JP2010075083A - 殺菌済濃縮牛乳状組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】HTST殺菌やUHT殺菌(超高温瞬間殺菌)処理等の殺菌処理時に凝集物やコゲの発生がなく、保存性が良好で、5倍以上に希釈した場合でも牛乳と同程度の風味とコク味を有する、殺菌済濃縮牛乳状組成物を提供すること。
【解決手段】乳蛋白質を2〜12質量%、及び、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを、固形分として0.3〜5質量%含有することを特徴とする殺菌済濃縮牛乳状組成物。この殺菌済濃縮牛乳状組成物は、好ましくは、組成物中のカルシウム含量が0.01〜0.5質量%である。また、好ましくは、油分を3〜50質量%含有する。また、好ましくは、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、保存性が良好で、希釈した場合に牛乳と同程度の風味とコク味を有する殺菌済濃縮牛乳状組成物に関し、詳しくは、HTST殺菌やUHT殺菌(超高温瞬間殺菌)処理等の殺菌処理時に凝集物やコゲの発生がなく、且つ良好な風味を有する殺菌済濃縮牛乳状組成物に関する。
牛乳は、栄養面、風味面で非常に優れた食品であり、飲料用、食品加工用として多量に消費されているが、日持ちがしない、比較的高価である等の欠点を有している。そこで脱脂粉乳と動植物油脂とから牛乳状の組成物が製造され、市場に供給されている。牛乳の組成は脂肪分3〜5質量%、無脂乳固形分8〜10質量%であるが、流通及び保管の費用の軽減という観点から、これらの牛乳状組成物はできるだけ濃縮した形のものが好ましく、従って水を除いた他の成分の比率を牛乳に近づけ、できる限り油脂含量や無脂乳固形分含量を多くすることが流通及び保管上、経済的であるため、希釈した場合に牛乳と同程度の風味とコク味となるように、水を除いた他の成分比率が牛乳とほぼ同等で、油脂含量や無脂乳固形分が高い、濃縮牛乳状組成物が市場に多く供給されており、その保存性向上の目的から、HTST殺菌やUHT殺菌(超高温瞬間殺菌)処理等の殺菌処理(滅菌処理を含む) が行なわれているのが普通である。
上記の理由から、従来の濃縮牛乳状組成物では、脱脂粉乳等の無脂乳固形分が多量に配合されている。無脂乳固形分は乳風味の発現に主要な役割を果たすものであり、従来濃縮牛乳状組成物の製造にあたっては多量の無脂乳固形分の使用は必須であった。しかし、無脂乳固形分を多量に使用することについては2つの大きな問題があった。
一つの問題は、無脂乳固形分中の主要成分である乳蛋白質や乳糖の水への溶解度が低いため、そう多くを溶解させることはできないという問題である。一般の濃縮牛乳状組成物では無脂乳固形分が通常20〜25質量%程度である。これ以上の無脂乳固形分とすると、無脂乳固形分以外の乳固形分である油脂の含量が相対的に高まることで、無脂乳固形分を溶解させる水相含量が減少し、組成物中の無脂乳固形分の濃縮率以上に水相中の無脂乳固形分が濃縮されてしまい、製造時には溶解された状態であっても、流通・保管時に、これらの無脂乳固形分の結晶が析出し、沈殿となったり、ざらつきが生じたりしてしまう問題があった。すなわち、一般の牛乳の無脂乳固形分が8〜10質量%であることから、一般の濃縮牛乳状組成物では、最高でも約3倍濃縮のものしか製造できなかった。
もう一つの問題は、加熱殺菌工程、特にHTST殺菌やUHT殺菌(超高温瞬間殺菌)処理時に、無脂乳固形分中の蛋白質の熱変性による凝集物やコゲが発生し、製造機中に不溶物が付着し連続製造が困難になることや、また製品中に凝集物やコゲが混入し商品価値が失われてしまうという問題である。この加熱殺菌時に生じる問題を避けるためには、アルカリカゼイン等の水溶性を改善した乳蛋白質を使用する方法や、メタリン酸塩、ポリリン酸塩等の金属イオンを封鎖する能力を持つ塩(金属イオン封鎖剤)を使用する方法が一般的に行なわれる。しかし、乳蛋白含量が高い場合にはそれらの効果には限界があり、また、金属イオン封鎖剤については、風味の面、あるいは添加物を避ける志向から、使用しないことが求められることが多くなってきている。
これらの問題を総合的に解決する方法として、特定の無脂乳固形成分と、呈味性を有する無脂乳固形成分と、3糖類以下の糖アルコールを併用する方法(例えば特許文献1参照)、無脂乳固形分が15質量%以下とし、カリウムを0.3質量%以上及びナトリウムを含有し、且つ該ナトリウムと該カリウムとの質量比を1:1〜10とする方法(例えば特許文献2参照)、無脂乳固形分の含有量が15質量%以上とし、ナトリウム塩とカリウム塩を添加する方法(例えば特許文献3参照)、特定の無脂乳固形分に加え、低分子化された乳原料と特定の糖類と特定の呈味剤を併用する方法(例えば特許文献4参照)が提案されている。
しかし、特許文献1に記載の方法は、乳糖を含まず水溶性の高い乳蛋白質を使用し、該乳蛋白質は乳風味が弱いため呈味性を有する乳製品を併用し、さらに、水溶性の低い乳糖に代えて糖アルコールを使用することで上記目的を達成した発明であるが、必須成分である呈味性を有する乳製品として規定されている3種の乳製品はいずれもカルシウム含量が高い乳製品であるため濃縮乳の製造時に焦げが生じやすいものであることに加え、糖アルコールは乳糖に比べて甘味度が極めて高いことと味質が異なるため、風味の面でも問題があった。特許文献2に記載の方法は無脂乳固形分が低いため乳風味が弱く、そのためNaとKを添加しても得られる濃縮牛乳状組成物のコク味が十分ではないという問題がある。特許文献3に記載の方法は、特定の金属イオン封鎖剤を選択し組み合わせることで乳風味を付与する発明であるため、金属イオン封鎖剤の添加量以上の乳風味を得ることはできず、さらに無脂乳固形分が多い場合には上述のように3倍以上に濃縮することができない問題があった。特許文献4に記載の方法は、低分子化した乳蛋白質及び乳糖を含有しない乳蛋白質を使用することで乳蛋白質溶解度を高め、乳糖に代えて溶解性の高い糖を使用し、さらに不足する風味を酵母エキス等の呈味剤で補なうことで上記目的を達成した発明であるが、乳糖を使用しないためにコクのある乳風味を呈するものではなく、そのコク味を補うために必須成分として添加する呈味剤も酵母エキスの記載しかなく、この場合、乳風味とは別種のコク味が感じられるため、風味の面で問題があった。
このように、これらの方法では、保存性が良好で、5倍以上に希釈した場合でも牛乳と同程度の風味とコク味を有する濃縮牛乳状組成物、特に、HTST殺菌やUHT殺菌(超高温瞬間殺菌)処理等の殺菌処理時に凝集物やコゲの発生がなく、保管中に沈殿やざらつきの発生がなく、良好な風味を有する殺菌済濃縮牛乳状組成物を得ることはできなかった。
特開2000−139343号公報 特開2002−223697号公報 特開2003−265102号公報 特開2004−147628号公報
従って、本発明の目的は、HTST殺菌やUHT殺菌(超高温瞬間殺菌)処理等の殺菌処理時に凝集物やコゲの発生がなく、保存性が良好で、5倍以上に希釈した場合でも牛乳と同程度の風味とコク味を有する、殺菌済濃縮牛乳状組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、乳蛋白質と特定の乳清ミネラルを併用することで、上記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、乳蛋白質を2〜12質量%、及び、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを、固形分として0.3〜5質量%含有することを特徴とする殺菌済濃縮牛乳状組成物を提供するものである。
また、本発明は、該殺菌済濃縮牛乳状組成物を用いた食品を提供するものである。
さらに本発明は、上記殺菌済濃縮牛乳状組成物の製造方法として、乳蛋白質を2〜12質量%、及び、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを、固形分として0.3〜5質量%含有する予備乳化物を、殺菌し、冷却することを特徴とする殺菌済濃縮牛乳状組成物の製造方法を提供するものである。
本発明の殺菌済濃縮牛乳状組成物は、蛋白含有量が高い場合であっても、HTST殺菌やUHT殺菌(超高温瞬間殺菌)処理等の殺菌処理時に凝集物やコゲの発生がなく、保存性が良好で、また、蛋白含有量が低い場合であっても、5倍以上に希釈した場合に牛乳と同程度の風味とコク味を有する。
以下、本発明の殺菌済濃縮牛乳状組成物について詳述する。
本発明の殺菌済濃縮牛乳状組成物で使用する乳蛋白質について詳述する。
本発明の殺菌済濃縮牛乳状組成物は、乳蛋白質を含有する。乳蛋白質は、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質に大別され、カゼイン蛋白質又はホエイ蛋白質の何れかを用いてもよいし、これらを併用してもよいが、本発明においては、耐熱性(HTST殺菌やUHT殺菌(超高温瞬間殺菌)処理等の殺菌処理時に凝集物やコゲの発生がない)の点から、乳蛋白質中、カゼイン蛋白質を好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上使用することが好ましい。なお、カゼイン蛋白質の使用量の上限は100質量%であるが、良好な乳風味を有する濃縮牛乳状組成物を得るためには、該上限は、好ましくは95質量%、より好ましくは90質量%である。
上記乳蛋白質の含有量は、本発明の殺菌済濃縮牛乳状組成物中、2〜12質量%、好ましくは3.5〜10質量%、より好ましくは5〜10質量%である。乳蛋白質の含有量が2質量%未満であると、乳化力と乳化安定性が不足し安定な乳化物が得られない。また、乳蛋白質の含有量が12質量%を超えると、殺菌処理時に凝集物やコゲが発生し易くなり製造が不可能となる。
上記カゼイン蛋白質としては、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼイン、κ−カゼインの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材であるアルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼイン等が挙げられる。
上記ホエイ蛋白質としては、ラクトアルブミン、βラクトグロブリン、血清アルブミン、免疫グロブリン、プロテオースペプトンの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材として、乳清蛋白質、ホエイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱乳糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC及び/又はWPI)等が挙げられる。
上記カゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白質の両方を含有する食品素材として、例えば、生乳、牛乳、加糖練乳、加糖脱脂れん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン(TMP)、脱脂粉乳、全粉乳、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム、発酵乳等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明では、3倍濃縮以上とするために無脂乳固形分をできるだけ多く含有することが好ましく、無脂乳固形分の主成分は上述のとおり乳蛋白質と乳糖であることから、本発明においても良好な深いコク味を得るためには、上記乳蛋白質に加えて乳糖を併用することが好ましい。本発明においては、良好な深いコクのある乳風味を得るためには、乳糖を好ましくは3〜10質量%、より好ましくは5〜10質量%含有することが好ましい。乳糖の含有量が3質量%未満であると良好な深いコク味が得られにくく、10質量%を超えると水相中に完全に溶解させることが困難になり、保管中に沈殿やざらつきを生成するおそれがある。
本発明では、上記理由から、上記乳蛋白質として乳糖を含有する食品素材を、上記乳糖の含有量となる範囲で使用し、さらに多くの乳蛋白質含量とする場合は、上記乳蛋白質として乳糖を含有しない乳蛋白質とを併用することが好ましく、さらに本発明では、本発明で使用する特定の乳清ミネラルの効果を最大限に引き出すために、該「乳糖を含有しない乳蛋白質」として、塩類を除去した乳蛋白質を使用することが好ましい。
なお、上記乳蛋白質のうち、乳糖を含有する食品素材としては、アルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼイン、ホエイ、ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC及び/又はWPI)、生乳、牛乳、加糖練乳、加糖脱脂れん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バターミルクパウダー、脱脂粉乳、全粉乳、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム、発酵乳等が挙げられるが、風味が好ましい点、蛋白質濃度が高い点、ホエイ蛋白質含量が低い点、水への溶解度が比較的高い点から、バターミルクパウダー、脱脂粉乳、全粉乳のうちの1 種又は2種以上を使用することが好ましい。
また、上記乳蛋白質のうち、乳糖を含有しない食品素材としては、乳清蛋白質、脱乳糖ホエイ、脱乳糖ホエイパウダー、トータルミルクプロテイン(TMP)、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)等が挙げられる。
さらに、乳糖を含有しない食品素材であって、塩類を除去した乳蛋白質としては、トータルミルクプロテイン(TMP)、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)が挙げられる。
すなわち、本発明では、バターミルクパウダー、脱脂粉乳、全粉乳のうちの1 種又は2種以上と、トータルミルクプロテイン(TMP)及び/又はミルクプロテインコンセントレート(MPC)とを併用することが好ましい。
本発明の殺菌済濃縮牛乳状組成物で使用する乳清ミネラルについて詳述する。
乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエイ中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用する乳清ミネラルとしては、乳蛋白質を多く含有する場合であっても殺菌処理時に焦げが生じない点、良好な乳風味と口溶けを有する殺菌済濃縮牛乳状組成物が得られる点で、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満、好ましくは1質量%未満の乳清ミネラルを使用することが必要である。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量%以上である。上記カルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルは、乳又はホエイから、膜分離及び/又はイオン交換、さらには冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエイを用いる方法、或いは甘性ホエイから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法が挙げられるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエイから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用する脱カルシウムの方法としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
本発明の殺菌済濃縮牛乳状組成物における上記乳清ミネラルの含有量は、固形分として0.3〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%、より好ましくは1〜3質量%である。上記乳清ミネラルの含有量が0.3質量%未満であると、本発明の効果が見られず、また、5質量%を超えると、苦味を感じることに加え、長期間保存時や高温での保管時に乳化破壊を起こし、離水したり、油分分離等を起こす。
本発明の殺菌済濃縮牛乳状組成物では、組成物中のカルシウム含量を、好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.03〜0.4質量%、さらに好ましくは0.05〜0.3質量%とする。組成物中のカルシウム含量が0.01質量%未満であると、希釈使用時に牛乳のような良好な風味が見られにくく、また、0.5質量%を超えると、殺菌時の焦げが生じやすいことに加え、長期間保存時や高温での保管時に沈殿やざらつきが発生したり、乳化破壊を起こし、離水したり、油分分離等を起こすおそれがある。
本発明で使用するカルシウムとしては、上記乳清ミネラル、乳蛋白質、乳蛋白質を含有する食品に含まれるカルシウムを使用するが、必要に応じ、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム等の各種カルシウム製剤や、鶏卵殻粉末等のカルシウムを含有する食品等を使用することができる。
本発明では、乳清ミネラル、乳蛋白質を必須成分として使用するため、それらの原料由来のカルシウムで十分なため、乳清ミネラル、乳蛋白質、乳蛋白質を含有する食品、のみを使用することが好ましい。
なお、上記カルシウム含量は、下記の「乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料」としてカルシウムを含有するものを用いた場合は、これらに含有されるカルシウムを含むものである。さらに、その他の原料に含まれるカルシウム分も含めて算出する。
本発明では、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を使用すると、乳化剤を使用せずとも安定な乳化物を得ることが可能な点から好ましい。なお該乳原料としては、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、該固形分を基準として、3質量%以上である乳原料を使用することが好ましく、さらに好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5〜40質量%である乳原料を使用する。
上記乳由来の固形分中のリン脂質とは、乳由来の固形分中に含まれる乳由来のリン脂質のことを指す。
また、上記乳原料は、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。但し、溶剤を用いて乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した乳原料は、風味上の問題から、本発明においては、上記乳原料として用いないのが好ましい。
乳由来のリン脂質を含有する乳原料の固形分中のリン脂質の定量方法としては、例えば下記の定量方法が挙げられる。但し、抽出方法等については乳原料の形態等によって適正な方法が異なるため、下記の定量方法に限定されるものではない。
まず、乳由来のリン脂質を含有する乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から、以下の計算式を用いて、乳由来のリン脂質を含有する乳原料の固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する乳原料−乳由来のリン脂質を含有する乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料としては、例えば、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられる。該クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクとは組成が大きく異なり、リン脂質を多量に含有しているという特徴がある。バターミルクは、その製法の違いによって大きく異なるが、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、通常0.5〜1.5質量%程度であるのに対して、上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、大凡2〜15質量%であり、多量のリン脂質を含有している。
本発明において、上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料として、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクそのものを用いることはできないが、バターミルクを乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した濃縮物、あるいはその乾燥物を用いることは可能である。
上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる上記水相成分の製造方法の一例を以下に説明する。
上記クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
一方、上記バターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、バターを溶解機で溶解し、熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明で用いることができる上記水相成分としては、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上であれば、上記クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分をそのまま用いてもよく、また、噴霧乾燥、濃縮、冷凍等の処理を施したものを用いてもよい。
但し、乳由来のリン脂質は、高温加熱するとその機能が低下するため、上記加温処理や上記濃縮処理中あるいは殺菌等により加熱する際の温度は、100℃未満であることが好ましい。
また、本発明では、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料として、上記乳原料中のリン脂質の一部又は全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできる。該リゾ化物は、上記乳原料をそのままリゾ化したものであってもよく、また上記乳原料を濃縮した後にリゾ化したものであってもよい。また、得られたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧乾燥処理等を施してもよい。
上記乳原料の一部又は全部として、上記リゾ化物を本発明で用いることにより、さらに乳化安定性を改良させることができる。
乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すればよい。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
本発明において、上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を、固形分として、好ましくは0.1〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜7質量%、最も好ましくは1〜4質量%含有する。
尚、上記乳原料の起源となる乳としては、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳を例示することができるが、特に牛乳が好ましい。
次に本発明の濃縮牛乳状組成物で用いることができる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、バター、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、上記の油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の濃縮牛乳状組成物中の油脂の含有量は、その他の配合原料中に含まれる油脂分も含めた油分含量が、好ましくは3〜50質量%、さらに好ましくは5〜40質量%、より好ましくは12〜40質量%であり、最も好ましくは12〜30質量%となる量である。
なお、本発明の濃縮牛乳状組成物の好ましい水分含量は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料や、その他の配合原料中に含まれる油脂分も含めた純水分含量が、好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは40〜70質量%、より好ましくは50〜70質量%であり、最も好ましくは50〜60質量%となる量である。
本発明では、必要に応じ、その他の原料を使用することができる。該その他の原料としては、ゲル化剤や安定剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤、乳糖以外の糖類・甘味料、澱粉類、上記以外の乳や乳製品、乳蛋白質以外の蛋白質、卵製品、穀類、無機塩、有機酸塩、キモシン等の蛋白質分解酵素、トランスグルタミナーゼ、ラクターゼ(β−ガラクトシダーゼ)、α―アミラーゼ、グルコアミラーゼ等の糖質分解酵素、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、直鎖デキストリン・分枝デキストン・環状デキストン等のデキストリン類、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他各種食品素材、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤等を配合してもよい。
上記ゲル化剤や安定剤としては、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、LMペクチン、HMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、タラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、カシアガムの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記乳化剤としては、レシチン、酵素処理レシチン等の天然乳化剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の合成乳化剤が挙げられる。本発明では、風味や、消費者の間に広まっている天然志向に応える観点から、上記乳化剤のうち、合成乳化剤を用いないことが好ましく、さらに好ましくは、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として2質量%以上である乳原料を使用することで、上記の天然乳化剤や合成乳化剤等の乳化剤を用いないのが好ましい。
上記金属イオン封鎖剤は、上述のとおり、乳蛋白質を多く含有する濃縮牛乳状組成物を製造する際に、主に、殺菌時の焦げを防止するために添加するものであり、その具体例としては、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ウルトラポリリン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム等の各種リン酸塩、並びにクエン酸、酒石酸等の有機酸塩類、及び炭酸塩等の無機塩類、さらには、これらの金属イオン封鎖剤を含有する食品素材が挙げられる。
本発明では、これらの各種金属イオン封鎖剤の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができるが、本発明では、乳蛋白質含量が5質量%未満であれば上記乳清ミネラルを使用することで金属イオン封鎖剤を使用せずとも製造可能であるため、風味の面から、金属イオン封鎖剤を使用しないことが好ましい。なお、乳蛋白質含量が5質量%以上である場合は、乳蛋白質としてトータルミルクプロテインを好ましくは1質量%以上使用することで金属イオン封鎖剤を使用せずとも安定して製造可能となる。
上記乳糖以外の糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖等が挙げられる。また、上記甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、アスパルテーム等が挙げられる。これらの糖類及び甘味料は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記乳糖以外の糖類及び上記甘味料の含有量は、上記乳糖と併せた合計量が、固形分として好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%となる量である。
なお、上記その他の原料は、合計として、好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、最も好ましくは20質量%以下とする。35質量%を超えると、良好な風味を有する殺菌済濃縮牛乳状組成物が得られなくなる恐れがある。
次に本発明の濃縮牛乳状組成物の好ましい製造方法について述べる。
本発明の濃縮牛乳状組成物を得るには、乳蛋白質を2〜12質量%、及び、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを、固形分として0.3〜5質量%含有する予備乳化物を、殺菌し、冷却することによって得ることができる。
詳しくは、まず水に、乳蛋白質を2〜12質量%、及び、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを固形分として0.3〜5質量%となる量を溶解し、必要に応じさらにその他の水溶性の原料を溶解させた水相を用意する。一方、食用油脂に油溶性の原料を溶解させた油相を用意する。そして、この水相と油相を、好ましくは45〜75℃で予備乳化し、予備乳化物を得る。次いでこの予備乳化物を殺菌する。なお、本発明における殺菌には滅菌を含むものである。
該殺菌は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができる。また、殺菌する前又は後でホモジナイザーで均質化しても良い。均質化処理を行う場合の均質化圧力は、3〜30MPaとするのが好ましい。そして、上記の殺菌後、乳化物を冷却することにより、本発明の濃縮牛乳状組成物が得られる。
本発明の濃縮牛乳状組成物は、希釈して牛乳の代替品として使用する他、希釈せずそのまま牛乳代替組成物やチーズ代替組成物、クリーム代替組成物として食品に使用することができる。
本発明の濃縮牛乳状組成物を使用することができる食品としては、例えばカスタードクリームやホワイトクリーム等のクリーム類、このクリーム類を利用したシチューやグラタン、ババロア等のデザート類、フラワーペースト等のペースト類、マヨネーズ、その他ドレッシング類、チーズ様食品、パン・菓子・ハム・ソーセージその他加工食品が挙げられる。
なお、本発明の濃縮牛乳状組成物は、必要により、冷蔵もしくは冷凍状態で保存しても良い。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。
<乳清ミネラル液の製造>
〔製造例1〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエイをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これを固形分が10質量%となるように水で希釈し、乳清ミネラル10%液Aを得た。得られた乳清ミネラル10%液Aの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%であった。
〔製造例2〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエイをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、これを固形分が10質量%となるように水で希釈し、乳清ミネラル10%液Bを得た。得られた乳清ミネラル10%液Bの固形分中のカルシウム含量は2.2質量%であった。
<濃縮牛乳状組成物の製造>
(実施例1〜4及び比較例1〜5)
下記表1に示す配合に従い、水を60℃に昇温し攪拌しながら、油脂と大豆レシチン以外の材料を溶解させた水性相に、60℃に加温した油脂に大豆レシチンを加え溶解させた油相を添加、混合、攪拌して予備乳化物を調製した。該予備乳化物をVTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機ステリラボ)で143℃で5秒間殺菌し、10MPaの圧力で均質化後、5℃まで冷却し、実施例及び比較例の濃縮牛乳状組成物をそれぞれ得た。
得られた濃縮牛乳状組成物の無脂乳固形分の含有量、乳蛋白質の含有量、乳糖含量、乳清ミネラルの含有量、カルシウム含量、油分含量、及び水分含量を下記表2に示した。
また、得られた濃縮牛乳状組成物は、下記の「風味試験」「濃縮率の検定」及び「保存性試験」に供した。
Figure 2010075083
Figure 2010075083
<評価方法1.風味試験>
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた濃縮牛乳状組成物を5倍に希釈し、ザラの有無、焦げの有無について観察を行ない、その評価結果を下記表3に示した。
Figure 2010075083
[ザラ評価基準]
×:多量のザラが見られた
△:少量のザラが見られた
○:ほとんどザラが見られなかった
◎:ザラが全く見られなかった
[焦げ評価基準]
×:多量の焦げが見られた
△:少量の焦げが見られた
○:ほとんど焦げが見られなかった
◎:焦げが全く見られなかった
<評価方法2.濃縮率の検定>
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた濃縮牛乳状組成物をそれぞれ2倍、3倍、4倍、5倍、6倍に希釈した溶液と市販の牛乳(乳脂肪3質量%)を用意した。ここで、23人のパネラーに、各希釈溶液と牛乳を試飲比較させ、その乳風味の強さについて下記の5段階の評価をしてもらい、その一番多かった評価を下記表4に記載した。
[比較評価基準]
××:牛乳とは異質な風味を感じた
×:牛乳より薄い風味であると感じた
△:牛乳と同等の風味であるがコク味が不足と感じた
○:牛乳と同等の風味・コク味を感じた
◎:牛乳より濃い風味であると感じた
Figure 2010075083
<評価方法3.保存性試験>
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた濃縮牛乳状組成物を5℃で90日間保管した後の乳化状態(油分離及びザラの有無)を観察し、その結果を下記表5に記載した。
Figure 2010075083
[油分離評価基準]
×:多量の油分離が見られた
△:少量の油分離が見られた
○:ほとんど油分離が見られなかった
◎:油分離が全く見られなかった
[ザラ評価基準]
×:多量のザラが見られた
△:少量のザラが見られた
○:ほとんどザラが見られなかった
◎:ザラが全く見られなかった
上記実験結果からわかるとおり、乳蛋白質を2〜12質量%、及び、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを、固形分として0.3〜5質量%含有する実施例1〜4の殺菌済濃縮牛乳状組成物は、HTST殺菌やUHT殺菌(超高温瞬間殺菌)処理等の殺菌処理時に凝集物やコゲの発生がなく、保存性が良好で、5倍以上に希釈した場合でも牛乳と同程度の風味とコク味を有することがわかる。特に、実施例2でわかるとおり、乳蛋白質量が少ない場合であっても、5倍濃縮まで可能であることがわかる。
それに対して、カルシウム含量が2質量%以上である乳清ミネラルを使用した比較例1の濃縮牛乳状組成物は、殺菌時にザラや焦げが生じ、濃縮率も悪化し、保管時に油分離やザラの発生が見られることがわかる。また、乳蛋白含量が12質量%超である比較例2の濃縮牛乳状組成物は、濃縮率は高いものの、殺菌時にザラや焦げを生じ、保管時に油分離やザラの発生が見られることがわかる。さらに、乳蛋白質含量が2質量%未満である比較例3の濃縮牛乳状組成物は、殺菌時のザラや焦げの発生は見られないものの、濃縮率が低いことがわかる。またカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを使用しているが、その含有量が固形分として5質量%超である比較例4の濃縮牛乳状組成物は、希釈使用時に苦味を感じるなど風味が悪化すること、乳清ミネラルの含有量が固形分として0.3質量%未満である比較例5の濃縮牛乳状組成物は、濃縮率が低下することがわかる。

Claims (6)

  1. 乳蛋白質を2〜12質量%、及び、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを、固形分として0.3〜5質量%含有することを特徴とする殺菌済濃縮牛乳状組成物。
  2. 組成物中のカルシウム含量が0.01〜0.5質量%である請求項1記載の殺菌済濃縮牛乳状組成物。
  3. 油分を3〜50質量%含有する請求項1又は2記載の殺菌済濃縮牛乳状組成物。
  4. 乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を含む請求項1〜3のいずれかに記載の殺菌済濃縮牛乳状組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の殺菌済濃縮牛乳状組成物を用いた食品。
  6. 乳蛋白質を2〜12質量%、及び、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを、固形分として0.3〜5質量%含有する予備乳化物を、殺菌し、冷却することを特徴とする殺菌済濃縮牛乳状組成物の製造方法。
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