JP6067318B2 - 酸性水中油型乳化物 - Google Patents

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本発明はpH4〜6の弱酸性領域でも経時的に乳化安定な酸性水中油型乳化物に関する。
水相が酸性である水中油型乳化物としては、マヨネーズ、タルタルソース等のソース類をはじめ、ストロベリームースなどの酸性デザート、サワークリーム等が知られ、その他にも細菌の増殖を抑え日持ちを向上させる目的でpHを酸性側へ調整した乳化食品等が知られている。特に日持ち向上を目的とした場合、微生物の増殖にはpHが大きく影響し、大部分の細菌は増殖の最適pHを6.0〜7.5の中性付近に持つことから、水中油型乳化物の水相のpHを4〜6の弱酸性に調整することで、風味をほとんど変化させることなく、日持ちを向上させることが可能である。
しかし、pH4〜6の弱酸性領域では一般に乳化が不安定化しやすい。これは、乳化の安定化に重要な役割を果たすタンパク質は等電点を弱酸性付近にもつものが多く、等電点付近ではタンパク質が電荷状態にならないため不溶化し、凝集、沈澱が発生するためである。例えば、主要な乳タンパク質の等電点はそれぞれ、カゼインでは約4.6、ホエイタンパク質では約5.2である。pHがタンパク質の等電点と重ならないよう、水中油型乳化物の水相のpHをさらに酸性側へ調整すればタンパク質の不溶化を抑え、乳化安定性は維持できるものの、本来の味とは大きく離れてしまうことも多く、極めて用途が限定されたものとなってしまう。そのため、良好な風味を保ったまま弱酸性領域での乳化力を維持することは大きな課題であった。
上記のような課題に対し、これまでにさまざまな検討が行われている。
例えば、タンパク質と酸乳安定用増粘多糖類とを予め酸性域で反応させ、結合させた後、中性域に中和した水中油型エマルション(引用文献1)、タンパクの等電点よりも1.1以下の範囲で低いpHを示し、タンパクとペクチンを含有する酸性飲食品(特許文献2)、大豆や卵黄由来のリン脂質をリゾ化したリゾ化レシチンを利用する方法(特許文献3,4)が挙げられる。
しかし、引用文献1の水中油型エマルションでは製造工程が増えてしまい、操作が繁雑になるという問題があり、特許文献2の酸性飲食品では、タンパク質の等電点を基準としているため、等電点の離れた複数のタンパク質を含有する場合には乳化が不安定になる場合があった。特許文献3,4のようなリゾ化レシチンは、リゾ化に伴う苦味や異味・雑味が生じてしまい、適用できる用途が限られてしまうという課題があった。
また、本願出願人はこれまでに、クリーム又はバター由来のリン脂質を含有する水相成分を、リゾ化してなるリゾ化組成物の乳化活性成分としての使用方法について報告している(特許文献5)。ただし、該出願は、単に油脂と水と該活性成分からなる系の乳化安定性についての報告であり、タンパク質を含む系での安定性や、更には酸性域での乳化安定性について述べられていない。
特開2000−139344号公報 特開平10−14494号公報 特開2000−60481号公報 特開2010−166862号公報 特開2003−235462号公報
よって、本発明の目的は、pH4〜6の弱酸性条件下でも風味を損なうことなく、乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化物を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく種々検討した結果、pH4〜6の弱酸性条件下でも、乳由来の特定の成分をリゾ化処理して得られるリゾ化組成物を含有させた場合、極めて乳化安定性に優れた水中油型乳化物が得られることを知見した。
また、本来リゾ化処理に伴って異味・雑味が生じるとされているところ、上記リゾ化組成物の場合に限り、酸味によって異味・雑味が抑えられ、また良好な乳風味を感じられることがわかった。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、乳由来のクリームを転相することで生じた水相成分をさらにリゾ化して得られるリゾ化組成物を含有することを特徴とするpH4〜6の酸性水中油型乳化物である。
本発明によれば、pH4〜6の弱酸性条件下であっても乳化安定性に優れた酸性水中油型乳化物を得ることができる。また、該酸性水中油型乳化物は異味・雑味が抑えられ、良好な乳風味を有する。
以下本発明の酸性水中油型乳化物について、好ましい実施形態に基づき、詳細に説明する。
本発明の酸性水中油型乳化物は、乳由来のクリーム(以下、クリームともいう)を転相することで生じた水相成分をさらにリゾ化して得られるリゾ化組成物を含有するものである。
ここで、通常のクリームの油分含量は30〜45%であり、本発明では該油分含量のクリームを用いてもよいが、転相することで生じる水相成分中の乳脂肪皮膜成分含量を著しく高めることができ、結果として、より本発明の効果の高い酸性水中油型乳化物が得られることから、上記クリームの油分含量が55質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であることが好ましい。なお上限は一般的に95質量%である。
なお、上記の乳脂肪皮膜成分とはタンパク質とリン脂質の複合体である。転相に使用するクリームの油分含量が高いほど、得られる水相成分中の乳脂肪皮膜成分の含有量が高い理由は、以下の理由である。クリームは牛乳を遠心分離することによって得られる乳脂肪球に富んだ画分であるが、乳脂肪皮膜は該乳脂肪球と水相の界面に存在することから、牛乳から水分をできるだけ多く除去することにより結果として乳脂肪皮膜が濃縮されるものである。したがって、牛乳から水相や油相のみを分取してもこの乳脂肪球皮膜はほとんど含まれない。
なおこのような高油分含量のクリームを得るには、例えば、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機で遠心分離することによって、クリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高めることによって得ることができる。
また、クリームを転相し水相成分を得る方法としては、乳化破壊機で乳化を破壊し、次いで遠心分離機等で油分を除去する方法が挙げられる。
続いて、上記水相成分をリゾ化処理する。具体的には上記水相成分をホスホリパーゼAで処理する。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置き換える作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2に分かれるが、本発明においてはホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離され、水酸基に置き換えられる。
上記ホスホリパーゼAの使用量は、好ましくは水相成分中のリン脂質1gに対して10〜5000IU、さらに好ましくは50〜2000IUである。
なお、上記水相成分を、そのままリゾ化してもよく、該水相成分の濃縮物をリゾ化してもよい。
リゾ化は、上記水相成分と上記ホスホリパーゼAとを混合した後、該混合物をインキュベートすることにより行われる。この際のインキュベート温度は、好ましくは30〜70℃、さらに好ましくは40〜60℃、最も好ましくは45〜55℃であり、インキュベート時間は、好ましくは5分〜5時間、さらに好ましくは15分〜3時間、最も好ましくは30分〜2時間である。
上記リゾ化組成物の総リン脂質含量に占めるリゾリン脂質の割合(リゾ化率)は、乳化安定性の点から、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が一層好ましい。
上記リゾ化率は、以下の方法により測定することができる。先ず、本発明のリゾ化組成物から水分を除去し、クロロホルム:メタノール=2:1(質量比)の溶媒に溶解する。これをろ過した後、溶媒を飛ばし乳脂肪成分を得る。この乳脂肪成分を3回アセトン洗浄することにより中性脂質を除去し、残渣のリン脂質を得る。次に、イアトロスキャン((株)ヤトロン製)を用い、TLC/FID法にてリン脂質の定量を行う。先ず、ベンゼン:クロロホルム:酢酸=50:20:0.7(質量比)の溶媒で一次展開し、不純物の除去とリン脂質の濃縮を行う。次に、クロロホルム:メタノール:29%アンモニア水=65:35:5(質量比)で2次展開し、これをFID法により検出し、予め作製した検量線をもとに定量する。リゾ化率は{〔(リゾリン脂質含量)/(総リン脂質含量)〕×100}の計算式により求められる。
得られた上記リゾ化組成物は、水相のまま使用してもよいし、該リゾ化組成物に噴霧乾燥処理等を施してから使用してもよい。
本発明の酸性水中油型乳化物が含有する、上記リゾ化組成物の含有量は、乳化物基準で、固形分として0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.2〜2質量%が最も好ましい。
上記リゾ化組成物を含有することで、本発明の酸性水中油型乳化物は、乳由来の自然な風味を有し、乳化安定性等に優れるものとなる。乳化安定性の具体例としては、例えば、輸送時の振とう耐性が向上すること、ヒートショック耐性が向上すること、また、酸性水中油型乳化物が起泡性酸性水中油型乳化物である場合は、機械耐性(連続ホイップマシーン等の機械を使用して起泡する際、クリームが機械の物理的衝撃により転相反転して使い物にならなかったり、所定の扱いやすい硬さを得るための機械の条件範囲が極めてせまかったりする場合、あるいはナッペマシーン、トッピングマシーン等の機械を使用してクリームをケーキに塗り付けたり造花したりする際、機械による外部からの衝撃によりクリームが経時的に硬くなり、作業に支障をきたすような場合、機械耐性が劣ると表現している)が向上すること等が挙げられる。
酸性水中油型乳化物は、pH4〜6の弱酸性条件下において、上記リゾ化組成物を含有することにより顕著な効果が得られる一方、パーム油、大豆や卵黄由来等のリン脂質をリゾ化したもの、あるいは、リゾ化した卵黄や全卵を含有する場合では、十分な効果が見られない。このように顕著な差が生じる理由は明らかではないが、その要因としてはリン脂質の種類の違いが考えられる。天然に存在するリン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルイノシトール等が挙げられるが、リン脂質の由来原料によってその構成比は大きく異なる。一般に、卵黄では80%前後がホスファチジルコリンであり、大豆ではホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールをほぼ均等に、合計80%以上になっている。一方で、乳由来のリン脂質では、他の原料にほとんど含まれていないスフィンゴミエリンを多く含有するという特徴を有する。本発明の効果は、このようなリン脂質の構成比の違いに加え、乳由来の微量成分が弱酸性条件下でタンパク質を安定化する効果を担っているのではないかと考えられる。
次に本発明で使用する油脂について説明する。
本発明の酸性水中油型乳化物で用いる油脂の種類としては、特に限定されないが、例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。これらのうちラウリン系油脂、大豆油、ナタネ油、パーム油の分別油、パーム油のエステル交換油を用いるのが好ましい。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
なお、上記ラウリン系油脂とは、トリグリセリドを構成する脂肪酸としてラウリン酸含有率が高い(50%弱程度)油脂の総称である。具体的なラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油、またはその硬化、分別、エステル交換を実施した油脂などが例示でき、これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の酸性水中油型乳化物の油脂の含有量は、特に制限はないが、好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜45質量%である。
本発明の酸性水中油型乳化物の水の含有量は、特に制限はないが、好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは23〜85質量%である。
本発明で使用する水としては、水道水、天然水及び蒸留水等の一般的に酸性水中油型乳化物の製造に使用することができる水を、使用することができる。
本発明の酸性水中油型乳化物は、乳化物基準で、ホエイタンパク質を0.01〜5質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.05〜3質量%、最も好ましくは0.07〜0.7質量%である。上記範囲でホエイタンパク質を含有させることで、乳由来の風味をより高めながら乳化安定性に優れたものとすることができる。
本発明でいうホエイタンパク質とは、ホエイの原液や濃縮物、乾燥物、凍結物等により得られるタンパク質であり、ホエイタンパク質を含有する食品の他、甘性ホエイ、酸ホエイ、脱塩ホエイ、ホエイタンパク濃縮物(WPC(Whey Protein Concentrate))、ホエイタンパク単離物(WPI(Whey Protein Isolate))、α−La(ラクトアルブミン)、およびβ−Lg(ラクトグロブリン)等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。もちろん市販品を使用することも可能である。
また、本発明の酸性水中油型乳化物では、タマリンドガムを使用することが好ましい。タマリンドガムは、マメ科のタマリンドの木の種子の内胚乳から得られる多糖類であり、β−1,4−グルカンからなる主鎖にキシロースやガラクトースが側鎖として結合した構造を有している。
本発明の酸性水中油型乳化物は、乳化物基準で、上記タマリンドガムを好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.005〜0.5質量%、最も好ましくは0.01〜0.2質量%含有する。上記範囲内でタマリンドガムを含有することで、弱酸性条件下での乳化を安定させ、特に離漿を抑制することができる。タマリンドガムの含有量が0.001質量%未満では十分な効果が得られない場合があり、また1質量%を超えると風味が悪くなる場合がある。
また、本発明の酸性水中油型乳化物においては、上記タマリンドガムとしては、25℃におけるタマリンドガムの1%水溶液の粘度が1〜200mPa・s(30rpm)となる低粘度タイプであることが好ましく、5〜120mPa・sがより好ましく、5〜100mPa・sが最も好ましい。
タマリンドガムの1%水溶液の粘度が1mPa・s未満となるようなタマリンドガムでは、充分に粘結力が発現しない傾向があり、200mPa・sをこえるようなタマリンドガムは、高粘度のタマリンドガム原料を選択する必要があり、通常の粘度の低いタマリンドガム原料からは得られ難い。
本発明の酸性水中油型乳化物は、水相のpHが4〜6であることが必要である。
上記のpHの調整に用いる酸味料としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸をはじめ、食酢、果汁、ジャム、コーヒー及びコーヒー製品、カカオ及びカカオ製品、発酵乳等の酸味を有する飲食品や食品素材が挙げられ、これらを単独で用いるか又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の酸性水中油型乳化物においては、最適な酸味強度を得る上で、上記水及び酸味料を使用して、水相のpHを4.0〜6.0、より好ましくは4.2〜5.8とする。尚、上記酸味料の使用量については、使用する酸味料の種類等に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは、酸味料の使用量は1〜30質量%である。
本発明の酸性水中油型乳化物では必要に応じて、その他の成分を含有させることができる。
上記その他の成分としては、乳化剤、安定剤、タマリンドガム以外の増粘多糖類、ホエイタンパク質以外のタンパク質、糖類や甘味料、乳清ミネラル、穀類、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、卵製品、酸味を有さない果汁やジャム、グリシン、しらこたん白抽出物、ポリリジン、エタノール等の保存料、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられる。
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記乳化剤の含有量は、本発明の酸性水中油型乳化物中、好ましくは0〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。但し、カルシウム封鎖剤は用いないほうが好ましく、ここでいうカルシウム封鎖剤として、例えばリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)等が挙げられる。
上記安定剤の含有量は、本発明の水中油型乳化物中、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
上記タマリンドガム以外の増粘安定剤としては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、微結晶セルロース、ファーセレラン、寒天、ゼラチン、ジェランガム、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸塩、カードラン、ローカストビーンガム、アラビアガム、プルラン、サイリウムシードガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、卵白粉末等の増粘多糖類やゲル化剤、澱粉、糊化澱粉、糊化化工澱粉等の澱粉類を挙げることができる。
上記ホエイタンパク質以外のタンパク質としては特に限定されないが、例えばカゼイン、低密度リポタンパク質、高密度リポタンパク質、ホスビチン、リベチン、リン糖タンパク質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵タンパク質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦タンパク質、その他動物性及び植物性タンパク質等のタンパク質が挙げられる。これらのタンパク質は、目的に応じて一種ないし二種以上のタンパク質として、あるいは一種ないし二種以上のタンパク質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
上記ホエイタンパク質以外のタンパク質の含有量は、本発明の酸性水中油型乳化物中、好ましくは合計で0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。
ただし、本発明においては、上記ホエイタンパク質以外のタンパク質のうち、カゼインについては、0.5質量%未満とするのが好ましく、0.3質量%未満がより好ましく、0.2質量%未満が最も好ましい。
上記糖類や甘味料としては、特に限定されないが、例えば上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、液糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、はちみつ、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム、甘草などが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記糖類や甘味料の配合量は、本発明の酸性水中油型乳化物中、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜40質量%である。
次に、本発明の酸性水中油型乳化物の製造方法について説明する。
まず、乳由来のクリームを転相することで生じた水相成分をさらにリゾ化して得られるリゾ化組成物と、水及びその他の物質を含む水相を調製する。また、油脂その他の物質を含む油相を調製し、該水相と該油相とを混合乳化し、水中油型に乳化することによって、本発明の酸性水中油型乳化物を得ることができる。
得られた酸性水中油型乳化物を、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要によりインジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
本発明の酸性水中油型乳化物は、マヨネーズ、タルタルソース等のソース類をはじめ、ストロベリームースなどの酸性デザート、サワークリーム、酸性素材含有ホイップクリームなどの起泡性酸性水中油型乳化物、洋菓子用素材、コーヒーホワイトナー、アイスクリーム、及びパン練り込み等の用途に広く用いることができる。
本発明の酸性水中油型乳化物は中でも起泡性酸性水中油型乳化物であることが好ましい。すなわち、通常、酸性条件下では、起泡性酸性水中油型乳化物は離水や油分分離が生じやすいだけでなく、十分なオーバーランを得ることができないため、様々な添加剤等により物性を安定化しているのが現状であるが、本発明によれば、酸性条件下であっても良好な品質の起泡性酸性水中油型乳化物を得ることができる。
最後に本発明のpH4〜6の酸性水中油型乳化物の安定化方法について説明する。
本発明の安定化方法は、上記乳由来のクリームを転相することで生じた水相成分をさらにリゾ化して得られるリゾ化組成物を、酸性水中油型乳化物に使用することで、pH4〜6の酸性水中油型乳化物の乳化を安定させることができるものである。
詳しくは、pH4〜6に調製した酸性水中油型乳化物中に、上記乳由来のクリームを転相することで生じた水相成分をさらにリゾ化して得られるリゾ化組成物が固形分として、0.01〜5質量%となるように使用することで、乳化が不安定になりやすいpH4〜6の酸性水中油型乳化物においても、良好な乳化安定性を維持することができる。
以下に、リゾ化組成物の製造例、並びに該リゾ化組成物を用いた実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの製造例及び実施例に限定されるものではない。
リゾ化組成物の製造
<リゾ化組成物の製造例1>
乳由来の、油分含量が70%以上であるクリームを転相することで生じた水相成分の濃縮物(固形分40質量%)に、該濃縮物に対して0.03質量%の「レシターゼ10L」(登録商標、ノボノルディスクバイオインダストリー社製、ホスホリパーゼA2を10000IU/ml含む)を攪拌しながら加えた。得られた混合物を50℃で4時間インキュベートした後、5℃に保管し、リゾ化組成物aを得た。得られたリゾ化組成物aは、固形分が40質量%、乳脂肪皮膜成分含量が7.75質量%、総リン脂質含量が3.10質量%、リゾリン脂質含量が2.20質量%、リゾ化率が71%であった。
<リゾ化組成物の製造例2>
乳由来の、油分含量が70%以上であるクリームを転相することで生じた水相成分に、該水相成分に対して0.03質量%の「レシターゼ10L」(登録商標、ノボノルディスクバイオインダストリー社製、ホスホリパーゼA2を10000IU/ml含む)を攪拌しながら加えた。得られた混合物を50℃で4時間インキュベートした後、噴霧乾燥処理を施し、リゾ化組成物bを得た。得られたリゾ化組成物bは固形分が100質量%、乳脂肪皮膜成分含量が20.25質量%、総リン脂質含量が8.10質量%、リゾリン脂質含量が5.75質量%、リゾ化率が71%であった。
<リゾ化組成物の製造例3>
卵黄99.97質量%に、0.03質量%の「レシターゼ10L」(登録商標、ノボノルディスクバイオインダストリー社製、ホスホリパーゼA2を10000IU/ml含む)を攪拌しながら加えた。得られた混合物を50℃で4時間インキュベートし、その後5℃に保管し、リゾ化組成物cを得た。得られたリゾ化組成物cは、総リン脂質含量が9.92質量%、リゾリン脂質含量が7.6質量%、リゾ化率が77%であった。
エステル交換油脂の製造
ヨウ素価1のパーム極度硬化油55質量部と、パーム核油45質量部を混合した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として添加し、非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂dを得た。
[実施例1]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物a3質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物、タンパク質含量80%、以下同じ)0.4質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.04質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水53.46質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.7となるように加え、水相とした。上記油相と上記水相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Aを得た。(酸性水中油型乳化物A中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.32質量%)
[実施例2]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物a1質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.8質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.1質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水55質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Bを得た。(酸性水中油型乳化物B中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.64質量%)
[実施例3]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物b1.8質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.6質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.07質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水54.43質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.7となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Cを得た。(酸性水中油型乳化物C中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.48質量%)
[実施例4]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物b2.8質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.2質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.02質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水53.88質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.3となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Dを得た。(酸性水中油型乳化物D中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.16質量%)
[実施例5]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物a0.25質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.1質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s[25℃、30rpm])0.1質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水56.45質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Eを得た。(酸性水中油型乳化物E中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.08質量%)
[実施例6]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物a3質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.1質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.25質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水53.55質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Fを得た。(酸性水中油型乳化物F中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.08質量%)
[実施例7]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物a3質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.2質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.008質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水53.692質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Gを得た。(酸性水中油型乳化物G中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.16質量%)
[実施例8]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物a5質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.2質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:110mPa・s [25℃、30rpm])0.008質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水51.692質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Hを得た。(酸性水中油型乳化物H中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.16質量%)
[実施例9]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物a5質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.2質量部、グアーガム0.02質量部、キサンタンガム0.02質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水51.66質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Iを得た。(酸性水中油型乳化物I中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未
満、ホエイタンパク質含量:0.16質量%)
[実施例10]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物b3質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.2質量部、発酵セルロース0.04質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水53.66質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Jを得た。(酸性水中油型乳化物J中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.16質量%)
[実施例11]
パーム核油24質量部、エステル交換油脂d6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物b1.8質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.2質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.04質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、液糖30質量部、水35.86質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Kを得た。(酸性水中油型乳化物K中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.16質量%)
[実施例12]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物b1.5質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.04質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水55.36質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Lを得た。(酸性水中油型乳化物L中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0質量%)
[実施例13]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物b1.5質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.4質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.04質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水54.96質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.1となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Mを得た。(酸性水中油型乳化物M中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.32質量%)
[実施例14]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物b1.5質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.4質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.07質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水54.93質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが5.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Nを得た。(酸性水中油型乳化物N中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.32質量%)
[実施例15]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物b1.5質量部、脱脂粉乳1質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.07質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水54.33質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして本発明の起泡性酸性水中油型乳化物Oを得た。(酸性水中油型乳化物O中のカゼインタンパク質含量:0.8質量%、ホエイタンパク質含量:0.2質量%)
[比較例1]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、上記リゾ化組成物c2質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.4質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.07質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水54.43質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして起泡性酸性水中油型乳化物Pを得た。(酸性水中油型乳化物P中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.32質量%)
[比較例2]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、大豆由来リゾリン脂質(サンレシチン、太陽化学株式会社製)0.2質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.4質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.07質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水56.23質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして起泡性酸性水中油型乳化物Qを得た。(酸性水中油型乳化物Q中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.32質量%)
[比較例3]
パーム核油33質量部、エステル交換油脂d3質量部、パーム分別中融点部6質量部を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、乳由来の油分含量が70%以上であるクリームを転相することで生じた水相成分の濃縮物(固形分40質量%)5質量部、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)0.4質量部、タマリンドガム(1%水溶液の粘度:10mPa・s [25℃、30rpm])0.07質量部、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量部、グリシン1質量部、水51.43質量部を混合し、65℃に加温溶解し、50%乳酸水溶液を水相のpHが4.5となるように加え、水相とした。続いて、以下実施例1と同様にして起泡性酸性水中油型乳化物Rを得た。(酸性水中油型乳化物R中のカゼインタンパク質含量:0.2質量%未満、ホエイタンパク質含量:0.32質量%)
[起泡性酸性水中油型乳化物の評価]
実施例及び比較例で得られた起泡性酸性水中油型乳化物に関し、保管中の乳化安定性について、下記の評価方法で評価を行なった。結果を下記[表1]に示す。更に、得られた起泡性酸性水中油型乳化物をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーを使用して毎分700回転の速度で最適起泡状態に達するまで起泡させ、起泡時間、終点幅を測定し、結果を[表1]に記載した。また、得られたホイップドクリームの風味について、下記の方法で評価を行った。結果を下記[表1]に示す。
[評価方法]
・乳化安定性(ボテ)の評価
得られた起泡性酸性水中油型乳化物を20℃で1時間調温した後、振動器を用い100回/37秒で水平方向に振動させた。起泡性酸性水中油型乳化物が流動性を失うまでの振動回数が10000回以上のものを◎、5000回以上〜10000回未満のものを○、5000回未満のものを×とした。
・経日安定性
得られた起泡性酸性水中油型乳化物を5℃条件下で長期間保存し、10日、50日、100日経過時の離漿量について、下記基準で評価した。
−…全く離漿が見られない
±…わずかに離漿が確認できる
+…はっきりと離漿が見られる
++…激しい離漿が見られる
・風味(乳風味)の評価方法
ホイップドクリームを口にふくんだときの乳風味を、15人のパネラーにて官能試験した。乳風味が良好なもの、乳風味が不良なもの、及びどちらともいえないもの、3段階で評価し、良好なものに2点、どちらともいえないものに1点、不良なものに0点を与え、合計点が28点以上のものを◎+、25〜27点のものを◎、20〜24点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
・風味(異味・雑味)の評価
ホイップドクリームを口にふくんだときの異味・雑味を、15人のパネラーにて官能試験した。異味・雑味をまったく感じないもの、異味・雑味を強く感じるもの、及びどちらともいえないものの3段階で評価し、まったく感じないものに2点、どちらともいえないものに1点、強く感じるものに0点を与え、合計点が28点以上のものを◎+、25〜27点のものを◎、20〜24点のものを○、15〜19点のものを△、14点以下のものを×とした。
Figure 0006067318

Claims (8)

  1. 油分含量が55質量%以上である乳由来のクリームを転相することで生じた水相成分をさらにリゾ化して得られるリゾ化組成物を含有することを特徴とするpH4〜6の酸性水中油型乳化物。
  2. 上記リゾ化組成物の含有量は固形分として0.01〜5質量%である請求項1記載の酸性水中油型乳化物。
  3. さらにホエイタンパク質を0.01〜5質量%含有する請求項1又は2記載の酸性水中油型乳化物。
  4. さらにタマリンドガムを0.001〜1質量%含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸性水中油型乳化物。
  5. 上記タマリンドガムが、その1%水溶液の粘度が1〜200mPa・s(25℃、30rpm)となる低粘度タイプである、請求項4記載の酸性水中油型乳化物。
  6. 起泡性酸性水中油型乳化物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸性水中油型乳化物。
  7. 油分含量が55質量%以上である乳由来のクリームを転相することで生じた水相成分をさらにリゾ化して得られるリゾ化組成物を添加することを特徴とする、pH4〜6の酸性水中油型乳化物の安定化方法。
  8. 上記酸性水中油型乳化物中に上記リゾ化組成物が固形分として0.01〜5質量%となるように添加し、
    上記酸性水中油型乳化物中にタマリンドガムを0.001〜1質量%となるように添加し、該タマリンドガムは、その1%水溶液の粘度が1〜200mPa・s(25℃、30rpm)となる低粘度タイプである、請求項7記載の酸性水中油型乳化物の安定化方法。
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