質量%であることが好ましく、0.5〜7.5質量%であることがより好ましく、1.0〜7.0質量%であることがさらに好ましく、2.0〜6.0質量%であることが最も好ましい。
(a)の含有量が8.0質量%よりも多いと、レトルト処理食品用水中油型乳化物の安定性が大きく低下し、増粘しやすいものとなってしまう場合があり、0.2質量%よりも少ないと、最終的に得られるレトルト処理食品の乳味感が不十分となったり、劣化臭の抑制が不十分となる場合があるため好ましくない。
次に、(b)について説明する。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、(b)乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を含有する。本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物における(b)の含有量は、好ましくは固形分として水中油型乳化物基準で0.25〜3質量%、より好ましくは0.57〜2.7質量%、最も好ましくは0.87〜2.3質量%である。
(b)の含有量が3質量%よりも多くなると、風味に影響する場合があり、0.25質量%よりも少ないと十分な効果が得られない場合がある。
上記乳原料の具体的な例としては、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられ、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳などの乳から製造されたものであるのが好ましく、特に牛乳から製造されたものであるのが好ましい。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記乳原料は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記乳原料は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明では、上記の乳原料をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたものなどを用いることも可能であるが、本発明の効果がより大きい点から、乾燥工程を経ていないものを使用することが好ましい。また、溶剤を用いて濃縮したものは風味上の問題から用いないのが好ましい。
上記乳原料は、均質化処理を行ったものでも良い。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサー等の高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行うことができる。
上記乳原料は、UHT加熱処理を行ったものでも良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜150℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒である。
本発明では、上記の乳原料中のリン脂質の一部または全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできるが、風味の面からリゾ化物は使用しない方が好ましい。リゾ化物を使用した場合、用途によっては最終的に得られるレトルト処理食品に苦味が生じる場合がある。
なお、該リゾ化物は、乳原料をそのままリゾ化したものや、乳原料を濃縮した後にリゾ化したものが挙げられる。
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化する場合には、ホスホリパーゼAで処理する方法を用いることができる。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2を用いて処理することが好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
本発明におけるリン脂質の定量は、例えば以下のような方法にて測定することができる。
ここでは、上記乳原料の場合を例に説明する。但し、抽出方法などについては乳原料の形態などによって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
まず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料−乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
本発明において、上記成分(a)と成分(b)との質量比は、固形分基準で(a)/(b)が0.1〜10であることが必要であり、0.4〜9であることが好ましく、0.65〜6.5がより好ましく、0.9〜2.6が最も好ましい。
(a)/(b)が0.1よりも低かったり10よりも大きい場合、乳味感の弱いものとなってしまう場合があるほか、経日的にムレ臭等の劣化臭が生じる場合がある。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物においては、上記成分(a)及び上記成分(b)が水相中に存在することが好ましい。上記成分(a)及び上記成分(b)が水相中に存在することにより、本発明の効果が強く発揮できるようになる。
次に本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物で使用する油脂について説明する。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物はラウリン系油脂を油分中、油分基準で50質量%以上含有するのが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が最も好ましい。ラウリン系油脂を50質量%以上含有することで、上記成分(a)及び成分(b)を併用した際に、レトルト処理食品の劣化臭の発生を抑えながら、レトルト処理食品により良好な乳味感を付与し、かつ、その乳味感を維持することが可能となる。
なお、上記ラウリン系油脂とは、トリグリセリドを構成する脂肪酸としてラウリン酸含有率が高い(50%弱程度)油脂の総称である。具体的なラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油、またはその硬化、分別、エステル交換を実施した油脂などが例示でき、これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
なお、本発明において油分とはトリグリセリドを表すものとし、油相とは油分の他、油溶性の成分もあわせたものとする。
本発明において用いることのできる上記ラウリン系油脂以外の油脂としては、例えばパーム油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は乳脂の含有量が10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましく、3質量%未満であることがより好ましい。乳脂の含有量が10質量%以上である場合、最終的に得られるレトルト処理食品のムレ臭や劣化臭を十分抑えられない場合があるため好ましくない。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物の油分の含有量は、特に制限はないが、好ましくは30〜55質量%、さらに好ましくは40〜50質量%である。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物の水の含有量は、特に制限はないが、好ましくは45〜70質量%、さらに好ましくは45〜55質量%である。
本発明で使用する水としては、水道水、天然水及び蒸留水等の一般的に水中油型乳化物の製造に使用することができる水を、使用することができる。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、水相のpHが5.0〜7.0であることが好ましい。
水相のpHがこの範囲であると、良好な乳化安定性を維持したまま、経日的な劣化臭をより効果的に抑えることができるほか、とくにレトルト処理食品が乳成分含有飲料である場合においては、フェザリングやオイルオフを長期にわたり抑制できる。なお、上記pHは、より好ましくは5.5〜6.8、さらに好ましくは6.0〜6.6である。
レトルト処理食品用水中油型乳化物の水相のpHを上述の範囲とする方法としては、たとえば水相へ酸を添加したり乳酸醗酵等によりpHが5.0〜7.0となるように調整する方法が挙げられる。
本発明においては、簡便かつ効率的であるほか、酸の種類を適宜変えることにより風味を調節することも可能となるため、酸を添加し水相のpHを5.0〜7.0とする方法が好ましい。
酸を添加する場合において使用する酸は無機酸であってもよく、有機酸であってもよいが、有機酸であることが好ましい。前記有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられ、果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルトなどの有機酸を含有する飲食品も用いることができるが、本発明においてはより酸味が少なく、風味に影響しない点でフィチン酸、及び/またはグルコン酸を使用することが好ましい。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物では必要に応じて、その他の成分を含有させることができる。
上記その他の成分としては、乳化剤、安定剤、増粘多糖類、カゼイネート以外のタンパク質、糖類や甘味料、乳清ミネラル、穀類、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、卵製品、酸味を有さない果汁やジャム、グリシン、しらこたん白抽出物、ポリリジン、エタノール等の保存料、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられる。
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記乳化剤の含有量は、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物中、好ましくは0〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。但し、カルシウム封鎖剤は用いないほうが好ましく、ここでいうカルシウム封鎖剤として、例えばリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)等が挙げられる。
上記安定剤の含有量は、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物中、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
上記増粘安定剤としては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、タマリンドガム、ペクチン、微結晶セルロース、ファーセレラン、寒天、ゼラチン、ジェランガム、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸塩、カードラン、ローカストビーンガム、アラビアガム、プルラン、サイリウムシードガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、卵白粉末等の増粘多糖類やゲル化剤、澱粉、糊化澱粉、糊化化工澱粉等の澱粉類を挙げることができる。
上記カゼイネート以外のタンパク質としては特に限定されないが、例えばカゼイン、ホエイタンパク質、低密度リポタンパク質、高密度リポタンパク質、ホスビチン、リベチン、リン糖タンパク質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵タンパク質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦タンパク質、その他動物性及び植物性タンパク質等のタンパク質が挙げられる。これらのタンパク質は、目的に応じて一種ないし二種以上のタンパク質として、あるいは一種ないし二種以上のタンパク質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
上記カゼイネート以外のタンパク質の含有量は、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物中、好ましくは合計で0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。
上記糖類や甘味料としては、特に限定されないが、例えば上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、液糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、はちみつ、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム、甘草などが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記糖類や甘味料の配合量は、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物中、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜40質量%である。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物において、油相:水相の質量比率は、バランスの良い乳味感を得られる点から、好ましくは30〜55:70〜45、より好ましくは40〜50:60〜50である。
尚、油相には、上記ラウリン系油脂、その他の油脂等の油脂類、及び油性成分〔食品素材や食品添加物に含有される油脂分が含まれるほか、油溶性の任意成分(例えば、油溶性の乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料)を使用した場合には、これらも含まれる。〕が含まれる。また水相には、上記成分(a)及び成分(b)、水や、水性成分〔食品素材や食品添加物に含有される水分が含まれるほか、水溶性の任意成分(例えば、水溶性の乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料)を使用した場合には、これらも含まれる。〕が含まれる。
次に、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物の製造方法を説明する。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、油脂類及び油性成分を混合した油相と、水及び水性成分を混合した水相とを乳化することにより得ることができる。具体的には、まず水相及び油相を用意する。次に上記の水相及び/又は油相に上記成分(a)であるカゼイネートを添加し、水相に上記成分(b)である乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を添加し、混合する。次いで、上記水相と上記油相とを水中油型に乳化する。ここで、上記成分(a)であるカゼイネートは水溶性であるため、油相に添加した場合であっても水相へ移行し、成分(a)及び成分(b)のいずれも水相中に含まれることとなる。本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物の製造方法においては、成分(a)及び成分(b)が同時に水相中に存在した状態で加熱処理する必要がある。加熱温度は、50℃〜80℃が好ましく、加熱時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは30〜2時間とする。これにより、レトルト処理食品を製造する際に、成分(a)と成分(b)を別々に添加した場合に比べ、乳化安定性が向上し、さらにムレ臭等の劣化臭の発生が抑制されるようになるほか、良好な乳味感を付与できるようになる。なお、上記加熱処理は、成分(a)及び成分(b)が同時に水相中に存在した状態であれば、油相と混合する前であっても水相を加熱処理することができ、水相と油相を混合後であって乳化前でもよく、また水相と油相を混合・乳化し乳化物を得た後に加熱処理を行ってもよい。
さらに、得られたレトルト処理食品用水中油型乳化物を、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。
そして、得られたレトルト処理食品用水中油型乳化物に、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、或いはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理を施してもよく、或いは得られたレトルト処理食品用水中油型乳化物を直火等の加熱調理により加熱してもよい。
さらに、得られたレトルト処理食品用水中油型乳化物を、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0〜100MPaの範囲でさらに均質化してもよい。そして、必要により、急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
また、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、必要により、冷蔵若しくは冷凍状態で保存してもよい。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、高温工程においても安定であることから、レトルト殺菌が必要な加工食品用として好適に用いることができる。レトルト殺菌とは、加圧条件下、100〜150℃で1〜90分間程度加熱殺菌する方法であり、加工食品を、アルミパウチ、テーブルカップ、透明パウチ、缶、チアパック等の密封容器に封入して行われる。
レトルト殺菌が必要な加工食品としては特に制限はなく、例えばカレー、シチュー、スープ、ホワイトソース等の食品や、コーヒー、乳飲料等の飲料が挙げられる。また、上記用途における本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物の使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、カレー、シチュー、スープ、ホワイトソース等の食品に用いられる場合、食品100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは3〜45質量部であり、コーヒー、乳飲料等の飲料に用いられる場合、飲料100質量部に対して、好ましくは0.05〜11質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。
次に実施例、及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
レトルト処理食品用水中油型乳化物A〜Mの製造
[実施例1]
パーム核油45質量部を65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳由来の固形分38質量%、及び乳由来の固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)0.92質量部、カゼインナトリウム2質量部、50%フィチン酸水溶液0.01質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB値16)0.2質量部、及び水51.87質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。
上記油相と上記水相を混合して60℃で1時間撹拌した。続いて乳化をさせた後、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Aを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Aは、成分(a)と成分(b)との固形分質量比率(a)/(b)が5.72、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.64質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Aの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Aは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例2]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳由来の固形分38質量%、及び乳由来の固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)を1.7質量部とし、水を51.09質量部とした以外、実施例1同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Bを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Bは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が3.10、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.64質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Bの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Bは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例3]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳由来の固形分38質量%、及び乳由来の固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)を3.4質量部とし、水を49.39質量部とした以外、実施例1同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Cを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Cは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が1.55、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.64質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Cの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Cは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例4]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳由来の固形分38質量%、及び乳由来の固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)を4.6質量部とし、水を48.2質量部とした以外、実施例1同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Dを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Dは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が1.14、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.64質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Dの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Dは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例5]
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳由来の固形分38質量%、及び乳由来の固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)を7.7質量部とし、水を45.09質量部とした以外、実施例1同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Eを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Eは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が0.68、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.64質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Eの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Eは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例6]
パーム核油を35質量部とし、水を59.39質量部とした以外、実施例3同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Fを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Fは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が1.55、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.08質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Fの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Fは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例7]
パーム核油45質量部に代えて、パーム核油30質量部とバターオイル15質量部へ変更した以外、実施例3同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Gを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Gは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が1.55、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が3.64質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Gの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Gは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例8]
カゼインナトリウムを0.2質量部とし、水を51.19質量部とした以外、実施例3と同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Hを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Hは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が0.15、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が0.36質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Hの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Hは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例9]
カゼインナトリウムを1質量部とし、水を50.39質量部とした以外、実施例3と同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Iを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Iは、成分(a)と成分(b)の固形分比率(a)/(b)が0.77、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が1.82質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Iの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Iは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例10]
カゼインナトリウムを3質量部とし、水を48.39質量部とした以外、実施例3と同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Jを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Jは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が2.32、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が5.45質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Jの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Jは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[実施例11]
カゼインナトリウムを4質量部とし、水を47.39質量部とした以外、実施例3と同様にして本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Kを得た。
レトルト処理食品用水中油型乳化物Kは、成分(a)と成分(b)の固形分質量比率(a)/(b)が3.10、水相中のカゼイネートの比率(水相基準)が7.27質量%であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Kの水相のpHは、6.0〜6.6の間であった。また、レトルト処理食品用水中油型乳化物Kは、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物及びカゼインナトリウムが水相に存在していた。
[比較例1]
パーム核油45質量部及び大豆レシチン0.2質量部を65℃に加温溶解し、油相とした。一方、カゼインナトリウム2質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.2質量部、及び水52.8質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。
上記油相と上記水相を混合して60℃で1時間撹拌した。続いて乳化をさせた後、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較例であるレトルト処理食品用水中油型乳化物Lを得た。
[比較例2]
パーム核油45質量部を65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳由来の固形分38質量%、及び乳由来の固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)3.4質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.2質量部、及び水51.4質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。
上記油相と上記水相を混合して60℃で1時間撹拌した。続いて乳化をさせた後、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較例であるレトルト処理食品用水中油型乳化物Mを得た。
レトルト処理食品の製造例
上記実施例1〜11で得られた本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物A〜K又は上記比較例1〜2で得られた比較例であるレトルト処理食品用水中油型乳化物L〜Mをそれぞれ用いて、下記に示す方法により、本発明又は比較の加工食品(レトルト処理食品)であるホワイトソース又はコーヒー飲料の調製し、評価を行った。
<ホワイトソースの調製及び評価(製造例1〜11及び比較製造例1〜2)>
小麦粉20gとマーガリン20gを同時に炒めた後、これに上記レトルト処理食品用水中油型乳化物(A〜Mのいずれか)150g、食塩2g、胡椒0.1g、チキンコンソメ1g及び水300gを加え攪拌しながら加熱膨潤させ、ホワイトソースを作製した。これを121℃で30分レトルト加熱処理した後、常温まで冷却し、本発明又は比較のレトルト処理食品であるホワイトソースA〜M(アルファベットは使用したレトルト処理食品用水中油型乳化物に対応)を得た。
このようにして得られたホワイトソースについて、乳化安定性(オイルオフ)及び乳味感について下記評価基準で評価し、結果を下記〔表1〕に示した。
<評価基準>
ホワイトソースの評価
・オイルオフ
− 乳化が非常に良好であり、凝集物も認められない。
± 乳化がおおよそ良好であり、凝集物もほとんど認められない。
+ 一部油脂の分離(オイルオフ)があり、凝集物も認められる。
++ 油脂の分離があり、多量の凝集物が生じている。
・乳味感
ホワイトソースを口にふくんだときの乳味感を、15人のパネラーにて官能試験した。「乳味感が良好なもの」、「乳味感が不良なもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「乳味感が良好なもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「乳味感が不良なもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23〜25点のものを◎、20〜22点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
Figure 0006625860
<コーヒー飲料の調製及び評価(製造例12〜22及び比較製造例3〜5)>
コーヒー飲料A〜Mの調製
コーヒー抽出液(Bx値:2.5)70質量部に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いてショ糖脂肪酸エステル(HLB値16)0.05質量部、上記レトルト処理食品用水中油型乳化物(A〜Mのいずれか)2質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製した。次に65℃で均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、121℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明又は比較のレトルト処理食品であるコーヒー飲料A〜M(アルファベットは使用したレトルト処理食品用水中油型乳化物に対応)を得た。コーヒー飲料A〜Mを室温(25℃)に戻した後、その乳化安定性(「浮き」「分散性」)、乳味感、及びムレ臭・劣化臭について下記評価基準で評価を行った。さらに、コーヒー飲料A〜Mを所定期間55℃で保持した後における乳化安定性(「浮き」「分散性」)、乳味感、及びムレ臭・劣化臭についても評価した。結果を〔表2〕に示す。
コーヒー飲料Nの調製
コーヒー抽出液70質量部(固形分1.5質量%)に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いてショ糖脂肪酸エステル(HLB値16)0.05質量部、上記レトルト処理食品用水中油型乳化物Mを2質量部、カゼインナトリウム0.1質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製した。次に65℃で均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、121℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、比較のレトルト処理食品コーヒー飲料Nを得た。
コーヒー飲料Nを室温(25℃)に戻した後、その乳化安定性(「浮き」「分散性」)、乳味感、及びムレ臭・劣化臭について下記評価基準で評価を行った。さらに、コーヒー飲料Nを所定期間55℃保持した後における乳化安定性(「浮き」「分散性」)、乳味感、及びムレ臭・劣化臭についても評価した。結果を〔表2〕に示す。
コーヒー飲料の評価
・乳化安定性
製造後、55℃で2週間又は4週間保管したコーヒー飲料の乳化安定性について、「浮き」と「分散性」の観点から下記<評価基準>で評価を行った。
<「浮き」の評価基準>
− 乳化が非常に良好であり、凝集物も見られない。
± 乳化が良好であり、凝集物もほぼ見られない。
+ 一部油脂の分離(オイルオフ)があり、凝集物も認められる。
++ 油脂の分離があり、多量の凝集物が生じている。
<「分散性」の評価基準>
− 油滴が均一に分散している又は油滴がまったく生じていない。
± 油滴が一部で凝集しているが概ね良好である。
+ 油滴の凝集がはっきりと認められる。
++ 油滴の凝集が非常に多く見られる。
・乳味感
製造直後及び55℃で2週間又は4週間保管後のコーヒー飲料を口にふくんだときの乳味感を、15人のパネラーにて官能試験した。「乳味感が良好なもの」、「乳味感が不良なもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「乳味感が良好なもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「乳味感が不良なもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23〜25点のものを◎、20〜22点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
・ムレ臭、劣化臭
製造直後及び55℃で2週間又は4週間保管後のコーヒー飲料を口にふくんだときのムレ臭・劣化臭を、15人のパネラーにて官能試験した。「ムレ臭・劣化臭をまったく感じないもの」、「ムレ臭・劣化臭を強く感じるもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「ムレ臭・劣化臭をまったく感じないもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「ムレ臭・劣化臭を強く感じるもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23〜25点のものを◎、20〜22点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
Figure 0006625860

Claims (5)

  1. 下記(a)、(b)及びラウリン系油脂を含有し、水相中の(a)の含有量が0.2〜8質量%であり、油分中のラウリン系油脂の含有量が50%質量以上であり、(a)/(b)が0.1〜10であることを特徴とするレトルト処理食品用水中油型乳化物(但し、(a)/(b)は固形分の質量比)。
    (a) カゼイネート
    (b) 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料
  2. 上記(a)の含有量が水相中、水相基準で0.2〜質量%である、請求項1記載のレトルト処理食品用水中油型乳化物。
  3. 上記(a)及び(b)が水相中に存在する、請求項1又は2記載のレトルト処理食品用水中油型乳化物。
  4. 請求項1〜いずれか一項に記載のレトルト処理食品用水中油型乳化物を含有するレトルト処理食品。
  5. 下記(a)、(b)及びラウリン系油脂を含有し、水相中の(a)の含有量が0.2〜8質量%であり、油分中のラウリン系油脂の含有量が50%質量以上であり、(a)/(b)が0.1〜10であるレトルト処理食品用水中油型乳化物(但し、(a)/(b)は固形分の質量比)の製造方法であって、
    下記成分(a)及び下記(b)を含有する水相と、ラウリン系油脂を含有する油相とを乳化する工程、又は、下記(b)を含有する水相と、下記(a)及びラウリン系油脂を含有する油相とを乳化する工程を具備し、
    下記(a)、(b)及びラウリン系油脂の使用量が、水相中の(a)の含有量が0.2〜8質量%となり、油分中のラウリン系油脂の含有量が50%質量以上となり、かつ(a)/(b)が0.1〜10となる量であり、
    水相中に下記(a)及び(b)を含有させ、加熱処理することを特徴とするレトルト処理食品用水中油型乳化物の製造方法。
    (a) カゼイネート
    (b) 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料
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