JP5851152B2 - レトルト処理食品用水中油型乳化物 - Google Patents
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Description
また、乳蛋白質はある程度の乳化性を示すため、乳脂含有水中油型乳化物に乳蛋白質を使用することで、上記問題をある程度解決することができるものの、同時に異味や雑味を生じやすい。
(a)乳脂原料として、生クリーム、クリームチーズ、デイリースプレッド又はバターの中から選ばれる1種又は2種以上を含有する。
(b)上記乳脂原料に由来する乳脂が、水中油型乳化物の油分のうち60質量%以上を占める。
(c)タンパク質含有量が、水中油型乳化物の油分100質量部あたり5質量部以下である。
(d)乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を含有する。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、下記(a)〜(d)の条件を満たすものである。
(a)乳脂原料として、生クリーム、クリームチーズ、デイリースプレッド又はバターの中から選ばれる1種又は2種以上を含有する。
(b)上記乳脂原料に由来する乳脂が、水中油型乳化物の油分のうち60質量%以上を占める。
(c)タンパク質含有量が、水中油型乳化物の油分100質量部あたり5質量部以下である。
(d)乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を含有する。
また、上記乳脂のうちバターに由来する割合は、後述のようにタンパク質含有量を低く抑えながら本発明の効果を引き出す点から、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが最も好ましい。
一般に生クリームには50質量%程度、バターには20質量%程度、クリームチーズには35質量%程度、デイリースプレッドには30質量%程度の水性相が存在する。この水性相中にはミネラル分、風味分等の多様な成分が含まれており、乳原料特有の乳味感を付与するものと考えられてきた。
一方で、生クリーム、クリームチーズ、バター、デイリースプレッドの水性相と油性相の境界は、乳脂肪球皮膜と呼ばれるリン脂質を主体とする膜が界面を形成している。乳脂肪球皮膜は、内膜と外膜の2層が再構成された多成分系膜となっている。
本発明者は、乳原料特有のコク味や乳風味は水性相だけでなく、上記のような乳脂肪球皮膜部分が重要な役割を担っているのではないかとの仮説をたて検討を進めた結果、上記条件下で乳味感が顕著に強化されることを見出した。
この理由は明らかではないが、多成分系膜である乳脂肪球皮膜が乳味感に大きく影響する呈味成分を効果的に取り込み保持することができ、その結果呈味成分が多く残るためであると考えている。
このような効果は、水相成分を含有する上記乳原料を使用した場合顕著に見られる一方で、バターオイルとバターの水相成分を併せて添加しても大きく減じられた効果しかみられない。おそらく、一度乳脂分と分離された乳脂肪球皮膜部分では呈味成分の保持が低下してしまうものと考えている。
尚、上記乳脂原料としては、後述のようにタンパク質含有量を低く抑える点からも、バターを使用することが最も好ましい。
上記油分含有量とすることで、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物を使用して得られる加工食品の乳味感をより高めることができる。尚、上限については、55質量%未満、好ましくは50質量%未満である。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物においては、上記(c)の条件の通り、乳化物中に含まれるタンパク質含有量が油分100質量部あたり5質量部以下、好ましくは4.2質量部以下、さらに好ましくは3.5質量部以下、最も好ましくは3質量部以下である。タンパク質含有量が5質量部より大きい場合、後述のレトルト処理によりタンパク質が変性・凝集し、水中油型乳化物を使用して得られる加工食品は経時的に異味・雑味が生じ乳味感を損ねるだけでなく商品価値を大きく下げることとなってしまう。
この理由については明らかではないが、上記乳脂原料由来の乳脂肪球皮膜と、上記リン脂質含有乳原料に由来するリン脂質という、異なる状態にあるリン脂質成分を併用することで相互作用が起きているものと考えている。
また、上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料は、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。但し、溶剤を用いて乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した乳原料は、風味上の問題から、本発明においては、上記乳原料として用いないのが好ましい。
これにより、上記乳脂原料由来の多成分膜を形成しているリン脂質と上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料に含まれるリン脂質が一定の割合で並存することになる。これにより、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物を使用して得られる加工食品の乳化安定性が高まるだけでなく、乳味感をより高めることができる。
上記乳脂原料由来のリン脂質1質量部に対し、上記乳原料由来のリン脂質が0.5質量部よりも少ないと十分な効果が得られない場合があり、5質量部よりも多いと、異味・雑味を生じやすくなる場合がある。
先ず、乳由来のリン脂質を含有する乳原料の脂質をFolch法により抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から、以下の計算式を用いて、乳由来のリン脂質を含有する乳原料の固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する乳原料−乳由来のリン脂質を含有する乳原料の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法の一例を以下に説明する。
先ず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
先ず、バターを溶解機で溶解し、熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
但し、乳由来のリン脂質は、高温加熱するとその機能が低下するため、上記加温処理や上記濃縮処理中或いは殺菌等により加熱する際の温度は、100℃未満であることが好ましい。
尚、上記乳原料の起源となる乳としては、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳を例示することができるが、特に牛乳が好ましい。
本発明においては、良好な乳風味の観点から、合成乳化剤を使用しないことが好ましいが、使用する場合の含有量は、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.005〜0.1質量%である。
本発明における増粘安定剤の含有量は、0〜0.02質量%が好ましく、0〜0.001質量%がより好ましい。
尚、油相には、上記乳脂原料、ラウリン系油脂、その他の油脂等の油脂類、及び油性成分〔食品素材や食品添加物に含有される油脂分が含まれるほか、油溶性の任意成分(例えば、油溶性の乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料)を使用した場合には、これらも含まれる。〕が含まれる。また水相には、水や、水性成分〔食品素材や食品添加物に含有される水分が含まれるほか、水溶性の任意成分(例えば、水溶性の乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料)を使用した場合には、これらも含まれる。〕が含まれる。
本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、油脂類及び油性成分を混合した油性相と、水及び水性成分を混合した水性相を乳化することにより得ることができる。具体的には、まず水性相及び油性相を用意する。次に上記の水性相及び/又は油性相に乳蛋白質、乳脂を含有する成分を添加、混合する。
次いで、上記水性相と上記油性相とを水中油型に乳化する。
さらにこれを、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。
そして、必要によりインジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、或いはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理を施してもよく、或いは直火等の加熱調理により加熱してもよい。
さらにこれを、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0〜100MPaの範囲でさらに均質化してもよい。そして、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
また、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、必要により、冷蔵若しくは冷凍状態で保存してもよい。
100質量部、より好ましくは3〜45質量部であり、コーヒー、乳飲料等の飲料に用いられる場合、飲料100質量部に対して、好ましくは0.05〜11質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。
無塩バター(油分82.5質量%、リン脂質0.24質量%及びタンパク質0.5質量%、以下同じ)45質量部、及びパーム核ステアリン5質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)10質量部、及び水40質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Aを得た。得られた水中油型乳化物Aは、油分が42.1質量%であり、該油分のうち、上記無塩バターに由来する乳脂が88.1質量%であった。
無塩バター(油分82.5質量%)40質量部、及びパーム核ステアリン5質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)7質量部、及び水48質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Bを得た。得られた水中油型乳化物Bは、油分が38.0質量%であり、該油分のうち、上記無塩バターに由来する乳脂が86.8質量%であった。
無塩バター(油分82.5質量%)40質量部、及びパーム核ステアリン10質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)12.5質量部、及び水37.5質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Cを得た。得られた水中油型乳化物Cは、油分が43.0質量%であり、該油分のうち、上記無塩バターに由来する乳脂が76.7質量%であった。
無塩バター(油分82.5質量%)40質量部、及びパーム核ステアリン10質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)2質量部、及び水48質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Dを得た。得られた水中油型乳化物Dは、油分が43.0質量%であり、該油分のうち、上記無塩バターに由来する乳脂が76.7質量%であった。
無塩バター(油分82.5質量%)20質量部、及びパーム核ステアリン10質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)7質量部、脱脂粉乳(タンパク質含有量34質量%以下同じ)1.5質量部、及び水26.5質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相、及び生クリーム(油分47質量%、リン脂質0.22質量%及びタンパク質1.6質量%以下同じ)35質量部を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Eを得た。得られた水中油型乳化物Eは、油分が43.0質量%であり、該油分のうち、上記無塩バターに由来する乳脂が38.4質量%であり、上記生クリームに由来する乳脂が38.3質量%であった。
無塩バター(油分82.5質量%)30質量部、及びパーム核ステアリン5質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量12質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)9.5質量部、及び水55.5質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Fを得た。得られた水中油型乳化物Fは、油分が29.8質量%であり、該油分のうち、上記無塩バターに由来する乳脂が83.2質量%であった。
無塩バター(油分82.5質量%)50質量部を65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)7質量部、及び水43質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物Gを得た。得られた水中油型乳化物Gは、油分が41.3質量%であり、該油分のうち、上記無塩バターに由来する乳脂が100質量%であった。
バターオイル33質量部、及びパーム核ステアリン10質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)10質量部、及び水47質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較の水中油型乳化物Hを得た。得られた水中油型乳化物Hは、油分が43.0質量%であり、該油分のうち、上記バターオイルに由来する乳脂が76.7質量%であった。
バターオイル5質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)7質量部、脱脂粉乳2質量部、及び水6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相、及び生クリーム(油分47質量%)80質量部を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較の水中油型乳化物Iを得た。得られた水中油型乳化物Iは、油分が42.6質量%であり、該油分
のうち、上記バターオイルに由来する乳脂が11.7質量%であり、上記生クリームに由来する乳脂が88.3質量%であった。
無塩バター(油分82.5質量%)30質量部、及びパーム核ステアリン20質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)7質量部、及び水43質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較の水中油型乳化物Jを得た。得られた水中油型乳化物Jは、油分が44.8質量%であり、該油分のうち、上記無塩バターに由来する乳脂が55.3質量%であった。
パーム核ステアリン40質量部を65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、蛋白質含有量9.2質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)7質量部、及び水53質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較の水中油型乳化物Kを得た。得られた水中油型乳化物Kは、油分が40質量%であった。
生クリーム(油分47質量%)90質量部、及び水10質量部を混合し、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較の水中油型乳化物Lを得た。得られた水中油型乳化物Lは、油分が42.3質量%であり、該油分のうち、上記生クリームに由来する乳脂が100質量%であった。
無塩バター(油分82.5質量%)45質量部、パーム核ステアリン5質量部、大豆レシチン0.1質量部、及びグリセリン脂肪酸エステル0.1質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、及び水49.7質量部を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較の水中油型乳化物Mを得た。得られた水中油型乳化物Mは、油分が42.1質量%であり、該油分のうち、上記無塩バターに由来する乳脂が88.1質量%であった。
小麦粉20gとマーガリン20gを同時に炒めた後、これに上記水中油型乳化物150g、食塩2g、胡椒0.1g、チキンコンソメ1g及び水300gを加え攪拌しながら加熱膨潤させ、ホワイトソースを作製した。これを121℃で30分レトルト加熱処理した後、常温まで冷却し、本発明又は比較のレトルト食品であるホワイトソースを得た。
このようにして得られたホワイトソースについて、オイルオフ及び乳味感について下記評価基準で評価し、結果を下記〔表1〕又は〔表2〕に示した。ホワイトソースの色については、日本電色工業(株)製色差計にてホワイトソースのL値(値が大きい方が白い)を測定し、同じく〔表1〕又は〔表2〕に示した。
ホワイトソースの評価
・オイルオフ
◎+ 乳化が非常に良好であり、凝集物も認められない。
◎ 乳化が良好であり、凝集物も認められない。
○ 乳化が良好であり、凝集物もほぼ認められない。
△ 一部油脂の分離(オイルオフ)があり、凝集物も認められる。
× 油脂の分離があり、多量の凝集物が生じている。
ホワイトソースを口にふくんだときの乳味感を、15人のパネラーにて官能試験した。「乳味感が良好なもの」、「乳味感が不良なもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「乳味感が良好なもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「乳味感が不良なもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23〜25点のものを◎、20〜22点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
ホワイトソースを口にふくんだときの異味・雑味を、15人のパネラーにて官能試験した。「異味・雑味をまったく感じないもの」、「異味・雑味を強く感じるもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「異味・雑味をまったく感じないもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「異味・雑味を強く感じるもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23〜25点のものを◎、20〜22点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
コーヒー抽出液(Bx値:2.5)70質量部に、重曹を適量添加しpHを6.6に調整した。続いてシュガーエステル(HLB値16)0.05質量部、カゼインナトリウム0.1質量部、上記水中油型乳化物4質量部を混合・溶解し、さらに水を加え全量が100質量部になるように調製した。次に65℃で均質化した後、スチール缶(容量200ml)に190g入れ、121℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、本発明又は比較のレトルト食品であるコーヒー飲料を得た。室温(25℃)に戻した後、乳味感、異味・雑味について下記評価基準で評価を行った。さらに、55℃保持2週間後における乳味感、異味・雑味、及び乳化安定性についても評価した。結果を〔表1〕及び〔表2〕に示す。
・乳味感
製造直後及び55℃2週間保管後のコーヒー飲料を口にふくんだときの乳味感を、15人のパネラーにて官能試験した。
「乳味感が良好なもの」、「乳味感が不良なもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「乳味感が良好なもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「乳味感が不良なもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23〜25点のものを◎、20〜22点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
製造直後及び55℃2週間保管後のコーヒー飲料を口にふくんだときの異味・雑味を、15人のパネラーにて官能試験した。
「異味・雑味をまったく感じないもの」、「異味・雑味を強く感じるもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「異味・雑味をまったく感じないもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「異味・雑味を強く感じるもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎+、23〜25点のものを◎、20〜22点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
製造後55℃2週間保管したコーヒー飲料の乳化安定性について下記<評価基準>で評価を行った。
<評価基準>
◎ 乳化が非常に良好であり、凝集物も見られない
○ 乳化が良好であり、凝集物もほぼ見られない
△ 一部油脂の分離(オイルオフ)があり、凝集物も認められる。
× 油脂の分離があり、多量の凝集物が生じている。
一方、上記(a)〜(d)の条件の何れかを満たさない比較の水中油型乳化物を用いたホワイトソース及びコーヒー飲料は、オイルオフや凝集物が認められたり、乳味感が不良であったり、異味・雑味を感じたりするものであった。
従って、本発明のレトルト処理食品用水中油型乳化物は、乳味感を維持しながら、レトルト処理等の高温処理後でも良好な乳化安定性を保つことのできる、レトルト処理食品用水中油型乳化物として好適である。
Claims (3)
- 下記(a)〜(d)の条件を満たし、下記(d)の条件の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を、該乳原料のリン脂質の含有量が、下記(a)の条件の乳脂原料由来のリン脂質1質量部に対して0.8〜4.5質量部となるように含有し、油分含有量が30質量%より大であり55質量%未満である、レトルト処理食品用水中油型乳化物。
(a)乳脂原料として、生クリーム、クリームチーズ、デイリースプレッド又はバターの中から選ばれる1種又は2種以上を含有する。
(b)上記乳脂原料に由来する乳脂が、水中油型乳化物の油分のうち60質量%以上を占める。
(c)タンパク質含有量が、水中油型乳化物の油分100質量部あたり5質量部以下である。
(d)乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を含有する。 - 合成乳化剤を含有しない、請求項1に記載のレトルト処理食品用水中油型乳化物。
- 請求項1又は2に記載のレトルト処理食品用水中油型乳化物を使用した加工食品。
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