JP4767202B2 - 酸性水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

酸性水中油型乳化油脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、マヨネーズ、ドレッシング、タルタルソース等として用いることができる酸性水中油型乳化油脂組成物に関し、詳しくは、低油分でも、酸味が抑制され、且つ、物性等が良好な酸性水中油型乳化油脂組成物に関する。また、本発明は、該酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法、及び酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味抑制方法に関する。
マヨネーズやドレッシングに代表される酸性水中油型乳化油脂組成物は、食用油脂、食酢を主成分として、それらに卵黄等の乳化成分、さらに食塩、糖類、香辛料等の副原料を加えて成り、製法としては、食用油脂以外の成分をあらかじめ水相として準備し、これに食用油脂を添加し、乳化した後、均質化して製造されることから、極めて微細な水中油型エマルジョンとなっている。
そのため、酸性水中油型乳化油脂組成物は、高粘性で、ボディー感も保型性も良好であることから、サラダや製パン用のトッピング用調味料として広く使用されている。
しかし、最近は、このような酸性水中油型乳化油脂組成物について、耐熱性、冷凍耐性、レンジ耐性、焼き残り性等の面から、ボディー感や保型性が十分でない場合も見られ、澱粉や増粘多糖類等の増粘安定剤を添加することが多くなってきている。
特に、最近の低カロリー化の要請から、酸性水中油型乳化油脂組成物においても低油分のものが好まれる傾向にある。このような低油分酸性水中油型乳化油脂組成物においては、水相が多くなることから水中油型エマルジョン中の油粒子径が大きくなり、また、乳化も粗くなってしまうことから、粘性が低く、ボディー感も保型性も劣るものとなってしまうため、増粘安定剤を多く添加せざるを得ない状況にある。
しかし、増粘安定剤を含有する酸性水中油型乳化油脂組成物は、表面のツヤがなくなり外見上好ましくなく、また、曳糸性が高くなり、粘つきやべたつきが強く、扱いにくい物性になってしまう問題があった。さらに食感についても、もったりした食感になってしまうことに加え、酸味を遅れて感じることで酸味にキレがなくなってしまい、呈味性が悪化する問題があった。
特に上述の低油分酸性水中油型乳化油脂組成物においては、静菌性の問題から水相中の酸濃度は下げることができないために水相部が増えることが直接酸の含量を高めることにつながり、結果として酸味を感じやすくなっているが、酸味の質、特に酸味にキレがないと、舌の上でより長時間酸味を感じることになるため、酸味をいっそう強く感じてしまう問題がある。
そこで、これら、増粘安定剤を含有する酸性水中油型乳化油脂組成物の諸問題を解決するために各種の提案が行われてきた。
例えば、ツヤの面からは、分岐デキストリンと卵白とを添加する方法(例えば特許文献1参照)が提案されている。
また、物性の面からは、乳化剤の存在下で糊化した澱粉を使用する方法(例えば特許文献2参照)や、カッパ・カラギーナンとカリウムとを併用する方法(例えば特許文献3参照)が提案されている。
さらに風味の面からは、特定の有機酸及び/又は有機酸塩を使用する方法(例えば特許文献4、5参照)、アラニンと炭酸水素ナトリウムとを併用する方法(例えば特許文献6参照)等が提案されている。
しかし、特許文献1の方法は、卵白に由来するもったりとした食感になってしまう問題、特許文献2の方法は、乳化剤に由来するねばつきが強い物性となり、また、食感も重たく、特に酸味のキレが極めて悪いという問題、特許文献3の方法は、表面のツヤがない問題に加え、食感も重たく、特に酸味のキレが悪いという問題がある。また、特許文献4、5の方法は、酸味をほとんど完全に消去してしまうため、酢酸風味を大切にする調味料においては不適当なものであるという問題に加え、物性の改良効果が見られないという問題、特許文献6の方法は、酸味は適度に抑制されるが、物性の改良効果が見られず、更に、炭酸水素ナトリウムに由来する物性変化や風味変化のため長期保管が不可能であるという問題があった。
このように、上記増粘安定剤を含有する酸性水中油型乳化油脂組成物の諸問題を全て解決する方法は見出されていなかった。
特開2001−252042号公報 特開平07−31414号公報 特開平07−46965号公報 特開平09−23844号公報 特開平09−23845号公報 特開平07−46967号公報
従って、本発明の目的は、表面のツヤがあり、扱いやすい物性で、酸味のキレが良好である酸性水中油型乳化油脂組成物、特に、酸味強度が抑制され、且つ、キレのある酸味を有する低油分酸性水中油型乳化油脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、従来、食塩代替品として、あるいは乳風味向上目的で使用されてきた乳清ミネラルを、増粘安定剤と併用することで、上記問題を解決可能であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、増粘安定剤0.01〜15質量%固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラル0.01〜5質量%、酸味料1〜30質量%及び油脂5〜40質量%を含有することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記酸性水中油型乳化油脂組成物を製造する方法であって、乳清ミネラル及び酸味料を含有させた水相と、増粘安定剤を含有させた油相とを乳化し、均質化することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法を提供するものである。
さらに、本発明は、酸性水中油型乳化油脂組成物中に、増粘安定剤0.01〜15質量%、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラル0.01〜5質量%、酸味料1〜30質量%及び油脂5〜40質量%を含有させることを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味抑制方法を提供するものである。
本発明によれば、増粘安定剤を含有するにも拘わらず、表面のツヤがあり、扱いやすい物性で、酸味のキレが良好である酸性水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、特に、低油分酸性水中油型乳化油脂組成物であっても、酸味強度が抑制され、且つ、キレのある酸味を有する。
また、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法によれば、特に優れた酸味抑制効果を示す酸性水中油型乳化油脂組成物を製造することができる。また、本発明の酸味抑制方法によれば、酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味をまろやかな又はおだやかなものとすることができ、刺激臭も低減することができる。
以下、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物について詳述する。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、増粘安定剤を含有する。
上記増粘安定剤としては、例えば、グアーガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、微結晶セルロース、ファーセレラン、寒天、ゼラチン、ジェランガム、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸塩、カードラン、ローカストビーンガム、アラビアガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、卵白粉末等の増粘多糖類やゲル化剤、澱粉、糊化澱粉、糊化化工澱粉等の澱粉類を挙げることができる。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物では、上記増粘安定剤の中でも、増粘多糖類と澱粉類とを併用することが好ましく、より好ましくは、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸からなる群から選択される1種又は2種以上と、タピオカ澱粉由来の糊化澱粉、タピオカ澱粉由来の糊化化工澱粉、ワキシーコーンスターチ由来の糊化澱粉、及びワキシーコーンスターチ由来の糊化化工澱粉からなる群から選択される1種又は2種以上の澱粉類とを併用する。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物における上記増粘安定剤の配合割合は、0.01〜15質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。上記増粘安定剤の配合割合が0.01質量%未満であると、酸味が強く鋭く感じられやすく、また、15質量%を超えると、もったりとした食感になってしまったり、また表面のツヤがなくなってしまう場合がある。
次に、本発明で使用する乳清ミネラルについて詳述する。
乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用する乳清ミネラルは、表面のツヤが良好な酸性水中油型乳化油脂組成物が得られる点、及び、酸味強度の抑制効果が高い点で、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルであり、特に1質量%未満の乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量%以上である。上記カルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルは、乳又はホエーから、膜分離及び/又はイオン交換、さらには冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエーを用いる方法、あるいは、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得ることができるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用する脱カルシウムの方法としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物における上記乳清ミネラルの配合割合は、固形分として0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%である。上記乳清ミネラルの配合割合が0.01質量%未満であると、本発明の効果(表面のツヤ、物性、食感、低油分酸性水中油型乳化油脂組成物における酸味強度の抑制効果)が見られにくく、また、5質量%を超えると、苦味を感じるおそれがあることに加え、長期間保存時にひび割れをおこす等保存性が悪化するおそれがある。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物で使用される食用油脂は、食用に適する油脂であればよく、その代表例としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂等の常温で固体の油脂も挙げられ、更に、これらの食用油脂の硬化油、分別油、エステル交換油等の物理的又は化学的処理を施した油脂を使用することもできる。
これらの食用油脂の中でも、20℃において液状である油脂を使用することが好ましく、具体的には、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油、パーム分別軟部油、サル脂分別軟部油及びこれらの油脂の微水添油脂の中から選択される1種、又は2種以上の混合油脂が好ましく使用される。
また、上記食用油脂には、トコフェロール等の酸化防止剤や、βカロチン等の着色剤の如き、油脂に溶解する成分や添加剤を加えてよい。
発明の効果は、低油分酸性水中油型乳化油脂組成物においてより顕著であり、また、低油分酸性水中油型乳化油脂組成物に特有の強い酸味を抑制することもできる点において、食用油脂の含量5〜40質量%であ、最も好ましくは10〜30質量%である。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、水及び酸味料を使用して、水相のpHを酸性とする。
上記のpHの調整に用いる酸味料としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、食酢、果汁、発酵乳等が挙げられ、これらを単独で用いるか又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、最適な風味と物性を達成する上で、食酢を用いることが好ましく、なかでも醸造酢を用いることが好ましい。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物においては、最適な酸味強度を得る上で、上記水及び酸味料を使用して、水相のpHを好ましくは2.0〜5.5、より好ましくは2.5〜5.0、最も好ましくは2.8〜4.5とする。尚、上記酸味料の使用量や水の使用量については、使用する酸味料の種類等に応じて適宜選択すればよいが、酸味料の使用量は1〜30質量%から選択し、水の使用量は好ましくは10〜80質量%の範囲から選択する。
また、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物には、上記増粘安定剤、乳清ミネラル、食用油脂、酸味料及び水以外に、マヨネーズ、タルタルソース、乳化型サラダドレッシング等の酸性水中油型乳化物に使用されることが知られている副原料を、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができる。該副原料としては、全卵・卵黄・加塩卵黄・加塩全卵・加糖全卵・加糖卵黄・乾燥全卵・乾燥卵黄・凍結全卵・凍結卵黄・凍結加糖全卵・凍結加糖卵黄・酵素処理全卵・酵素処理卵黄等の卵類、未糊化澱粉、化工澱粉類、ショ糖・乳糖・ブドウ糖・果糖・麦芽糖・マルトオリゴ糖・イソマルトオリゴ糖・フラクトオリゴ糖・ガラクトオリゴ糖・ニゲロオリゴ糖・水飴・パラチノース・トレハロース・ソルビトール・マルチトール・マンニトール・還元澱粉糖化物・ポリデキストロース等の糖類、直鎖デキストリン・分枝デキストリン・環状デキストリン等のデキストリン類、チーズ、カレー粉、からし粉、胡椒等の香辛料や香辛料抽出物といった風味原料や、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、香料、食塩、カゼイン、ホエー蛋白質、乳脂肪球被膜蛋白質、大豆蛋白質等の蛋白質、着色料、トマト、ピクルス等の野菜類等が挙げられる。
上記副原料の使用量は、使用目的等に応じて適宜選択することができるが、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物において合計で好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下とする。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物の好ましい製造方法について述べる。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、一般のマヨネーズやドレッシング等の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法と同様にして製造することができる。
例えば、酸味料を水相に、増粘安定剤と乳清ミネラルを水相及び/又は油相に添加して、両者を乳化し、均質化することによって得ることができるが、本発明では、酸味抑制効果が顕著である酸性水中油型乳化油脂組成物が得られることから、乳清ミネラル及び酸味料を含有させた水相と、増粘安定剤を含有させた油相とを乳化し、均質化処理することが好ましい。このとき、水相と油相との比率(質量基準)は、水相:油相=95〜15:5〜85とすることが好ましく、より好ましくは95〜55:5〜45、さらに好ましくは90〜65:10〜35である。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、詳しくは、例えば以下の様にして得ることができる。
まず、水に、加塩卵黄等の卵黄類、食酢等の酸味料、乳清ミネラル、食塩、水飴等の糖類、コショウ等の香辛料等を分散溶解させた水相を調製し、また、大豆油等の油脂に、増粘安定剤等を分散させた油相を調製する。次いで、水相を撹拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得る。該水中油型予備乳化物をコロイドミル等の乳化機、ホモゲナイザー等の均質化機で均質化して、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物が得られる。一層高い酸味抑制効果を奏させる上で、増粘安定剤は、油相のみに含有させ、水相には含有させないことが好ましい。
また、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物中の油粒子の平均粒径は、20μm以下とすることが好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下が最も好ましい。20μmを超えると、酸性水中油型乳化油脂組成物の乳化安定性が低下しやすいことに加え、粘度が低下して好ましいボディー感や保型性が得られない場合がある。また、酸性水中油型乳化油脂組成物の保存時に油分分離等が発生する危険性もあるので好ましくない。上記平均粒径は、例えば、島津製作所のレーザー回折式粒度分布測定機(SALD-2100型)や光学顕微鏡で測定することができる。尚、上記油粒子の平均粒径は、小さいほど好ましい。
次に、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味抑制方法について述べる。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味抑制方法は、酸性水中油型乳化油脂組成物を製造する際に、増粘安定剤及び乳清ミネラルを配合して、これらを酸性水中油型乳化油脂組成物に含有させるものである。
酸性水中油型乳化油脂組成物中のそれらの配合量は、増粘安定剤については、0.01〜15質量%、より好ましくは0.1〜5質量%であり、乳清ミネラルについては、固形分として0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。
増粘安定剤及び乳清ミネラルの具体的な配合方法としては、上述の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法において記載したように、酸性水中油型乳化油脂組成物の製造時に、油相及び/又は水相に添加する方法や、増粘安定剤及び乳清ミネラルを含有する水溶液をあらかじめ製造し、それを既存の酸性水中油型乳化油脂組成物に対して添加し、混合する方法等を挙げることができる。
このように、増粘安定剤及び乳清ミネラルが配合されていることによって、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、まろやかな又はおだやかな酸味を呈し、刺激臭も低減されている。
以下に実施例及び比較例を挙げるが、下記実施例1〜6のうち、実施例2〜5が本発明の実施例であり、実施例1及び6は参考例である。
<乳清ミネラルの製造>
〔製造例1〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、これをさらにエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルAを得た。得られた乳清ミネラルAの固形分中のカルシウム含量は2.2質量%であった。
〔製造例2〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これをさらにエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルBを得た。得られた乳清ミネラルBの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%であった。
<酸性水中油型乳化油脂組成物の製造1>
〔実施例1〕
水51.2質量部、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分70質量%、水分30質量%)10質量部、食酢(酢酸含量15質量%)7質量部、食塩2.5質量部、グルタミン酸ナトリウム0.3質量部、からし粉0.4質量部、乳清ミネラルA0.5質量部、及び、酵素処理10%加塩卵黄6質量部を混合して水相を調製した。別に、菜種サラダ油15質量部、ホエー蛋白濃縮物2質量部、ワキシーコーンスターチをリン酸架橋後に糊化した糊化化工澱粉4質量部、卵白粉末1質量部、及びキサンタンガム0.1質量部を混合して油相を調製した。次いで、上記水相を撹拌しつつ上記油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをホモゲナイザーにて均質化し、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
〔実施例2〕
乳清ミネラルA0.5質量部を乳清ミネラルB0.2質量部に変更し、水の配合量を51.5質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法で、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
〔実施例3〕
乳清ミネラルA0.5質量部を乳清ミネラルB0.5質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法で、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
〔実施例4〕
乳清ミネラルA0.5質量部を乳清ミネラルB1質量部に変更し、水の配合量を50.7質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法で、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
〔実施例5〕
糊化化工澱粉を油相ではなく水相に添加した以外は、実施例4の配合・製法で、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
〔比較例1〕
乳清ミネラルを無添加とし、水の配合量を51.7質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法で、比較例の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
<酸性水中油型乳化油脂組成物の評価1>
実施例1〜5及び比較例1でそれぞれ得られた酸性水中油型乳化油脂組成物について、下記の評価基準に従い、ツヤ、物性、食感、酸味の強さ及び酸味の質について評価を行った。それらの結果を表1に記載する。
〔ツヤの評価基準〕
表面のツヤについて、下記の5点評価を行った。
◎:極めて良好である。
○:ややツヤがないが良好である。
△:半光沢である。
×:ツヤがなく不良である。
××:油分分離を起こしている。
〔物性の評価基準〕
物性について、下記の4点評価を行った。
◎:極めて良好である。
○:良好である。
△:やや粘つきやべたつきが感じられる。
×:曳糸性が高く、粘つきやべたつきがあり不良である。
〔食感の評価基準〕
食感について、下記の4点評価を行った。
◎:極めて良好である。
○:良好である。
△:ややもったりした食感である。
×:もったりした食感で不良である。
〔酸味の強さの評価基準〕
酸味の強さについて、下記の4点評価を行った。
◎:まろやかな酸味であり、刺激臭も感じない。
○:おだやかな酸味であるが、やや刺激臭を感じる。
△:やや鋭い酸味であり刺激臭を感じる。
×:鋭い酸味及び刺激臭を感じる。
〔酸味の質の評価基準〕
酸味の感じ方について、下記の4点評価を行った。
◎:口に入れて直ぐに酸味を感じ、且つ、キレもよい。
○:口に入れてから遅れて酸味を感じるが、キレはよい。
△:口に入れて直ぐに酸味を感じるが、ややキレが悪い。
×:口に入れてから遅れて酸味を感じ、キレも悪い。
Figure 0004767202
上記の表1からわかるように、低油分酸性水中油型乳化油脂組成物において、増粘安定剤及び乳清ミネラルを含有する実施例1〜5の酸性水中油型乳化油脂組成物は、表面のツヤ、物性、食感、酸味の強さ及び酸味の質の全てが、比較例1の酸性水中油型乳化油脂組成物に比べて良好である。
特に、実施例1と実施例3とを比較すると、固形分中のカルシウム含量が2質量%以下である乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が2質量%を超える乳清ミネラルとちがって、酸味抑制効果が顕著であることがわかる。
また、実施例4と実施例5とを比較するとわかるとおり、乳清ミネラル、増粘安定剤(糊化化工澱粉)及び酸味料を含有する水相と、増粘安定剤(卵白粉末及びキサンタンガム)を含有する油相とを乳化し、均質化することで得られた実施例5の酸性水中油型乳化油脂組成物よりも、乳清ミネラル及び酸味料を含有する水相と、増粘安定剤(卵白粉末、キサンタンガム及び糊化化工澱粉)を含有する油相とを乳化し、均質化することで得られた実施例4の酸性水中油型乳化油脂組成物の方が、酸味抑制効果が顕著である。即ち、製造時に増粘安定剤を油相にのみ含有させる方が、酸味抑制効果が顕著である。
<酸性水中油型乳化油脂組成物の製造2>
〔実施例6〕
水8.9質量部、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分70質量%、水分30質量%)4質量部、食酢(酢酸含量15質量%)2.5質量部、食塩1質量部、乳清ミネラルA0.5質量部、及び、10%加塩卵黄8質量部を混合して水相を調製した。別に、菜種サラダ油75質量部、及びキサンタンガム0.1質量部を混合して油相を調製した。次いで、上記水相を攪拌しつつ上記油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをホモジナイザーにて均質化し、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
〔比較例2〕
キサンタンガムを無添加とし、水の配合量を9質量部に変更した以外は実施例6の配合・製法で、比較例の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
〔比較例3〕
乳清ミネラルを無添加とし、水の配合量を9.4質量部に変更した以外は実施例6の配合・製法で、比較例の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
〔比較例4〕
乳清ミネラル及びキサンタンガムを無添加とし、水の配合量を9.5質量部に変更した以外は実施例6の配合・製法で、比較例の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
<酸性水中油型乳化油脂組成物の評価2>
実施例6及び比較例2〜4でそれぞれ得られた酸性水中油型乳化油脂組成物について、上述の評価基準に従い、ツヤ、物性、食感、酸味の強さ及び酸味の質について評価を行った。それらの結果を表2に記載する。
Figure 0004767202
上記表2の実施例6と比較例2〜4との比較から以下のことがわかる。低油分ではない通常の油脂含量である酸性水中油型乳化油脂組成物において、増粘安定剤及び乳清ミネラルを含有する実施例5の酸性水中油型乳化油脂組成物のみが、表面のツヤ、物性、食感、酸味の強さ及び酸味の質の全てが良好である。乳清ミネラルを含有するが増粘安定剤を含有しない比較例2の酸性水中油型乳化油脂組成物は、酸味の強さが若干抑制されるが十分ではなく、増粘安定剤を含有するが乳清ミネラルを含有しない比較例3の酸性水中油型乳化油脂組成物は、酸味及び刺激臭が強い上に酸味のキレも悪く、さらにはツヤが劣るものであり、増粘安定剤も乳清ミネラルも含有しない比較例4の酸性水中油型乳化油脂組成物は、酸味及び刺激臭が強いものであった。

Claims (3)

  1. 増粘安定剤0.01〜15質量%固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラル0.01〜5質量%、酸味料1〜30質量%及び油脂5〜40質量%を含有することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物。
  2. 請求項1記載の酸性水中油型乳化油脂組成物を製造する方法であって、乳清ミネラル及び酸味料を含有させた水相と、増粘安定剤を含有させた油相とを乳化し、均質化することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
  3. 酸性水中油型乳化油脂組成物中に、増粘安定剤0.01〜15質量%、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラル0.01〜5質量%、酸味料1〜30質量%及び油脂5〜40質量%を含有させることを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味抑制方法。
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