JP6509508B2 - 水中油型乳化脂用乳化材 - Google Patents

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本発明は、幅広い用途で使用可能な水中油型乳化脂用乳化材、及び該乳化材を使用して得られる水中油型乳化脂に関する。
近年、消費者の健康志向や食の安心・安全への意識の高まりを受けて、化学合成された食品添加物の使用をなるべく抑え、天然由来の素材で代替する動きが広がっている。中でも合成乳化剤には特有のエグ味や苦味などがあり、特に呈味成分を感じやすい水中油型の乳化物ではその影響が顕著であることから、風味の面でも使用を抑えていくことが求められる。しかし、合成乳化剤は種類が多いため用途に応じて選択できるほか、効果が大きいといったメリットもあり、天然由来の素材で置き換えることは困難であった。
これまで行われてきた化学合成された乳化剤を代替しながら乳化を安定化させる検討としては、例えばカルシウムの含有量が1.5重量%以下であるι−カラギーナンを含む特定の配合とする方法(特許文献1)、サトウダイコン由来のシュガービートペクチンを特定条件下で加熱処理した改質ペクチンを使用する方法(特許文献2)、特定量のカゼイネート、無脂乳固形分、レシチンまたはリゾレシチン等を含有する起泡性クリーム(特許文献3)が挙げられる。
しかし、特許文献1及び2の方法ではそれぞれ増粘多糖類を使用するため、風味や食感への影響が生じやすく、特許文献3の起泡性クリームでは配合の制約があり、いずれも用途が限定されるものであった。
一方、本出願人らは、これまでに乳中の乳化活性物質を更に高濃度で得る方法として、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分を利用する方法(特許文献4)、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる、リン脂質を含有する水相成分をリゾ化してなる乳化活性物質(特許文献5)を提案した。
しかし、特許文献4の方法では一定の効果が見られるものの、乳化安定性等において更なる改良の余地があるものであり、特許文献5の乳化活性物質では、より良好な乳化安定性を得ることができるものの、リゾ化に伴う風味発現の低下が見られ、適用できる飲食品が制限される場合があった。
このように、化学合成された乳化剤の使用を抑えながら乳化安定性が良好で、風味の良い水中油型乳化物を製造するには課題が残されていた。
特開2001−128625号公報 WO2007/037347パンフレット 特開平10−215783号公報 特開2002−51700号公報 特開2003−235462号公報
従って、本発明の目的は、天然素材に由来し幅広い用途で使用可能な水中油型乳化脂用
乳化材を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく種々検討した結果、乳由来のリン脂質と乳タンパク質が一定の割合で存在し、pHが2.5〜6.4である水性液を乳化材として使用した場合、酸味や雑味を感じさせることなく、良好な水中油型乳化脂が得られることを知見した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は下記(A)及び(B)を満たすことを特徴とする、水中油型乳化脂用乳化材である。
(A)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であること。
(B)pHが2.5〜6.4であること。
本発明によれば、幅広い用途で使用可能な水中油型乳化脂用乳化材を得ることができる。また、該乳化材を使用して得られる水中油型乳化脂は、乳化安定性に優れたものとなる。
以下、本発明の水中油型乳化脂用乳化材について詳述する。
本発明の水中油型乳化脂用乳化材は、下記(A)及び(B)を満たすものである。
(A)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であること。
(B)pHが2.5〜6.4であること。
まず、上記条件(A)について説明する。
各種動物の乳は、初期発育を助けるために脂質、タンパク質、乳糖、アミノ酸等のエネルギー源を多く含み、これらは水中油型の乳化状態で安定して存在することが知られている。乳の乳化安定性に大きな役割を果たしているのは主にリン脂質と乳タンパク質であり、その含有量は、例えば牛乳では、乳タンパク質が3.3〜3.8質量%、リン脂質が0.03〜0.04質量%である。
本発明の水中油型乳化脂用乳化材では、上記条件(A)の水性液は、乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質と乳タンパク質との含有比が、上記乳での含量比とは大きく異なる水性液であることが必要である。すなわち、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であり、好ましくは乳由来のリン脂質1質量部に対して乳タンパク質が1.2〜13質量部、より好ましくは1.5〜10質量部、最も好ましくは2〜5質量部である。
ここでいう水性液とは、水溶液のほか、水相を主体として少量の油溶性成分が分散した水中油型乳化物を意味するものとする。
本発明において、乳由来のリン脂質1質量部に対して乳タンパク質が1質量部よりも少なかったり、あるいは15質量部よりも多く含まれている場合、最終的に得られる乳化材の乳化力が大きく劣ったものとなってしまう。
本発明の効果を発揮する上で、なぜ乳由来のリン脂質と乳タンパク質が特定の割合で含まれることが必須条件となっているのか明らかではないが、後述するpH条件下によってリン脂質と乳タンパク質が複合体を形成し、その際にリン脂質と乳タンパク質のバランスが重要なのではないかと本発明者らは考えている。
上記条件(A)を満たす水性液を得る方法としては、乳由来のリン脂質含有量1質量部に対し乳タンパク質が1〜15質量部である、乳由来の原料(以下、単に「乳原料」ということもある)を使用する方法のほか、乳由来のリン脂質を多く含有する原料と乳タンパク質を多く含有する原料を条件(A)を満たすように混合する方法、また乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を多く含有する原料へ乳由来のリン脂質及び/又は乳タンパク質を添加し、条件(A)を満たすように調製する方法等が挙げられる。
本発明においては上記方法の中でも、上記乳原料を使用することが、より乳化力の大きい乳化材を得られること、また風味が良好である点で好ましい。
また、条件(A)を満たす水性液中、乳由来のリン脂質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、最も好ましくは5質量%以上である。
乳由来のリン脂質としてはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、リゾリン脂質等が挙げられる。
また、条件(A)を満たす水性液中、乳タンパク質の含有量は、該水性液の固形分を基準として好ましくは20〜40質量%、より好ましくは23〜37質量%、最も好ましくは25〜35質量%である。
上記乳タンパク質としては、例えばα−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、ラクトアルブミン等のホエイタンパク質、カゼイン、またこれらの乳タンパク質を含有する脱脂粉乳、全粉乳、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。
また、条件(A)を満たす水性液中、固形分含量は2〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%が最も好ましい。
条件(A)を満たす水性液として好ましい原料である、上記乳原料の具体的な例としては、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられ、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳などの乳から製造されたものが好ましく、特に牛乳から製造されたものが好ましい。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明では上記の乳原料をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたものなどを用いることも可能であるが、最終的に得られる乳化材として、乳化力がより良好である点で、乾燥工程を経ていないものを使用することが好ましい。また、溶剤を用いて濃縮したものは風味上の問題から用いないのが好ましい。
上記乳原料は、均質化処理を行っても良い。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行っても良い。
上記乳原料は、UHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜150℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒である。
本発明では、上記の乳原料中のリン脂質の一部または全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできるが、風味の面からリゾ化物は使用しない方が好ましい。リゾ化物を使用した場合、用途によっては最終的に得られる水中油型乳化脂に苦味が生じる場合がある。
なお、該リゾ化物は、乳原料をそのままリゾ化したものや乳原料を濃縮した後にリゾ化したものが挙げられる。これらのリゾ化物は本発明におけるリン脂質の含有量に含めるものとする。
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化する場合には、ホスホリパーゼAで処理する方法が挙げられる。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
本発明におけるリン脂質の定量は、例えば以下のような方法にて測定することができる。
ここでは、上記乳原料の場合を例に説明する。但し、抽出方法などについては乳原料の形態などによって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
まず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料−乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
次に、上記条件(B)について説明する。
本発明の水中油型乳化脂用乳化材は、pHが2.5〜6.4であることが必要である。
上記条件(B)を満たす方法としては、上記条件(A)を満たす水性液を酸で調整する方法や、あらかじめ上記条件(A)及び(B)を満たす水性液を使用する方法、上記条件(A)を満たす水性液を乳酸醗酵等によりpHが2.5〜6.4となるように処理する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記方法の中でも、条件(A)を満たす水性液に酸を添加し、該水性液のpH2.5〜6.4となるように調整する方法が好ましい。他の方法に比べ簡便かつ効率的であるほか、酸の種類を適宜変えることにより風味を調節することも可能となるためである。
上記条件(B)のpHは、好ましくはpH3.0〜6.1、より好ましくは4.0〜6.0、最も好ましくは4.7〜5.8である。
水中油型乳化脂用乳化材のpHが6.4よりも大きいと酸処理が不十分となり本発明の効果が見られない。pHが2.5よりも低いと、雑味が生じてしまい、水中油型乳化脂へ用いた場合に風味が大きく損なわれてしまう。
pHが2.5〜6.4となるように酸を使用する場合、使用する酸は、無機酸であっても有機酸であってもよいが、有機酸であることが好ましい。該有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられ、果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルトなどの有機酸を含有する飲食品も用いることができるが、本発明においてはより酸味が少なく、風味に影響しない点でフィチン酸、グルコン酸を使用することが好ましい。
水中油型乳化脂用乳化材のpHを2.5〜6.4とするために酸を使用する場合、酸の使用量には特に制限はなく、風味を考慮しながら、水中油型乳化脂用乳化材のpHが2.5〜6.4となるように使用すればよい。上記条件(B)となるように酸で調整する場合の温度条件、反応時間は特に制限なく任意の条件を設定することができるが、好ましくは0〜70℃条件下で30秒以上攪拌することが好ましい。
本発明の水中油型乳化脂用乳化材には、さらにカルシウム塩を添加することが好ましい。カルシウム塩の添加量は水中油型乳化脂用乳化材に含まれるリン脂質1質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.5質量部であることがより好ましい。
上記範囲でカルシウム塩を含有することで、乳化力をより向上させることができる。
上記カルシウム塩としては塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等が例示され、このうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、水中油型乳化脂用乳化材を調製する途中及び/又は調製した後、均質化機にて均質化するのが好ましい。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミルなどがあげられる。均質化圧力は好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行なっても良い。
さらに必要に応じてUHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜160℃、さらに好ましくは130〜150℃、最も好ましくは139〜146℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒、さらに好ましくは2〜6秒、最も好ましくは4〜6秒である。
上記の均質化処理とUHT加熱処理は、均質化処理のみを行っても良く、UHT加熱処理のみを行って良く、UHT加熱処理の前及び/または後に均質化処理を行っても良い。
そして急速冷却、徐冷却などの冷却操作を行っても良い。
次に、本発明の水中油型乳化脂について説明する。
本発明の水中油型乳化脂は、上記水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂であり、食用油脂、水、必要に応じてその他の成分を含有するものである。
本発明の水中油型乳化脂は、酸味や苦味、雑味によって風味を損なうことなく、乳化安定性等が大きく向上している。乳化安定性が向上するとは、例えば輸送時の振とう耐性が向上すること、ヒートショック耐性が向上すること、また、起泡性水中油型乳化脂に使用した場合、機械耐性(連続ホイップマシーン等の機械を使用して起泡する際、クリームが機械の物理的衝撃により転相反転して使い物にならなかったり、所定の扱いやすい硬さを得るための機械の条件範囲が極めてせまかったりする場合、あるいはナッペマシーン、トッピングマシーン等の機械を使用してケーキに塗り付けたり造花したりする際、機械による外部からの衝撃によりクリームが経時的に硬くなり、作業に支障をきたすような場合、機械耐性が劣ると表現している)が向上すること等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化脂における上記水中油型乳化脂用乳化材の含有量は、上記水中油型乳化脂用乳化材に含まれるリン脂質が、上記水中油型乳化脂中の油分基準で好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜2.5質量%、最も好ましくは0.3〜2質量%である。
本発明の水中油型乳化脂で用いる食用油脂としては、特に限定されないが、例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。
これらのうち、大豆油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、これらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を用いるのが好ましい。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の水中油型乳化脂の油脂の含有量は、特に制限はないが、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜45質量%である。
本発明の水中油型乳化脂の水の含有量は、特に制限はないが、好ましくは30〜99質量%、さらに好ましくは40〜90質量%である。
また、本発明の水中油型乳化脂は、必要により、乳化剤、安定剤、タンパク質、糖類、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等を配合してもよい。
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできるが、合成乳化剤は使用しないのが好ましい。
上記乳化剤の含有量は、本発明の水中油型乳化脂中、好ましくは0〜1質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。
上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記安定剤の含有量は、本発明の水中油型乳化脂中、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
上記タンパク質としては特に限定されないが、例えばα−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、ラクトアルブミン等のホエイタンパク質、カゼイン、その他の乳タンパク質、低密度リポタンパク質、高密度リポタンパク質、ホスビチン、リベチン、リン糖タンパク質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵タンパク質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦タンパク質、その他動物性及び植物性タンパク質等のタンパク質が挙げられる。これらのタンパク質は、目的に応じて一種ないし二種以上のタンパク質として、あるいは一種ないし二種以上のタンパク質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
このタンパク質を含有する食品素材としては、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、バター、クリーム、チーズ、クリームチーズ、冷凍変成したクリームチーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、全卵、卵黄、卵白、加塩卵黄、加糖卵黄、酵素処理卵黄などの粉体以外の形状を持つ食品素材と、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、カゼインカルイウム、ホエープロテインコンセントレート、トータルミルクプロテイン、粉末全卵、粉末卵黄、粉末卵白、卵白分解物、小麦蛋白、大豆粉、濃縮大豆蛋白、エンドウ蛋白、トウモロコシ蛋白、血漿粉末などの粉体状の食品素材が挙げられる。
上記タンパク質の含有量は、本発明の水中油型乳化脂中、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。上記タンパク質の含有量には、本発明の水中油型乳化脂用乳化材に含まれるタンパク質も算入ものとする。
なお、後述するように、本発明の水中油型乳化脂中に上記水中油型乳化脂用乳化材に由来する乳タンパク質以外のタンパク質を含有させる場合、水中油型に乳化したあとに添加することが好ましい。
上記糖類としては、特に限定されないが、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記糖類の配合量は、本発明の水中油型乳化脂中、好ましくは0〜30質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。
次に、水中油型乳化脂の好ましい製造方法について説明する。
一番目の方法としては、先ず、本発明の水中油型乳化脂用乳化材、水及び必要に応じてその他の水溶性成分を含む水相と、食用油脂及び必要に応じてその他の油溶性成分を含む油相をそれぞれ個別に調製し、該水相と該油相とを混合乳化し、水中油型に乳化する。
これを、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
本発明においては、上記「その他の水溶性成分」としてタンパク質を添加する場合には、乳化後に添加することが好ましく、乳化後に均質化を行う場合には均質化後に添加することがより好ましい。
「水中油型乳化脂用乳化材に由来する乳タンパク質」以外のタンパク質を乳化前に添加すると、乳化が不安定になる場合があるため好ましくない。
水中油型乳化脂の好ましい製造方法の二番目の方法としては、上記水中油型乳化脂用乳化材の製造の際に水中油型乳化脂を調製する方法が挙げられる。すなわち、上記水中油型乳化脂用乳化材を製造する際に、その他成分を加え、同時に水中油型乳化脂を調製するものである。
以下、「二番目の方法」について、上記乳原料を使用した場合を例に説明する。
先ず、上記乳原料、水及び必要に応じてその他の原材料を含む水相と、食用油脂及び必要に応じてその他の原材料を含む油相をそれぞれ個別に調製し、続いて該水相と該油相とを混合する。
このとき、水相と油相の混合物又は水相へ、必要に応じて上述した水中油型乳化脂用乳化材の製造で使用する酸を添加し、乳化前に該混合物又は該水相のpHが2.5〜6.4となるように調整する。続いて、水中油型に乳化する。
ここで、上記pHの調整を乳化が完成した後に行った場合、すなわち乳化が完成した後に酸を添加し、pHが2.5〜6.4となるように調整した場合、乳化安定性は大きく低下し、本発明の効果は得られない。
この理由は、乳化が完成した後は乳化界面の表面積が大きくなっているため、乳化に関与する成分はすでに界面へ配置された状態にあり、その後酸を添加しても乳化材が生成しづらい、あるいは生成した乳化材の効果が出にくいのではないかと考えている。
なお、ここでいう「乳化が完成した」状態とは、油滴の平均粒径が10μm以下となっている状態を指すものとする。
これを、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
「二番目の方法」において、上記「一番目の方法」と同様、上記「その他の水溶性成分」としてタンパク質を添加する場合には、乳化後に添加することが好ましく、乳化後に均質化を行う場合には均質化後に添加することがより好ましい。
本発明の水中油型乳化脂は、主としてホイップ用クリームとして用いられる他、洋菓子用素材、コーヒーやコーヒーホワイトナー、アイスクリーム、及びパン練り込み等の用途に用いられるが、本発明の水中油型乳化脂と生クリームとを混合しブレンド物としても本発明の水中油型乳化脂の特性を失うことがない。また、起泡済みクリームとして、冷蔵、冷凍、常温の保管流通条件で用いることもできる。
なお、上記用途において、本発明の水中油型乳化脂は耐酸性が向上しているため、本発明の水中油型乳化脂を酸性食品、例えば酸性デザートと共に使用したり、練り込み使用してもざらの発生、固化、分離などの酸に起因する問題が発生することがない。
ここで水中油型乳化脂を酸性食品と共に使用するとは、酸性食品と本発明の水中油型乳化脂とが接触する状態で使用することをいい、例えば、水中油型乳化脂を酸性食品の上又は下に配置したり、水中油型乳化脂と酸性食品とを積層したり、水中油型乳化脂を酸性食品中に分散させたり、酸性食品を水中油型乳化脂中に分散させる等が挙げられる。
ここで上記酸性食品としては、果汁や野菜汁、あるいは酸味料などの酸性食品素材を使用した、水相のpHが5.5以下、好ましくは3.5〜5.0の食品であり、例えば、マヨネーズ、ドレッシングなどの酸性調味料、ソーダ、発酵乳飲料等の酸性飲料、フルーツムース、チーズムース、フルーツゼリー、フルーツジャム、コーヒーゼリー、レアチーズケーキ、ヨーグルト等の酸性デザートが挙げられる。
なお、上記果汁や野菜汁としては、ストロベリー、カシス、ブルーベリー、ゆず、アセロラ、あんず、梅、みかん、オレンジ、キウイフルーツ、グァバ、グレープフルーツ、さくらんぼ、シークワーサー、すいか、洋梨、なつみかん、日向夏、パインアップル、ハスカップ、パッションフルーツ、パパイア、びわ、ぶどう、マンゴー、メロン、マンゴスチン、黄桃、白桃、ライチ、ラズベリー、りんご、レモン、すだち、カボス、へべスなどの果汁、トマトなどの野菜汁、上記果汁や上記野菜汁の水分含量を減じたピューレ、ペーストなどの加工品が挙げられる。
また、上記酸味料としては、具体的には、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、炭素、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、及びこれらの塩のうちの、1種または2種以上を用いることができる。
なお、果汁、酸味料以外の酸性食品素材として、チーズ、発酵乳、発酵果汁、ワインなどの発酵食品や、コーヒーなどが挙げられる。
次に実施例、及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
水中油型乳化脂用乳化材の製造
[表1]に記載した配合のうち、酸(フィチン酸、グルコン酸、乳酸)以外の成分を55℃条件下で攪拌しながら混合し、続いて酸(フィチン酸、50%フィチン酸[=50質量%フィチン酸水溶液]、グルコン酸、乳酸)を添加してそれぞれpHを調整した後、3MPaの圧力で均質化し、製造例1〜13からそれぞれ本発明の水中油型乳化脂用乳化材A〜Mを得た。また、比較製造例1〜2からそれぞれ水中油型乳化脂用乳化材N〜Oを得た。
なお、各原料中の乳リン脂質、乳タンパク質含有量は以下の通りである。
乳原料A1:クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、タンパク質含有量10.5質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.7質量%)
乳リン脂質高含有成分:クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物900g及びクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の噴霧乾燥物650gに対して、ヘキサン2100ml、エタノール4300mlを加えて混合した後、3時間攪拌し、濾過を行って濾液を回収した。続いて、得られた濾液をエバポレーターで濃縮した後、窒素雰囲気下で溶媒を完全に除去し、リン脂質高含有成分200gを得た。(リン脂質含有量19.5質量%、タンパク質含有量0質量%、乳固形分100質量%)
バターミルクパウダー:リン脂質含有量1.67質量%、乳タンパク質含有量32.7質量%
バターミルク濃縮物:生クリーム(油分:47質量%)100質量部を10℃条件下でチャーニングし、続いて濾過を行って濾液(43質量部)を回収し、バターミルクを得た。続いて、得られたバターミルクを液量がおおよそ三分の一程度になるように濃縮し、バターミルク濃縮物を得た。(バターミルク濃縮物のリン脂質含有量0.53質量%、タンパク質含有量10.9質量%、乳固形分33質量%)
Figure 0006509508
水中油型乳化脂の製造
[実施例1]
ヨウ素価1のパーム極度硬化油55質量部と、パーム核油45質量部を混合した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として添加し、非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂A’を得た。
パーム核油33質量部、エステル交換油脂A’3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、水中油型乳化脂用乳化材A10質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB16)0.1質量部、水47.9質量部を混合し、65℃に加温溶解し水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機
)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物aを得た。
[実施例2〜13]
水中油型乳化脂用乳化材Aに代えて、それぞれ水中油型乳化脂用乳化材B〜M10質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、本発明の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物b〜mを得た。
[実施例14]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂A’3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、タンパク質含有量10.5質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.7質量%)9.96質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB16)0.1質量部、水47.897質量部を混合し、さらにフィチン酸0.043質量部を添加した後、65℃に加温溶解し水相とした。この水相のpHは5.68であった。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物nを得た。
[実施例15]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂A’3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、水中油型乳化脂用乳化材A4質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB16)0.1質量部、水53.6質量部を混合し、65℃に加温溶解し水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)0.3質量部を加えて攪拌し、続いてVTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物oを得た。
[実施例16]
水中油型乳化脂用乳化材A10質量部を20質量部、水47.9質量部を37.9質量部にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物pを得た。
[実施例17]
ショ糖脂肪酸エステルを無添加とし、水47.9質量部を48質量部とした以外は実施例1と同様にして、本発明の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物qを得た。
[実施例18]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂A’3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、水中油型乳化脂用乳化材A10質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB16)0.1質量部、水47.8質量部を混合し、65℃に加温溶解し水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)0.1質量部を加えて攪拌し、続いてVTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物rを得た。
[比較例1〜2]
水中油型乳化脂用乳化材Aに代えて、それぞれ水中油型乳化脂用乳化材N〜Oを10質量部使用した以外は実施例1と同様にして、比較例の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物s〜tを得た。
[比較例3]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂A’3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、タンパク質含有量10.5質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.7質量%)10質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB16)0.1質量部、水47.9質量部を混合し、65℃に加温溶解し水相とした。この水相のpHは6.52であった。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較例の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物uを得た。
[比較例4]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂A’3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含有量3.7質量%、タンパク質含有量10.5質量%、乳固形分38質量%、及び乳固形分中のリン脂質の含有量9.7質量%)9.96質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB16)0.1質量部、水47.897質量部を混合し、65℃に加温溶解し水相とした。この水相のpHは6.52であった。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、その後、3MPaの圧力で均質化した後、フィチン酸0.043質量部を加え混合し、続いてVTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較例の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物vを得た。得られた起泡性水中油型乳化物vのpHは5.70であった。
[比較例5]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂A’3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、さらに大豆レシチン0.2質量部、ソルビタン脂肪酸エステル0.1質量部、グリセリン脂肪酸エステル(HLB4)0.1質量部を加えて油相とした。一方、ショ糖脂肪酸エステル(HLB16)0.2質量部、脱脂粉乳4質量部、カゼインナトリウム0.5質量部、水52.9質量部を混合し、65℃に加温溶解し水相とした。この水相のpHは6.59であった。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、比較例の水中油型乳化脂である起泡性水中油型乳化物wを得た。
水中油型乳化脂の評価
得られた本発明の起泡性水中油型乳化物a〜r及び比較例の起泡性水中油型乳化物s〜wに関し、保管中の乳化安定性について、下記の方法で評価を行なった。結果を[表2]に示す。
更に、本発明の起泡性水中油型乳化物a〜r及び比較例の起泡性水中油型乳化物s〜wをミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーを使用して毎分700回転の速度で最適起泡状態に達するまで起泡させ、得られたホイップドクリームの風味について、下記の方法で評価を行った。結果を下記[表2]に示す。
[乳化安定性の評価方法]
・ボテの評価
起泡性水中油型乳化物a〜wをそれぞれ20℃で1時間調温した後、振動器を用い100回/37秒で水平方向に振動させた。起泡性水中油型乳化物が流動性を失うまでの振動回数が10000回以上のものを◎、7000回以上10000回未満のものを○、4000回以上7000回未満のものを△、4000回未満のものを×とした。
・経日安定性
起泡性水中油型乳化物a〜wを5℃条件下で長期間保存し、10日、50日、100日経過時の離漿量について、下記基準で評価した。
−…全く離漿が見られない
±…わずかに離漿が確認できる
+…はっきりと離漿が見られる
++…激しい離漿が見られる
[風味の評価方法]
・酸味の評価
ホイップドクリームを口にふくんだときの酸味を、15人のパネラーにて官能試験した。酸味をまったく感じないもの、酸味を強く感じるもの、及びどちらともいえないものの3段階で評価し、まったく感じないものに2点、どちらともいえないものに1点、強く感じるものに0点を与え、合計点が28点以上のものを◎+、25〜27点のものを◎、20〜24点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
・苦味・雑味の評価
ホイップドクリームを口にふくんだときの苦味・雑味を、15人のパネラーにて官能試験した。苦味・雑味をまったく感じないもの、苦味・雑味を強く感じるもの、及びどちらともいえないものの3段階で評価し、まったく感じないものに2点、どちらともいえないものに1点、強く感じるものに0点を与え、合計点が28点以上のものを◎+、25〜27点のものを◎、20〜24点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
Figure 0006509508

Claims (3)

  1. 下記(A)及び(B)を満たすことを特徴とする、水中油型乳化脂用乳化材であって、固形分中、乳由来のリン脂質の含有量が5質量%以上である水中油型乳化脂用乳化材。
    (A)乳由来のリン脂質及び乳タンパク質を含有し、乳由来のリン脂質1質量部に対し乳タンパク質を1〜15質量部含有する水性液であること。
    (B)pHが2.5〜6.4であること。
  2. 有機酸を含有する、請求項1記載の水中油型乳化脂用乳化材。
  3. 請求項1又は2記載の水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂。
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